XR31T・RT20/24Hの定番ホイールのご感想

昨年の11月にご注文いただきましたホイールです。当ブログでは定番ホイールと呼んでいますXR31T/RTで組みましたホイールのインプレをお送りいただきました。

XR31T 20H wing21使用
後輪901g XR31RT 24H 右スポーク TB2018 左スポークwing21

ご感想はわかりやすく乗られる場面ごとに印象を述べていただいています。当ブログでは11月30日に記事にしています。どんなホイールかはこの記事を読んでいただきますとよくわかります。

印象記を記事に使わせていただくことは了解得ています。以下ご感想です。

2ヶ月ほど乗ってみての感想です。完成車に付いていたAlex Rimsのホイール(前後で2000g)との比較です。約400gの軽量化です。

平坦

走り出すと滑らかで特に巡航からの加速時に伸びを感じます。乗り心地も良くなりました。リム内幅が17mmから19mmに広がったこともあってか、石畳の道で足を削られる感じが少なくなりました。滑らかな路面も気持ちよく走れます。リムハイトは24mmから31mmになりましたが、進む感じがあります。

31mmですが、風の強い日には今まで感じなかった横風を感じます。

Stravaで通勤の速度とタイムを記録しています。風力と風向きも記録しています。通勤の速度はわずかに上昇トレンドです。

ペダリングが少し上手くなっただけなのかも知れません。でも冬は荷物も重く風も強い日が多いので、やはりホイールのおかげで楽に走れるようになっている気もします。

あとホイールを替えてから、より重いギアを使ったり、よくダンシングをするようになりました。

上り

十三峠を一度だけ登ることができました。

距離 4.1Km 獲得標高 374m 平均斜度 9.2% 最高斜度 13.5%)

今まではインナーローを使わなければ登れませんでしたが、組んでいただいたホイールではインナーローを使わず1枚重いギアで登り切ることができました。

タイムは15秒くらい縮まりました。

下り

ゆるい傾斜の下り(直線)で重いギアを踏んだときにものすごく進む感じがあり、足があれば進むホイールなんだろうなと感じました。

その他

AlexRimsがとてもよく回るホイールだったので、最初の頃ノバテックのフリーボティーのラチェットが少し渋いと感じていましたが、乗っているうちに馴染んできたような気もします。

4ヶ月に一度くらいの頻度でメンテナンスをしたほうがいいと書いておられたと記憶していますが、フリーのグリスアップ時にベルハンマーのグリスNo.2を試してみようと思っています。

あとスポークがクロス部分している箇所を見て、スポークって結構曲がるんだと驚きました。

剛性の高いホイールなので、ビンディングシューズにも興味が出てきました。今は時間的余裕がありませんが、今後試したいと思っています。

ご注文の際お見積りは2案出しました。通常の丸スポークと扁平スポークを使用した見積りです。お客様はどうせならいい方をということで選んでいただきました。丸と扁平の差は数ワットです。一般には安価な方を選べれる方が多いのですがいい方を選んでいただきました。

ホイールのスポーク替えとハブのオーバーホール

4年前にお納めしました軽量ホイールのオーバーホールをご依頼いただきました。

お預かり時点の前輪ホイール  577g
お預かり時点の後輪ホイール 751g

お預かり時点のホイールはこの仕様です。

リム キンリンXR200 ヒルクライム向けの軽量アルミリム

ハブ ノバテック A291SB 20H、F482SB 24H

スポーク 前輪、後輪共にサピムCXRAY シルバー

ニップル ブラス シルバー

お客様はクライマーで練習ホイールとして使われているようです。

4年使われているホイールの剛性をあげたいというご注文とハブのグリスアップです。

後輪スポークのギア側を中央部が1.8㎜のコンペティションに交換します。ハブのグリスアップも行いますのでホイールを一度すべて分解することにしました。

小型万力に5mmヘックスレンチを取り付けています 手が自由になりますので作業が楽になります

ノバテックの後輪ハブの分解は5mmのヘックスレンチ2本と10mmのレンチがあればフリーの取り外しまで出来ます。ハブの構造はシンプルです。初めての方には勇気がいりますが意外と簡単なものです。壊れることはないので、自分でやるのも楽しいと思います。

しかし手組ホイールファンでは1時間分のご請求ですので面倒なことは任せるのが一番かもしれません。

CXRAY 12本59g
DT  コンペティション 12本 77g

コンペティション12本で77g、CXRAY12本で59gでした。18gの増加で剛性は大きく変わります。CXRAYは丈夫で素晴らしいスポークですが万能スポークではありません。剛性が足りなくなる時もあります。ヌルイと感じるホイールは太いスポークに替えることで再生できます。

見た目は変わりません  剛性は変わりました

出来上がりました。見た目は変わりませんが剛性アップしています。ご感想が楽しみです。

RR521リム使用ディスクホイールのインプレです

本年1月5日の記事でDTリムを使ったディスクホイールを紹介いたしました。お客様よりインプレをお送りいただきました。ブログでの使用は了解得ています。参考になると思います。

前輪 RR521 28H
後輪 RR521 28H
シマノ RS470 28H

DTの製品は昨年の7月よりヨーロッパのセラーから直接購入することは出来なくなりました。これがどのくらい影響しているかは分かりませんが今回のリムを手に入れられた方、購入を考えておられる方には参考になるでしょう。とてもよいリムと思います。これなら欲しいです。

以下インプレです。

舗装路や未舗装路など7回ほど色々な道で試してきました。

①舗装路

この重量なので軽々という訳にはいきませんが転がり出すととても滑らかで軽いペダリングでスーっと進んでいきます。平坦路巡航はスピードが乗って楽に走れます。

②登り坂下り坂

 回転性能が素晴らしいおかげでそれほど重さを感じません。ダンシングしてもローターがキャリパーに接触することも少なくしっかりしたホイールだと実感できます。そして下りは重量から得られる安定感が抜群すぎます。コーナーも不安がありません。

③未舗装路(シングルトラック)

丈夫なパーツでしっかり組んでいる安心感は有難いです。石や枝でいずれ傷だらけになりますが頼もしいホイールです。アップダウンが多い山道をじっくり走り込んでも疲れが違うのはこれも回転性能の良さによるものですね。

リムは高剛性で良いホイールが出来ると確信していました。手組ホイールファンとして評価できますのはティアグラハブで作製依頼があったことです。確かにティアグラハブは重量がありますが重いということは丈夫ということでもあります。価格も安価で扱いやすい。玄人好みの性能で選ばれていますのはすばらしいと思っています。

チューブラーカーボンホイールの点検と後輪スポーク交換

アルミホイールをご注文いただいたことがあるクライマーのお客様より連絡いただきました。前後で1103gの決戦ホイールの点検をご依頼いただきました。

お預かり時点の前輪 468g
お預かり時点の前輪 良く調整出来ています
お預かり時点の後輪 635g とても軽量です
お預かり時点の後輪スポークテンションのバラつき度は高い ハイテンションで組まれている

手組ホイールでは名の通ったビルダーさんが組まれたホイールです。25mm高のチューブラーカーボンホイールで、ハブはDuraハブです。前輪18H後輪24Hで作られています。スポークはホイール前後共にサピムのCXRAYで組まれています。

お客様はCXRAYの選択には悩まれたそうです。結果的にはホイールはぬるいホイールだったようです。後輪剛性不足を補うためのスポーク替えということになりました。

ご依頼は次の通りです。

①スポークテンションを少し緩めて仕上げる。

②後輪スポークのギア側をDTコンペティション黒に取り換える。

この2点で作業を進めます。

ホイールをお預かりしますと先ずスポークテンションを計測します。グラフに示すようにとてもハイテンションで作られています。チューブラータイヤを使いますのでビードがありません。このためスポークのテンションダウンは起こりません。あまりのハイテンションで作られたホイールはリムの剛性が若干下がりますので120~130kgfで仕上げることを勧めるリムメーカーが多いようです。ホイールのスポークテンションを緩めることにしています。

後輪スポークはギア側のスポーク12本をCXRAYからコンペティション黒に変更します。15グラムほど増えるだけですが剛性は大きく変わります。ハイテンションで仕上げたから剛性が上がるということはありません。剛性を上げるにはスポークを太くすることで解決できます。

出来上がりました。

スポークテンションは少しさげています ハイテンションが良いとは言えません

前輪はニップルすべて1/4回転回して緩くしました。テンションメーターを使って確認し、あとは微調整で終わりました。テンションメーターは校正器を使って数値を確認しています。

ニップルとスポークの交換で38g増えましたが剛性が上がったのでプラス面の方が大きい
ギア側のスポークテンションは約130kgfでおさめています
ギア側はコンペティション黒にとりかえました  左非ギア側はそのままのCXRAYを使っています

後輪はギア側のスポークを取り換えです。ニップルはすべてブラスニップルに替えました。前輪と同様にテンションメーターを使って希望のスポークテンションで均一になるように仕上げます。この作業でスポーク折れや振れの発生を防ぐことが出来ます。

ホイールメーカーの説明書きにはサピムのCXRAYは最高のスポークと書かれていることが多いようです。確かにCXRAYは優秀スポークですが万能スポークではありません。今回のスポーク替えでご理解いただけると思います。結果が楽しみです。

アルミニップルは頭が飛びやすい

何度もご注文いただいていますお客様よりご連絡いただきました。

アレックスリムの後輪ホイールでスポーク1ヶ所、ニップル頭がとんだとのこと。

ニップルの頭が飛んでいます
スポークテンショングラフ  一ヶ所飛ぶとテンションはガタガタになります

アルミニップルの典型的なトラブルはこれです。頭が飛ぶ問題はスポークの長さが原因します。

リムの外側から覗いてみるとよくわかります。すり割り加工のニップルではスポークが突き抜けていないと頭が飛びやすいです。

最近のアルミニップルの場合、強度は増してはいますがブラスニップルの強度はありません。このため正しく使われていないと頭が飛ぶ恐れがあります。

ホイールの軽量化を図るにはアルミニップルはとても有効な方法ですが注意が必要です。安全を優先するならブラスニップルだと思っています。

ニップルすべて取り換えました
リムにひずみがでたのでスポークテンションの調整は難しくなりました

今回はニップルすべてブラスに取り換える注文を頂きました。正解だと思います。

手組ホイールファンでもアルミニップルを使っていたことがありました。しかし今は全く使っていません。スポークを長めにすればよいのですが余計なことをするよりも普通にスポーク長を出してブラスニップルにすればいいだけです。

ニップルがとんでスポークトラブルが起こりますとリムにひずみが出ます。特にアルミリムの場合はひずみが大きいです。これがとても問題です。修理して振れ取りだけなら簡単にできるのですが各スポークテンションを揃える調整はなかなかできません。どうしてもスポークが折れた部分の調整が難しくなります。

完組ホイールの場合ニップルまではわかりませんので選択の使用がありませんが、ニップルはブラスですか?アルミですか?と聞いてみるのは良いかと思います。

ICANホイール AERO40のスポーク替え

中華ホイールのスポーク替えをご依頼いただきました。お客様は2回目のご注文です。前回もぬるいICANホイールのスポーク調整でした。

前輪 575g
お預かり時点の前輪スポークテンショングラフ
後輪 763g 
お預かり時点の後輪スポークテンショングラフ
ドライブ側 ラジアル組 非ドライブ側 2クロス組

今まで何度も中華カーボンホイールの調整を行ってきましたがどのホイールも組付けが問題でした。中華カーボンは安価で価格訴求のあるホイールです。使われている部品も確かなものばかりで悪くはありません。必要なのはスポークの調整です。ホイールは乗り手に合っていないといけません。

高級ホイールの3分の1で買える中華カーボンホイールはとても魅力的です。しかしホイールを安価に仕上げるためには時短で作っています。ゆっくり調整する時間がもったいないという感じです。時間を節約するために今回のホイールのようにラジアル組で作る部分が多いようです。クロス組をしないので組み立ては簡単です。簡単に組める構造にして組み立て時間を節約しています。具体的に言いますと振れ取りだけを行っています。振れがなければOKという考えのようです。

このため調整不足のホイールは特定のスポークに負担がかかり、スポーク折れや振れが出たりするわけです。しっかりとスポーク調整を行えばとても良いホイールと思います。

お客様は中華カーボンの特徴をシッカリと理解されています。今回はハブ交換とスポーク替えをご希望でホイールを送ってこられました。安価なホイールを適切に手を加えれば工賃が掛かっても充分元が取れるという訳です。

ホイール性能はリムが7割他の部品で3割と考えています。今の中華カーボンはとてもしっかりとしたリムを使っていますので安心です。正しく組みつけすればビッグブランドの負けないホイールが手に入ります。名より実を取られる方にはおすすめです。

分解しましたリム 40mm高415g
お預かりホイール 前輪ハブ

今回のホイールはパワーのあるお客様にはとてもぬるいホイールでした。前後共にすべてスポークはCXRAYを使われていましたのが理由です。いくら高級スポークを使っていても乗り手に合っていなければダメホイールとなります。

前後ホイール共にcxスプリントに組み替えて剛性アップをはかる提案をしました。多分大丈夫と思いますがこれで温い場合はドライブ側をもう少し太くすることが考えられます。

ノバテック ストレイトプルハブ 225g
前輪 お預かり時点と同じ姿ですがスポークは太くなっています
組み替え後の前輪スポークテンショングラフ
スポーク組み替え後のホイール ハブも交換しています
後輪スポークテンショングラフ
ハブ交換しました スポークは左右2クロス組です

組み替え終わったホイールです。後輪ハブも交換しました。左右共に2クロスです。この組み方にすることでプルスポークは12本となりました。スポークの負担は軽減されると考えます。ご感想が楽しみです。

38mm高の中華カーボンホイールを購入しました

安価な中華カーボンホイールを勉強のために買ってみました。勉強と思えば安いものです。部品をばらして再利用もできます。

前輪 650g
前輪 ラジアル組 スポークが太いので剛性は高い
後輪 844g スポークが太いので剛性は高い 
後輪24H  右ギア側12本は2クロス組 左非ギア側12本はラジアル組 

ホイールを購入しますと先ずはスポークテンションを調べます。

結果は次のグラフ状態で分かります。

前輪は振れがない出来上がりですが、スポークテンションのバラつき度は約10%でした。使われているスポークは6.5gの扁平スポークですのでとても硬い乗り味になります。このスポークは2㎜径の丸スポークと同じものです。

後輪も大きいフレはありません。しかしスポークテンションを調べますと驚きました。テンションのバラつきはとても大きくアマチュアのビルダーが作ったホイールのようです。

やはり安価なホイールは驚くばかりのグラフとなります。メーカーは短い時間で少しでも沢山作るということで仕事をしています。部品自体は悪くないのですが仕上げに時間をかけていません。振れさえなければ良いという見た目重視の考えです。

安価な中華カーボンホイールはコストダウンを図るため安価な太いスポークを使われています。これは剛性が高いホイールに仕上がりますので特別悪いことではありません。しかし一般的な日曜ライダーさんには高負担で疲れやすいホイールとなります。

このホイールはスポークテンションの調整に問題があります。スポークが強弱強弱と張られていて、グラフを見ればよくわかりますがこの仕上がりではお勧めできません。駆動効率が悪くスピードは踏み込んでも伸びません。スポーク折れの心配もあります。後輪スポークテンションが緩くて不揃いでは偏ったスポークに負担がきますので折れやすいです。

手組ホイールファンではこのホイールを分解してスポークを細くしたいと思っています。太いスポークなので剛性がありすぎるのでもう少し柔らかくします。じゃじゃ馬ホイールを手なずけるには先ずはスポーク替えです。スポークテンションを出来るだけ均一になるようにして振れが出にくいホイールに仕上げるつもりです。

この中華カーボンホイールは振れ取りやスポーク調整を自分で出来る人なら、もしくは調整をやってくれるショップのメカニックさんを知っている人ならよいホイールと思います。

廉価版の中華カーボンホイールのスポークは太い

勉強のためと言いたいのですがビックリするくらい安かったのでネット販売で中華カーボンを購入しました。先ずはスポークの状態を調べています。テンショングラフにしますとよくわかります。

50mm高中華カーボン 前輪664g
購入時の前輪スポークテンショングラフ  とても良く出来ています
50mm高中華カーボン 後輪842g 右14本左7本の2:1組
購入時の後輪スポークテンショングラフ  右ギア側のバラつきが大きい

予備スポークが1本ついていましたので重さを測りますと6.5gです。これは2mm径のスポークと同じ重さです。フレはほとんどありません。見た目はとても良く出来ています。しかしグラフを見ますとテンションのバラつきがあります。

ホイールの馴染みだしは終わっていますが手組ホイールファンで行っている方法で馴染みだしをもう一度やってみました。

再度スポークテンショングラフを取ってみますと次のようになりました。

前輪 一度なじみだしを行ってグラフにしました スポークテンションのバラつきが大きくなっています
後輪 一度なじみだしを行ってグラフにしました スポークテンションのバラつきが大きくなっています

テンションのバラつきは大きく出るようになっています。テンションのバラつきが大きいとスポークが折れやすくなります。

リムの強度はわかりませんが必要十分の強度はUCIのラベルが貼ってありますので大丈夫としています。ハブも良い回転しています。

購入しての感想です。

スポークが2㎜径のスポークと同じ重量のスポークを使っているので非常に剛性が高いホイールです。

このため乗った時の最初の印象はかかりが良いと感じると思います。しかし長い時間乗っていると疲れやすいでしょう。スポークが太いので地面からの衝撃が伝わりやすいのが理由です。スポークが細いとショックアブソーバーの働きをしてくれますので衝撃を吸収してくれます。太いスポークは衝撃を少なくしてくれません。ダイレクトに伝わります。

これはシマノの安価なアルミホイールと同じです。シマノ廉価版ホイールは太いスポークを使って剛性を上げています。ユーザーの範囲が広いためどうしても剛性は高めに作られて万人向けにしています。

シマノの安価なアルミホイールは初心者向けではなくパワーライダー向けのホイールと考えています。初心者に安価なホイールは走らないと思わせる戦略かもしれません。

今回購入したホイールは太いスポークを取り換えてロングライドにも適した細いスポークに取り換えて乗る予定です。遊びでいろいろホイールを取り換えることが出来る人ならこのような中華カーボンもいいでしょう。しかし安いホイールはリスクが高いように思います。見た目をよくして安くするために太いスポークを使っているのを知っておいた方が良いでしょう。

因みに同じメーカーの中華カーボンも高級スポークを使っているホイールは注目をひくための安価なホイールの倍の価格で販売しています。これは撒き餌戦略かもしれません。

XR31T/RTリム使用16:8組ホイールの調整

2019年にお納めしましたオーダーホイールの調整をして欲しいとご連絡いただきました。

前輪18穴リム使用 アルテグラハブ サピムCXRAY
アルテグラハブ HB-6700 18h ディスコンハブです 
18hラジアル組 
24穴リム 32穴ハブ 16:8で変則組
右ギア側16本 左8本
左が右より高いスポークテンション

お客様は長年にわたって年間1万キロメートルを走っておられる超ベテランのライダーさんです。自転車の組み立てはなんでも出来る方ですがホイールに関しては任せていただいています。

ホイールは当ブログでは定番のXR31T/RTリムを使っています。

前輪 XR31T 18H

前輪ハブ シマノ HB-6700 18H

前輪スポーク サピムCXRAY

後輪 XR31RT 24H 3mmオフセットリム

後輪ハブ DURAハブ FH-7700 32H

後輪スポーク サピムRace ドライブ側16本3クロス組 非ドライブ側 8本1クロス組

上記の部品で構成しています。

後輪は32穴ハブ、24穴リムで16:8の変則組です。

左側 1穴飛ばして1クロス組

このホイールの特徴は2:1組の変則組ですが、リムにオフセットリムを使っているところが面白いところです。オフセットしていない通常リムを使うとスポークテンション比率は78:100で仕上がります。3mmオフセットリムを使いますと左側100:右側97の比率になります。

左スポークテンションが右より少し高くなることはあまりない組み合わせですがこのホイールの組み方では左がほんの少し上回ります。ほぼ左右同じといっても良いくらいです。

通常後輪ホイールはハブに段数のあるギアを取り付けますのでスポークテンション比率は右100とすれば左は50前後に仕上がります。左側が緩いため駆動ロスが起こるわけです。

このロスを少なくするため出来るだけ左テンションが高くなるように2:1組で組むと左側が70:100くらいになります。左が大幅に上がるわけですが均等にはなりません。

左スポークテンションが右スポークテンションより高い仕上がり

ここでオフセットリムを使いますと左が大幅に上がり100:97と逆転します。数値では違いがあるのですが実際の使用ではほぼ左右テンションは同じと考えて良いかと思います。

スポークテンション差がないということでこれはピストホイールと同じような仕上がりです。

6年使われたホイールのスポーク調整はほとんど触ることがなくお返しいたしました。手前味噌になりますがとても良く出来ています。

今回のホイールを作るまでオフセットリムを使う方法は思いつきませんでした。体重、スポーク数など考慮すべき事柄がありますのでこのホイールでないといけないということはありません。オフセットリムで作られた2:1組ホイールは新しいアイデアと思います。長年使われてもスポークテンションのバラつきの少ないホイールが出来上がります。

TOKENホイールのスポーク調整

このブログに興味を持っていただいた方よりご連絡いただきました。ホイール再調整のご依頼です。新しいホイール購入の検討もされているようですが先ずは調整をやってからということです。賢明な選択と思います。

お送りいただきましたホイールの写真です。スポークテンションの状態を調べてグラフにしています。ホイールの使用感想を下記のようにとても詳しくお知らせいただきました。

前輪586g
お預か時のスポークテンション 約90kgf もう少し高い方が良い
後輪813g
お預かり時の後輪スポークテンショングラフ 緩めでバラつきが大きい


〇所有ホイールについて
 フロント TOKEN ventous 36mm リムブレーキ
 リア TOKEN konaxpro 52mm リムブレーキ
 駆け出しのもっさり感がある(ダイレクト感が足りない)、30㎞以上でのころ狩りが若干重たい。落差15m程度、距離1km程度の長さの坂で下っていても50㎞以上に上がっていかない。スポークテンションが極端に異なるところがある。購入から2年1万2000km程度は走っていると思います。

乗って温いと感じるホイールは剛性が不足しています。スポークを取り換えることで大きく変化しますのでとても良い方法です。

TOKENのホームページを見ますと使用スポークはサピムのCXRAYです。前輪18本、後輪21本、共にCXRAYですので体重があり、パワーのある方には踏み込んだ時の剛性が不足と感じるのは当然かもしれません。CXRAYは優秀スポークですが万能スポークではないということです。

今回は後輪スポークをCXRAYからCX-SPRINTに変更を提案しています。グラム数で言いますと4gスポークから5gスポークに交換します。

CXRAYスポーク14本 60.5g
CXーSPRINT 14本 74.5g
調整後の後輪スポークテンショングラフ バラつきがなくなりました

実際重量を量りますと60.5gから74.5gになりました。14gの増加です。このスポークで温い場合はサピムのRace(2.0/1.8/2.0mm)に取り換えです。スポークの値段は下がりますが剛性は上がります。面白いです。

お預かり時よりスポークテンションを約110kgfに引き上げました

前輪のスポークテンションを再調整しました。スポークテンションはお預かり時点では左右約90kgfで張られていましたが約110kgfに引き上げています。高過ぎず低すぎずのテンションです。ハブはゴリ感がありましたのでベアリングの打ち直しをしました。

前輪ハブ ベアリング6802 大きいベアリングを使っているハブです

ベアリング6802のベアリングを使っているハブです。一般には小さめの699ベアリングを使ったハブが多いのですがこのハブのように大きいベアリングを使ったハブは回転に安定感があります。ハブ径が約40mmと大きく、ハブ幅が80mmありますのでスポークは広く角度をつけることが出来ます。当然横剛性が上がります。18本と少ないスポークですが必要な剛性を得ることが出来るこの前輪ハブは気に入りました。

今回のTOKENホイールは非常に高価なホイールです。個々のパーツはよく吟味された高級パーツです。しかし乗り手の力に合っていない場合はせっかくのホイールも性能を引き出すことが出来ません。今回の修正でどのように変化するのかお客様から伺うのが楽しみです。