ピラーDSN用の電動ドライバー用ニップル回し

ピラーのダブルスクエアニップル(DSN)を最近使うようになりました。

14.4mmの長さのニップルを使っています。ねじ部分が長いのでスポーク長にゆとりが出ます。勿論正確にスポーク長を出す必要はありますがスポーク長の切り上げ、切り捨てで悩むことが少なくなります。

このニップルは一般的な12mmのニップルと比べて少し高価ですが使いやすくてお勧めです。ピラーの製品はあまり流通していませんがとても良い製品が多いです。

ニップルはホイールの部品の中であまり重要視されていませんがとても大切なパーツです。

上 DTのSquorxPro用 下 ピラー DSN用
SW15を併用すると便利

使用頻度が高くなりましたので電動ドライバーで使えるようにしました。パークツールのニップル回しの柄の部分を切り取りました。もっと力を加えるときはパークツールのSW15を使います。併用すると便利で具合がいいです。

お客様の使っておられるビット プロ並です

最近のお客様から連絡いただきました。 今使われている電動用のビットの写真をお送りいただきました。こんな道具が発売されたよとかいろいろ教えていただいています。道具の情報も勉強になります。

シマノWH-R500エントリーモデルの改造

シマノホイールのエントリーモデルを改造しました。リムはそのままでハブ、スポークを取り換えますので新しくホイールを作るようなものです。10速から11速に変更です。

前輪816gで完成
後輪1005gで完成

出来上がりホイールです。前輪816g後輪1005g合計1821gで123g軽くなりました。

ホイールの詳細を説明いたします。

ホイールからハブ、スポークを取り外して計測してみました。

前輪スポーク20本144g
後輪スポーク 24本179g

スポークは前輪には扁平スポークを使われています。この扁平スポークが空力に影響するのかといいますとあまり意味のない感じです。後輪には丸スポークです。スポーク重量を測りますと前輪20本で144g、1本7.1gです。後輪24本で179g、1本7.4gです。一般に7gスポークと呼ばれている太いスポークです。いろんな人を対象としていますので剛性は十分取られています。しかし体重が60㎏台の人には剛性がありすぎてガチガチの硬いホイールとなります。

後輪リム 538g

リムも計測しますと約540gあります。これは変えることが出来ませんのでこのままです。印象としては重いリムです。キンリンのXR31T/RTリムではワイドリムでありながら490g前後の重量です。私も測ってみて驚きました。450g前後と考えていましたが予想より90g重かったのです。しかしこれは考えようでは丈夫で剛性があるということになります。決してマイナスではありません。シマノホイールに採用された理由もこんなところにあるのではと考えます。何事もトレードオフの関係です。

ミケハブ 前後425g

ハブはミケハブを使います。このハブの良いところは大きなベアリングを使っていることです。前輪後輪のハブボディには6001規格を後輪フリーには6901規格を使っています。大きなベアリングで回転が非常に滑らか、丈夫で長持ちします。気持ちよく回る大きいベアリングがこのハブの最大の特徴といえます。5mmのアレンキーで簡単に分解でき2㎜のアレンキーで回転の負荷調整が容易にできます。ペアで425gの重さはけっして悪ではありません。

コンペティション 10本65g
ピラー ダブルスクエアニップル

スポークはDTのコンペティションを使いました。手組ホイールの王道スポークです。扱いやすいスポークです。ニップルはピラーのダブルスクエアニップルです。リムの穴からテンションを上げるときにはこのニップルがとても使いやすいです。

前輪ラジアル組 DTコンペティション使用
後輪左右2クロス組 DTコンペティション使用

組み方は前輪がラジアル組後輪は左右2クロス組です。スポークテンションをできるだけ均一に振れを最小になるように調整しています。

今回はオリジナルホイールからハブとスポークを替えました。約120gの軽量化となります。スポークをコンペティションに交換しましたがサピムのLaserに替えるとスポークだけで100g軽くできます。ハブをノバテックのような台湾ハブに交換しますとはハブだけで200gの軽量化です。

乗り味が固いと思われている方にお勧めです。スポークを変えるだけで大きく変化します。ご自分でできない方はご連絡願います。

多スポークホイールの組み替え

スポークの組み替えをご依頼いただきました。

ホイール専用箱でお送りいただきました

同じお客様から今回で3セット目のスポーク組み替え注文です。ホイール専用の箱も何度も我が家とお客様を往復しています。大活躍のホイール専用箱です。

お預かりしましたホイールはいつも最初にホイールのスポークテンションのチェックを行っています。

前輪スポークテンション 振れなないのですがテンションはバラバラでとても緩い状態
後輪も全く振れがないのですがスポークテンションはバラバラでとても緩い状態です

今回のホイールは以前ご注文されたホイールのバックアップ用として同じ仕様のホイールを自転車屋さんに依頼されました。マビックオープンプロ36hにDURAハブの組み合わせです。私の知る限り同じ自転車屋さんに3セット依頼されています。このためビルダーさんの組み方、くせはわかっています。

私もまだまだの実力と思います。人様のホイールを批判するのは行儀が悪いと思いますがあえて書かせていただきます。結論から言いますと作り方が中途半端な作りでした。

お預かりしたホイールは振れ取りを完璧に近いくらいしっかりと振れ取りが出来ていましたがスポークテンションには全く注意が払われていません。スポークテンションは握っただけではわかりません。テンションはバラバラの、ユルユルでとても残念な作りでした。もう一手間かけたらよくなるのにとつくづく思いました。

オーバーラップしています
スポークのオーバーラップです

スポークは4クロス組です。4クロスで組みますとこのハブではスポークがオーバーラップします。これでも良いという人がいますが図のようにスポークの頭の上にスポークが重なりますのでスポークが大きく曲がります。この状態はやはりスポーク、ハブに余分な負担が掛かります。スポークが折れたりするトラブルの元になりやすいので一般には行いません。お客様には3クロス組で組み直すことを提案し了解いただきました。

スポークは前輪をサピムLaser、後輪をサピムRaceで組みます。Laserは中央部が1.5mmと細いのでスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれますので地面からの振動を吸収してくれます。このため乗り味が柔らかくなります。地面からの突き上げが減りロングライドに最適です。スポークが細いので剛性が落ちるのではと心配されましたが36本の数がありますので十分剛性は担保されます。後輪はRaceで中央部が1.8mmと少し太くして剛性を高めています。

スポークテンションは出来るだけ均一にします
スポークテンションは出来るだけ均一にします

スポーク組の一番大切なことは各スポークのテンションを揃えることです。チェーンを通してくる前に進む力は各スポークに均等に伝わります。スポーク側が均等に引っ張ってあれば前に進む力もロスなく伝わります。駆動ロスを少なくするにはできるだけスポークテンションを揃えることが肝要です。理屈は簡単ですが実施は難しいです。正しく行えば性能アップにつながります。

グラフで示しますとよくわかります。お預かり時点ではゆるゆるのスポークテンションでしたので約100kgfで仕上げました。また同じ箱に入れてお送りします。

見た目は同じですが内容は大きく変わりました
見た目は同じですが大きく変わりました

お客様は同じ仕様のホイールをバックアップのホイールとして持たれています。とても自転車愛を感じます。

36mm高のディスクカーボンホイールを作りました

36mm高28mm幅リムを使ってディスクカーボンホイールを作製しました。

前後1496g 穴なしリム使用

何度もこのブログで紹介しています定番リムを使っています。

36mmの高さ28mmの幅は登りに強く空力の援護も得られる用途の広いリムです。平地走りがメインの方はもっとリム高のある方を選ぶのも良いかと思いますが登り優先をメインに考えられる方には良いリムかと思います。

ハブはTNIのREVOハブを使っています。このハブも輸入元のトライスポーツでは今のところ在庫がないそうで私の手持ちだけになってしまいました。コスパの良いハブなので早く再輸入されたらいいなと思います。

スポークはメーカーをミックスしました。前輪はブレーキ側、後輪はドライブ側に少し太いスポークを使います。ホイールメーカーの製品を観察しますとスポークの太さを変えることで剛性アップを行っています。昔から行われてきた手法ですが良いアイデアと思います。

前輪 左ブレーキ側 ウィング21 右非ブレーキ側 サピムCX-RAY

後輪 右ドライブ側 ウィング21 左非ドライブ側 サピムCX-RAY

このようにスポークの太さを変えることで剛性をアップしています。

前輪688g 左ブレーキ側ウィング21 右非ブレーキ側CX-RAY使用 左右2クロス組
後輪 808g 左非ドライブ側CX-RAY 右ドライブ側ウィング21 左右2クロス組

スポークのテンションは出来る限り均一し、振れは最小になるようにします。

ホイール作りの一番大切なところをしっかり押さえることが大切です。

このホイールはブティックブランドの約1/3の価格です。では性能が1/3なのかといいますとそんなことはありません。今までのお客様のインプレが参考になると思います。ご興味ある方はブログよりご連絡ください。

前後1436g 45mm高ディスクカーボンホイールの作製

超軽量カーボンリムを使ったホイールの作製です。

45mm高で387gと軽量リムを使っています。

45mm高28mm幅 387gは超軽量です。

ハブはTNIのBiteハブです。ストレイトプルスポークを使うハブでTNIのホームページで詳細がわかります。DTのスターラチェット方式を採用しています。結構回転音が大きいので好き嫌いが分かれるかもしれませんが存在感は十分あります。

TNI Biteハブ ストレイトプルスポーク使用
TNI Biteハブ 左CX-RAY右エアロコンプ

スポークは前輪ハブにはサピムCX-RAY、後輪左非ドライブ側にCX-RAY右ドライブ側はDTのエアロコンプを使って少し太くして剛性を高めています。

前輪648g
スポークテンションが均一です
後輪788g
スポークテンションが均一です

エアロ効果がある軽量ホイールで、前輪648g後輪788g合計1436gです。

ニップル穴がありません

穴なしリムを使っていますのでリムテープはいりません。チューブレスで使われるときはシーラントが必要です。テープがいらないリムは使ってみると手軽さに驚かれると思います。テープ代金もバカにならないので財布に優しいリムです。

お客様よりインプレが待ち遠しいです。

多スポークホイールのインプレお送りいただきました

多スポークホイールのご注文いただきましたお客様より乗られた印象を連絡いただきました。とても分かりやすく教えていただいています。興味深く読ませていただきました。完組ホイールにはない良さがあり長く愛用していただけます。ありがたいです。

以下全文です。


●使用自転車と用途
クロモリのスポルティーフフレームに、クロスバイクのパーツを移植して乗っています。
用途は普段使いに週末50km程度の街乗り、連休には荷物を積んで一日100km程度、峠を含め数日間のツーリングです。


速さは求めていない&メンテナンスが好きなので、レーシーなハイエンド完組みよりカスタムできる手組みホイールに興味がありました。
webで検索してたら手組みホイールファンさまの詳細で丁寧な内容のブログを見つけたので、依頼させて頂きました。


●比較ホイール
クロスバイクについていたWH-R501との比較になります。
初めてのホイールのアップグレードなので、正しいレビューかは自信がないですが…。
シチュエーションごとに感じた差を書かせていただきます。


●低速、街乗り
自分に一番多いシチュエーションで、25~30km/hの街乗りです。
意外にもR501も決して悪くない印象で、重量が近いからか加速や漕ぎだしもそれほど差は感じませんでした。

R501を自分なりに玉当たり調整やスポークテンションの均一化などのメンテはやっているので、それが好影響だったのかも知れません。
新ホイールはまだ初期の状態なので、ハブの慣らしが終わって調整したらまた印象が変わるかもです。



●高速
30km/h以上からは、新ホイールとR501で差が出てくるように感じました。
まず新ホイールは高速でも路面からの衝撃が少なく乗り心地が良いです。
スピードの伸びも新ホイールの方が余裕があると言いますか、踏んだだけ素直に加速するキャパの広さのようなものを感じました。
(リムの形状とかも関係しているのでしょうか…エアロ効果?)
30km/h以上で巡行する人なら、新ホイールの方が良いと思います。


●登り
一番差を感じたのが登りでした。
両ホイールとも重量は1900g代でほぼ近いのですが、明らかに新ホイールの方が登りやすく疲れないです。
登りは重量の影響が大きいと思っていたので、この差は凄く意外で驚きました。

新ホイールは力をかけて踏んだ分だけ登ってくれると言いますか…。
R501の頃はダンシングはしんどい割に進まなくて微妙だと思っていたのですが、新ホイールですとダンシングの有効さが分かった気がします。
乗り方のバリエーションが増えることでスプロケもよりクロスレシオに出来そうで、ホイールによって全体の構成が変わるかも知れないと思いました。


●下り
高速での安定さから、下りも新ホイールの方が有利だと思います。
ただ自分は安全第一で、下りでスピードは出さないことにしているので…新ホイール実力は十分分かってないと思います。



●まとめ
R501と比較して、新ホイールは高速や力をかけた時の安定感や効率が優れている。
過酷な状況へのキャパが広いように感じました。
荷物を積んで峠を越えるツーリングの際は、きっとこの差はさらに大きく感じると思います。
今回組んでいただいたホイールをお手本にメンテや調整しながら、自分も手組みホイールに挑戦してみようと思います。
この度はありがとうございました。

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インプレとしては以上になります。

乗り甲斐&メンテし甲斐のあるホイールを作って頂いてありがとうございました。

完組少スポークホイールにはない良さが分かっていただけたと思います。私は自分のホイールに慣れきっていますのでなかなか差異を申し上げても伝わりにくいのですがこのようにお客様から教えていただきますとすごく参考になります。

後輪スポークの組み替え

カーボンホイールを昨年お納めしましたお客様より後輪スポーク交換のご依頼がありました。

昨年のホイール前輪はサピムのCX-RAYでしたが後輪はDTのコンペティションでした。

1年経ちまた新しいホイール、前後ともCX-RAYで組んだホイールを再注文いただきました。新しく組んだホイールの乗られた印象はコンペティションで組んだホイールよりもCX-RAYのほうがお好みでした。やはり比べると好みがはっきりしてきます。

ホイールの剛性はリムとスポークの剛性で決まります。リムの変更は勿体ないので簡単にはできません。剛性の調整にはスポークです。スポークを取り換えることで好みの乗り味に変えることが出来ます。

CX-RAYに替えました
スポークテンションが均一

ベテランライダーのお客様は1年半コンペティションのスポークで乗られたのですが新しくCX-RAYのホイールに乗られてからお好みがはっきりされたようです。CX-RAYのほうが足に優しいと感じられました。このためスポークを変更することを決められました。

つまりスポークの太さ調整です。太いコンペティションから細いCX-RAYに替えられました。

このようにスポーク変更の相談が増えてきています。ホイール乗り味が硬すぎて疲れる場合は柔らかくする、踏み込んでもっさりと今一つの反応の時は剛性を上げるかのどちらかです。

あまり知られていませんがスポークはとても大切なパーツです。フレームと共に自転車の乗り味に大きく影響しています。 長く乗り込んでいかないと分からないことですが乗り味の好みはだんだんはっきりしてきます。スポークの修正で乗り味は大きく変えることが出来ます。自転車を楽しく乗るにはとてもいい方法です。