英語圏の自転車フォーラムは楽しい

いろいろ海外の自転車フォーラム、ブログ、情報誌を読むことが多いです。拙い英語力ですが分からない単語は右クリックで解決できますので安心です。ネットは便利なものです。

英語圏のフォーラム

英語圏の自転車フォーラムはやはり世界中の人が読みますので情報が早いです。参考になることが多いです。日本にも同じような質問箱やフォーラムがありますが手組ホイールに関してはちょっと内容が貧弱な気がします。手組する人の数かもしれません。

英語圏のフォーラムはいろんな国の人たち(ベテランビルダーからビギナーまで)が参加しますのでこの辺りが日本の日本語フォーラムと違うところです。

こんな時どうしたらいいと質問しますと世界中から答えが来るのが面白いです。

もちろん日本の自転車フォーラムも同じように質問者がいて回答者がいるというシステムですが情報量から言いますと英語圏のフォーラムは圧倒的に内容が深くて数が多いと思います。

例えば最近チューブレステープで汎用品のブルーテープが使われるようになりましたがこんなことも何年も前から知ることが出来ました。

しかし鵜呑みにもできません。知の巨人、佐藤優さんに言わせるとネットサーフィンは時間の無駄だそうです。私の検索は絞った内容、事柄ですのが無駄な時間の消費には気を付けたいと思います。

最近考えることですが、ホイールのご注文に後輪はヨンロクにしてほしいといわれることがあります。このヨンロクは10年ほど前から始まりました。有名なビルダーさんが提唱されたのですがこの方の影響力は凄いものがあります。私も初めて知った時は驚きました。こんなすごい組み方があると驚いたものです。

しかし手組ホイールを知れば知るほど疑問点も出てくるわけです。実際私も24hでは行いませんが28hでは左3クロス右2クロスで組むことがあります。1%ほど左のテンションが上がりますので低くなるよりましなので行います。最近ではお客様もこのことはよくご存じで1%上がるだけですよといいますとわかっていますとお返事いただきます。

ではなぜヨンロクの話なのかといいますと海外のホイールフォーラム、ブログでは全くヨンロクの話は出てきません。海外の自転車フォーラムを15年以上読んでいますが左3クロス右2クロスの組み方で話題に上ったことは無いようです。日本にはガラパゴス的に独自の自転車文化があるのか、はたまた英語圏の人たちは細かいことにこだわらないのかもしれません。アメリカやEUではDIYが盛んなので自分でホイールを組む人が多いです。しかしフォーラムの議題をいろいろ検索するのですがこの組み方は出てきません。

右ドライブ側を高く130kgfまで上げると相対的に左テンションは上がりますので1%のために右落とし、左落としといろいろ工夫しなくても組みやすい方法で組めばいいことなのでしょう。

インターネットの時代になり自転車屋さんが隠していた技術もすべてわかる時代です。賢く勉強してお客様の上を行く技術が必要になってきています。

価格は自分で決める

約25年ほど前ですが永六輔さんのこの本を購入しました。

当時サラリーマンの私は職人さんに憧れがありましたので本屋に並んでいるのを見つけてすぐに購入しました。とても面白い内容で、永さんがいろんな職人さんの生の声を集めて本にしています。とても面白くすぐ読み終わってしまいます。

いろんな職人さんの言葉の中でも印象に残った言葉を一つ上げます。

「おかげさまで、

自分の仕事に自分で値段をつけて、

それが売れるようになりまして、

こうなると職人もやっと楽になります」

当時、このような職人さんの生の声を集めたこの本は永さんならではの感性で出来上がっています。とても為になり楽しく読ませていただきました。今も時々読み返して、なるほど!と感心することがたくさんあります。

今、時給1500円で作業しています。1セット作るのに3時間、穴なしカーボンリムは6時間、この価格が高いか安いか相場を知らないのでよくわかりません。しかしご注文いただいた方々にはご理解いただいています。自分で作ったホイールを自分で決めた価格で販売しています。本の職人さんのように楽にはなりませんが楽しくホイール作りをしています。

シマノハブが手に入りディスクホイールを作製

ディスクホイール用としてリムを置いていました。昨今の部品不足で肝心のハブが手に入りません。ハブがない、スポークがないと長く続いていましたが徐々にですがネットでも在庫を見かけるようになってきています。こんな事情でしたがディスク用105ハブがやっと手に入りました。

シマノ 105ディスクハブ

シマノハブの新品は最初ゴリ感があることが間々あります。こんなときはいつもほんの少しねじを緩めています。動いたかどうか分からないくらいですが緩めると楽に回りました。シマノハブの良いところは自分で調整できるところです。これが面倒という人がおられるかもしれませんがハブ調整はホイールの醍醐味でもあります。

リムはキンリンのワイドリムXR22RTを使います。このリムはオフセットリムも手に入りますので前後ともオフセットリムを使っています。前後輪ともにリム穴は3mmずれていますので左右スポークテンション差を少なくできます。

シマノホームページより引用
wheelproのソフト使用

シマノハブのサイズはシマノが発表していますのでこのデータを使っています。正確でとても信頼できるデータです。最初このデータを見たときはオフセット値の意味が解りませんでした。オフセット?なんやろ?という感じです。

あとで意味が分かったのですがデータではフランジ幅、オフセット値、フランジ径が記されています。フランジ幅÷2-オフセット値を出せば数値が出ます。

55.7÷2-7.45=35.3(左)、55.7ー35.3=20.4(右)

フランジ径は左44右45です。リムERDとリムオフセット値を入力して出ました数値がスポーク値です。

出ましたスポーク値は左290.7,右289.7ですので切り上げします。

左291mm右290mmとなりました。

上図のWheeproのスポーク長計算ソフトはネットよりすぐに使えます。算出しました数値を入力すれば簡単にスポーク長を得ることが出来ます。とても便利です。念のためDTのソフトも確認されたら良いかと思います。

前後1797g
Laser 左右3クロス組
左Laser右コンペティション 左右クロス組

ホイールは3クロスで組んでいます。

スポークは細いLaserを前輪に、後輪左をLaser、右を少し太くしてコンペティションで組んでいます。Laserはショックアブソーバーの働きをしますので地面からの振動を吸収してくれます。ドライブ側を太いコンペティションで剛性を高めています。

前輪791g
後輪1006g

前輪791g、後輪1006g前後1797gと決して軽くない出来上がりです。確かにレールに出るホイールではないと思います。

昨今の完組ホイールは安価で優秀です。空気抵抗を意識して少スポークホイールが流行りです。少ないスポークで剛性を出していますのでどうしてもスポークは太くなり乗り味は硬いようです。ガチガチのホイールで1日100km走ると疲れます。

見た目はスポーティーではありませんがスポークの多いホイールは疲れにくいホイールとして見直されて良いと思います。安価にロングライドを楽しめるホイールです。

36mm高カーボンホイールの感想

先日記事にしましたが36mm高のリムで3G組のホイールを作りました。今使っているカーボンホイールは43mm高のカーボンホイールです。チューブレスで使っています。

この前後セットの後輪だけを36mm高のホイールに替えて試し乗りをしました。

43mmから36mmに交換しました

タイヤはクリンチャータイヤでヴェロフレックスのタイヤです。手持ちのタイヤをはめて乗りました。

36mm高はやはり漕ぎ出しは43mmより軽い感じがします。自宅を出ますとすぐに登りの坂道があります。わりと急な坂ですがいつもより軽い感じがします。リムが軽いとこんなに違うのかと驚きました。

ホイールを作っているのですがホイールのインプレを書くのは難しいです。うまく伝えることが出来ません。ホイールの感想を送っていただくお客様は上手な方が多く感性豊かで敏感です。微妙な違いをうまく表現されています。

乗り始めはなるほど違うと感じるのですがすぐに慣れてしまいます。タイヤでも同じでことが言えます。慣れる前にしっかり感じ取るようにします。

いつも走る淀川河川敷の道に出ますと信号がありませんのでスイスイと気持ちの良い走りです。パワーメーターのワット数は200前後を基準に走るのですが回しやすいです。これも43mmのホイールより軽いからかもしれません。ただスピードに乗ってしまうと43mmのほうが足を休めるというか楽な感じがします。36mmは軽いのですが回し続けるというか、43mm高よりは回さないといけない感じです。とても楽に回せますので普段からクルクル回す乗り方の方には反応が敏感な36mm高のほうが乗りやすい感じでしょう。少し踏み込んで250wに上げるときの反応は36mmのほうがキビキビとした感じで楽しいです。

残念ながら私は力がないので時速40kmでの感想は書けません。おそらくよく走ると思います。

いまは前輪が43mm高なので空力はいいと思います。グランツールなどのレースで前を高いリムで走っている選手を見たことがありますが、前を高くして後ろを少し小さい径のリムで走る利点はこんなことなのかと素人考えですが感じました。

ちょっと踏み込んで300wで走るときも瞬間にスピードが上がるので楽しいです。ずっと300wで走り続ける力がありませんのですぐに200wに戻ってしまいます。

10年以上前ですが初めてジップの303に乗った時の感覚を思い出しました。気持ちがいいです。

溶接跡が良く目立ちます

因みに私のフレームはTNIのアルミフレームです。溶接跡がよく目立ちいかにも安物フレームです。しかし沢山乗り継いできたわけではありませんがコスパは最高です。アルテグラの10速で乗っているのですが気に入っています。もう10年以上乗っています。パワーメーターが一番高いパーツです。低価格の自転車ですが十分楽しんでいます。

いつもお送りいただいているお客様のインプレとは違いうまく説明できていませんが36mm高のリムで作ったホイールは結構オールラウンドで使えると思います。普段オールラウンドのホイールなんて名前だけで使い分けないとダメですよと言っている私ですがこの言葉はひっこめないといけないかもしれません。いいホイールです。

ゴキソホイールをお預かりしました感想

お預かりのホイールは24mm高のクリンチャーホイールです。前輪はラジアル組、後輪は左ラジアル右2クロスの1:1変則組です。ハブを持って回転させるとなるほど噂通りよく回るので驚きます。

なかなかゴキソホイールをさわれる機会などありません。このホイールの点検依頼いただいたことに感謝しています。

1:1組 左ラジアル、右2クロス組

乗ったことがありませんので勝手なことは言えないのですがこの組み方を何故こうしたのか知りたいものです。ホームページにも書かれていません。通常は1:1組では左右2クロスですが左ラジアルにするとどう変わるのか知りたいです。縦剛性が高くなるということを聞いたことがありますが実際にはどうなのか教えていただきたいです。

ナローハブはハブセンターオフセット値が小さいので左スポークテンションを高く取れます。つまり左右のスポークテンション差は小さくなります。このホイールもその通りでとても左テンションが右の60%以上のとても高い仕上がりです。しかしリムに対してのスポーク角度、ブレイシングアングルは小さくなります。

あまり角度がないということは、つまりツッパリ棒でぐっと支える状態でないので横剛性は少し弱くなります。つまりコンタドールのようなグイグイとダンシングするタイプの乗り方ではシュータッチする恐れがあります。左テンションは高いけれどナローハブは横剛性が少し下がる恐れがあります。

対策としてナローハブでは左右のフランジ径を大きくしてブレイシングアングルを大きくすることが多いです。おまけにフランジを大きくするとスポークが短くなりますので剛性アップにもつながります。この辺りの良し悪しを工学的に詳しく知りたいものです。

欠点のないホイールはありません。どこかを我慢しているものです。ハブは恐ろしいくらいよく回りますのでウィークポイントはどこなんでしょう。

ちなみにゴキソという名前ですが今までどういう謂れがあるのかわかりませんでした。たまたま最近話題になっている中公新書の「荘園」という本を読んでいたところ作者の伊藤俊一さんが名古屋の御器所小学校を卒業したとこの本に書かれていていました。御器所という地名から10世紀には尾張国衙(こくが  国司の統治下にある土地)の陶器を生産する部署があったようです。お客様もゴキソの由来をよくご存じで、今もその地には御器所神社があり勝守り(かちまもり)をいただきにまいれる方が多いようですと教えていただきました。御器所の名前が本に書かれていて、それを読んでいた時にゴキソホイールの再調整の話をいただきましたので何か不思議な縁を感じます。ハブは10世紀まえから脈々と続く職人集団の心意気が感じられるハブでした。

ゴキソホイールを再調整

ゴキソホイール再調整の機会を得ました。

ご依頼主はホイール作りのキャリアがある方で、ご自分で調整してみようとこのホイールに挑戦されたようです。ホイールを作れる方なのでご自分で調整してみようと思われるのは当然です。しかし残念ながらうまくいかなく困っておられたようでした。やはりカーボンホイールは難しいのかもしれません。

ゴキソのホイールはとても興味深いホイールです。ハブはとても重いのですがよく走るそうです。でも乗ったことがないのでよくわかりません。

前輪ホイール 793g
後輪ホイール 1024g

ホイールは完組ですが手組ホイールと同じです。ハブのサイズがホームページで発表されていますので詳細はよくわかります。

さて、ホイールはお客様がご自分で調整されたのでオリジナルの状態ではありません。いつもお預かりしたホイールはスポークテンショングラフを取るのですがデフォルト状態が分からないので残念です。しかしお預かり時のグラフを作りましたので示したいと思います。

前輪スポークテンション 角ばっているところで振れ取りバランスが取れている
後輪スポークテンショングラフ  リムが左に寄りすぎて前輪のようなテンショングラフです

元がはっきりわかりませんので私が普段作製しているスポークテンションに調整することにしました。

前輪は約110kgf、後輪ドライブサイドは125~135kgfで仕上げます。お客様にはニップルを回しやすくするためにオイルを一滴注すことの了解を頂きました。

ニップルはインターナルニップルなのでリムの外側より回します。

スポークのねじれを防ぎながらニップルを回すのですが慣れればこのニップルは簡単で扱いやすいニップルです。しかしリム穴からニップルを回すのは少しコツがいると思います。ハードルを高くしている一因のようです。

再調整には一度全部スポークを緩めて新しく組み上げていきます。遠回りのようですが早道です。

後輪ホイールは右から左に組むのが一番うまくいく組み方と思います。まず右ドライブ側を緩めのテンションで組み上げて縦ブレを取りその後左非ドライブ側のニップルを回してリムをセンターに寄せていくのが楽です。左に寄せていくと自然に右テンションは上がります。

簡単に言いますと後輪は右から左です。わかる人にはよくわかるコツです。秘伝のたれで自転車屋さんは絶対に教えてくれません。ホイール作りでうまくいかない人は試してください。

正確に測れるテンションメーターも大切です。チェックしながら組み上げていきます。

上手な人は30分くらいで組めますが精度の高いホイールにするにはやはりじっくり時間をかけるのが一番です。早いだけが上手なのではありません。

完成後の前輪スポークテンショングラフ
完成後の後輪スポークテンショングラフ

完成です。元のオリジナルはわかりませんが私なりのテンション構成で仕上げました。

手組ホイールを調整

とあるショップでご注文されたホイールですが受け取られた際に何か出来上がりに違和感があったようで乗らずにおられたようです。ネットで手組ホイールに関して調べていたら当ブログにあたりご連絡いただきました。ホイールの再調整のご依頼です。

お受けするときはいつも失敗したときの弁償も考えてお受けしています。今回は何とかこなせると思い、再調整お受けしました。

ホイールの内容は次のようなものです。

前輪
赤と緑のコントラストが印象的です

【フロントホイール】                                            

①リム MAVIC CXP-PRO 32H・クリンチャー

②ハブ ONYX    Vesper ROAD FRONT HUB         32H ・ハブシェルカラー:Green Anodized・アクスルカラー:Red Anodized・スチールベアリング

③スポーク SAPIM CX-RAY284㎜ ブラック・14G・2クロス/イタリアン組

④ニップル DT SWISSブラスニップル      ブラック 2.0 16㎜

⑥リムテープ     SCHWALBE       ハイプレッシャーリムテープ 700C×18㎜

⑦チューブ Panaracer R`AIR 700×18-23C・仏式48㎜

⑧タイヤ            Vittoria CORSAグラフェン2.0      700×23C ブラックスキンサイド・クリンチャー                                  

後輪
高級ハブです 左3クロス組 右2クロス組

【リアホイール】                                     

①リム MAVIC CXP-PRO 32H・クリンチャー

②ハブ ONYX    Vesper ROAD REAR HUB 32H ・ハブシェルカラー:Green Anodized・アクスルカラー:Red Anodized・スチールベアリング

③-1 ドライブ側スポーク DT SWISS        Competition 285㎜(スポークが長かったらしくカットされたとの事。カット後の流さは280㎜程だと伺っております) ブラック・14G・2クロス/イタリアン組

③-2 反ドライブ側スポーク         SAPIM CX-RAY288㎜ ブラック・14G・3クロス/イタリアン組

④ ニップル DT SWISS ブラスニップル ブラック 2.0 16㎜

⑦ リムテープ SCHWALBE ハイプレッシャーリムテープ 700C×18㎜

⑧ チューブ Panaracer R`AIR 700×18-23C・仏式48㎜

⑨ タイヤ          Vittoria CORSAグラフェン2.0      700×23C ブラックスキンサイド・クリンチャー

ホイールはご自分でプランを立てられビルダーさんに注文されました。

ご自分の体重、乗り方、フレームとの相性など考えてオーダーされています。ホイールの勘所を押さえた素晴らしいホイールと思いました。

お送りいただきましたホイールはハブがアクセントになっています。単なるアクセントだけではなく性能にこだわる高級ハブでした。存在感のある玄人好みのこだわりホイールに仕上がっています。

いつもお預かりしたホイールは最初にスポークテンションチェックを行います。

まず後輪です。

右テンションが平均約147kgfでした 以上に高いのでリム、ハブには良くありません

果たしてお客様が違和感持たれるはずでした。ショップからはドライブサイドを120kgfで仕上げたと報告されたようですがびっくりのスポークテンションで平均約147kgfでした。

このテンションでハブが壊れることはないのですがやはりハイテンションであるのは間違いありません。長い時間乗り続けるとスポーク、リムの経年変化に影響します。おまけにスポークテンションのバラつきが大きいです。駆動ロスが拡大するのは否めません。

次に前輪ですが、今度は逆にとても約90kgfと少し緩いのです。センターも出ていません。左右のテンションは左約84kgf、右約90kgfです。おまけにスポークテンションが揃っていません。強弱強弱と連続しています。少しくらいバラつきがあっても乗れますがやはりホイールにとってはよくありません。特定のスポークに疲労が進み折れなどのトラブルの元になります。また振れも出やすくなります。

やはりスポークテンションは揃っているのが一番です。

再調整しましたホイールのテンショングラフです。できるだけ揃え、出来るだけ振れを押さえています。この言葉とおり特別なことはしていませんが丁寧さが必要です。

スポークテンションはできるだけ均一にしています
異常なハイテンションを下げて左右均一に仕上げました

結果ですが、今まで納品しましたお客様から沢山インプレお送りいただきまして理解したことをいいますと、

◎圧倒するほどに変わるということはないのですがなんとなく進むようになったとよく言われます。

◎コーナーのラインが取りやすくなった、安定しているという言葉もいただくことが多いです。

劇的ということはないのですが乗った感覚はよくなります。均一に張ったスポークには均等に力が加わります。リム、スポークに偏った過度な負担がかからないのでトラブルなく長持ちします。このことが一番の利点と思います。

お客様のインプレをまた紹介したいと思います。

ゾンダ後輪ハブでG3カーボンホイール作製

ゾンダの後輪ハブを使って36mm高カーボンホイールを作りました。もちろんゾンダと同じニップル穴のないリムをオーダーしました。

リムはリムメーカーに寸法をしっかり指定して作ってもらいました。左非ドライブ側には純正スポークを切って使い、右ドライブ側はコンペティションにしました。純正スポークは扁平部分が邪魔をしてスポークカッターが使えません。ねじは切れますので1本ごとに切ってスポークを用意しています。今回の作業はスポークカッターがあるから出来る仕事と思います。なければ難しいでしょう。

スポーク長の出し方はとても大変でした。ハブ実寸を計測したのですが一発でうまくいきません。スポークオフセット値の撮り方が難しかったです。組み立ててはばらす作業を何度も行いました。少しずつデータを取って仮組が終わりました。

仮組が終われば後はニップルを締めこんでいくだけです。通常の作業です。出来上がりはよくできたと思います。

①リムの手配

②スポーク長の計算

③穴なしリムを使う

④厄介な組み立て

ゾンダハブ使用カーボンホイール
後輪882g
カーボンリムはスポークテンションを揃えやすい

とてもハードルが高く作り甲斐のあるホイールでした。出来上がりは882gです。以前購入のゾンダ現物は874gでしたのでほぼ同じ重量です。左右のスポークテンション比は約72:100です。通常のハブでは左が右の半分以下ですのでとても優秀です。 リム高が少し高くなり、外周部がカーボンで軽くなりスポークが重くなったということはホイールの剛性が上がり且つ空力がアップしたと考えます。

歪んだスポークを取り換えました

この8月にお買い上げいただきましたお客様より連絡が入りました。林道を走っている時に小枝がスポークに挟まりがこけられたそうです。お怪我がなくてもよかったですが、前輪が小枝でロックされスポークに大きな力が入り歪んでしまいました。

丁寧な梱包です ホイールバッグで送られました
大きな力でニップル穴が歪みました
アンビルの上で叩いてリムを修正
写真上スポークが大きく歪んでいました

お送りいただいたホイールを調べますとリムも少し歪んでいます。スポークを取り外し直せる範囲でリム面を叩いて歪修正しました。もとには戻らないですが使える範囲には収まります。ニップル穴も少し変形しましたのでニップルワッシャーで補強しています。

リムはキンリンのXR31T/RTリムで剛性があるのか大きな歪は出ていません。一部歪みみましたが十分使える状態でした。このリムは本当に優秀です。

8月納品時のスポークテンショングラフです
修理後のスポークテンショングラフ 均一にしています

スポークのテンションをチェックして仕上がりです。何度もなじみだしを行います。こうすることで振れは出にくくなります。テンションの状態をグラフにしましてデータと一緒にお客様にお返ししました。

ゾンダかレー3

いつも走るコースでカンパのホイールに乗っている人に私はホイール屋ですので声をかけることがあります。

ハブでわかりますので並走しながらカンパのホイールですか?と聞きますとゾンダです、と多くの方が答えてくれます。

ゾンダはどうですか?ともう一度尋ねますと、よく走ります、もうこれで十分ですという人が結構おられました。

そりゃそうです、普通サラリーマンのライダーさんならそんなにとっかえ、ひっかえホイールを替えるわけにはいきません。

☆が沢山のゾンダ wiggleホームページより

皆さんいろいろネットで調べ、評価を参考にします。自転車屋さんにもホイールのことを相談するとゾンダかレー3を買っておけば間違いありませんという答えが大概返って来ます。また、試乗会で試乗してもガンガン走れるわけでもありませんので詳しく比べることが出来ません。つまりネットショップの評価、自転車屋さんだけが参考になります。

最近のことですがヒルクライム用として軽量ホイールをご注文いただきました。ご依頼主は2017年にヤフオクに出品しましたシマノホイールをお買い上げいただいた方でした。今回のホイールで2セット目のお客様ということです

何故新品のシマノホイールを出品したかといいますとホイールのテンションを調べたかったのです。データを得られたのでヤフオク出品しました。

WH-010シマノホームページより

ヤフオク出品の時のデータです。残していました。

調整前の後輪ホイール
調整後の後輪ホイール

約1万円の新品シマノホイールWH―010を丁寧にスポークテンション調整して出品しましたところお買い上げいただいたわけですが今でも快調に走り、別に持っておられるゾンダよりもよく走ると評価されています。

シマノのエントリーモデルがゾンダよりもよく走るという話は興味深いお話です。理屈の分かったお客様です。

ブランドの力は大きいです。おまけにどこの自転車屋さんも援護射撃してくれます。購入するほとんどの人はいろいろ乗り比べた人ではありません。2000gのホイールから1500gに交換したら違いが大きくでるのは当然です。ゾンダ、レー3がいいのは当たり前です。

確かにゾンダ、レー3を選べば間違いありません。これは正しくその通りです。否定しません。しかしながら1万円のシマノホイールはよく走ると思っています。ホイールをよく知っている人たちの意見です。

知り合いの方でゾンダを続けて乗っておられた方が久しぶりにシマノのエントリーモデルを乗った時の感想です。このホイール、よく走る!と再認識されたようです。

この方はビギナーの時はホイールが悪くて走らないと思ってゾンダに替えたのですが長く乗っている間に地力がついたようです。少し重いエントリーモデルでもしっかり回せる力がつきました。結果的にシマノエントリーモデルのホイールは悪くないと思われたようです。

そうです、力がまだまだの時には重いホイールは走らないと思いますが重いホイールは剛性が高いです。力のある人はホイールの剛性を求めます。力がつくと剛性が分かるようになるのでこの話は理屈に合っています。