玉押し調整はバイスで行う

シマノハブのカップアンドコーンはとても長持ちするハブでしっかり調整すれば20年でも十分使えるハブです。ただ雨の日に乗ったりすればまめにグリスアップは欠かせません。これはシールドベアリングでも同じです。

さて、今回のホイールご注文ではシマノハブを使うご注文です。新品のハブですが下位グレードのハブということなのかとても硬くてゴリ感がありました。ホイールを組む前に調整することにしました。

バイスに挟んで玉押し調整

シマノハブは個人的にはウナギやお寿司の注文のように松竹梅と性能をくっきりと分けることはできないと思っています。勿論外見ではきれいに分かれています。

今回、使用するハブはシマノのグレード分けでは下位グレードのFH-TX500という135mm幅のハブでグレード分けでは梅に当たります。この梅ハブも調整をしっかりすれば松ハブにグレードが上がります。

ゴリ感のあるハブをバイスに挟んで締め込みねじを緩めていきます。ハブのねじを緩めて分解するなど素人が出来ることでないと思うのですがハブ構造はとても簡単で、つぶれることはありません。

ほんの僅かですがねじを緩めました。グリスは新品なので新しく入れていません。

バイスに挟むことで両手が自由に使えますので微妙な調整ができます。出来上がっているホイールもバイスで挟むと調整が楽です。何度も締めたり緩めたりしていいポイントを探ります。これには慣れが必要です。習うより慣れろだと思います。

少しの手間ですが梅ハブから松ハブに変身です。しかし見た目は正直なところ無骨な梅ハブですのでこれは仕方ありません。

シマノハブは育てるハブなのでグレードが梅のハブでも、使って調整する、使ってはグリスアップをして、当たりを出せば松ハブに変身します。下位グレードのハブも使う価値は大いにあります。唯、残念なのは重さです。軽さは正義と思い込んでいる人にはお勧めできないなと思います。

一日置くとこんなに変わる

軽量カーボンリム、ブーストハブを使ったカーボンホイールをご注文いただきました。組み立てはほぼ完成しましたので一晩おいておきました。

この状態で一晩置きました
仮の出来上がり状態です

昨晩のスポークテンションのグラフが次のようなグラフです。一応完成していますがまだ手直しが必要です。一晩そのままに置きまして翌朝作業を始める前にスポークテンションの状態を見てみました。

半日置いておくとテンションが変わりました

このグラフを見て驚きました。大きく変わっています。約半日そのままにしておきました状態はドライブ側のテンションが下がって、左非ドライブ側が上がっています。勿論センターはずれているのですが、時間をあけるとこんなに違っていることに驚いています。

リム高が低くて260gのリムはカーボンといえどもやはりリムの剛性は高さのあるリムと比べて柔らかいと思います。リム高があればこんなに変わらないと思いますがやはり変わることは必然です。

常々、馴染みだしは時間をあけるといっていますが理由がよく分かります。数値化すれば一目瞭然です。馴染みだしを何度も繰り返せばスポークテンションは変化しなくなり最終的な仕上がりとなります。

684g後輪用カーボンホイールのご注文

20mm高のカーボンチューブラーリムとブーストハブをお送りいただきました。部品持ち込みで後輪ホイールの作製依頼です。お客様は以前ママチャリ用のカーボンホイールをご依頼いただきました。これで2回目のオーダーです。部品持ち込みOKが気に入っていただいたようです。

お客様は前回のママチャリ用カーボンホイール、今回のMTB用ホイール、どちらもアイデアに富んだホイールを考えておられとても勉強になります。

ノバテック ブーストハブ 234g
リム重量261g 
20mm高です スポークは長くなります
チューブラーリムです

今回の部品も特徴あります。261gのチューブラーリムにノバテックのストレートスポーク用ブースターハブです。ハブはあまり見かけないハブです。うまく手に入れられたと思います。

リム 20mm高チューブラーリム  261g

ハブ ノバテック ブーストハブ D412CB-CL-B12

スポーク、ニップルは手組ホイールファンで用意します。

スポーク DTコンペティション ストレイトプルスポーク 黒

ニップル ピラーDSN ブラス 黒

事前にハブ、リムをお送りいただきましたのでスポーク長の計算がしっかりできました。ストレートプルスポークの場合注意点はハブの計測です。DTの計算ソフトにおいて解説されていますので参考にされたらいいと思います。

今回のハブはスポークをリムに通す位置が決まっているのでスポーク長さえ間違えなければ仮組は早くできます。スポークテンション調整には時間かかりますが通常のJベントハブと同じなのでホイール作りに挑戦される方にはこの形状のハブはいい材料かもしれません。

後輪684g

出来上がりましたホイールです。684gとこの軽さには驚きです。スポークテンションはテンションメーターで確認しています。リムが初めてなのでドライブ側を120kgfで調整するようにしました。チューブラーリムはタイヤインストール後のテンションダウンがありませんので120kgf以上にならないようにしています。テンション掛け過ぎるのもリムにはよくありません。馴染みだしを何度も行うことでフレは出にくいと思います。

ピストホイールのご注文

これで3セット目のご注文です。手前味噌になりますが前にお納めしましたホイールに振れがでないということで気に入られ再度ご注文いただきました。リム、ハブ、部品は持ち込みです。以下詳細です。

リム マビックカーボンリム

ハブ マック スーパーライト

前輪115g
後輪174g

スポーク 前輪CX-RAY後輪右CX-SPRINT左CX-RAY

ニップル DT SquorxPro ブラス

前輪666g ハブ、リムが軽量です
前輪スポークテンショングラフ 左右CX-RAY
後輪744g ハブ、リムが軽量です
右CX-SPRINT 左CX-RAYで組んでいます
美しい自転車です

トラックハブはフランジ幅が広いので通常のロード用と比べて横剛性が高いホイールに仕上がります。おまけに後輪はロード用のような左右のテンション差がほとんどありません。スポークテンショングラフを見ていただきますとよくわかります。後輪が前輪ホイールのようなスポークテンションで駆動ロスが少ないホイールに仕上がります。踏み込めばそのまま反応するのがトラックホイールと思っています。逆に良い悪いがはっきりでるホイールとみています。

120mmシングルハブを広いエンドでつかう

昨日の記事の続きです。

ワッシャーを使えばいいと思います

今日ワッシャーが届きました。ステンレスのワッシャー10x21x2.0のサイズです。1パック12個入りを購入しました。安価で買えます。このワッシャーは厚みが2mmなのでフレームのエンド幅に合わせて数枚入れて取り付けるといいわけです。これならチェーンラインの調整も楽にできます。右と左の枚数を加減すればいいわけです。残念ながらテンショナーは使わないといけません。あまりこんなことはされないと思いますが初めてのシングルなので費用はかけたくありません。一度これで試してみてからでも良いかなと思っています。

120mmシングルハブを135mmで使う

エンド幅135mmのMTBバイクのシングル化を計画されている客様より連絡いただきました。あまり費用をかけないでこのプランに適したハブがないかと相談されましたので調べることにしました。

ハブにスペーサーを入れる
うまく取り付け出来るか試してみました

手元にトラックハブがありますのでじっくり見て思いつきました。軸棒はそのままでスペーサーを入れたらいいのではと思いつきました。昔と違いいろんな機械部品が通販で買える時代です。通販で購入しましたスペーサーは一個400円ほどするのですが左右に入れることで135mmのエンドに使えると思います。

違うハブですがスペーサーで幅を調整することができます

スペーサーが届きハブの両側に取り付けてみました。フレーム側ではぴったりというわけではありませんがフレームには1mm2mmは余裕があります。120mm幅のハブにスペーサーを取り付けてエンド幅の広いフレームに取り付けることが出来そうです。ただこの方法ではチェーンをピンと張ることはできませんのでテンショナーを使う必要があります。

スペーサーの厚みは何種類か用意しておき、チェーンラインを合わすのに左右のスペーサーの厚みを調整すればいいと思います。。

費用をかけずに楽しむのも一つの方法です。ワッシャーとスペーサーを使い分けてフレームに取り付けてみようと考えています。130mmでも135mmでも使えそうです。この部品でないとダメという人もおられますが特別こだわりがありません。面白そうなのでこの方法で進めてみたいと考えています。

ピストホイールのご注文

このブログにご連絡いただきました。手持ちのカーボンリム、ハブをお送りいただきスポークニップルはこちらで手配するというご注文です。

チューブラー用カーボンリム339g
チューブラー用カーボンリム349g
前輪144g  右はケースです
後輪用219g 右はケースです

リム:REYNOLDS ASSAULT SLG tu

ハブ:チェコ製Raketa Track Hub 前輪グリーン後輪ブルーの組み合わせ

スポーク:ピラーwing21 シルバー

ニップル:ピラーDSN 黒

前輪はラジアル組、後輪は2クロス組イタリアンで組みます。両切りハブですがギアは片側のみ使用ということなので、イタリアンで組むことを希望されました。JIS組ではありません。

wing21スポークについてはCX-RAYより少し重いので剛性が高くなります。少スポークホイールをCX-RAYで組んだホイールでは少し剛性が足りないと感じられる方にはおすすめです。

ピラーのDSNニップルは前からも後ろからもニップルを回せます。最終のテンション調整で締め増しにには後ろからニップルを回すほうが楽なので手に入れにくいニップルですが良さがよくわかるニップルです。

カーボンホイールの場合ほとんどのホイールは黒色のスポークが使われています。今回のご注文ではシルバースポークを希望されました。

前輪604g
前輪スポークテンショングラフ
後輪716g
後輪スポークテンショングラフ

出来上がりを見ますとオリジナル感がたっぷりです。手組ホイールの良さがよく出ています。ピスト用のホイールは完組ではほとんどない状況ですのでどうしても手組になりますが、逆に考えればオリジナルなホイールで楽しめるということです。

シングルハブとフリーハブのスポークアングルを比べてみる

ロードバイクは長年乗っていますが、恥ずかしながらシングルフレームの自転車には乗っていません。勿論シングルのホイールはお作りしていますが自分用ではありません。

最近フロントシングルでフレームをオーダーしましてシングルで乗ることの良さを知りました。リアは11速です。フロントがシングルなのでリアもシングルにしたら楽しいだろうと想像しました。

ピストライダーさんからホイール依頼がよくありますので作り手が乗っていないのも少し恥ずかしいと長年感じていました。

ミケのトラックハブとシマノハブのフランジ幅を比べてみると違いがわかる

最近トラック用のハブを手に入れましたので見比べてみました。写真を見るとよくわかりますがトラック用のハブはエンド幅120mmのハブです。下のシマノハブは130mmの通常のフリーハブです。

フランジ幅を見比べてみますとトラック用の方が幅広いことが分かります。仮にERD580mmの同じリムを使ってミケのトラックハブとシマノフリーハブとのスポークアングルの比較しますとよくわかります。スポーク長計算ソフトでこれは調べることが出来ます。

まずはトラック用のハブを見ていきます。

ミケハブのブレイシングアングルを見ると大きいことが分かります

次にシマノハブで通常のエンド幅130mmのハブを考えます。

シマノハブのブレイシングアングル

スポークがハブからリムに向かう角度(この角度をブレイシングアングルと呼んでいます)を比べるとトラックハブのほうが角度は大きいです。おまけに左右のスポークは広い角度でリムに向かっています。つまりリムを支えるスポークのブレイシングアングルは広いのでフリーハブを使ったホイールより安定度は高く、駆動においても力が逃げにくいホイールが出来るといえます。

シングルギアのホイールはディレーラーでギア比率を変えることはできませんがエンド幅120mmと狭いほうが実はホイールの駆動効率は高い訳です。

今まで食わず嫌いで乗らなかったシングルバイクですが、自転車としては極めてシンプルで余計な部品は要りません。姿はとても美しいと思います。

メンテナンスの面から見てもさわるところが少なく、難しいディレーラー調整も要りません。おまけにホイールの駆動効率が高いので踏み込んだだけの反応を得ることが出来ます。これはとても楽しいと思います。今年はシングルに挑戦することにしました。

前輪24H後輪28H 46mm高カーボンホイールの作製

ホイールを何度もご注文いただきましたお客様の紹介ということでご連絡いただきました。

ボントレガーホイールのスポーク替えを行いましたお客様のご注文です。ご紹介いただいたお客様のご注文なのでこちらのこともある程度分かっておられます。すんなりとお話は進みました。

体重、乗り方などお好みをお聞かせいただき2,3案を出してプランを決めていきます。メールでやり取りするのですがご質問もいただきます。こんな時はどうなりますか?というようなことの連続です。お客様、ビルダー共に楽しい時間を得ることが出来ます。

詳細は次の通りです。

リム 46mm高28mm幅 穴ナシカーボンリム 前輪24h 後輪28h

ハブ ミケ プリマート 前輪24h 後輪28h

スポーク wing21 黒

ニップル SquorxPro ブラス 黒

前輪は2クロス組、後輪は3クロス組で組みます。通常では前輪にはラジアル組が多いのですが横剛性の高いクロス組にしています。

リムの入荷には少し時間が掛かりますが別注なので市松模様の柄にしています。ブレーキ面はオプションで強化タイプにしています。このためリムには方向性があります。

ミケハブの特徴は使用のベアリングが大きいことです。重量は前後で約430gありますので軽いハブではありません。台湾の軽量ハブと比べますと130gほど重くなります。ハブ選択には軽さを取るか丈夫さを取るかですが、この判断は乗られる人の体重で決められるのが良いかと思います。

スポークはピラーのwing21です。形状が飛行機の翼の形をしているので風洞実験では扁平スポークより空力では数ワット成績がいいといわれています。サピムのCX-RAYよりほんの少し重いので剛性はwing21のほうが高いようです。少スポークで作り上げるホイールの場合スポークの重量、本数が大きく性能に影響します。確かにサピムのCX-RAYは万能スポークで高級ホイールにはよく使われていますがサピムCX-RAY一択ではありません。スポークの選択は意外と難しいです。

ニップルはDTのSquorxPro ブラスです。ねじ中に固着防止剤が注入されていますので安心です。高価なニップルですがそれだけのものはあります。

組み方で後輪28穴3クロス組はスポークの角度が接線になりますので駆動効率はいいといわれています。前後ともにクロス組はクラシック感があり見た目にも特別感を感じます。

前輪746g 2クロス組
後輪928g 28本左右3クロス組
前後1674g 軽くはありませんが力が逃げないホイールです

乗り手のパワーをしっかり伝え、空力が良いホイールが出来上がりました。インプレが楽しみです。

やっぱりいいタイヤは違う

前に紹介しました敏速ライダーさんが使われているタイヤはコンチネンタルのGP5Kです。理由を伺いますとやはり早いということになるようです。コーナーでのグリップ感、転がり方すべて違うと仰っていました。

ヴェロフレックスの高級タイヤで走っています

久しぶりにベロフレックスの少し高価なタイヤをインストールしているホイールで走りました。自分で作ったホイールが沢山ありますのでいつも適当に選んでいます。最近はチューブラータイヤです。いつも走る淀川沿いを走りましてやはり「違うな」と思いました。久しぶりなので違いがよくわかります。柔らかい乗り味、グリップ感は確かに常用のコンチネンタルの練習タイヤ「ジロ」とは違います。

もともと走力がないのでハイスピードで走り続けることなんて出来ません。淀川沿いなので平坦で高低の変化はありませんがやはり乗った感じは違いました。乗り味はすぐに慣れてしまうのですが高級タイヤはやはり練習用のジロと比較して違うと思います。

性能の違いはよくわかるのですが値段が約3倍も違うのでやはり勿体ないと感じてしまいます。このためパンクしますと1万円消えていきますのでどうしても安物タイヤになります。「ええもんはええ」と関西では言うのですが普段は安物タイヤばかり使っています。

知り合いからいいアイデアをいただきました。前輪は高いタイヤにして、後輪は安物で走ればよいと教えてくれました。コーナーではグリップが効くタイヤでないとダメなので、前輪だけ奢っておけばよいと教えてくれました。この方法は昔から言われていることですが値上がりが激しい昨今には防衛策としていい方法と思います。