出来の悪いホイール、その後

私のできの悪いホイールは決して走りが悪いわけではなく次のこの3点が不出来の原因でした。

組み換え前

1リムにスポークを入れる位置が違う

2スポークの長さが短い

3アルミニップルの使い方が悪い

 

こういう事から

 

  • 見た目が悪くポンプが使いにくい
  • アルミニップルが破断するかもしれない

 

という安全面でも注意が必要でしたので次のように組み換えをすることにいたしました。

組み換え後右#15 左NJS#15/#16
左右3クロス組
星NJSバテッド#15/16スポーク

  • ハブ、リムはそのまま同じものを使います。
  • ハブは調子が良かったのでグリスアップしていません。
  • スポークは全部取り換えました。右側ドライブサイドには星#15 1.8mmストレートスポークを使い、左には星NJSバテッド#15/16スポークをカットして使うことにいたしました。
  • ニップルは1.8mmブラスに取り換えます。

 

ニップルはアルミからブラスに変更しました。確かにアルミを選択すると20gは軽くできるのですが私には必要ないと思いまして丈夫なほうを選びました。アルミニップルの堅牢さは昔と違いますので十分安心できるのですがやはり扱いやすいのはブラスです。今回はブラスを選んでいます。

 

スポークですが左側に細いスポークを選んでいます。よくスポーク選択に左サピム1.5mmLaser右サピム1.8mmRaceやDT1.8mmコンペティションの組み合わせがありますが今までNJSバテッド#15/16を使っているとあまり聞いたことがないのです。

266mmで太さが変わる

このNJSバテッドスポークは競輪に使われているのですが305mmの寸法だけで販売されています。短くカットできる部分は残されていますので278mmくらいまでは使えます。

寸法が一種類だけですので常にスポークをカットして対応しないといけないことから一般的ではありません。あまり使われないのはこのためでしょう。

サピムLaser カットできる部分が少ない

サピムのLaserは2.0/1.8/2.0mmです。カットできる部分はあまりなくスポークの長さをカットで調整することはできるのですが許容範囲が狭いです。

その点星のバテッドスポークは切れる部分が長くありますのでいろんなホイールに使えそうです。もちろん競輪に使われているといいながらも細いだけに強度、剛性には検討の余地があります。今のところ多スポークホイールに使う分には十分と考えています。まず使ってみて判断しようと思います。

 

ちなみに星NJSエアロスポークも305mmで販売されています。カットできる部分は296~305mmでカット調整できます。使える範囲の狭さが難点です。ERDの長いリムの場合このエアロスポーク使用しても安価に良いホイールが出来ます。

 

いろいろな部品の組み合わせができるのも手組ホイールの面白いところです。

 

さて組み換えホイールが一応完成しても一日置きますと少しテンションが変わりるときがあります。理由として後輪スポークは右側と左側の張り具合が倍ほど違いますのでリムが右側に引っ張られ少しセンターがずれている時もあるのです。再度調整しなおして完成です。

チューブラーホイール作製依頼うけました

当ブログ読んでいただいている方よりご連絡いただきチューブラーホイールのご注文いただきました。

出来上がりホイール

ホイールのご希望をお聞かせいただきスポーク、ニップル等を決めさせていただきます。

ハブはお持ち込みです。

このハブが届き驚きました。新品のDuraハブFH7403 32hです。新品です、本当に美しいです。造り込みの良さが伝わってきます。今このようなハブが作られていないのは本当に残念です。

ハイトゲージで計測

シマノから発表されているデータは正確ですが念のため実測します。

ハブ計測はハイトゲージを使っています。ハイトゲージはゼロ設定ができるのでノギスで十分ですけれどやはり専用道具は便利です。私のスポーク長の出し方は小数点の切り上げを行っていますのでどちらかといえば長めの寸法です。短いスポークはニップル破断の原因になりますので長めを好みます。

 

スポークは剛性を優先して星スターブライト2.0mmストレートスポークを使います。

ニップルはブラスです。

これらはオーナー様の依頼です。手組ホイールの王道を行く部品選定です。

フロント 3クロス組
リア 左右3クロス組

組み方は前後とも3クロスで組みます。

8速のDuraハブはスポークテンションから考えますと左ノンドライブ側のテンションが現行ハブより高いテンションで仕上がります。

振れ取り+テンションを均一に

シマノハブが11速に変わってハブオフセットが以前よりも1.85mm増えました。ギアが増えることでホイールのテンション比率が大きく変わりました。左テンションが右の半分以下になりました。残念ですが低くなったのです。

対応策として右テンションを大きく上げて左の相対値を上げるか2:1組などの組み方を工夫する方法が考えられます。

スポークテンションのことを考えますと2:1組など組み方の工夫をしなくても旧バージョンホイールのほうが11速ホイールよりも駆動ロスが少ないホイールに仕上がります。8速のほうがメカトラブルは少ないしチェーンも丈夫です。

今の現行品は11速です。8速、9速、10速は古い世代の製品ですが決してホイールの駆動効率を考えますと走る性能は負けていません。

 

オーナー様は新品の8速Duraハブが手に入るまでじっくり待たれたそうです。手に入ったら私にホイール作製依頼を決めておられたようです。これはうれしい話です。

ギアの枚数は少なくても走りでは現行ホイールに負けないホイールです。

前輪 826g
後輪 1048g

このTB25 32hのチューブラーホイールは外周部が軽くリム剛性も高いので力が逃げないホイールです。意外と思われますが重量があってもヒルクライムに結構強いホイールです。

なかなか手に入れることが難しいハブを使ってのホイール作りをご依頼いただきました。ありがたいことです。

ホイール作り始める前のルーティン

私の使っているテンションメーターはパークツールのTM-1も使いますがデジタルメーターを主に使っています。

どのテンションメーターも換算表がありますがその換算表を見る前にメーターが正しい数値を出すメーターなのかをチェックしています。

私のメーターは2mmの丸スポークを100kgfで引っ張ると0.33mmの数値が出ます。これだけのチェックですがメーターは使えると確認しています。この校正器は足元に置いていますのでいつでも調べることができます。

ホイール作業のルーティンとしています。テンションメーターを使っていますとやはり経年変化はあるだろうと思いますので気を付けています。

 

スポークを握ってわかるような神の手を持っていませんので売り物のホイールを作っているものとしてキャリブレーションは欠かせません。

出来の悪いホイール

10年以上前に作ったホイールを今でも使っています。しかしこのホイールは失敗作です。以前のブログ記事で紹介しました「失敗作でもよく走る」のですが大きな失敗をしています。

①スポークをリムに通すときの第一スポークを間違う。

第一スポークの間違い
短いスポークでねじ山が見える
スポークが短い

②アルミニップルの使い方

③スポーク長の出し方

①はスポークを一番目に通す穴を間違えると位相がかわりバルブ穴の位置が変わります。最初にスポークをバルブ穴に通すとき注意が必要です。

②と③はスポーク長の問題です。

スポークは2つの計算ソフトを使って計算していました。スポカルクとDTの計算ソフトです。当時の計算ソフトはスポークの太さまで考えて答えが出るのではありません。また私はリムのERDを出す方法でもいい加減でした。

ERDはカタログやネットで発表されている数値を使っていました。これは実際に測ることがいちばんです。アルミリムは製品のロットごとに微妙に寸法が違っています。カタログの数値は違うことが多いです。

次の間違いは出した寸法の切り上げ、切り捨てです。長さの小数点まで寸法は出ますので切り上げか切る捨てでスポークの長さは大きく変わってきます。そのうえ販売されているスポークは長さが286cm,288cmのように偶数単位でしたので奇数の場合困ったものです。なかなかニップルの頭ギリギリで納めることができなかったのも事実です。

私は高価なホイールよりもスポークカッターのほうが欲しかったのでスポークカッターは割と早く購入しました。このためスポーク長の失敗は少なくなりました。しかし今でもホイール作りの中では難しいポイントと考えています。

 

結論を申しますとスポーク長は切り上げです。長めの寸法が良いと思います。もちろん長すぎてもだめです。

ねじ山が見えるくらい短いスポークで作りますとホイールとして使えますがニップルが飛ぶかもしれないリスクが生じます。

10年以上前に手組ホイールしていますと大見得の自称メカニックさんにホイールお願いしたことがあります。出来上がったホイールはスポークのねじ山が見えるホイールでした。この時は何も知らずに喜んで持ち帰ったのです。ホイールのことを深く知るようになった今は『あの時はあほやってんな(関西の人はこういいます)』と思い出します。

 

短いスポークにアルミニップルを使いますとニップルの頭が飛ぶことがあります。もちろんアルミでなくブラスでも起こることがありますがアルミのほうが頻度は高いです。こんなとき長めの寸法でニップルから突き出ていてもこのほうがいいのです。突き出たら失敗ではありません。スポークが短いのが失敗作です。

写真のホイールは今もよく使っています。売り物ではありませんのでタイヤ取り換えたときにスポークのテンションを再調整し、振れ取りを行っています。出来が悪いのですがよく回るので承知で使っています。しかしホイールは一番大切なところですので近々に組み替えようと思っています。

カーボンホイールにタイヤをインストール

LightBicycelのカーボンリムを使ってチューブレスホイールを作製しました。

リムは46mmハイトです。フロント18hリア28h、ハブはDURA9000を使用しています。

今回は後輪ホイールのことをお話します。

 

ホイールリム内側にはニップル穴のないリムを使用しています。

穴があるのはバルブ穴だけです。このためチューブレスタイヤに使うテープは要りません。55mmのバルブをセットしましてタイヤをインストールしました。

タイヤはIRCのフォーミュラーライト25cです。石ケン水を使っています。私は力がないので専用タイヤレバーを2つ使っています。簡単にタイヤをはめることができます。レバーを使っていますが問題なくうまくいきました。

チューブレスタイヤをインストールしますとスポークテンションは大幅にテンションダウンします。今回の場合右側ドライブサイドのテンションは133kgfから110kgfに下がりました。約17%下がっています。

 ドライブサイド133kgf ドライブサイド110kgf

これだけ下がるのですから事前に少し高めかなと思うくらい右スポークテンションを上げて作っても大丈夫です。私は120~130kgfで仕上げています。

 

スポークを握って張り具合を調べる人にはサピムのCX-RAYなどの扁平スポークの場合スポークが薄いので刃物を握っているような握っても痛いだけです。握った感覚だけでは難しいと思います。

またTM-1のような正確でないメーターでは役に立たないでしょう。もちろんきっちりと100kgf、120kgf、130kgfと正しく測れるTM-1なら話は別です。テンションメーターの校正を先ずやるべきです。

 

4,5年前と比べてカーボンリムはとてもお安くなりました。高品質な製品を作るメーカーのリムも容易に購入できるようになっています。FFDのカーボンホイールはリム、ハブ、スポークメーカーの一般でも購入できる部品の組み立て品ですのでカーボンホイールに挑戦するのもいいと思います。作れない方はご一報いただければ幸いです。

スポークをギターピックではねています

スポークテンションの均一化にはテンションメーターをメインに使っています。

テンションをグラフ化して緩いところ、きつく張っているところを調べると早く解決できます。

これらは私のやり方ですのでテンションメーターを使わない人もおられますし人それぞれです。

テンションメーターを使うほどでもないときとか最後の微調整で確認するときにはギターピックを使って音を聞きながら調整しています。

ギターピック

スポークをはねた音を聞いて張り具合を調べることは昔からなされていた方法です。指ではねればいいのですが均質な音量で聞き分けるにはギターピックがよろしいようです。簡単に音を聴き比べできます。高い音でスポークの張りが強ければニップルを緩め、低い場合はスポークの張りを強くします。

常にこの作業では逆に面倒なので通常はテンションメーターを使い最後の仕上げ段階で行っています。

ギターピックでないとダメという話ではありません。YouTubeで見たのですが、スポークを小さいハンマーでたたいて音を聞き分けているビルダーもいました。音をきいてスポークを調整する方法は意外と便利です。