当たりのレーシング3

カーボンホイールをご依頼いただきましたお客様より今使っておられるフルクラムのレーシング3のスポークテンション調整の依頼を受けました。

前輪678g
カップアンドコーン ストレイトプルスポーク
ハイテンションで仕上げています
けっして軽くない後輪
2:1組 左7:右14
ハイテンション 2:1組にしては左が低い ブレイシングアングル値が高いので横に強い

約10年使われているこのホイールですがほとんど狂いもなく4,5ヶ所触っただけです。非常によくできたホイールで感心しています。機械ものは当たり外れがありますが当たりのホイールと思います。

自転車屋さんに新しいホイールを考えていると相談しますと必ずゾンダかレー3ですねと返事がきます。それだけ信頼感のあるホイールですが今回チェックいたしましたホイールの仕上がりはなるほどよくできていました。

計測しますとスポークは2.0/0.95/2.2/2.0㎜の扁平スポークでした。面積的には2.09㎡です。前16本後ろ21本ですので総面積は2.09*37=78㎟です。

フルクラムのホームページでは乗り手の体重リミット109kgと書かれていますが最大80kg前後までの体重かなと考えます。スポーク数が少なすぎるのが理由です。

お預かり品の重量は前輪678g後輪928g合計1606gと決して軽くはありません。以前ゾンダ後輪を分解し記事にもしましたが恐らくリム重量も軽いリムではないと想像します。ハブも重いハブです。ホイールは軽いからよく走るというのではないことを証明しています。

レー3はとても良いホイールなのですが約半額以下でレー3に負けないホイールを作れますので私は買うことはないです。負け惜しみではありません。しかしあげるのでレー3かゾンダかと聞かれたらレー3を選ぼうと思います。仕上がりがゾンダより良さそうです。

理由は見た目がセクシーだからですが、勿論ゾンダも同じでカッコイイです。見た目も性能の一つです。

DURAホイールC35TUの調整

ホイールの振れ取り調整依頼を受けました。ホイールはシマノDuraホイールC35TUです。

C35TU 前輪645g
前輪スポークテンショングラフ バラつきがあります
C35TU 後輪742g
後輪スポークテンショングラフ  テンションにバラつきが目立ちます

前輪16h後輪21hです。後輪は左7本右14本の2:1組で作られています。

少し前の製品ですが今も根強い人気があります。チューブラーホイールはスポークのテンションダウンが起こりませんのでタイヤをインストールしてもホイールの状態が変わることはありません。チューブラータイヤは乗り心地が良く軽量です。外周部が軽くできますのでクリンチャーホイールが全盛の今もチューブラーホイールを好む人が多いです。

まだチューブラーホイールを試したことがない方はぜひご検討ください。パンク修理の苦手な方もミヤタのテープで運用すればクリンチャータイヤよりも手軽です。チューブラータイヤの高級品は非常に高価ですが価値はあると思っています。敷居が高いホイールではありません。

前輪ハブ スポーク穴位置が均等でない 肉抜き加工のスペースがとられています

このDURAホイールのハブはストレイトプルスポークを使っています。スポークは特殊で頭は平らにたたいてあるスポークです。DTのDicutホイールもこのタイプです。スポークの形状を変えることでハブのフランジ幅を広げているのだと推測します。前輪ハブの穴位置もよく考えられています。穴位置を均等に分割するのではない作りです。このため肉抜き加工を行なえるスペースを作って肉抜きの軽量化を図っています。

後輪ハブ  肉抜き加工で軽量化を図っています スポーク頭は叩いて平らにしています

このハブを見ているとホイールの作る手順を考えてしまいます。スポークを通すには軸を抜かないと通せません。いちいちハブを分解してスポークを通す手間を考えますと時間が掛かります。メーカーのホイール組み立て工程では仮組終わってからハブ軸を通すのではないかと想像しています。実際シマノのホームページで確認しますとスポーク交換にはハブ軸を抜くと書かれています。修理には厄介なハブですがよくできたハブと感心しています。

前から回すには3.75mm 後ろからでは5.5mmで回せます
ねじれを防ぎながらニップルを回すのにDTの道具を使っています

スポークのテンション調整にはニップル回しが必要です。ニップルの前から回すか後ろから回すかですがリムは穴ありリムなのでどちらの方からでも調整できます。私は後ろから行いました。スポークの回転を押さえてニップルを回します。

スポークテンションのばらつきを出来るだけ少なくして振れを最小にしています

振れ取りだけなら振れているスポークだけをニップルを回せばいいのですがせっかく調整するのでスポークテンションの再調整も行いました。つまりテンションを出来るだけ揃えることです。完成品のホイールなのですべてのニップルを回すわけではありませんが結構時間はかかります。テンションメーターで確認しながら行えば難しい作業ではありません。

調整がおわりました。付加価値は上がったと思います。

困った円安

最近の円安進行には驚いています。こんなに急に円が安くなってしまってこの先どうなるかと心配しています。

自転車の部品はほとんど海外からの輸入品です。国内で生産している部品に何があるのかと考えてしまいます。

シマノの部品もよく見ればマレーシヤや中国など海外生産です。115円から今は125円で10円上がっています。10%上がりました。これは大きいです。最近の国内通販価格も連動しているようで値上がりしています。以前に輸入していた部品も値上げしているのが目立ちます。

定番のカーボンホイールを昨年は8万円前半で販売しています。今年の初めは8万円後半です。今は9万円前後となっています。一気に値上がりしています。新聞の情報ではこれからもっと円安に動くとか、150円になるかもしれません。どうしようもないことなのであきらめるしかありません。

当方のホイールには定価はありません。部品代金+工賃です。ホイール価格は為替と連動しています。私の工賃は変わっていませんが為替次第で値段は変わります。

ダイナモホイールを使ってみました

先日作りましたダイナモホイールをクロスバイクに取り付けました。ライトはシマノのダイナモライトです。安価でこのシンプルさが気に入りました。点灯スイッチがついていませんのでライトはつけっ放しです。これも安全のためにはいいかなと思います。

ライトは昼もつけっ放し
ハブとスポークがシルバー

ハブだけを手回ししますと回り方が固いので大丈夫かなと思いましたが全くその心配は無用です。最初は回転ロスが生じるのかなと思っていましたがこれも思い過ごしでした。とてもよく回り快適です。

Vittoria zaffiro pro

タイヤはVittoriaのzaffiro pro trainingです。いわゆる普段使いの練習タイヤ、最安値のタイヤですが私にはこれで十分です。人様にはホイールはタイヤが大切といっていながら本人は安いタイヤです。ニヤッとされると思いますが上も下も試しています。用途に応じて今回は下にしています。

新しいタイヤは値段の高低関係なく気持ちがいいです。タイヤも鮮度なんですかね?しかしこれもすぐに慣れてしまいますが、zaffiro、いいタイヤです。コスパがいい。

このホイールのスポークはちょっと奢ってCX-RAYで組んでいます。たまたまカットしなくてもいい長さのCX-RAYが残っていまして、しかもシルバーでしたのでハブの色と合わせて組みました。これが良かったと思います。勿論サピムLaserを叩いて扁平にしたのがCX-RAYですのでLaserも同じ感覚で乗れます。

非常に楽ちんです。スポークがショックアブソーバーの働きをして地面からの振動を吸収してくれますので楽です。突き上げ感がありません。細いスポークで作り上げた多スポークホイールの良さがよくわかります。

このホイールはお客様に教えていただきました。教えていただきましたお客様はブルべのロングライド用にとオーダーいただきました。理由が納得できます。

ご注文いただきましたホイールのアイデアから私も作ったわけですがこれはお勧めです。私にかかりますと何でもお勧めですがこれはいいです!

疲れにくい、夜も昼も安全、電池の心配無用、ちょっとだけの優越感、少し高価になりますが総合点はとても高いホイールです。

46mm高ディスクホイールのインプレをいただきました

46mm高のディスクカーボンホイールをお納めしましたトライアスリート選手からのインプレをいただきました。以下いただきましたメールです。少し恥ずかしくなるくらいおほめいただきました。認めていただきましてうれしいです。

46mm高28mm幅ホイール

以下いただきましたインプレです。

先日、作っていただいたホイールのレビューです。

2回乗っただけですが、素晴らしいの一言です。

タイヤ:IRC FORMULA PRO TUBELESS RBCC 25c (前後)

・総評

まさしく万能。実用速度域でのベストな選択だと思います。35万円と言われても納得な感じです。

何よりも自分の体重や目的に合わせてセットアップされているという特別感(プラセボ)がやる気にさせてくれます。

・加速感

 まさに思っていた通りの感じです。スカスカ、ヒラヒラした感じが無く、しっかりと踏んだ力をダイレクトに地面に伝えてくれる感じです。

 特に8%以上の上りでぐっと力をかけたときの加速感が素晴らしいと思いました。

下りの加速感は60mmの方が明らかにあると感じましたが、トータルで考えるとこちらのほうが良いと思います。

・巡航性

45km/hぐらいまでの実用域の速度安定性も素晴らしいです。

それ以上になると下りは安定していますが、平地は60mmの方が安定していると思いました。しかし、普段はそこまでスピードを上げないので、レースもこのハイトのほうが良いかもしれないと思いました。

・剛性感

 私が乗っている限りではたわむことはなく、加速性、直進性、安定性の全てにおいて満たされています。踏み込み時のDiskの擦れもありません。

・TNIのハブ

小気味良いラチェット音でよく回ってくれている感じがします。こちらも満足です。

・横風

風速8m程度、突発的に風速12mの向かい風の中を走りました。フロントが風の流れに従うようになり不安定な挙動がありました。普段はTTで前乗りなのでフロントが暴れることはありませんが、ロードだとフロントの荷重が弱いので暴れるのかと思いました。こういうものかなと思える程度です。リムの性質だと思いますが、風の向きが切り替わってももう少しマイルドに従ってくれると良いかなと思いました。ZIPPのNSWだとならないのですが、ロードに履かせると違うのかもしれません。TT用を作成していただくことになった場合に参考にします。

以上

いいものを作ってくださり、本当にありがとうございます。

このインプレにはビルダーとしまして大喜びをしています。

ジップ404NSW前輪ホイールの再調整

カーボンホイールをお納めしましたお客様より連絡があり現在レースに使われているジップ404NSWのスポークテンション調整依頼を受けました。

細部を計測します

こういう高級ホイールを点検させていただきますのはとても緊張します。やることは同じなのですがやはり失敗しないかと思ってしまいます。

先ずはお預かり時点のスポークテンションを計測して記録することから始まります。

お預かり時  右側にテンションばらつきがありますがよくできていました
ほとんど修正することがなくよくできたホイールです

横ブレ、縦ブレを調べてみますととてもよくできていることが分かりました。当たり前です。振れはは少しありましたがすぐに直せるくらいの振れです。ブランドの名に恥じない仕事でないとブランドではありません。

いろいろ調べさせていただけるのがありがたいです。

ブレーキ面が強化されています

リムのブレーキ面は強化加工されています。これは速さには関係ありませんが安全面で有利です。長持ちするブレーキ面は高価でも結局は経済的です。

スポークはサピムのCX-RAYストレイトプルスポークです。ハブ、リムを計測しました。

これらのデータからスポークの角度を計算しますと次のような結果となります。

ブレイシングアングルが大きい
計算結果

スポークのブレイシングアングルが大きいことがよくわかります。このリムを支えるツッパリ棒的な角度が大きいのです。通常6度前後が多いのですが9.9度あります。この角度は大きいです。角度が大きいほどつまりぐっとリムを支えているということになります。これは横剛性が高いことを意味します。

ハブを見ますとフランジ幅が80mmあります。通常の台湾ハブでは70mmですが10mm横に広いです。この10mmは大きいです。ハブシェルも太く、フランジの径が大きいです。台湾ハブでは30mmが多いのですが38mmあります。シマノハブと同じです。

ハブシェルが太く、フランジ幅が広いハブということは剛性が高いということです。

●ブレイシングアングルが大きい

●フランジが大きい

●リム剛性が高い

スポークのリムを支える力が高く、リム剛性が大きいホイールは撓まないのでコーナーに強いです。駆動力のロスなくコーナーを回れることは大きなメリットです。

いろいろ調べる機会を得ました。ありがたいです。とても良くできたホイールでした。羨ましいです。

ダイナモハブ使用前輪ホイールの作製

お客様よりご連絡いただきまして台湾ハブのシャッタープレシジョンーハブを使いましてホイールを作らせていただきました。このブログに発表しています。

今回は自分用にダイナモホイールを作ることにしました。

存在感たっぶりのホイールです

とてもいい感じにできました。

ダイナモハブはドイツのSONブランドしか知らなかったですがお客様より教えていただきました。なかなかいい感じのハブです。国内では東京サンエスさんが輸入代理店です。

クロモリフレームに取り付けようと思いましてシルバーにしました。32hです。

リムはキンリンのXR31T32hです。リム高31mmで重量は500g前後で重いといえば重いのですが剛性が高く空力を得ることもできますので重量は大切な項目ですがそれだけではないと考えます。

スポークはたまたまカットしなくても良いサイズのサピムCX-RAYシルバーがありましたのでこれを使うことにしています。少しスポークに贅沢しました。

ニップルはブラスにしています。丈夫さを買っています。

ライトは手軽で安価なシマノのダイナモハブライトにしました。ライトの付属端子がJ2方式でした。ハブには接続端子E2端子がついています。J2端子は使わなかったのですがこのE2端子の接続も簡単でした。

スポークはCX-RAYですので軽量に仕上がります。弾力もありますので地面からの衝撃を吸収してくれる役割を果たしてくれます。ロングライドで疲れにくいホイールに仕上がっています。

簡単に接続端子をつなぐことができます

ブルべに使いたいということでご注文いただきましたホイールと同じように作っています。使いますライトは少しちゃちな感じですが実用品ですので私にはこれで十分です。チューブレスホイールとして使おうかなと思っています。

電池のいらないライトは便利です。毎日の通勤に使われる方ならとても有効なホイールと思います。

キャノンデールAI-OFFSETフレーム用ホイールの調整

キャノンデールフレームのAI-OFFSETフレーム用ホイールを自作された方よりご連絡いただきました。

ご自分で作られたホイールのスポークテンションについて疑問があり調整依頼の連絡をいただきました。

キャノンデールのホームページより

AI-OFFSETフレームについてはキャノンデールのホームページで勉強できますが後輪ホイールのオフセットリムと同じ考えをフレーム側で行う方法です。

通常のホイールはギアの多段化でスポークの左右のテンション比は左側がとても緩い仕上がりになります。通常のニップル穴がセンターのリムを使う場合は左側が緩い仕上がりとなります。これを是正するには右ドライブ側スポークテンションを高く上げることで相対的に左を上げる方法やオフセットリムを使う方法が考えられます。つまりリムセンター位置をすこしずらしたリムを使う方法です。

AI-OFFSETフレーム はこのセンターをずらす方法を自転車フレーム側でずらす方法です。同じようにホイールの左右スポークテンションを出来るだけ均等になるように考えられた方法です。

キャノンデールではフレームのセンターを6mmずらしています。このずれたフレームに対応できるホイールは非ドライブ側スポークを強く引っ張って意図的にセンターを6mmずらしてホイールを作ります。

フレームが6mmずれていますのでホイール側を6mmずらしてセンターを保持するためにスポークの左右テンションは均等に近い数値となります。結果的には後輪ホイールが前輪ホイール同じような左右テンションが同じ値で作れるというやり方です。

これはうまく考えたものです。

お客様のホイールはE-bike用のホイールです。特殊なホイールですがこれからはこのようなホイールが増えてくるのは想像できます。

さてお送りいただきましたホイールはよくできていました。実用には十分のホイールです。しかしテンション調整はやはり難しく最終のチェックを依頼されました。

スポークテンションを揃えることが一番大切です。

上のグラフは届きましたホイールのテンション値です。勿論この状態で乗れるのですがスポークテンションを揃えることで振れが出にくくなりますしスポーク、リムなどの偏った部分の疲労も抑えることができます。パフォーマンスの向上です。下のグラフのように調整いたしました。

調整しましたテンショングラフです

後でインプレをいただけると思いますが乗り味は大きく変化ないと思います。ただホイールの安定維持には貢献すると思います。

AI-OFFSETフレーム対応ホイールはまだそんなに知られていませんが面白い方法です。私も大いに勉強できました。

多スポークチューブラーホイールのインプレいただきました②

多スポークチューブラーホイールのインプレをお送りいただきました続きです。

前輪はお好み通りでしたが後輪は剛性が高すぎました。スポークの組み換えを提案しまして細いスポークに取り換えました。スポーク取り換え後のご感想をお送りいただきましたので参考になると思います。

32hチューブラーホイール

1.8mmのサピムRaceから1.5mmのLaserに取り換えたわけですが明らかに乗り味が柔らかくなったことをご報告いただきました。手組ホイールの良さは乗り手のお好みに合わせて組むことが出来るということです。以下インプレです。

ホイール到着後3回で650キロ走りました。
乗り心地が改善されて後輪がポンポン跳ねることもなくなりました。
快適に走れました。疲労も少ないです。
その代わりに坂道で少し重くなったような気がします。確証はありません。ただ単に慣れてしまっただけかもしれません。長時間乗るには乗り心地が最重要なのでこの仕様がいいです。
ありがとうございました。
リムが軽くなるとこんなにも楽になるものかと驚いています。
はじめてのチューブラーなのでこれからパンクなどのトラブルに遭うと思いますがこの仕様で運用していきます

3回乗られて650kmは凄いです。

クリンチャーホイールからチューブラーホイールに替えられたのですがチューブラーホイールの良さ、多スポークホイールの良いところを知っていただきました。アルミチューブラーホイールは完組ではなかなか手に入りません。現状では手組のオーダーホイールしかないと思います。

疲れにくいホイールという切り口で考えますと多スポークで組んだチューブラーホイールは最右翼に位置するホイールと考えます。

安価なカンパホイール カリマの購入レポート

通販でカリマの後輪が安価で売り出されていましたので勉強のため購入しました。ハブを買う値段で買えましたので分解して調べる予定です。安物買いですがしっかり元を取らせてもらおうと思っています。銭失いではありません。

安価なカリマホイール後輪 3G組です
1089gと重いです ベテランライダー向きです

まだこのホイールに乗っていませんので乗り味の報告はできませんが予想はつきます。参考にしていただきたいと思います。

安価なホイールはその値段に仕上げるために材料、作製工程など削減できるところはギリギリまで削減されています。

まず、考えるのは重量です。とても重いです。これは仕方ないことで一番安価な材料を使っています。

スチールのフリー マグネットがくっつきます
スチールのハブ軸 マグネットがくっつきます

ハブ軸はスチールですし、フリーもスチールです。スポークは2mmのjベントのストレートスポークで価格的に安価で重いスポークです。

しかしこのスポークはホイール作製においてスポークがねじれることなく容易に作り上げることが出来ます。頑丈で壊れにくいのです。おまけに剛性も得られます。欠点ばかりではありません。ただ剛性がありすぎて乗り味が固いのは否めません。安価なホイールはどうしてもビギナー向けと考えますが私の考えではベテラン向きで足のある人には適していると思います。重いホイールはベテラン向きです。

今回のホイールでは最終出荷時の検査報告としてチャートをつけて出荷しています。

付属の検査証明書

Axial and radial skid

Hub centering

Spoke tension

Axle smoothness

Aesthetic control

この5項目にOKのチェックで出荷されています。ビルダーさんもわかります。

縦ブレ横ブレのチェック

スポークテンション

軽やかにに回転するか

見た目はきれいに仕上がっているか

ということです。

詳しく見るためにスポークテンションを調べてグラフにしてみました。以下のグラフになります。

安価なホイールです このぐらいは良しとします

スポークテンションのバラつき度は左右共に10%前後です。価格から言いましてこれ以上の要求は難しいと思います。

まずは評価しやすい項目は振れ取りです。振れがあると調整不良として×マークがつくのでメーカーも注意していると思います。

スポークは綾とりしていません

スポーク組を注意してみますとドライブサイドのスポークは綾を取っていません。ホイールは綾を取るものだと思っている方が多いと思いますが最近は取っていないホイールが多いです。スポークはただ引っ張るだけのものと理解されているからと思います。スポークを針金でくくるソルダリングも手間がかかるだけという考え方が一般的な理解のようです。

このホイールをもう一回なじみだしを行いました。私なりの方法で行ったのですがスポークテンションはやはり少し下がり、ばらつき度は高まりました。このことから言えますのはストレスリリーブ(なじみだし)が不十分なら振れは確実に出てくるということです。

なじみだしを行った後のスポークテンショングラフ

カンパの製品はとてもよく作られていまして品質管理がよくできていると思います。しかし手組で注意深く作るのとは少し違うようです。経済性が先行するのは仕方ないです。

感想

左右のテンション差の少ない2:1組(3G)のこのホイールは剛性が高くとてもよくできていると思います。冬場の練習用ホイールとしては最適です。これだけの品質を安価に販売するのはやはりカンパの製品と思いました。ただもう一度テンション調整を行うことでもっとよくなると思います。

再調整後のスポークテンショングラフ 

再度テンション調整を行いました。テンションばらつき度を5%以内に仕上げています。こうすることで振れが出にくくなります。わかりにくいことなのですが駆動ロスが軽減できます。

一つ改良案があります。スポークを取り換えることです。オリジナルではやはり太いスポークを使っていますのでガチガチの乗り味です。ロングライドには適しません。このため2mm径のスポークをすべて取り換えて細いスポークにします。1.5mmと細くても27本あるので剛性は十分担保できています。スポークの中央部がショックアブソーバーの働きをしますので地面からの振動を軽減します。

もう一案はカーボンリムを別注しまして3G組のカーボンホイールを作ります。

これはとても期待のホイールになると思います。総重量が軽いホイールは確かに良いです。このカリマの2:1組ハブはおそらくシマノハブ105クラスの重量と思います。

仮に350gとしてカーボンリムが400g、スポーク27本で135g、ニップル27gで合計912gです。ほぼゾンダと同じ重量になります。スポークの多い分乗り味は柔らかくなりホイールの剛性は高くなりますので駆動力の高いホイールが出来ると考えます。リム発注できましたらまたレポートする予定ですが安価なホイールもいろいろ楽しめるものです。