チューブラーホイールのインプレをいただきました

チューブラーホイールのインプレをいただきました。 ご自分でもホイールを組めるベテランライダーさんからのご注文 です。

新規にご注文いただきましたホイールは今まで使われていたホイールと同じ仕様で、使われたいたホイールから取り出したハブを再利用するというご注文です。

つまり今まで乗られていたホイールと同じホイールのご注文だったわけです。お客様はビルダーが作ったホイールならどんな感じに変わるのだろうかと興味津々で新しいホイールが届くのを待っておられました。

シマノハブで組んだマビック チューブラーホイール
マビック リフレックス 32h
シマノ FH-5800 32h
シマノHB-6600 32h

ご自分で作られたホイールをばらして取り出したハブと新しいリムをお送りいただきました。とてもよく整備されているハブです。シマノハブの良いところは新品の時が一番悪い状態で整備次第でどんどんよく回るハブに育っていく点です。重いのですがよく回ります。

スポークは前輪を1.5mmのバテッドスポーク、後輪の左を同じ1.5mmのスポークで、右を1.8mmのスポークで作るというご注文でしたのでスポークメーカーはこちらで提案しました。

使うスポークはDTのレボリューションとコンペティションです。このスポークで提案しました。ホイールの仕様はすでにブログ記事にしていますのでご参照願います。

以下お客様よりいただきましたインプレです。記事にしてよいと了解いただいています。

自慢げになりますがこのように書いていただきました。

早速ですが、感想です。

昨日、4時間位乗車しました。結論は、身体に優しいホイールです。

道路のデコボコや段差を越える時の衝撃が、まろやかになりました。

4時間乗っても、疲れ難いです。乗り始めはタイヤの空気圧が低くなったと

勘違いする程でした。加速のキレが低下した感覚です。

しばらく走るうちに乗り心地が良く感じられました。ペダルを回すのが楽しくて、

ずっと乗っていたい感じです。はっきり言って、クセになります。

ペダルを止めても、スピードの落ち方が少ないように思います。下りのライン取りも、

それ程気を使わずに狙ったラインをトレース出来ます。

自分が組んだホイールとは、全く違います。同じハブほぼ同じリムで、

違うのはスポークと組み手です。素晴らしいホイールを、ありがとうございました。

今やアルミチューブラーホイールは絶滅危惧種ですのでご自分で作るかオーダーしなければ手に入りません。外周部を軽く仕上げるにはチューブラーを選択するのは一押しのアイデアです。

今回このようなインプレをいただきましてビルダーとしてとてもうれしくありがたいと思います。スポークテンションを揃えることに少しは技術の差があったようです。

お客様がご自分で組まれたホイールとは明らかに違うと言っていただきました。とても素敵な勲章をいただいたようなものです。これからも注文してよかったといっていただけるように精進したいと思っています。

RR411リム、DURAハブで組むアルミホイール

同じお客様よりこれで6セット目のホイールをご注文いただきました。今までの出来上がりを気に入っていただいています。今回はDuraハブの新品を手に入れられたので新しくホイールを組むというご注文です。

Duraハブ 366g

DURA9000シリーズのハブですがディスコンとなっていますのでなかなか新品が手に入りません。今や貴重品です。うまく手に入れられて、このハブを使ってほしいとお送りいただきました。

リムは最近組み替えを終えたホイールのお預かりリムです。次のホイールを決めるまで預かって下さいということで保管していました。

今まで5セットも組ませていただきましたのでお客様はご自分のスタイルを分かっておられます。前輪には細いスポークのサピムLaser(2.0/1.5/2.0mm)で組み、後輪はサピムRace(2.0/1.8/2.0mm)を使っています。

前輪を細いスポークで乗り味を柔らかくして後輪は少しスポークを太くして剛性を上げています。ロングライドに適したホイールです。

スポークの太さを変えることで乗り味や剛性を調整しています。手組ホイールならではの方法です。自由にリム、ハブ、スポークを組み合わせることで乗り手の好みに合わせることが出来ます。

自転車は使う部品をいろいろ変えてグレードアップできます。中でもホイールは一番影響力があります。自転車には早さが必要ですが乗り心地も大切です。ホイールはリム、ハブ、スポーク、ニップルの4つの部品の組み合わせでいろいろな組み合わせが出来上がります。ホイールは一番面白くて奥が深いと思っています。

ご使用のホイールを今まで何回も組み替えしましたのでお客様はスポークを前輪はLaser、後輪にはRaceを指定されました。ご自分の乗り方と相性がいいのは前輪Laser後輪Raceという組み合わせです。スポークの組み方は前後ともに王道の左右3クロス組です。

DT RR411リム
SquorxProニップル ニップルワッシャー

リムはDTのアルミリムRR411を使います。21㎜高、21.5mm幅、重量435gです。オフセットリムも作られています。後輪にはオフセットリムを使います。これで左右のスポークテンション差を少なくできます。このリムを購入しますとアルミのSquorxProニップルとニップルワッシャーが付属します。しかし今回はブラスSquorxProを用意して組みます。

DTはニップルワッシャーを使うように指定しています。ワッシャーはリム穴部分の強化に適しています。ワッシャーを使うのは理にかなっていますがいつも使うわけではありません。必ず要るとは言えないのがニップルワッシャーです。使っていない完組ホイールも多いです。このワッシャーには研究の余地があると考えています。

ご注文いただく前のホイールは2mm径のDTチャンピオンで組まれたホイールに長く乗っておられました。2mm径のスポークは剛性がありすぎだったようです。長年チャンピオンで組まれたホイールに乗っておられたので細いスポークに組み替えたときの印象はガラッと違っていました。お好みに合ったのだと思います。これ以来、ホイールの注文はこちらにいただくようになりました。

ホイールは使われているスポークで性能や乗り味が変わります。高級ホイールにはサピムのCX-RAYがよく使われています。CX-RAYは優秀なスポークですが CX-RAYを使っているからいいホイールであるということはありません。体重にあわせたスポーク数、スポークの太さの選択が大切と考えています。

前輪739g
振れは最小に スポークテンションを最大限揃える
後輪949g
振れは最小に スポークテンションを最大限揃える

完成しましたホイールは前輪739g後輪949g前後1688gと軽量です。しっかりスポークテンションを揃えました。振れは最小に、スポークテンションは最大限一致させます。ロングライドに適し、踏み込んだらしっかり反応するホイールが出来上がりました。お客様からのインプレが楽しみです。

マビックリムでチューブラーホイールの作製

今回もお持ち込みでホイールの作製依頼です。ハブとリムをお送りいただきました。

マビック リフレックス 387g

ハブはシマノハブを使います。前輪はアルテグラのHB-5800、後輪はFH-6600と旧タイプのディスコンハブです。無理やり新旧に分けていますがハブ性能はとても優秀です。シマノハブの良いところは定期的なメンテをすれば20年でも30年でも使えるところがいいです。

今回のハブは再利用ですが丁寧にメンテされていますので回転がとても滑らかです。上手に育てたハブといった感じです。メンテを欠かさなければいつまでも良好な性能を維持できるところがシマノハブの優れたところと思います。部品供給も長くあるのでこの点でも良いところと思います。

HB-5800 32H 140g
FH-6600 32H 373g

ハブの重量を測ってみました。前後で約500gと重いのですがホイール中心部の重さなので回転には影響しません。重いは丈夫ということがいえます。よく「軽さは正義」という人がいますが軽さだけが良い製品の基準ではないことがよくわります。

リムはマビックのリフレックスです。現行ではマビックオープンプロ・チューブラーとなっています。新品のリムをお送りいただきましたので長く保管されていたのでしょう。

今はチューブラーリムの選択肢は少ないのが現状です。アルミリムではクリンチャーホイールばかりなのでチューブラーホイールが手に入りません。手組するしかないのですがチューブラーの良さをもっと知っていただきたいものです。

リム重量はとても軽量です。リムにタイヤを貼り付けるのでクリンチャーホイールのようにビードが影響してのスポークテンションダウンはありません。ホイールの性能はそのまま反映します。これもチューブラーホイールの良いところです。

チューブラータイヤの選択肢も少なくなっていますがプロ選手はチューブラーホイールを使う人が多いです。それだけチューブラーホイールには安心感があるということだと思います。クリンチャーホイール全盛ですがきらっと光る長所の多いのがチューブラーホイールです。

前輪にはスポークは1.5mm径のDTレボリューションスポークを使っています。今回のように32本使う多スポークホイールには細いスポークを使えばスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれますので乗り心地が優しくなります。疲れにくいホイールが出来ます。

後輪は右ドライブ側にDTコンペティション左にレボリューションの組み合わせです。右ドライブ側を太くして剛性を上げています。ホイールの剛性はスポークの総面積に比例しますので左右スポークの太さを変えてスポークの総面積を増やしています。

ニップルはSquorxProブラスを使っています。アルミニップルは強化されて丈夫ですがブラスと同じ強度ではありません。より安全なほうを選ぶということでブラスを使っています。

軽量で強度の高いレボリューションは利点の多いスポークです。このスポークを使うにあたりあまり知られていない注意点があります。

中央部が1.5㎜と細いので取り扱いが難しく、ねじれ易いスポークです。テンションを上げるにつれてスポークがねじれますので、このねじれを防ぎながらテンションを上げることが大切です。もう一点このスポークにはカットできる余裕がありません。スポーク長計算で失敗してもカットすればよいということはできません。しっかりと計算してスポーク長を出さないといけません。

タイヤを貼り付けるチューブラーホイールはテンションダウンがない
前輪722g 
前輪スポークテンショングラフ
前輪 レボリューション 左右3クロス組
後輪985g 外周部は軽量です
後輪スポークテンショングラフ
後輪左レボリューション右コンペティション 左右3クロス組

ホイール重量は前後で1707gですがホイールの外周部は非常に軽量です。スポークは細いスポークを使っていますので地面からの衝撃を吸収してくれます。つまり疲れにくいホイールです。今ではなかなか手に入らないチューブラーホイールですが部品を組み合わせて作り上げる手組ホイールなら大丈夫です。乗り心地の良い、乗って楽しいホイールが完成しました。

TNIワイドリム使用アルミホイールの作製

カーボンホイールをご注文いただきましたお客様より気兼ねなしに使えるロングライド用のアルミホイールをご注文いただきました。リピートオーダーはうれしいです。お納めしたホイールの良さを認めていただきましたからまたご注文いただけるということですのでビルダー冥利に尽きます。

今回のプランはお客様からのご指定です。とても詳しく研究されています。リム、ハブはお送りいただきました。スポークとニップルをこちらでご用意することになりました。

AL22W 22mm高24mm幅 452g
AL31W 31mm高24mm幅 500g
ティアグラハブ 前後517g

リムはTNIのワイドリムを使います。ハブはシマノティアグラハブ(黒)です。ハブは事前に調整されてとても軽快に回ります。前後ともに28hという組み合わせです。

前輪リム AL22W 28h 

  ハブ シマノHB-RS400 28h黒

  スポーク TB2015 2.0/1.5/2.0mm  2クロス組

  ニップル ブラス シルバー

後輪リム AL31W オフセットリム 28h

  ハブ シマノFH-RS400 28H黒

  スポーク 左TB2015 2.0/1.5/2.0mm シルバー  3クロス組

  スポーク 右TB2018 2.0/1.8/2.0mm シルバー  2クロス組

  ニップル ブラス シルバー

当初この組み合わせで承りましたがTB2018の指定寸法のスポーク在庫がなく、揃えるのに時間が掛かることをお知らせしますと快く代替品をお受けいただきました。

TB2015 2.2/1.5/2.0mm
WING 21

提案スポークはwing21で、重量はTB2015,TB2018の中間の重量です。わずかの重量差ですが剛性は高まります。ホイールが硬すぎる場合は細いスポークに替える。剛性が足りなければ太いスポークに替える。このようにスポークを変えることで大きな投資をしなくても性能の改善はできます。入門用として最初についてくる鉄下駄といわれているホイールも見違えるほどよくなります。お勧めいたします。

さて、リムの高さは前後で変えておられます。前輪は22mm高、後輪は31mm高です。前輪を低くすることで約50g軽量化を図れます。後輪は剛性を高めて駆動力を上げるという組み合わせは面白い方法です。いろんな組み合わせが出来る手組ホイールならではの方法ではないかと思います。

このリムはチューブレスレディーです。テープを巻いてバルブを用意すればチューブレスホイールとして使用できます。

TNIのこのリムは優秀です。剛性が高く価格的にもこなれています。後輪には穴が3mmオフセットしたものを使います。これで後輪左右のスポークテンション差を少なくできます。通常より約10%改善できます。加えて 一般にヨンロク組といわれている組み方をご指定されました。 左右の組み方を変えることで2%ほど高めることが出来ます。

スポークテンションに関してはご指定がないので当方の組み方で行っています。

前輪は約110kgf後輪ドライブ側約125kgfで仕上げています。テンションを揃えることを一番に優先して作り上げています。こうすることで振れの出にくいホイールに仕上がります。ホイールを組むことが出来るベテランライダーさんからの注文があるのもこれが理由です。振れ取りとテンション一致を同時に行うことは自慢げになりますが結構難しい作業です。

前輪スポークテンショングラフ 揃っています
後輪スポークテンショングラフ  揃っています

スポークテンションが揃っていることの利点はまず狂いが少ないことがあげられます。長く乗られても振れはホンのわずかです。勿論馴染みだしは何度も行うことが必要です。完組ホイールの馴染みだしはプレス方式です。この方法だけでは後から振れが出やすいです。プレスだけでなくスポークを握ることを丁寧に何度も行うことで狂いの出にくいホイールが出来上がります。ホイール作りの基本です。

今回のようにご自分でもホイール組ができる方のご注文は私も勉強になります。お客様には送料代が掛かりますがお好みのホイールが出来上がります。ご一緒にスポークの選択を行い組み方の相談を行います。お互いに知恵を出しあってホイールを作り上げていきます。また、スポーク計算の失敗で余分なスポークを購入する必要もありません。私のほうは工賃をいただいて勉強ができます。お互いウィンウィンです。

前輪771g
後輪1038g

出来上がりのホイールは前輪771g後輪1038gでした。前後高低差のあるリムで作り上げましたホイールはロングライド用として使用される予定です。軽いホイールだけが走るホイールではありません。インプレが楽しみです。

ICANカーボンホイール後輪の再調整

前輪を修理したことを記事にしましたが後輪の調整もご依頼いただきました。

後輪はニップルの取り換えと調整を行います。

ICAN 45mm 後輪 789g

バラつき度は低いのですがハイテンション過ぎると思います

お預かりしましたホイールはいつもスポークテンション、センター出しはどうなのかと事前チェックします。振れはほとんどありません。見た目はよくできています。やはり問題はスポークテンションだと思います。メーカーはこれでOKしていますが私はハイテンション過ぎると考えます。

グラフにしますとよくわかります。このグラフを作るソフトではメーターが0.24mmの値が出るとグラフになりません。ギリギリのところでグラフになりましたが驚くばかりのハイテンションです。

ICANではハイテンションがいいと考えているのでしょうか?前輪の時もびっくりしました。

ハイテンションはリムの凹みを少なくするのにはいいですが高すぎるのはよくありません。ドライブサイドが120~130kgfにするようにといつも購入しているリムメーカーでは指定しています。やみくもに高くするのはよくありません。リムを傷めるもとになります。

今回預かりました後輪はドライブサイドが約160kgfと驚くばかりのハイテンションでした。こんなに高いとスポークはショックアブソーバーの働きをしません。直接リムに衝撃が伝わります。段差を乗り越えるときなどにリムが割れるもとになり得るのです。リムが凹まないようにスポークテンションを高くすることはお勧めしますがこれも限度もので闇雲にテンションを上げることは逆効果です。

人様が作ったホイールを預かりますと勉強になります。今回面白い発見をしました。

使われているニップルがとても長いのです。約18mmあります。

ニップル長 18mmはなかなか手に入りません

どうしてこんなに長いのか不思議に思いました。アルミニップルなので重量は軽いのですが何故こんなに長いニップルが使われているのかわかりませんでした。今回の仕事にはニップル交換も依頼されています。DTのSquorxProブラスニップルに交換です。お客様は軽いアルミニップルよりも重くても丈夫なニップルを希望されました。

作業をしていてわかりました。長いニップルはとても作業がし易いです。ニップルの取り外しにおいて手で回すときはとても回しやすいのです。多分長いニップルを使われている理由はこれだと思います。

作業効率を上げる。少しでも早く沢山作る、これです、これが理由と思います。余計な事ですが…

スポークテンションを下げました

中華カーボンなどいわゆる無名のホイールを購入される場合しっかりと測れるテンションメーターがあればいいと思います。ブランドホイールも中古の場合は要注意です。振れがなくても安心できません。手組ホイールファンのホイールは無名ですので信頼得るためにテンショングラフをお付けしています。ご安心ください。

TM-1の校正依頼

何度もテンションメーターは校正が必要とブログ記事にしてきました。

これに共感いただいたお客様よりTM-1の校正依頼がありました。

左お客様のTM-1 右私のTM-1 同じ値は出ません バラつきがあります

3種類のスポークの校正表をお作りするということです。3本のなかでスポーク1本はお送りいただくことになりました。そのスポークはイタリアのACI Alpina というメーカーのダブルバテッドで2.0/1.7/2.0 スポークです。珍しいです。ご依頼ではこのスポークと他2mm、1.8mmのスポークを調べるということです。

右の秤は校正済みの秤です  スポークを引っ張りテンションを測ります
こんな表にして使いやすくします

調べ方は単純です。ただ時間が掛かります。50kgf、60kgfと130kgfまで10kgf単位でスポークを張り、TM-1を当てて目盛りを読むというやり方です。スポークの当てる位置も中央に固定しています。3本調べて表にしてパウチ仕上げにします。そばに置いておけば扱いやすいです。この作業は単純ですが結構ノウハウが詰まっています。

後で伺いましたのですが、お客様はすでにホイールを完成されたようですが作られたホイールのスポークテンションが張りすぎていないか心配だったようです。TM-1は20%も誤差のある製品もあります。使っておられるテンションメーターの精度を知ることでホイールに反映することが出来ると判断されました。とても正しい選択です。

先日ですが、スポークを弾いて音で判断する方法を行っているメカニックさんがNHKの自転車の番組で紹介されていました。音を聞き分けてスポークテンションを揃える方法は昔からよく使われる手法です。スポークテンションを一致させるのに手際よくできる方法としてとてもいいです。

この方法は便利ですが絶対値が分かりません。やはりテンションメーターとの併用がいいと思います。まずメーターで測って必要な値を知ったうえでその音を聞き分けていけば作業は早いと思います。

今回はお預かりしましたTM-1が私の使っていますTM-1とは大分違っていました。均質ではないということです。私のメーターより優秀でした。このことからもメーターの精度にはバラつきがあることがよくわかります。絶対値ということではTM-1はあまり信頼できないということ知って使われることです。

36mm高ディスクカーボン定番ホイールの作製

5月初めに当ブログにあるお客様よりオールラウンドホイール用としてディスクホイールを提案してほしいと連絡がありました。いつものようにお勧めの46mm高と36mm高のホイールをご案内いたしましたところその時お返事はいただきませんでした。まあこういうものは縁のものですのでよくあることです。

どういう経過なのかわかりませんが5月末に再度ご連絡いただきました。約1月考えられたようで最終的に36mm高のディスクホイールをご注文いただくことになりました。ありがたいことです。

昨今の部品事情の悪化や円安など自転車部品調達に関しての状況はそんなによくありません。注文してもなかなか入ってこないのが実情です。しかし今回不思議な縁でしてご注文いただきました3日前に予備で発注していましたカーボンリムが入荷していました。すぐに取り掛かることが出来ます。約一週間で納品ができます。

定番ホイールですので今まで何度も内容を書かせていただいています。おさらいしますと次のような部品の組み合わせです。

前輪700g
後輪809g
穴なしリムは利点が多い

リム 28mm幅36mm高カーボンリム 

   フックタイプ 前後ともに24h 穴なし ディスク用

ハブ TNI REVOハブ 前後ともに24h

スポーク ピラーwing21 黒 

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

穴なしカーボンリムはチューブレスホイールとして最適です。穴があるとテープを巻いて運用しなくてはいけません。このリムはバルブ穴が1つだけです。手組ホイールファンの定番ホイールは穴なしリムを使います。

実際の運用ではテープを巻くリム、巻かないリムの違いは使ってみれば非常によくわかります。穴なしはとても便利で経済的です。テープ運用ですとパンクの時にはテープをはがして、またテープを巻かないといけません。このことは何度も書いていますのでまたか!になりますがユーザーに向き合ったリムといえます。

リムが円安で少し高くなりましたのでホイールの価格は若干円安の影響を受けています。しかしブランドホイールの価格と比べますと格安で価格は1/3の値段です。無名のホイールですが性能は安物ではありません。

カーボンリムは剛性が高いので真円に仕上げていくのはアルミリムよりも高精度に仕上ります。そしてスポークテンションを均等にして仕上げることが肝要です。

リムメーカーの指定ではスポークテンションは120~130kgfがいいということなのでこの案内に従って仕上げています。勿論校正したテンションメーターを使っています。タイヤインストール後のテンションダウンを考慮して強すぎず弱すぎずというところです。ハイテンションはリムを真円に保つのにはいいのですが引っ張りすぎるのもいけません。本来衝撃を和らげるショックアブソーバーの働きもするスポークがリムの割れるもとになるのです。何事も過ぎたるは猶及ばざるが如しです。

スポークはピラーのwing21です。知名度はサピムのCX-RAYと比べて低いと思います。

しかし実力はなかなかのものを持っています。Jベントの部分が2.2mmと太いのがいいです。弱いといわれている部分を強化されています。中央部の比翼型の部分が空力をよくしています。風洞実験でも好成績ということです。詳しくはピラーのホームページでわかります。

ニップルはDTのSquorxProです。ニップル内部に滑り止めを注入してあります。ニップルは普段注目されませんがとても大切です。カーボンリムの場合アルミニップルではガルバニック腐食も考えられますので丈夫さを考慮してブラスのほうを選んでいます。とても高価なニップルですが使う価値はあります。

穴なしリムの作業は仮組までが大変です。時間が掛かりますので集中力が必要です。注意してニップルを取り出さなくてはなりません。ポロっとリム内に落さないようにするのが大変です。

スポークテンションを均等に張ることが大切です
振れ取りとスポークテンションの均一化は別のものです

仮組が終わると通常のホイールと作業は同じで振れ取りを行います。注意点はスポークテンションが均一でなくても振れ取りはできることです。スポークが強弱強弱とバランスが取れていますとテンションが均一でなくても振れ取りが出来ます。

ホイール作りの上手下手はこれで分かります。下手な人が作るときれいに振れ取りされていても一か月もすれば振れが出てきます。スポークテンションにバラつきがあるとこのようになります。ホイールはスポークテンションを均等に張って仕上げることが肝心です。勿論当ホイールのスポークテンションのバラつき度は非常に低いです。

仮組は一日でおわります。しかし仮組が終了してからが腕の見せ所です。組みあがってから何度もスポークテンションの調整を行います。お客様には早くお届けしたいのですが辛抱していただいています。時間をあけて出来上がったホイールを休ませながら調整するのがコツです。ストレスリリーブというのですがしっかりと何度も馴染みだしを行っています。こうすることで長く使われても真円を保っていることが出来ます。特別な手法ではありません。丁寧に組み上げているだけです。ご安心願います。

ICANカーボンホイール前輪の修理

走行中に道路のキャッツアイを踏んでカーボンホイールの前輪が割れ修理できませんかと問い合わせがありました。お客様は中国メーカーに問い合わされたところ修理代金と送料代がかさむので直してくれるところがあるならそちら(日本)で直した方がいいということで修理してくれるところを探されました。

最初はちょっと戸惑いました。キャットアイを踏んだ、何これ?という感じです。キャットアイは自転車部品の会社しかこちらは知りません。調べますとこれです。

通常はこのようなご注文はお断りしているのですがやはりお困りなので修理をお受けしました。ちょっと偉そうですが、義を見てせざるは勇無きなりです。お客様は中国からリムを取り寄せられ当方に送られてきました。

前輪669g 軽量です
150kgを超えて作られているのが気になります

お預かりしましたホイールはいつもスポークテンションを調べます。どんな作りをしているのかを調べるにはテンションを測るのが一番よくわかります。

キャットアイを踏んで割れたところ
45mm高 421g 新しいリムです

今回のホイールはこんな状態でした。

一度衝撃を受けていますのでテンションバランスがすずれていると思いますがとてもハイテンションで作られていました。キャットアイを乗り越えたときの衝撃でリムが割れたのですがこのハイテンションもその一因ではないかと考えています。

CX-RAYスポークは弾力があるスポークでショックアブソーバーのような働きをしっかりしてくれるすばらしいスポークです。しかし今回は150kgfの値までカンカンに引っ張っているためかショックを和らげる働きはしなかったようです。

お客様は突然出てきた歩行者をよけるため仕方なくキャットアイに乗り上げたとのことです。大きな事故にならなくて本当によかったです。しかし残念なことに一瞬の衝撃でリムは割れました。リムが衝撃をダイレクトに受け止めたようです。衝撃を受ける側に弾力があればショックを吸収していたかもしれません。

あとからの理由付けです。ある意味勝手なことを言っているのですがホイールを作る側としていい研究材料をいただいたと思います。

ハイテンションで組み上げて真円を保つ、つまりリムが凹まないホイールを作ることはホイール作りの基本です。しかしこのハイテンションも限度があるなと感じます。

やはり闇雲なハイテンションはよくありません。因みに私が購入するリムメーカーの推奨テンション値は120~130kgfです。

左ブレーキ側を約130kgfで仕上げています
スポークテンションは正確に測りたいものです

いいホイールを作るにはしっかりしたテンション管理が必要と改めて感じました。今回は130kgfで仕上げました。タイヤインストール後は約110kgfくらいだと思います。

低価格で販売するICANのホイールの製作事情は分かりません。大雑把にいえば数を稼いで利益を出すビジネスモデルです。何度も馴染みだしを行いじっくり端正込めて作っているとは考えられません。振れがなくテンションが揃っていればOKとしていることを感じます。

ホイール作りは上手下手がはっきり出ます。ICANのホイールをすべて同じ人が作っているわけではないのであたり外れが激しいのかもしれません。

中華カーボンホイールはとても購入しやすい価格です。ただ中華カーボンホイールは当たりのホイールもあれば失敗だったと思うホイールも多々あるようです。何度も修理してきました正直な感想です。

あえて言いますと上級者向きのホイールと思います。つまり自分で直せて調整ができる人、または友人や親しいショップの人が近くにいて直せる環境を持っている人は有利です。何かトラブった時には修理代金や送料代金が高くなる覚悟はいります。今回のようにトラブった時はその時また考えるのも一案ですが…ただし修理屋さんを探すのが大変です。

人それぞれ個人の考え方がありますの人様のホイールなのにああでもないこうでもないと意見を言うのは少し行儀が悪いのですが私なりの意見を述べています。

パークツールスルーアクスルアダプターは便利です

ディスクホイールの調整に最近このスルーアクスル用アダプターを使っています。これは便利だなと感心しています。うまく考えられています。振れ取り台に挟み込むだけで使えます。アイデア商品ですね。買ってよかったと思います。

ホイールを挟み込むだけです
簡単にホイールをセットできます
ミノウラのアダプター

今まで安価なミノウラの製品を使っていました。これはそれなりに便利で、ねじで固定しますのでセンターがずれません。

パークツールの振れ取り台だけでなくほかの製品にも使えます。これはいい、いいですよというのはアフェリエイト広告のようで嫌なのですがディスクホイールの振れ取りにはお勧めです。念のため当ブログではアフェリエイト広告はしていません。

キンリンXR31T/RT32hリムに組み替え

今まで何度もご注文いただきましたお客様より手持ちホイールの組み替えをご依頼いただきました。

ホイールはDTリムRR411を使用したホイールです。RR411リムのホイールを他にも持っておられるお客様は1セットをキンリンのワイドリムに組み換えを希望されました。

RR411からキンリンのワイドリムXR31T/RTに変更です。リム重量は重くなりますが空力アップです。分解しましたRR411リムはしばらくお預かりしましてシマノ105ハブで再度組み上げる予定です。今はハブが手に入らないので少し先になります。部品不足はまだまだ続きそうです。

お預かりしたRR411

さて、ハブはDuraハブを使われていましたのでそのまま移行します。新しくリムとスポークを交換します。シマノハブは丈夫で長持ちです。高価なハブですがいろいろ組み替えを楽しめます。

組み換え後の前輪 829g スポークはLaser
均等にスポークを張っていいるので振れが出にくい
組み換え後の後輪 1008g スポークはRace
左を高いテンションで作れます(ブルー)オフセットリム使用

新しいホイールの内容は次の通りです。

リム XR31T/RT 前後とも32h 後輪は3mmオフセットリム

ハブ Duraハブ HB7900 FH7900 32h

スポーク 前輪 サピムLaser 2.0/1.5/2.0mm

     後輪 サピムRace 2.0/1.8/2.0mm

ニップル SquorxPro シルバー ブラス

31mm高24mm幅のキンリンXR31T/RTは約500gのリムです。軽くはありませんが剛性が高く空力が高いリムです。軽さを取るか剛性かとなりますと、どちらも大切ですが、あえて言いますと剛性です。こちらの方が重要と思っています。

スポークはお客様からのご指定で前輪はLaser、後輪はRaceと太さを変えています。細いスポークを沢山使ったホイールは疲れにくいホイールです。今までから何度も記事にして提案しています。多スポークホイールはスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれますのでロングライドに適しています。

DTのRR411リムも後輪はオフセットリムでした。今回のリムも後輪は3mmセンターがずれたオフセットリムを使っています。

ハブのギア数が増えましたので物理的な理由で左右のスポークテンション差が大きくなりました。後輪右スポークがカンカンに張っているのに左はゆるゆるの状態となります。この大きなテンション差を少なくする方法にオフセットリムを使います。

今までの記事に何度も書いていますので参考にしていただきたいのですがギアが増えたためにハブのセンターオフセット値が増えます。ハブの形状は変えることが出来ません。リム側のセンターをずらすことでハブオフセット値を是正するという方法です。

簡単に一言でいえば10%ほどスポークテンション差を改善できます。この値は大きいです。駆動効率が大きく上がります。掛かりが良くなるということです。

ワイドリムで剛性が高く、チューブレスで走れて、ロングライド向きのホイール、最後にリーズナブル、いいとこだらけのホイールです。お勧めです。