MTB用ホイールの作製依頼

25年前のMTBを作り直しているということで新しいホイール作製のご依頼いただきました。

リムは新しいリムを用意され、ハブはMTBからとりだしたハブで作るというお考えです。

シマノ HB-M570  152g
シマノ FH-M570 366g
アレックスリム DM18 562g

ハブとリムをお送りいただきました。

リム アレックスリム DM18

ハブ シマノ HB-M570 FH-M570 共に32H

スポークは手組ホイールファンでご用意いたします。

スポーク DT コンペティション黒 

ニップル 12mm ブラス

リムベッドは浅いのでニップルの選択には注意がいる

リムベッドを見ますと浅いリムなのでニップルの後部が長いニップルでは突き出ます。SquorxProやダブルスクエアニップルは扱い易いのですが今回のリムでは昔から使われている12mmのニップルでないとリムテープが使えません。リムによって使えるニップルが違いますのでニップル選択には注意が必要です。

ホイールのスポークテンションは前輪を100~110kgfに、後輪はギア側を120~130kgf前後で仕上げています。

このスポークテンションはこの値でないといけないという決まりはありません。確かなことはわかりませんが昔からのビルダーさんたちの経験から得られる暗黙知のようです。一番パフォーマンスが良いテンション値を集めると上記のスポークテンションあたりがいいということのようです。

いろんなリムメーカーが出しているリムに張り付けてあるシールを見るとスポークテンションは120kgfまでと書かれていることが多いです。これは面白い発見です。

ホイールは先ず縦ブレをしっかりとりそれから横ブレにかかります。一度緩めに仕上げてしまい、それからゆっくりスポークテンションを上げていくのが良い方法です。一度に仕上げてしまうよりこちらの方がいい結果が出ると思います。ビルダーさんのやり方にはいろいろありますのでいい方法を考えていくのが良いでしょう。

自転車は組めるがホイールは出来ないという方がたくさんおられます。一応組めるのだが精度の高いホイールは出来ないという方も結構おられるようです。やはりホイールは専門のビルダーに任せるのが一番コスパがいいのかもしれません。

前輪 941g
後輪 1152g

出来上がりました。リムテープを巻いて納品いたします。何度も馴染みだしを行っていますので振れは出にくい仕上がりです。お客様のご感想が楽しみです。

スポークを休ませるとスポークテンション値は下がる

リピーターのお客様よりシクロレースに使うホイールをご注文いただきました。      ホイールはほぼ完成しています。

仕上げ段階のホイール

仕上げの段階でスポークテンションを測ってみます。この時のテンショングラフがこの図表です。

左81.6kgf 右123kgf

出来上がりましてから3時間ほど作業場を離れました。

続きの作業する場合、一度確認のためにテンションを測ってみます。

左79.7kgf  右119.4kgf  3時間ほっておいてスポークのテンションは下がっている

仕上げ前のテンショングラフと比べますと全体に少し数値が下がっています。このようにスポークに休み時間を与えるとテンションは下がります。

このブログ記事で何度もホイール出来上がり後は1日ほど時間をあけて再調整すると書いていますが3時間でもよくわかる結果が出ています。

手組ホイールファンではオーダーホイールを作っていますので馴染みだしは時間をあけて何度も行っています。緩んだテンションを元に戻してしばらく時間をあける。また緩むので元に戻すの繰り返しを何度か行うと変化がなくなります。これで初めて出来上がりです。

こんな面倒なことを省くのはどうしたらいいのでしょう。答えはこれです、一度タイヤをはめて乗ってみることです。それで再調整を行うといいホイールが出来上がります。

手組ホイールファンでは発送作業があります。このためこの一度乗ってみる作業は出来ません。何度も馴染みだしを繰り返す必要があります。面倒な作業ですが馴染みだしを上下のプレス式で行っている完組ホイールではできない作業と思っています。

26mm高24mm幅 銀輪ホイールのご注文

クロモリで乗っておられるお客様より新しいホイールを探しているとご連絡いただきました。

クロモリと伺いましたので銀輪のホイールはいかがですか?クラシックなフレームには非常に合いますと提案いたしました。

お客様はまさか銀輪ホイールの提案とは考えておられなかったようです。大変気に入っていただきお話はとんとん拍子に進みました。

XR26T/RT 32H 前後セット 
XR26T・RT  450g前後で軽量です
後輪用 XR26RT 32H 穴位置が3mmずれています

銀輪ホイールには何か特別感があります。ナローリムでは手に入りますがワイド仕様の銀輪リムはなかなか手に入りませんでした。昔からの競輪用のリムは手に入ります。しかし残念なことに競輪リムは一般道では走れない仕様です。今回のワイド銀輪リムは後輪用に3mmオフセットリムが用意されていますのでモダン銀輪ホイールとしてお勧めいたしました。

お客様は150kmほどのロングライドを楽しんでおられるようです。このためスポークは中央部が1.5mmの細いスポークを選択しています。1.5mmの細い部分は地面からの衝撃を吸収してくれますのでショックアブソーバーの働きをします。細いスポークでは剛性不足が心配ですがスポーク32本のリムですので剛性不足はスポーク数で補っています。心配は要りません。

後輪リムは3mmオフセットリムです。通常の穴位置がセンターのリムと比べて約10%左右のスポークテンション比率を改善できます。ハブのセンターオフセット値が大きいと左右のスポークテンション差は大きくなります。45:100くらいのテンション比率で仕上がりますので右ハイテンションで仕上げても左は緩いというホイールの仕上がりになってしまいます。

左スポークが緩いとスポーク折れが発生する率が高くなります。各スポークテンションが揃っていればスポーク折れは少ないですが、スポークテンションが不揃いの場合、スポーク折れの発生確率は非常に高く注意が必要です。このためにもリム穴が3mmオフセットしていますと左テンションが改善されますのでトラブルが起きにくいホイールが出来るわけです。

ホイールの仕様は次の通りです。

リム キンリンXR26T/RT 前後共に32H

ハブ 前輪 シマノ HB-RS400 32H シルバー

ハブ 後輪 シマノ FH-RS400 32H シルバー

スポーク 前輪TB2015 2.2/1.5/2.0mm

スポーク 後輪左TB2015 2.2/1.5/2.0mm 

スポーク 後輪右TB2018 2.2/1.8/2.0mm

前輪 805g  ハブが重いのでこの重量ですが外周部は軽い
後輪 1033g  ハブが重いのでこの重量ですが外周部は軽い
銀輪ホイールは特別感が強い

ニップル DT SquorxPro ブラス シルバー ホイールの仕上がりは特別感があり美しいと思っています。各スポークのテンションを均一になるように張り、出来るだけ振れを最小になるように仕上げています。クロモリフレームにはやはり銀輪ホイールです。お客様には喜んでいただけると思います。

ピストホイールを2セットご注文

お客様はこれまでに何度もご注文いただいた方です。ピストフレームの組み立てなどすべて出来る方ですがホイールは手組ホイールファンを気に入っていただいたのか注文いただいています。

ハブ、リムはすべて持ち込みでスポークはこちらでご用意するという形です。

ヴェロシティ エルロン 32H 471g
マビック カーボンリム 32H

今回は

①ベロシティのアルミリム エルロン シルバーリム32穴

②マビックカーボンリム 32穴

③フィルウッズ ラージフランジ トラックハブ 

④カンパニョーロ スモールフランジ トラックハブ

この部品をお預けいただきました。

スポークはすべてサピムLaserシルバーで組みます。ニップルはDTのSquorxProシルバーです。

マビックカーボンリム カンパニョーロ トラックハブ サピムLaser
マビックカーボンリム カンパニョーロ トラックハブ サピムLaser
ヴェロシティ エルロン 32H フィルウッズ ラージフランジハブ サピムLaser

ヴェロシティ エルロン 32H フィルウッズ ラージフランジハブ サピムLaser

アルミホイールとカーボンホイールの2セットお作りするわけですがスポークはサピムのLaserを使用しています。Laserを扱うには注意が必要です。スポークの中央部が1.5mmと細いのでニップルを回すとスポークがねじれます。このねじれを防ぎながらスポークテンションを上げていかないといけません。扱いが難しいスポークですので言わばビルダー泣かせのスポークですがうまく扱うとスポークがショックアブソーバーの働きをしますので疲れにくいホイールに仕上がります。

アルミリムもカーボンリムも前輪はラジアル組、後輪は3クロス組で仕上げています。ホイールの仕上げはしっかりと馴染みだしを行うことです。一番簡単に行える馴染みだしはタイヤをはめて一度乗ってみることです。ご自分でホイールを作る方はこの方法が一番良いと思います。しかしプロが作るホイールはこのようなことは出来ません。長く乗られて振れが出ないようにすることが必要です。

ホイール以外は何でもできるお客様とはこれからも長いお付き合いとなりそうです。

定番46mm高カーボンホイールのインプレいただきました

一月にご注文いただきました46mm高の定番カーボンのインプレをお送りいただきました。お客様は北海道の方で、1月末に納品いたしましたが屋外で乗れるのは4月からです。10月に感想をお送りいただきましたので約半年乗られました。雄大な大自然の中で楽しんでおられます。乗られる期間は短いと思いますが密度の濃い楽しみ方をされていると想像します。

ホイール内容は下記の通りです。

リム 28mm幅46mm高 穴ナシリム使用

ハブ ノバテック A291SB 20H F482SB 24H

スポーク wing21 黒

ニップル Squorxpro ブラス 黒

手組ホイールファンの宣伝になるのですがこのリム、ハブを使えばこのような乗り味になるのかという参考になると思います。お客様了解を得ています。以下インプレの全文です。

感想を少しですが書きましたので送ります。

まず外見ですが迫力ある見かけで満足です。スポークワッシャがワンポイントで、走ると金色の輪に見えます。

タイヤはGP5000の25Cで600kPa入れたときの外幅は27.5mmでリム外幅と同じくらいになります。

ちなみに他のホイールでもタイヤとチューブは同じ銘柄です。

使用する前にハブを分解しグリースを追加しました。

分解説明をホームページにアップしていただいており、ありがたかったです。

フリーの爪を立てるスプリングがゾンダの倍くらい太く、折れの心配は当分不要と思いました

46mmホイール走行開始は5月6日で、4月はゾンダで冬眠からのリハビリ走に当てておりました。

乗り出し最初期の感想は以下です。

ブレーキはよく効きまったく問題ない。

横風あおられ具合は想定内。これ以上だと怖いかな。

しっかりした真円のものが転がっている感じがある。かといって硬質な振動が多いことはない。

走り出しの重さは普通。重くも軽くもなく上りの不利は感じない。

ダンシングすると予想より自転車が前に出るので体の動きを調節する必要あり。

肝心の空力ですが、自分にはそんな気がする程度しか感じられませんでした。

キシリウム・プロはこの46mmホイールよりいくらか軽いのですが、軽さはすぐ感じることができますから、ものの感じかたは難しいと思った次第です。

そんなことで自分の鈍感さに落胆しつつ乗っていたのですが、一方、普段走る区間の記録は更新していきました。

途中2回キシリウムプロに変えましたが、今まで5か月間3000kmちょっと使用して、空力に関しては別の感想を持つようになりました。

自分が思うよりずっと低速から恩恵があり、それが連続的かつ変化点がないので判りにくいのだと考えています。

向かい風やライド終盤でチカラが残っていないなど条件が悪いときほど違いがわかります。

こんなとき他のホイールだと失速感が強く、前に進むのを手伝ってくれません。

もう一つは、例えば下りの勢いを殺さないよう重くなるペダルに逆らって上りを越えて行くような状況で、このホイールはとても踏み心地がいい、パワーをかけて行けます。かかりがいいと表現されることかもしれません。

今年も来月には乗れない季節になりますが、こんな感じで楽しんでおり、本ホイールを入手したことに満足しています。

手組様が長くホイール作りを続けられるよう願っています。

ありがたい感想文をお送りいただきました。

レイノルズ32カーボンホイールの調整と組み替え

軽量チューブラーホイールの前輪調整と後輪をピストホイールに組み替えをご依頼いただきました。お客様はピストクリテリウムのレースに出ておられる方です。

レイノルズ32 前輪483g
お預かり時の前輪スポークテンション
前輪スポークテンション調整後のテンショングラフ
レイノルズ32 チューブラーカーボンリム266g
Brotures トラックハブ 267g

32mm高のチューブラーリムは266gと超軽量です。前輪はテンション調整を、後輪はBroturesというショップのオリジナルハブを使ってピストホイールを作製します。

リムはインターナルニップルを使います。最近のリムではインターナルニップルを使うリムはあまり見受けることがありません。おそらく風洞実験で通常のニップルを使うリムと性能の違いがないことからインターナルニップルを使うリムが少なくなったようです。

インターナルニップルを使うリムの注意点は正確なリムERDの計測にあります。あとはスポークの伸びとかを考えてスポーク長を出します。ニップルからスポークが突き抜けないような長さに決定するにはやはり経験が必要と思います。

リム穴の後ろからニップルを回します。ドライバー式のニップル回しでは何回転まわしたか分かりにくいのでインターナルニップルの扱いは難しいです。しかし結局は慣れの問題です。

ハブは両切りハブなので左右のスポークテンションは同じになるように仕上げますとセンターは出ます。前輪と同じです。

後輪スポークはDTのコンペティションを使っています。中央部が1.8mmのスポークで作りましたので剛性は上がりました。お客様には高価な扁平スポークでなくても良いということで丸スポークを提案しています。スポークの代金が安くなった分、タイヤにお金をかけると良いでしょう。

後輪 638g 左右2クロス組
後輪スポークテンショングラフ

前輪のスポーク調整と後輪ハブの交換でピストホイールが出来上がりました。ご感想が楽しみです。

定番ホイールXR31T/RTホイールのご感想

手組ホイールファンのアルミホイールの中では定番的なホイールをご注文いただきました。

お客様の最初のご希望はAL22のような超軽量リムを使ったホイールをご希望でしたが丘陵地帯を走るのならリム剛性の高いXR31T/RTで作られたらいかがですかと提案いたしました。

力のあるライダーさんは剛性を求めます。ホイールは軽さも必要ですが一番大切なところはリム剛性であることをご説明いたしました。

XR31T 20H 696g
XR31RT 24H 892g

今回のホイールは提案通り気に入っていただいたようで、乗られたご感想をお送りいただきました。厚かましいことですが、このインプレは手組ホイールファンの宣伝に使わしていただいています。しかし手組ホイールのリム選択には参考になると思います。お客様には了解を得ていますので全文を掲載いたします。

ホイールの感想をお伝えします。

まず体感できたことは、ホイールの転がりの良さです。下りでは重力に任せて滑らかに転がり落ちていきます。

コーナリングでは、容易にイメージどおりのラインを通すことができました。コントロール性能が高いということでしょうか。

直進性能も高いと思いました。真っ直ぐ走るという当然のことが、とても快適に感じられました。すべてホイールの剛性の高さと精度の高さのおかげかと思っています。

手組ホイールをオーダーする過程で、軽さよりも空力や剛性のメリットを学びました。

以前使っていたホイールより100g以上重いホイールになりましたが、上りにおける重量増の影響は全く気にしなくなりました。ホイールの剛性の高さは強い推進力に繋がっていると思います。あとは私の技術の問題です。

稚拙な感想で申し訳ないですが、ホイールはとても気に入っております。

ずいぶん先になりますが、また制作をお願いできたらと思っています。

ホイールは乗る人との相性があります。良いホイールですよとお勧めしましても乗り手の力に合っていないときもあります。今回の場合ぴったりとお好みがあったようです。XR31T/RTリムで作りましたホイールが100%歓迎されるわけではありませんがかなりの確率で良いホイールという評価をいただいています。

ホイールの性能は7割リムで決まると言われています。残りの3割は組付けです。乗り方に合ったリムを選び、良い組付けで作り上げるホイールはとても楽しいライディングを得ることが出来ます。お客様と相性のあったホイールを納品できてとても喜んでいます。

XR31T/RTリム使用アルミホイールの作製

お客様よりご連絡いただきました時はAL22リムとノバテックハブを使った軽量ホイールをご希望でした。登りに特化したホイールとしてご指定いただいたのですがいろいろとメールのやりとりで今回のXR31T/RTリムでお作りすることになりました。

AL22リムは約380~390gの軽量リムです。剛性もありますのでこのリムのファンは結構おられます。ナローリムということでタイヤ選択は最近では限られてきました。外周部が軽いリムの特性上くるくるとクランクを回す乗り方のライダーには適しているようです。リム高が低いので空力の援護はありません。

方やXR31T/RTリムは24mm幅31mm高で、重量は500g前後ですが非常に剛性が高いリムです。今まで組んできましたホイールの中ではトップクラスの剛性を持つリムです。空力が良く平地や下りの走りでは足を休めることが出来るホイールとしてとても優秀リムとしてお勧めしています。

結論としましてお客様は重量が増えるのですが剛性の高いリムを選択されました。勿論ホイールは乗り手との相性があります。剛性があるといっても軽量ホイールの方を好まれる方もおられますのでXR31T/RTで作ったホイールが最良という訳ではありません。しかし力のある方にはおすすめ出来るホイールです。ゾンダ、レー3と乗り比べた方より良いホイールだと言っていたことがあります。

ホイールの内容は次の通りです。

リム XR31T/RT 前輪20H 後輪24H 後輪は3mmオフセットリム

ハブ ノバテック A291SB 20H F482SB 24H

スポーク 前輪 レボリューション黒 2.0/1.5/2.0㎜

スポーク 後輪左 レボリューション黒 2.0/1.5/2.0㎜

スポーク 後輪右 コンペティション黒 2.0/1.8/2.0㎜

ニップル SquorxPro ブラス黒

ホイールの性能はリムが7割、残り3割で組付けやハブの性能が影響するといわれています。リム選択がとても重要ですが、組付けも忘れてはならない重要ポイントです。スポークの張り方によって駆動ロスを押さえることが出来るのでしっかりと組み付けが必要です。

前輪696g
後輪892g

出来上がりました。重量は前輪696g、後輪892g、前後1588gです。

当初は超軽量ホイールをご希望でしたが重量が増えても剛性の高いホイールを選びなおしていただきました。ご感想が楽しみです。

451ミニベロホイールの作製依頼

ハブとリムはご自分で用意するということでお送りいただきました。真っ黒のアルミリムとリディアというブランドのミニベロ用ハブです。

こちらで用意するのは黒スポークと黒ニップルです。

Ridea ミニヴェロ用ハブ
451アルミリム 439g

ミニベロホイール作製ではスポークの準備がポイントになります。バテッドスポークでは短いスポークを準備するのは難しいようです。ストレートスポークでしたら長さ調整のためカットは自由がきくので手に入れやすいです。

リム径が小さいので通常のニップル回しでは扱いにくいのでニップルは後ろからでも締めることが出来るニップルが扱いやすいと思います。最近ではダブルスクエアタイプかDTのSquorxProのブラスニップルをよく使います。後ろから回すことが出来るので締め増しの時には有効でお勧めします。

今回のホイールは前輪はラジアル組、後輪は2クロス組で組み上げます。スポーク、ニップル共に黒ですので出来上がりは精悍な感じがします。

スポーク長が短いのでニップルの反応はシビアに出ます。少し回しただけでもリムの位置は大きく反応します。一言で言いますとミニべロの組み上げはとても難しいと思います。

通常の700cのリムとは全く違いますので大径のホイールを組む感覚で組み立てようとしますとなかなかうまく振れが取れません。振れが取れてもスポークテンションは均一になりにくいのでかえって時間が掛かってしまいます。

ではどうすればうまくいくのか?答えはゆっくりやることです。通常の700cのニップルとは違う反応ですので、先ずは緩めのテンションで作ってみてあとはゆっくりスポークテンションを確認しながら組み上げていくのがいいようです。

組み上がりはリムの精度で決まります。精度が良くないリムは当然組みにくいものです。カッコイイからと言って昔のリムでホイールを作るのは難しいです。最新のリムを選べれるのが良いと思います。

前輪 635g 
後輪 780g

組み上がりました。

前輪635g、後輪780g前後で1415gです。ミニべロながら意外と重い出来上がりです。しかしホイールは軽いだけが良いホイールとは限りません。重い=剛性があるということでもあります。ご感想が楽しみです。

ENVEホイールの調整とスポーク組み替え

このブログに興味を持っていただきました方より連絡いただきました。

レースに使っているENVEホイールの調整とスポークの組み替え依頼です。

長年付き合いのあるショップに手組依頼されたホイールです。

前輪 700g 2クロス ハブはTNIのセラミックベアリング使用ハブ
後輪 893g DURAハブ CXRAY 

ホイールの詳細は次の通りです。

リム ENVE SES 前輪20H後輪24H

ハブ 前輪 TNI セラミックハブ 後輪 シマノDuraハブ FH9000 24H

スポーク 前後共にサピム CXRAY シルバー

     前輪2クロス組 後輪3クロス組

ニップル インターナルニップル ブラス

お預かりしますとスポークの状態を調べるます。グラフにしますと分かりやすいのでお客様にはこんな状態ですと連絡できますので組替えなどのプランを説明するのに役立ちます。

前輪 ハイテンションで組まれています 
後輪 グラフになっていないとところは緩すぎてグラフにできないということです

お預かりホイールの前輪は2クロス組、後輪は左右3クロス組で組まれています。一般には24穴の場合3クロス組で組むことはありません。理由はスポークがオーバーラップするからです。

オーバーラップとはこんな状態です 24穴で3クロス組しますとこのようになります まあ、好みです

ハブフランジのところでスポークが重なることを意味します。スポークがゆがむと折れの原因になったり、スポークを取り換えるときにも容易に取り換えることは出来ません。メンテナンス性が悪くなります。しかしこれも好みなのでこれがいい人にはこれが良いと思います。手組ホイールファンでは24穴3クロス組は行いません。

グラフにしましたスポークテンションには驚きました。前輪は超ハイテンション、後輪はゆるゆるのテンションで組まれています。お客様には申し訳ないですがとてもひどい組み方をするショップさんでした。長年の付き合いがあってもよく考えておかなくてはいけません。

登りで踏み込んでもかからないホイールだと伺いました。理由が分かり納得されました。高価な部品を使っています。よく走りますよと言われると信じてしまうものです。しかし客観的に見ますとよくわかります。

バルブ穴位置が気になる 長年の付き合いのショップには文句は言いにくい

前輪はスポークの調整を行います。バルブ穴を見ますと一穴ずれています。気にする人は気にします。手組ホイールファンでは出来るだけ注意をしていますが、個人的にはあまり気にしません。今回は組み直しをしませんのでそのままですが一般にはこの組み方はしません。バルブが扱いやすいように組むのが一般的です。

後輪はスポークをwing21で組みますので剛性が上がります。理由はwing21の方が5gスポークで、CXRAYは4gスポークです。ほんのわずかな重量差ですが剛性は大きく影響します。

CXRAYで剛性が丁度いい人もおられるので一概にはこれがいいということは出来ません。注意点としましてCXRAYは万能スポークではないということです。坂で踏み込んでも反応がヌルイ場合は剛性不足です。しかしくるくる回して走る方にはCXRAYで良いかもしれません。

後輪は3クロスをやめて2クロスで組みました
24穴ハブの場合2クロスで組みますとスポークは重なりません
後輪スポークテンショングラフ 

完成しました。前輪は少しスポークテンションを下げました。後輪は出来るだけスポークテンションを揃え、振れを最小になるように仕上げています。

グラフを見比べてみますとどれだけ変わったかよくわかります。あとはお客様のご意見を伺うだけです。楽しみです。