前輪46mm高、後輪56mm高カーボンホイールのご注文

アルミリムホイールXR31T・RT、24・28hホイールをお使い頂いていましたお客様よりカーボンホイールのご注文をいただきました。リピートオーダーのお客様です。

前輪46mm高 456g 穴なし
後輪56mm高 489g 穴なし

ご指定いただきましたリム高リム幅は前輪が46mm高20h、後輪は56mm高24hで2:1組です。前輪後輪の高さを変えて乗り心地と空力の配慮をされた組み合わせです。

ハブもよく考えておられます。前輪はミケハブの20hです。台湾ハブよりは少し重いのですがベアリングが6001と大きいので安定感があります。ベアリング取り換えも楽なハブです。何より頑丈なところがいいです。

後輪はBITEXハブのBX301を使います。2:1組専用の24hハブでストレイトプルスポークが必要です。フリーの爪は6個ありアンチバイトガードがついていますのでスプロケットのかみつきを防止できます。価格も値ごろ感のある良いハブです。

 

リム、ハブをご指定されての作製です。言わば黒帯の方よりご注文いただきました。

きれいで存在感あります

カーボンリムは一般的なUD仕上げではありません。カーボンの網目がはっきりわかり存在感は驚くばかりです。白色のシールもご指定です。どこのメーカーなのだろうと目立つことは必至です。

 

ホイール作製に於きましてはスポークのテンション均一化を十分行い振れを最小にします。8:16の後輪はスポークの長さを決めるのにjベントのハブよりも長さの決定には注意が必要です。

どちらのハブもサイズの計測はしっかりと行わないといけないのですがストレイトプルスポークではスポークオフセットの数値がどのくらいあるのかを正しく測らないと正しい数値は出ません。スポークの伸びも計算の中に入れる必要があります。

前輪 702g
前輪スポークテンショングラフ
ミケハブ CXRAY使用

前輪

リム 46mm高28mm幅 460g

スポーク サピムCXRAY

ニップル DT SqourxPro ブラス黒

ハブ ミケ 20h

重量 702g

後輪 889g
後輪 スポークテンショングラフ
8:16組 コンペティション黒

後輪

リム 56mm高30mm幅 490g

スポークDTコンペティション ストレイトプルスポーク黒

ニップル DT SqourxPro ブラス黒

ハブ BITEX BX301 8:16組専用

重量 889g

 

出来上がりましたホイールは前後1591gです。乗り手よし、見た目よし、走りよし、三方よしで最高です。

シマノホイールWH-R501を分解

シマノWH-R501ホイールを調べる機会を得ました。安価で販売されています。正直驚くばかりの価格です。どうしてこんな価格で販売できるのか不思議です。

前輪20h 861g
後輪24h 1118g

前輪861g後輪1118gです。合計1979gです。振れ取り台にのせて回転を見ますと目視では振れは全く見受けられません。ダイヤルゲージでもプラスマイナス0.1~0.2mmを前後するとても優秀な振れ取りです。正直、見た目はよくできています。

次にホイールのスポークテンションを調べました。下記のグラフです。

前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

非常にハイテンションで仕上げています。残念ですが振れ取り重視です。見た目を追いかけて中身は悪いという印象です。まあ値段が値段だけに念入った調整はできないのでしょう。時間優先です。少しでも多く数をこなす必要があるということです。

前輪、なじみだしを行いました
後輪、なじみだしを行いました

ホイールにはプレス式のなじみだしを行われていますがこのホイールに私のなじみだしを行いますと上図のようになります。グラフを参照ください。

スポークテンションは大きく下がります。振れも出ています。こうして見ますといつも値段が値段だけにという枕詞がついてしまいます。

前輪リム 538g
前輪20本144g 1本7g

リムはピンジョイントで重量は538gでした。軽くありません。前輪はエアロスポーク的なスポークで2.0/1.6/2.2/2.0mmと実測ですが扁平スポークです。1本7gありますので2mmのスポークを叩いたスポークのようです。エアロ効果は期待できません。見た目だけです。後輪リムはオフセットリムではありません。通常のセンターホールリムです。これが悪いというわけではありませんがオフセットリムを使えば左スポークテンションは改善できます。オフセットリムでないのが残念です。値段が値段だけにということばかりです。

しかし残念なことばかりのホイールですが一つだけこれはいい!という点がありました。

前輪20hカップアンドコーン144g
後輪24hカップアンドコーン366g

ハブがカップアンドコーンの20・24hです。いま流通しているハブで手に入れやすいカップアンドコーンのハブはシマノしかありません。しかしシマノは20h・24hは販売していません。28h、32h、36hだけです。

カップアンドコーンハブなら自分で調整出来てまめにグリスアップを行えば非常に安定して長い間使えます。

個人的な偏った意見ですがホイールはがっかりしますがハブはいいと思います。このハブを使って手組するなら良いと思います。ただ少し重いのですが中心部の重量ですし何事もトレードオフで重いハブということは丈夫なハブということです。

ロングライドに適した32hホイールのご注文

ブルべ200kmなどロングライドの大会に参加される方よりご依頼いただきました。オーナー様は重量にはこだわらないので安心安全のホイールをご希望でした。

リム、ハブはお持ち込みです。リムはアラヤのAR713、ハブはシマノのティアグラハブです。ともに32穴用です。スポーク、ニップルは私が提案しました。

部品お持ち込み
アラヤ AR713

 

ロングライドになりますと安心安全のホイールが必要です。スポークがトラブルで折れても無事に帰れるホイールです。また疲れにくいホイールということも必要です。

 

ホイールは地面からの振動を伝えます。ダイレクトにハンドルへ振動が伝わりますと長時間乗っている間に手がだるくなりハンドリングにも影響してきます。

 

このようなマイナス要因を避けるにはホイールを選択することで疲れを防ぐことができます。ご意見はいろいろとあると思いますが一般的にはスポークが多いとスポークが地面からの振動を吸収してくれます。おまけにホイールは長持ちします。

スポークテンションを下げて調整するということではありません。スポークテンションはしっかりと100kgfはキープする必要があります。

 

ショックアブソーバーの役割として最適なスポークは中心部の細いスポークです。サピムでは1.5mmのLaser、DTではレボリューションの2点があげられます。2mmのストーレートになりますと剛性が高くなりすぎて少し不向きと思われます。中間の1.8mmスポーク、サピムRaceやDTコンペティションはオールマイティのスポークとしてお勧めです。ねじれにくく扱いやすいスポークです。

今回はLaserを提案いたしました。オーナー様の体重は60㎏台ですので32本のスポークは細くても十分対応できます。

 

お客様に前輪左右はLaser、後輪は左にLaser右にコンペティションと右側のドライブ側に剛性を上げる目的でコンペティションをお勧めいたしました。

提案をご了解いただきまして完成しましたのが写真の通りです。各スポークテンションはできるだけ均一になるようにして振れは最小にしています。完璧に納めることはできませんができるだけ近づくようにしています。ホイール仕上げのコツはこの2点が要です。

他にもいろいろと細かいお作法がありますがこの2つを押さえればいいのです。

 

あるお客様が「ホイール組初心者には希望を与え、ホイール組経験者には絶望を与えるチャート」と言っていただいていますこのグラフを参考にしてください。

 

数をこなす経験が必要ですがホイール作りは楽しいです。性能、出来栄えには差がありますが出来上がればうれしいものです。道具や時間の節約にはご一報いただければ幸いです。

前輪836g
前輪スポークテンショングラフ
前輪 左右Laser 3クロス組
後輪1080g
後輪スポークテンショングラフ
左Laser右コンペティション 3クロス組

出来上がりました。お受け取り後のご連絡にはインプレ送りますとのことでした。

とても楽しみにしています。