36mm高ディスクカーボン定番ホイールの作製

5月初めに当ブログにあるお客様よりオールラウンドホイール用としてディスクホイールを提案してほしいと連絡がありました。いつものようにお勧めの46mm高と36mm高のホイールをご案内いたしましたところその時お返事はいただきませんでした。まあこういうものは縁のものですのでよくあることです。

どういう経過なのかわかりませんが5月末に再度ご連絡いただきました。約1月考えられたようで最終的に36mm高のディスクホイールをご注文いただくことになりました。ありがたいことです。

昨今の部品事情の悪化や円安など自転車部品調達に関しての状況はそんなによくありません。注文してもなかなか入ってこないのが実情です。しかし今回不思議な縁でしてご注文いただきました3日前に予備で発注していましたカーボンリムが入荷していました。すぐに取り掛かることが出来ます。約一週間で納品ができます。

定番ホイールですので今まで何度も内容を書かせていただいています。おさらいしますと次のような部品の組み合わせです。

前輪700g
後輪809g
穴なしリムは利点が多い

リム 28mm幅36mm高カーボンリム 

   フックタイプ 前後ともに24h 穴なし ディスク用

ハブ TNI REVOハブ 前後ともに24h

スポーク ピラーwing21 黒 

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

穴なしカーボンリムはチューブレスホイールとして最適です。穴があるとテープを巻いて運用しなくてはいけません。このリムはバルブ穴が1つだけです。手組ホイールファンの定番ホイールは穴なしリムを使います。

実際の運用ではテープを巻くリム、巻かないリムの違いは使ってみれば非常によくわかります。穴なしはとても便利で経済的です。テープ運用ですとパンクの時にはテープをはがして、またテープを巻かないといけません。このことは何度も書いていますのでまたか!になりますがユーザーに向き合ったリムといえます。

リムが円安で少し高くなりましたのでホイールの価格は若干円安の影響を受けています。しかしブランドホイールの価格と比べますと格安で価格は1/3の値段です。無名のホイールですが性能は安物ではありません。

カーボンリムは剛性が高いので真円に仕上げていくのはアルミリムよりも高精度に仕上ります。そしてスポークテンションを均等にして仕上げることが肝要です。

リムメーカーの指定ではスポークテンションは120~130kgfがいいということなのでこの案内に従って仕上げています。勿論校正したテンションメーターを使っています。タイヤインストール後のテンションダウンを考慮して強すぎず弱すぎずというところです。ハイテンションはリムを真円に保つのにはいいのですが引っ張りすぎるのもいけません。本来衝撃を和らげるショックアブソーバーの働きもするスポークがリムの割れるもとになるのです。何事も過ぎたるは猶及ばざるが如しです。

スポークはピラーのwing21です。知名度はサピムのCX-RAYと比べて低いと思います。

しかし実力はなかなかのものを持っています。Jベントの部分が2.2mmと太いのがいいです。弱いといわれている部分を強化されています。中央部の比翼型の部分が空力をよくしています。風洞実験でも好成績ということです。詳しくはピラーのホームページでわかります。

ニップルはDTのSquorxProです。ニップル内部に滑り止めを注入してあります。ニップルは普段注目されませんがとても大切です。カーボンリムの場合アルミニップルではガルバニック腐食も考えられますので丈夫さを考慮してブラスのほうを選んでいます。とても高価なニップルですが使う価値はあります。

穴なしリムの作業は仮組までが大変です。時間が掛かりますので集中力が必要です。注意してニップルを取り出さなくてはなりません。ポロっとリム内に落さないようにするのが大変です。

スポークテンションを均等に張ることが大切です
振れ取りとスポークテンションの均一化は別のものです

仮組が終わると通常のホイールと作業は同じで振れ取りを行います。注意点はスポークテンションが均一でなくても振れ取りはできることです。スポークが強弱強弱とバランスが取れていますとテンションが均一でなくても振れ取りが出来ます。

ホイール作りの上手下手はこれで分かります。下手な人が作るときれいに振れ取りされていても一か月もすれば振れが出てきます。スポークテンションにバラつきがあるとこのようになります。ホイールはスポークテンションを均等に張って仕上げることが肝心です。勿論当ホイールのスポークテンションのバラつき度は非常に低いです。

仮組は一日でおわります。しかし仮組が終了してからが腕の見せ所です。組みあがってから何度もスポークテンションの調整を行います。お客様には早くお届けしたいのですが辛抱していただいています。時間をあけて出来上がったホイールを休ませながら調整するのがコツです。ストレスリリーブというのですがしっかりと何度も馴染みだしを行っています。こうすることで長く使われても真円を保っていることが出来ます。特別な手法ではありません。丁寧に組み上げているだけです。ご安心願います。

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