フックレスカーボンホイールの作製

チューブレスカーボンホイールをご依頼いただきました。リピートオーダーのお客様です。

いつも報告しますがt当方の作りをご理解いただいているということですから繰り返してのご注文はありがたいです。

フックレスリムです。

さて、今回は初めてのフックレスカーボンリムです。いままではフックありのリムばかりでしたが恐らくこれからは増えていくと予想されるリムでのご注文です。

タイヤが大きく変わってきました。フックレスタイヤはビードがなくタイヤ面をしっかりリム面に密着させてタイヤをインストールしますので扱いやすくなります。空気圧も下げて乗りますので乗り心地が良くなります。転がり抵抗も良くなると聞いています。

タイヤの選択肢がまだまだ少ないのですがもっと増えてくると思われます。

ENVE リムブレーキ用 フロント20h
ENVE リムブレーキ用 リア 24h

ハブはENVEのリムブレーキ用ハブです。このハブはお持ち込みです。ENVEハブも初めてです。ハブフランジが特殊です。ラジアル組ではスポーク長の計算は楽ですがクロス組になりますと少し難しいです。難しいといいましても通常の計算には変わりありません。ENVEのホームページで出されている数値データには十分再確認が必要です。やはり実測が大切です。

初めてのENVEハブですがお預かりのハブなので失敗はできません。十分注意を払いながら作業を進めました。前輪はラジアル組、後輪は左右2クロス組です。ハブはフランジ幅が広くとられているのでスポークのブレイシングアングルが大きく横剛性がとても高く仕上がります。このハブの特徴です。ベアリングもNTNのLLBベアリングを使用されています。

前輪654g ラジアル組

前輪スポークテンショングラフ
ENVEハブ フロント 20h
後輪 808g 2クロス組
後輪スポークテンショングラフ
後輪 CX-RAY 2クロス組

36mm高のリムでフックレス・ディスクホイールは次のような仕様です。

リム 36mm高28mm幅 前輪20h後輪24h ともにフックレス ニップル穴なし

ハブ ENVE hub リムブレーキ用 

スポーク サピムCX-RAY 黒

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

エンヴィハブにフックレスと今回のホイールには2つも初めてのことを経験させていただきました。

やはり初回ホイールでご信頼いただけたことはありがたいことです。作製に関してはスポークテンションをできるだけ均一に、できるだけ振れを最小にすることを念頭に仕上げました。お客様のインプレが楽しみです。

前輪24h後輪28hワイドリムホイールのインプレ

8月にお収めしました24mmワイドリムホイールのインプレをお送りいただきました。今後のホイール選択の参考になると思います。フロント20hリア24hホイールと比べて8本スポークが増えます。40gほど重くなります。この良し悪しは体重次第ですが8本増えることはプラス面のほうが多いと思います。

以下ご連絡いただきましたそのままです。

後輪28h 938g
前輪24h 701g

**様

お世話になります。 **です。

組んでいただいたホイールのインプレが遅くなってしまい、申し訳ありません。

結論から言いますと、大正解でした。

のむラボ1号ホイールからの入れ替えです。

のむラボは全国レベルで人気がありますし、のむラボ1号もとてもいいホイールでした。

装着していきなり、いつもの峠で自己ベストが出たので評判通りと思ったものです。

ですが、昔ながらのナローリム&クリンチャーなので、この度ワイドリム&チューブレス対応のホイールをお願いした次第です。

それともう一台のバイク(こちらがメイン)がワイドリム&チューブレスで、とても良かったので、

セカンドバイクのホイールも同じ仕様にしたかったのもその理由です。

タイヤは、IRC Formula Pro RBCC 25Cにしました。

タイヤ装着も手こずらないでできましたし、フロアポンプですんなりビードが上がりました。

ちなみに、メインバイクのホイールはCLX50でタイヤはスペシャライズド S-Works Turbo RapidAirなのですが、フロアポンプでは全然ビードが上がらず、ブースターポンプを購入しなければなりませんでした。

重量は、ホイール単体ではのむラボ1号のほうが少し軽いですが、チューブが無い分、タイヤ装着時の重量はほとんど同じでした。

最初にお断りしておきますが、このインプレはタイヤの影響が多くを占めていると思います。

「ロードバイクの印象のほとんどはタイヤに起因する」と誰かが言っていましたが、そのとおりだと思います。

走り出した第一ですが、「おおっ!」というほどの走りの滑らかさ、乗り心地の良さでした。

自動車で例えると、軽四と中型車くらいの差がありました。

いままでは、荒れた路面やマンホールを「ゴッゴッ…」と乗り越えていたのが、「コツコツ」に変わり、路面をヌルヌルとなめるような感じで走っていきます。

いままで、マンホールや路上のペイントを避けていたのですが、あまり気にならないレベルになりました。

かと言って、走行抵抗が増えたようには感じません。

空力的には、のむラボ1号はリムハイトが35mmだったせいか、特に差は感じませんでした。

ロードバイクは、乗り味がゴツゴツで、暴れるし、ケツが痛いもの。との固定観念がどこかに飛んでいってしまいました。

「ロードバイクってこんなに快適だったんだ」と感動すら覚え、走るのが楽しくなりました。

また、ご助言通りに少し多めのスポーク数(前輪24H、後輪28H)にしたのも正解でした。

スポークの重量増のデメリットよりも、丈夫でしなやかになるメリットが大きいと思います。

また、不思議なのが同じワイドリム&チューブレスのメインバイクよりも、乗り心地がいいことです。おそらく、リムハイトの高い(50mm)カーボンリムは、縦の剛性が非常に高いのだと思います。

当然、それなりに距離を走っても疲れ方がいままでと全然違います。

最近ではセカンドバイクばかり乗って、メインバイクが寂しがっています。

今年はコロナ禍でレースがほとんど中止になりましたが、来年はこのホイールでヒルクライムレースに出場したいと思っています。

とても良いホイールを作ってくださり、ありがとうございました。

以上

追記

インプレの追加をお送りいただきました。

下りの快適さです。

いつもはびびりながら降りる十三峠の険しい下りでも、安心してブレーキングでき、狙ったラインをトレースできます。

特に、六甲頂上から逆瀬川に下るときに遭遇する魔のデコボコライン(正式な名前は知りません)は、自転車が壊れるのではないかと思うほどの振動なのですが、このホイールになってからはストレスなく通過できるようになりました。

次はどんなホイールをお願いしようかと考え中です。

良いリムが見つかりましたら教えてください。

以上、よろしくお願いします。

今回のリムはキンリンのXR31T/RT 24・28hでした。次にお勧めするならキンリンのXR22T・RT 24・28hですがコスパを考えますと一押しになります。しかし世界中のアルミ不足が影響しましてなかなか手に入らないのが現状です。早く平常に戻って欲しいです。

ディスクホイールの作製

サーリーのクロモリフレームに載せるディスクホイールのご注文をいただきました。お客様はリピートオーダーのお客様です。手組ホイールの良さを知っていただいています。

DT RR411 437g
アレックスディスクホイールを分解します
取り出したシマノディスクハブ FH-RS505 375g
新しいシマノディスクハブ HB-R7070

リムはDTの軽量アルミディスクリムRR411(437g)です。リアハブは135mm規格のシマノハブFH-RS505(375g)を使います。後輪ホイールをお送りいただきこのホイールを分解して転用するというご注文です。いわゆるお持ち込みです。

前輪ハブはこちらで用意します。シマノハブで105シリーズのHB-R7070(164g)を提案しました。今はシマノハブの手配が難しく幸いにも私のほうで手持ちがありました。スポークは定番のコンペティションで組みます。ニップルはブラスです。

お送りいただいた後輪ホイールを調べてみました。

スポークテンションは不揃いで振れも大きい

いつも預かりましたホイールはテンションを調べます。以下のグラフです。まあ予想の通りです。テンションにバラつきがあります。これでは振れも出やすいです。

このホイールのハブを使い新しいホイールに作り替えます。

手組の良さはいろんな組み合わせが出来ることです。手持ちのハブやリムを使っていろんな組み合わせを考えることができます。性能の良いハブを持っておられるとリムは消耗品ですのでアルミリムからカーボンリムに変更も可能です。

お客様はおそらく沢山自転車を乗り継いで来られたのでしょう。余っている部品を沢山お持ちでした。言い換えればいろんな経験知を持っておられます。こちらもアドバイスをいたしますが決められるのはお客様です。果たしてお客様とのやりとりはすんなり進みました。ありがたいことです。

今はアルミ不足が影響してリム、ハブが手に入れにくい状況です。今回のリムも入手に時間が掛かったのですが無事お納めすることが出来ました。

DT RR411 ディスクリム使用 前輪865g
完成後の前輪スポークテンショングラフ バラつきが少ない
DT RR411 ディスクリム使用 後輪1072g
完成後の後輪スポークテンション

重量は前輪865g、後輪1072グラムとホイール自体は結構重いのですがリム重量は約440gです。中心部が重いだけなので漕ぎ出しの軽いホイールに仕上がります。やはり外周部が軽いと回転は軽快です。

ホイールはいつものようにスポークの張りをできるだけ均一にし、振れはできるだけ最小になるように調整しました。お客様のご意見が楽しみです。

Bang for the buck

自転車フォーラムを読んでいましたらこの熟語が出てきました。アメリカ俗語で支払いに見合う価値とあります。面白い表現と思いメモしていました。いつか使えると思っていました。

後輪 823g
前輪708g

本日、このブログ記事に発表いたしましたお客様より次に紹介しますホイールの印象をお送りいただきました。本当にうれしくて何度も読み返しました。

もちろん私が組んだホイールの宣伝になるということもあるのですが、良かったと言っていただきますととても励みになります。

インプレにはタイヤのことが書かれています。使用するタイヤで大きく走る印象が変わります。実際に使われているからこそわかることです。ホイールはロードバイクで一番大切な部品の一つです。ご参考になるかと思います。

手組ホイールファン様

先日ホイールを納品していただきました**です

早いもので購入から2カ月が経ちました。

購入したホイールは現在メインとして使用しています。

まず全体の感想ですが、非常に満足しております。

今後は他のリムハイトのホイールもお願いしたいと思っています。

今回は46mmのディスクブレーキモデルでしたが重量も1500gを下回り、登りでも軽快に登れますし、平地での巡行も非常に安定しています。

このホイールで初めてチューブレスタイヤを使用しました。まずIRCのFormula pro RBCC 28cを試しましたがタイヤとホイールの相性は抜群です。簡単にビードが上がりますしシーラント無しでもエア漏れもほとんどなく1週間で1bar空気圧が下がる程度でした。

外観もホイールと28cのタイヤはベストマッチだと言えます。乗り心地はチューブレスということもありますが、非常に滑らかでタイヤとホイールが振動を吸収していることを感じます。平地主体のコースやロングライドではこれがベストの組み合わせかなと思います。

ただ峠などの長い登りが続くコースでは28cのタイヤはさすがにもっさり感は否めません。そこでIRC Formula pro S-light25cを履いてみました。

するとこれがまた印象がガラッと変わります。RBCC28cが315gなのに対してS-Light25cは220gと軽量なので当然かもしれませんが、登りが圧倒的に軽快になりました。登りのダンシング時にはホイールがしっかりと力を受け止めて適度なしなりが推進力を生んでくれている感覚があります。

自分はあまりブランドにはこだわらないので、この価格でこの性能なら2~3倍のお金を払ってブランド品のホイールを買う理由は無いな。。。と感じています。

このように私自身非常に満足していますので、友人にも自信をもってこのホイールを勧めています。近々友人から問い合わせがあるかもしれませんが、その時はご対応いただけると幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。

****

お納めしましたホイールはBang for the buckのようです。良かった。

前後1355g、超軽量ディスクカーボンホイールの作製

3月末のことです。

今までに36mm高、46mm高のディスクカーボンホイールを2セットご注文いただきましたお客様よりもっと軽いディスクホイールが出来ないかとお問い合わせがありました。

リムメーカーに35mm高28mm幅ディスク用リムで360gというリムがあることをお知らせしました。

すぐにご注文いただきましたのですがリム発注後いくら待っても送られてきません。

毎月メールで問い合わせしましたが今作っているところですという返事です。相手は中国の会社ですので日本のメーカーさんとは考え方が違うようです。

落語での蕎麦屋の出前は「今、出ました。」ですが、このメーカーは「今、作っています。」ばかりです。仕方なしにお客様に事情をお伝えし、辛抱していただきました。

待つこと5か月、8月末にやっと出荷案内が来ました。それでもまだ航空便で10日ほどかかります。

やっとのことで届きましたリムがこのリムです。

リム重量351gは軽いです。
穴なしリム 内部センターチャンネルに穴がありません。

実測値は351gです。驚きの軽さです。もっと軽いリムはあると思うのですが強度も大切です。同種類を45mm高で発注したことがありますので強度的には安心していました。

仕様は

リム 28mm幅35mm高 軽量カーボン 穴なしリム

ハブ TNI REVOハブ

スポーク サピムCX-RAY

ニップル DT SquorxPro ブラス 黒

という構成です。

いつも買っているリムと比べますと一段格上のリムです。前後で代金が約2万円アップとなります。ブラスニップルを使っていますが100g~120gほど同規格と比べて軽くなります。

簡単には100g2万円アップです。これを安いと考えるか高いと考えるかはユーザー次第です。

前輪 617g サピムCX-RAY使用
前輪スポークテンショングラフ
後輪 738g 穴なしリム サピムCX-RAY使用
後輪スポークテンショングラフ

前輪 617g 後輪 738g 前後で1355gです。

私は1300g台のホイールが10万円前後の価格なのでカーボンホイールの中では高価ではないと思うのですが如何でしょうか?

いずれにしましても3セットお納めしていますのでそれぞれの印象を教えていただけると思います。とても楽しみです。

トラック用カーボンホイールの作製

何度もご注文いただいています超ベテランライダー様よりトラック用の後輪カーボンホイールをご注文いただきました。競輪場を仲間で借りて練習されるようです。

当初はシマノDURAハブで考えておられたのですが台湾のBitexも作っていますよと提案しました。カップアンドコーンではありません。シールドベアリングを使っています。

シマノだけではありません。

リムは36mm高28mm幅のカーボンリムです。何度も使っていただいていますのでどんなリムかはご理解いただいています。今回は28穴の穴なしリムです。

スポークは練習用なので丸スポークも考えておられたのですがサピムのCX-RAYシルバーをお勧めしました。練習用といえども競技に使いますので少しでも空力の良いほうがいいと思います。ニップルはDTのSquorx-pro ブラスでシルバーを選択しました。

穴なしリムの利点は第一にテープが不要です。剛性を比べたことがないのですが穴がないので穴アリリムよりは強度は高いようです。ホイールを作る側には面倒なリムですが使う側には利点の多いリムといえます。

今回は28穴で作らせていただきました。スポークテンションは124kgfで出来るだけ均一になるように調整しました。

シルバースポークにシルバーハブが新鮮です。
ダブルスレッド JIS組 3クロス
出来るだけ均等になるようにスポークを張っています

トラック用の後輪ホイールは左右スポークテンション差がありません。前輪を後ろに取り付けるようなものです。ホイールはとても新しい感覚です。今までのトラック用のホイールとは少し違います。左右のテンション差の駆動ロスはないので走りの結果を楽しみにしています。

カーボンホイールの評価を頂きました

36mm高のディスクカーボンホイールをお納めしました方より評価をいただきました。

とても良いといっていただいています。少し自慢話のようになりますがお客様よりいただきました生の声ですので参考になれば幸いです。

そしていい意味での発破をかけていただきました。とてもありがたいことです。感謝申し上げます。

以下、インプレです。

拝啓 手組ホイールファン様

先週、高さ36ミリのディスク用カーボンホイールを購入させていただきました**です。 まだまだ暑い日が続きますが、早速タイヤを組み付け2時間ほど試走してきました。 普段、山に向う時は、30ミリのアルミホイール、平坦な行程の場合は45ミリのカーボンホイールを使うことが多いのですが、 まず感じたことは、このホイール向かい風でも良く進むホイールだという事です。 特に斜め前からの時には、何故か後ろから押される感覚があり、非常に楽ですね。 また、横風に対しても神経質にならずに巡航できるところが有り難いです。 そして登りも問題なく適応できるポテンシャルを確認出来ました。 いつもと同じ坂道も1〜2枚重いギアを使えました。 乗り心地もGOODでカラダに優しいし、 うーん、これならこれ1本でいけそうな 使い勝手の良い「万能ホイール」さんです。 あくまで個人の感想ですが、これからもコスパの高い良質なホイールを作成願います。

                                       敬具

ホイール内容は次の通りです。

前輪670g

前輪

リム  36mm高28mm幅カーボンリム 24h  

ハブ  TNI REVO 100mmスルーアクスル

スポーク サピムCXRAY 2.0/2.3/0.9/2.0mm 黒 2クロス組

ニップル  DTswiss suorxpro ブラス 

重量  670g 

後輪793g

後輪

リム  36mm高28mm幅カーボンリム 24h     

ハブ  TNI REVO 142mmスルーアクスル 10・11速用

スポーク サピムCXRAY 2.0/2.3/0.9/2.0mm 黒 2クロス組

ニップル  DTswiss suorxpro ブラス

重量  793g  

前後1463g

穴なしリム使用 テープがいりません

リム高、重量のバランスが良いホイールです。お客さのお言葉通りこれ1本で行けそうです。

超軽量ホイールのご依頼

このブログに連絡が入りました。約40年近い超ベテランの方より練習用のアルミホイールをご依頼いただきました。以下ご依頼要件です。

下記の条件を満たすホイールは作成可能でしょか?

・アルミホイール

・重量は前後で1300g台

・クリンチャーで構わない

 結構大雑把で申し訳ないのですが。 ハブ、スポークはとりあえずおまかせで構いません。

お客様はヒルクライムの本番ではカーボンチューブラーホイール、普段の練習ではゾンダやシマノホイールを使っておられます。

キンリン XR200リムはナローリムです。軽量ながら剛性が高い

さて、1300g台となりますと使用リムは限られてきます。キンリンのXR200なら390g前後ですので試算して提案しました。

一案単品重量数量重量合計
XR200 20/243902780
ノバテックハブ3101310
前輪スポーク CX-RAY4.52090
後輪左スポーク Laser51260
後輪右コンペティション61272
nipple 14444
1356g

当初は前輪をCX-RAY、後輪左Laser、右コンペティションというスポーク選択でした。

ご連絡を重ねてご質問、ご希望を伺って前後ともにCX-RAYで組むことになりました。

決定案単品重量数量重量合計
XR200 20/243902780
ノバテックハブ3101310
前輪スポーク CX-RAY4.52090
後輪左スポーク CX-RAY4.51254
後輪右スポーク CX-RAY4.51254
nipple 14444
1332g

今使っておられる練習ホイールがすべてCX-RAYで組まれていて、シュータッチがしないということですので剛性は足るということで決定しました。ホイールの剛性はスポークが大きな要因です。

CX-RAYは粘りがありLaserとの差はほとんどないというものの歴然と差はありますので選択としては間違いありません。ただ価格的なことでは大きく違います。この辺りの折り合いをつけるのはお客様の判断です。

果たしてCX-RAYに決められましたが長く使われることを考えますとよい選択と思います。

前輪586g リムテープ込み  左右CX-RAY使用
前輪スポークテンショングラフ 
後輪760gリムテープ込み 左右CX-RAY使用
後輪スポークテンショングラフ

スポークテンションデータと一緒にお送りしました。13mmのナローリムはお客様には昔を思い出すリムとして懐かしがられました。

軽量ながら剛性があるリムですのでワイドリムが主流になっている今もよく使われるリムです。しばらく使ってみてご感想いただけます。楽しみです。

XR31T/RT 24・28hホイールの作製

このブログにご連絡いただきました方よりご注文いただきました。

最初はキンリンのXR31T/RT 20・24hをご希望でしたが残念ながらリムの在庫がなく24・28hを手配できることを申し上げました。

スポーク数が前後で8本増えますので40gほどの重量が増えます。重量が増えることのデメリットよりもメリットの方をお話いたしました。

スポークが増えることによりホイールの安定感は増します。コーナーでよれることなく回れます。ダンシングでもシュータッチはしなくなります。若干空気抵抗が増えるかもしれませんが微々たる増加と考えます。スポークが増えて丈夫になりますので振れは出にくくなります。つまり回転が安定します。40g増えることによりホイールは強化されます。いわばトレードオフの関係です。

最初は重量が増えることに躊躇われたのですがけっしてこれがマイナスではないことをご理解いただきましてご購入いただきました。

前輪24穴後輪28穴ホイールの重量は1600g少し超えたところで完成しています。

前輪スポークはCX-RAY、後輪左にLaser、右コンペティションという組合せです。

スポークの良いところを引き出していると思います。

CX-RAYを前輪に使います。空力とスポークのサスペンション機能を引き出す目的です。後輪の右側にコンペティション、6gスポークを使って剛性を高め、左に5gスポークLaserで軽量化とスポークテンションアップを図っています。

組み方は前輪をラジアル、後輪左は3クロス組、後輪右は2クロス組としています。

いつも使っていますwheelproのスポーク長計算ソフトでは左右のテンション比率が表示されますので理論上の違いがよくわかります。

ノーマルリム 左右2クロス組 テンション比率は43:100%です。左が低いです。

通常リムでは左右2クロスで組む場合43:100のテンション比率です

3mmオフセットリム 左右2クロス組 56:100%の比率です

リムはオフセットリムですのでオフセットリムで13%のアップです。

3mmオフセットリム 左3クロス右2クロス 58:100の比率です

後輪の3クロスで通常の左右2クロス組と比べて2%テンション比率は上がります。

が今回の組み方では58:100と計算上では非常に高い比率に仕上がります。あくまで計算上の数値です。

左を細いスポークで組んでいますのでさらにテンションを上げることができます。実測では左86kgf右123kgfと左右の比率は約70:100の比率です。

ゾンダ、レー3のように2:1組によりスポークテンション比率の差異を改善することなく1:1組で十分な比率を得ることになります。

これはスポークの役割から見ても有益なことです。つまり2:1組の場合仮にゾンダで見てみますとゾンダ後輪は21本です。2:1組ですので左が7本右14本です。左はラジアル組なので駆動には直接働きはありません。右の14本が駆動に影響します。

車輪のスポークはプル、プッシュの役割がありますが14本のスポークでプルが7本です。

2:1組のゾンダでは7本がプルスポークです。

では今回の28穴ホイールの場合はどうでしょう。1:1組ですので左14本右14本で構成しています。プルスポークは14本、プッシュスポークも14本です。この14本のスポークがすべて同じ力で張られていませんので左側の7本が右側に比べて緩く張られていますので7本の約60%としまして4本分の力をプッシュスポークとして働いていると考えます。

合計11本のスポークがプッシュスポークの働きをします。

プルスポークの違いだけでホイールの性能を論じるのは大雑把すぎるとご批判あると思いますが論理的には誤っていないと思っています。

後輪 リムテープを巻きまして938g
左スポークテンションはとても高く出来上がっています。
前輪24h リムテープ巻きまして701g
前輪スポークテンションは110kgfで仕上がています。

当ホイールの一番足りないところはお客様には申し訳ないのですがとても地味なところです。この点はどうしようもありません。3G組のホイールなら遠くから見てもわかりますがこのホイールにはそんなプラスアルファの要素がありません。実質本位です。

あなたのカンパには負けないよ!という天邪鬼的な方にはもってこいのホイールです。私から申し上げますのは厚かましいですが今までの実績から判断しましていいホイールには間違いありません。コスパは最高です。

お客様からの印象が楽しみです。

ディスクカーボンチューブラーホイールの作製

2年前、アルミのチューブラーホイールとクリンチャーホイールを2セットお買い上げいただきましたお客様より連絡ありました。カーボンホイールを2セット作ってくださいと剛毅なご注文です。売上は確かにうれしいのですが、信頼していただいたことがなお一層ありがたいです。

ご依頼はシクロクロスのレース用にチューブラータイプのカーボンホイールのご注文です。

ホイールのことはよくご存じで使用目的がはっきりされています。ご注文の内容は的確で私のほうも提案しやすかったです。

チューブラーリム 35mm高25mm幅 365g
穴なしリムです

ご提案しましたリムは35mm高25mm幅のチューブラーカーボンリムです。重量は365gと非常に軽量です。ハブはTNIのレヴォハブ24・24hです。

TNI REVO ディスクハブ使用

一般にカーボンホイールではよく使われるスポークはサピムのCX-RAYです。しかしながら今回はDTコンペティション2.0/1.8/2.0mmを提案しました。

理由は剛性です。シクロクロスのレースでは瞬発力が大切と聞いています。私はレースに出ませんのでこのような情報はお客様より教えていただいた生の情報です。ストップアンドゴーの激しいシクロレースでは剛性がとても重要です。

CX-RAYは万能スポークと考えがちですがホイールの剛性はスポークの総面積に比例するという原則から考えますと剛性を出すならコンペティションとなります。ブランドには信頼がついてまわりますがスチールはスチールです。

CX-RAYなどの5gスポークではなく、6gスポークのコンペティションで組み上げることになりました。

1グラムの差ですがホイールの剛性はガラッと変わります。注意点はリムメーカーでは剛性のある2㎜のスポークを使うのは禁止ということです。カーボンが割れる恐れがあるのです。果たしてメーカーが勧めるギリギリの1.8mmスポークで作ることを提案しました。

尚、スポークが太くなりますとホイールはとても組みにくくなり、組み上げの難しさはぐっと増しますので注意が必要です。

カーボンリムはチューブラータイプです。幸いにもニップル穴のないタイプが手に入りますのでいつものように穴なしリムで作ります。このタイプのリムは扱いが難しいですが穴ありリムより強度があります。

わずかの差の積み上げが結果的に大きな差につながります。いわゆるマージナルゲインの積み重ねです。ニップルは腐食に強く強度の高いブラスニップルを使います。

前輪ホイール
均一にスポークは張られています
シルバースポークは手組ホイールの象徴
スポークテンションが均一です

ホイール作製の注意点として駆動効率のロスが発生しないように各スポークテンションをできるだけ均一になるように調整します。ホイールは作り方で出来不出来が決まりますのでとても重要なポイントです。

高性能の手組ホイール ブランドホイールに負けません

前後セットで1500gを切るホイール、2セットの完成です。レースに使われたご感想が楽しみです。