以前キンリンXR31T・RTリムで作ったホイールをお納めした方よりホイールの修理依頼を受けました。
中華カーボンホイールを購入されるときの注意点として情報をシェアしてもよろしいですかとお尋ねしましたら承諾を得ましたのでご紹介したいと思います。
すべての中華カーボンホイールに当てはまる話ではありませんが参考になると思います。
前輪スポークテンショングラフ
振れはないのですがとても緩いスポークテンションです。
できればこんな感じにしてほしいです
後輪スポークテンショングラフ
メーターの数値が低いのでグラフにできません。左赤い部分です。
びっくりの中華カーボンホイールです。
オーナー様より許可いただいているのですがなかなか紹介しにくいホイールです。けなしすぎるのもなんだかなぁと思ってしまいます。
しかし情報は正しくあるべきです。
このディスクカーボンホイールはとても安価らしく値段に魅了されて購入されたようです。ホイールはとてもきれいな状態です。購入してしばらく使っているうちにスポークが飛んだということです。本当にお怪我がなくて良かったです。
ホイールを点検いたしますと確かに一か所ニップルが取れています。ニップルが緩んでリムの中でコロコロしていたとのことでした。
ホイールの見ためはとてもいいと思います。
まずリムはリムブレーキ用のリムを使われています。別にこれがいけないことではありません。リムブレーキ用のリムはディスクにも使えますので量産効果はあります。これもいいかなと思ってしまいます。
ハブはノバテックのハブを使っています。メーカー品です。スポークはサピムの扁平スポーク、ニップルも通常のアルミニップルを使われています。しっかり作ればいいホイールです。
いちばん気になるところはスポークテンションが超緩いということです。一般的なホイールスポークテンションの約半分のテンションで張られています。極端に言えばホイールの振れを取るだけのことを考えて作られたホイールです。
前輪はスポークが飛んでいませんのでよくわかるのですが縦ブレ横ブレを取るだけを考えて作られたホイールです。兎に角緩いです。均等にスポークを張らなくてもホイールの振れは取れるということを表してくれたホイールです。それにスポークが少し長いのでテンションを上げるとスポークが突き出てしまいます。適正なテンションにするには少し長いようです。
再調整には部材はそのまま使えます。
次にニップルが外れたことについてお話いたします。
各スポークのテンションを測りますと通常の半分ですのでタイヤをはめますとそこから10%ほど下がります。
ニップルが外れたときはホイールのスポークはゆるゆる状態でした。お預かりの後輪スポークは右が平均60kgfほどで左が平均40kgfで引っ張っていましたのでタイヤをはめて10%ほど下がりますので左が35kgfくらいで引っ張っていたことになります。
この引っ張りの数字は平均値ですので何本かは超ゆるゆるのスポークがありました。ニップルが外れたスポークはこのゆるゆるスポークでした。一般には緩いスポークは折れるのですが折れずにニップルが緩んで取れたということでした。何度も申し上げますがお怪我がなくて良かったです。
お預かりのホイールは「見た目ではわからない」いいお手本のようなホイールでした。状況を説明しましたらオーナー様より連絡があり組み立て直しで再調整することになりました。
いわゆる中華カーボンホイールは玉石混交と思います。手に入れられましたらまず先にスポークテンションを測ってみるのがよいかと思います。ご自分で、もしくは自転車屋さんで再調整できる環境のお持ちの方なら買われてもよいかと思います。調整できない方には安物買いの***になりかねません。