定番XR31T/RTホイールのご注文

ホイールのアップグレードを考えておられたお客様よりご連絡いただきました。

お客様は手組ホイールファンブログをしっかり読んでいただいたようです。定番ホイールになっていますXR31T/RTリムを使うアルミホイールの見積もり依頼をいただきました。

ホイールの詳細です。

リム XR31T/RT 20・24H

ハブ ノバテックA291SB F482SB

この2点は変わりません。スポークの違いで2種類提案いたしました。

1案 TB2015 中央部が1.5mmのスポーク 後輪ギア側のみTB2018

2案 ウィング21 後輪ギア側のみTB2018

お客様が選ばれたのはWing21を使ったホイールです。後輪のギア側は剛性を上げるため中央部が1.8mmの丸スポークで作ります。ドライブ側スポークを太くして剛性を高めています。

Wingスポークと丸スポークの違いは空力の差です。風洞実験では数ワットの違いがあるのですがこの差異とスポークの値段の兼ね合いです。少しの差ならいい方を選ぶという方とそんなに差はないのだから安価なほうを選ぶ方、考え方で決まります。お客様はいい方をお選びなりました。折角オーダーするのですからということです。

XR31T/RTリムをお勧めしている理由はリムの剛性にあります。ブログ記事にも紹介していますがある公的機関で荷重試験をお願いしたことがあります。試験していただきましたリムの中で一番好成績だったリムはこのリムでした。

自転車が前に進む際ホイールが地面に触れている部分はほんの少しですが体重で凹んでいます。この凹みの連続で前に進んでいますが、凹みが少ないホイールは駆動ロスが少ないと言えます。カンパやシマノの高級アルミホイールのリムも調べていただきましたが成績の良かったリムはこのXR31T/RTでした。この理由でお勧めするわけです。

しかしホイールは乗り手との相性がありますので重いリムのホイールより軽いリムでくるくる回すほうが乗りやすいという方もおられます。

剛性が高いという理由だけでこれが一番いいということは言えません。ただ、このリムは空力の援護がありますので走りやすく足を休めることが出来るホイールに仕上がります。ラベルがないノーブランドのホイールですがとても良く回るホイールです。

さて、ホイールを作る作業時間ですが組み上げるのはすぐにできますが組み上がってから出来上がるまでには時間をかけています。ホイールが組み終わってからの作業に時間をかけます。馴染みだしを行ってはひと休みし、時間をあけてまた馴染みだしを行います。これを繰り返すことで振れの出にくいホイールに仕上がります。

一般には完組のホイールはプレス式の馴染みだしを行っています。機械で押し込んで馴染みだしを行うのですが何回も繰り返して行ってはいません。ましてや日をあけて再度行うということはやってはいません。この辺りが違うところと思います。

前輪 706g Wing21 2クロス組
前輪 2クロス組
後輪 901g ドライブ側TB2018 左側Wing21 左右2クロス組
後輪 左右2クロス組

出来上がりました。お客様には喜んでいただけるように出来るだけスポークテンションを揃えています。また出来るだけ振れが少なくなるように調整しました。ご感想が楽しみです。

TOKENホイールのスポーク調整

このブログに興味を持っていただいた方よりご連絡いただきました。ホイール再調整のご依頼です。新しいホイール購入の検討もされているようですが先ずは調整をやってからということです。賢明な選択と思います。

お送りいただきましたホイールの写真です。スポークテンションの状態を調べてグラフにしています。ホイールの使用感想を下記のようにとても詳しくお知らせいただきました。

前輪586g
お預か時のスポークテンション 約90kgf もう少し高い方が良い
後輪813g
お預かり時の後輪スポークテンショングラフ 緩めでバラつきが大きい


〇所有ホイールについて
 フロント TOKEN ventous 36mm リムブレーキ
 リア TOKEN konaxpro 52mm リムブレーキ
 駆け出しのもっさり感がある(ダイレクト感が足りない)、30㎞以上でのころ狩りが若干重たい。落差15m程度、距離1km程度の長さの坂で下っていても50㎞以上に上がっていかない。スポークテンションが極端に異なるところがある。購入から2年1万2000km程度は走っていると思います。

乗って温いと感じるホイールは剛性が不足しています。スポークを取り換えることで大きく変化しますのでとても良い方法です。

TOKENのホームページを見ますと使用スポークはサピムのCXRAYです。前輪18本、後輪21本、共にCXRAYですので体重があり、パワーのある方には踏み込んだ時の剛性が不足と感じるのは当然かもしれません。CXRAYは優秀スポークですが万能スポークではないということです。

今回は後輪スポークをCXRAYからCX-SPRINTに変更を提案しています。グラム数で言いますと4gスポークから5gスポークに交換します。

CXRAYスポーク14本 60.5g
CXーSPRINT 14本 74.5g
調整後の後輪スポークテンショングラフ バラつきがなくなりました

実際重量を量りますと60.5gから74.5gになりました。14gの増加です。このスポークで温い場合はサピムのRace(2.0/1.8/2.0mm)に取り換えです。スポークの値段は下がりますが剛性は上がります。面白いです。

お預かり時よりスポークテンションを約110kgfに引き上げました

前輪のスポークテンションを再調整しました。スポークテンションはお預かり時点では左右約90kgfで張られていましたが約110kgfに引き上げています。高過ぎず低すぎずのテンションです。ハブはゴリ感がありましたのでベアリングの打ち直しをしました。

前輪ハブ ベアリング6802 大きいベアリングを使っているハブです

ベアリング6802のベアリングを使っているハブです。一般には小さめの699ベアリングを使ったハブが多いのですがこのハブのように大きいベアリングを使ったハブは回転に安定感があります。ハブ径が約40mmと大きく、ハブ幅が80mmありますのでスポークは広く角度をつけることが出来ます。当然横剛性が上がります。18本と少ないスポークですが必要な剛性を得ることが出来るこの前輪ハブは気に入りました。

今回のTOKENホイールは非常に高価なホイールです。個々のパーツはよく吟味された高級パーツです。しかし乗り手の力に合っていない場合はせっかくのホイールも性能を引き出すことが出来ません。今回の修正でどのように変化するのかお客様から伺うのが楽しみです。

シクロレース用にアルミディスクホイールのご注文

このブログにご連絡いただきました。シクロレース用に使う計画されています。ライダーさんはFTP260でぐいぐいと行くタイプではなくどちらかと言えば耐久レース向きと言っておられます。

前輪722g スポークはWing21 ハブ REVOハブ
前輪スポークテンショングラフ  出来るだけ均一になるようにしています
後輪 869g スポークは左右コンペティション ハブ REVOハブ
後輪スポークテンショングラフ  出来るだけ均一になるようにしています

当初ホイールのプランは

リム 22mm高24mm幅 オフセットリム

ハブ TNI REVOハブ

スポーク 前後共に ピラーwing21

ニップル ブラス

剛性を意識してCXRAYよりは剛性の高いスポークで提案していました。しかしシクロレースとなりますともう少し剛性があったほうが良いと考え後輪をDTのコンペティションに変更していただきました。

シクロレースではロードレースとは違い高い頻度で瞬発力が要求されると伺っています。今回のホイールでは外周部は軽いリムを使って回転に対して反応しやすくし、後輪のみスポークを太くして剛性を上げています。

ホイールはスポークの選択で性格が変わります。ロングライドに使うのなら細いスポークで沢山使うほうが疲れにくいホイールに仕上がります。乗り方によってリム、スポークを選んで作る手組ホイールは奥が深いです。

1368g超軽量アルミホイールの作製

2年前にご注文いただき気に入っていただいたホイールですが交通事故のトラブルで使えなくなったということです。お気に入りホイールでしたので再度同じホイールをご発注いただきました。同じものがまた欲しい、とてもありがたいお話です。お客様からは6年ほど前にも定番ホイールのXR31T/RT 31mm高ホイールもご注文いただいています。これで3セット目のホイールです。

前輪574g、後輪794g、合計1368gの超軽量ホイールです。

前輪 574g
前輪スポークテンショングラフ
後輪 794g
後輪スポークテンショングラフ

ホイールの内容は次の通りです。

キンリン XR200 前輪20H 後輪24H

ハブ ノバテック 前輪A291SB  20H 後輪F482SB 24H

スポーク 前輪 サピム Laser 2.0/1.5/2.0mm

スポーク 後輪 サピム Race 2.0/1.8/2.0mm

ニップル ダブルスクエアニップル ブラス

XR200 371g
ノバテック A291SB 20H 78g
ノバテック F482SB 24H 242g

XR200リムはナローリムで400gを切る超軽量です。剛性も高いのでワイドリム全盛の今でも根強い人気があります。台湾の軽量ハブを使いますと1300g半ばで仕上げることが出来ます。

使用するタイヤは23c、25cに限定されますが超軽量ホイールで登りを試してみたい方にはおすすめです。

しかし何事もトレードオフの関係があります。このホイールは登りには力を発揮するホイールですが平地にはリム高が低いので空力の援護がありません。足を休めることなく常に回し続ける乗り方が必要です。したがってクルクル回す乗り方をされる方におすすめです。ただし注意点があります。剛性高いホイールですが軽量ですので体重が70kg以上の方にはおすすめできません。