ホイール作り始める前のルーティン

私の使っているテンションメーターはパークツールのTM-1も使いますがデジタルメーターを主に使っています。

どのテンションメーターも換算表がありますがその換算表を見る前にメーターが正しい数値を出すメーターなのかをチェックしています。

私のメーターは2mmの丸スポークを100kgfで引っ張ると0.33mmの数値が出ます。これだけのチェックですがメーターは使えると確認しています。この校正器は足元に置いていますのでいつでも調べることができます。

ホイール作業のルーティンとしています。テンションメーターを使っていますとやはり経年変化はあるだろうと思いますので気を付けています。

 

スポークを握ってわかるような神の手を持っていませんので売り物のホイールを作っているものとしてキャリブレーションは欠かせません。

出来の悪いホイール

10年以上前に作ったホイールを今でも使っています。しかしこのホイールは失敗作です。以前のブログ記事で紹介しました「失敗作でもよく走る」のですが大きな失敗をしています。

①スポークをリムに通すときの第一スポークを間違う。

第一スポークの間違い
短いスポークでねじ山が見える
スポークが短い

②アルミニップルの使い方

③スポーク長の出し方

①はスポークを一番目に通す穴を間違えると位相がかわりバルブ穴の位置が変わります。最初にスポークをバルブ穴に通すとき注意が必要です。

②と③はスポーク長の問題です。

スポークは2つの計算ソフトを使って計算していました。スポカルクとDTの計算ソフトです。当時の計算ソフトはスポークの太さまで考えて答えが出るのではありません。また私はリムのERDを出す方法でもいい加減でした。

ERDはカタログやネットで発表されている数値を使っていました。これは実際に測ることがいちばんです。アルミリムは製品のロットごとに微妙に寸法が違っています。カタログの数値は違うことが多いです。

次の間違いは出した寸法の切り上げ、切り捨てです。長さの小数点まで寸法は出ますので切り上げか切る捨てでスポークの長さは大きく変わってきます。そのうえ販売されているスポークは長さが286cm,288cmのように偶数単位でしたので奇数の場合困ったものです。なかなかニップルの頭ギリギリで納めることができなかったのも事実です。

私は高価なホイールよりもスポークカッターのほうが欲しかったのでスポークカッターは割と早く購入しました。このためスポーク長の失敗は少なくなりました。しかし今でもホイール作りの中では難しいポイントと考えています。

 

結論を申しますとスポーク長は切り上げです。長めの寸法が良いと思います。もちろん長すぎてもだめです。

ねじ山が見えるくらい短いスポークで作りますとホイールとして使えますがニップルが飛ぶかもしれないリスクが生じます。

10年以上前に手組ホイールしていますと大見得の自称メカニックさんにホイールお願いしたことがあります。出来上がったホイールはスポークのねじ山が見えるホイールでした。この時は何も知らずに喜んで持ち帰ったのです。ホイールのことを深く知るようになった今は『あの時はあほやってんな(関西の人はこういいます)』と思い出します。

 

短いスポークにアルミニップルを使いますとニップルの頭が飛ぶことがあります。もちろんアルミでなくブラスでも起こることがありますがアルミのほうが頻度は高いです。こんなとき長めの寸法でニップルから突き出ていてもこのほうがいいのです。突き出たら失敗ではありません。スポークが短いのが失敗作です。

写真のホイールは今もよく使っています。売り物ではありませんのでタイヤ取り換えたときにスポークのテンションを再調整し、振れ取りを行っています。出来が悪いのですがよく回るので承知で使っています。しかしホイールは一番大切なところですので近々に組み替えようと思っています。

カーボンホイールにタイヤをインストール

LightBicycelのカーボンリムを使ってチューブレスホイールを作製しました。

リムは46mmハイトです。フロント18hリア28h、ハブはDURA9000を使用しています。

今回は後輪ホイールのことをお話します。

 

ホイールリム内側にはニップル穴のないリムを使用しています。

穴があるのはバルブ穴だけです。このためチューブレスタイヤに使うテープは要りません。55mmのバルブをセットしましてタイヤをインストールしました。

タイヤはIRCのフォーミュラーライト25cです。石ケン水を使っています。私は力がないので専用タイヤレバーを2つ使っています。簡単にタイヤをはめることができます。レバーを使っていますが問題なくうまくいきました。

チューブレスタイヤをインストールしますとスポークテンションは大幅にテンションダウンします。今回の場合右側ドライブサイドのテンションは133kgfから110kgfに下がりました。約17%下がっています。

 ドライブサイド133kgf ドライブサイド110kgf

これだけ下がるのですから事前に少し高めかなと思うくらい右スポークテンションを上げて作っても大丈夫です。私は120~130kgfで仕上げています。

 

スポークを握って張り具合を調べる人にはサピムのCX-RAYなどの扁平スポークの場合スポークが薄いので刃物を握っているような握っても痛いだけです。握った感覚だけでは難しいと思います。

またTM-1のような正確でないメーターでは役に立たないでしょう。もちろんきっちりと100kgf、120kgf、130kgfと正しく測れるTM-1なら話は別です。テンションメーターの校正を先ずやるべきです。

 

4,5年前と比べてカーボンリムはとてもお安くなりました。高品質な製品を作るメーカーのリムも容易に購入できるようになっています。FFDのカーボンホイールはリム、ハブ、スポークメーカーの一般でも購入できる部品の組み立て品ですのでカーボンホイールに挑戦するのもいいと思います。作れない方はご一報いただければ幸いです。

スポークをギターピックではねています

スポークテンションの均一化にはテンションメーターをメインに使っています。

テンションをグラフ化して緩いところ、きつく張っているところを調べると早く解決できます。

これらは私のやり方ですのでテンションメーターを使わない人もおられますし人それぞれです。

テンションメーターを使うほどでもないときとか最後の微調整で確認するときにはギターピックを使って音を聞きながら調整しています。

ギターピック

スポークをはねた音を聞いて張り具合を調べることは昔からなされていた方法です。指ではねればいいのですが均質な音量で聞き分けるにはギターピックがよろしいようです。簡単に音を聴き比べできます。高い音でスポークの張りが強ければニップルを緩め、低い場合はスポークの張りを強くします。

常にこの作業では逆に面倒なので通常はテンションメーターを使い最後の仕上げ段階で行っています。

ギターピックでないとダメという話ではありません。YouTubeで見たのですが、スポークを小さいハンマーでたたいて音を聞き分けているビルダーもいました。音をきいてスポークを調整する方法は意外と便利です。

ホイールチューンアップの続き

タイヤ取り換えがホイールチューンアップにいちばん良いといいます。

チューブレスタイヤに替えるなどXR31T前輪ホイールを特別にお金がかからないチューンアップを続けています。昨年このホイールのハブベアリングを変えました。まだゴリ感がないのでもう少し使う予定ですがサイドキャップを外してみるとやはり汚れています。写真に残していませんがキャップを外してきれいにふき取ってグリスを塗っています。

グリス塗りは筆を使っています。グリスを塗るのに筆を使うことなど自転車ビギナーだった時には思いもつかない方法でした。ずっと指にべたっとつけて塗っていたのです。筆を使うきっかけは海外のホイールメーカーのYouTubeを検索したときに見つけました。海外メーカーのビデオなどから思わぬアイデアをいただけることがあります。

後はホイールのバランス調整です。一円玉でバランス取る方法をとっています。

リムはスリーブジョイントリムですのでバルブ穴の反対側、つなぎ目のところにスリーブが入っています。このためにホイールが静止しますとスリーブ部分が重さで下になって止まります。

振れ取り台にホイールをセットして一円玉をスリーブの反対側に貼っていきます。今回は7枚でバランスが取れました。

一円玉7枚=7g

ゴルフのクラブに使う鉛の重りを貼ってバランスを取りました。

バランスとる前と取った後の回転ですが何回まわるか数えています。5回ほど繰り返して平均値を出しています。

私のホイールはバランスとる前は平均150回(シールなしのベアリング使用)まわっていましたがバランスを取って回転を調べてみますと平均165回でした。約10%よく回るようになっています。

 

これが走りにどれくらい影響しているのかはデータが取れていませんが少しはましになっていると考えます。

 

チェーンをきれいに洗って5ワット、空気穴の少ないヘルメットで5ワットと手軽なチューンアップはいろいろ考えられます。お金のかからない方法ですのでお勧めします。

ポリイミドテープ、結果よし!

ポリイミドテープを使ってチューブレスタイヤをインストールしました。

XR31Tリムを使ったフロントホイールです。

20mm幅テープ

タイヤはIRCフォーミュラーライト25cを使います。ホイールはクリンチャーで使っていましたのでタイヤを外してすべて整備しなおしました。

 

先ずスポークテンションを120kgf前後になるように調整しなおしました。

一通りテンション調整が終わり、リムテープにポリイミドテープを使って巻きます。

テープは2回巻きました。巻きやすいテープです。空気のふくらみを取りながら巻くのものも楽です。

 

フロントの120kgfは高いように見えますがタイヤインストール後のテンションダウンを考えますと高くはありません。下のグラフのように約20%テンションダウンします。

123kgfで調整タイヤインストール後のテンション

タイヤインストールには石ケン水をスプレーで吹きかけてタイヤを滑りやすくしています。私は力がないのでIRCのレバーを使っていますが特別問題も起こっていません。

レバーなしで入れないとダメという人がおられます。まあそれに越したことはありませんがハードルを下げても大丈夫のようです。

IRCのレバーでインストール

空気を6気圧入れて一日置きました。翌日4.5気圧に減っています。シーラントなしでこの結果です。感想としてはいいテープと思います。

ポリイミドテープを使ってみました

チューブレスレディーリムにはテープを貼ってタイヤをインストールします。

空気漏れに使うテープですができるだけ安価に仕上げたいものです。

ポリイミドフィルム 20mm * 33m

を通販で購入しました。キンリンxr31T/RTのリムに使います。幅が20mmなのでキンリンリムの内寸が19mmということでうまく合います。

価格も安価で強度もあります。はがした時もきれいに剥がれます。

 

ホイールメーカーは専用のリムテープを販売していますがこれらのテープはどこかのメーカーに作ってもらったテープを自社ブランドで販売しています。

 

こんなことから海外のビルダーが教えてくれているテープにStansNotubeは

TESA4289が使われているらしいとかいろいろ例があります。

イーストンのチューブレスキットもテープはどうもポリイミドテープのようです。

Easton HPより

まあ空気漏れを止めればいいわけですからいろいろ試されたらいいと思います。

どこどこのメーカーでないと空気は止まらないという話でもありません。

ベアリング引き抜きのアタッチメント

ハブのベアリングを引き抜くのにスライドハンマーで抜いています。8mm、10mm、15mmなどののアタッチメントを使っています。

スライドハンマーとアタッチメント

フロントハブA291SBではベアリングは699規格ですので内径は9mmです。アタッチメントは8mmでうまくベアリングの中に通すことができます。

フルクラム フロントハブ

フルクラムのハブで6001規格を使っているホイールがありました。この時は10mmのアタッチメントです。

上アタッチメントは15mm

リアハブF482SBでは6802、6902規格を使っています。内径は15mmです。

この15mmで難儀しました。アタッチメントは15mm径でベアリング内径とは全く同径です。このため余裕がありません。うまくアタッチメントが入りません。

少し削った15mmアタッチメント

悩んだ結果やすりで削ることにしました。少し削るのに時間が掛かりましたがベアリングの内側にすんなり入るまで削ることで解決しました。写真から分かりますように引っ掛かり部分を削っています。

14mmのアタッチメントがあればいいのですが作っていません。縁をやすりで削り取ってしまいますので使える回数は減るかもしれませんが簡単に引き抜くにはこの方法かなと思っています

 

ベアリングの取り換えなど頻繁に使う道具ではありませんので必要ない道具とは思いますがシクロクロスに出ておられる人にはハブが汚れやすいのでメンテに必要かもしれません。

ベアリング単体は安価な品物ですのでご興味ある方はご自分でなさるのがいいですね。

ベアリング交換にヒートガンを使う

ノバテックF482SB-11後輪ハブのベアリング交換をしました。

ベアリング交換にはほんの少しの勇気が必要です。

今回はフリー側のベアリングはまだ大丈夫でしたのでシェル側のベアリングを交換しました。

圧入するときは長ボルトを使った手作りプレスを使います。センターを出すのにコツがいります。少し難儀しますが最初のベアリングの位置決めさえしっかり決めればゆっくり締めこんでいきますとうまく入っていきます。

グリスを塗ってベアリングを圧入するのですがシェル側をヒートガンで温めておくことがコツになると思います。

皮手袋を使って手を守ります。少々熱くても気にすることなく圧入に専念できます。ベアリングを引き出すときにも圧入するときにもヒートガンです。

Stravaアプリはホイール作りに活かせる

お客様から教えていただいた事柄でとても参考になったことはサイコンアプリ「Strava(ストラヴァ)」を使ってホイールを評価するということです。

ストラヴァHPより

自分の乗り方に合っているかとかどの走り方を改善すればよいかとか数値で比較すれば改良点が明確です。

平地、緩い坂では好結果なのに登りでは今一つの結果の時はホイールの剛性が足りないとアドバイスをいただいたことがあります。

後輪スポークを太くしたことで改善したことをブログに書かせていただきました。

この時アドバイスをいただいたもとになったデータはサイコンアプリを使用してのデータ比較です。

平地、緩い坂、きつめの坂を一定のパワーで走り比較していただいたデータはとても有効でした。

データ比較ですが天候に影響されることが多いです。一番影響受けるのは風ですがこれは回数をこなすことで平均値がでます。

 

データをためて比較すると予想外の結果が見ることができます。32hの鉄下駄ホイールが意外な力があることが分かったり、エアロスポークの効果が思いのほか少なかったりという結果が分かります。

 

FTP値の低い私ですが低いなりにデータを集めるとホイールの改良に生かすことができます。もちろんFTP値の高い人に乗ってもらうのがいちばんわかりやすいことですね。