テンションメーター校正②

テンション・キャリブレーションを調べますとあるビルダーさんがテンションメーターのキャリブレーションで面白い方法で行なっています。

 

ガレージと思うのですが高いところからスポークをとりつけてその下にバーベルのプレートで引っぱっています。プレートは秤で計っています。

 

 

秤にスポークを取り付けて引っ張る道具を自作している方もいます。私の道具と同じ方法です。これなら安価に作れそうです。

テンションメーターを使って作っているだけではまだ足りません。メーターが正確なのかが大切と思います。もちろんメーターなしでホイール作りは出来ます。ホイール作りの奥の深さを感じます。

テンションメーター校正

テンションメーターが無くてもホイールを作ることができます。多くの方はそうしています。しかし私にはメーターが必需品です。使っているメーターが正確なのかどうしても知りたく色々調べました。

メーターの校正を行なうための道具をドイツで販売しているのを見つけました。こんな道具を買う人はまあいないだろうと思いますが買ってしまいました。

 

引っ張るところに秤をつけてスポークをつけて仮に100kgfなら100kgfに秤が示すまでスポークを引っ張ります。この時にテンションメーターをあてて測ります。スポークは正直です。この時のメーターの目盛りが100kgfです。

 

ただこの秤が正確かどうかわからないので公的な校正機関に校正依頼しました。最初はこんな秤大丈夫かなと心配でしたが正確に測れると証明書を頂き安心して使えることになりました。以来この道具でキャリブレーションしています。

校正機関に依頼
校正証明書

 

私のTM-1は2目盛も狂っていたのがわかりがっかりしました。約20kgfも緩いのです。この値は結構大きな値です。緩いホイールを作っていたのです。そんなもん感覚でわかるやろ!!とベテランの方に怒鳴られそうですが実際分からないものです。

 

ホイール作りをされているブログを拝見していますと○○kgfまでテンション上げたと書かれているのを読むとおたくのメーターは正確ですかと聞いてみたくなります。ほとんどの方のホイールは緩いと思います。

メーターを買ってもメーターは校正されていないでしょう。そのまま表をみて○○kgfと信じてしまいます。

 

テンションメーターは無くてもホイールは出来ますが私はあった方がいいと思います。正確なテンションメーターがあれば確実に良いホイールが出来ます。

ホーザンの掛かりの人が話されたように新品のホイールを買ったときのテンションを測って残しておいて一年後のテンションを戻すデータ取りに使うためにもあった方がいいと思うのです。そんなに高くありません。

シマノホイール購入

シマノホイール購入

 

手組ホイール派として研究の為シマノホイールを求め良い所、ここはダメと調べるためにシマノの下位グレードRS010のホイールを購入しました。前後セット1万円ほどで販売されています。

 

私が買ったのは

前輪

リム   21mmワイド 内寸15mm 深さ25mm 20h クリンチャー

ハブ   専用ハブ  20h

スポーク  2.0mm  ラジアル組

ニップル   ブラス

重量  843g

 

 

後輪

リム   21mmワイド 内寸15mm オフセットリム

深さ25mm 24h クリンチャー

ハブ   専用ハブ  24h 10/11速兼用 ブラック

スポーク  2.0mm jベント 2クロス組

ニップル  ブラス

重量 1103g

 

前後合計1946g

 

結論

非常に優秀なホイールです。ワイドタイヤを試すとかヒルクライム用としてもっと軽量のホイールさがしておられる方には向いてはいませんがこの破壊的な価格のホイールはよく回り普段使いとして素晴らしいです。但しスポークテンション調整が甘いのでフレが出やすいです。ハブ調整やホイール作りの練習台としてもおすすめ。

 

リムについて

後輪リムにオフセットリムを使用しています。リム穴が片方に寄っています。リム穴が中央の場合左スポークテンションが緩く比率として左0.45~0.5右1の割合になります。しかしオフセットすることにより左テンションが約0.6:1となり左が大幅に上がります。このことは駆動力のロスを減じ効率アップにつながります。

このオフセットリムを前後で1万円~2万円のホイールに使われるようになり手組ホイールは駆逐されるに至りました。

 

 

スポークテンションについて

このシマノを求めて一番残念と思ったのはテンション管理です。縦横振れもなく非常によく作られています。売り物にするのに一番買い手が気にするのはフレです。そして重量。大量に生産されるホイールでは最低限のテンション管理ができていれば良とされます。なにせ1万円のホイールですから。

 

下図が購入したときのテンションです。この状態決して悪くないです。振れも出ていません。振れ優先に作られています。しかし長く乗っていると緩いスポークからニップルが緩み、振れが発生、駆動ロスが発生するのです。1万円で販売するホイールにそこまで時間をかけられません。数が勝負のホイールですから。

前輪購入時のテンション よくできている

調整後のテンション  ほとんど変わらない

私は買ってからスポークテンションを調整し振れを最小にテンションを最大限均一にしています。

後輪購入時点のテンション  後輪は左右のテンションがちっがうので難しい

調整後のテンション  じっくり調整し振れも少ない テンションも揃う

これでOKです。

アメリカンクラシック・ホイールのホームページ

アメリカンクラシックのホームページAmerican classic.com/faqならびにTechnical Manualを読むととても参考になります。

 

 

  • ホイール作りにスポークテンションは

フロント 90~110kgf

リア ドイブサイド 90~120kgf

  • スポークのねじれ防止には何を使うとか簡潔に書かれていて参考になります。

 

理解するにはホイールづくりの経験が必要ですが良いホイール作りのためには読んでみると参考になります。

ヘルメットが割れた

私は若い時ラグビーをやっていました。

約20年、草ラグビーでしたが楽しかったです。今もラグビー仲間とワイワイお酒を飲んでいます。20年の間に5回脳震盪を経験しています。ガツンと当たると何の記憶もありません。頭を強く打つ危険性は結構知っているつもりです

先月輪行していた時です、こんなところでこけるか?というところで転んでしまいました。このヘルメット見ていただいたらよくわかります。割れてしまいました。お陰様で頭は助かったのですがビックリしました。

倒れた時は幸いなことにどこも擦り傷もなくメガネが変形し、服が汚れただけ済んだのです。ラグビーのお蔭で倒れるのは上手いのかもしれません。頭はヘルメットが守ってくれました。

ヘルメットが割れて、イタッ割れた、2万円、高いのに、と罰が当たりそうなことを考えてしまいましたが、本当にヘルメットのお蔭で無事に帰りました。

ズーっとこんな発砲スチロールで大丈夫なんかと思っていましたがヘルメットは本当に大切です。必携の品物です。

ホイール仮組

このホイール32ホール、3クロスのオーソドックスなホイールですがこのホイールの仮組に要した時間は1本15~20分です。慣れていることもあるのですがやはり以前紹介しましたシャッフラーと丸やすりのニップルインサーターのおかげです。間違いない仕事ができます。

32H3クロス ホイール

 

これは使いやすい。本当にお勧めです。

ニップルを突き刺しながら使う

 

小技なんですが見るのがはじめての方が多いと思います。シャッフラーは一合升を使っての自作品です。アメリカの通販で売っていますが結構高いです。これを作るのには少々時間が掛かりましたけれど作った甲斐があります。

別になくてもホイール作りは出来るのですが何本も作る方にはとても良い道具と思います。

私の道具について⒂

 

スポークプレップ、ネジ緩み止め、固着防止について

 

アメリカのロードバイクレビューのフォーラムでスポークプレップについて考えあうフォーラムでPermatex Anti-seizeを使っているビルダーがいます。http://www.ergottwheels.com/  Ergottさんが使っていると書いています。有名なビルダーです。

いちばん小さいチューブ入り4gの製品を一度買ってみて試しました。百均で買った筆を使ってネジ部分に塗って使いました。スムーズにスポークテンションを上げることができます。しばらくこれを使おうと思います。

Permatex Anti-seize

 

Mike.Tさんは別にこんなことも書いています。http://www.miketechinfo.com/ この方は40年のベテランビルダーです。

 

十分なテンションで均等に張られしっかりストレスリリーブされていれば緩みません。どのような緩み止めでも使えます。ただし正確な作り、テクニックが必要ですと書いています。

ホイール作りの極意ですね。

私の道具について⒁

スポーク・プレップについて

 

写真のようにニップルの緩み止めに使われているのがこれです。アメリカのWheelsmithの製品です。こんなに小さいのに結構高いです。

スポーク・プレップ

なんで同じものが色違いであるのか、購入先でたずねられ最初わかりませんでした。

後輪のドライブサイドとノンドライブサイド、右側と左側とスポークの長さが違うので色を変えているのです。いかにもアメリカらしい発想ですね、と教えていただきました。

グリースを使う人もいます。これもよく使われる方法です。

シマノ グリース

 

クレの556をシュッと吹いてやっていますという人もいますね。

リンシード・オイルというのがいろんな海外のブログで出てきます。なんやろ、これ?と色々調べたら亜麻仁油なんですね。絵画の材料屋さんで販売しています。ボイルド・リンシード・オイルを言うオイルを買ってきて使ってみました。このオイルは空気中に長く置いておくと固まります。この性質を利用してプレップに使うのです。ホイールを完成した後時間がたつとこのオイルが固まりニップルの緩み止めとなります。

ボイルド・リンシード・オイル
時間が経つと固まってくる

 

これは安くて一缶あればもう買わなくていいくらい長くつかえます。ニップルにつけすぎると後が汚くなるので少量でいいです。私は精密オイラーにこのオイルを入れてニップル部分に注しています。ネジの部分とリムとニップルが接触する部分と1スポークに2ヶ所注していきます。

結局、オイルは何でもよくWheelfanatykのRicさんはオリーブオイルでもいいと言っています。

各スポークのテンションを均一に張っていれば緩みを防ぐことができます。オイルでニップルの固着を防ぎ滑らかに回すことができればいいということですね。売り物ホイールを作っているところはうちはこれ使ってますよとshow-offするためにも使いますが高いスポークプレップでなくてもよいということです。

パークツールTM-1を使うにあたって

 

パークツールのホームページにアップロードされているアプリケーション(wheel tension APP)は使えます。YouTubeで見られるパークツールTM-1の使い方を紹介するソフトですがホイール作りのビギナーにはよくできたソフトです。

 

私はホイール作りをネットで教えてくれるアメリカやイギリスのビルダーから学んだのですがどのビルダーもスポークテンションを均一にすることを最優先にしています。

 

振れ取をおこなうのに先ずタテ振れをとり、そして横振れ、また縦振れ横振れと繰り返しテンションを上げていくのです。

ストレス・リリーブを何度も行って縦横の振れがとれたところでほぼ完成ですがここからもう一歩追い込みます。

ビデオのようにスポークテンションを出来るだけ均一にしていきます。このスポークテンションを均一になるように前後のスポークを調整して行くことが大切です。習うより慣れろです。

赤字数字のところをチェック

スポーク・テンションを調整

パークツール テンションメーターTM-1

 

ホイールを作り始めてすぐにTM-1を購入しました。スポークテンションを換算表でテンションを測ることができます。

長い間この表を信頼していました。何も疑わずに目盛を見て100kgfとか読んでいました。

2年ほど前ですがアメリカのサイクリングフォーラムでスポークテンションを考えあうフォーラム記事を見つけ私のTM-1を疑うようになりました。

テンションメーターに記事をいろいろ調べキャリブレーションの事を考えました。

TM-1は正確ではありません

 

結論はこうです。

TM-1の計測数字と実際のテンションは大きく違っています。ただ絶対値でなく相対値であれば有効なメーターと言えます。

 

新しいホイールを購入されたときにすぐにテンションを測ります。次のテンションアップの時の参考にします。絶対値はわからないけれど購入時のスポークテンションに戻すのにとても有効です。

パークツールの代理店であるホーザンの係りの方に聞いた話では

 

“うちではTM-1の校正は行っていません。数字に関しては正確かどうかわかりません。ホイールを買ったときの数値を知るためのものです。”

 

この様なことを話されました。まさにその通りです。正しくスポークテンションを知って使うものではないということです。

テンションメーターがなくてもホイールを作ることができます。しかしフロント100kgfリアを120kgfで作るにはキャリブレーションが必要です。