ノーブランドというブランド

お客様からご連絡いただきました。ホイールのご注文です。お客様は以前納品しましたお客様から紹介されたということです。いわゆる口コミです。

通常ブログをお読みいただきご注文のメールをいただくことが多いのです。しかしそれ以上に手組ホイールファンはいいよ、と以前お納めしましたお客様よりご紹介していただいて新規にご連絡いただくことはビルダー冥利に尽きます。

お客様にご提案しましたホイールは当ブログの定番ホイールです。28mm幅46mm高のカーボンホイールです。ディスクとリムタイプと2タイプありますが今回はリムブレーキでご注文いただきました。

ホイールは今まで何度も紹介していますが念のためご説明いたします。

46mm高 前輪661g
46mm高 後輪844g

リム28mm幅46mm高カーボンリム 20・24h

ハブ ノバテックA291SB20H F482SB24h

スポーク ピラーウィングス21 BL

ニップル ブラスニップル BL

値段はスポークの種類に左右しますが8~9万円前後の価格です。ホイールの価格は部品代+工賃です。時給1500円で計算しています。通常6時間分請求しています。

高いか安いか値段はお客様がホイールの性能から判断されています。

高いと思う人には高い、安いと思う人には安いのです。今のところいいホイールと思っていただく人が多いです。高価なブティックブランドホイールなら1セットしか買えないがリム高を変えて3セット買えるといっていただいています。

ホイールの出来不出来の判断は乗ってみないとよくわかりません。しかし乗られる前にできることは十分行っています。

●部材の出来具合で性能の良し悪しが出るのですが一番いい状態にするには先ずテンションの均一化です。 スポークのテンションを出来るだけ揃えて振れを最小にしています。

●乗り手の体重、乗り方の好みに合わせてスポーク数を考えます。

リム、ハブ、スポーク、ニップルこの4つの部品の組み合わせですがいろんな組み方ができますのでバラエティーに富んでいます。お客様の好みに合うように作り上げていくのが手組ホイールです。

しかしこちらも沢山組んできましたので組み合わせは沢山ありますがご提案は数種類で提案しています。経験からの判断です。

このようなことで今回のホイールを作り上げました。

振れは最小に、スポークテンションはできるだけ均一に仕上げています
スポークテンションはできるだけ均一に仕上げています

スポークテンションは上のグラフでよくわかります。テンションが均一ですので駆動ロスは少ないです。

ノーブランドホイールですがブティックブランドホイールに負けないように作っています。

クロスバイクのホイールをご注文いただきました

私は普段クロスバイクをよく乗っています。ロードバイクはアルミとクロモリを持っていますが主にクロスバイクが多いです。ジャイアントのエスケープに乗っています。ホイールはキンリンのリムXR31T/RTで作った手組ホイールです。ホイールのほうが値段が高いです。コンポーネントはそのままでペダルはSPDです。近所に行くときも自転車用の靴に履き替えるとことろが面倒ですがとても乗りやすく気に入っています。サイクルロードを時速30kmで走るのが楽しみです。お声掛けして100万円の自転車で走っている人の後ろを走るのは楽しいです。ベンツと軽が走っている感じですが結構楽しく走れています。

前置きが長くなりました。

さて、クロスバイクで楽しんでいる方よりこのブログをお読みいただいてご連絡いただきました。

いつも乗っておられるクロスバイクのホイールを替えてみたいというご希望です。

タイヤインストールして納品

提案しましたホイール内容は下記の通りです。

XR22T/RT  28h  後輪オフセットリム
シマノティアグラ シルバー 28・28h
前輪スポーク ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm
後輪スポーク ピラーTB2018 2.2/1.8/2.0mm
後輪スポーク ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm
nipple ピラーダブルスクエア   IRCチューブレスタイヤ インストールして納品
135mm用ハブ軸

ティアグラハブで見積しましてホイールを納品しましたが大きなミスでした。クロスバイクのエンド幅は135㎜だったのです。

ハブは135mmで提案しないといけなかったのですがうっかりミスで確認できていませんでした。やり直しです。

ハブをいろいろ探したのですが今の部品状況では手に入らないのが現実です。最近の自転車部品の逼迫状況は大きくは変わりません。半年くらい待たないといけないことが当たり前になってきています。

このためハブ軸を135mmで使える品物と取り換える方法で了解いただきました。本来ならハブを交換するのですが交換ハブは半年以上の先の話になりますのでご理解いただきました。

シマノハブではハブシェルは130,135ともに同じサイズですので軸を変えることで対応できます。勿論ハブセンターが左に寄りますのでスポーク長が変わります。ホイールは組み替えになります。

135mmのハブ軸に交換しました

最近はネットでシマノの部材は販売されていますので容易に交換できます。昔は限られた業者しか扱えないようになっていましたが今は違います。その気になればだれでもできるようになりました。

軸を変えることは簡単です。しかし事前にハブの構造を確認しておく方が良いかと思います。シマノのホームページからハブ構造を知ることが出来ます。スペーサーの位置なども調べておく方が良いかと思います。

ベアリングをセットするときにグリスを十分充填しておきました。

ハブ軸を交換して135mm幅用にしましたのでスポークテンションを測ってみました。

図では一番下のグラフを参照ください。

前輪スポークテンション
最初に作りました130mmハブのスポークテンション
135mmハブで作ると左スポークテンションは非常に高い

130mmから135mmに替えると2.5mm左にリムが寄ります。つまり左スポークテンションが大きく変わります。

グラフを見ていただきますとよくわかります。130mmの時と135mmのグラフを比較できます。135mm幅では左スポークテンションは非常に高い仕上がりです。左右差が少ないホイールに仕上がります。

納品後にお客様よりこのような連絡をいただきました。

いつものコースを走りました。往復20.23Kmです。発進する場所が坂道でコケたことがあるのでコケるのではとの恐怖がいつまでも消えなくて漕ぎだしの軽さを感じる余裕がないのが残念でした。上り坂も苦しさは相変わらずでした。体重と車の重量を持ち上げるのですから当然ですね。

タイムは短くなりました。1時間20分くらいが1時間13分です。15km/h16.5km/hです。

上り坂はグイグイ上がる感じがありました。平地に近いほど加速感が増している印象です。

結果としてタイムの短縮と疲労度が少なくなっているのかなとも思います。

10年ほど乗られていましたクロスバイクのホイールを交換され走りは大きく改善できました。

自転車のアップグレードはタイヤ、ホイールからがいいとよく言われます。なるほどその通り!と感心しています。

ミケハブを使った32h多スポークホイールのご注文

このブログでイタリアのミケ社ハブについて記事にしていますがこのハブを使った多スポークホイールをご注文いただきました。

前輪 822g
後輪 1006g

お客様はクロモリロードで乗られています。

提案しました内容は下記の通りです。

リム キンリン社XR31T/RT 32h

ハブ ミケ社 シルバーハブ 32h

スポーク 前輪ピラー TB2015 2.3/1.5/2.0mm

     後輪左 TB2015 2.3/1.5/2.0mm

     後輪右 TB2018 2.3/1.8/2.0mm

ニップル ピラーDSN シルバー

スポークを細くして、数を増やすことで剛性を確保します。細いスポークはショックアブソーバーのように地面からの振動を吸収します。

後輪右側に中央部が1.8mmと太いスポークを使って剛性を上げています。

ミケハブ シルバー 32h 3クロス組
ミケハブ シルバー 32h 3クロス組

ミケハブのシルバー32hはなかなか手に入りません。クラシックなシルバーハブはとても素敵です。

ピラースポークはJベント部分が2.3mmありますので強化されていると考えます。よくJベントが心配する人が多いのですが強化されているのが安心材料です。スポークが折れる原因はスポークテンションが揃っていないことがほどんどです。作り方が悪ければ折れる、作りが良ければ折れない、ただそれだけです。ストレイトプルスポークのほうが優れていると考えるのは間違いと思っています。

ニップルはピラーのDSN(ダブルスクエアニップル)です。このニップルは前からも後ろからも回すことが出来ます。特に締め増しするときに後ろから締めるのが楽です。ハイテンションになっているスポークのニップルを回すときに後ろから回すと回しやすいです。これはとても便利で扱いやすい利点となります。通常のニップルよりも高価ですが使う価値は高いと思います。

左前輪用 右後輪用 3mmオフセット

リムは31mm高のリムです。ワイドリムでチューブレスレディーです。重量は500g前後と軽いリムではありませんが剛性が高く空力の援護を得ることが出来る優秀なリムです。コスパの高いリムの代表と考えています。

後輪はセンターが3mmオフセットしていますのでスポークテンションを10%ほど高くできます。

手組ホイールの良さは体重、乗り方に、好みに合わせてリム、スポークの数、太さを変えることが出来ることです。

多スポークホイールの良さは今までの記事で何度も書いていますので参考にしていただきたいのですが一言で言いますと乗り味が柔らかいことです。

スポークが地面からの衝撃を吸収してくれますので疲れにくいホイールに出来上がります。ブルべなどの長距離を走る場合にはもってこいのホイールです。おまけにスポークが多いということは落車でスポークが折れても振れは出ますが何とか乗って帰ることが出来ますのでトラブルに強いところも利点に上げられます。

少ないスポークのホイールが今は流行りですがスポークが少ない分太いスポークを使います。どうしても硬いホイールが出来上がります。硬いホイールがいいホイールではありません。乗り方、乗る人に合ったホイールがいいホイールと考えます。

出来るだけスポークテンションを揃えています
スポークテンションんを揃えることが一番大切です

ホイールはスポークテンションを出来るだけ均一になるように、出来るだけ振れを少なくなるように調整しています。

お客様からのインプレが楽しみです。

アルミホイールがカーボンホイールに生まれ変わる

以前このブログでPR1400ホイールをカーボンホイールに組み替えを行いました記事を見つけられた方よりご連絡いただきました。

道路の不整備で落車されDTホイールを損傷されました。幸いにも大きなお怪我がなかったようですが大切なホイールは使えなくなりました。ホイールのハブ、スポークは使える状態でしたので修理できるところを探しておられたようです。当ブログにご連絡いただきました。

お送りいただきましたPR1400 リム、スポークは変形しています

DTホイールのリムは高さ21mmです。ご希望のカーボンリムは高さが25mmですのでカーボンホイールに組み替えできないかとお問い合わせをいただきました。

PR1400ホイールのハブとスポークを使う組み替えは以前このブログで発表しています。経験済みですのでお受けすることにしました。

リムは25mm高25mm幅の軽量カーボンリムを使います。スポークカットが出来る余裕があれば組み替えはできます。お客様に何とか出来るでしょうとお返事しました。

25mm高のリムで穴なしを注文しますと最初はメーカー側からの返事では通常受付していないと返事でした。販売していない理由としてリム内部の空洞が狭いためニップルが通りにくいということです。何回かメーカー側とのやり取りで受付してもらえることになりました。このリムには交渉が必要です。何度も使った経験があると連絡してリムは受付してくれました。

25mm高リム 入手に時間かかりました

リムは注文しまして約2か月手に入るのに時間がかかりました。長くお待ちいただきましたがやっとのことで手に入りました。

前述のようにこのリムはリム内部の空きが小さいのでニップルが通りにくいという難点があります。メーカー側もこのことを強調して難しいからやめたほうがいいとアドバイスしてくれましたが当方も経験済みなので何とか出来ると思っていました。

実際リムが届いてからの作業は難しかったです。リムを作る段階での作業でリム内にウレタンのような異物が残ります。今回も少し残っていたのですが幸運でした。リム内部をニップルが動く余裕が残っていました。カンカンとたたきながらニップルを通すことが出来ました。

このホイールの組み替えの課題は仮組まで無事にたどり着けるかどうかです。通常の倍くらい時間が掛かりましたが何とかできました。

整理しますと

①スポークをカーボンリム用にカットする

②ニップルを空洞の狭い穴なしリムに通す

③仮組

3つの山を越えないと作れません。

経験済みの案件でしたのでお受けしましたが難しい作業でした。

仮組が終わりましたらスポークのテンションアップです。ここまで来ますと通常の作業です。注意点はスポークテンションの値を正確にとることです。スポークは特殊なスポークなのでテンションメーターの交換表では扱いのないスポークです。予備スポークをテンション校正器で測って110kgf、130kgfの張りに対してのメーターの数値を事前に調べておきました。

スポークが交換表にないので校正器で調べてから調整行いました
テンションを揃えることが大切です
この数値は正しいかと正確に知ることが必要です

テンションメーター校正器で事前に測りましたこの数値を信じるしかないのですがスポークを握ってこれくらいでいいだろうというようないい加減な方法ではしっかりとしたホイールはできません。出来るだけ正確な数値を知っていてこそ出来る作業と思います。

この数値も完璧な絶対値ではないと思います。ただスポークを握って作る、感覚だけでの作り方ではありませんのでかなり信頼度は違います。

カーボンホイールに蘇りました
前輪631g
後輪768g
穴のないリムは剛性が強化されてテープがいらないので経済的です

リム入荷まで長い時間かかりましたが出来上がりが楽しみですとご辛抱していただきました。こちらからいつまでにリムを送ってほしいというようなことはできません。3か月以上ただ待つだけです。

やっと出来上がりましたが待っていただきました甲斐があったと思います。今回のカーボンホイールは自画自賛になりますがよくできたと思います。ホイールが蘇りました。

36mm高リムブレーキのカーボンホイール作製

このブログにご連絡いただきました。皆様最初は心配ながらのご連絡ですがご安心願います。

お客様はご自分でもホイールを作られるのですがどうも最終のテンション管理がうまくいかないということです。ご自分で作られる方は振れ取りまではみなさん出来るのですがそれからの最後の仕上げになるとうまくいかないようです。

TNIレボルーションハブ 20・24h

ハブをお送りいただきました。TNIのレボルーションハブです。当方での定番的なカーボンリムを使って作らせていただきました。

リムの高さ36㎜か46㎜か迷われたようですが使いやすくて登りにも強いホイールということで36mmリムを選ばれました。

ハブ、リムが決まればスポークはこちらで提案いたします。最近よく使うピラーのウィング21をお勧めしました。少しだけCX-RAYより重いスポークです。空力はウィング21のほうが良いといわれるのですがまあほとんど同じようなものです。わずかに重いので剛性はこちらのほうがあるでしょう。私には分からないのですがわかる人にはわかるようです。まあそれだけ微妙な違いということかもしれません。いずれにしても優秀なスポークには間違いありません。

穴はバルブ穴だけです

リムは穴なしリムを使います。これも定番です。カーボンリムはすべて穴なしリムを使っています。リムテープの運用がないためタイヤインストールが非常に楽です。クリンチャー、チューブレス、どちらも使えるリムです。ニップル穴がない分穴アリリムと比べて剛性が高いようです。

大きい差ではありませんが差があるのは確かです。

ニップル穴がないため作るのに時間が掛かりますがユーザー様にとってはこれほど良いリムはありません。注文されるお客様は皆さんこのリムを注文されるのはよくわかります。

DT SquorxProニップル

ニップルはDTのSquorxProニップルを使っています。15mmのブラスです。ねじ穴には緩み止め剤が施されています。ブラスのほうが丈夫なのでアルミは基本使いません。20gほど重くなるのですがこの差が分かる人は天才と思います。一般には1gでも軽いホイールがいいといわれるのですがこれも気持ちの問題のようです。安全性優先でブラスをお勧めしています。

ホイールの価格はブティックブランドホイールの約1/3の価格なので3セット注文された強者ライダーさんもおられます。価格は安価ですが性能は負けません。

縦ブレはほとんど真円になるくらい追い込んで作製します。横ブレもありません。カーボンリムはアルミリムのようにつなぎ目がありませんので高精度の仕上がりにできます。

ホイール組みが終わりますとストレスリリーブです。これは何回も行います。足で踏みつけるいうような荒々しい方法ではありません。単純にスポークを握る方法です。時間を開けて行うほうが良いようです。リム、スポークがなじむというか時間空けたほうがいいです。

一番良い方法は一度乗ってテンション調整することですがお客様は遠方の方が多いのでこれは難しいです。このため何度も行っています。

前後 1452g
前輪630g
前輪822g

出来上がりです。テンションデータはグラフにしましてお客様にお渡ししています。出来上がり後のメンテナンスが出来るだけいらないように作っています。しかしいつでもメンテナンスはお受けいたします。ご安心ください。

TNIのワイドリムでホイール作製

お客様よりご連絡いただきました。リピーターの方です。TNIのワイドリムが手に入るのでホイール作製依頼です。

長らくTNIのリムが欠品でした。1年くらい待っていましたがトライスポーツでは輸入が始まったようです。いろいろなところから販売され始めています。これは手組ファンには朗報です。

お客様からはハブ、リムをお送りいただきました。

スポーク、ニップルは私が用意します。

ハブはシマノのティアグラ、ソラシリーズで作ります。

ホイールの組み合わせは次の通りです。

リム 前後ともに TNI AL22W 28h 後輪はオフセットリム

ハブ 前輪 シマノ ソラHB-RS300 28h

   後輪 シマノ ティアグラ FH-RS400 28h

スポーク 前輪 サピム Laser 20./1.5/2.0mm 黒

     後輪 右 サピム Laser 20./1.5/2.0mm 黒

        左 DT コンペティション 黒

ニップル ピラー DNSニップル シルバー

ハブはシマノの下位グレードハブです。前後6000円ほどで手に入ります。価格はDuraハブの1/6~1/7の値段です。では性能はどうなのかということです。個人的には同じスピードで走れると思っています。重量的にはDuraハブや台湾の軽量ハブと比べますと重いです。重いは頑丈ということができます。アルテグラハブ、105ハブとはほぼ同じです。ハブの仕上げは大きく違いますので見た目は違います。上位ハブははっきりとそれなりの存在感があります。しかし中身を実質本位で考えますとシマノの下位グレードのハブはとてもよく回ります。

シマノハブの良いところは上位も下位グレードも手抜きしていないことだと思っています。高級ハブと下級ハブではスピードが違うのかといいますと私には同じです。それは違うよという人もおられるかと思いますが私が感じるのは同じです。ただ下位グレードのハブは新品時にはハブの調整が必要のようです。ハブを育てるというか、自分の好みにアタリ調整をされたほうがいいようです。

お客様は玄人好みのプランを立てられています。

リムはコスパの良いワイドリムを選択し前後ともに28穴です。シマノハブは28穴なら販売されています。細いスポークで乗り心地をよくされています。ハブは安価でよく回るハブです。スポークはショックアブソーバーの働きをするLaserスポークと、1.5㎜の細いスポークを沢山使って乗り心地をアップしています。後輪ドライブ側には剛性を高めるために1.8mm径のスポークを使います。スポーク数が28本ありますとお客様の体重では十分剛性を得ることが出来ます。

組み立てを当方にお任せいただきました。

後輪 1015g 外周部が軽いので漕ぎ出しは軽い
スポークテンションはできるだけ均一に
前輪 774g 細いスポークで地面からの振動を吸収
スポークテンションはできるだけ均一に

スポークテンションの均一化を図りテンションのバラつき度を5%以内に収めています。

この5%以内のばらつき度を評価していただいてホイールを組める方からもご注文していただいています。ホイール作りより乗るほうが楽しい方はご連絡いただければ幸いです。

MTBホイールの作製

何度もご注文いただいていますベテランのお客様よりMTB用のホイールをご注文いただきました。

ハブ、リムはお客様よりお送りいただいています。

ハブ、リムはお送りいただきました

ご自分でも自転車、ホイールを組まれる方なのですがやはり餅は餅屋で、いつも遠方の私にご注文いただいています。ホイールはご自分で組まれた自転車で試し乗りをしていただき印象を教えていただいています。とても勉強になります。

お送りいただきました部品は次の通りです。

リム スタンス MK3アルミリム 28h

軽量リムです

ハブ シマノ Deore HB-M8110-B,FH-M8110-B   ブースターハブ 28h

ブースターハブです 大きいのにこの重量は軽量です

ハブデータはシマノホームページから取れます。ハブの実測は本来必要ですが信頼できるデータですのでシマノハブに関しては実測しなくても良いかと思います。

シマノ ホームページより
シマノ ホームページより

送られてきましたハブの回転はとても滑らかです。この滑らかさは素晴らしいとお客様に連絡しますと同じお考えでした。シマノハブはカップアンドコーンなので自分でアタリを調整できます。別の言い方で育てる感じです。グリスの具合やナットの締め具合すべて個人で行えます。そんなに難しくありません。下位グレードのハブになりますと自分の好みにする手間が結構いるのですが今回のハブでは全く必要ありません。最初から大人で来ました。フリーの回転も素敵です。

リムもデータが発表されています。しかしリムには実測が必要です。

リムは実測が必要です ERD605mmですが実際は違います

ホームページでの発表データではERDは605です。リムにもそう記されています。しかし実測では610mmでした。5mm違いますので605でスポークを準備しますとまた買いなおさなければなりません。手間を惜しまなければ無駄な出費はありません。

スポーク、ニップルはこちらで用意します。すべてお任せいただきました。

スポーク コンペティション 2.0/1.8/2.0mm シルバー

ニップル ピラーDNS ブラス シルバー

この部品で組みます。

リムはとても軽量です。スポークはDTコンペティションのクロス組です。

スポークテンションを出来るだけ揃えて振れを最小に仕上げます。

ストレスリリーブを何度も行います。時間をあけて行うほうが逆に効率が良いようです。

試し乗り後に最終テンション調整ができれば一番いいのですがお客様は遠方ですのでそうもいきません。

このため何度もストレス取りを行っています。この手間を惜しむとダメ・ホイールです。何回か行いますとスポークに力を加えてもテンションが変化しなくなります。この状態になるまで行うことがコツといえます。考えてみれば当たり前のことですが多くのビルダーさんは不十分なようです。

前輪 731g
出来るだけスポークは均一に張ります
後輪 883g
ドライブ側は120~130kgfで均一に張ります

出来上がりは前輪731g、後輪883gとても軽量です。合計1614gと軽量です。リム367gと外周部が軽いので漕ぎ出しは軽いです。急な発進が頻発するMTBにはぴったりです。 また感想を教えていただけると思います。楽しみです。

お客様をご紹介いただきました

昨年カーボンホイールをお納めしましたお客様のご友人からこのブログにご連絡いただきました。

トライアスリート仲間からの紹介してもらいましたということです。

そうです、お客様はトライアスロンをなさっています。トライアスロンですので平地がメインですが登りもお好きで平地と登り半々でトレーニングされているようです。

いいホイールを提案してほしいということでしたのでまずは当方の定番ホイールを紹介しました。

36mm高と46mm高、幅はどちらも28mm幅の穴なしリムを使ったディスクホイールです。この2種類は定番的なホイールです。スポーク、ハブの選択で値段は変わってくるのですが一番のお勧めはTNIのREVOハブを使いスポークはピラーのウィング21で組み上げるホイールです。ニップルはブラスです。

以下の組み合わせです。

定番ディスクホイールです

28mm幅46mm高 穴なしはー本リム 24穴

ハブ TNI REVOハブ

スポーク  ピラーウィング21 黒

ニップル DT Squorxpro ブラス 黒

出来上がりは前輪704g、後輪828g 前後1532g 

とても軽量に仕上がりました。

出来るだけ均一にスポークを張っています
できるだけ均一にスポークを張っています

スポークテンションはできるだけ均一に張っています。振れ取りは最小になるように仕上げています。振れ取り台のメーターで見ますとプラスマイナス0.1mm前後のフレで仕上げていますのでほぼ真円に近い仕上がりです。

手組ホイールでは使うスポークの特徴が分かっていますので剛性が足りなければスポークを太くして剛性を上げることが出来ます。

力のある人、体重のある人が乗りますとブレーキがこすれたりします。これはホイールの剛性不足が原因です。こんな時スポークの太さをければホイールの剛性が上がります。

前輪も同じことですが剛性が足りなければまずは後輪右スポークを少し太くします。

左右サピムのCX-RAYなら右ドライブ側スポークをCX-Sprint、DTならエアロコンプに交換です。ほんの数グラムの違いですが間違いなくホイールの剛性は上がります。

まだ足りない場合はCX-RAYすべてを取り換えて左右CX-Sprintかエアロコンプに交換です。まだ足りない場合コンペティションに交換すればよいかと思います。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。ホイール全体から見ますと10g~20gの増加で剛性は大きく変わるわけです。

トライアスリートの客様にはこのことをご説明しています。

手組ホイールの良さはお客様の体重、乗り方にあわせて組み上げていくことが出来ます。完組のブティックブランドホイールは幅広いお客様を相手に作り上げたホイールです。誰も欲しがるホイールですが乗り手にぴったり合っているかはわかりません。ホイールには相性があります。高いホイールがすべていいホイールではありません。高価なホイールが乗り手に合っていなければ単に疲れるホイールといえます。

誰もがレースに出るわけではありません。レースに出ない人にはレース向きのホイールはアンマッチかもしれません。こんなことを考えながら組んでいくのが手組ホイールと思っています。

シャッタープレシジョン・ダイナモハブでホイール作製

当ブログを読んでいただきました方よりご連絡いただきました。ダイナモハブを使ってホイールの作製依頼です。後輪も合わせてご注文いただきました。

ご連絡いただきました時に

●シャッタープレシジョンのハブを使ってほしい

●ブルべで使用

●ロングライドの為乗り心地を優先し疲れにくいホイール

このようなご希望でしたが恥ずかしながらシャッタープレシジョンのハブは初めてです。

ドイツのSONブランドなら知っていましたがこのSPブランドは知りませんでした。

シャッタープレシジョン ダイナモハブ 台湾製

お客様にはハブをお送りいただきリム、後輪ハブ、スポークはこちらで提案いたしますということでお見積りいたしました。

ロングライドには多スポークホイールが有利ということを今までのブログに何度も書かせていただいています。お客様はこれらの記事を読まれてご連絡いただいたようです。

プランとして次のように提案いたしました。

リム キンリンXR31T/RT 前後ともに32h

ハブ 前輪シャッタープレシジョン 32h 黒 お客様よりお持ち込み

ハブ 後輪シマノ ティアグラハブ 32h 黒 こちらで用意

スポーク 前輪 サピム Laser

スポーク 後輪左 サピム Laser 後輪右 サピムRace

ニップル ピラー DNS ブラス シルバー

お客様ご購入のSPハブは台湾製のハブで日本輸入元は東京サンエスさんです。ハブを送られてきた時ですが、初めて触るハブです。手回してみると非常に硬く感じました。最初このハブは不良品ではないかと心配しました。通常のハブでは軽く回りますがこのハブは簡単には回りません。不安になるのは当然です。やはりお預かり品ですので責任があります。

東京サンエスさんに問い合わせしました。手回しではこんなに硬いものですか?ということを確認しますと、そんなものですと答えがありました。知らないということは強いものです。なんでも聞いてしまいます。担当の人も何を聞くのかなという感じでしたが答えはとても穏やかで丁寧な応対でした。これで安心しましたので取り掛かることが出来ます。

ハブには方向性があります  イラストはラジアル組です

ハブに付属の説明書にはラジアル組のイラストでした。32hのラジアル組はちょっと見た目も違和感があります。またロングライドにはクロス組が乗り味を柔らかくできます。お客様にはクロス組を提案し、了解得ました。

スポークは中央部が1.5㎜のLaserスポークですのでスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれます。ホイールの組み上げにはねじれが生じやすいスポークなので扱いが難しいスポークです。注意が必要です。

後輪右は1.8㎜のRaceスポークにして剛性を上げています。左はLaserスポークで組み上げます。左右のスポークを変える方法は最近では完組ホイールでもよく見受けます。

SPハブには方向性があります。ハブ中央に矢印がありますので注意が必要です。

後輪リムにも3mmのオフセットがありますのでこれも方向性があります。

前輪1065g ダイナモハブ使用 2クロス組
前輪スポークテンショングラフ
矢印のように方向性があります  左右2クロス組 Laserスポーク使用
後輪1087g  
左Laser 右Race  左右3クロス組
後輪スポークテンショングラフ

前輪後輪ともにスポークテンションの均一化をはかり振れを最小になるようにします。時間が掛かっても手を抜くことなく作り上げることがトラブルの少ないホイールを作るのに必要なことです。早く作るよりゆっくり確実が肝要です。完成しましたホイールにはテンションデータをお付けしてお届しています。

これでブルべでは安心して夜間に走れます。インプレが楽しみです。

DURAハブを使ってチューブラーホイールのご依頼

お客様の手持ち部品をお送りいただきチューブラーホイールの作製依頼の連絡をいただきました。

ハブはHB7700,FH7700です。とっくにディスコンになっているハブですが銘ハブとして今でも人気がありオークションに出すとすぐに買い手がつくハブです。

Duraハブが届きました
台湾ハブと比べると重いのですが重い分丈夫です

ハブはお客様よりお送りいただきリム、スポークは私が手配するというご注文です。

大事に使われてきたハブなのでグリスアップもご依頼いただきました。

グリスを取り除き新しいグリスを注入します

シマノハブのメンテは難しくありません。ユーザーができるように設計されています。ハブスパナが必要ですがナットを緩めて取り外し疲労したグリスを取り除き新しいグリスを注入します。ただし玉あたり調整には少し慣れが必要です。

411g 軽量リムです

リムはチューブラーリムです。最近では手に入るチューブラーリムは限定されます。リム数は少ない中でもTNIのCX22は軽量で高性能なリムです。今回はこのCX22を使います。

スポークはお任せいただきましたのでピラーTB2015 2.0/1.5/2.0mmを前輪に、後輪は左TB2015、右にTB2018としています。ドライブ側を少し太くして剛性を高めています。細いスポークの数を増やして剛性を上げる方法は疲れにくいホイールを作るときには最適です。今は少スポークホイールが流行りですが逆の考えで作ります。

ピラー社 ホームページより

ニップルはピラーのダブルスクエアニップルを使っています。なかなか国内では手に入れにくいニップルですがとても優秀です。後ろからでも容易に回せますのでとても使いやすいニップルです。

スポークテンションに関してですがシマノ旧バージョンのハブはハブオフセット値が小さいので後輪の左テンションを11速ハブと比べて高く取れます。ギアの枚数が少ないのですがスポークテンションに関してはこちらのほうが優れているわけです。11速にしないで9速、10速で走られる方がまだまだ多いのもわよくかります。ギアが増えるよりホイールの性能を優先されているわけです。

前後 1612g
前輪 699g
スポークテンションを出来るだけそろえています
後輪 913g
スポークテンションを出来るだけそろえています

製作上での注意点は、スポークテンションを出来るだけ揃えて、振れを最小になるように仕上げています。とても地味な作業ですが当ホイールの特徴になっています。スポークテンションが揃っていれば駆動ロスが少なくなります。おまけにスポーク折れなどのトラブルが少ないのです。リム、ハブの持つ力を最大限ひき出すにはこれが一番大切です。

チューブラーホイールは今やカーボンホイールでしか完組では手に入りません。アルミチューブラーでは手組しかないという現状です。アルミチューブラーホイールを選ぶ機会が少ないのですが使ってみると優秀なホイールということが分かります。

今回のようなベテランライダー様からのご注文はありがたいことです。