前輪ホイールを作成

スポークテンションの均一化が重要である一例をお知らせします。

 

仮組が終わり振れ取台に乗せて振れ取台のダイヤルゲージだけを頼りに組み上げました。

テンションメーターのチェックを省いて作り上げました。縦振れ横振れも少なくきれいに回るホイールです。ストレスリリーブも行いきれいに回っています。

 

テンションメーターでチェックしました。グラフがこれです。

グラフを見ると強く引っ張っている点が3カ所ありこれによりバランスが取れています。このためホイールの回転は綺麗に振れなく回っています。普通ならきれいに回るのでこれで完成となります。

 

この状態で長期間使っていますとスポークテンションの緩い部分から振れが起こります。スポークにかかる力が偏ることになり大きく力がかかっている部分に金属疲労を起こしやすくなります。これがスポーク折れ、ニップル飛びを起こすことになります。

 

このときの対処方法はスポークテンションの均一化です。均一にスポークを引っ張っていれば力は均等に分散されます。テンションの偏りを防ぐことがとても重要です。

スポークテンションを測り前後のスポークを緩めたり強めたりしてできるだけ均等にします。100%同一にする必要はありません。振れと均一化の一番ころ合いのいいところを求めることが必要です。

できるだけ均一になるようにして振れを出来るだけ抑えるように再調整したグラフがこれです。

この状態で完成です。回転ロスが少なくトラブルも最小限に防ぐことができるホイールです。

 

グラフツールを紹介します。

パークツールのテンショングラフツール、スポークサービスのツール、どちらも使いやすいのでお勧めです。

https://spokeservice.ca/utilities/spoke-tension

https://www.parktool.com/blog/repair-help/wheel-tension-balance-app-instructions

2クロス3クロスホイールのスポークテンションを考える②

下記のオフセットリムを使ってホイールを作ることも考えました。

 

キンリンXR31RT ERD 580mm 3mmオフセット

 

シマノ FH6700 24h 左右PCD 44/45mm 左CTF38.2mm右18.7mm

 

右2クロス左2クロスでスポーク長を計算します。

結果はこうです。

左 280.1mm 右 278.2mm

 

後輪スポークテンションは下記の式で左右均衡します。

リムのスポークホールが3mmずれるということはハブのセンターが3mmずれると考えます。

左テンション=右テンション*(18.7+3)/(38.2-3)*(280.1/278.2)

=右テンション*(21.7/35.2)*(280.1/278.2)

右テンションを100としますと

100*0.616*1.007=62.0

左は62.0で均衡します。

 

通常のノーマルリムで2/3クロスの場合

 

左を3クロスでスポーク長を出しますと

左 291.6mm 右 278mm

 

後輪スポークテンションは下記の式で左右均衡します。

左テンション=右テンション*(18.7/38.2)*(291.6/278)

右テンションを100としますと

100*0.489*1.049=51.3

左は51.3で均衡します。

 

10.7%違います。あくまで理論上の話です。

 

3mmオフセットのリムを使うと2クロス/3クロスなどのスポークの組み方を工夫しなくても約10%左のテンションを高めることができます。

 

シマノホイール一番下位のホイールでもオフセットリムを使っています。低コストで高いパフォーマンスを得るにはオフセットリムを使うことがベストの方法と考えられます。

他に2:1組などがありますがこの場合ハブは専用ハブが必要です。

いろいろ手組されている方のブログにはヨンロクと書かれています。なるほど左右2クロスで組むより2%左テンションが上がるのですが劇的にホイールのパフォーマンスが向上すると期待してはいけないと思います。

オフセットリムを使えばいい話です。

 

 

2クロス3クロスホイールのスポークテンションを考える

下記のリム、ハブを使って後輪ホイールを作ろうと思います。

 

キンリンXR31T ERD 580mm

 

シマノ FH6700 24h 左右PCD 44/45mm 左CTF38.2mm右18.7mm

 

右2クロス左2クロスでスポーク長を計算します。

結果は

左 280.6mm 右 278mm

 

後輪スポークテンションは下記の式で左右均衡します。

左テンション=右テンション*(18.7/38.2)*(280.6/278)

右テンションを100としますと

100*0.489*1.009

左は49.3で均衡します。

 

左を3クロスでスポーク長を出しますと

左 291.6mm 右 278mm

 

後輪スポークテンションは下記の式で左右均衡します。

左テンション=右テンション*(18.7/38.2)*(291.6/278)

右テンションを100としますと

100*0.489*1.049

左は51.3で均衡します。

 

2%違います。あくまで理論上の話です。この差は大きいのか小さいのか?

大きいといえば大きいし、なんやそれだけという人もあると思います。

私は作りやすい2クロス2クロスでやろうと思っています。

カラースポークのホイール

カラースポークのストックが沢山あり、いい機会に使おうと思っていました。

シマノハブセット アルテグラのディスコンHB6700,HF6700バルク品が手に入りました。バルクですので少し傷があったりしますが新品です。

スポーク長の計算、スポークカットといつものように行い組み立てました。

スポークテンションはいつものように前輪は100~110kgfで後輪は120kgf前後で仕上げるのですがここで注意が必要です。

カラースポークはテンションメーターの換算表では正確に測れません。スポークの表面にペイント処理がされていますとテンションメーターは正確に読み取れません。15~20%違うといわれています。

ではどうしたらいいのか?

テンションメーターのキャリブレーションが必要です。私はキャリブレーション用の道具を持っていますのでカラースポークを使っての100kgf、120kgfを計測してホイールを作ることにしました。

校正中 100kgf、120kgfを測る

今回のような場合は特殊と思います。カラースポークはあまり販売されていませんしカラースポークのホイールもほとんどない状態です。時々赤色のフルクラムを見受けるくらいです。知っておかれるといいくらいの話ですが、赤のフルクラムを持っておられる方はテンションの基準が分からないし緩んだスポークを戻すにもテンションメーターで正確に測れないということです。新品の時に測っておくことが必要です。

 

別に走れるからそんなにテンション、テンションという必要はないという方が多いと思いますが私は気になります。せっかくのいいホイールが正しくパフォーマンス出せないなら残念です。

スポークテンション上げる前に

ホイールを組み始める前に忘れてはいけない大切な手順をお話します。

仮組が終わったときに30秒ほどの手間をかけることで狂いの出にくいホイールに仕上がります。

 

スポークのラインを正しくセットすることです。何それ?ですがスポークをハブに通してテンションを上げる前にスポークの曲がる角度を正しくセットすることです。その方法に写真のようにドライバーの様な棒状のものをスポークの間に通しスポークの曲がる角度を調整します。24hのハブでしたら左右12本のスポークですので片方6回ひねるだけです。

入りと出のスポークの角度を調整

図のようにスポークの曲がり角度を調整し真っすぐにします。このことによりテンションアップ後にスポークが緩むことを防ぎます。

大阪の有名なショップではスポークの曲がっているところをプラハンマーで軽くたたいているところを見ました。この方法ですとヘッドアウトのスポークを触ることができませんので私は棒状のものでひねる方法がいいと思っています。

このひと手間でスポークは真っすぐになりテンションアップ後も狂いが出にくいホイールに仕上がります。なんでもないひと手間ですがあまり知られていないことのようです。

エンヴィのメンテナンス依頼がありました

以前ホイールを販売した方より連絡があり別のホイールの振れ取をしてほしいと連絡がありました。できるだけの事はしますが手に負えない場合は送料代金お返しいたしますと返事しましたら送られてきました。

 

エンヴィ フロント35mm/リア45mm

ハブ   クリスキング 20/24h

スポーク サピムcxray シルバー

ニップル インナーニップル

 

上記のホイールでした。高級ホイールです。セットで20万円以上のリムとハブは7,8万円、スポークは1本350円と材料だけでも30万円以上します。弁償するのは大変ですので慎重に行いました。

エンヴィホイール
フロント 570g 軽い
スプロケットがついて982gです

前後共に若干の振れはありますが気にするほどではありません。テンションを調べますと下のグラフの様な状態でした。

スポークテンションはびっくりするほど緩い状態でした。特にフロントは緩い。緩いスポークはスポーク折れの原因になります。

ほとんど振れは無いのですがスポークテンションは緩いということは作った人のテンションメーターが狂っていたか、メーターなしで作って振れ取だけを一所懸命行って作り上げたホイールでした。リムの剛性を生かせていません。

フロント 左58kgf右57.4kgf テンション偏差 左21%/右11%

リア   左46kgf右104kgf テンション偏差 左26%/右47%

右に極端に緩い部分があり左も全体のスポークテンションが揃っていません。

ゆっくりテンションアップを行いました。

エンヴィのリムは固く普通のカーボンリムと比べても音が違います。剛性が非常に高いリムです。

前輪 テンション修正後 左108.5kgf 右106.9kgf 偏差1.8%右3.3%

後輪 テンション修正後 左55.3kgf 右130.0kgf 偏差左4.1%右4.6%

2時間ほどで図のようになりました。

フロント100kgf/リア120kgfの目標でしたがリム剛性が高いのでテンションは少し高めにしました。

最小の振れ且つ最大限のスポークテンション均一化を目標に、ころ合いのいいところで納めました。

中古ホイールを買われたのか、使っていてこのような緩い状態になったのかはうかがっていませんが、中古ホイールでしたらこの様なリスクがあるということです。見た目だけではわかりません。

数日前に中古ホイールのリスクの事を書いたすぐにこんな話が起こりました。

センターはロックナットの位置で測る

ホイールセンターを測るのにその位置は写真のように中心軸で測られると思います。私だけかもしれませんが私は長い間この様にしていました。

右側5.47mm
左側4.96mm

ホイールをひっくり返してすいている半分を片方のスポークをほんの少し回して調整します。ホイール一周スポークの張りを直してセンターを出すのですが、ある日ふと考えました。

センターは左右のロックナット間であることでした。

いろんなブログで先輩方のやっていることを見ながらこうするのやな、なんて思い当たり前になっていましたがセンターは左右のロックナットの中心ということです。

 

参考のため実際測ってみましょう。

このホイールはロックナット間で測ると1.11mm、1.26mmと出ています。その差は0.15mmの違いでまあ良としています。

中心軸で測ると4.96mm、5.47mmと出ていますのでその差は0.51mmです。これはカップ&コーンのハブの構造上ロックナットの締めこむ位置で違います。

0.5mm違うと性能が違うのかと言われると性能は全く変わりません。しかしビルダーの技量をうたがわれますので私は注意しています。

完組で1mmくらい違っていることはよくあると聞きます。1mmくらい狂ってもブレーキシューで調整すればどうってことありませんがセンターが正確に出ているにこしたことはありません。

シマノハブデータより感じた事

シマノFH5800 105シリーズハブデータを見ますと下図のように詳しく出ていません。

 

アルテグラ FH6800 は詳しく下図のように出ています。

 

シマノのお客様相談室にハブデータを教えてほしいと電話しますと気持ちよく対応して頂けます。

データを教えていただきました。

105

フランジ間寸法 56.9

オフセット9.75

PCD 44/45

です。

 

アルテグラは発表されている表より

 

フランジ間寸法 56.9

オフセット9.7

PCD 44/45

 

となります。オフセット9.75と9.7と違うだけで他は同じです。11速のフリーの構造からも同じになってしまいます。

 

外見の姿が若干まるみあるのがアルテグラですがほぼ同じなんだなと勝手に思っています。

DURAも調べましたが同じです。アルテグラも105も11速ですのでサイズ的にはみな同じです。

DURAのフリーはチタンで他はスチール、重量も100gほど軽くその違いはとても大きいのですがホイールの中心部ということで外周部の重量とは違うので回転に関しては余り違わないと勝手に解釈しています。

Duraは別物とよく言われますが私の様なアマチュアレベルではその差は感じられないのです。

耐久性は違うとよく言われますが私はハブがつぶれるほど乗ったことがないのでこの耐久性については意見ができないです。

グリスアップをしなくてもよく回るのでほとんどメンテナンスしていません。

以上の理由で10/11速のハブに関しては最近は下位グレードのティアグラを選んでいます。勿論手組ホイールビギナーの時はハブはDura、アルテグラで揃えていました。

異論ある方もおられるでしょうが、シマノは本当に優秀です。

ハブオフセットについて

ホイールを作るのにスポーク長を計算します。たくさんの計算ソフトをネットから使うことができます。

私はDT spoke caluclater 、Wheel Proの計算ソフトを使っています。2種類よりいい方を選んでいます。

 

ハブデータ、リムのERD、使うスポーク、ニップルを入力します。

シマノのホームページからティアグラFH-RS400のデータを取ることにしました。シマノのデータは安心できます。

この図がシマノホームページからのデータです。

 

フランジ間寸法 56.9

オフセット   9.75

P.C.D.     44/45

このオフセットが何かわかりませんでした。

この数字から計算ソフトにデータ入力するのですがオフセット9.75㎜ということはセンターの位置から9.75mmずれている事なので56.9の半分28.45mmの位置から9.75mmずれているので左38.2mm右18.7mmの位置がハブセンターになります。

計算ソフトにERDを入れ、ハブセンターより左38.2mm右18.7mm、ハブのPCD44/45を入力、スポークのクロス数、スポークを選択すればスポーク長が出ます。

パソコンを扱う時に簡単なことでも一度わからなくなるとどうしてもうまくいかなくなる時があります。このような簡単なことでもわからないことが何度もありました。

 

知っている人には当たり前のことが知らない人にとっては何のことかわからないこと、このオフセットの数字は私にはその中の一つでした。ベテランの人にはお笑いの話ですが初めての時はこんなものです。

中古ホイールのスポークテンション

中古ホイールを求める際まずブランドを考えてしまいます。次に振れは出ていないか心配しますが、一番に考えないといけないことはスポークテンションだと思うのです。

 

見た目がよく、振れも出ていない。しかし長く使われたホイールは確実にスポークテンションが緩くなっています。掘り出し物買えたと思っても新品の時の状態が分かる人は少ないと思うのです。

スポークテンションが緩くなれば前へ進む力にロスが発生することは否めません。ベストのパフォーマンスを得ることは難しいと思います。

でもこれは見ためではわかりません。走行距離3000km走りましたと書かれてもわかりません。あなたが3000kmでも前の方は何キロですか?と尋ねたくなります。

自分の使用目的がはっきりしていて

1 テンションアップなど新品の時の状態に戻すことができる方

2 メンテのできる人(自転車屋さん、知人)が近くにいる人

はホイールハンティングをされたら楽しいと思います。

 

ブランドに惑わさては失敗します。中古ホイールは玉石混交です。

私は35kmで走るのが精いっぱいでどんなホイールで走っても同じような実力ですがこれ進むな!くらいはわかります。

偉そうにいうな!と叱られそうですが何度も失敗してきたから書いています。