ロードバイクの科学を再読

2008年4月30日発行

もう13年前になります。この本を書店で見つけたときは感激しました。理屈がわかればロードバイクはさらに面白いと!コメントしてあります。実際、楽しく何度も読ませていただきました。特に155ページ以降の自分でホイールを組むヒントは特に面白かったです。

一番面白かったページです

もうこの時はある程度ホイールを組むことができていましたので理論的なことを吸収するのにとても勉強になりました。今や手に入りませんので古本屋で見つけるか図書館であれば借りられたら良いかと思います。

170ページにスポークにかかる力と張力設定について解説してあるページがあります。作者の藤井さんはエンジニアなので本当に難しいことをわかりやすく説明していただいています。

リアのテンション設定は120kgfにしていると書かれているのですが経験豊かな方なのでこの辺りは経験での値のようです。理論と経験がうまく絡まってとても面白い読み物となっています。

 

ページを戻しますが161ページからはホイールの製作手順を説明されています。本当にわかりやすい説明です。

うんうんとうなずきながら読んでしまいます。

 

何度も読んで勉強させていただきました愛読書ですが1点だけ気になる点があります。

164ページにスポークテンションを調べるテンションメーターにパークツールのテンションメーターを勧められておられます。愛用の道具で買ってよかったものの一つと書かれています。安価で便利な道具です。

当時私もこの記事を読みましてこれは間違いなく私も同感です。テンションメーターを既に私も持っていましたのでうれしく思いました。

 

しかしその後海外の有名ビルダーの記事を読みましてわかったのですがこの道具はとても便利な道具ですが正確ではありません。新品のホイールを買った時にスポークテンションを測っておいてホイール使用後にスポークテンションをもとに戻すときに使うものです。つまりスポークテンションを示す値は正確ではありません。20%くらい狂っているTM-1はざらにあります。輸入元のホーザンさんの担当の方が話していました。電話して確認しました。

 

何度もスポーク折れを経験されている方はバラバラのスポークテンションのホイールだと思います。

ひょっとしたらこの正確でないテンションメーターを信じてホイール作りされているのかもしれないなと思います。

仮にドライブサイドを120kgfで作っても今の11速のハブでは後輪左サイドが右の40%のハブなど沢山あるのが現実です。120kgfの40%で48kgfです。この2割狂っているとして約40kgfです。このテンションでばらつきが20%あれば30kgf近いゆるゆるのスポークがあることも考えられます。握って何キロとわかる人はまずおられません。

この本からJIS規格では最低張力が平均400N(41kgf)ということも学びましたがJIS規格以下のホイールもありうる話と感じます。

 

関西人は話の落ちを求めてしまいます。

 

ロードバイクの科学を楽しく再読して、テンションメーターは校正が必要です、はあまり良い落ちではありませんがこの本を読める機会があれば是非ともお勧めしたいです。ホイール作りに理論武装ができます。

ホイール再調整のご依頼②

先日銀輪ホイールをご注文いただきましたお客様より再度のホイールチェックをご依頼いただきました。ホイール調整は2セット目になります。

4年ほど前にプロビルダーさんにオーダーされた銀輪ホイールの再点検です。

カンパハブ使用 36hホイール

わざわざビルダーさんへ持参しなくても私のほうで調整出来るとご判断いただいたようです。

お預かりホイールは次の通りです。

前輪 842g

前輪

リム マビックオープンプロ36穴

ハブ カンパハブ

スポーク コンペティション シルバー左右3クロス組

ニップル DTアルミニップル

後輪 987g

後輪

リム マビックオープンプロ36穴

ハブ カンパハブ

スポーク 右ドライブ側 コンペティション シルバー 2クロス組

スポーク 左ノンドライブ側 コンペティション シルバー4クロス組

左サイドにソルダリング

ニップル DTアルミニップル

私のほうではお預かりしましたホイールはいつもスポークテンションを調べます。下図のグラフが前後輪のテンショングラフです

縦ブレ横ブレはほとんどない 強弱強弱という形でバランスが取れている
縦ブレ横ブレはほとんどない 強弱強弱という形でバランスが取れている
右サイドで計測 7.83mm
左サイド 7.85mm センターの誤差はほとんどない

ホイールの縦ブレ横ブレはしっかりとれています。上写真の通りセンターも驚くばかりの真ん中です。ニップルはアルミニップルですので長めのスポークでニップルのすり割りを突き抜けて作られています。このように少し長めにするとニップルの頭が飛ぶ心配はいりません。アルミニップルの弱点をよく知っておられ、扱いなれた方です。

アルミニップルの弱点をよく知っておられます。長めのスポークがいいと思います。
とてもきれいなソルダリングです。

後輪は左4クロス右2クロスと凝った組み方をされています。左スポークにはとてもきれいなソルダリングを施されています。これだけきれいにソルダリングできる人は少ないと思います。クロモリロードにはぴったりに美しいホイールです。

組んである状態ですのでハブのサイズが正確にわかりません。このためほぼ同等のシマノハブで後輪スポークテンション左右比率を計算してみたいと思います。

あくまで計算上の理論値です。後輪は左4クロス右2クロスで組みますと理論値では左52:右100の比率で組めます。通常の左右3クロスなら49:100、左3クロス右2クロスなら50:100の比率です。左サイドのスポークテンションは49,50,52と約1%刻みで改善されます。大幅な改善とみるか、なんやそれだけとみるかは個人の感じ方です。私は大きな改善とみています。

オーバーラップ状態

こうしていろんな36穴リムでのクロスパターンを仮定しますと左4クロス右2クロスは一番高い比率で組めます。しかしこのハブで4クロス右2クロスを組みますと左スポークは計算値ではオーバーラップしますのでは一般的には行いません。

後輪左側のスポークはオーバーラップ

オーバーラップとは写真のようにスポークが重なり合うことです。スポーク同士が接触しあう組み方ではスポークが曲がって干渉しあうことがあるのでお勧めしないといわれています。私はやったことがないので良いのか悪いのかはわかりません。

調整後の左テンションの計測値は約52kgf:123kgfで仕上がっています。11速に伴ってハブオフセットの値が大きい最近のハブでは左スポークテンションがとても緩い仕上がりになりますのでこの実測値は高い仕上がりと考えます。

お預かり時の後輪スポークテンショングラフ

お預かり時の各スポークテンションを調べますと上図のテンショングラフになります。グラフで見るととても分かりやすいです。スポークテンションは強弱強弱と波打ちながらもきれいに振れ取りが出来ています。振れはほとんどありません。これだけきれいに振れ取りをされていていれば通常ならOKです。

センターは0.1mmの以下のずれ、優秀です
センターは0.1mmの以下のずれ、優秀です

このホイールはとてもきれいな仕上がりですのでスポークテンションが揃っていないのは残念です。

いつも各スポークテンションの偏差を5%以内に収めていますのでオーナー様はこのホイールのスポークテンションがもっと揃うようにということで今回依頼されました。

各スポークテンションを揃えて且つ振れを最小になるように再調整終わったグラフが下図のグラフです。

スポークテンション調整後の前輪      左100kgf右100kgfで仕上げました
スポークテンション調整後の後輪左52kgf右123kgfで仕上げました

どのくらいパフォーマンスが上がったかを感じ取ることは低速時では難しいと思いますが各スポークのテンションがほぼ同じに引っ張っていることにより高速時では違いがよくわかると思います。可視化しますとよくわかります。スポークテンションの均一化はとても大切です。

今回はいろんなホイール、自転車を乗ってこられた目の肥えたユーザー様に信頼を得たことがとてもうれしいです。

ホイール調整のご依頼

キンリンXR22T/RT20・24hをお買い上げいただいたお客様より今までご使用のホイールの再調整を依頼されました。

ホイールはイーストンのアルミホイールです。最初の状態を知るためにスポークテンションを調べました。

次のグラフが最初の状態です。

お預かり時の前輪スポークテンション
お預かり時の後輪スポークテンション

では先ず前輪について説明いたします。

スポークテンションが数か所大きく違う場所がありました。細かく調整しなおしましたのでグラフはきれいな丸になっています。まあ完ぺきではありませんが使える状態にしました。

修正後の前輪スポークテンショングラフ

 

次に後輪です。

修正後の後輪スポークテンショングラフ

上図が調整後の後輪です。

 

一ヶ所、理由はわかりませんが大きく歪んでいるところがあります。おそらく落車が原因と思われます。振れ取り台のメーターで見ますと1mm以上の凹みがあります。

この凹みが原因で縦ブレ横ブレが起こります。

今回このホイールの再調整では完全な丸にはできません。お預かりの時点では無理やり丸にしようとしていましたので非常に緩いスポークが数か所ありました。これがホイールの性能を悪くしていた原因です。前へ進む力がこの緩いスポーク数本で減じていたと思います。

 

スポークのテンションを調整してリムを丸い状態にすることはできませんので、凹みは凹みと受け入れて調整いたしました。まあ、無視するわけです。そしてスポークのテンション均一化だけを最優先しまして調整しました。グラフで見ていただくとわかりやすいです。ホイールの9時のポイントがへこんでいるのですがスポークテンションはおおよそ均等に張られています。

リムに1mmの凹みがあるのですがタイヤに空気が入りますとわからないと思います。今まで乗っておられたので先ず大丈夫です。

ホイールセンターはハブの設計上どうしても左が緩いので(53kgfまで上げています)リムセンターを左に0.6mm寄せています。つまりスポークを適正値より強く引っ張って調整しています。本来の適正値で調整すると50kgfは大きく下がる数値になりますのでリムが左に寄るのを承知で調整しています。

タイヤがはまりますと0.2ミリほど右に寄りますが、使用時のホイールは少し左に寄っています。しかしこの状態は使えない状態ではありませんので最終的にはブレーキ側で調整することでお願いしました。

 

お届しましてお返事がありました。このホイールは中古品を買われたようです。販売した人はへこんでいることなどはお客様には話していないようです。使っている間に不都合な点がわかられたようです。中古品のリスクは身に染みたとおっしゃっています。見た目だけではわかりません。安すぎるホイールは怪しいです。

中古品マーケットはいろんな媒体で増えていますが自分で直せる人、またメンテができる人のルートを持っていない人は手を出すのは危険です。

ホイール再調整のご依頼

先日、銀輪ホイールのご依頼をいただきましたオーナー様の奥様が所有のホイール調整を依頼されました。

 

ホイールは次の仕様です。

マビックリムの手組ホイール 前輪858g
後輪 1065g

リム マビックリム

スポーク DTチャンピオン 2.0mmストレート

ハブ シマノ前HB5800 後FH5800

ニップル ブラス シルバー

前輪 858g 後輪1065g 前後1923g

 

このホイールはユーザー様のご友人が組まれたホイールとのことです。

 

前輪の振れは±0.2mmの振れでした。とても優秀です。きれいに回ります。

軽いホイールではありませんが見た目はほとんど振れていないクラシックなクロモリロードにはぴったりのスタイルです。

 

ただ奥様は踏んだ時にスピードに伸びがないホイールというご不満をお持ちです。

 

さて、スポークテンションを調べました。下図のグラフが分かりやすいと思います。

お預かり時の前輪スポークテンショングラフ

前輪 左67.8kgf スポークテンションばらつき25.7

右64.0kgf スポークテンションばらつき15.7

お預かり時の後輪スポークテンショングラフ

後輪 左40.9kgf スポークテンションばらつき40.8

右101.8kgf スポークテンションばらつき23.0

 

となります。総じてとても緩い仕上がりです。しかもスポークテンションのバラつきが大きく目立ちます。振れは全くないのにとても残念な仕上がりです。

修正しました。

テンションを上げて均一になるように修正
修正後の後輪スポークテンショングラフ

今まで何回もテンションのバラつきを記事にしてきました。今回も同じ説明の繰り返しになってしまします。

見た目ではホイールの良し悪しはわかりません。きれいに車輪は回っていてもパフォーマンスは全く違います。理由は各スポークテンションばらつきにあります。

スポークテンションがばらついていますとクランクを回して発生した力が各スポークに伝わるまではどのスポークにも同じ力が伝わりますが車輪を回す力はバラバラのスポークで駆動ロスが生じます。スポークの張りは揃っていないといけません。

 

オーナー様が踏み込んでも伸びないとおっしゃるのはリムの剛性が大きく影響しますがスポークの張りが不揃いなのも原因の一つと思われます。

スポークテンションの均一化調整はお金のかからないグレードアップになるのではないでしょうか。ただし経験が必要なのでハードルが高いのが難点です。

テープ選びにてこずる

リムテープの交換を行って感じたことを今回記事にしています。私の経験不足でこの結果になったのかもしれませんが意外と同じような経験を持つ人が多いと思います。

以下DT RR421アルミリムを使ったグラベルロード用のホイールでチューブレスレディーホイールとして取り扱った時の経験です。

 

RR421はチューブレスレディリムなのでチューブレスで使うにはテープを貼って空気止めを行うことが必要です。先ずはテープを貼ってバルブを取り付けます。リムテープは定番の黄色テープを用意しました。。

定番の黄色テープ

リム面をアルコールできれいにふき取り油分を取り除きます。ピンと引っ張りながらゆっくり空気のふくらみを取りながら巻いていきます。指圧をするような感覚です。通り重なる部分を10cmほど取りカットし、千枚通しでバルブ穴のところを突き刺してバルブをセットします。

タイヤは方向がありますので注意が必要です。私は手軽な石ケン水を使っています。タンク付きのポンプで空気を一気に入れますと一発でビードは上がりました。

 

タイヤに書いてあります推奨空気圧まで入れて様子を見ることにしました。

 

4時間くらい経って空気圧は1気圧くらいまでに減っています。残念ながらこれでは使い物になりません。しっかりとテープは注意して貼っています。しかし考えられるのはリムとテープがきっちりと貼れてなくどこかで漏れているのです。

 

どうやら一つのテープでどんなリムでも使えるとはいかないようです。これでなんでも使えるテープはないようです。

ブルーのテープで試してみました

ポリイミドテープとブルーテープ

リムとテープの相性が悪いと考えましてもう一度別のテープで試みました。いつも使うブルーテープです。うまく行きません。次にポリイミドテープを試してみました。

同じ手順でテープ貼りを行いビードも一発で上がるのですが6時間ほどでタイヤはペコペコになっています。これもうまくいきません。

 

DTリムは梨地仕上げのためキンリンリムのようにつるんとしていません。少しざらざらしています。これが影響しているのかなと思います。。なかなかピタッとテープがくっつかないのです。

 

ビードは上がるのですが長持ちしない原因はここにあるとにらんでいます。

リムとテープの相性は相当あるようです。テープ代は結構嵩みます。安価に済まそうといろいろやってみるのですがなかなかピタッと来るものがありません。

 

DTリムにはDTテープがいいのかもしれません。テープ選びはなかなか手強いです。

グラベルロード用のディスクホイールの組み換え

ホイール組み換えをご依頼頂きました。

DT RR421 disc rim使用

ホイールはお近くの自転車屋さんで組んでもらったグラベルロード用のディスクホイールでした。組んでもらって1年もたっていないとのことです。組み直しの理由は1本ゆるゆるのスポークがあり、どうしても直らないので組み直しを考えられたようです。

 

自転車屋さんには何度も持っていかれたのですがもうこれ以上は無理ですといわれたようです。

スポークが緩すぎてテンションメーターが使えない

お預かりホイールのスポークテンションを調べました。これで大体の様子がわかります。

グラフを見ていただくとわかりやすです。

 

よそ様が作られたホイールにどうのこうのいうのは失礼かもしれませんがちょっとひどい組み方です。見た目はとても恰好良いホイールです。このホイールはもともとがリムが歪んでいますので自転車屋さんも困ったのでしょう。

最大限に直してこのスポークテンションでした

ニップルを一度緩めて組み直しましたがうまくいきません。どうしても一ヶ所緩いところが出てしまいます。自転車屋さんが言われるようにリムのひずみが影響していると思います。お預かりしたときに緩いスポークがありましたがその位置です。通常これだけ歪のあるリムは使わないで新しいリムを用意するのが自転車屋さんのプライドだと思いますが少し残念なことです。

 

このホイールを作られた時テンションが異常に偏っています。どうしてもうまく作れないリムは確かにあります。お客様とお店とはいろんなやり取りがあったと思いますが詳しくはわかりません。

新しいリムで作り直します。RR421は軽量です。

さて、新しいリムが届き組み直しました。ニップルは当初はアルミでした。重くなりますが丈夫さのほうで勝っているブラスに替えていただきました。

お預かりのホイールではスポークがニップルを突き抜けて作られていればそのままアルミでもよかったかもしれませんがやはり丈夫さではブラスですのでブラスニップルをお勧めいたしました。

スポークの頭だ見えません アルミニップルでこの状態は危険です
取り換えたニップルの頭部ねじ山はきれいな状態でスポークがつきぬけていなかったことがよくわかる

今までに数百本とホイールを組んできていますがアルミニップルの頭が飛んだとご連絡いただいたことは4回あります。率にすれば本当に少ないのですがやはり頭が飛んだことには多い少ないはありません。

十分注意してアルミの弱点を知っているつもりでも頭が飛ぶときはあります。原因はほんの少しですがスポークが短かったことです。ニップルのすり割りのところまでスポークが来ていても経年変化で弱点が出たのだと思います。すっかりと突き抜けていれば頭は飛ばなかったと思います。

こんな経験もありますので安全性を考えますとブラスです。ホイールメーカーがブラスニップルを使うのはこんな理由からだと思います。

ニップルをすべて取り換えて完成しました
前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

今回のホイールでいろいろ勉強させて頂きました。

●どうしても歪のひどいリムはあります。ひどいリムでは無理して組まずに新しいリムで組んだほうが安全です。

●振れが少ないホイールだけでは良いホイールとは言えないことです。オーダーされたホイールのスポークが適正に張られているかどうかを調べることが肝要です。スポークをたたけばよくわかります。音がバラバラでは揃っていません。いいホイールはスポークを叩けば、弾けば同じ音がします。

●アルミニップルは軽くてホイールの軽量化に貢献します。しかし扱いが難しいのでブラスを選択されたほうが楽に組めると思います。

キンリンXR31T/RTホイールのインプレをいただきました

昨年10月にお納めしましたホイールのインプレをいただきました。記事にさせていただくことにご了解を得ました。これからのホイール作り、購入の参考にしてください。

前輪

リム  キンリンXR31T 18h

ハブ  シマノ アルテグラHB-6700 18h

スポーク サピムCX-RAY 黒  ラジアル組

ニップル  ブラス

重量  757g

 

後輪

リム  キンリンXR31RT オフセットリム 24h

ハブ  シマノ アルテグラFH-6700 24h 10速用

スポーク  コンペティション2.0/1.8/2.0mm 黒 2クロス組

ニップル  ブラス

重量   1013g

前後1770g

以下ご感想いただきましたメールです。

 

ずいぶんと遅くなりましたが、平坦も登りも走れたので感想をお伝えさせて頂きます。

正直エアロ効果をあまり期待はしてなかったですが、その違いにとても驚きました、私はリムAL22WにRS400ハブの手組も所有していますがそれよりは明らかに時速30キロ保持の巡行が楽です、リムハイトが高い分、重量は重たくなったとしても今回作成していただいたホイールのほうが明らかに楽に走れます。ハブの回転もとても滑らかで良く回りますね、足を止めていた時にスルスルと転がっていく感覚はとても気持ちいいものです。あと、フリーの音が静かなのが私は好きなので今回のハブ選択は私にはベストです。

登りもリムの剛性が高いからでしょうか、ダンシングしたときに力が逃げずにちゃんと前に転がっていきます、横にたわまないという言い方だとわかりやすいでしょうか。登りでも向かい風は普通にあるわけですから軽さも大事でしょうが空力も大事なのがよくわかりました。今回作って頂いたホイールは万能に使えますが、ロングライドに使うのに適したホイールと思いました、楽に長い距離を走るのに適していると思いす。見た目も悪くないです。私の自転車には最高にマッチしていると思います。

それと、私が何より気に入ったのが製作者の高い技術力と、ホイール作成に真面目に取り組んでいただいたことがハッキリとわかる品物だったということです。リムとハブの選択や完璧と呼ぶにふさわしい調整は私の所有欲を満たすには十分すぎるものです、また機会があればよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

こんなにほめていただきまして恐縮いたしますがXR31T/RTリムがいいことには間違いありません。

 

1本500gほどのリム、ハブも前後で約500gありますのでビギナーの方は少し重いホイールと敬遠されますが剛性がありますのでご心配は取り越し苦労に終わります。

踏んだ力が逃げなく適度の空力も得られます。ゾンダ、レー3何するものぞ!と思っています。

ブランドのあるなしに関わらず剛性の高いリムを使いスポークが適正に調整できているホイールはよく走ります。

チューブラーホイールをクリンチャーに組み替え

オールドカンパハブを使用のチューブラーホイールをクリンチャーに組み替えるご依頼がありました。ホイールの名医になるにはどれだけ患者さんに接したかで決まります。新も旧もこなせないといけませんので引き受けました。

オールドカンパハブ使用チューブラーホイール

36hのクリンチャーリムは手に入りにくいのですがキンリンのXR240リム36hが手に入りますので提案いたしました。ナローリムですが強度があります。安価な点もうれしいところです。

ボスフリーがないと分解できません

お預かりのホイールは前後輪ともに本当に古いなというのが第一印象でした。6速ですので特殊な器具を使わないとフリーは外せません。ボスフリーはいろんな種類があります。昔からのライダーさんや最近はやりの自転車レストアに興味がある方はよくご存じと思いますがこういった金具は見つけたら手に入れておくととだと思います。

 

先ずホイールのスポークテンションを測りました。下図のグラフが前輪のグラフです。後輪は測定不能の数値でしたので割愛します。

緩いスポークテンションで均等に張られていません

ホイールを組み直すにはこのフリーを外さないと前へ進みません。長年ほっておかれたので固着していました。オイルをさして動きやすくするなど四苦八苦しましたが何とか外せました。固着したフリーを外せたときはほっとします。ちょっとした感動の気分を味わえます。よかった!と思う瞬間です。

フリーを外せるかがキーポイントです

全部ばらしてハブを磨きました。昔のハブは磨くと本当に美しくなります。ピカピカになります。この点が今のハブに一番欠けているところです。もちろんインダストリー9やクリスキングなど美しいハブはあるのですがとても高価です。値段を考えますと購入には躊躇してしまいます。

ハブを計測 前輪用ハブ
後輪ハブ

ハブはしっかりと寸法を測りスポーク長を出しました。ここまでくれば通常のホイールと変わりません。スポークはテンションを均等になるようにします。スポークテンションは前輪約100kgf、後輪右110kgfの張り具合まで調整して完成です。

組み換え後の前輪
前輪スポークテンショングラフ

今回の組み換えのキーポイントはハブに合ったボスフリーを揃えているかということでした。合うボスフリーでしたのでよかったです。

タイヤを選ぶ

ロードバイクで一番コスパの良いアップグレードはタイヤで次にホイールといわれています。まずタイヤが大切と考えいろいろ試してきましたが何でも彼でもというわけにはいきません。時間的にも経済的にも無駄が多いです。お店で評判を聞くのもいい方法です。バイク仲間からの情報も大切です。

 

ホイールをお買い上げいたいた方に使っておられるタイヤをおたずねしますとコンチネンタルGP5000を使っている方が多いようです。よく知られているタイヤで評価がとても高いタイヤです。

私はコンチネンタル・チューブラータイヤのコンペティションでインストールがしんどい(西日本の方言)のを知っていますので今のところはGP5Kを試していません。

チューブラーのコンペティションはしんどい!

BicycleRollingResistanceというホームページを参考にしています。ご存知の方が多いと思いますが海外のサイトですのでまだ知らない方に紹介したいと思います。

タイヤの商品試験を発表しているホームページでとても勉強になります。「暮らしの手帳」の商品試験と同じようにタイヤをテストしていろいろな切り口で評価しています。このホームページから得た情報でタイヤを購入してきました。

 

転がり抵抗の少ないタイヤを探すのに有益な情報が多いのです。競技に出ないライダーですがコスパの良いタイヤを探したりするのにとても参考になります。すべてコンチネンタルのGP5000で行くのは間違いではありませんがいろいろ試してみるのも楽しいです。タイヤ、ホイールは奥深いです。

 

ストレイトプルスポークを使って感じたこと

ストレイトプルスポークのホイールをべた褒めする人がおられます。でも本当にそうでしょうか?

スポークメーカーのDTがJベントとストレイトプルスポークの性能は同じと言っています。Jベントは折れやすいという人がいますがJベントもストレイトプルスポークも強度的にはほぼ同じのようです

 

私もストレイトプルハブ、スポークを使います。ホイールを作っていてああ、こういう理由でメーカーはストレイトプルハブになったのかと思うようになりました。以下、ストレイトプルスポークを使った印象を述べたいと思います。

ハブにスポークを通しておけば作りやすい
スポークを先に通しておけば効率が良い
  • 先にスポークをハブ穴に通しておけば簡単にスポークを取り付けることができます。仮組に時間が掛かりません。私もこれをやってみて楽だなと思いました。難しいことを考えることなくニップルを通していけます。これなら楽でいいわ、というところです。ホイールメーカーがこのハブを使うのは納得です。時間的に短縮できるのはこのハブです。

ホイールメーカーのYouTubeを見ていますと分業して組み立てしています。ハブにスポークを通すことだけの仕事をしている人、スポークにニップルを通す人、スポークテンションを上げて振れ取りする人、最終検品する人とすべて分業して作業効率を上げています。ストレイトスポークハブはこのように作業効率を上げるには最適です。

 

  • Jベントスポーク用のハブではグラグラとスポークが動きますのでリムにスポークを通すには時間が掛かります。方やストレイトプルスポークではハブの穴位置が決まっていますのでただ通すだけです。

 

  • 同じように作業効率ですが、スポークを曲げなくてニップルを通すことができます。Jベントスポークの場合ニップルを通すときにスポークを若干曲げないとうまく通すことができませんがストレイトプルスポークでは曲げなくてもスポークを後ろに少し引けばニップルを楽に取り付けることができます。

 

このようにストレイトプルスポークで組み上げるのはJベントより確実に間違えることなく短時間でホイールを作り上げることができます。ホイールメーカーでは経済性、生産性が先に立つのでストレイトプルスポークを使っているのだろうと思います。

不満なところとして

●ハブの穴が決まっていますので2クロス、3クロスと選択ができません。決まった組方しか選べません。ラジアルとクロス組のミックスなどJベントならいろいろ変化を選ぶことができますがストレイトプルスポークでは1つしか選択できません。

ストレートプルハブ、スポークを使うと

●ハブ計測の仕方などストレイトプルスポークを使ってをホイールを作る情報を詳しく得ることができないのが問題でハードルを高くしているように思います。

●作り方としてはストレイトプルスポークのほうが作りやすいのにスポーク長の計算方法やハブを少し分解しないと組み上げることができないのでこれが難しいと思わせる一つでないかと考えます。

以上がストレイトプルスポークのホイールを作って感じていることです。

DTが言うように強度的な問題ではどちらもほぼ同じとなりますと組み方が固定的なストレイトプルより一つのハブでいろいろ組み方が出来るJベントのほうが好きです。

それにしても作る工程など考えてもそんなに違いがないのにストレイトプルスポーク用の部材の割高なのは何故でしょうか?