ダイナモハブ使用前輪ホイールの作製

お客様よりご連絡いただきまして台湾ハブのシャッタープレシジョンーハブを使いましてホイールを作らせていただきました。このブログに発表しています。

今回は自分用にダイナモホイールを作ることにしました。

存在感たっぶりのホイールです

とてもいい感じにできました。

ダイナモハブはドイツのSONブランドしか知らなかったですがお客様より教えていただきました。なかなかいい感じのハブです。国内では東京サンエスさんが輸入代理店です。

クロモリフレームに取り付けようと思いましてシルバーにしました。32hです。

リムはキンリンのXR31T32hです。リム高31mmで重量は500g前後で重いといえば重いのですが剛性が高く空力を得ることもできますので重量は大切な項目ですがそれだけではないと考えます。

スポークはたまたまカットしなくても良いサイズのサピムCX-RAYシルバーがありましたのでこれを使うことにしています。少しスポークに贅沢しました。

ニップルはブラスにしています。丈夫さを買っています。

ライトは手軽で安価なシマノのダイナモハブライトにしました。ライトの付属端子がJ2方式でした。ハブには接続端子E2端子がついています。J2端子は使わなかったのですがこのE2端子の接続も簡単でした。

スポークはCX-RAYですので軽量に仕上がります。弾力もありますので地面からの衝撃を吸収してくれる役割を果たしてくれます。ロングライドで疲れにくいホイールに仕上がっています。

簡単に接続端子をつなぐことができます

ブルべに使いたいということでご注文いただきましたホイールと同じように作っています。使いますライトは少しちゃちな感じですが実用品ですので私にはこれで十分です。チューブレスホイールとして使おうかなと思っています。

電池のいらないライトは便利です。毎日の通勤に使われる方ならとても有効なホイールと思います。

アルミホイールがカーボンホイールに生まれ変わる

以前このブログでPR1400ホイールをカーボンホイールに組み替えを行いました記事を見つけられた方よりご連絡いただきました。

道路の不整備で落車されDTホイールを損傷されました。幸いにも大きなお怪我がなかったようですが大切なホイールは使えなくなりました。ホイールのハブ、スポークは使える状態でしたので修理できるところを探しておられたようです。当ブログにご連絡いただきました。

お送りいただきましたPR1400 リム、スポークは変形しています

DTホイールのリムは高さ21mmです。ご希望のカーボンリムは高さが25mmですのでカーボンホイールに組み替えできないかとお問い合わせをいただきました。

PR1400ホイールのハブとスポークを使う組み替えは以前このブログで発表しています。経験済みですのでお受けすることにしました。

リムは25mm高25mm幅の軽量カーボンリムを使います。スポークカットが出来る余裕があれば組み替えはできます。お客様に何とか出来るでしょうとお返事しました。

25mm高のリムで穴なしを注文しますと最初はメーカー側からの返事では通常受付していないと返事でした。販売していない理由としてリム内部の空洞が狭いためニップルが通りにくいということです。何回かメーカー側とのやり取りで受付してもらえることになりました。このリムには交渉が必要です。何度も使った経験があると連絡してリムは受付してくれました。

25mm高リム 入手に時間かかりました

リムは注文しまして約2か月手に入るのに時間がかかりました。長くお待ちいただきましたがやっとのことで手に入りました。

前述のようにこのリムはリム内部の空きが小さいのでニップルが通りにくいという難点があります。メーカー側もこのことを強調して難しいからやめたほうがいいとアドバイスしてくれましたが当方も経験済みなので何とか出来ると思っていました。

実際リムが届いてからの作業は難しかったです。リムを作る段階での作業でリム内にウレタンのような異物が残ります。今回も少し残っていたのですが幸運でした。リム内部をニップルが動く余裕が残っていました。カンカンとたたきながらニップルを通すことが出来ました。

このホイールの組み替えの課題は仮組まで無事にたどり着けるかどうかです。通常の倍くらい時間が掛かりましたが何とかできました。

整理しますと

①スポークをカーボンリム用にカットする

②ニップルを空洞の狭い穴なしリムに通す

③仮組

3つの山を越えないと作れません。

経験済みの案件でしたのでお受けしましたが難しい作業でした。

仮組が終わりましたらスポークのテンションアップです。ここまで来ますと通常の作業です。注意点はスポークテンションの値を正確にとることです。スポークは特殊なスポークなのでテンションメーターの交換表では扱いのないスポークです。予備スポークをテンション校正器で測って110kgf、130kgfの張りに対してのメーターの数値を事前に調べておきました。

スポークが交換表にないので校正器で調べてから調整行いました
テンションを揃えることが大切です
この数値は正しいかと正確に知ることが必要です

テンションメーター校正器で事前に測りましたこの数値を信じるしかないのですがスポークを握ってこれくらいでいいだろうというようないい加減な方法ではしっかりとしたホイールはできません。出来るだけ正確な数値を知っていてこそ出来る作業と思います。

この数値も完璧な絶対値ではないと思います。ただスポークを握って作る、感覚だけでの作り方ではありませんのでかなり信頼度は違います。

カーボンホイールに蘇りました
前輪631g
後輪768g
穴のないリムは剛性が強化されてテープがいらないので経済的です

リム入荷まで長い時間かかりましたが出来上がりが楽しみですとご辛抱していただきました。こちらからいつまでにリムを送ってほしいというようなことはできません。3か月以上ただ待つだけです。

やっと出来上がりましたが待っていただきました甲斐があったと思います。今回のカーボンホイールは自画自賛になりますがよくできたと思います。ホイールが蘇りました。

キャノンデールAI-OFFSETフレーム用ホイールの調整

キャノンデールフレームのAI-OFFSETフレーム用ホイールを自作された方よりご連絡いただきました。

ご自分で作られたホイールのスポークテンションについて疑問があり調整依頼の連絡をいただきました。

キャノンデールのホームページより

AI-OFFSETフレームについてはキャノンデールのホームページで勉強できますが後輪ホイールのオフセットリムと同じ考えをフレーム側で行う方法です。

通常のホイールはギアの多段化でスポークの左右のテンション比は左側がとても緩い仕上がりになります。通常のニップル穴がセンターのリムを使う場合は左側が緩い仕上がりとなります。これを是正するには右ドライブ側スポークテンションを高く上げることで相対的に左を上げる方法やオフセットリムを使う方法が考えられます。つまりリムセンター位置をすこしずらしたリムを使う方法です。

AI-OFFSETフレーム はこのセンターをずらす方法を自転車フレーム側でずらす方法です。同じようにホイールの左右スポークテンションを出来るだけ均等になるように考えられた方法です。

キャノンデールではフレームのセンターを6mmずらしています。このずれたフレームに対応できるホイールは非ドライブ側スポークを強く引っ張って意図的にセンターを6mmずらしてホイールを作ります。

フレームが6mmずれていますのでホイール側を6mmずらしてセンターを保持するためにスポークの左右テンションは均等に近い数値となります。結果的には後輪ホイールが前輪ホイール同じような左右テンションが同じ値で作れるというやり方です。

これはうまく考えたものです。

お客様のホイールはE-bike用のホイールです。特殊なホイールですがこれからはこのようなホイールが増えてくるのは想像できます。

さてお送りいただきましたホイールはよくできていました。実用には十分のホイールです。しかしテンション調整はやはり難しく最終のチェックを依頼されました。

スポークテンションを揃えることが一番大切です。

上のグラフは届きましたホイールのテンション値です。勿論この状態で乗れるのですがスポークテンションを揃えることで振れが出にくくなりますしスポーク、リムなどの偏った部分の疲労も抑えることができます。パフォーマンスの向上です。下のグラフのように調整いたしました。

調整しましたテンショングラフです

後でインプレをいただけると思いますが乗り味は大きく変化ないと思います。ただホイールの安定維持には貢献すると思います。

AI-OFFSETフレーム対応ホイールはまだそんなに知られていませんが面白い方法です。私も大いに勉強できました。

シマノハブのクラス分けについて

シマノハブを使ってみていつも感じることを述べたいと思います。

よく使う下位グレードのシマノハブ  重いがよく回る メンテが楽

カップアンドコーンのシマノハブはとてもよくできています。ハブは下位グレードから上位グレードまで使っていて安心できます。メンテナンスを定期的に行えば何十年も使えるハブです。基本設計がよくできていますのでどのグレードもよく回ります。

こうしてみますといつもシマノハブはダイヤモンドのグレード分けと似ていると思います。

ダイヤモンドのグレードは石の中の不純物の量によってクラス分けしているのですがどのクラスのダイヤも硬さは同じです。輝き方は目を凝らしてみますと少し違いますが通常の使い方では上位クラスのダイヤも下位クラスのダイヤもよく輝きます。

これと同じ考えでシマノハブを見ますとハブの基本は同じです。外回りの化粧の仕方で変わるということになります。見た目の仕上げはクラスによって違いますので印象は大きく違い上位ハブほど高級感があります。しかし回転に関しては上位も下位クラスもよく回ります。同じと言い切るのは少し大胆と思いますが私にとりましては同じくらいの回転性能です。

ハブの中身についてですが機械もののクラス分けでは細かくグレード分けはできないと思います。同じ部品を使っていることがシマノハブデータを見ますとよくわかります。

シマノハブのカップアンドコーンはメンテがし易く長持ちです。とても優秀です。しかし少スポーク用のハブが販売されていません。シマノハブはすべて多スポークホイール用になります。この点はメーカーもよく考えています。ハブ穴は限られています。最低28穴で32,36穴と限られたハブ穴しか手に入りません。

しかしながら世の中うまく考える人がいます。完組ホイールを分解している人が多々見受けることです。シマノ下位グレードホイールのハブには少スポークのカップアンドコーンハブが使われています。これを利用するわけです。何度か注文をお受けしたことがありますが下位グレードホイールから取り外したハブを送ってこられました。

私は多スポークホイールがメインで使うホイールですのでこのような裏技は行いませんがうまく考えられたものです。

一般にはどうしても軽いホイールの目が行きます。軽いブティックブランドのハブに注目します。余裕があれば私も使いたいハブは高級ハブです。しかし実質本位で考えますとティアグラ、ソラグレードはもっと使われても良いかと思います。

下位グレードの重たい肝っ玉母さん的なシマノハブはよく働いてくれます。これをよくご存知の方は軽量台湾ハブではなくシマノハブを購入されるようです。

輪行によく使う多スポークホイール

シマノハブ、多スポークで作ったホイールは疲れにくいホイールです。長持ち、メンテが楽、疲れにくい、こんな切り口で作り上げたホイールは、軽さだけではないという別の観点からみた優秀なホイールです。

36mm高リムブレーキのカーボンホイール作製

このブログにご連絡いただきました。皆様最初は心配ながらのご連絡ですがご安心願います。

お客様はご自分でもホイールを作られるのですがどうも最終のテンション管理がうまくいかないということです。ご自分で作られる方は振れ取りまではみなさん出来るのですがそれからの最後の仕上げになるとうまくいかないようです。

TNIレボルーションハブ 20・24h

ハブをお送りいただきました。TNIのレボルーションハブです。当方での定番的なカーボンリムを使って作らせていただきました。

リムの高さ36㎜か46㎜か迷われたようですが使いやすくて登りにも強いホイールということで36mmリムを選ばれました。

ハブ、リムが決まればスポークはこちらで提案いたします。最近よく使うピラーのウィング21をお勧めしました。少しだけCX-RAYより重いスポークです。空力はウィング21のほうが良いといわれるのですがまあほとんど同じようなものです。わずかに重いので剛性はこちらのほうがあるでしょう。私には分からないのですがわかる人にはわかるようです。まあそれだけ微妙な違いということかもしれません。いずれにしても優秀なスポークには間違いありません。

穴はバルブ穴だけです

リムは穴なしリムを使います。これも定番です。カーボンリムはすべて穴なしリムを使っています。リムテープの運用がないためタイヤインストールが非常に楽です。クリンチャー、チューブレス、どちらも使えるリムです。ニップル穴がない分穴アリリムと比べて剛性が高いようです。

大きい差ではありませんが差があるのは確かです。

ニップル穴がないため作るのに時間が掛かりますがユーザー様にとってはこれほど良いリムはありません。注文されるお客様は皆さんこのリムを注文されるのはよくわかります。

DT SquorxProニップル

ニップルはDTのSquorxProニップルを使っています。15mmのブラスです。ねじ穴には緩み止め剤が施されています。ブラスのほうが丈夫なのでアルミは基本使いません。20gほど重くなるのですがこの差が分かる人は天才と思います。一般には1gでも軽いホイールがいいといわれるのですがこれも気持ちの問題のようです。安全性優先でブラスをお勧めしています。

ホイールの価格はブティックブランドホイールの約1/3の価格なので3セット注文された強者ライダーさんもおられます。価格は安価ですが性能は負けません。

縦ブレはほとんど真円になるくらい追い込んで作製します。横ブレもありません。カーボンリムはアルミリムのようにつなぎ目がありませんので高精度の仕上がりにできます。

ホイール組みが終わりますとストレスリリーブです。これは何回も行います。足で踏みつけるいうような荒々しい方法ではありません。単純にスポークを握る方法です。時間を開けて行うほうが良いようです。リム、スポークがなじむというか時間空けたほうがいいです。

一番良い方法は一度乗ってテンション調整することですがお客様は遠方の方が多いのでこれは難しいです。このため何度も行っています。

前後 1452g
前輪630g
前輪822g

出来上がりです。テンションデータはグラフにしましてお客様にお渡ししています。出来上がり後のメンテナンスが出来るだけいらないように作っています。しかしいつでもメンテナンスはお受けいたします。ご安心ください。

シマノハブデータを使う

ホイール作りにはハブ、リムは必ず実測しています。しかしシマノハブでは実測していません。ハブデータが発表されているからです。正確なので失敗したことはありません。

データはシマノホームページから得ることが出来ます。今回のハブはFH-R7070です。

以前のブログにデータの使い方を記事にしましたが今回はおさらいです。

シマノ ホームページより

一例をあげます。ハブデータにはオフセット値が記されています。

初めて見たときのこのオフセット7.45の意味が解りませんでした。じっくり見ていましてあっ!なるほどとすぐにわかりました。センター値からずれている数字です。

フランジ間の数値÷2でセンターが出ますのでこの数値からオフセット値を足せばいわけです。

フランジ間 55.7÷2=27.85

27.85+7.45=35.3

35.3この値がハブの左センター値です。

55.7-35.3=20.4

フランジ間の値からこのセンター値を引いた数字が右センター値になります。

左35.3  右20.4 

スポーク長の計算ソフトに入力すればスポーク長が得られます。最近の計算ソフトは進化していましてスポークの伸びも考慮した数値が出ます。一つのソフトを信頼するのもいいですが私は2つのソフトを使って比較しています。

出た数値が違うときがあるのですがどちらを選択するかは経験です。

TNIのワイドリムでホイール作製

お客様よりご連絡いただきました。リピーターの方です。TNIのワイドリムが手に入るのでホイール作製依頼です。

長らくTNIのリムが欠品でした。1年くらい待っていましたがトライスポーツでは輸入が始まったようです。いろいろなところから販売され始めています。これは手組ファンには朗報です。

お客様からはハブ、リムをお送りいただきました。

スポーク、ニップルは私が用意します。

ハブはシマノのティアグラ、ソラシリーズで作ります。

ホイールの組み合わせは次の通りです。

リム 前後ともに TNI AL22W 28h 後輪はオフセットリム

ハブ 前輪 シマノ ソラHB-RS300 28h

   後輪 シマノ ティアグラ FH-RS400 28h

スポーク 前輪 サピム Laser 20./1.5/2.0mm 黒

     後輪 右 サピム Laser 20./1.5/2.0mm 黒

        左 DT コンペティション 黒

ニップル ピラー DNSニップル シルバー

ハブはシマノの下位グレードハブです。前後6000円ほどで手に入ります。価格はDuraハブの1/6~1/7の値段です。では性能はどうなのかということです。個人的には同じスピードで走れると思っています。重量的にはDuraハブや台湾の軽量ハブと比べますと重いです。重いは頑丈ということができます。アルテグラハブ、105ハブとはほぼ同じです。ハブの仕上げは大きく違いますので見た目は違います。上位ハブははっきりとそれなりの存在感があります。しかし中身を実質本位で考えますとシマノの下位グレードのハブはとてもよく回ります。

シマノハブの良いところは上位も下位グレードも手抜きしていないことだと思っています。高級ハブと下級ハブではスピードが違うのかといいますと私には同じです。それは違うよという人もおられるかと思いますが私が感じるのは同じです。ただ下位グレードのハブは新品時にはハブの調整が必要のようです。ハブを育てるというか、自分の好みにアタリ調整をされたほうがいいようです。

お客様は玄人好みのプランを立てられています。

リムはコスパの良いワイドリムを選択し前後ともに28穴です。シマノハブは28穴なら販売されています。細いスポークで乗り心地をよくされています。ハブは安価でよく回るハブです。スポークはショックアブソーバーの働きをするLaserスポークと、1.5㎜の細いスポークを沢山使って乗り心地をアップしています。後輪ドライブ側には剛性を高めるために1.8mm径のスポークを使います。スポーク数が28本ありますとお客様の体重では十分剛性を得ることが出来ます。

組み立てを当方にお任せいただきました。

後輪 1015g 外周部が軽いので漕ぎ出しは軽い
スポークテンションはできるだけ均一に
前輪 774g 細いスポークで地面からの振動を吸収
スポークテンションはできるだけ均一に

スポークテンションの均一化を図りテンションのバラつき度を5%以内に収めています。

この5%以内のばらつき度を評価していただいてホイールを組める方からもご注文していただいています。ホイール作りより乗るほうが楽しい方はご連絡いただければ幸いです。

MTBホイールの作製

何度もご注文いただいていますベテランのお客様よりMTB用のホイールをご注文いただきました。

ハブ、リムはお客様よりお送りいただいています。

ハブ、リムはお送りいただきました

ご自分でも自転車、ホイールを組まれる方なのですがやはり餅は餅屋で、いつも遠方の私にご注文いただいています。ホイールはご自分で組まれた自転車で試し乗りをしていただき印象を教えていただいています。とても勉強になります。

お送りいただきました部品は次の通りです。

リム スタンス MK3アルミリム 28h

軽量リムです

ハブ シマノ Deore HB-M8110-B,FH-M8110-B   ブースターハブ 28h

ブースターハブです 大きいのにこの重量は軽量です

ハブデータはシマノホームページから取れます。ハブの実測は本来必要ですが信頼できるデータですのでシマノハブに関しては実測しなくても良いかと思います。

シマノ ホームページより
シマノ ホームページより

送られてきましたハブの回転はとても滑らかです。この滑らかさは素晴らしいとお客様に連絡しますと同じお考えでした。シマノハブはカップアンドコーンなので自分でアタリを調整できます。別の言い方で育てる感じです。グリスの具合やナットの締め具合すべて個人で行えます。そんなに難しくありません。下位グレードのハブになりますと自分の好みにする手間が結構いるのですが今回のハブでは全く必要ありません。最初から大人で来ました。フリーの回転も素敵です。

リムもデータが発表されています。しかしリムには実測が必要です。

リムは実測が必要です ERD605mmですが実際は違います

ホームページでの発表データではERDは605です。リムにもそう記されています。しかし実測では610mmでした。5mm違いますので605でスポークを準備しますとまた買いなおさなければなりません。手間を惜しまなければ無駄な出費はありません。

スポーク、ニップルはこちらで用意します。すべてお任せいただきました。

スポーク コンペティション 2.0/1.8/2.0mm シルバー

ニップル ピラーDNS ブラス シルバー

この部品で組みます。

リムはとても軽量です。スポークはDTコンペティションのクロス組です。

スポークテンションを出来るだけ揃えて振れを最小に仕上げます。

ストレスリリーブを何度も行います。時間をあけて行うほうが逆に効率が良いようです。

試し乗り後に最終テンション調整ができれば一番いいのですがお客様は遠方ですのでそうもいきません。

このため何度もストレス取りを行っています。この手間を惜しむとダメ・ホイールです。何回か行いますとスポークに力を加えてもテンションが変化しなくなります。この状態になるまで行うことがコツといえます。考えてみれば当たり前のことですが多くのビルダーさんは不十分なようです。

前輪 731g
出来るだけスポークは均一に張ります
後輪 883g
ドライブ側は120~130kgfで均一に張ります

出来上がりは前輪731g、後輪883gとても軽量です。合計1614gと軽量です。リム367gと外周部が軽いので漕ぎ出しは軽いです。急な発進が頻発するMTBにはぴったりです。 また感想を教えていただけると思います。楽しみです。

お客様をご紹介いただきました

昨年カーボンホイールをお納めしましたお客様のご友人からこのブログにご連絡いただきました。

トライアスリート仲間からの紹介してもらいましたということです。

そうです、お客様はトライアスロンをなさっています。トライアスロンですので平地がメインですが登りもお好きで平地と登り半々でトレーニングされているようです。

いいホイールを提案してほしいということでしたのでまずは当方の定番ホイールを紹介しました。

36mm高と46mm高、幅はどちらも28mm幅の穴なしリムを使ったディスクホイールです。この2種類は定番的なホイールです。スポーク、ハブの選択で値段は変わってくるのですが一番のお勧めはTNIのREVOハブを使いスポークはピラーのウィング21で組み上げるホイールです。ニップルはブラスです。

以下の組み合わせです。

定番ディスクホイールです

28mm幅46mm高 穴なしはー本リム 24穴

ハブ TNI REVOハブ

スポーク  ピラーウィング21 黒

ニップル DT Squorxpro ブラス 黒

出来上がりは前輪704g、後輪828g 前後1532g 

とても軽量に仕上がりました。

出来るだけ均一にスポークを張っています
できるだけ均一にスポークを張っています

スポークテンションはできるだけ均一に張っています。振れ取りは最小になるように仕上げています。振れ取り台のメーターで見ますとプラスマイナス0.1mm前後のフレで仕上げていますのでほぼ真円に近い仕上がりです。

手組ホイールでは使うスポークの特徴が分かっていますので剛性が足りなければスポークを太くして剛性を上げることが出来ます。

力のある人、体重のある人が乗りますとブレーキがこすれたりします。これはホイールの剛性不足が原因です。こんな時スポークの太さをければホイールの剛性が上がります。

前輪も同じことですが剛性が足りなければまずは後輪右スポークを少し太くします。

左右サピムのCX-RAYなら右ドライブ側スポークをCX-Sprint、DTならエアロコンプに交換です。ほんの数グラムの違いですが間違いなくホイールの剛性は上がります。

まだ足りない場合はCX-RAYすべてを取り換えて左右CX-Sprintかエアロコンプに交換です。まだ足りない場合コンペティションに交換すればよいかと思います。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。ホイール全体から見ますと10g~20gの増加で剛性は大きく変わるわけです。

トライアスリートの客様にはこのことをご説明しています。

手組ホイールの良さはお客様の体重、乗り方にあわせて組み上げていくことが出来ます。完組のブティックブランドホイールは幅広いお客様を相手に作り上げたホイールです。誰も欲しがるホイールですが乗り手にぴったり合っているかはわかりません。ホイールには相性があります。高いホイールがすべていいホイールではありません。高価なホイールが乗り手に合っていなければ単に疲れるホイールといえます。

誰もがレースに出るわけではありません。レースに出ない人にはレース向きのホイールはアンマッチかもしれません。こんなことを考えながら組んでいくのが手組ホイールと思っています。

チューブラーホイール、前輪から音が出る

昨年末にお納めしましたお客様よりお尋ねのご連絡をいただきました。ベテランライダーのお客様ですが初めてチューブラーホイールを試されました。

下記のような内容です。

チューブラーホイールで約2000キロ走りました。乗り心地が良く疲労が少なくて快適に乗れています。
相談ですが
ここ3回位100キロを超えるとフロントホイールから異音が発生します。
変速機の整備不良でチェーンがスプロケットに擦れているような音がします。
実際最初は変速機が原因だと思い色々やったくらいです。
音は走行中に発生します。

止まっている時に前輪を持ち上げて手で
回しても綺麗に回ります。
走行中にペタルを止めても音がします。
前輪を逆に付けると治ります。
音はどんどん大きくなってきています。
素人考えだと前輪のベアリングが原因ではないかと思います。
恐れ入りますが御返答お願い致します。

ベアリングが不良品であったかもわかりません。取り敢えずべリングを交換しますということでお送りいただきました。

バルブホールのテープ処理がされていません  音の原因でした

ホイールが届きましてすぐにスポークテンションを見ました。ほとんど変化していません。1っか所だけ調整しましたがほぼさわらなくても良い状態でした。

ホイールを軽く回ししました。特別以上はありません。ふと、バルブ部分を見ますとタイヤをバルブ穴に通したままでした。

これを見て音が鳴る理由が分かりました。

チューブラータイヤではテープ、セメント2種類インストールの方法があります。どちらの方法でもバルブをネジで固定しないタイヤの場合タイヤインストールが終わるとバルブをしっかり固定する必要があります。

バルブを固定していないとホイールが回っている間にタイヤがほんのわずかですがずれを起こしてしまいます。距離を走ると回転でタイヤに熱を持つのでしょう。接着面が柔らかくなりタイヤがほんのわずかですが動いてしまいます。

こういう状態になりますとわずかですがタイヤがずれます。バルブとアルミバルブ穴がこすれて音がするわけです。走っている間一定の間隔で音がするなら確実に変な音の原因はこれです。

対処方法は?

テープに切り込みを入れます
バルブにテープを通します
クロスして2枚張ると完璧です

バルブを固定することです。方法はテープを使って固定します。絶縁テープを使って写真のようにテープに小さな切込みを入れ、タイヤバルブに通してリムに固定するのです。2枚テープを用意してx印で貼ると効果的です。

テープを貼って固定しました

処理が終わりお客様にはベアリング交換しないでお返ししました。ご連絡いただいたときにすぐに対処方法をお知らせすることが出来ればよかったのですが今回はできませんでした。反省点です。

チューブラータイヤが初めてのお客様はこれで一つマスターされました。誰でも最初は初心者です。ベテランライダーさんでも皆さんスタートは一緒です。ご参考になれば幸いです。