今回もお持ち込みでホイールの作製依頼です。ハブとリムをお送りいただきました。
ハブはシマノハブを使います。前輪はアルテグラのHB-5800、後輪はFH-6600と旧タイプのディスコンハブです。無理やり新旧に分けていますがハブ性能はとても優秀です。シマノハブの良いところは定期的なメンテをすれば20年でも30年でも使えるところがいいです。
今回のハブは再利用ですが丁寧にメンテされていますので回転がとても滑らかです。上手に育てたハブといった感じです。メンテを欠かさなければいつまでも良好な性能を維持できるところがシマノハブの優れたところと思います。部品供給も長くあるのでこの点でも良いところと思います。
ハブの重量を測ってみました。前後で約500gと重いのですがホイール中心部の重さなので回転には影響しません。重いは丈夫ということがいえます。よく「軽さは正義」という人がいますが軽さだけが良い製品の基準ではないことがよくわります。
リムはマビックのリフレックスです。現行ではマビックオープンプロ・チューブラーとなっています。新品のリムをお送りいただきましたので長く保管されていたのでしょう。
今はチューブラーリムの選択肢は少ないのが現状です。アルミリムではクリンチャーホイールばかりなのでチューブラーホイールが手に入りません。手組するしかないのですがチューブラーの良さをもっと知っていただきたいものです。
リム重量はとても軽量です。リムにタイヤを貼り付けるのでクリンチャーホイールのようにビードが影響してのスポークテンションダウンはありません。ホイールの性能はそのまま反映します。これもチューブラーホイールの良いところです。
チューブラータイヤの選択肢も少なくなっていますがプロ選手はチューブラーホイールを使う人が多いです。それだけチューブラーホイールには安心感があるということだと思います。クリンチャーホイール全盛ですがきらっと光る長所の多いのがチューブラーホイールです。
前輪にはスポークは1.5mm径のDTレボリューションスポークを使っています。今回のように32本使う多スポークホイールには細いスポークを使えばスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれますので乗り心地が優しくなります。疲れにくいホイールが出来ます。
後輪は右ドライブ側にDTコンペティション左にレボリューションの組み合わせです。右ドライブ側を太くして剛性を上げています。ホイールの剛性はスポークの総面積に比例しますので左右スポークの太さを変えてスポークの総面積を増やしています。
ニップルはSquorxProブラスを使っています。アルミニップルは強化されて丈夫ですがブラスと同じ強度ではありません。より安全なほうを選ぶということでブラスを使っています。
軽量で強度の高いレボリューションは利点の多いスポークです。このスポークを使うにあたりあまり知られていない注意点があります。
中央部が1.5㎜と細いので取り扱いが難しく、ねじれ易いスポークです。テンションを上げるにつれてスポークがねじれますので、このねじれを防ぎながらテンションを上げることが大切です。もう一点このスポークにはカットできる余裕がありません。スポーク長計算で失敗してもカットすればよいということはできません。しっかりと計算してスポーク長を出さないといけません。
ホイール重量は前後で1707gですがホイールの外周部は非常に軽量です。スポークは細いスポークを使っていますので地面からの衝撃を吸収してくれます。つまり疲れにくいホイールです。今ではなかなか手に入らないチューブラーホイールですが部品を組み合わせて作り上げる手組ホイールなら大丈夫です。乗り心地の良い、乗って楽しいホイールが完成しました。