46mm高28mm幅リムブレーキ用カーボンホイールのご注文

表題のようにカーボンホイールのご注文をいただきました。少し宣伝させていただきます。

昨今の円安で自転車部品事情は大きく変わりました。単純に考えまして円が115円から145円に円安に振れた場合約2割の値上がりです。手組ホイールファンのカーボンホイールは部品代で大きく利幅を取ることはしていません。勿論赤字で作り上げることはできませんので昨年の見積もりの価格より1万円ほど値上がりしています。値上がりした部品に手間賃を足したごくごくシンプルな値付けです。手間賃はそのままです。値上がりした部品の価格だけ値上がりしました。確かに値上がりしましたがコストパフォーマンスを考えますとまだまだ安価で高性能だと自負しています。

通販のホイールは安価ですがメンテナンスはどうするのかを考えることが必要です。いくら安価でも機械ものはメンテが必要です。落車でスポークが歪んでも自分で直せる人、もしくはメンテできる人が周りにおられることが大切です。通常自転車屋さんは直してくれません。修理を受けてくれてもとても高価なのは当たり前です。いいとこどりはできないことになっているのが世間のルールです。こんな心配事にもご安心ください。すぐに対応いたします。

今回のご注文もお顔あわせての商談ではありません。今までのお客様とのインプレを参考にされてご注文いただきました。とても勇気のいることですが飛び込んでいただきました。約10万円ものホイールをメールの連絡だけでご注文いただけることにいつもありがたいなと思っています。

長い書き出しになりましたが今回のホイールの内容は以下の通りです。

リム 46mm高28mm幅チューブレス用カーボンリム 前輪20穴後輪24穴

ハブ ノバテック A291SB 20H  F482SB 24H

スポーク ピラー Wing21 黒

ニップル SquorxPro 黒

手組ホイールファンのカーボンホイールはレースに出ておられる方々より沢山インプレをいただき高い評価をいただいています。お客様の評価は宝です。

24mm高24幅アルミディスクホイールの作製とインプレ

ベテランライダーさんよりホイールの提案をして欲しいとご連絡いただきました。ご自分でもホイールを組まれる方です。お手合わせいただきたいと道場破りにこられた感じで私も少し緊張しました。

シマノハブで作製 24mm高24mm幅アルミディスクリム使用

提案ホイールはアルミリムで作りました。

3.5mmのオフセット  左右のスポークテンションを是正します

リムは国内では販売されていないアルミリムを使いました。いつも買っているセラーさんがオリジナルブランドを作ってはどうかと提案してくれたリムです。24mm高24mm幅オフセットが3.5mmあるリムなのでスポークテンションの左右差は大きく是正できる32穴リムです。

ハブはシマノの105グレードディスクハブ32Hです。

スポークは前輪Laser、後輪左D-light、後輪右TB2018と3種類のスポークを使い分けています。

組み方は前後ともに王道の3クロス組で組みました。

Laser2.0/1.5/2.0mm 3クロス組
左D-light 2.0/1.65.2.0mm 右TB-2018 2,2/1.8/2.0mm

以下,お送りいただきましたインプレです。

ホイールを2ヶ月ほど使用しての感想などフィードバックいたします。


 通勤、ツーリング、ポタリングで500kmくらい
 山にはあまり行かず、平地メイン


 ・よく転がる
   完成車にもローハイトのホイールがついてきますが
   次元が違います。リムの素材の良さと技術力なのでしょう。


 ・ペダルを強く踏んだ時の懸り具合がとてもよい
   一般にローハイトの多スポークホイールはこういった面で
   スポーティーさが薄いと言われますが、全くそんなことは
   ないです。
   固すぎず、僅かにバネ感も感じられぐんぐんスピードが乗っていきます、
   流石に最高速度はカーボンのディープリムには及びませんがその差は
   せいぜい2〜3km/hといったところで何も問題ないです。
   リアが非対称リムで左右のスポークが十分に仕事している
   のとスポーク選択が絶妙だったのかもしれません。


  ・乗り心地
   体重もあるため28c(実質30mm)タイヤを装着しているので
   基本的に悪くないのですが、それでもカーボンディープと比べて
   かなり角が丸いです。通勤時の歩道段差越えなどで重宝しています。
   これはローハイトで細め多スポークにした恩恵ですね。
   ご提案ありがとうございました。


  ・重さなど
   カーボンホイールの場合とくらべて総重量で+200gくらい
   いまのところ全く気になりません。

的確に印象を書いていただきました。及第点をいただけたようです。

多スポークホイールはやはり高速域では空気抵抗が影響するかもしれません。しかしながら乗り心地などほかの評価項目を考えますとやはり利点も大きいです。レースに出るならカーボンホイールを使えばいいわけで日常のロングライドには多スポークホイールはグッドチョイス!です。

銀輪ホイールの作製

キシリウムホイールをクロモリフレームで乗っておられた方よりご連絡いただきました。ハブとリムを持っておられますのでスポークをこちらで提案するということでお送りいただきました。

AL300はリム高もあって空力が期待できます

リムはTNIのAL300シルバー32H、ハブはディスコンハブのアルテグラ6600です。

シマノハブは重いが丈夫で長持ち トレードオフの関係です

ハブは再利用でとても滑らかに回ります。シマノハブは定期的なグリスアップを行えば長く使える優秀ハブです。

シルバーリムで手に入りやすいリムはTNIのAL300があります。ナローリムですが十分現役リムとして使えます。30mmのリムハイトがありますので剛性が高く空力の援護も得られます。

提案しましたスポークは前輪をピラーのTB2015、後輪左TB2015後輪右TB2018という組み合わせです。TB2015は中央部が1.5mm、TB2018は中央部が1.8mmの太さです。

ピラースポークはjベント部分が2.2mmありますので一般的なダブルバテッドではありません。トリプルバテッドのスポークでロード用のスポークとしては特殊かもしれません。2.2㎜と太いのは歓迎します。

前後ともに3クロスで組み上げました。前輪の1.5mmスポークは地面からの衝撃を吸収してくれますので長いライドにはうってつけと思います。

長くホイールを組んで感じるのですがベアリングで性能の差異は大きく感じないと思います。リムとスポークははっきり違いがわかると思います。

高価なDuraハブを使われてもスポークが2mmのスポークでは乗り味はとても硬く疲れやすいホイールになります。細いスポークはねじれ易いので組むのは難しいのですが乗り味は大きく変わります。

ビルダーさんにオーダーされる場合、せっかくオーダーされるのでスポークにはこだわるべきと思います。サピムのCX-RAYを使わなくてもTB2015,サピムLaser、DTのRevolutionと細いスポークがありますので尋ねられたら良いかと思います。

このホイールは目が引くと思います やはり銀輪ホイールはいいです
ハブが重いのですが外周部は軽い  スポークが細いので乗り心地がいい
こんなにスポークテンションが揃っていなくて使えるのですが揃っていると振れが出にくいです
中央部の重さが影響しています 外周部は軽いので漕ぎ出しは軽いです
スポークテンションが揃っていると振れが出にくく駆動ロスが少ない

クロモリフレームに銀輪ホイールは最高の組み合わせと思います。仮組は1日でできますがあとのスポーク調整は3日くらいかけるようにしています。緊張したスポークを休ませながら調整しています。振れの出にくいホイールを作るには時間をあけることです。

一番いい方法は一度乗って再調整するのが一番ですが遠方の方には難しいです。このため時間をかけて調整するのが最良と考えています。

36穴ハブに24穴カーボンリムでホイール作製 続き

ママチャリ用カーボンホイールの続きです。

実は昨日用ブログの読者さんよりメールをいただきました。この方は私のブログをいつも楽しんでいただいているとおっしゃっています。

ママチャリの後輪を組み替えたことがあるとご連絡いただきました。ママチャリホイールの注意点を教えていただきました。

センターはブレーキローターの厚みを入れて出します

注意点はブレーキローターの厚みがあるので後輪センターは締め付けナット間でセンターを出さないといけませんということです。ご自身の経験をお知らせいただきました。ありがたいことです。

私もハブを観察していまして気が付きつきました。スポーク長の計算ではナットを外しての計算をしています。

ローターの取り付け金具の厚みを計算に入れないで左右の長さを測ったわけです。これに気が付かなくてそのまま組み立てたのですが昨日のご連絡で間違っていたことが分かりました。

恥ずかしいことですがローターの厚みを計算に入れていませんでした。ブレーキの現物があればすぐに気が付くことですが手元にないのでそのままでスポークを計算しました。

さて、もう一度スポークを外して再度計測しなおしました。センターオフセット値が変わるのですがスポーク長は同じ寸法でした。つまりハブからリムに向かうスポークのブレイシングアングルが変わるだけでした。左スポークテンション値を上げてリムセンターを2mmほど左に寄せて組むだけで済みました。スポーク長は同じです。左右のナット間の寸法は130mmでした。ハブを変えブレーキのシステムを変えてもフレームはさわらなくても良いように設計されているのかなと思いました。

ブログ読者さんのおかげでストップかけることが出来ました。誰でも最初はビギナーですが恥ずかしいことでした。。失敗を記事にするのはビルダーとして恥ずかしいのですが間違いを早く気づけて良かったと思っています。読者さんに助けていただきました。本当に感謝しています。

36穴ハブに24穴カーボンリムでホイール作製

面白いアイデアのホイールをご注文いただきました。

当初、36穴ハブで24穴リムのホイールを作製できますかというご質問から始まりました。

リム、ハブは持ち込みです。できますよという返事をしました。

いろいろと伺いますとハブはママチャリに使われるシマノのローラーブレーキ用ハブです。どんなリムなのか興味があったので尋ねますと中華カーボンのチューブラーリムを使うということでした。

ママチャリにカーボンホイールという組み合わせです。いや、驚きました。いろんなアイデアがあるものです。

25mm幅30mm高カーボンチューブラーリム 345gは軽い
ハブにブレーキ部分がくっついている構造なので重い

送られてきましたハブとカーボンリムを計測しました。ハブ530g、リム345gです。ハブは重いのですが中心部の重さなので回転には影響ありません。ただ構造がカップアンドコーンなので玉あたり調整が必要です。新品の状態ではとても硬いです。ねじを緩めついでにグリスを入れると良いかと思います。この調整はお客様の好みがありますので行いません。

リムは25mm幅30mm高のチューブラーリムです。とても軽量です。漕ぎ出しはとても軽いと想像します。カーボンリムの良いところは剛性が高いところです。アルミリムよりはるかに硬いところが良い点です。お客様より伺っていましたカタログ発表のリム径は580mmということでしたが実測しますと588mmありました。やはり実測が大切です。カタログ値を信用してスポーク長を出せば余計な出費となります。

ホイールのクロス数は2.75クロスです。ハブの5穴間隔で組んでいきます。ネットで発表されている写真を見れば慣れている方ならそんなに難しくはありません。ドライブ側を先に組み上げて次に反対側という感じで片面ごとに組み上げていけば楽です。3行で説明しましたがわかる人ならこれで分かると思います。

話変わって、なぜカーボンリムが優れているのかを説明します。

走る場合ホイールが地面に接するところは常に凹んでいます。これは自転車が走っている限り連続します。この連続した凹みが駆動ロスになるわけです。出来るだけ真円の状態で走れば駆動ロスは少ないです。ふにゃふにゃのママチャリ-アルミリムから今回の剛性高いカーボンホイールに変わればママチャリの大変身は間違いありません。

所で、お代金ですがお客様には3時間分の作業代金+スポーク、ニップル代を請求しています。変則組だから特別料金を請求するようなことはしていません。組み立てが難しくてできない場合はお断りしています。お断りの場合は特殊なスポークとかニップルを使う場合です。部品を手に入れるルートがない場合もありますのでそんな場合は残念ですが諦めていただきます。

半分はハブの重さです 外周部はとても軽量
2.75クロスで組んでいます
チューブラーリムは外周を軽くできます ビードによるテンションダウンも起こりません

出来上がりました。最近クロスバイク用にカーボンホイールをお納めしたことがあります。今回はママチャリにカーボンホイールです。このアイデアがとても面白いです。試してみるには勇気もいると思います。

河川敷のサイクリングロードで猛スピードのママチャリを見ることが出来るのではと思っています。100万円のロードバイクに乗っている人を追い越しているママチャリを見ることが出来れば楽しいなと想像しています。最高に面白いホイールです。前輪の注文はどうかな?

XR31T/RT前後28Hリムで多スポークホイール作製

今まで軽さこそ正義と思っていましたが、こちらのブログを読むようになり多スポークと体重に即した太さのスポークを選ぶことで乗り心地が良くて疲れにくいホイールになるという記事を読み興味を持ちました。またスポークテンションのばらつきを極小化したホイールとはどのようなものなのかにも興味を持ちました。

このようなご連絡をいただきました。お客様はご自分でもホイールを組める方です。いろいろとご質問いただき、それにお答えするということを繰り返しました。結果的には次の仕様でご注文いただきました。

リム キンリンXR31T/RT 前後ともに28H

ハブ シマノ ティアグラ HB-RS400 FH-RS400 ともに28H

スポーク 前輪 ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm 中央部が1.5mmの細いスポークです

スポーク 後輪左 ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm

               後輪右 ピラーTB2018 2.2/1.8/2.0mm 中央部が1.8mmで少し太くなります

ニップル ピラー DSN 

細いスポークを使って本数を増やすことで剛性を得ながら乗り心地の良いホイールを作ります。多スポークホイールの良さを試していただくことに至りました。

多スポークホイールは疲れにくい
左右のスポーク長が同じなので前輪の調整は比較的し易い
できるだけテンションを均一になるように調整します

スポークテンションを出来るだけ均一に組んだホイールは狂いが出にくいホイールです。2年3年乗っていただくと多少は振れが出るかもしれませんがスポーク数本の手直しで済むホイールに仕上がります。結局時間をかけて丁寧に組むことで得るものも大きいということです。急がば回れです。

36mm高チューブレスカーボンホイールの作製

ブログにご連絡いただきました。

ロードバイク用のカーボンホイールをこちらでお願いしたいと思っているのですが、どういった事をお伝えすればよろしいでしょうか?

このご連絡の通りです。顔を合わせての商談でありませんのでどういう方法で進めるのかわかりません。メールのやりとりだけで商談しますのでご心配は当然と思います。

こちらから体重と普段乗っておられる地域の様子や乗り方を伺いましてホイールを提案しました。メールでのやり取りはご面倒ですが何回か行います。お客様の疑問点にお答えしながらホイールの提案を行っています。

3種類のお見積りをしました。お客様はその中から選ばれたホイールが次のホイールです。

リム 36mm高28mm幅リムブレーキ 前輪20h後輪24h

   前輪のリム面はオプションで強化リムにしています

ハブ ノバテック 

スポーク ピラーwing21 黒

ニップル DSN

穴なしリム バルブ穴だけ1つ開いています

リムは穴なしリムです。チューブレスでも、クリンチャーでも使えます。リムテープがいらないのでメンテが楽です。チューブレスで使うときはシーラントが必要ですが、シーラントなしでも3,4時間乗れますのでシーラントなしで使うという方法をお客様より教えていただきました。パンクの時はチューブを入れる、これは簡単です。私はシーラントを入れていますがこの方法もアリだなと思います。

穴なしリムでのホイール作製はニップルに特殊な磁石ネジを取り付けて一つだけあいているバルブ穴に入れてニップルを磁石で取り出していく方法を取っています。面倒ですがこの方法がベストと思います。

ニップルをスポークに取り付けるのに失敗するとニップルはコロンとリムの中に転がります。失敗しましたニップルはあとで取り出すのですがリムを振り続けて取り出します。

調子のいいときは失敗なしで出来るのですが大概は1個か2個は失敗します。そのまま作業を続け仮組が終わった時点で失敗のニップルを取り出します。リムを振り続けてポロンと出てくるまで振ります。仮組までが大変ですがこれが終わると普通のホイールと同じです。

前輪644g
後輪823g
オプションでブレーキ面の強化ができます ZIPPのリムにもつかわれている方法です

組みあがりましたホイールですが、前輪644g後輪823g合計1467gです。

剛性が高いカーボンリムは駆動効率がいいです。理由はリムが体重で凹まないからです。リム高が高いほど凹みが少ないのですが重量も増えます。風の影響も受けやすいので50mmくらいまでが一般的です。今回のリムはどちらかといえば低いほうですが風の影響が受けにくく重量も軽いのでお勧めリムです。

お客様はクロモリフレームに取り付けられる予定です。クロモリフレームにカーボンホイールは独特の雰囲気があります。クロモリのしなりが剛性高いホイールを受け止めてくれますので疲れにくい乗り味を楽しめます。

クロスバイク用にフックレスカーボンホイールのご注文

スペシャライズドのクロスバイク( Sirrus) 用としてカーボンホイールのご注文をいただきました。

前々から私も乗っているクロスバイクのホイールをカーボンホイールに取り換えることを考えていました。やはり同じように考えておられる方がおられました。お客様のホイールはQR仕様のディスクホイールです。

ホイールのご希望は次の通りです。

36mm高のフックレスタイプ

ハブは前輪100mmQR 後輪135mmQR センターロックをご希望です。

スポークはお任せいただきました。

当初ノバテックハブを提案していましたがうまく入手できずバイテックスになりました。

BX106F 100mmQR センターロック

BX106R 135mmQR センターロック

ノバテック、バイテックスともに台湾の量産ハブメーカーです。どちらも優劣なくとてもいいハブメーカーです。ブティックブランドのハブメーカーにはない値ごろ感で性能はとてもいいです。

クロスバイクはとても乗りやすく、よく考えられた自転車と思います。このクロスバイクのホイールが上級ホイールに変われば走りは確実に変わります。チェーンコンポーネントが変わるのとホイールが変わるのでは違いは明白です。

前輪691g
後輪824g

私もクロスバイクのホイールをカーボンホイールに交換すればいいと考えていましたが今回は先を越された感があります。通常は自転車よりも高価なホイールを取り付けることなどなかなか思いつきませんが、お客様はとても良いところに気が付かれています。クロスバイクにカーボンホイールを取り付ける狙いはロード化ではなく、気持ちよく乗れるように自転車としての性能の底上げを考えていると仰っています。このホイールで間違いなくご希望は達成されると思います。

ナローリムでホイール作製

ワイドリムが主流となりつつありますが使われているフレームがサイズ的に適してなく、しかた無しにナローリムのホイールを使っておられる方もおられます。

お客様もそのおひとりでナローリムの部品を集めておられました。ご自分でホイールを作られる予定のようでしたが当ブログをお読みになってご連絡いただきました。

ホイールを自分で作るのは本当に楽しい時間です。いろいろな作業があり自転車を組むよりややこしいところもあります。実際に組んでみますと難しく、それなりに実用になるまでには50本くらい組まないとうまくいきません。これも楽しい時間ですがそんな時間を費やすなら乗ったほうが楽しいと思います。私は作るほうがてとても楽しかったのでホイール作りにのめり込みましたがまあそんな人は少ないと思います。

それなりに使えるホイールはできますが十分パフォーマンスを上げるにはいろいろと工夫が必要です。お客様はうまく近道を見つけられました。手組ホイールファンにお任せいただいたわけです。宣伝文になりましたが実際その通りと思います。餅は餅屋にです。

リム重量450g 30mm高ながら軽量です

TNIのAL300リムとノバテックのハブをお送りいただきました。持っておられるフレームに合うようによく研究されています。

AL300は重量450gの軽量リムです。30mmのリム高がありますので空力の援護射撃も得られます。シマノのアルミリムは530gほどありますのでこれだけでも大きい差です。

前輪59g
後輪229g

ハブは台湾のノバテックハブです。量産ハブでブティックブランドのハブと比べますと価格は1/3くらいの価格です。では性能は1/3なのかといいますとそんなことはありません。沢山作られているので量産効果があるわけです。微妙な差はあるかもしれませんがこの差を感じ取る人は少ないと思います。つまり必要十分なハブというわけです。

スポークの選択では私の方から2案出しました。お客様はDTのコンペティション黒を選択されました。中央部が1.8mmのバテッドスポークです。王道の選択です。鉄は叩けば強くなります。2mmの針金を叩いて1.8mmにしていますので軽量化と強度は上がります。

ニップルはブラスを選択しています。アルミニップルと比べて3倍重いのですがやはり腐食、割れを考えまして丈夫なほうを提案しています。

スポーク数は前輪24h後輪28hです。一般に販売されている20・24hホイールより8本多いのですがこれはよい選択と思います。下りコーナーでの安定感を感じていただけるでしょう。50gほど増えるのですが得るものも多いのです。軽量化だけがいいというわけではありません。

前輪694g
出来るだけスポークテンションの均一化を行っています
後輪889g
出来るだけスポークテンションの均一化を行っています

組みあがりました。前輪694g後輪889g前後で1583gです。

今使っておられるホイールと比べて400g軽いといっておられます。自動車のばね下理論ではないですが400gの軽量化は効くと思います。

チューブラーカーボンホイールのご注文の続き

リムがメーカーより届きました。約一ヶ月かかります。細々とホイールを作っています。カーボンリムは高価なので沢山在庫していません。注文発注の場合が多いです。

345g軽量です
ニップル穴がないチューブラーリム

チューブラーリムなのでタイヤを貼り付けます。このため通常穴アリリムでいいと考えられますが、自己満足かもわかりませんが穴なしリムを発注しています。リムベッドにはニップル穴はありません。チューブレスリムと同じ仕様で注文しています。

理由はリムの強化です。穴があるのとないのではないほうが強度は高いと考えています。微妙な差で感じ取れない差と考えられますが剛性は高いほうがいいのでこのような発注を行っています。

ニップル穴はホイール前後で56個です。穴なしリムなので結構な数と思います。組み立てには予定時間のほぼ半分が仮組にかかります。仮組が終われば通常の組み立てです。ニップルの回転がし易いように一個ずつグリスを塗っています。このひと手間も大切と考えます。

スポークは前後ともにサピムのLaserを使います。中央部が1.5㎜の細いスポークです。細いスポークはショックアブソーバーの働きをします。Laserは高級スポークのCX-RAYの元になるスポークです。空力ではCX-RAYより少し劣りますが強度、しなやかさなどほぼCX-RAYと同じです。価格は1/3の値段です。レースに出るなら少しでも空力がいいほうをお勧めしますが一般的な乗り方ならLaserもよい選択です。

丸スポークなので取り扱いは一番難しいと思います。理由はねじれです。ねじれやすいスポークなのでサピムのホームページでもOnly experienced wheel builders should mount up wheels with this spokeと書かれています。

難しいスポークですが安価で利点の多いスポークです。挑戦されたら良いかと思います。

10月4日の記事には詳しく使った部品を書いていますがお客様はシマノの下位グレードハブを指定されています。ソラシリーズの10速ハブです。11速ハブと比べましてギア1枚少ないのですがハブセンターオフセット値はギア1枚分少ないのでスポークテンション比率は安価なソラハブのほうがいいのです。何事もトレードオフの関係です。見た目は飾り気のない無骨で安価なハブですがギアの数を気にしなければ駆動効率が劣るとはいえません。正しく理由を知れば値段ではありません。安価でもいいものはいい。

このハブは残念ながら少スポークハブではありません。しかしスポークが28あるということは安定感が増すということです。まさに有段者のハブ選択と感じています。

前輪658g
後輪885g

スポークテンションの均一化と振れの最小化に注意して組み上げました。

前輪658g、後輪885g 前後1543gです。高価なハブ、スポークを使わなくてもいいホイールが出来るという見本と思っています。