35mm高チューブラーカーボンホイールの作製

昨年アルミチューブラーホイールをご注文いただきました方より連絡があり軽量カーボンホイールを試したいとリピートオーダーいただきました。ありがたいことです。

軽量ながら剛性のある35mm高のチューブラーリムを提案しましたところ了解を得ました。リムが決まり、ハブはノバテックハブ使います。軽量且つメンテナンス面で部品入手が安定しています。トラブルに対応しやすいハブなのでよく使います。スポークはピラーのWING21を使います。前後ハブともに同じスポークです。

よく後輪ホイールにおいて左右のスポークを変える手法を使います。例えば左CX-RAY右CX-sprintという組み合わせです。この組み合わせでスポークのグラム数を計算してみます。

Sapimのホームページからスポークのグラム数が出ていますので計算しますとこの左右を違えたスポークの総グラム数は(左4.25g+右5.22g)*12=113g

WING21のグラム数は4.7g*24=112.8gでほぼ同じになります。

他の要素も入りますがこの数値から考えましてホイールの剛性に関しては大きく違わないと思っています。つまりスポークを変えるなど難しいことをしなくても剛性は得られます。左右同じというシンプルな組み合わせなら材料の手配もしやすくメンテナンスが楽です。仮にWING21で剛性が足りない場合は右ドライブ側のスポークを少し太くするのも良いかと考えます。まずは後輪左右共にWING21で組みます。

穴なしカーボンチューブラー 

リムはチューブラーリムなので穴ありリムでいいのですがあえて穴なしリムで作りました。理由は剛性です。数値的にデータは持っていませんのではっきり示すことが出来ませんが強度が違うことは確かです。作るには時間が掛かりますが少しでも剛性を高めることを提案しています。

ホイールで剛性を上げるにはスポークを太くすればいいのですがチャンピオンのような2mmの強度があるスポークはリムが割れるので使えないとリムメーカーが注意しています。

ホイールの仕様は次の通りです。

リム 35mm高25mm幅チューブラーカーボンリム 前輪20 後輪24穴

ハブ ノバテックハブ

スポーク ピラーWING21

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

前輪557g

スポークテンションが均一です
後輪751g
スポークテンションが均一です

前輪557g 後輪751g  前後1408g

非常に軽量に仕上がりました。外周部が軽いのでヒルクライムには最適です。

一つ注意点があります。

リムブレーキのカーボンホイールではブレーキパッドはアルミホイールと共用はできません。アルミリムの破片がブレーキパッドに入り込んでカーボンリムを傷つけることがあります。同じフレームでアルミホイールも使うときはこのため舟を別に用意しないといけません。

22mm高24mm幅アルミリム使用ディスクホイールの作製

今回で5セット目のホイールです。シクロ選手よりホイールをご注文いただきました。

リピートオーダーはありがたいです。前回のが良かったので今回もということと理解しています。

体重、乗り方などご希望を相談しながらホイールの仕様を決めていくのですが5セット目となりますとお客様よりご指定されることが多くなります。

今回のホイールではリム、ハブはお客様より持ち込みです。スポークも前回のホイールが良かったのか同じスポークを注文されました。ピラーのTB2018スポークです。

ピラースポークTB2018はトリプルバテッドの略です。Jベント部分が2.2mm、中央部が1.8mm、ねじ部分が2.0mmのスポークです。曲がりのところが太いのがいいです。jベントは折れると心配する人には特におすすめです。

私はスポークが折れたという経験はありません。アルミニップルが飛んだことは5回です。500本以上ホイールを作っていますがスポーク折れは一回もありません。運がいいのかもしれませんが、スポークを均一に張るようにしているのが理由と思います。しかし折れないとはいえませんので少しでもjベント部分が太いことは良いことです。

海外ブランドのスポークではサピム、DTが有名スポークです。ピラースポークは日本国内ではなかなか手に入れにくいスポークですがお勧めスポークです。

プライム ディスクハブ 前輪用
プライム ディスクハブ 後輪用

お持ち込みのハブですがwiggleのプライムハブです。私の手持ちノバテックハブとよく似ていますのでOEMではないかと思いますが定かではありません。

AL22Wは軽量ながら剛性がある
AL22Wは軽量ながら剛性がある

リムはTNIのAL22Wアルミリムです。 軽量且つ剛性があります。 リムセンターは3mmオフセットしていますので左右のスポークテンション差を少なくできます。値段もこなれていますのでお勧めリムです。またすぐに国内在庫がなくなるかもしれません。

スポークは中央部が1.8mmですので24本ながら剛性は確保できているようです。前回お納めしましたホイールと同じスポークで作るようにご依頼受けましたことから推測しています。

出来るだけスポークテンションはハイテンションで仕上げています。理由は次の通りです。

走っている間リムは体重で真円にならず歪ながら回っています。地面につくときの凹みを少なくするにはスポークを強く引っ張って回転の時の歪を少なくすることが大切です。強く引っ張ることでホイール自体の剛性は高くなりませんがハイテンションで張ることで歪を少なくすることはできます。出来るだけ真円で回るようにするためにハイテンションが必要です。剛性を上げるためにハイテンションにすると誤解している人がおられるようですが、剛性を上げるにはスポークを太くすることです。

スポークを引っ張ってテンション値を計測することは大切です
出来るだけスポークテンションを揃えています
出来るだけスポークテンションを揃えています

TB2018スポークをピンと120kgfで引っ張ってテンションメーターで確認するようにしています。スポークに当てて曲がり具合を計測してテンション値を知るのですが使うスポークによってその値は違ってきます。

このため事前に測っておいてこの値になるようにスポークの張りを調整しています。テンションメーターの校正表は目安です。パークツールのTM-1を使っている人は特に注意が必要です。TM-1の校正表はあくまで目安で相対値を知るには良いかと思います。

TM-1はスポークテンションが揃っているかを調べるには扱いやすい器具といえますがこのメーターが示す数値を信じる注意したほうが良いかと思います。

いまお話していることは売り物のホイールについての話です。個人で楽しむホイールは好きなように組めばいいと思います。パフォーマンスを上げるには参考になるかなと思います。

いろんな方がホイール組を解説されています。YouTubeは参考になりますがどの方も見せたくない技があるようです。やはりうまくなるには結局数をこなすしかないようです。組みやすいリムで沢山組むのがいいようです。その意味でも今回のリムはとても組みやすい高剛性のリムだと思います。

今までご注文いただきました方々はご自分でもホイール組ができる方が多いです。試合に出ている人も多いように思います。皆さんライド仲間がおられますので教えていただくことが多いです。いい情報はシェアしたいものです。

前輪766g
後輪897g

お客様はご自分で部品を集めて送ってこられます。組むのは私ですがホイールのPlan-do-check-act PDCAサイクルはうまく回っています。

今回のホイールの結果を教えていただくのが楽しみです。

46mm高のリムブレーキカーボンホイールを作製

3月に中ごろにご注文いただきましたカーボンホイールのリムがやっと届きました。

約40日かかっています。世界的に物の動きが変調していますので仕方ないといえばそうなのですがやはり待つ身としましてはとても長く感じます。

スポーク、ハブは準備していましたので作業を始めますと1日で仮組は終わります。穴なしリムの作業は集中力が必要です。リムの中にニップルを落としてしまいますと取り出すのに大変です。

ちょっと気を抜くとポロっとリムの中に落ちてしまいます。この穴なしリムは仮組までが一番気を使うところです。組んでしまえば通常のホイール組と変わりません。何度も馴染みだしを行い狂いの出にくいホイールに仕上げるだけです。

穴なしリムは使う方には沢山利点があるリムです。

リムテープがいらないことが最大のメリットかもしれません。経済的です。チューブレスタイヤで運用出来るところが良いところです。チューブレスではシーラントをお勧めしていますがシーラントなしでも4,5時間乗れるのでシーラントをいれない人も結構おられるようです。

ではどうするのですかとおたずねしましたらパンクしたときはチューブを使うとのこと。簡単なことです。シーラントを入れると手がべたべたになり、これが嫌なのでチューブを使うことでうまくいきますとのことでした。なるほどと変に納得したものです。

穴がない分リムの剛性は穴アリより高いようです。実際に違いがわかるくらい違うことはないと思いますが剛性が高いことは間違いありません。

ホイールの構成は次のとおりです。

リム 46mm高28mm幅 カーボンリム 穴なし

ハブ ノバテック A291SB,F482SB 20・24h

スポーク ピラーWING21 黒

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

前輪654g
後輪 843g

前輪654g 後輪843g  前後1497g

軽量に仕上がりました。

スポークテンション優先しています
均一に張ったスポークテンションが大切です

ホイールのスポークテンションばらつき度は5%以上(数値が少ないほどいい)を目標としています。高価なホイールが5%前後とされていますのでこれらのホイールを上回るようにしています。ばらつき度を押さえながら振れを最小になるように調整します。

テンションの均一化を無視すれば簡単に振れ取りができます。これはホイール作りができる方ならよくわかると思います。テンションを揃えて振れを少なくするのが一番駆動ロスを少なくする方法といえます。馴染みだしを何回も行います。一度走ってみてから再調整すれば簡単ですがお客様は遠方の方が多いのでそんなわけにはいきません。このため馴染みだしの回数は多いです。

これらの作業は技術といえば技術です。勿論簡単ではありませんがいいホイールを作るには手を抜くわけにはいきません。

長い時間かかりましたがやっとお納めできます。インプレが楽しみです。

超軽量35mm高チューブレス・カーボンホイールのご注文

3月にご注文いただきましたカーボンホイールですがリムがやっと届きました。

もうすぐ5月です。約一か月半お待ちいただきました。

35mm高28mm幅 超軽量リム

35mm高28mm幅のディスクリムは超軽量です。1本350g前後です。ハブ、スポークはいつもの定番カーボンディスクホイールと変わりませんがリムだけ少しお値段の張るリムを使っています。

お作りするカーボンホイールはすべて出所をはっきりさせています。リムは受注生産なのでお値段もその時の為替で変わります。変わらないのは工賃とハブ、スポークの値段です。その都度お見積りしていますのでお客様も私も為替で損得はありません。

オーダーいただきました時にリムを発注しています。このため部品の輸入に関して為替でプラスマイナスが出ないようにお互いに納得してのご注文になりますので安心です。

昨年購入された方よりはこれからの方は円安の影響が少しあります。昨年より価格は約15%円安ですので価格が上がるのは仕方ないです。

しかし原価より3倍、4倍の価格をつけている完組ホイールに比べますと微々たる値上がりと思います。これからのメーカーの価格改定は注意してみておかないといけないとこの頃感じています。お納めするカーボンホイールが3倍4倍のカーボンホイールと比べて性能が同じ比率で劣っているなら話は別です。性能は互角と思っています。ご安心願います。

下の写真は前輪です。

前輪631g
スポークテンションが均一なので駆動ロスが少ない 振れも出にくい
前輪左右2クロス組

次は後輪です。

後輪744g 軽量です
スポークテンションが均一なので駆動ロスが少ない 振れも出にくい
後輪左右2クロス組

今回のホイールは定番ホイールと比べまして前後で約200g軽く仕上がります。お客様は36mm高の定番ホイールと価格を比較して高い方のこちらにお決めになりました。

リム穴なしのホイールはテープ巻きがいりません

どちらもいいホイールですのでどれがいいとはいえませんがあえて申し上げますと乗る場面で決められると良いかと思います。ヒルクライムを優先する方は少しお高くなりますが今回のホイールがお勧めです。

定番ホイールも今回のホイールも皆さんコスパが良くていいホイールと喜んでいただいています。

36mm高ディスクカーボンホイールのご注文とインプレ

今まで何回もご注文いただきましたお客様のライド仲間の方よりご注文いただきました。お一人のお客様から始まって3人目の方です。いわゆる口コミで広がりました。無名のカーボンホイールですがブティックブランドと負けていないと評価いただいています。

このブログは私の作るホイールがもっと広まってほしいということが大きな目的であります。俗ですが沢山売れてほしいということです。しかし手組ホイールには完成品のホイールにはない魅力がありますのでこの良さを知っていただきたいということも大切にしています。今の市場で販売されていないホイールを作り(チューブラーホイール、ロングライドに適した多スポークホイールなど)紹介することです。

今回のお客様は40年の自転車経歴があるベテランライダー様よりご注文いただきインプレも頂戴しました。正直、お客様より自己紹介いただきました時は驚きました。うれしいですね、長いご経験のある方よりオーダーいただけるのはありがたいです。

前輪 691g
左(ブルー色)ブレーキ側 約130kgfで仕上げています
後輪 803g
右(黄色)ドライブ側 約130kgfで仕上げています

ホイールは36mm高28mm幅の定番リムを使ったディスクブレーキ用のホイールです。ハブも特別高価なハブを使っていません。スポークは最近よく使うピラーのwing21を使いました。リムの発注から計算しますと40日ほどかかりました。気長にお待ちいただきましたが期待以上のホイールだったようでうれしいご感想をお聞かせいただきました。

以下ご連絡いただきましたメールです。


遅くなりましたがお造り頂いたホイールのインプレを恐れながらお伝え致します。

大きく感じたポイントは3つありました。
①漕ぎ出しの軽さ
②巡行速度の明からなアップ
③疲労度の明からな軽減

①は当然と言えばそれまでですがロードだけでなくシクロクロスで是非使いたくなりました。
②極端ですが3、4キロは違います。
③4、5時間たった時間帯でも踏めます。これは軽いからまだ踏めるのではなく、それまでの疲労度が全く違うからだと帰宅後分の体調で分かりました。

今までどれだけ重くスポークテンションがバラバラのホイールを使っていたのか思い知りました。いつもの練習コース(東秩父村)なので違いがハッキリ判ります。

ずっと長く走っていたくなるホイールですね。圧倒的な費用対効果である事は間違いありません。

それから私の体重でダンシングしても撓みが少なく、ディスクローターのキャリパーへの接触はありませんでした。

お客様は昔のパスハンの時代から40年自転車に親しまれています。ベテランライダーの目は確かなものです。

今回おほめいただき本当にうれしいです。お納めしましたホイールが予想以上であったと連絡いただきましたことは大いに励みになります。

ノーブランドというブランド

お客様からご連絡いただきました。ホイールのご注文です。お客様は以前納品しましたお客様から紹介されたということです。いわゆる口コミです。

通常ブログをお読みいただきご注文のメールをいただくことが多いのです。しかしそれ以上に手組ホイールファンはいいよ、と以前お納めしましたお客様よりご紹介していただいて新規にご連絡いただくことはビルダー冥利に尽きます。

お客様にご提案しましたホイールは当ブログの定番ホイールです。28mm幅46mm高のカーボンホイールです。ディスクとリムタイプと2タイプありますが今回はリムブレーキでご注文いただきました。

ホイールは今まで何度も紹介していますが念のためご説明いたします。

46mm高 前輪661g
46mm高 後輪844g

リム28mm幅46mm高カーボンリム 20・24h

ハブ ノバテックA291SB20H F482SB24h

スポーク ピラーウィングス21 BL

ニップル ブラスニップル BL

値段はスポークの種類に左右しますが8~9万円前後の価格です。ホイールの価格は部品代+工賃です。時給1500円で計算しています。通常6時間分請求しています。

高いか安いか値段はお客様がホイールの性能から判断されています。

高いと思う人には高い、安いと思う人には安いのです。今のところいいホイールと思っていただく人が多いです。高価なブティックブランドホイールなら1セットしか買えないがリム高を変えて3セット買えるといっていただいています。

ホイールの出来不出来の判断は乗ってみないとよくわかりません。しかし乗られる前にできることは十分行っています。

●部材の出来具合で性能の良し悪しが出るのですが一番いい状態にするには先ずテンションの均一化です。 スポークのテンションを出来るだけ揃えて振れを最小にしています。

●乗り手の体重、乗り方の好みに合わせてスポーク数を考えます。

リム、ハブ、スポーク、ニップルこの4つの部品の組み合わせですがいろんな組み方ができますのでバラエティーに富んでいます。お客様の好みに合うように作り上げていくのが手組ホイールです。

しかしこちらも沢山組んできましたので組み合わせは沢山ありますがご提案は数種類で提案しています。経験からの判断です。

このようなことで今回のホイールを作り上げました。

振れは最小に、スポークテンションはできるだけ均一に仕上げています
スポークテンションはできるだけ均一に仕上げています

スポークテンションは上のグラフでよくわかります。テンションが均一ですので駆動ロスは少ないです。

ノーブランドホイールですがブティックブランドホイールに負けないように作っています。

クロスバイクのホイールをご注文いただきました

私は普段クロスバイクをよく乗っています。ロードバイクはアルミとクロモリを持っていますが主にクロスバイクが多いです。ジャイアントのエスケープに乗っています。ホイールはキンリンのリムXR31T/RTで作った手組ホイールです。ホイールのほうが値段が高いです。コンポーネントはそのままでペダルはSPDです。近所に行くときも自転車用の靴に履き替えるとことろが面倒ですがとても乗りやすく気に入っています。サイクルロードを時速30kmで走るのが楽しみです。お声掛けして100万円の自転車で走っている人の後ろを走るのは楽しいです。ベンツと軽が走っている感じですが結構楽しく走れています。

前置きが長くなりました。

さて、クロスバイクで楽しんでいる方よりこのブログをお読みいただいてご連絡いただきました。

いつも乗っておられるクロスバイクのホイールを替えてみたいというご希望です。

タイヤインストールして納品

提案しましたホイール内容は下記の通りです。

XR22T/RT  28h  後輪オフセットリム
シマノティアグラ シルバー 28・28h
前輪スポーク ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm
後輪スポーク ピラーTB2018 2.2/1.8/2.0mm
後輪スポーク ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm
nipple ピラーダブルスクエア   IRCチューブレスタイヤ インストールして納品
135mm用ハブ軸

ティアグラハブで見積しましてホイールを納品しましたが大きなミスでした。クロスバイクのエンド幅は135㎜だったのです。

ハブは135mmで提案しないといけなかったのですがうっかりミスで確認できていませんでした。やり直しです。

ハブをいろいろ探したのですが今の部品状況では手に入らないのが現実です。最近の自転車部品の逼迫状況は大きくは変わりません。半年くらい待たないといけないことが当たり前になってきています。

このためハブ軸を135mmで使える品物と取り換える方法で了解いただきました。本来ならハブを交換するのですが交換ハブは半年以上の先の話になりますのでご理解いただきました。

シマノハブではハブシェルは130,135ともに同じサイズですので軸を変えることで対応できます。勿論ハブセンターが左に寄りますのでスポーク長が変わります。ホイールは組み替えになります。

135mmのハブ軸に交換しました

最近はネットでシマノの部材は販売されていますので容易に交換できます。昔は限られた業者しか扱えないようになっていましたが今は違います。その気になればだれでもできるようになりました。

軸を変えることは簡単です。しかし事前にハブの構造を確認しておく方が良いかと思います。シマノのホームページからハブ構造を知ることが出来ます。スペーサーの位置なども調べておく方が良いかと思います。

ベアリングをセットするときにグリスを十分充填しておきました。

ハブ軸を交換して135mm幅用にしましたのでスポークテンションを測ってみました。

図では一番下のグラフを参照ください。

前輪スポークテンション
最初に作りました130mmハブのスポークテンション
135mmハブで作ると左スポークテンションは非常に高い

130mmから135mmに替えると2.5mm左にリムが寄ります。つまり左スポークテンションが大きく変わります。

グラフを見ていただきますとよくわかります。130mmの時と135mmのグラフを比較できます。135mm幅では左スポークテンションは非常に高い仕上がりです。左右差が少ないホイールに仕上がります。

納品後にお客様よりこのような連絡をいただきました。

いつものコースを走りました。往復20.23Kmです。発進する場所が坂道でコケたことがあるのでコケるのではとの恐怖がいつまでも消えなくて漕ぎだしの軽さを感じる余裕がないのが残念でした。上り坂も苦しさは相変わらずでした。体重と車の重量を持ち上げるのですから当然ですね。

タイムは短くなりました。1時間20分くらいが1時間13分です。15km/h16.5km/hです。

上り坂はグイグイ上がる感じがありました。平地に近いほど加速感が増している印象です。

結果としてタイムの短縮と疲労度が少なくなっているのかなとも思います。

10年ほど乗られていましたクロスバイクのホイールを交換され走りは大きく改善できました。

自転車のアップグレードはタイヤ、ホイールからがいいとよく言われます。なるほどその通り!と感心しています。

ミケハブを使った32h多スポークホイールのご注文

このブログでイタリアのミケ社ハブについて記事にしていますがこのハブを使った多スポークホイールをご注文いただきました。

前輪 822g
後輪 1006g

お客様はクロモリロードで乗られています。

提案しました内容は下記の通りです。

リム キンリン社XR31T/RT 32h

ハブ ミケ社 シルバーハブ 32h

スポーク 前輪ピラー TB2015 2.3/1.5/2.0mm

     後輪左 TB2015 2.3/1.5/2.0mm

     後輪右 TB2018 2.3/1.8/2.0mm

ニップル ピラーDSN シルバー

スポークを細くして、数を増やすことで剛性を確保します。細いスポークはショックアブソーバーのように地面からの振動を吸収します。

後輪右側に中央部が1.8mmと太いスポークを使って剛性を上げています。

ミケハブ シルバー 32h 3クロス組
ミケハブ シルバー 32h 3クロス組

ミケハブのシルバー32hはなかなか手に入りません。クラシックなシルバーハブはとても素敵です。

ピラースポークはJベント部分が2.3mmありますので強化されていると考えます。よくJベントが心配する人が多いのですが強化されているのが安心材料です。スポークが折れる原因はスポークテンションが揃っていないことがほどんどです。作り方が悪ければ折れる、作りが良ければ折れない、ただそれだけです。ストレイトプルスポークのほうが優れていると考えるのは間違いと思っています。

ニップルはピラーのDSN(ダブルスクエアニップル)です。このニップルは前からも後ろからも回すことが出来ます。特に締め増しするときに後ろから締めるのが楽です。ハイテンションになっているスポークのニップルを回すときに後ろから回すと回しやすいです。これはとても便利で扱いやすい利点となります。通常のニップルよりも高価ですが使う価値は高いと思います。

左前輪用 右後輪用 3mmオフセット

リムは31mm高のリムです。ワイドリムでチューブレスレディーです。重量は500g前後と軽いリムではありませんが剛性が高く空力の援護を得ることが出来る優秀なリムです。コスパの高いリムの代表と考えています。

後輪はセンターが3mmオフセットしていますのでスポークテンションを10%ほど高くできます。

手組ホイールの良さは体重、乗り方に、好みに合わせてリム、スポークの数、太さを変えることが出来ることです。

多スポークホイールの良さは今までの記事で何度も書いていますので参考にしていただきたいのですが一言で言いますと乗り味が柔らかいことです。

スポークが地面からの衝撃を吸収してくれますので疲れにくいホイールに出来上がります。ブルべなどの長距離を走る場合にはもってこいのホイールです。おまけにスポークが多いということは落車でスポークが折れても振れは出ますが何とか乗って帰ることが出来ますのでトラブルに強いところも利点に上げられます。

少ないスポークのホイールが今は流行りですがスポークが少ない分太いスポークを使います。どうしても硬いホイールが出来上がります。硬いホイールがいいホイールではありません。乗り方、乗る人に合ったホイールがいいホイールと考えます。

出来るだけスポークテンションを揃えています
スポークテンションんを揃えることが一番大切です

ホイールはスポークテンションを出来るだけ均一になるように、出来るだけ振れを少なくなるように調整しています。

お客様からのインプレが楽しみです。

アルミホイールがカーボンホイールに生まれ変わる

以前このブログでPR1400ホイールをカーボンホイールに組み替えを行いました記事を見つけられた方よりご連絡いただきました。

道路の不整備で落車されDTホイールを損傷されました。幸いにも大きなお怪我がなかったようですが大切なホイールは使えなくなりました。ホイールのハブ、スポークは使える状態でしたので修理できるところを探しておられたようです。当ブログにご連絡いただきました。

お送りいただきましたPR1400 リム、スポークは変形しています

DTホイールのリムは高さ21mmです。ご希望のカーボンリムは高さが25mmですのでカーボンホイールに組み替えできないかとお問い合わせをいただきました。

PR1400ホイールのハブとスポークを使う組み替えは以前このブログで発表しています。経験済みですのでお受けすることにしました。

リムは25mm高25mm幅の軽量カーボンリムを使います。スポークカットが出来る余裕があれば組み替えはできます。お客様に何とか出来るでしょうとお返事しました。

25mm高のリムで穴なしを注文しますと最初はメーカー側からの返事では通常受付していないと返事でした。販売していない理由としてリム内部の空洞が狭いためニップルが通りにくいということです。何回かメーカー側とのやり取りで受付してもらえることになりました。このリムには交渉が必要です。何度も使った経験があると連絡してリムは受付してくれました。

25mm高リム 入手に時間かかりました

リムは注文しまして約2か月手に入るのに時間がかかりました。長くお待ちいただきましたがやっとのことで手に入りました。

前述のようにこのリムはリム内部の空きが小さいのでニップルが通りにくいという難点があります。メーカー側もこのことを強調して難しいからやめたほうがいいとアドバイスしてくれましたが当方も経験済みなので何とか出来ると思っていました。

実際リムが届いてからの作業は難しかったです。リムを作る段階での作業でリム内にウレタンのような異物が残ります。今回も少し残っていたのですが幸運でした。リム内部をニップルが動く余裕が残っていました。カンカンとたたきながらニップルを通すことが出来ました。

このホイールの組み替えの課題は仮組まで無事にたどり着けるかどうかです。通常の倍くらい時間が掛かりましたが何とかできました。

整理しますと

①スポークをカーボンリム用にカットする

②ニップルを空洞の狭い穴なしリムに通す

③仮組

3つの山を越えないと作れません。

経験済みの案件でしたのでお受けしましたが難しい作業でした。

仮組が終わりましたらスポークのテンションアップです。ここまで来ますと通常の作業です。注意点はスポークテンションの値を正確にとることです。スポークは特殊なスポークなのでテンションメーターの交換表では扱いのないスポークです。予備スポークをテンション校正器で測って110kgf、130kgfの張りに対してのメーターの数値を事前に調べておきました。

スポークが交換表にないので校正器で調べてから調整行いました
テンションを揃えることが大切です
この数値は正しいかと正確に知ることが必要です

テンションメーター校正器で事前に測りましたこの数値を信じるしかないのですがスポークを握ってこれくらいでいいだろうというようないい加減な方法ではしっかりとしたホイールはできません。出来るだけ正確な数値を知っていてこそ出来る作業と思います。

この数値も完璧な絶対値ではないと思います。ただスポークを握って作る、感覚だけでの作り方ではありませんのでかなり信頼度は違います。

カーボンホイールに蘇りました
前輪631g
後輪768g
穴のないリムは剛性が強化されてテープがいらないので経済的です

リム入荷まで長い時間かかりましたが出来上がりが楽しみですとご辛抱していただきました。こちらからいつまでにリムを送ってほしいというようなことはできません。3か月以上ただ待つだけです。

やっと出来上がりましたが待っていただきました甲斐があったと思います。今回のカーボンホイールは自画自賛になりますがよくできたと思います。ホイールが蘇りました。

36mm高リムブレーキのカーボンホイール作製

このブログにご連絡いただきました。皆様最初は心配ながらのご連絡ですがご安心願います。

お客様はご自分でもホイールを作られるのですがどうも最終のテンション管理がうまくいかないということです。ご自分で作られる方は振れ取りまではみなさん出来るのですがそれからの最後の仕上げになるとうまくいかないようです。

TNIレボルーションハブ 20・24h

ハブをお送りいただきました。TNIのレボルーションハブです。当方での定番的なカーボンリムを使って作らせていただきました。

リムの高さ36㎜か46㎜か迷われたようですが使いやすくて登りにも強いホイールということで36mmリムを選ばれました。

ハブ、リムが決まればスポークはこちらで提案いたします。最近よく使うピラーのウィング21をお勧めしました。少しだけCX-RAYより重いスポークです。空力はウィング21のほうが良いといわれるのですがまあほとんど同じようなものです。わずかに重いので剛性はこちらのほうがあるでしょう。私には分からないのですがわかる人にはわかるようです。まあそれだけ微妙な違いということかもしれません。いずれにしても優秀なスポークには間違いありません。

穴はバルブ穴だけです

リムは穴なしリムを使います。これも定番です。カーボンリムはすべて穴なしリムを使っています。リムテープの運用がないためタイヤインストールが非常に楽です。クリンチャー、チューブレス、どちらも使えるリムです。ニップル穴がない分穴アリリムと比べて剛性が高いようです。

大きい差ではありませんが差があるのは確かです。

ニップル穴がないため作るのに時間が掛かりますがユーザー様にとってはこれほど良いリムはありません。注文されるお客様は皆さんこのリムを注文されるのはよくわかります。

DT SquorxProニップル

ニップルはDTのSquorxProニップルを使っています。15mmのブラスです。ねじ穴には緩み止め剤が施されています。ブラスのほうが丈夫なのでアルミは基本使いません。20gほど重くなるのですがこの差が分かる人は天才と思います。一般には1gでも軽いホイールがいいといわれるのですがこれも気持ちの問題のようです。安全性優先でブラスをお勧めしています。

ホイールの価格はブティックブランドホイールの約1/3の価格なので3セット注文された強者ライダーさんもおられます。価格は安価ですが性能は負けません。

縦ブレはほとんど真円になるくらい追い込んで作製します。横ブレもありません。カーボンリムはアルミリムのようにつなぎ目がありませんので高精度の仕上がりにできます。

ホイール組みが終わりますとストレスリリーブです。これは何回も行います。足で踏みつけるいうような荒々しい方法ではありません。単純にスポークを握る方法です。時間を開けて行うほうが良いようです。リム、スポークがなじむというか時間空けたほうがいいです。

一番良い方法は一度乗ってテンション調整することですがお客様は遠方の方が多いのでこれは難しいです。このため何度も行っています。

前後 1452g
前輪630g
前輪822g

出来上がりです。テンションデータはグラフにしましてお客様にお渡ししています。出来上がり後のメンテナンスが出来るだけいらないように作っています。しかしいつでもメンテナンスはお受けいたします。ご安心ください。