31mm高24mm幅キンリンワイドリム使用アルミホイールの作製

約1年このブログをお読みいただいた方よりスポークテンションが揃っているホイールはどのようなものなのか使ってみたいとご連絡いただきました。

今使っておられるホイールはDTのRR411リムの28穴です。ご自身のホイールと比較してみたいので新しいホイールは28穴のホイールを提案して欲しいとご依頼いただきました。

普段は100km~120km走られるロングライドをメインで楽しんでおられるようです。クロモリフレームに乗っておられるベテランの方です。

提案のホイールはこのブログで何度も紹介していますキンリン社のXR31T/RT 31mm高24mm幅のアルミリムを使ったホイールを提案しました。

ハブはノバテックの軽量ハブ、スポークは前輪にバテッドの1.5mmスポークです。後輪左は1.5mmのバテッドスポークを使い、右には1.8mmのバテッドスポークを使います。中央部が細いバテッドスポークはショックアブソーバーの働きをしますので地面からの衝撃を吸収してくれます。ロングライドに適した疲れにくいホイールです。

左前輪用 右後輪用 3mmオフセット

前後ともに28穴リムで作製します。後輪はオフセットリムなのでスポークテンションの左右差を少なくできます。約10%是正できますのでこれは大きなメリットです。リム重量は約500gと重量はあるのですが31mm高なので軽いほうといえます。リム剛性が高いので走行中の体重が原因で起こるリムのひずみは小さいです。このため駆動ロスが少なく、空力の良いよく回るホイールに仕上がります。以下詳細です。

リム XR31T/RT 前後共に28H

ハブ ノバテックA291SB,F482SB 共に28H

スポーク 前輪TB2015 2.2/1.5/2.0mm シルバー

スポーク 後輪左Laser 2.0/1.5/2.0mm 右コンペティション 2.0/1.8/2.0mm シルバー 

ニップル DSN シルバー

前輪750g
出来るだけスポークテンションを揃えています
後輪936g
オフセットリム使用で左のテンション値が高く仕上がっています

出来上がりました。振れは最小になるように、スポークテンションは出来るだけ均一になるように調整しています。特に後輪左のスポークテンションは高く仕上がっています。

今使っておられるDTホイールとこのキンリンホイールの乗り比べは楽しみです。

因みに当方のキンリンホイールとゾンダを乗り比べられたユーチューバーの方がおられます。この方のご意見ではキンリンのほうがいいようです。

Duraホイールを分解して新しい前輪を作りました

頂戴しましたDURAホイールの前輪をばらして新しいカーボンホイールを作りました。

DURA WH7850 前輪658g

ハブはストレートプルスポーク用です。正確にハブを計測すれば意外と簡単です。

しかし穴ナシリムを使ってのホイール製作ですので難しいことには違いありません。

新生のカーボンホイールです。

新生カーボンホイール 659g

リム 36mm高28mm幅カーボン穴なしリム 16H

ハブ DURA WH7850から取り出した前輪ハブ

スポーク ピラー wing21 黒

ニップル DT SquorxPro ブラス 黒

スポークはDuraの時のスポークより少し重くなりました。僅かな重量ですが剛性は上がっています。しかしニップルが軽くなりましたのでホイール総重量は変わりません。リム高が増えましたので空力は上がりました。

特殊スポークです

取り出しました前輪スポークは写真のように特殊なスポークです。両側に頭がついています。今回のカーボンホイールに使えないかと考えましたがサイズ的にカットして使うには余裕がありません。このため新しいスポークが必要です。

次は後輪です。今リムを注文しています。6月の入荷予定です。手に入り次第取り掛かります。

魔改造ホイールに使ってくださいとDURAホイールを頂戴しました

アルテグラホイールのテンション再調整のご依頼受けまして難易度の高いホイールであったことを記事(5月3日)にしました。扱いが難しいと逆に闘志を感じさせるホイールなのでジャンク品を探して魔改造を試みたいとブログに書きました。するとあるお客様よりご連絡いただきました。

15年前に購入されたということですが現在は3本ローラー用のホイールです。使っていないDURAホイールWH7850があるので新しく生まれ変わるのなら使ってほしいといっていただきました。このご連絡にびっくりしましたがせっかくの御厚意なのでありがたく頂戴しました。

前輪658g
後輪869g

お送りいただきましたDURAホイールです。きれいなホイールなので分解するのはもったいないですがばらしました。

前輪は658g、後輪は869g、前後で1527gです。スポークは特殊なニップルで固定されています。このニップルがもとで扱いが難しくなっています。ゾンダのように通常のニップルを使う構造なら整備がもっと楽になり今も販売され続けているロングセラー商品になっていたかもしれません。いただいたホイールなのにとやかく言うのも行儀悪いと思いますが敢えて申し上げると製品の性能にこだわりすぎて

造り込みすぎたかも?です。

常に新築の木造建築を好む国と石の家に長く住む国の考え方が出ているのかもしれません。しかし、シマノの製品はとても長持ちします。良い製品は長く使えるので補修部品は要らないように作られているのも事実なのでどちらがいいのかわかりません。

前輪 穴ナシリム443g
前輪ストレートプルスポークハブ123g
スポーク・ニップル 16本で88g 1セット5.5g
後輪用リム 穴ナシオフセットリム 467g
後輪用 275g ストレートプルスポーク使用
後輪用 スポーク・ニップル 20セット127g 

ばらしました。前輪リムは443g、スポークとニップルで88g、ハブは123gです。後輪リムはgでオフセットリムです。スポークとニップルで127g、ハブは275gです。これらのリム、スポーク、ニップルは今やとても貴重な品物です。

これから新しくカーボンリムを用意して新生のカーボンホイールを作ろうと思います。ご提供いただきましたお客様に感謝!!です。

カンパ・ハイペロンウルトラのスポークテンション調整

カンパのハイペロンを購入したのですがテンションを見てほしいと連絡が入りました。お客様は以前カーボンホイールをお買い上げいただきました堺市の自転車屋さんのオーナーです。自転車の整備には自信があるがホイールの調整は任せるというお考えです。

きれいな状態です
前輪584g
後輪772g

こちらもある程度のことはできますが自転車の整備はメカニックさんにお任せしたほうが楽です。自転車屋さんへ相談に伺うことは多々あります。まあ仲良くすればよいわけです。お互いに情報交換して腕を磨くのが大切です。

いつものようにホイールのテンションを点検しますと次のような状態です。

前輪 緩くてバラつき度が大きい
左の非ドライブ側のバラつき度が大きいです

前輪が異常に緩いにです。この点がお客様も気になられてこちらに送ってこられた理由です。

何故こんなに緩いのかわかりませんがお客様と相談の結果目標値を約90kgfで仕上げるようにしました。後輪は張りすぎでもなく緩くもないテンションです。出来るだけ均一になるように調整しました。

細かいことですがホイールはインターナルニップルを使っています。後ろから調整するので締め増しするのは楽です。締めるのは楽にできますがどの程度テンションが上がったのかはわかりにくいのが難点です。この説明でピンと来られる方はなかなかの腕をお持ちだと思います。こまめに校正したテンションメーターで確認するのが一番の近道のようです。

前輪を約90kgfで仕上げました
後輪 出来るだけスポークテンションのバラつきを少なくしています

調整が終わった状態です。飾っておきたいホイールですがいつでも出番があれば使える状態にしておくのも大切なことです。めったに出会えないホイールに会わせていただきました自転車屋さんに感謝です。

カーボンホイールのアルミニップルをブラスに交換

中華カーボンホイールの中では名前の通ったホイールのアルミニップルを交換してほしいとご連絡いただきました。

ご自分でもホイールのテンション調整ができるベテランライダーさんですがテンションメーターの校正が出来てなく少し不安があるそうです。やはりカーボンホイールのテンション調整はシビアにしたいとご希望です。

お預かり時の前輪スポークテンション  バラつき度が高い

このメーカーのリムは購入したことがあります。いいリムで長く使っています。ただ今回知ったのですが、残念ながらこのメーカーが販売する既成ホイールに関してはスポークテンションのバラつき度が大きく本来の力が発揮できないホイールと思いました。メーカーのビルダーさんに当たり外れがあるのかもしれません。

前輪603g
後輪734g
ダブルスクエアニップル

ニップルはダブルスクエアのブラスニップルに交換しました。このニップルなら前からでも後ろからでも回すことが出来ます。テンション調整で締め増しするには後ろから調整したほうがしやすいと思います。ダブルスクエアはとても使いやすいお勧めのニップルです。

スポークテンションは出来るだけ均等になるように調整します
スポークテンションのバラつきを少なくします

ニップル交換が終わりスポークテンションのバラつき度を5%以下にするように(数値が少ないほうがいい)しています。今まで何度かDuraホイールを調べたことがあり、バラつき度が5%前後でしたので手組ホイールファンでは5%よりよくなるように調整しています。Dura以上を目標としています。

スポークテンションは125~130kgfで均一になるようにしています。タイヤをはめると10~15%テンションダウンしますのでそれも計算に入れて調整しています。

最近のアルミニップルは強化アルミを使われていますので強度面では心配することは無用といわれています。しかしダート環境でのレースに出られることが多いのであれば腐食のことを考えた方が良いかと思います。アルミニップルも弱点はあります。レースで泥だらけになることが多いのであるなら、レース後洗っていても腐食は知らない間に進むものです。見た目はきれいでもスポンとスポークが抜けることがあります。その点ではブラスニップルは重くなりますが安心度は高いです。

再生バルブを使ってみると合格でした

使用済みのチューブから取り出したバルブを使ってチューブレスタイヤをインストールしてみました。

再利用のバルブは使えるか?試してみました
ゴムワッシャーを一枚入れました

空気をコンプレッサーで入れてみますと一気にビードが上がり、これは使えると思いました。

では空気漏れはどんなものかと調べてみますと大丈夫でした。丸一日置きまして再度測ってみると良い結果が出ています。

空気を入れて測ると6.12気圧です  一日後にもう一度測ります
一日経って5.72気圧を表示

6.12気圧を入れて一日経って測ってみますと5.72気圧でした。

一日経ってこの減りでしたら合格です。

再生バルブは使えます。ホームセンターで買ったゴムワッシャーで空気を止めれば古いバルブでチューブレス運用はできます。但しシーラントは入れています。

キャノンデールhollowgram 35ホイールを調整

シクロ選手のお客様よりご連絡いただきました。今まで何度もレース用のホイールを作らせていただきましたリピートオーダーのお客様で、今回はキャノンデールhollowgram 35カーボンホイールの再調整依頼です。

前輪721g ブレーキ側16本 右非ブレーキ側8本
前輪 左クロス組右ラジアル組
後輪861g 左14本右14本 1:1組
左右クロス組

お預かりしましたホイールは前輪24H後輪28Hの組み合わせで前輪は2:1組、後輪は1:1の組み方で作られています。

ホイールはいつものようにスポークテンションを調べてからどうするかを決めていきます。

前輪、後輪は次のような状態でした。グラフにしますとよくわかります。

前輪のグラフ  左ブレーキ側約120kgf右約158kgfと右が高過ぎる
後輪グラフ テンションは均一ですがもっと揃えることが出来ます

前輪は2:1組で左ブレーキ側と右非ブレーキ側とのテンションを見ますと右側が少し高すぎるように見えました。少しテンションを下げることをお勧めしました。

調整後の前輪  全体として少しテンションを下げました

低すぎるのも問題ですが高過ぎるのも注意が必要です。少しだけテンションを下げて調整しています。

調整後の後輪  左右のスポークテンションは出来るだけ均等になるように調整しています

後輪はテンションをあげて、均一化に注意をはかり調整を行いました。

前後共にスポークは出来るだけ揃えることです。振れ取りかテンションかとなりますとテンションが優先です。

もともとよくできたホイールでした。しかし使われる前に状態を知っておかれたので安心されたと思います。今シーズンはこのホイールで大会に出られるようです。お手伝いできてありがたいと思っています。

使用済みチューブのバルブを使う

ずっと使用済みのチューブを何かに利用できないかと思っていました。

パッチを当ててチューブを再利用するのもいいのですがなんとなくチューブが固くなるのと継ぎはぎから空気が漏れるのではと気になってやっていません。結局は捨てていました。バルブが残るのでこのバルブを取り出してチューブレスタイヤ用のバルブにできるのではないかとふと思いつきやってみました。

最初はバルブ周りのゴムを切り取ってやってみたのですが全くうまくいきません。あきらめて捨てようと思ったのですがホームセンターのネジコーナーでゴムワッシャーが売られているのを見つけました。M5x12x1.5というゴムワッシャーです。一袋140円でした。このゴムワッシャーを使ってもう一度タイヤインストールに挑戦しました。

ホームセンターで買ったゴムワッシャー
チューブから取り出したバルブ  余分なゴムをきれいに切り取りました ゴムワッシャーを使っています
パキパキとビードは一瞬で上がりました

バルブを取り付けてねじは手まわしでOKです。とりあえず石ケン水をタイヤ周り吹きかけてコンプレッサーで一気の空気を入れてみました。果たしてうまくビードはパキパキ音を立てて上がります。うまくいったようです。

予備のバルブはありますが捨てるチューブの再利用は話が違います

バルブは沢山予備を持っています。使用済みのタイヤからバルブだけ取り出すのはけち臭いといえばそのとおりですが、やはりもったいないです。ゴムワッシャーと一緒に使えば再利用できます。但しチューブレスタイヤの運用ではコンプレッサーはあった方がストレスなく進みます。うまくいって良かったです。骨までしゃぶっています。

ヨンロク組をどう思いますかと質問いただきました

だいぶん前にブログ記事にしていますが表題の件で何度か問い合わせがありました。

最近も問い合わせいただきました。どう思いますか?とご質問なのでざっと考えていることお返事しました。

10年以上前のことですがこの組み方を知りました。へー、こんな組み方があるんやと驚きました。いろんな方がブログ発信されて大きな風が起こったことを覚えています。

しかし日本ではこんなにヨンロク旋風が巻き起こっているのに海外では全く話題にもなっていなかったことも印象に残っています。

スポークテンション比率は計算できます。比率は左右のスポークの長さで決まるのですが今はスポーク長の計算ソフトにテンション比率も出るようになっていますので容易にわかります。

Wheelproのソフトで理解できますので見ていきたいと思います。勿論Spocalcでもテンション比率が簡単にわかります。

シマノのティアグラハブとキンリンのXR31T/RT 28穴リムを使ったホイールを計算してみましたので理解しやすいです。

Crossの入力部分に入力しました。左非ドライブ側3クロス右ドライブ側3クロスでは次の数値となります。

左右のスポークテンション比率は44*100 左が低いことが分かります。

左非ドライブ側3クロス右ドライブ側2クロス(いわゆるヨンロク組)では次のようになります。

Crossと書いてあるところに左は3右は2の数字を入力しています。結果は45%:100%の数値が出ます。1%左スポークテンションが上がりました。

ヨンロク組では左右のスポークテンション比率が45:100となり1%改善されます。

次に穴位置が3mmオフセットしたリムを使いますとこのようになります。

リムセンターが3mmずれたオフセットリムを使いますと左右のテンション比率が58:100です

こうして見ますと3mmオフセットリムを使うとテンション比率が58:100と劇的に改善できます。ヨンロクでは1%改善できるのでこれを大きな数字ととらえるか、なに?それだけ?と捉えるかです。

私もヨンロク組を使ってホイール組をいたします。マージナルゲインを追求する上でも良い方法だと思います。チェーンを洗う、ハンドルバーを替える、ヘルメットは空力のよいヘルメットを使うというような細かいことの積み重ねを大切にするという考えの一環です。しかしオフセットリムを使えば大きくテンションの改善が出来るのでこの場合はほとんどヨンロクでは組みません。お客様からのご指定の場合は別ですが...

左側のテンションを上げるには右側を135kgfくらいに上げて相対的に左を上げるという方法が一般的です。ヨンロク組で組み方を工夫してテンションをあげるという方法はホイールメーカーでは取り入れられません。手間がかかるし、効果としましてはわずかな数値からだと想像します。イソパルスで組んでも2%の効率アップです。このため組み方として一番効率が良くなるのは2:1組です。この組み方はいろんなホイールメーカーが取り入れています。世界的といっても良いくらい広まっているのが2:1組です。

このようなことを書きましてお返事いたしました。ヨンロク組は1%のアップですが意外と手間がかかります。ハブを再利用する場合はヨンロク組でしか使えません。穴位置に跡が出来ていますので他の組み方ではハブが割れる原因となりますので注意が必要です。

以上のことから

①オフセットリムを使う

②右ドライブ側のテンションを出来るだけ上げて相対的に左も上げる

この2つの方法が一般的だと思っています。

手組ホイールとゾンダの試乗比較です

カーボンホイールをご注文いただきましたお客様からの紹介でご縁が広がりました。

石垣島で自転車の乗り方を指導されているフランキー・たけさんから手組ホイールファンのホイールに乗ってみたいということでご連絡いただきました。いままで存じ上げなかったのですが長年のプロとしての経験から効率よい自転車の乗り方を教えておられます。

今回はご自身のゾンダと手組ホイールを比較するという企画です。最初はどんな乗り味なのか心配されていたと思います。

このブログ自体がある意味広告となっていますのでなかなか言い辛いことですが、結論から言いますと丁寧につくられた手組ホイールはブティックブランドの完組ホイールと十分勝負が出来ています。価格面でははるかに安価ですが走りの性能では負けていません。

ホイールの造り手があれこれ言うのもどうかと思いますのでYouTubeをご覧になってください。https://youtu.be/bA-pIhZI6rg

感覚の鋭い人はサドルを1mmずらしても変化を感じ取れるといわれていますが元競輪選手のたけさんもその感覚を持っておられるようです。勿論計測には機械を使っておられますが走りでの感覚はご自分の五感を大いに働かせておられます。バイクを走らせるときに感じる感覚を言葉にされるのですがとても興味深いものです。

キンリンホイールは次の通りです。

前輪679g
後輪911g
後輪 2:1組 16:8ハイテックスハブ使用

ゾンダとほぼ同じくらいの重量です。リム高31mm24mm幅のアルミリムでリム重量は約500gです。決して軽くはありませんがリムの高さから考えますと軽いリムです。ハブは台湾のバイテックス製でストレートプルスポークを使用しています。

このホイールは2:1で組んでいますが通常の1:1組も優秀なホイールが出来上がります。ブランドホイールに乗っておられる方に是非知っていただきたいと思っています。