多スポークホイールのご注文をいただきました

このブログより次のようなご連絡がありました。

どちらかというと登る方が楽しいというか、しんどいのですが走っている実感を感じれていいのです。 次は平地も巡航して楽しみたいと思うようになってきました。 もっと踏みたいと思わせてくれる、平地を走るのが楽しくなるホイールがほしいのです。 足が売り切れるとかの問題は関係ありません。楽しければいいのだと思います。何か良さそうなホイールを教えてください。

体重もお知らせいただいています。60㎏台前半のFTPもとても高い方です。

私のご提案はキンリンのXR31T/RTリムを使った多スポークホイールです。アルミリムで平地をメインに走り、疲れにくいホイールのおススメとなりますとキンリンリムはコスパが良くてとても優秀です。このリムで28・32hの組み合わせをご提案しました。

内容は下記の通りです。

リム XR31RT 28/32h

ハブ  Bitex A781 – BLACK – 28

ハブ Bitex RAR12 – BLACK – 32

スポーク サピムLaser2.0/1.5/2.0mm(前輪)

スポーク サピムLaser2.0/1.5/2.0mm(後輪左)

スポーク コンペティション2.0/1.8/2.0mm(後輪右)

ニップル ブラス

前輪786g

前輪786g
前輪スポークテンショングラフ スポークは均一です

後輪938g

後輪938g
後輪スポークテンショングラフ 左右均一です

前後1724g

軽いホイールではありませんが重いホイールでもありません。

キンリンのXR31T/RTで組んだ多スポークホイールは良いところが多いホイールです。しかし残念なところもあります。それは地味なところです。派手さがない見た目は普通のホイールです。ところが実力はなかなかのものを持っています。

リム重量は500g前後と少し重いのですがカンパニョーロのゾンダも同じくらいの重量です。アルミリムの場合ある程度の剛性を得るにはこの重量は必要と思います。

31mmとリム高がありますので空力の良いホイールに仕上げることができます。

お客様より少し乗られた印象をご連絡いただきました。

以下インプレです。

先日40kmほど走ってきましたので簡単な感想をお送りします。

wh-6800との比較になります。タイヤも移植しましたので同条件だと思います。

○良い点
乗り心地がソフト
空気抵抗が減った
疲労軽減


○悪い点
加速が鈍い

トータルすると完全に良い点が勝っています。
何より乗っていて楽しいですから、良いホイールだと思います。
ダンシングでもシュータッチはありませんし、普通に登れます。
フリーがとても静かです。シマノよりも静かだと思います。ハブも違いますね。
シマノは「ベアリングが回っている感」があるのですが、これはヌルヌルとした「滑ってる感」に近いような気がします。
まだまだ当たりが付いていないでしょうから回転は渋い気がしますが、これから育てて行く感覚でより楽しめそうです。
ガンガン使って剛性不足を感じる位になりたいと思います。

固いフレームには手組ホイールを組み合わせると良いような気がしますがどうでしょうか。
最近は乗り心地にも配慮したフレームが増えて来ていると思いますが、こんなに良くはならないと思います。
私のエントリーアルミフレーム(センチュリオンハイパードライブ500)が
まるでクロモリフレームのようになりましたので。

とても分かりやすく乗られた印象をおしえていただきました。

空気抵抗が少なく感じられたのはリム高が影響していると思います。ソフトな乗り心地はLaserがショックアブソーバーの働きをしていると思います。ハンドルからに振動が軽減されていますので疲れが軽減したと考えます。加速が悪いのは後輪スポークの剛性が少し足りなかったのかもしれません。改良点として左右コンペティションにしてスポーク面積を増やせば剛性が高くなると思います。あとでいろいろと加減できるのが手組ホイールの良いところです。

お客様のお話はとても勉強になります。ありがたいことです。

雨降りだからタイヤの張替でもしよう

植草甚一、J.Jおじさんの本のようなタイトルですが今日のような雨の日には自転車の整備をよくします。

特にタイヤ関係です。自転車に乗らない日はホイールの整備です。晴れで乗らない日は自転車を洗います。

マイナスドライバーで抉るとはがしやすいです。
きれいにしました。手軽なミヤタテープを使っています。輪行にはテープのほうが楽なのでテープにしています。

久し振りにチューブラータイヤを貼り替えました。タイヤはヴェロフレックスのカーボンです。小さく方向性のマークがあります。注意が必要です。

矢印があります。方向性には注意が必要です。

ワイドリム、チューブレスが流行りですので23mmのこのチューブラータイヤは正直なところ少し前のタイヤかもしれません。しかしながらこのタイヤの乗り味はなかなかのものです。チューブレスはいいですよと言っておきながらチューブラーをほめちぎるのは一貫性に欠けるかもしれませんがいつの世もいいものはいいのです。

プロツアーの世界ではチューブラーホイールはクリンチャー全盛の今でもずっとメインに取り扱われています。軽量、グリップの良さ、取り扱いの手軽さどの項目にも優がつきます。

今までは前輪だけを高価なタイヤにしておけばハンドリング、乗り心地の良さを得ることができるので後輪は安価な練習タイヤで我慢していました。しかしながら今回は後輪も奢ることにしました。

ヴェロフレックス カーボン使用
併せて振れ取りも行いました。

1本1万円のタイヤは私には勇気がいります。タイヤ2本でママチャリが買えます。いつも千円前後のワインを飲んで幸せといっているのですが、まあ、たまにはこんな贅沢もいいかなと思います。乗り心地が違います。

自慢話になりますが…

ホイールをお納めしたお客様よりお電話いただきました。スポーク組み換えのご依頼です。

お客様はこのブログをお読み頂いているようです。

皆さん褒められていますね、あかんという人いないですね。」という話になりました。

そうなんです、皆さん気に入っていただいています。」とお答えしました。

お客様はボントレガーのカーボンホイールもお持ちですが比較すると私のお納めしたほうが良く走るというお答えです。

スポークのテンションが揃っていることが大切です。おそらくこれが原因と思います。揃っていないと力が逃げる、踏み込んだ力はどのスポークにも同じ力が加わりますがスポークテンションが揃っていなければ加わる力にロスが生じます。

このようなお話でご納得いただきました。

カーボンホイール 
前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

特別な材料を使っているわけではありません。体重に応じてスポーク数を調整してテンションをできるだけ均一に仕上げる。これだけです。

文章で書けば一行です。スポークテンションを揃えば良いホイールが出来ます。

ベテランライダー様よりご連絡いただきました

今まで2セットご注文いただきましたベテランライダー様よりご連絡いただきました。400kmのブルべに参加されたご友人の話です。

シャマル ミレ カンパニョーロHPより

400kmを無事完走されたのですがこの時はシャマルミレで走られたそうです。無事終わられたのですがシャマルの乗り心地の悪さが理由でホイールをゾンダに買い替えられたそうです。

ゾンダの倍以上もするシャマルですが硬すぎて乗り心地は最悪であったらしいです。

ホイールはいろいろ性格があります。乗り手の力量、体重、乗られる方の好みいろいろです。

一般にはブランドのホイールは評価がたくさん集まっていますのでこれらの情報を参考にすると選びやすいです。

今回のシャマルご使用のライダーさんはアルミスポークが硬すぎてご自身には全く合っていなかったようです。どんな評価を参考にされて購入されたかわかりません。おそらくシャマルは走るというたくさんの評価を参考にされたのでしょう。しかし実際ロングライドで使ってみると最悪でした。

いろんなサイトの評価の星数を数えて買ってもぴったりのホイールを見つけることは難しいようです。

シャマルの悪口のようになりましたがシャマル自体はとても優秀なホイールです。誤解のないようにお願いいたします。

セラミックベアリング、アルミスポーク、特製ハブとモダンホイールの代表的なホイールですがベテランライダーさんが乗られても相性が悪かったらどうしようもありません。

お値段と評価が正比例しないのがホイールのようです。

2セットご注文頂きました中の多スポークホイール

最後に少し宣伝です。今回の話をしていただいたベテランライダー様はお納めしましたホイール2セットをとても気に入っていただきました。現在お持ちのユーラスに負けていないとほめていただいています。お墨付きをいただいたようでほかのお客様にも自信をもってお勧めしています。

ゾンダハブは重かった

ゾンダ後輪ホイール分解の記事を書きました。正直言いましてハブは意外と重かったのです。

以前ゾンダを購入しました時の記事を書きましたがこの時は分解しないで台湾ハブとほぼ同じ重量で計算しましてリム重量を算出しました。ざっくりリムは500g前後だろうという記事ですがリム重量はほぼ合っていました。

ゾンダ 後輪ハブ

驚いたのはハブの重量です。軽量しますと293gと予想外に重かったのです。ノバテック、バイテックスなどの台湾製ハブは

バイテックス 231g

おおよそ230g前後ですのでゾンダハブの重さはびっくりしました。

 

よく使うハブの中で重いハブはシマノハブです。ミケハブもよく使います。シマノハブは360gほどあります。ミケは295gと重量があります。

ミケハブ 295g

シマノハブ 365g

今まで重いハブですがという枕詞付きで説明していましたハブですがなんとなく援護射撃を得た感じがあります。軽いに越したことはありませんが重いハブもいいものです。気にしないで使いましょう。

 

アルミホイールのベンチマークと言われるカンパのゾンダハブは軽いハブではない。つまり中心部の重量は回転には大して影響していないと考えます。もちろん車のばね下理論と同じ考えでホイールが軽いことはいいのでしょうが必ずしも軽いホイールは走るホイールではないということが言えるのではないかと思います。ゾンダのハブは重い。この事実はとてもインパクトあります。

重い前輪ハブ

軽量ハブはよく使っています。台湾製のノバテックA291SBです。20穴がメインでよく使います。重量も60gですのでとても軽くベアリングは699規格です。ベアリング取り換えも簡単にできます。高級ハブではありませんが安かろう悪かろうではありません。品質はとてもいいハブです。

ノバテック A291SB 20h 60g

普段は上記のような軽量ハブに目が行きますが少し重いハブもとても良いところがあります。ホイール総重量は増えますがホイール中心部の重さです。回転には影響しません。丈夫さ、回転重視で考えますと120g~150gのハブには良い点がたくさんあります。

ミケ 132g

例えばミケハブを見てみます。ハブの重量は132gです。結構重いのですが、重い=丈夫ということです。ハブシェルが強固と考えることができます。そしてベアリングは6001の大きなベアリングです。サイズが大きいので回転は安定しています。とても使いやすいハブです。

シマノ アルテグラHB-6700 18h

次はシマノハブです。写真は18穴のアルテグラハブです。156gあります。現在は販売されていません。このハブは特殊ですが一般に購入できるハブは32穴、36穴の105,アルテグラ、ティアグラです。穴数が多いハブしかありません。ティアグラハブだけは28穴が販売されています。一番よく使われる20穴は販売されていません。とても残念ですがシマノさんの戦略ですので仕方ありません。

多スポークホイールにはこのシマノハブは一押しです。シマノのカップアンドコーンハブは自分で容易くメンテができるように設計されています。グリスアップの手入れさえまめに行えば本当に長く使えます。

BITEX RAF16 120g

RAF16  6000ベアリング使用

台湾ハブにも重いが丈夫なハブがあります。バイテックスのRAF16です。120gと重いのですがこのハブも丈夫です。重いが丈夫、ベアリングが大きい、利点が沢山あります。ベアリングの交換は楽です。ベアリングは6000と大きく、丈夫なベアリングのため交換はあまり必要ないです。そして交換の時はNTNの非接触型にすれば最強ハブに変身します。

 

どうしても軽いホイールを求めると敬遠しがちな重いハブですが使ってみると別の良さを発見します。重いハブはおススメです。

32h多スポークホイールのインプレをいただきました

以前ブログで紹介しましたお客様よりお納めしましたホイールの印象をお送りいただきました。ブルべなどのロングライドに適したホイールをご希望でした。ホイールの内容は前の記事をご参考願います。

 

以下インプレです。

後輪1080g

後輪スポークテンショングラフ

前輪836g

前輪スポークテンショングラフ

 

少し乗り込んだので感想を。

まずは部品持ち込みですが快く組んでいただきありがとうございます。
予定していたブルベ が開催中止になってしまいましたが、合計500kmくらいは走ったので感想を少し。

ピストバイクで手組みホイールは数セット所有していますが、届いて触った瞬間に良いなって感じました。やはりスポークテンションの均一化のおかげですね、ニギニギするとよくわかります。

 

早速タイヤを組んでみますが思ったより重いです。

たぶんハブの重さでしょうが走ると全然気にならないです、加速の軽さは無いですが、自分の狙っていた25〜30kmくらいのブルベ走りにドンピシャでした。以前使っていた軽量ホイールは速度維持がピーキーでちょっと疲れました。
そして登りが意外にも掛かります。これは驚きました。多スポークが効いているのでしょうか、何か路面を蹴る感じが細かい?グリップ感が高い?感じです。いつもの坂もタイムはほとんど変わらなく登れました。
32h のホイールを検討しているのであればお勧めですよ!そしてフロントクロス組の乗り心地は最高です。

大したインプレッションじゃないですが感じは伝わりましたか?
ホイールすごく調子よいです。また組んでもらいたいので貯金して妄想してますw

 

 

多スポークホイールはクラシックな姿ですので今販売されている完組ホイールにはほとんどありません。大方は手組の注文ホイールになると思います。

 

長い時間自転車に乗っていますと地面からの振動がハンドルに伝わります。この振動が原因で疲れてしまったという経験をお持ちの方は沢山おられると思います。

最近のホイールは少ないスポークでキンキンのハイテンションに仕上げています。スポークが多いとショックアブソーバーの働きをしますが少スポークではそのような機能は少ないようです。

少しでも早く走りたい人には空気抵抗が少ないことが大きな要素となりますがブルべのようなロングライドをしたい方には疲れにくいホイールというほうに優先順位が高くなると思います。

 

多スポークホイールを見直していただきたいものです。通常のレースとは違った楽しみ方で自転車に乗られている方はとても多いと思います。今回のインプレはとても参考になります。

イネオスはリムブレーキ

毎日ジロデイタリアを楽しんでいます。じっくり各チームのバイクを見ていますとほとんどのチームはディスクブレーキを採用しています。メーカーから提供されていますので各チーム、選手は好みを通すわけにはいかないのでしょう。

じっくり見ますとリムブレーキです

解説を聞いていますとイネオスはリムブレーキだそうです。これを聞いてからじっくりバイクを観察していますと果たしてイネオスはリムブレーキでした。

 

レースに於いてディスクブレーキにするとタイヤ交換には時間が掛かります。このためサポートの車には交換用の自転車を積んで走っていますがただこれなら1回だけの交換できても連続してトラブった場合はほかの選手の自転車を借りるなど違う方法で対処しなくてはなりません。このように一般にはディスクブレーキの対応には時間が掛かります。

 

その点リムブレーキではパンクしてもホイールだけを交換すればよく、時間はかかりません。1秒を争う場合これは大きな利点です。予備ホイールも沢山準備できます。サポート陣には大きなメリットがあります。

 

イネオスはこのようなディスクブレーキのデメリットとリムブレーキのデメリットを十分検討してリムブレーキを採用していると考えます。マージナルゲインを積み上げて勝利を獲得するイネオスの考え方は見上げたものです。

 

勝手な想像ですがホイールメーカーがディスクホイールのシステムで使ってくだいといってきてもチームの考え方はリムブレーキのほうが有利ですということで断っているのかもしれません。イネオスは宣伝効果を期待するメーカーの申し出を断っているのでしょう。勝利のためにはリムブレーキのほうにメリットがあると考えているのでしょう。これはあくまでも私見です。

 

私の素人考えですが科学的手法でチーム運営するイネオスには感心することが多いです。もちろんほかのプロチームも同様に行っていると思いますがイネオスは際立っている感があり改めて見直しました。

 

私はただただ経済的な理由でリムブレーキを使っています。時代に追いつけるようにしたいです。

なじみだし4回目

今ご注文のホイールの作製中です。いつも何気なしにホイールを完成して一日置いて再調整していました。精度の高いホイールを仕上げることとして大切な手順です。

 

なじみだしはどのくらい必要かを考えました。海外ではなじみだしのことをストレスリリーブといっています。

 

ホイールを一日置いて仕上げることは昔から言われていることのようです。ビルダーの経験則から出たのでしょう。自転車屋さんはとても閉鎖的で技術というほどのものでないことでもあまり人には言いたがりません。もちろん当たり前のことでしょう。長年いろいろ試行錯誤しながら会得していくものですから言いたくないのはわかります。

 

さて3回目のなじみだし後にとったテンショングラフと4回目にとったテンショングラフを比べてみます。

なじみだし3回後のスポークテンショングラフ

なじみだし4回後のスポークテンショングラフ

ほとんど変わりません。

今までの経験から行うホイールのなじみだしですが3回やればとても効果があるようです。

手の感覚について

ディスクホイールを作製していました。

RR421リムで作製

リムはDTのRR421ディスクリムです。ワイドリムで軽量ながら剛性も期待できる優秀なリムと思います。

フロントホイールを作っている途中でなんとなく1本スポークが違うなと思っていました。

 

スポークはピラーのTB2015というトリプルバテッドスポーク(2.2/1.5/2.0mm)を使っています。スポークカットを行った時点ではいつもの通り計算したスポーク長にカットしてニップルにグリスを塗りながら作業を進めました。

 

仮組が終わった時点ではわからなかったのですがスポークテンションを上げている時にわかりました。やはり1本太さが違うのです。どうもおかしいのでノギスで測りますと太さが1.8mmあります。どうもピラースポークのストックの中に1本紛れ込んだのでしょう。スポークカット前の時は長さがほぼ同じでわかりませんでした。いつ紛れ込んだのかわかりません。

上DTスポーク 下ピラースポーク

点検しますとスポークのマークが違いました。やはり違っています。スポークはDTのコンペティション(2.0/1.8/2.0mm)でした。長年スポークをさわっていますと感覚でわかるようになってきました。

 

ではスポークテンションはどうでしょう。

 

このホイールですがスポークの違いはすぐに分かるのですがスポークテンションはなかなかさわってもわかりません。私には感知しにくいです。

スポークテンションを上げて振れも全くないホイールに仕上げましたがスポークのテンションを調べると全く揃っていませんでした。

強弱、強弱と各スポークがバランスとりながら仕上がります。振れはきれいに取れています。

スポークを握ってテンションの違いはよくわかりませんのでテンションメーターを信頼して作ることにしています。もちろんある程度違いはわかるのですが細かい絶対値となるとスポークを握っただけではわかりません。校正したテンションメーターが頼りです。