スリーブジョイントの影響

ホイールを組み終わってから写真をよく撮ります。お客様の記録やブログの記事のためです。

青いテープがバルブ側、スリーブ側が下に来る

写真を撮るときに向きを考えるのですがきれいな角度になるようにするにはホイールのバルブ穴の反対を下にします。アルミホイールの場合スリーブジョイントがほとんどですのでリムはスリーブ側に必ず傾きます。

青いテープがバルブ側ジョイント部分が必ず下に来る

振れ取り台にホイールをセットしますとバルブ穴が必ず上にきます。ジョイントのスリーブが影響してつなぎ目が重く下に位置します。

カーボンホイールではどのようにおいてもすんなり転がらずに静止しますので写真は撮りやすいです。

 

スリーブとは棒鋼などを継ぐために用いられる筒型の金具のことをいいますがどうもアルミリムの場合スリーブは7,8gほどあるようです。この重さがリムのバランスを変えています。

鉛板の重さが7,8g

何故重量が分かったのかといいますとホイールのバランス調整で貼る鉛板の重さがこの重さです。

 

クリンチャーカーボンホイールではスリーブは使いませんのでどの位置でもホイールは止まります。タイヤをはめますとバルブの重さが影響して振れ取り台に載せますとホイールはいつもバルブが下にきます。シーラントが入りますとちょっと様子が変わります。

 

ベテランの人はこのようなことはご存知と思いますが誰もが最初はビギナーです。ホイールの回転でリムバランスが悪いとやはり走りに影響します。同じホイールでもチューブ、タイヤで走りが変わります。

ホイールの買い替えはやれることやってからですとあるお客様が教えてくれました。

トルクスのビット

DTのsquorxニップル回しの記事を書きましたが親しくさせていただいていますお客様より連絡いただきました。機械道具屋で販売されているという情報です。

当初いろいろ探してなかったので便利に使うには正規のニップル回しと一つ潰した先だけを使うという2本立てで作業をしていました。

当初の2本立て

教えていただいたトルクスビットの名前を工具屋さんのホームページで探しますとありました。

昨今情報リテラシーという言葉が新聞などでよく見受けられますがまさにこれです。検索力が必要です。うまく探せば楽になります。

今は4つを使い分ける

トルクスのビットが4点になりました。道具がダブりますが道具好きですのでついつい買ってしまいます。

お客様には工具のことは専門の工具屋さんで相談すればいいと教えていただきました。実は私も自動車の工具屋さんにはよく行きます。

ディスクカーボンホイールのリピートオーダー

穴なしカーボンリムを使ったホイールのご注文です。オーナー様は1月に46mm高のリムで作ったディスクホイールをお買い上げいただきました。気に入っていただき2台目のディスクロードを注文されていますので新規のフレーム用にご注文いただきました。先のホイールが良かったで再度のオーダーをいただきました。

どの商いも同じと思いますがリピートいただけるのはありがたいことです。認めていただいたということですのでうれしい限りです。

前後 1448g
前輪 667g

後輪 781g
後輪スポークテンショングラフ

 

ホイールの詳細は次の通りです。

 

リム 36mm高28mm幅カーボンリム ニップル穴なし 前後ともに24h

ハブ TNI REVOディスクハブ 24h

スポーク サピムCXRAY 2.0/0.9/2.3mm 黒

ニップル DT squorx ブラス 黒

 

REVOハブは前後24hの穴数しかありませんので体重のある方は注意が必要です。80kg以上の体重がある方はスポークの本数を増やすほうが良いかと思います。24hでも乗れないことはありませんが私はお勧めしていません。

 

ディスクハブの場合センターオフセット値は小さいので130幅のリムブレーキ用ハブよりは左右のスポークテンション比率は優秀です。ハブ幅が広くなるということは重量も増えるのですがスポークテンションではこちらのほうが優れています。何事もトレードオフの関係です。

 

リムのセンター出しに関してディスクホイールはリムブレーキほどシビアでなくても良いのですがしっかりセンター管理は行いました。タイヤインストール後リムは少し強く引っ張っている方向に寄りますので0.2mmとほんの少しですが事前補正をしてセンターを出しています。

 

一番肝心なのはスポークテンションをできるだけ揃えることです。揃っていれば振れは出にくいです。しっかりとなじみだしを行った後テンションを一致させることが大切です。

 

リムメーカーのテンションばらつき度の推奨値は5%以内に仕上げてくださいとパンフレットに書かれています。もちろん5%以内に仕上げていますがこのハードルは結構高いハードルです。リム自体はとても精度の高い仕上がりですがご自分で組まれる方は注意が必要です。営業になりますができない方はお任せください。

穴なしリムはテープが要りません

穴なしリムを使用したホイールはリムテープがいらないのでメンテナンスが楽です。タイヤ交換はパンクの度にリムテープを交換するのは手間がかかります。テープ代も結構かかります。皆さんリムテープの代替品を探すのはよくわかります。

性能では36mm高のホイールは空力もしっかり得られとても軽量です。リム剛性が高いので踏み込んだ力が逃げません。駆動ロスの少ないホイールです。オールラウンドホイールとして活躍してくれます。価格、性能などブティックブランドに負けません。

チューブラーホイールのご依頼

チューブラーホイールの作製依頼がありました。

 

当初次のようにプランを立てておられました。

以下は最初のご連絡です。

 

[Fホイール]

リム:tni cx22 24h

ハブ:tni エボリューションライトハブ 24h

スポーク:sapim cx-ray シルバー

ニップル:dtswissアルミニップル シルバー 組み方:ラジアル

 

[Rホイール]

リム:tni cx22 28h

ハブ:tni エボリューションライトハブ 28h(シマノ11sフリー)

ndsスポーク:sapim cx-ray シルバー

dsスポーク:sapim leader シルバー

ニップル:dtswissアルミニップル シルバー

 

 組み方:nds3クロス ds2クロス ※ニップルワッシャーがあったほうがよいリム穴形状であればニップルワッシャーも追加

 

体重58kg  ftp265です

使用バイク 東京サンエスjff501

ブルベやロングライドでの運用

マビックgp4で組んだホイールを使用してきましたが摩耗による限界がきたため

 

このようなご連絡いただきました。かなりのご経験がある方と推察いたします。なかなかFTP265は出せません。

ホイールを組める方からのご注文はうれしいものです。しっかりしないといけないと思いますがいろいろご相談できますので面白い組合せができます。

 

メールでやり取りしている間にハブの変更がありました。リムはそのままです。

イタリアのミケハブでの組み合わせです。スポークは前輪サピムのLaser2.0/1.5/2.0㎜、後輪左Laser右DTコンペティション2.0/1.8/2.0mmという組み合わせです。

前輪はラジアル組後輪は左3クロス右2クロス組です。

私の提案も受け入れていただきました。

リム TNI CX22 24・28

ハブ ミケ シルバー 24・28h

スポーク 前輪 サピムLaser ラジアル組

後輪 左 Laser  3クロス組

右 コンペティション 2クロス組

ニップル ブラス

 

ご連絡しながらホイールを考えていく時間は楽しいです。

体重、乗り方、スポークハブの選択など決めていきます。

前輪 シール付き 689g
前輪685g               シールをはがして納品4g軽量化
前輪スポークテンショングラフ
後輪889g
後輪スポークテンショングラフ
前後1574g 外周部が軽いホイールです

TNIのリムシールは剝がして8gの軽量化となりました。TNIのリムは軽量ながら剛性が高く価格もこなれています。いまチューブラーホイールの完組が少ない中今回のホイールはとてもいい選択肢と思います。チューブラーホイールは外周部を軽くできます。良いタイヤを選べばオールラウンドホイールとして活躍してくれます。後日インプレをいただけます。楽しみです。

ロードバイクの科学を再読

2008年4月30日発行

もう13年前になります。この本を書店で見つけたときは感激しました。理屈がわかればロードバイクはさらに面白いと!コメントしてあります。実際、楽しく何度も読ませていただきました。特に155ページ以降の自分でホイールを組むヒントは特に面白かったです。

一番面白かったページです

もうこの時はある程度ホイールを組むことができていましたので理論的なことを吸収するのにとても勉強になりました。今や手に入りませんので古本屋で見つけるか図書館であれば借りられたら良いかと思います。

170ページにスポークにかかる力と張力設定について解説してあるページがあります。作者の藤井さんはエンジニアなので本当に難しいことをわかりやすく説明していただいています。

リアのテンション設定は120kgfにしていると書かれているのですが経験豊かな方なのでこの辺りは経験での値のようです。理論と経験がうまく絡まってとても面白い読み物となっています。

 

ページを戻しますが161ページからはホイールの製作手順を説明されています。本当にわかりやすい説明です。

うんうんとうなずきながら読んでしまいます。

 

何度も読んで勉強させていただきました愛読書ですが1点だけ気になる点があります。

164ページにスポークテンションを調べるテンションメーターにパークツールのテンションメーターを勧められておられます。愛用の道具で買ってよかったものの一つと書かれています。安価で便利な道具です。

当時私もこの記事を読みましてこれは間違いなく私も同感です。テンションメーターを既に私も持っていましたのでうれしく思いました。

 

しかしその後海外の有名ビルダーの記事を読みましてわかったのですがこの道具はとても便利な道具ですが正確ではありません。新品のホイールを買った時にスポークテンションを測っておいてホイール使用後にスポークテンションをもとに戻すときに使うものです。つまりスポークテンションを示す値は正確ではありません。20%くらい狂っているTM-1はざらにあります。輸入元のホーザンさんの担当の方が話していました。電話して確認しました。

 

何度もスポーク折れを経験されている方はバラバラのスポークテンションのホイールだと思います。

ひょっとしたらこの正確でないテンションメーターを信じてホイール作りされているのかもしれないなと思います。

仮にドライブサイドを120kgfで作っても今の11速のハブでは後輪左サイドが右の40%のハブなど沢山あるのが現実です。120kgfの40%で48kgfです。この2割狂っているとして約40kgfです。このテンションでばらつきが20%あれば30kgf近いゆるゆるのスポークがあることも考えられます。握って何キロとわかる人はまずおられません。

この本からJIS規格では最低張力が平均400N(41kgf)ということも学びましたがJIS規格以下のホイールもありうる話と感じます。

 

関西人は話の落ちを求めてしまいます。

 

ロードバイクの科学を楽しく再読して、テンションメーターは校正が必要です、はあまり良い落ちではありませんがこの本を読める機会があれば是非ともお勧めしたいです。ホイール作りに理論武装ができます。

バイスの変遷

15年ほど前ですがホイールのハブをさわるのにバイスがいることがありホームセンターで求めました。小さなバイスを購入したのですがこれはこれで便利で役立ちました。

使っている間にベアリングもさわるようになりもう少しがっしりしたものが欲しいと大きいバイスに買い換えました。

二つバイスがあればバイスとバイスの間にスポークを引っ張ってスポークテンションを測る計測装置にもなるかなと思って購入しました。

左から順番に大きくなりました

このバイスもそれなりに役立ったのですが本格的にベアリング交換やちょっとした作業にやはりベンチバイスが必要ということが分かり大きなバイスを購入しました。口幅は100mmです。もっと大きなバイスが必要なことはまずないのでこのサイズで十分ですがこれなら最初からこれにしておいたらよかったと思います。15年かかりました。

 

ベンチバイスは固定式ですので取り付ける場所も選びます。私の作業場では固定するテーブルに穴をあけるのを躊躇いました。窮余の策で考えたのが万能作業台に取り付ける方法です。作業台の真ん中に適当な板を挟んで穴を一つ開けます。もう一つの穴は作業台の最初から開いている穴を利用しています。バイスは本来3か所を固定するようになっていますが2か所の固定で済ましています。こうしておけばテーブルを畳むこともできます。スペースの節約です。バイスの2か所固定で不足はありません。十分役立っています。

もうこれ以上の大きいバイスはいりませんが最初からこの大きいバイスにしておけばよかったと思っています。

親しくさせていただいているお客様より工具のアドバイスがありました。中途半端な道具は結局使い物になりません、という忠告いただいたことがよくわかります。

広い場所が最初からあればこんなにいろいろ買う必要はなかったのですが今から考えますとそれなりに工夫しています。職人さんは自分の道具を作って仕事をしていると良く聞きますがその意味では私も職人さんです。

前輪46㎜高、後輪56mm高カーボンホイールのインプレ②

一月末のインプレ記事の継続版です。

お納めしましたカーボンホイールを少し乗り込まれた感想を再度聞かせていただきました。リムはニップル穴のないリムを使っています。リムテープがいらないチューブレスホイールです。

製作の私としましてはとてもうれしい話です。

56㎜高リム使用 8:16ハブ
後輪スポークテンショングラフ
46mm高リム使用 DURAハブ18h
前輪スポークテンショングラフ
バイテックス BX301 8:16
DURA HB9000 18h

あれから何回も乗りました。

やはり良すぎます。

 

ホイールのネガな部分が無く(0発進のもたつき)なおかつ空力の良さで急斜面の登り以外でのシチュエーションでのアドバンテージがかなり大きいです。

 

とりあえず非の打ち所が無いホイールですね。

これでさらに軽かったらどうなることやらって感じです。

 

やっぱり2対1で組んだ効果とあのハブの性能が良いのですかね?ラチェットのノッチ数も多いのでかかりがいいと思います。

 

以上のインプレをいただきました。

 

ホイールはとても良い印象のようです。乗り手がFTP300の力のある方ですのでどの方にもお勧めはできないと思いますがこうした生の声を聴かせていただくと大いに参考になります。

BX301 爪が6個あります

バイテックスのBX301 8:16ハブを分解してみました。なるほどフリーの爪は6個あります。ちなみにノバテックは4個です。2個の違いがどう影響するのかはっきりと私にはわかりません。

ノバテックハブ 爪が4個あります

1:1組のハブではよく使うノバテックハブで好結果が出ています。センターオフセット値ではバイテックスよりもノバテックのほうがいいのでスポークテンション比率は若干ノバテックのほうが勝っているのです。

今回のホイールは2:1組の方法で組んでいますのでテンション比率に於いて左右の差が少ないのが大きく寄与していると思われます。左を約90kgfで引っ張っています。右は130kgfくらいで引いていますが握っての感触はラジアル組の左側が強く引いている感じがします。

私の印象は次の通りです。

よく走る原因は先ずはエンジンですね、FTP300はなかなか出せません。

リムの剛性が次にあげられると思います。やはりカーボンリムは剛性が高いです。つまり駆動ロスが少ないということです。あとは空力です。高速域でのエアロ効果は大きいと思います。最後に作り手も少しは貢献していると考ます。

ホイール作製のアイデアはオーナー様と相談しながら決めました。とてもいいホイールが出来上がったと思っています。

ホイール再調整のご依頼②

先日銀輪ホイールをご注文いただきましたお客様より再度のホイールチェックをご依頼いただきました。ホイール調整は2セット目になります。

4年ほど前にプロビルダーさんにオーダーされた銀輪ホイールの再点検です。

カンパハブ使用 36hホイール

わざわざビルダーさんへ持参しなくても私のほうで調整出来るとご判断いただいたようです。

お預かりホイールは次の通りです。

前輪 842g

前輪

リム マビックオープンプロ36穴

ハブ カンパハブ

スポーク コンペティション シルバー左右3クロス組

ニップル DTアルミニップル

後輪 987g

後輪

リム マビックオープンプロ36穴

ハブ カンパハブ

スポーク 右ドライブ側 コンペティション シルバー 2クロス組

スポーク 左ノンドライブ側 コンペティション シルバー4クロス組

左サイドにソルダリング

ニップル DTアルミニップル

私のほうではお預かりしましたホイールはいつもスポークテンションを調べます。下図のグラフが前後輪のテンショングラフです

縦ブレ横ブレはほとんどない 強弱強弱という形でバランスが取れている
縦ブレ横ブレはほとんどない 強弱強弱という形でバランスが取れている
右サイドで計測 7.83mm
左サイド 7.85mm センターの誤差はほとんどない

ホイールの縦ブレ横ブレはしっかりとれています。上写真の通りセンターも驚くばかりの真ん中です。ニップルはアルミニップルですので長めのスポークでニップルのすり割りを突き抜けて作られています。このように少し長めにするとニップルの頭が飛ぶ心配はいりません。アルミニップルの弱点をよく知っておられ、扱いなれた方です。

アルミニップルの弱点をよく知っておられます。長めのスポークがいいと思います。
とてもきれいなソルダリングです。

後輪は左4クロス右2クロスと凝った組み方をされています。左スポークにはとてもきれいなソルダリングを施されています。これだけきれいにソルダリングできる人は少ないと思います。クロモリロードにはぴったりに美しいホイールです。

組んである状態ですのでハブのサイズが正確にわかりません。このためほぼ同等のシマノハブで後輪スポークテンション左右比率を計算してみたいと思います。

あくまで計算上の理論値です。後輪は左4クロス右2クロスで組みますと理論値では左52:右100の比率で組めます。通常の左右3クロスなら49:100、左3クロス右2クロスなら50:100の比率です。左サイドのスポークテンションは49,50,52と約1%刻みで改善されます。大幅な改善とみるか、なんやそれだけとみるかは個人の感じ方です。私は大きな改善とみています。

オーバーラップ状態

こうしていろんな36穴リムでのクロスパターンを仮定しますと左4クロス右2クロスは一番高い比率で組めます。しかしこのハブで4クロス右2クロスを組みますと左スポークは計算値ではオーバーラップしますのでは一般的には行いません。

後輪左側のスポークはオーバーラップ

オーバーラップとは写真のようにスポークが重なり合うことです。スポーク同士が接触しあう組み方ではスポークが曲がって干渉しあうことがあるのでお勧めしないといわれています。私はやったことがないので良いのか悪いのかはわかりません。

調整後の左テンションの計測値は約52kgf:123kgfで仕上がっています。11速に伴ってハブオフセットの値が大きい最近のハブでは左スポークテンションがとても緩い仕上がりになりますのでこの実測値は高い仕上がりと考えます。

お預かり時の後輪スポークテンショングラフ

お預かり時の各スポークテンションを調べますと上図のテンショングラフになります。グラフで見るととても分かりやすいです。スポークテンションは強弱強弱と波打ちながらもきれいに振れ取りが出来ています。振れはほとんどありません。これだけきれいに振れ取りをされていていれば通常ならOKです。

センターは0.1mmの以下のずれ、優秀です
センターは0.1mmの以下のずれ、優秀です

このホイールはとてもきれいな仕上がりですのでスポークテンションが揃っていないのは残念です。

いつも各スポークテンションの偏差を5%以内に収めていますのでオーナー様はこのホイールのスポークテンションがもっと揃うようにということで今回依頼されました。

各スポークテンションを揃えて且つ振れを最小になるように再調整終わったグラフが下図のグラフです。

スポークテンション調整後の前輪      左100kgf右100kgfで仕上げました
スポークテンション調整後の後輪左52kgf右123kgfで仕上げました

どのくらいパフォーマンスが上がったかを感じ取ることは低速時では難しいと思いますが各スポークのテンションがほぼ同じに引っ張っていることにより高速時では違いがよくわかると思います。可視化しますとよくわかります。スポークテンションの均一化はとても大切です。

今回はいろんなホイール、自転車を乗ってこられた目の肥えたユーザー様に信頼を得たことがとてもうれしいです。

テープ選びにてこずる②

先日DTリムのテープの記事を書きましたところベテランライダーの先輩方よりこれがいいですよと連絡いただきました。ホイールお納めいたしました方々です。仲良くさせていただいています。

 

皆さんいろいろ経験され試された結果です。大いに参考になります。

BBBのホームページより リムテープ4m長

ブログ見ました。DTのリムに合うテープは、BBBの黄色いのは、剥がれにくいです。自分は、最近 ポリミドテープを二重にして プラスチックのヘラで ナメすように貼り その上から クリンチャー用リムテープで押さえる(重くなるけど安心)で、成功しています。クリンチャー用リムテープは、何度か使えます

 

別のお客様からご連絡いただきました。

 

DT-SWISではリムテープ幅を「リムの内幅 +2mm」で推奨しています。

アールの部分まで出ないということに意味があるのかもしれませんね。

 

このように教えていただきました。皆さんいろいろ試されてご自分にあった方法を見つけておられます。

 

私のテープ巻きでは2重に巻くときは1回目、2回目と分けてその都度切って巻くようにしています。どうしても連続で2回巻くと一回目の巻き方が不十分な巻き方になるので一回ごとに切ってみようと思いやってみると案外きれいに巻くことができました。なんでもないことなのですがちょっと工夫するとやりやすくなります。

 

ある方からは、チューブレスで乗ると乗り心地がいいのはよくわかるのですが乗っている途中でパンクすると手がベタベタになるのが困ります、パンクは後輪が多いので簡単にパンク修理ができるクリンチャーにして前輪をチューブレスにしています、と教えていただきました。

それもアリやな!と感心しました。。

皆さんいろんな経験からオッと思うような工夫をされていることがよくわかります。これいいよ!とシェアできればいいと思います。

ピストホイールのご注文

以前DTリムRR411のリムを使ってピストホイールのご注文いただきました。

お客様よりマビックOpenproチューブラーリム32h、シマノDuraトラックハブを使ってのピストホイール作製のご依頼です。2本目のご注文です。ハブとリムはお客様よりお持ち込みです。私はスポークの提案を行いました。。

リピートのお客様は正直うれしいです。前回お納めしたホイールがご希望を裏切っていない証拠ですのでありがたいです。

さて、スポークはコンペティション、CX-RAY、Laserの3種類から選択することになりました。それぞれのスポークには特徴があります。しっかりしたメーカーの品物ですのでどれを選んでもいいホイールが出来るのですが前回はコンペティションでしたので今回はLaserかCX-RAYです。

後輪
前輪

価格的にはCX-RAYはLaserの約3倍です。空力、強度、扱いやすさ、どれもトップランクです。もちろん価格もトップです。ではLaserは劣るのかとなりますとほんの少し空力に於いてCX-RAYと比べますと劣ります。あるホイールメーカーが風洞実験を行い1Wの違いがあると調べました。

1Wですので大きいと取るかほとんど変わらないと取るかです。0.1秒の差で勝負が決まる場合はCX-RAYかもしれません。もともとLaserはCX-RAYの扁平前のスポークですので強度や空力にはCX-RAYと比べて少し劣りますがとても優秀なスポークであることに変わりありません。

ただLaserはビルダー泣かせのスポークであることには間違いないです。サピムのホームページでも熟練の人でないと難しいと書かれています。CX-RAYはスポークホルダーを使えば楽に組めますのでビルダーはお客様にCX-RAYがいいですよというのは当たりまえです。あまりにCX-RAYを勧めるビルダーは要注意です。

 

私はどちらでも組めますのであくまでもお客様志向でお勧めしています。両方の利点欠点を説明しています。

 

少しでもパフォーマンスの良いホイールがいいとおっしゃる方もおられます。キラキラとスポークが光るのはCX-RAYシルバーですが私はLaserが渋くて好きです。

果たしてお客様は渋好みでした。好みが一致しました。当初ご連絡いただきました時はCX-RAYをご希望でしたがいろいろご説明を繰り返すうちにLaserを選ばれることになりました。

組み方では後輪をJIS組、前輪はイタリアンで組んでいます。いつものことですがスポークテンションはできるだけ揃えるように作製しています。

後輪 862g
後輪スポークテンショングラフ
前輪 759g
前輪スポークテンショングラフ

 

ホイールには作業仕様書というほどではありませんがスポークテンショングラフを一緒に納品しています。どのお客様もこのグラフで安心していただいているようです。わかりやすいので可視化は大切です。

前回はクリンチャーで今回はチューブラーホイールです。また違う乗り味なのでインプレが楽しみです。