自慢話になりますが…

ホイールをお納めしたお客様よりお電話いただきました。スポーク組み換えのご依頼です。

お客様はこのブログをお読み頂いているようです。

皆さん褒められていますね、あかんという人いないですね。」という話になりました。

そうなんです、皆さん気に入っていただいています。」とお答えしました。

お客様はボントレガーのカーボンホイールもお持ちですが比較すると私のお納めしたほうが良く走るというお答えです。

スポークのテンションが揃っていることが大切です。おそらくこれが原因と思います。揃っていないと力が逃げる、踏み込んだ力はどのスポークにも同じ力が加わりますがスポークテンションが揃っていなければ加わる力にロスが生じます。

このようなお話でご納得いただきました。

カーボンホイール 
前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

特別な材料を使っているわけではありません。体重に応じてスポーク数を調整してテンションをできるだけ均一に仕上げる。これだけです。

文章で書けば一行です。スポークテンションを揃えば良いホイールが出来ます。

ベテランライダー様よりご連絡いただきました

今まで2セットご注文いただきましたベテランライダー様よりご連絡いただきました。400kmのブルべに参加されたご友人の話です。

シャマル ミレ カンパニョーロHPより

400kmを無事完走されたのですがこの時はシャマルミレで走られたそうです。無事終わられたのですがシャマルの乗り心地の悪さが理由でホイールをゾンダに買い替えられたそうです。

ゾンダの倍以上もするシャマルですが硬すぎて乗り心地は最悪であったらしいです。

ホイールはいろいろ性格があります。乗り手の力量、体重、乗られる方の好みいろいろです。

一般にはブランドのホイールは評価がたくさん集まっていますのでこれらの情報を参考にすると選びやすいです。

今回のシャマルご使用のライダーさんはアルミスポークが硬すぎてご自身には全く合っていなかったようです。どんな評価を参考にされて購入されたかわかりません。おそらくシャマルは走るというたくさんの評価を参考にされたのでしょう。しかし実際ロングライドで使ってみると最悪でした。

いろんなサイトの評価の星数を数えて買ってもぴったりのホイールを見つけることは難しいようです。

シャマルの悪口のようになりましたがシャマル自体はとても優秀なホイールです。誤解のないようにお願いいたします。

セラミックベアリング、アルミスポーク、特製ハブとモダンホイールの代表的なホイールですがベテランライダーさんが乗られても相性が悪かったらどうしようもありません。

お値段と評価が正比例しないのがホイールのようです。

2セットご注文頂きました中の多スポークホイール

最後に少し宣伝です。今回の話をしていただいたベテランライダー様はお納めしましたホイール2セットをとても気に入っていただきました。現在お持ちのユーラスに負けていないとほめていただいています。お墨付きをいただいたようでほかのお客様にも自信をもってお勧めしています。

ゾンダハブは重かった

ゾンダ後輪ホイール分解の記事を書きました。正直言いましてハブは意外と重かったのです。

以前ゾンダを購入しました時の記事を書きましたがこの時は分解しないで台湾ハブとほぼ同じ重量で計算しましてリム重量を算出しました。ざっくりリムは500g前後だろうという記事ですがリム重量はほぼ合っていました。

ゾンダ 後輪ハブ

驚いたのはハブの重量です。軽量しますと293gと予想外に重かったのです。ノバテック、バイテックスなどの台湾製ハブは

バイテックス 231g

おおよそ230g前後ですのでゾンダハブの重さはびっくりしました。

 

よく使うハブの中で重いハブはシマノハブです。ミケハブもよく使います。シマノハブは360gほどあります。ミケは295gと重量があります。

ミケハブ 295g

シマノハブ 365g

今まで重いハブですがという枕詞付きで説明していましたハブですがなんとなく援護射撃を得た感じがあります。軽いに越したことはありませんが重いハブもいいものです。気にしないで使いましょう。

 

アルミホイールのベンチマークと言われるカンパのゾンダハブは軽いハブではない。つまり中心部の重量は回転には大して影響していないと考えます。もちろん車のばね下理論と同じ考えでホイールが軽いことはいいのでしょうが必ずしも軽いホイールは走るホイールではないということが言えるのではないかと思います。ゾンダのハブは重い。この事実はとてもインパクトあります。

重い前輪ハブ

軽量ハブはよく使っています。台湾製のノバテックA291SBです。20穴がメインでよく使います。重量も60gですのでとても軽くベアリングは699規格です。ベアリング取り換えも簡単にできます。高級ハブではありませんが安かろう悪かろうではありません。品質はとてもいいハブです。

ノバテック A291SB 20h 60g

普段は上記のような軽量ハブに目が行きますが少し重いハブもとても良いところがあります。ホイール総重量は増えますがホイール中心部の重さです。回転には影響しません。丈夫さ、回転重視で考えますと120g~150gのハブには良い点がたくさんあります。

ミケ 132g

例えばミケハブを見てみます。ハブの重量は132gです。結構重いのですが、重い=丈夫ということです。ハブシェルが強固と考えることができます。そしてベアリングは6001の大きなベアリングです。サイズが大きいので回転は安定しています。とても使いやすいハブです。

シマノ アルテグラHB-6700 18h

次はシマノハブです。写真は18穴のアルテグラハブです。156gあります。現在は販売されていません。このハブは特殊ですが一般に購入できるハブは32穴、36穴の105,アルテグラ、ティアグラです。穴数が多いハブしかありません。ティアグラハブだけは28穴が販売されています。一番よく使われる20穴は販売されていません。とても残念ですがシマノさんの戦略ですので仕方ありません。

多スポークホイールにはこのシマノハブは一押しです。シマノのカップアンドコーンハブは自分で容易くメンテができるように設計されています。グリスアップの手入れさえまめに行えば本当に長く使えます。

BITEX RAF16 120g

RAF16  6000ベアリング使用

台湾ハブにも重いが丈夫なハブがあります。バイテックスのRAF16です。120gと重いのですがこのハブも丈夫です。重いが丈夫、ベアリングが大きい、利点が沢山あります。ベアリングの交換は楽です。ベアリングは6000と大きく、丈夫なベアリングのため交換はあまり必要ないです。そして交換の時はNTNの非接触型にすれば最強ハブに変身します。

 

どうしても軽いホイールを求めると敬遠しがちな重いハブですが使ってみると別の良さを発見します。重いハブはおススメです。

32h多スポークホイールのインプレをいただきました

以前ブログで紹介しましたお客様よりお納めしましたホイールの印象をお送りいただきました。ブルべなどのロングライドに適したホイールをご希望でした。ホイールの内容は前の記事をご参考願います。

 

以下インプレです。

後輪1080g

後輪スポークテンショングラフ

前輪836g

前輪スポークテンショングラフ

 

少し乗り込んだので感想を。

まずは部品持ち込みですが快く組んでいただきありがとうございます。
予定していたブルベ が開催中止になってしまいましたが、合計500kmくらいは走ったので感想を少し。

ピストバイクで手組みホイールは数セット所有していますが、届いて触った瞬間に良いなって感じました。やはりスポークテンションの均一化のおかげですね、ニギニギするとよくわかります。

 

早速タイヤを組んでみますが思ったより重いです。

たぶんハブの重さでしょうが走ると全然気にならないです、加速の軽さは無いですが、自分の狙っていた25〜30kmくらいのブルベ走りにドンピシャでした。以前使っていた軽量ホイールは速度維持がピーキーでちょっと疲れました。
そして登りが意外にも掛かります。これは驚きました。多スポークが効いているのでしょうか、何か路面を蹴る感じが細かい?グリップ感が高い?感じです。いつもの坂もタイムはほとんど変わらなく登れました。
32h のホイールを検討しているのであればお勧めですよ!そしてフロントクロス組の乗り心地は最高です。

大したインプレッションじゃないですが感じは伝わりましたか?
ホイールすごく調子よいです。また組んでもらいたいので貯金して妄想してますw

 

 

多スポークホイールはクラシックな姿ですので今販売されている完組ホイールにはほとんどありません。大方は手組の注文ホイールになると思います。

 

長い時間自転車に乗っていますと地面からの振動がハンドルに伝わります。この振動が原因で疲れてしまったという経験をお持ちの方は沢山おられると思います。

最近のホイールは少ないスポークでキンキンのハイテンションに仕上げています。スポークが多いとショックアブソーバーの働きをしますが少スポークではそのような機能は少ないようです。

少しでも早く走りたい人には空気抵抗が少ないことが大きな要素となりますがブルべのようなロングライドをしたい方には疲れにくいホイールというほうに優先順位が高くなると思います。

 

多スポークホイールを見直していただきたいものです。通常のレースとは違った楽しみ方で自転車に乗られている方はとても多いと思います。今回のインプレはとても参考になります。

イネオスはリムブレーキ

毎日ジロデイタリアを楽しんでいます。じっくり各チームのバイクを見ていますとほとんどのチームはディスクブレーキを採用しています。メーカーから提供されていますので各チーム、選手は好みを通すわけにはいかないのでしょう。

じっくり見ますとリムブレーキです

解説を聞いていますとイネオスはリムブレーキだそうです。これを聞いてからじっくりバイクを観察していますと果たしてイネオスはリムブレーキでした。

 

レースに於いてディスクブレーキにするとタイヤ交換には時間が掛かります。このためサポートの車には交換用の自転車を積んで走っていますがただこれなら1回だけの交換できても連続してトラブった場合はほかの選手の自転車を借りるなど違う方法で対処しなくてはなりません。このように一般にはディスクブレーキの対応には時間が掛かります。

 

その点リムブレーキではパンクしてもホイールだけを交換すればよく、時間はかかりません。1秒を争う場合これは大きな利点です。予備ホイールも沢山準備できます。サポート陣には大きなメリットがあります。

 

イネオスはこのようなディスクブレーキのデメリットとリムブレーキのデメリットを十分検討してリムブレーキを採用していると考えます。マージナルゲインを積み上げて勝利を獲得するイネオスの考え方は見上げたものです。

 

勝手な想像ですがホイールメーカーがディスクホイールのシステムで使ってくだいといってきてもチームの考え方はリムブレーキのほうが有利ですということで断っているのかもしれません。イネオスは宣伝効果を期待するメーカーの申し出を断っているのでしょう。勝利のためにはリムブレーキのほうにメリットがあると考えているのでしょう。これはあくまでも私見です。

 

私の素人考えですが科学的手法でチーム運営するイネオスには感心することが多いです。もちろんほかのプロチームも同様に行っていると思いますがイネオスは際立っている感があり改めて見直しました。

 

私はただただ経済的な理由でリムブレーキを使っています。時代に追いつけるようにしたいです。

なじみだし4回目

今ご注文のホイールの作製中です。いつも何気なしにホイールを完成して一日置いて再調整していました。精度の高いホイールを仕上げることとして大切な手順です。

 

なじみだしはどのくらい必要かを考えました。海外ではなじみだしのことをストレスリリーブといっています。

 

ホイールを一日置いて仕上げることは昔から言われていることのようです。ビルダーの経験則から出たのでしょう。自転車屋さんはとても閉鎖的で技術というほどのものでないことでもあまり人には言いたがりません。もちろん当たり前のことでしょう。長年いろいろ試行錯誤しながら会得していくものですから言いたくないのはわかります。

 

さて3回目のなじみだし後にとったテンショングラフと4回目にとったテンショングラフを比べてみます。

なじみだし3回後のスポークテンショングラフ

なじみだし4回後のスポークテンショングラフ

ほとんど変わりません。

今までの経験から行うホイールのなじみだしですが3回やればとても効果があるようです。

手の感覚について

ディスクホイールを作製していました。

RR421リムで作製

リムはDTのRR421ディスクリムです。ワイドリムで軽量ながら剛性も期待できる優秀なリムと思います。

フロントホイールを作っている途中でなんとなく1本スポークが違うなと思っていました。

 

スポークはピラーのTB2015というトリプルバテッドスポーク(2.2/1.5/2.0mm)を使っています。スポークカットを行った時点ではいつもの通り計算したスポーク長にカットしてニップルにグリスを塗りながら作業を進めました。

 

仮組が終わった時点ではわからなかったのですがスポークテンションを上げている時にわかりました。やはり1本太さが違うのです。どうもおかしいのでノギスで測りますと太さが1.8mmあります。どうもピラースポークのストックの中に1本紛れ込んだのでしょう。スポークカット前の時は長さがほぼ同じでわかりませんでした。いつ紛れ込んだのかわかりません。

上DTスポーク 下ピラースポーク

点検しますとスポークのマークが違いました。やはり違っています。スポークはDTのコンペティション(2.0/1.8/2.0mm)でした。長年スポークをさわっていますと感覚でわかるようになってきました。

 

ではスポークテンションはどうでしょう。

 

このホイールですがスポークの違いはすぐに分かるのですがスポークテンションはなかなかさわってもわかりません。私には感知しにくいです。

スポークテンションを上げて振れも全くないホイールに仕上げましたがスポークのテンションを調べると全く揃っていませんでした。

強弱、強弱と各スポークがバランスとりながら仕上がります。振れはきれいに取れています。

スポークを握ってテンションの違いはよくわかりませんのでテンションメーターを信頼して作ることにしています。もちろんある程度違いはわかるのですが細かい絶対値となるとスポークを握っただけではわかりません。校正したテンションメーターが頼りです。

ゾンダ後輪を分解

ゾンダ後輪を分解しました。

注意点はハブねじに逆ねじ部分があることです。ゾンダのハブ分解を説明しているYouTubeを参考にすると良いかもしれません。

私はカンパニョーロのホームページを開いてサポートページからハブの解説を読んで勉強しました。図解で説明していますのでわかりやすいです。

ハブは壊れにくい構造です。つまりとても簡素な作りをしています。仕組みさえわかればハブの手入れは難しくありません。カップアンドコーンのハブは基本的にはユーザーが手入れをするように考えられていると思います。

もちろんシールドベアリングを使ったハブも構造はとても簡単にできていますのでベアリングの取り換えもそんなに難しいものではありません。

 

ハブは壊れないように作られています。構造は簡単です。

 

しかし往々にしてハブのねじは固着していることが多いです。ホイールはバイスの上に載せて5mmのレンチには延長補助パイプを使って回すことにしました。

このパイプは建材の部品に適当なパイプがあったので30cmほどの長さに切って使っています。てこの原理でやれば力はいりません。

 

さて、ゾンダですが分解しましてよくわかりました。

491g アルミで剛性を得るには必要な重さ

293g 意外と重い

扁平スポーク使用21本で117g

21個で19g ブラスです

表にしました。

 

  重量(g) 数量 単品重量(g)
リム 491 1 491
ハブ 293 1 293
スポーク 117 21 5.6
ニップル 19 21 0.9

 

ここで注目点をあげてみます。

 

①リムは結構重いです。リムの剛性を考えますとアルミリムの場合500gほどあっても仕方ないことで軽いのに越したことはありませんがある程度の重量は仕方ないと思われます。知り合いにゾンダは軽いので漕ぎ出しが軽いといっていた人がいますがこれはプラシーボ効果ではないでしょうか。

 

②カップアンドコーンのハブを使用しています。重量は重いです。もう少し軽いと思っていましたが意外でした。シマノのハブは350gほどありますが中心部の重量ですので軽さばかりが気になる人にはいい情報と思います。

 

③スポークは約6gの扁平スポークです。まあ普通です。

 

④ニップルはブラスです。私はアルミニップルを使用するのをやめました。お客様が希望されるときは使いますが基本は扱いません。丈夫さを考えますとやはりブラスです。

 

アルミホイールの指標となるゾンダは意外と重かった、こんな印象です。つまりアルミホイールでは剛性を得るにはそれなりの重量が必要です。素材の特性で仕方ありません。

穴なしリム使用

穴なしリム使用し、ニップル穴部分の厚みを取って強度を高めています。これらは剛性に影響していると思います。アルミリムの弱い部分を工夫して補っています。また、このリムはオフセットリムではありません。このため11速で左スポークのスポークテンションを高めるためには2:1組を採用しています。

2:1組で非ドライブ側のスポークテンションを高くすることができるのでフランジ幅は広くとっています。支え棒のように横剛性を高めています。本当によく考えられた設計です。詳しく見ますとさすがカンパニョーロと思います。

 

ホイール作りに参考になることが多くありました。ゾンダのハブは重いのです。ホイールは自動車のばね下と同じと考えで軽いほうが良いのでしょうがアルミの場合は適度な剛性を得るには重量は覚悟をしないといけないようです。

25㎜高カーボンホイールのインプレ送っていただきました

カーボンホイールをご注文いただきましたお客様よりホイールのインプレをお送りいただきました。お客様は昨年アルミホイールをご注文いただいています。的確に印象を述べていただいていますのでカーボンホイールを作られる方には参考になると思います。

以下全文です。

今回製作していただいたホイールのインプレを送らせていただきます。

タイヤ:コンチネンタル グランプリ無印25C
チューブ:軽量ブチルチューブ
空気圧:F:88psi R:90psi
乗り手の体重:65キロ(例年のこの時期より5キロほど重いです……)

タイヤ、チューブ、空気圧は比較対照の46ミリカーボンホイールと同じ条件にしています。

まずメインターゲットの登り区間ですが、リムの軽さとスポークテンションのバランスの良さからシッティング、ダンシング共に軽快です。リムハイトが低いので横剛性が気になるところですが斜度10%付近でダンシングをしてもよれる感じは全くなくシュータッチもありませんでした。

次にアップダウン区間では登りの軽さもさることながら下りがスムーズでスルスル加速していく感じが強いです。また、ブレーキもしっかり効くので不安なく乗ることができます。

リムハイトが低いため平地がどうなのかというところですが、私の脚力では46ミリハイトと違いを感じませんでした。

ちょっと気になる点としては横風の影響でしょうか。山形の庄内地方は5メートル前後の風が吹くことが多く、今日も横風だったのですが比較対照の46ミリハイトよりも風を受けやすい印象でした。リムの軽さによるところがあるかもしれません。

全体的に私のイメージしたホイールになったと思います。平地、山岳関係なくこのホイールで行けそうです。

ひとまず使ってみた印象はこのような感じです。
また暫く乗ったらメールさせていただきます。

このように実際に使われている方のお話はとてもありがたいことで参考になります。写真も一緒にお送りいただき、楽しさが伝わってきます。私の仕事にとってもうれしいことですが、何よりも喜んでいただいていますことが一番励みになります。