多スポークホイールのインプレをお送りいただきました

FTP300Wのパワーライダー様よりご注文いただきました多スポークホイールですが、約3か月乗られてホイールの印象をお送りいただきました。ホイールは7月26日のブログ記事で発表しています。

前輪740g
後輪961g

ホイールは次の仕様です。

リム キンリンXR31T/RT F28 R32

ハブ ノバテックA291SB F482SB

スポーク 前輪ピラーTB2015 後輪左ピラーTB2015 右DTコンペティション

ニップル ブラス

以下お送りいただきましたインプレです。

約3ヶ月使用しましたので、そのレビューを連絡させて頂きました。

◯比較したホイール

・R31T/RTで組んだ多スポークホイール

・リム高24mmの軽量アルミ完組ホイール(1470g、外幅25mm)

・BoraONE35

・BoraONE50

◯条件

15kmの平坦路で出力(300W弱で±1W)、フォーム、タイヤ(GP5000)、空気圧を揃えてタイムを比較

速度域は36~40kmぐらいです。

ホイールを履き替えてタイムを比較したり(非同時測定)、二人で交互に履き替えながら同時にタイムを比較したり、あれこれ悩みながら複数回実施。

◯結果

いずれの比較においても速いホイールと、遅いホイールで1%ちょっとの差しか現れませんでした。

また、中間のホイールは入れ替わることも多々あったので、僅かな風の変化に呑まれてしまう程度で、有意差かどうかはわかりませんでした。

ただし、有意差かどうかは置いといて、

傾向は、BORA50(ホッとしました) > R31T   ≧ アルミ完組 ≧ BORA35(悲) でした。

◯感覚的な部分

比較することで感触は明確に差がありました。

明確に乗り心地が良いのはR31Tでした。

路面の凹凸のフィーリングが曖昧になり(私には好印象)、ラテックスチューブや太めのタイヤを低圧で履いてるような印象。

きめのギャップでもカンカンきません。(ちなみにBORA35が最もカンカンでした)

ただし、登りに入り慣性を失って、登り速度域の巡航に入る間際は明確に重く感じます。これはBORA50も同じ。

登りのタイムにどう効くかはわかりませんが、ツーリング用途で組んでもらっており、登りは他人に合わせることが多いので気にしていません。

最後まで元気に平坦で適度な速度で引っ張れれば良し。

剛性の大小は私には判断できず。どれもちゃんと踏めば、スプリントもできると思います。

過去に高価でもシュータッチするホイールなども経験し手放してきましたが、そういうことはありませんでした。

◯耐久性

私は体重があり(74kg)、悪路も突っ込むので、スペック的には丈夫に見える安価な完組ホイールはたいてい初期に振れが出ます。

しかし、今回のホイールは毎日の通勤や悪路を含む200kmオーバーのツーリングもしていますが、今のところ目視で確認できる振れは出ていません。

総括すると、私はツーリング用に、丈夫で高価ではないホイールが欲しかったので、十分満足しています。

以上です。

とても詳しく述べていただいていますので参考になると思います。キンリンリムの多スポークホイールは気に入っていただいたようです。ありがたいことです。

リムの剛性を生かしてスポークの張り方を丁寧に組み上げればお客様の期待を裏切らないホイールに仕上がります。ホイールの見た目は地味ですが長く楽しんでいただけます。

改造レーシング3のインプレいただきました

9月2日に出しましたブログ記事に24gの増加で剛性を高めるという記事があります。オーナー様より改造後のインプレをお送りいただきました。

ホイールはアルミホイールの道標となっているレーシング3をカーボンホイールに改造しました改造版レーシング3です。

改造版レーシング3var.2

最初お納めしました時は気に入っていただきましたが乗り続けているといわゆるぬるさが目立ってきました。見た目はとてもいいのですが乗るとぬるいホイールという仕上がりでした。お客様からご連絡いただき後輪スポークをスポークを太くすることで剛性を上げることにしました。

今回パワーと経験に裏付けされた感性がないとなかなか感じ取れないことをうまく文章にしていただきました。記事にすることをお許しいただきましたので参考になると思います。

以下お客様のインプレです。

先日、スポーク交換を施してもらいました改造レーシング3ですが、感想を述べさせていただきます。

スポーク交換後、重量的には重くなってるはずですが、出だしは明らかに軽く進むようになり「ぬるい」印象は改善されました。

ただ、やはり巡航は46mmハイトの方が軽く進む感じです。
これはリムハイトの違いということで、全てにおいて合格点なホイールと言うことだと思っています。
(注:お客様は46mm高のホイールもご注文いただいています)

今回、タイヤも変えてみました。

自分の好みでミシュランパワーカップを使用してましたが、コンチネンタル gp5000に交換しました。

自分の偏見のようなものですが、今まではパワーカップは乗り心地良くて伸びが良い印象で、gp5000は乗り心地硬くて軽く回る印象といった感じでしたが、今回改造レーシング3を色々試してみて、印象が変わりました。

以前の「ぬるい」時より出だしが軽くなったのであれば、苦手な巡航性能を補う形で、パワーカップがベストなチョイスかと思ってましたが、gp5000の方が色々な場面での使い勝手で言ったらベストチョイスというか、しっくりした感じです。


空気圧も色々試してみました。

一般的な空気圧より少し高い目が好みですが、パワーカップでの46mmハイトより0.4bar低いところが良い印象です。

ちなみにメーカー推奨で言えば、コンチネンタルはミシュランより高い空気圧での運用を推奨してますが、改造レーシング3にあてはめると、ミシュランより低い空気圧がしっくりした感じです。

今回の件で、色々とホイールの事を考えさせていただき思ったのは、つくづく自転車はバランスが大事なんだなと改めて思った次第です。

これからも色々なシチュエーションで合格点な改造レーシング3を使用し、場合によっては46mmハイトを使い分けようと思っております。

改造レーシング3ver.2は常用ホイールとして合格したようです。雑誌記事に出ているライターさんのステマ的インプレではない生の情報をいただきました。メーカーの推奨値を参考にご自分の価値観で判断されている姿勢は参考になると思います。

落車ホイールのリム交換

2年前に45mm高のカーボンホイールの点検依頼をいただきましたお客様のお知り合いからご連絡いただきました。お客様は譲り受けられたホイールを使われています。修理に手組ホイールファンを紹介されたといっておられます。

2年前に点検したことがあるホイールです

落車されてから後輪ホイールが一定間隔で音が鳴るようになったそうです。いつも行かれている自転車屋さんで見ていただいた結果はホイール内部で何か不具合があるとのことです。結局は自転車屋さんでは対応できないということでした。

自転車屋さんに相談されたあと手組ホイールファンにもご連絡いただきましたがカーボンリムの内部に問題がある場合どうしようもないということをご説明しました。音がしないときもあるようでしたが大切な部品にすこしでも問題があるのは気持ちのいいものではありません。お客様には新品を購入するかリムの交換をお勧めいたしました。

最初に相談された自転車屋さんではホイールの買い替えを勧められたそうです。ハブはDTの350ストレートプルハブでしたのでこれを使わないのはもったいない話です。

よく考えられたようで再度ご連絡いただきました。

ホイールは45mm高のリムでした。このブログでは定番ホイールの46mm高リムなら在庫があることをお知らせしましたところリム交換のご依頼をいただきました。

手組ホイールファンでは穴ナシリムがメインですので取り換えは46mm高の穴ナシリムに交換となりました。少しだけリム高が増えましたのでスポークをカットし傷んでいる左スポークは取り換えということで組み上げることにしています。

後輪867g
出来るだけスポークテンションを均一に
取り換えたリム 459g

出来上がりのホイールは新品状態になりました。ハブは使い込まれていますのであたりが出ています。見込み客を失った自転車屋さんには悪いのですが、ハブ、スポークが再利用できた上にホイールは新品になりましたのでお客様にはプラスとなりました。

HUNTのホイールをお預かりしましたが…

何度もご注文いただいていますお客様よりご紹介いただきました方よりHUNTのホイールの点検依頼を受けました。

6,7年前のことですがHUNTというブランドは手組ホイールファンがホイール販売を始めたころ知りました。比較的新しい英国のブランドです。

当時、手組ホイールファンではXR31T・RTの20・24Hホイールを作って販売していました。英国でも同じリムメーカーのリムを使った同じホイールを販売しているのでこのメーカーを知りました。英国の自転車雑誌でも大きく取り上げられたホイールとして販売されていたことを思い出します。

前輪 左ブレーキ側12本 右6本
前輪 左クロス組右ラジアル組  2:1組のホイールです
とても軽量です
左右クロス組 20H

このHUNTのホイールが送られてきました。最新のカーボンスポークが使われたホイールでした。

残念ながらカーボンスポークのデータは全く持っていません。このためスポークテンションが揃っているかどうかはテンションメーターで分かりますが何kgfで張っているかはわかりません。

さらにニップルは3.4mmのレンチで回せるのですがとても硬く固めてありましたのでニップルは全く回りません。。無理に回せば折れるのではないかという心配もあります。結局手組ホイールファンでは扱えませんとホイールはお返しすることにしました。

カーボンスポークについてはデータがありません。サピムやDTSwissのようなデータがあればいいのですが惜しいと思います。軽くて強度があるのですが広く流通していないのも難しい点です。幸いにもいつも購入しているカーボンリムメーカーがカーボンスポークを販売してくれます。しかし価格はとても高価です。手に入らないから値打ちがあるのかもしれませんが今のところこれまでのスチールスポークで十分事足りています。シマノ、カンパが扱っていませんのでもう少し様子を見ようと思っています。

アルテグラホイールのテンション調整

アルテグラホイールのスポークテンション調整でお預かりしました。結論から言いますととても取り扱いはとても難しいホイールと思います。

前輪718g
後輪956g オフセットリム使用

シマノアルテグラホイールは前輪16H後輪20Hで後輪はオフセットリムを使っています。オフセットリムを使えば左右のスポークテンション差を10%ほど是正できます。硬い柔らかいの表現で言いますとどちらかといえば柔らかいホイールのようです。少ポークホイールであるにもかかわらず前後で1674gは決して軽くはありません。これはハブ重量が重いのが理由です。中心部の重さなので回転には影響ないと思います。ハブシェルに剛性があれば回転は安定しますので重量はデメリットではありません。

調整前にまず全体をきれいにしてプラグを回しやすくするためにホンの一滴ですがオイルを注しています。スポークはストレイトプルスポークを使っていますが各スポークはニップルではなくプラグと呼んでいるニップルのようなものを回してスポークテンションを調整します。

上 パークツール SW14.5 下 シマノ純正工具

一般的な3.2mm、3.4mmのニップル回しではサイズが合いません。特殊なサイズなのでパークツールのニップルレンチSW14.5を使っています。このレンチは賛否両論ですがそんなに悪くないと思います。シマノの純正レンチでは小さくて回しにくいです。しかし使えなくはありません。結局はいろいろ試すしかありません。

プラグを回すときの注意点ですが通常のニップルとは逆回りです。今まで調整依頼を受けたホイールはこの回転が逆なのをご存知ない方が多くご自分でやってみてにっちもさっちもいかなくなって連絡いただいた方が多いです。

余談ですがマビックも同じようなプラグを使っていますがこの場合は通常のニップルと同じ回し方です。連続で調整となりますと右かな左かなと頭の切り替えが大変です。

最近お預かりするブティックブランドのホイールはどのホイールもハイテンションでした。ホイールメーカーが作る品物ですのでハイテンションが本当はどうなのか考えてしまいます。手組ホイールファンでは過度に張りすぎはよくないと考えています。

座屈と呼ばれる現象がありますが圧縮荷重がある値より大きくなると安定性が失われます。この座屈まで変形するのではありませんがスポークを過度に引っ張りすぎると剛性が落ちるように感じています。適度な張りでスポークテンションを調整するのがとても大切です。

前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

一般には120~140kgfくらいが良いといわれています。経験値から出る値ですがこの範囲でおさめるようにしています。ホイ―ルの調整は振れ取りだけをすませばいいものではありません。スポークテンションを揃えることがとても大切です。

レーシング3リム、シマノハブで3Gホイール作製

レーシング3のリムだけありましたので新しくホイール作れないかと試してみました。ハブはシマノ・ティアグラハブを使います。

ティアグラグレードはシマノハブでは下位グレードですが回転では上位グレードと差異は感じません。外見の仕上がりは上位と比べてはっきり差がありますがカップアンドコーンハブの回転性能では上位と遜色ないと思います。お勧めハブです。

Racing3リム シマノFH-RS400 28H 3G組
左非ドライブ側 一穴飛ばしで作っています
ドライブ側は2クロス 非ドライブ側はラジアル組

オリジナルのレーシング3は左7本右14本の組み合わせです。いわゆる2:1組の3Gホイールです。ティアグラハブは28Hを使います。左は穴の半分使って一穴飛びのラジアル、右は2クロス組で組みます。シマノではラジアル組は推奨していませんのでハブが壊れても自己責任ということで作っています。

スポーク長ですが2:1組の場合今までは数式を使って計算していました。最近は専らwheelproの計算ソフトを使うことにしています。使用料がいりますが必要な項目を入力すればスポーク長が出ますので楽させていただいています。

Racing3のリムは穴ナシリムです

レー3リムは穴なしリムです。マグネットを使ってニップルをリム穴から引っ張り出して組んでいく方法しかありません。手間と慣れが必要です。時間が掛かりますが仮組が終わると出来上がったと同じです。組み上がり後の達成感は絶大でまた組みたいと思ってしまうホイールです。

左右のスポークテンションがほぼ同じ

シマノハブを使いますとハブのセンターオフセット値がちょうどいい具合の値です。左右のスポークテンションはほぼ同じテンションに出来上がります。計算値では左:右は100:99の割合でしたが実際値もほぼ同じでした。これはなかなか面白い数値です。左右の引っ張りが同じなら前輪と一緒なので駆動効率がよくなるのではと期待しています。

今使っているゾンダ、レーシング3を分解してハブを取り出して先ずは3Gカーボンホイールをつくります。残ったリムにシマノハブで新しく3Gホイールを作るという企画は楽しめます。

キシリウムホイール エリートのスポーク調整

リピートでご注文いただいているお客様よりキシリウム エリートの後輪ホイールの調整依頼でお送りいただきました。

キシリウム エリート 後輪877g

このキシリウムはスポークが1本折れたので購入されたショップに持ち込まれて修理を依頼されたそうです。ホイールは一応直ったのですが乗り味が変わってしまい再調整を手組ホイールファンに依頼されたという曰くのホイールです。

10本で84g、エリートのスポークは意外と重いスポークでした

お客様よりスポークの予備も一緒にお送りいただきました。このスポークが役立ちました。キシリウムのスポークを持っていなかったのでこのスポークでテンションデータを取れます。

スポークテンションを校正器で事前に確認しておくとわかりやすい

スポークは2mm丸スポークを元にした少し重めの扁平スポークでした。少スポークで作られたキシリウムホイールは剛性の高いスポークを使わないと成果が出ない構造です。事前にドライブ側を130kgf前後で仕上げるにはテンションメーターの示す数値を知っておけば作業能率が上がります。

お預かり時のホイールセンターは左に約1mmも寄っている仕上がりでした。縦ブレも大きく振れていました。おまけにドライブ側スポークテンションは約150kgf前後のハイテンションで作られていました。預けられたショップの振れ取り台が安物なのかセンターゲージを当てていなかったのか、よくわかりませんが驚きです。リムを左に寄せているのでドライブ側はハイテンションでした。1mmも左に寄せると右側のスポークテンションは当然高くなってしまいます。どうしてこんなことをするのか理由が分かりません。

左側を緩めてスポークテンションを全体にスポークテンションを落としてからドライブ側を約130kgfに揃えることが出来ました。事前にスポークのテンションデータを知ることが良かったです。縦ブレ、横ブレを出来るだけ最小になるように調整すること、スポークテンションを出来るだけ均一になるようにすることを同時に行います。コツが分かれば簡単ですが会得するまでには経験が必要です。

マビックのスポークプラグには2種類あります

テンション調整のプラグは2種類あります。5.5mm径と6.4mm径があります。このホイールは取り換えたスポークには5.5mmのプラグ、ほかのスポークは6.4mmのプラグが使われていました。2種類のスポークレンチを持っていましたので対処出来たのですが、こんなことも勉強になったホイールです。ホイールは見た目ででは分からないという典型的は一例でした。

スポークは0.29の目盛りで約130kgfとなり、この値で調整しています

古いホイールはあきらめてもらって新品ホイールを買ってもらいたいショップと気に入っているホイールを大切に使いたいユーザーのやり取りの軍配はユーザーに上がりました。これはだめです、直りませんの言葉を鵜呑みにすることなく一呼吸置くのも大切なようです。

Elitewheel のスポーク替えと調整

最近Elitewheelというブランドをよく聞きます。お客様より連絡があり、スポーク替えと調整の依頼を受けました。

前輪756g お預かり時点でのホイール
後輪 893g 2:1組 左8本右16本 
ピラーPA1423 20本 127g ホイールに使われていたスポークです
wing21 20本 98g このスポークに取り換えます

お預かりのElitewheeはピラーのPA1423という太いスポークを使っています。このスポークはピラーのホームページを見ますと2.0/2.3/1.5mmの扁平スポークです。260mmで6.5gのとても太いスポークです。この重量は2mm径の丸スポークと同じ重量ですので2㎜径スポークを叩いて扁平にしたスポークといえます。カーボンホイールとしては剛性がありすぎる感じです。リムが割れないかと心配してしまいます。

手組ホイールファンのカーボンホイールではこの太さのスポークは使っていません。リムメーカーが禁止しています。スポークの剛性がありすぎてリムが割れる恐れがあるというのが理由ですがこの辺りことはよくわかりません。メーカーの指示に従っています。太いスポークを使う場合は相談してほしいとメーカーのホームページにかかれています。しかしElitewheelでは現に使われていますので心配ないのかもしれません。

Elitewheelのホームページを見ますとスポークをアップグレードできると書かれていますので価格を抑えるための仕様と思います。このスポークではホイールの乗り味はとても硬いと思います。スポーク替えを希望されたのは当然かもしれません。

いつも事前にスポークテンションを調べるのですがPA1423スポークは珍しいスポークなので在庫に持ってなくスポークデータがありません。今回はスポークを取り換えるということなのでまずは1本スポークを取り出しました。取り出したスポークをテンションメーター校正器でデータを取って一覧できるようにしています。例をあげますとテンションメーターの0.29目盛りが110kgfを示していましたのでこのスポークデータを使って調整します。

テンションメーター校正器を使ってPA1423のデータをとりました

お客様のご希望は前輪スポークをwing21に交換です。ニップルはアルミニップルのダブルスクエアでした。アルミニップルの再利用は避けることにしていますのでDTのSquorxProブラスを使いました。リムは穴アリリムなのでニップルは前からでも後ろからでも回せますので比較的楽に仕上げることが出来ます。ただしかかる時間はそんなに変わりません。

後輪はスポークの再調整だけです。

今回の後輪ハブに驚きました。ホイールは8:16のハブでほとんど左右テンション差がありません。カンパの2:1組ハブで組んだホイールでは2:1組といえど左右のスポークテンション差はそれなりにあります。1:1組よりも左右のテンション比率はいい状態ですがカンパでは左右差はあります。

前輪wing21に交換しました 取り換え後のスポークテンショングラフです
測定値は0.29なので実際のテンションは約110kgfで張っています 左右がほぼ同じです

驚きましたのはこのハブでは左右のテンション差がほとんどないホイールに仕上がっています。11速ハブなら通常は左右差があります。2:1組で組んだカンパ、フルクラムでは左右差があって当たり前なのに、このElitewheelでは左右のテンション差がなくほぼ同じです。ハブの構造を工夫して左右差がなくなるように設計されているようです。

お客様は後輪の剛性を残すというプランですのでスポークは太いままです。前輪はスポークを細くされましたので乗り味は柔らかくなると思います。後輪は硬い乗り味と予想します。

どんなホイールも一長一短です。価格面でメリットがあってもスポークの選択、調整に不満が出ることが多々あるものです。いままで出会った高価なホイールは価格だけのことはあって調整の良さが光っていました。高価なホイールはよく調整されています。高い理由は作製に時間が掛かっているということかも知れません。

今回のお客様はうまくプランを立てられました。スポークを交換し、テンション調整もやり直しを依頼されました。構造がいいハブを使い、スポークテンションを揃え、スポーク剛性を見直しされました。結果は高級ホイールに大変身です。グッドアイデアと思います。

魔改造ホイール、後輪が完成しました

シマノDURAホイールを改造するなら使ってくださいと頂戴しましたホイールですが後輪も完成しました。魔改造と大げさに言ってしまいましたが難しいホイール組みでした。

後輪865g
スポークを通す穴の処理が難しい
上スポークはオリジナル 下スポークは新しいスポーク スペーサーを使いました

後輪ハブは実際にハブを触ってみると構造がよくわかるのですが不思議なハブです。シマノといえばカップアンドコーンハブなので回転部分は理解できるのですがスポークの取り付け部分が難しい構造です。このハブならコピーはされないと思います。

ハブ側にスペーサーを入れてぐらつきをなくしました

ストレートプルスポークを使っていますがもともと特殊な構造のプラグという名前の取り付け金具でリムとスポークをつないでいます。これを普通のストレートプルスポークに取り換えるので問題が生じています。単純にハブにスポークを通すだけではハブの穴に強度が担保されているのか心配です。十分かどうかはわかりませんがスペーサーをハブの穴に取り付けて強度を保つようにしました。内部にネジは切っていませんがオリジナルのようなスペーサーを使うことでスポークのぐらつきをなくしました。

ハブはストレートプルスポークハブなのでスポークオフセット値を間違わなければスポーク長は正しく出ます。ハブ側でのスポーク処理をうまくできましたので通常のハブと同じです。

cx-sprint 10本
コンペティション 10本

リムは定番の36mm高リムを使っています。スポークは左がcx-sprint、右ドライブ側にコンペティションを使いました。少しドライブ側が重いです。

組み立ては全く順調にできました。スポークテンションを出来るだけ均一にして、縦ブレ横ブレを最小になるように調整しました。

リムの入荷に約一ヶ月かかりましたが完成です。大げさなタイトルをつけましたが難しいホイールに挑戦できました。ホイールを頂戴しましたお客様に感謝です。

スポークの組み替えが終わりました

5月26日に記事にしていますホイールの組み替えが終わりました。

お預かり時点では前輪818g、後輪914gでした。スポークを細くして組み替えた結果前輪は769g、後輪は890gでした。前後共で74gの軽量化が出来ました。軽量化は意味あることですが実際の感覚としましてはそんなに変化はないと思います。しかしロングライドでの疲れ具合は大きく変わると思います。

818gから769gに変わりました
お預かり時点の前輪スポークテンション
組み換え後の前輪  出来るだけスポークテンションを揃えています
914gから890gに変わりました
お預かり時点の後輪スポークテンション
組み換え後の後輪  出来るだけスポークテンションを揃えています

組み換え後の特徴としましてスポークテンションが出来るだけ均一になるように組みあげています。お預かり時と比較しますとよくわかります。

テンションを均一にしていますので駆動効率が良くなったといえます。強弱のあるスポークではスポークは正しく働いていません。僅かな差でも長く乗られると変化はよくわかります。

細いスポークは地面からの衝撃もスポークがショックアブソーバーの働きをしますので乗り味は柔らかくなっています。ロングライドに適したホイールに変化しました。お客様のインプレを聞かせていただきたいものです。