凄腕メカニックさんと話しました

久しぶりに凄腕のオーナーメカニックさんと話しました。一部の知識は私のほうがよく知っていることもあるのですが総合的にはこの人がはるかに経験豊かですのでこの方との話はためになります。

30分ほどですが今回もいろいろ教えていただきました。

チューブレスタイヤが流行りだしているのですがやはり扱いが楽なクリンチャーに戻る人もたくさんおられるようです。チューブレスのシーラントはどの方も厄介と思われるようです。このためクリンチャーに戻るそうですね。

ホイールの軽量化はどうですか?と尋ねましたらチューブラーが一番やねとのことでした。この意見には私も同感です。もっと32hのチューブラーホイールの良さを知ってほしいですねといいますと、その通りなんやけどいまは無理やなとのこと。しかしレースに出るんやったらチューブラーやでということでいったん話は終わりました。

 

クリンチャーですがソーヨーのラテックスチューブを勧められました。私は使ったことがないので何とも言えないのですが乗り味はガラッと柔らかく感じるそうです。

とても高価で1本3000円近くするのと空気を毎回入れないといけない不便さがあるがいいですよと勧めていただきました。アマゾンのレビュウーでは賛否両論のチューブのようです。それだけ使い方が難しいようですが一度試そうかと思います。だけど高いですね。

 

前にもハンドルのことをブログに書いたのですが今回もハンドルのことを聞いてきました。

エアロタイプのハンドルはワットを稼ぐとのこと。ハンドルで空力がよくなるから大事ですよといわれました。別の方からもアドバイスいただいたことを思い出します。ハンドルは相性で自分に合ったハンドルに出会うまで何度も取り換えたとのことです。

 

ハンドルにチューブ、ホイールといくらお金をつぎ込んだらいいのか、自転車はお金がかかります。まあ好きなことですから仕方ないですが。

ホイール作りの参考書②

ホイールを作りの参考書を紹介します。作者のJobst Brandtさんは自転車好きの科学者のようです。

ホイール作りの名著ですが少し内容が固いかもしれません。しかしとても参考になります。

アマゾンで買おうと思っていましたがネットでPDF版がアップされていましたのでこれを読んでいます。

 

個々にためになる内容が書かれていますが76ページのTIED-AND-SOLDERED SPOKESは面白いです。コンピュータでデータを計測して出した結論は結線には利点がないということでした。しかしこの結線をウリにしているビルダーさんがいるのも事実です。

競輪選手のホイールには結線を施しているホイールが多いと聞きます。爆発的なパワーを出す人には微妙な違いが判るのかもしれません。

近所の自転車屋さんの凄腕オーナーメカニックさんはおまじないですと言っています。

私にはわからないところです。私の実力は35km巡行がギリギリですので効果が分からないのですがTIED-AND-SOLDERINGをやるときもあります。なんとなく格好いいですから。

 

この参考書はパラパラと興味ある所だけ拾って読めばいいかなと思います。私はPDF版を読みました。参考になるところが多々あります。

XR31RT後輪ホイール作製プラン②

ホイール作製プランを実行、作り終えました。

スポーク長は計算データ通りにしました。

左 コンペティション2.0/1.8/2.0mm 282mm

右 星スターブライト2.0mm    264mm

 

このデータ通りスポークを用意し仮組しました。

右ドライブ側はヘッドイン 1クロス組、左は3クロス組です。

左3クロス組
右1クロス組

スポーク長で失敗しました。ヘッドインにしたために1mm短くてやり直しです。

265mmのスポークを再度用意し組みなおしました。左NDS側も1mm短いようです。ともにワッシャーを使っていますので1mm短かったです。

しかし一応使える状態ですので性能を調べて後日スポークのやり直しを行う予定です。組み上げたデータは次の製作のために残しています。

スポークテンショングラフを出してみます。

左88.8kgf 右127.0kgfです。比率でみると約70:100%で仕上がっています。

プランでwheelproの計算表では66:100%です。この違いは何故かちょっと考えました。4%の高くなるのはどうしてなのか考えました。

 

どうもドライブ側をヘッドインで組み上げたのが影響しているようです。

ヘッドインで組んだのでハブオフセット値が変わりました。

38.2/18.7で入力していましたが右側がヘッドインのため1mm広くなり19.7で入力します。

すると結果は69:100%のテンション比率が出ています。

 

通常こんなに計画通りに数値が出にくいのですが今回は出てくるデータもほぼ計画の数値です。

このホイールはスポークテンションに関しては11速ハブの欠点をカバーしているデータが出ています。

 

では次の写真は同じハブ、リムを使って左3クロス右2クロスです。

右2クロス組
左3クロス組

スポークは左コンペティション2.0/1.8/2.0mm右スターブライト2.0mm

スポークテンショングラフは以下の通りです。

テンションは左71.1kgf右123.0kgfでテンション比率は計画値には及びませんが 57.8%で高い比率です。

この2つのホイールを比較してリム、ハブは同じでもスポークの組み合わせで大きく変わってきます。

今回のこのホイールを実際に走ってみて調べてみたいと思います。

XR31RT後輪ホイール作製プラン

キンリンワイドリム、シマノハブを使って後輪ホイールを作る計画です。

 

キンリンXR31RT 28h 3mmオフセットリム 509gERD570mm

XR31RT  28h

シマノ FHrs400 28h 367g

shimano FH-RS400 28h

ハブデータをwheelproのソフトを使ってスポーク長を出します。データを入力しました。

スポークを左右3クロスで計算しました。スポークテンションレシオは62:100%で左スポークのテンションが高い値です。これは3mmオフセットが大きく寄与しています。

オフセットしていなかったらテンションレシオは49:100%です。

では左3クロス右2クロスで計算してみます。ヨンロク組と呼ばれている組み方です。スポークテンションレシオは64:100%です。2%上がっています。

次にスポークの太さを替えてみます。左CX-RAY 右コンペティションの組み方です。結果はスポークを替えても64:100%でテンションレシオは変わりません。

よくブログで書かれているのを見るのですがスポークの太さで右を太く左を細くすることによりテンションレシオを替えるように理解している人が多いのですがテンションは変わらないのです。

何が変わるのかとなると剛性が変わります。

引っ張り剛性はスポークの総面積に比例しますのでスポークの本数を増やしスポークを太くすれば剛性が高まるということです。面積を増やすと当然重くなります。トレードオフの関係で頃合いのいい組み合わせを考えることです。Wheelproの作者ロジャー・ムッセンさんはすべてDTコンペティションで作っているようです。右左の分けはないようです。私もこれでいいと思うのですがいろいろ考えてしまいます。時々分けて使い分けています。

次に左3クロス右1クロスで計算してみます。テンションレシオは66:100%です。この組み合わせには少し驚きました。

左3クロス右1クロス組

ドライブ側の1クロスですがスポークをすべてヘッドインにしてスポークのブレイシングアングル広げ横剛性を高めることも挑戦しようと思います。ただ気になるのはスポークを引っ張って前へ進む力は左フランジが主に働くと思うのでうまくいくのかなと思うのです。マビック、シマノでも右ドライブ側をラジアル組で作られたホイールを販売していましたので問題なく出来上がると思うのですが心配です。

今販売されているホイールで左ラジアル右2クロスもしくは3クロスのホイールがたくさん販売されているのでまあ問題なくいくと思うのですが…

リムの交換

キンリンXR31RT28hリムを同じリムに交換することにしました。

ホイール作りのビギナーだったころ、作業手順はホイールをすべてばらして再度組み立てたのですがいい方法を思いつき以来この方法でやっています。

誰でもこうするよと言う方もおられると思いますが私は最初思いつきませんでした。

このようにしています。新しいリムをホイールにぴったり合わせます。穴の位置も揃えます。

こうしておけば順番にホイールからニップルを外してスポークを移していきます。穴の位置は同じところにありますので移動は容易です。

ニップルを外すには一個ずつニップルを外すのですがリムの変形を避けるために均等に少しずつ回して全体を均等に作業することが大切です。一巡目を2回転ずつ逆回り、2巡目も2回転ずつ逆回り、3巡目めも2回転ずつ逆回りという風にすべてのニップルが均等に緩めてから一個ずつニップルを移していくことが必要です。リムが変形しないように注意することです。

順番に根気よくスポークを移せばそんなに難しくなく新リムに移せます。あとは新しくホイールを組むのと同じ手順でニップルを回していくだけです。

ホイール作りの参考書

私のおすすめはhttps://www.wheelpro.co.uk/wheelbuilding/book.phpです。

英語ですがとても分かりやすく書いてあります。

世界中のホイールビルダーが褒めている本です。eBookです。9ポンド、約12ドルの値段です。7改訂版が今発売されています。5改訂版でしたらネットで拾えるようです。正規で購入されるとアップグレードができます。私は6改訂版から今の7改訂に至っています。

 

最新版のいいところはストレイトハブについて詳しく説明しています。

この頃は海外通販でストレイトプルのハブが容易に手に入ります。簡単に手に入るのですが使い方が分かりにくいのです。

どういう方法がいいのか迷っていた時に知りえることができとても参考になりました。

https://www.wheelpro.co.uk/spokecalc/

ホームページだけでもストレイトプルハブのスポーク寸法が出せるのですがeBookを読んだほうがよく分かりました。

DTでもスポーク長計算ソフトがネットで使えます。

https://spokes-calculator.dtswiss.com/en/calculator

このソフトもよく使うソフトです。

ストレイトプルのハブもこれで計算できます。しかしこのソフトでもハブオフセットを入力することが必要です。ハブオフセットとは何かを知っていないとだめです。図で説明していますのでなるほどとわかるのですがやはり詳しく知るにはwheelproの解説本を読んだほうがよくわかると思います。

日本のビルダーさんはメシのタネということでネタを明かさないのですが海外のビルダーさんはオープンなのか丁寧に教えてくれます。

アンカーボルトでベアリングを取り出す

ベアリングの取り外しですが私はベアリング取り外しの専用道具を使っていますがアンカーボルトを使ってたたき出す方法があります。これでもやったこともあります。いろんなやり方があると思いますが一例として参考になればということで紹介します。

8mm、16mmアンカーボルト

アンカーボルトはホームセンターで8mm、16mmを買っておきます。数百円の安価な品物です。これが役に立ちます。

ハブ左右のキャップを外しますと中のスペーサーが見えます。このスペーサーは完全に固定されていません。コンクリート用の8mmアンカーボルトでベアリングを叩き出せるように細いドライバーなどで動かします。スペーサーをうまく動かしアンカーボルトを差し込んでハンマーでたたきだします。これ状態をこの文章からは理解しにくいのですが実際ハブの形態を観察するとよくわかります。そうか、これを叩き出したらいいのだなとわかります。1、2回力を入れてたたくと簡単に外れます。今度は反対側です。片方のベアリングを取り出すと中のスペーサーも一緒に出てきますので残っているのはもう片方のベアリングです。16mmのアンカーボルトを差し込んでたたき出します。少々乱暴にしてもつぶれることはありませんので勇気を出してベアリングをたたき出します。ポロっと外れます。

16mmアンカーボルトで反対側を取り出す

ベアリングの圧入には棒状の寸切ボルトを使っています。専用の道具もありますがやることは同じ事なのでホームセンターで寸切りボルト、ナット、ワッシャーを買って安価な自作の道具で圧入しています。ハブ本体、新しいベアリングにはグリスを塗っておきます。押し込むのに20mmワッシャーと外した古いベアリングを使えば新しいベアリングと同じサイズなので楽に均等な力を加えることができます。ゆっくり押し込んでいきます。

圧入用のボルト、ナット、ワッシャー

シールドベアリングを使ったハブはベアリングを取り換えることにより新品に戻ります。ちょっとハードルが高い作業ですがやってみる価値はあります。

 

シマノフロントハブのグリスアップ

約一年前に組んだホイールのグリスアップ行いました。

まだまだ使える状態ですが新しいグリスを購入しましたのでこれを使うとどんな変化が起こるのか楽しみでグリスアップを行いました。

高価なグリス 3ml入り

いろんなブログやユーチューブ、メンテナンス本でやり方を解説していますのでざっと説明いたします。

 

ゴムのキャップを外すのにホーザンのソルダーエイドを重宝しています。これは本来はんだ付けの際に使う用具ですが錐の先などの尖っているものを使えばいいのです。

ホーザン ソルダーエイド

古いグリスをきれいにふき取ってこのグリスを塗ります。3mlで700円ほどのとても高いグリスです。ハブ構造が簡単にできていますのできれいに古いグリスをふき取って新しいグリスを塗りこむだけです。

きれいにしました

あたりの調整はできるだけハブキャップ部分ががたがた動かないようにナットを締めるのですが動き出すギリギリ手前まで締めます。この加減はトライアルアンドエラーです。納得いくまでやってみることです。

 

さあ回転を調べます。

振れ取り台に乗せて回転をみます。スポークに印のテープを貼って一定の力を加えて回転数を数えました。

33,36,32,40,37,37,37,41,37,40回転でした。10回テストして平均回数を出します。平均37回です。

グリスアップ前に回転数を調べておきました。

36、32、37、39、38、45、38、41、43、36回転です。その時の平均回数は38.5回転です。グリスアップしてもほぼグリスアップ前と同じです。

結論です。

とても高価なグリスでしたが回転数は前の状態とほぼ同じ回転数です。3mlで700円のグリスでとても期待していたのですが、この高価なグリスはシマノグリスと回転に関してはおおよそ同じでした。

このことは逆にいえば定期的にグリスを替え正しく整備するとずっといい状態で使えるということです。

高いグリスだから高回転を期待するということではなく、よい回転を維持するにはグリスに関係なくこまめにグリスアップすればいいということが分かりました。

シマノのハブは優秀です。安価なハブも手入れがよければ高回転を維持できる。しかも普通のグリスで十分回転を維持できると改めて感じました。

前輪ハブベアリングを取り換えました

ベアリングを取り換えればほぼ元の状態に戻るシールドベアリング使用のホイールですがベアリングの取り換えは簡単です。取り扱いで慣れているからかもしれませんがホイール作りのほうがはるかに難しいと思います。

取り換え終わった前輪

ノバテックの前輪用A291SBハブは699規格の日本製シールドベアリング使われています。

このベアリングをハイブリッド・セラミックベアリングに取り換えました。ベアリングの抜き取りには専用の抜き取り金具を使っています。

スライドハンマーを使いました

初めのころは恐る恐る作業していましたが数をこなすうちに慣れてきます。しかし慣れというのは思わぬところで落とし穴がありますので注意は必要です。

ベアリングの抜き取りは時間的にはそんなにかかりません。簡単に抜けます。左右抜き取って新しいベアリングのインストールです。この作業は慎重にゆっくり圧入していきます。工具は自作のものを使っています。

難しそうに見えますが難度から言えばホイールを作ることのほうが大変ですのでメンテナンスに興味のある方は楽しい時間になると思います。

 

さて回転を調べてみました。

同じ仕様のホイールがありますので回転を調べてみました。

方法としては原始的ですが回転数を数えます。スポークに印のテープを貼って一定の力を加えて何回回ったかを数えました。力を加えるのにだいたい同じ感覚で回します。

力は毎回同じではないので5回やってみて平均値をとるようにしました。

 

オリジナル状態のハブを使ったホイールとセラミックベアリングに取り換えたホイールの回転数はオリジナルでは平均75回転、セラミックベアリングの場合は平均148回転でした。

結果として約2倍セラミックのほうが回転します。あくまでも単純な比較です。ベアリングを取り換えてだいたい同じ力を加えて回転数を数えその平均値を出しただけです。

ベアリングを替えたからスピードが倍になるわけではありません。しかしとても興味深い結果です。

エディ・メルクスのホイールも決戦用にはグリスをオイルに替えてチューンアップしていたということですからホイールのチューンには底がないように思われます。

前輪ホイールハブの分解

前輪ホイールハブを分解しました。ベアリングの取り外しですが私は専用道具を使っています。

スライドハンマー
ベアリングのシールも外しました

このホイールはノバテックA291SBハブを使っています。

このハブは5mm、6mmのアーレンキーがあれば両サイドのエンドキャップを外すことができます。種類によってキャップを引き抜くタイプもあります。アーレンキーを使っても空回りするときは引き抜くタイプのキャップです。昔どうしても外し方が分からなく引っ張ったら抜けたという笑い話のような経験があります。

 

ハブの中には直径12mm長さ66mmのスペーサーが入っています。ベアリングはシールドベアリングで699規格の日本製のベアリングが2個使われています。

ゴムシールも外してみました。針のようなもので簡単に外れます。

これだけです。前輪ハブはどのメーカーもシールドベアリングならば大体この構造です。

 

 

シールドベアリングを使ったハブはハブを取り換えることにより回転は新品に戻ります。

ちょっとハードルが高い作業ですがやってみる価値はあります。