シマノホイールWH-R501を分解

シマノWH-R501ホイールを調べる機会を得ました。安価で販売されています。正直驚くばかりの価格です。どうしてこんな価格で販売できるのか不思議です。

前輪20h 861g
後輪24h 1118g

前輪861g後輪1118gです。合計1979gです。振れ取り台にのせて回転を見ますと目視では振れは全く見受けられません。ダイヤルゲージでもプラスマイナス0.1~0.2mmを前後するとても優秀な振れ取りです。正直、見た目はよくできています。

次にホイールのスポークテンションを調べました。下記のグラフです。

前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

非常にハイテンションで仕上げています。残念ですが振れ取り重視です。見た目を追いかけて中身は悪いという印象です。まあ値段が値段だけに念入った調整はできないのでしょう。時間優先です。少しでも多く数をこなす必要があるということです。

前輪、なじみだしを行いました
後輪、なじみだしを行いました

ホイールにはプレス式のなじみだしを行われていますがこのホイールに私のなじみだしを行いますと上図のようになります。グラフを参照ください。

スポークテンションは大きく下がります。振れも出ています。こうして見ますといつも値段が値段だけにという枕詞がついてしまいます。

前輪リム 538g
前輪20本144g 1本7g

リムはピンジョイントで重量は538gでした。軽くありません。前輪はエアロスポーク的なスポークで2.0/1.6/2.2/2.0mmと実測ですが扁平スポークです。1本7gありますので2mmのスポークを叩いたスポークのようです。エアロ効果は期待できません。見た目だけです。後輪リムはオフセットリムではありません。通常のセンターホールリムです。これが悪いというわけではありませんがオフセットリムを使えば左スポークテンションは改善できます。オフセットリムでないのが残念です。値段が値段だけにということばかりです。

しかし残念なことばかりのホイールですが一つだけこれはいい!という点がありました。

前輪20hカップアンドコーン144g
後輪24hカップアンドコーン366g

ハブがカップアンドコーンの20・24hです。いま流通しているハブで手に入れやすいカップアンドコーンのハブはシマノしかありません。しかしシマノは20h・24hは販売していません。28h、32h、36hだけです。

カップアンドコーンハブなら自分で調整出来てまめにグリスアップを行えば非常に安定して長い間使えます。

個人的な偏った意見ですがホイールはがっかりしますがハブはいいと思います。このハブを使って手組するなら良いと思います。ただ少し重いのですが中心部の重量ですし何事もトレードオフで重いハブということは丈夫なハブということです。

超安価プライムディスクホイールを購入しました②

何故新品ではこんなにスポークテンションが高いのか疑問が解けました。結論から言いますと、スポークテンションは適正値に下がりました。

 

手組ホイールを作る際ストレスリリーブという作業をします。西洋の人たちはストレスリリーブですが日本ではなじみだしといっています。スポークの張り具合の最終調整というわけです。この作業を私の方法でプライムディスクホイールに行いました。ニップルは回していません。

前輪
後輪 左76.0・右150.6kgf
後輪
前輪 左ブレーキ側142.4kgf・右92.3kgf

作業後スポークテンションを測りますと次の通りです。

前輪 左ブレーキ側119.1kgf・右72.8kgf
後輪 左64.6kgf・右ドライブ側120.2kgf

驚きです。スポークテンションが下がり私が通常作る値まで下がっています。スポークの張り具合も揃っています。とても優秀です。

つまりこのホイールのハイテンションはしばらく乗ったら下がることを見越して調整しているようです。勝手な想像ですが、まあ上手に手を抜いているということですね。目いっぱいテンションを上げておけば乗っている間に適正な値になるというのを見越しているのかもしれません。1本でも時間短縮で作るほうが良いのでしょう。

 

よく考えています。超ハイテンションで仕上げておけば乗っている間に適正値になるという作り方です。お見事です。しかしながらうまくテンションが下がらない場合もあるかもしれません。本当はどうでしょうか?

 

実際意識的にこのように作っているのかはわかりませんが手を抜いても大丈夫なところは目いっぱい手を抜いています。しかしテンションはしっかり揃えています。押さえるところは押さえているという感じです。いや難しいです、お買い得ですよ!というべきかどうか、非常に重いのが問題です。1万円のホイールにいろいろ言うのはどうでしょうか?次はこのホイールを分解してみようと思います。

超安価プライムディスクホイールを購入しました

Wiggleのホームページを何気なく見ていて超安価のディスクホイールを見つけました。

買った理由は単純です。1万円で買えるホイールはどんなものかとても興味がわきました。

届いたときの写真です。この値段で勉強できるなら安いものです。

きれいなパッキングです

届きました。非常に丁寧に梱包されています。はるばるイギリスから航空便で届いたのです。おまけに送料無料です。どういうことになっているのかいつも考えてしまします。

 

ホイールが届きますといつものお作法を行います。

前輪 943g
到着時の前輪スポークテンショングラフ
後輪 1199g
到着時の後輪スポークテンショングラフ

重量とスポークテンションを測ります。

前輪942g、後輪1199g前後2141gと正直言って重いです。カタログでわかっていたのですが実際に測ってみて少し驚きました。

 

では前後輪を細かく見ていきます。

 

スポークは2㎜のストレートスポークを使っています。ニップルはもちろんブラスです。

リムはアルミリムでオフセットリムではありません。24hの普通のアルミリムです。

チューブレスで使えます

リムはprimeの白いロゴが入っていますがシールではありません。つまりペイントしていますので簡単に取り除くことはできません。チューブレステープを1回巻きで処理されています。そう、チューブレスレディーです。重いホイールですが驚くことばかりです。

シマノ方式(シマノH.P.より)

スポークの組み方は前輪が逆イタリアン後輪はイタリアンです。通常シマノでは後輪はJIS組みを勧めていますがこのホイールは違います。まあそんなに影響ないということでしょう。私はシマノ方式で前輪は逆イタリアン、後輪はJIS組みで組みます。このことは前から疑問に思っていました。まあそんなに変わらないということかもしれません。

 

スポークテンションは上記のグラフになります。スポークテンションのバラつきは少ないと思います。ただスポークテンションはびっくりの値です。非常にハイテンションでスポークを引っ張っています。今までこんなに高い数値は見たことありません。ここまで必要かよくわかりません。

 

スポークテンションの適正値はこの数値でないといけないという決まりはありません。どのホイールメーカーも違うので決まった数値というのはないのが実情です。ではどういう風に決めるのかとなりますと必要十分な数値にするというあいまいな数値で管理されているようです。

 

このホイールでは前輪左ブレーキ側140kgf、後輪右ドライブ側150kgfです。驚きのハイテンションで仕上げています。これでいいのだ!といった感じで作られていますがこんなに高い数値ではスポークが疲労しないのか心配です。まあ値段が値段ですのであまり考える必要がないのかもしれません。

 

ホイールの剛性アップはスポークテンションを上げることではできません。高いから剛性が上がるわけではありません。スポークテンションの均一化は必要ですがむやみに高くすることがホイールの性能アップにはつながりません。必要十分であればいいのに何故こんなに高いのかよくわかりません。必要十分というあいまいな書き方もわかりにくいのですが数値が決まっていないのでこういう書き方になってしまします。しかしおおよその数値はあります。私はドライブ側を120前後にしています。

 

おそらくこのプライムホイールはタイヤをはめた後のスポークテンションドロップを計算しているのだと思いますが通常10~15%のテンションドロップですのでやはりたかい数値です。

 

1万円のホイールにいろいろと意見をいうのはおかしいかもしれませんが分解してみようと思います。安物買いの**なのかまたレポートしたいと考えております。

チューブラーホイールのレビューをいただきました

先日お納めしましたチューブラーホイール(3月4日に記事)のレビューをいただきました。オーナー様はFTP265と力のある方です。普段からしっかりトレーニングされている方ですので私には感じられないことを教えていただくことができました。参考にしていただければ幸いです。

CX22 rim Miche Hub 24/28h 1574g
前輪 685g
前輪スポークテンショングラフ
後輪 889g
後輪スポークテンショングラフ

レビューは以下の通りです。

 

ようやく床づくりとタイヤ貼り付けも終わり400km程走って来たので、レビューさせていたたきます。

 

漕ぎ出しから非常にスムーズです。リム重量がほとんど同じアンブロッシオモントリオール32hと比べてもかかりがいいです。35km/hまで淀みなくスムーズにのびていきます。40km/hからはリムハイトが低いのでのびは落ちますが、それでも気持ちよく回ってくれます。本当に気持ちいいです。

 

右2クロス左3クロス組についてですが、これは最後の足掻きとして、それ以前にやるべき事があるという事がこのホイールをもってわかりました。スポークテンションの偏差をなるべく抑える事だったり適切なケミカルを用いて組む事だったり、小さい事の積み重ねでこのホイールは出来ているなと感じました。

 

それからこのホイールの一番気に入った点は、振れにくさです。400kmをわざとガシガシ踏んだり荒れた道に突っ込んだりしましたが、振れがほとんどといっていいほど出ませんでした。フロントは振れ無し。リアが0.08~0.10mm程振れただけでした。もっと力のある人だと結果は違ってくると思いますが、少なくとも自分が使う分には素晴らしい結果です。アマニ油とロックタイト220それからスポークテンションの偏差の少なさのおかげでしょうか。

 

プライムというブランドの28mmハイトのカーボンチューブラーとも比べてみましたが、さすがに漕ぎ出しはカーボンのほうが軽いですがかかり具合は今回のホイールのほうがいいですね。スポークが均等にリムを回してるからでしょうか、やはりスムーズです。伸びも35km/hまででしたら今回のホイールのほうがいいです。そしてこのプライムのホイールは¥64000です。大体半額で組める今回のホイールとの性能差はそこまでないのではと思いました。

 

最後にミケハブに関してですが、非常にシンプルでメンテナンスしやすく、ベアリングの与圧(ガタ取り)もマビックのQRM+と同じ方式でクイックを締めてからでも調整できるのでいいですね。ただ一点不安なのが、シールが甘い点です。フリーボディなんかはシールがなくベアリング剥き出しなので雨天時は少し心配です。ですが、シールがない分良く回りますね。やはりここはトレードオフの関係ですかね。

 

長々と書きましたが、総評としてメンテナンスしながら長く使える良いホイールです。工賃も倍以上取っていただいてもいいのではないでしょうか?少なくとも僕は払います。

 

以上がレビューです。良い評価をいただけたと思っています。

 

チューブラーホイールは、特にアルミチューブラーは完組では手に入れることができなくなりました。手組ホイールではチューブラーホイールは存在感を示すことができます。今回使用しましたキンリンのリムは剛性が高く軽量です。

 

チューブラーホイールは外周部が軽い軽量ホイールに仕上げることができます。一度お試しください。

スリーブジョイントの影響

ホイールを組み終わってから写真をよく撮ります。お客様の記録やブログの記事のためです。

青いテープがバルブ側、スリーブ側が下に来る

写真を撮るときに向きを考えるのですがきれいな角度になるようにするにはホイールのバルブ穴の反対を下にします。アルミホイールの場合スリーブジョイントがほとんどですのでリムはスリーブ側に必ず傾きます。

青いテープがバルブ側ジョイント部分が必ず下に来る

振れ取り台にホイールをセットしますとバルブ穴が必ず上にきます。ジョイントのスリーブが影響してつなぎ目が重く下に位置します。

カーボンホイールではどのようにおいてもすんなり転がらずに静止しますので写真は撮りやすいです。

 

スリーブとは棒鋼などを継ぐために用いられる筒型の金具のことをいいますがどうもアルミリムの場合スリーブは7,8gほどあるようです。この重さがリムのバランスを変えています。

鉛板の重さが7,8g

何故重量が分かったのかといいますとホイールのバランス調整で貼る鉛板の重さがこの重さです。

 

クリンチャーカーボンホイールではスリーブは使いませんのでどの位置でもホイールは止まります。タイヤをはめますとバルブの重さが影響して振れ取り台に載せますとホイールはいつもバルブが下にきます。シーラントが入りますとちょっと様子が変わります。

 

ベテランの人はこのようなことはご存知と思いますが誰もが最初はビギナーです。ホイールの回転でリムバランスが悪いとやはり走りに影響します。同じホイールでもチューブ、タイヤで走りが変わります。

ホイールの買い替えはやれることやってからですとあるお客様が教えてくれました。

ロードバイクの科学を再読

2008年4月30日発行

もう13年前になります。この本を書店で見つけたときは感激しました。理屈がわかればロードバイクはさらに面白いと!コメントしてあります。実際、楽しく何度も読ませていただきました。特に155ページ以降の自分でホイールを組むヒントは特に面白かったです。

一番面白かったページです

もうこの時はある程度ホイールを組むことができていましたので理論的なことを吸収するのにとても勉強になりました。今や手に入りませんので古本屋で見つけるか図書館であれば借りられたら良いかと思います。

170ページにスポークにかかる力と張力設定について解説してあるページがあります。作者の藤井さんはエンジニアなので本当に難しいことをわかりやすく説明していただいています。

リアのテンション設定は120kgfにしていると書かれているのですが経験豊かな方なのでこの辺りは経験での値のようです。理論と経験がうまく絡まってとても面白い読み物となっています。

 

ページを戻しますが161ページからはホイールの製作手順を説明されています。本当にわかりやすい説明です。

うんうんとうなずきながら読んでしまいます。

 

何度も読んで勉強させていただきました愛読書ですが1点だけ気になる点があります。

164ページにスポークテンションを調べるテンションメーターにパークツールのテンションメーターを勧められておられます。愛用の道具で買ってよかったものの一つと書かれています。安価で便利な道具です。

当時私もこの記事を読みましてこれは間違いなく私も同感です。テンションメーターを既に私も持っていましたのでうれしく思いました。

 

しかしその後海外の有名ビルダーの記事を読みましてわかったのですがこの道具はとても便利な道具ですが正確ではありません。新品のホイールを買った時にスポークテンションを測っておいてホイール使用後にスポークテンションをもとに戻すときに使うものです。つまりスポークテンションを示す値は正確ではありません。20%くらい狂っているTM-1はざらにあります。輸入元のホーザンさんの担当の方が話していました。電話して確認しました。

 

何度もスポーク折れを経験されている方はバラバラのスポークテンションのホイールだと思います。

ひょっとしたらこの正確でないテンションメーターを信じてホイール作りされているのかもしれないなと思います。

仮にドライブサイドを120kgfで作っても今の11速のハブでは後輪左サイドが右の40%のハブなど沢山あるのが現実です。120kgfの40%で48kgfです。この2割狂っているとして約40kgfです。このテンションでばらつきが20%あれば30kgf近いゆるゆるのスポークがあることも考えられます。握って何キロとわかる人はまずおられません。

この本からJIS規格では最低張力が平均400N(41kgf)ということも学びましたがJIS規格以下のホイールもありうる話と感じます。

 

関西人は話の落ちを求めてしまいます。

 

ロードバイクの科学を楽しく再読して、テンションメーターは校正が必要です、はあまり良い落ちではありませんがこの本を読める機会があれば是非ともお勧めしたいです。ホイール作りに理論武装ができます。

ホイール再調整のご依頼②

先日銀輪ホイールをご注文いただきましたお客様より再度のホイールチェックをご依頼いただきました。ホイール調整は2セット目になります。

4年ほど前にプロビルダーさんにオーダーされた銀輪ホイールの再点検です。

カンパハブ使用 36hホイール

わざわざビルダーさんへ持参しなくても私のほうで調整出来るとご判断いただいたようです。

お預かりホイールは次の通りです。

前輪 842g

前輪

リム マビックオープンプロ36穴

ハブ カンパハブ

スポーク コンペティション シルバー左右3クロス組

ニップル DTアルミニップル

後輪 987g

後輪

リム マビックオープンプロ36穴

ハブ カンパハブ

スポーク 右ドライブ側 コンペティション シルバー 2クロス組

スポーク 左ノンドライブ側 コンペティション シルバー4クロス組

左サイドにソルダリング

ニップル DTアルミニップル

私のほうではお預かりしましたホイールはいつもスポークテンションを調べます。下図のグラフが前後輪のテンショングラフです

縦ブレ横ブレはほとんどない 強弱強弱という形でバランスが取れている
縦ブレ横ブレはほとんどない 強弱強弱という形でバランスが取れている
右サイドで計測 7.83mm
左サイド 7.85mm センターの誤差はほとんどない

ホイールの縦ブレ横ブレはしっかりとれています。上写真の通りセンターも驚くばかりの真ん中です。ニップルはアルミニップルですので長めのスポークでニップルのすり割りを突き抜けて作られています。このように少し長めにするとニップルの頭が飛ぶ心配はいりません。アルミニップルの弱点をよく知っておられ、扱いなれた方です。

アルミニップルの弱点をよく知っておられます。長めのスポークがいいと思います。
とてもきれいなソルダリングです。

後輪は左4クロス右2クロスと凝った組み方をされています。左スポークにはとてもきれいなソルダリングを施されています。これだけきれいにソルダリングできる人は少ないと思います。クロモリロードにはぴったりに美しいホイールです。

組んである状態ですのでハブのサイズが正確にわかりません。このためほぼ同等のシマノハブで後輪スポークテンション左右比率を計算してみたいと思います。

あくまで計算上の理論値です。後輪は左4クロス右2クロスで組みますと理論値では左52:右100の比率で組めます。通常の左右3クロスなら49:100、左3クロス右2クロスなら50:100の比率です。左サイドのスポークテンションは49,50,52と約1%刻みで改善されます。大幅な改善とみるか、なんやそれだけとみるかは個人の感じ方です。私は大きな改善とみています。

オーバーラップ状態

こうしていろんな36穴リムでのクロスパターンを仮定しますと左4クロス右2クロスは一番高い比率で組めます。しかしこのハブで4クロス右2クロスを組みますと左スポークは計算値ではオーバーラップしますのでは一般的には行いません。

後輪左側のスポークはオーバーラップ

オーバーラップとは写真のようにスポークが重なり合うことです。スポーク同士が接触しあう組み方ではスポークが曲がって干渉しあうことがあるのでお勧めしないといわれています。私はやったことがないので良いのか悪いのかはわかりません。

調整後の左テンションの計測値は約52kgf:123kgfで仕上がっています。11速に伴ってハブオフセットの値が大きい最近のハブでは左スポークテンションがとても緩い仕上がりになりますのでこの実測値は高い仕上がりと考えます。

お預かり時の後輪スポークテンショングラフ

お預かり時の各スポークテンションを調べますと上図のテンショングラフになります。グラフで見るととても分かりやすいです。スポークテンションは強弱強弱と波打ちながらもきれいに振れ取りが出来ています。振れはほとんどありません。これだけきれいに振れ取りをされていていれば通常ならOKです。

センターは0.1mmの以下のずれ、優秀です
センターは0.1mmの以下のずれ、優秀です

このホイールはとてもきれいな仕上がりですのでスポークテンションが揃っていないのは残念です。

いつも各スポークテンションの偏差を5%以内に収めていますのでオーナー様はこのホイールのスポークテンションがもっと揃うようにということで今回依頼されました。

各スポークテンションを揃えて且つ振れを最小になるように再調整終わったグラフが下図のグラフです。

スポークテンション調整後の前輪      左100kgf右100kgfで仕上げました
スポークテンション調整後の後輪左52kgf右123kgfで仕上げました

どのくらいパフォーマンスが上がったかを感じ取ることは低速時では難しいと思いますが各スポークのテンションがほぼ同じに引っ張っていることにより高速時では違いがよくわかると思います。可視化しますとよくわかります。スポークテンションの均一化はとても大切です。

今回はいろんなホイール、自転車を乗ってこられた目の肥えたユーザー様に信頼を得たことがとてもうれしいです。

ホイール調整のご依頼

キンリンXR22T/RT20・24hをお買い上げいただいたお客様より今までご使用のホイールの再調整を依頼されました。

ホイールはイーストンのアルミホイールです。最初の状態を知るためにスポークテンションを調べました。

次のグラフが最初の状態です。

お預かり時の前輪スポークテンション
お預かり時の後輪スポークテンション

では先ず前輪について説明いたします。

スポークテンションが数か所大きく違う場所がありました。細かく調整しなおしましたのでグラフはきれいな丸になっています。まあ完ぺきではありませんが使える状態にしました。

修正後の前輪スポークテンショングラフ

 

次に後輪です。

修正後の後輪スポークテンショングラフ

上図が調整後の後輪です。

 

一ヶ所、理由はわかりませんが大きく歪んでいるところがあります。おそらく落車が原因と思われます。振れ取り台のメーターで見ますと1mm以上の凹みがあります。

この凹みが原因で縦ブレ横ブレが起こります。

今回このホイールの再調整では完全な丸にはできません。お預かりの時点では無理やり丸にしようとしていましたので非常に緩いスポークが数か所ありました。これがホイールの性能を悪くしていた原因です。前へ進む力がこの緩いスポーク数本で減じていたと思います。

 

スポークのテンションを調整してリムを丸い状態にすることはできませんので、凹みは凹みと受け入れて調整いたしました。まあ、無視するわけです。そしてスポークのテンション均一化だけを最優先しまして調整しました。グラフで見ていただくとわかりやすいです。ホイールの9時のポイントがへこんでいるのですがスポークテンションはおおよそ均等に張られています。

リムに1mmの凹みがあるのですがタイヤに空気が入りますとわからないと思います。今まで乗っておられたので先ず大丈夫です。

ホイールセンターはハブの設計上どうしても左が緩いので(53kgfまで上げています)リムセンターを左に0.6mm寄せています。つまりスポークを適正値より強く引っ張って調整しています。本来の適正値で調整すると50kgfは大きく下がる数値になりますのでリムが左に寄るのを承知で調整しています。

タイヤがはまりますと0.2ミリほど右に寄りますが、使用時のホイールは少し左に寄っています。しかしこの状態は使えない状態ではありませんので最終的にはブレーキ側で調整することでお願いしました。

 

お届しましてお返事がありました。このホイールは中古品を買われたようです。販売した人はへこんでいることなどはお客様には話していないようです。使っている間に不都合な点がわかられたようです。中古品のリスクは身に染みたとおっしゃっています。見た目だけではわかりません。安すぎるホイールは怪しいです。

中古品マーケットはいろんな媒体で増えていますが自分で直せる人、またメンテができる人のルートを持っていない人は手を出すのは危険です。

ホイール再調整のご依頼

先日、銀輪ホイールのご依頼をいただきましたオーナー様の奥様が所有のホイール調整を依頼されました。

 

ホイールは次の仕様です。

マビックリムの手組ホイール 前輪858g
後輪 1065g

リム マビックリム

スポーク DTチャンピオン 2.0mmストレート

ハブ シマノ前HB5800 後FH5800

ニップル ブラス シルバー

前輪 858g 後輪1065g 前後1923g

 

このホイールはユーザー様のご友人が組まれたホイールとのことです。

 

前輪の振れは±0.2mmの振れでした。とても優秀です。きれいに回ります。

軽いホイールではありませんが見た目はほとんど振れていないクラシックなクロモリロードにはぴったりのスタイルです。

 

ただ奥様は踏んだ時にスピードに伸びがないホイールというご不満をお持ちです。

 

さて、スポークテンションを調べました。下図のグラフが分かりやすいと思います。

お預かり時の前輪スポークテンショングラフ

前輪 左67.8kgf スポークテンションばらつき25.7

右64.0kgf スポークテンションばらつき15.7

お預かり時の後輪スポークテンショングラフ

後輪 左40.9kgf スポークテンションばらつき40.8

右101.8kgf スポークテンションばらつき23.0

 

となります。総じてとても緩い仕上がりです。しかもスポークテンションのバラつきが大きく目立ちます。振れは全くないのにとても残念な仕上がりです。

修正しました。

テンションを上げて均一になるように修正
修正後の後輪スポークテンショングラフ

今まで何回もテンションのバラつきを記事にしてきました。今回も同じ説明の繰り返しになってしまします。

見た目ではホイールの良し悪しはわかりません。きれいに車輪は回っていてもパフォーマンスは全く違います。理由は各スポークテンションばらつきにあります。

スポークテンションがばらついていますとクランクを回して発生した力が各スポークに伝わるまではどのスポークにも同じ力が伝わりますが車輪を回す力はバラバラのスポークで駆動ロスが生じます。スポークの張りは揃っていないといけません。

 

オーナー様が踏み込んでも伸びないとおっしゃるのはリムの剛性が大きく影響しますがスポークの張りが不揃いなのも原因の一つと思われます。

スポークテンションの均一化調整はお金のかからないグレードアップになるのではないでしょうか。ただし経験が必要なのでハードルが高いのが難点です。

テープ選びにてこずる

リムテープの交換を行って感じたことを今回記事にしています。私の経験不足でこの結果になったのかもしれませんが意外と同じような経験を持つ人が多いと思います。

以下DT RR421アルミリムを使ったグラベルロード用のホイールでチューブレスレディーホイールとして取り扱った時の経験です。

 

RR421はチューブレスレディリムなのでチューブレスで使うにはテープを貼って空気止めを行うことが必要です。先ずはテープを貼ってバルブを取り付けます。リムテープは定番の黄色テープを用意しました。。

定番の黄色テープ

リム面をアルコールできれいにふき取り油分を取り除きます。ピンと引っ張りながらゆっくり空気のふくらみを取りながら巻いていきます。指圧をするような感覚です。通り重なる部分を10cmほど取りカットし、千枚通しでバルブ穴のところを突き刺してバルブをセットします。

タイヤは方向がありますので注意が必要です。私は手軽な石ケン水を使っています。タンク付きのポンプで空気を一気に入れますと一発でビードは上がりました。

 

タイヤに書いてあります推奨空気圧まで入れて様子を見ることにしました。

 

4時間くらい経って空気圧は1気圧くらいまでに減っています。残念ながらこれでは使い物になりません。しっかりとテープは注意して貼っています。しかし考えられるのはリムとテープがきっちりと貼れてなくどこかで漏れているのです。

 

どうやら一つのテープでどんなリムでも使えるとはいかないようです。これでなんでも使えるテープはないようです。

ブルーのテープで試してみました

ポリイミドテープとブルーテープ

リムとテープの相性が悪いと考えましてもう一度別のテープで試みました。いつも使うブルーテープです。うまく行きません。次にポリイミドテープを試してみました。

同じ手順でテープ貼りを行いビードも一発で上がるのですが6時間ほどでタイヤはペコペコになっています。これもうまくいきません。

 

DTリムは梨地仕上げのためキンリンリムのようにつるんとしていません。少しざらざらしています。これが影響しているのかなと思います。。なかなかピタッとテープがくっつかないのです。

 

ビードは上がるのですが長持ちしない原因はここにあるとにらんでいます。

リムとテープの相性は相当あるようです。テープ代は結構嵩みます。安価に済まそうといろいろやってみるのですがなかなかピタッと来るものがありません。

 

DTリムにはDTテープがいいのかもしれません。テープ選びはなかなか手強いです。