前輪24h後輪28hワイドリムホイールのインプレ

8月にお収めしました24mmワイドリムホイールのインプレをお送りいただきました。今後のホイール選択の参考になると思います。フロント20hリア24hホイールと比べて8本スポークが増えます。40gほど重くなります。この良し悪しは体重次第ですが8本増えることはプラス面のほうが多いと思います。

以下ご連絡いただきましたそのままです。

後輪28h 938g
前輪24h 701g

**様

お世話になります。 **です。

組んでいただいたホイールのインプレが遅くなってしまい、申し訳ありません。

結論から言いますと、大正解でした。

のむラボ1号ホイールからの入れ替えです。

のむラボは全国レベルで人気がありますし、のむラボ1号もとてもいいホイールでした。

装着していきなり、いつもの峠で自己ベストが出たので評判通りと思ったものです。

ですが、昔ながらのナローリム&クリンチャーなので、この度ワイドリム&チューブレス対応のホイールをお願いした次第です。

それともう一台のバイク(こちらがメイン)がワイドリム&チューブレスで、とても良かったので、

セカンドバイクのホイールも同じ仕様にしたかったのもその理由です。

タイヤは、IRC Formula Pro RBCC 25Cにしました。

タイヤ装着も手こずらないでできましたし、フロアポンプですんなりビードが上がりました。

ちなみに、メインバイクのホイールはCLX50でタイヤはスペシャライズド S-Works Turbo RapidAirなのですが、フロアポンプでは全然ビードが上がらず、ブースターポンプを購入しなければなりませんでした。

重量は、ホイール単体ではのむラボ1号のほうが少し軽いですが、チューブが無い分、タイヤ装着時の重量はほとんど同じでした。

最初にお断りしておきますが、このインプレはタイヤの影響が多くを占めていると思います。

「ロードバイクの印象のほとんどはタイヤに起因する」と誰かが言っていましたが、そのとおりだと思います。

走り出した第一ですが、「おおっ!」というほどの走りの滑らかさ、乗り心地の良さでした。

自動車で例えると、軽四と中型車くらいの差がありました。

いままでは、荒れた路面やマンホールを「ゴッゴッ…」と乗り越えていたのが、「コツコツ」に変わり、路面をヌルヌルとなめるような感じで走っていきます。

いままで、マンホールや路上のペイントを避けていたのですが、あまり気にならないレベルになりました。

かと言って、走行抵抗が増えたようには感じません。

空力的には、のむラボ1号はリムハイトが35mmだったせいか、特に差は感じませんでした。

ロードバイクは、乗り味がゴツゴツで、暴れるし、ケツが痛いもの。との固定観念がどこかに飛んでいってしまいました。

「ロードバイクってこんなに快適だったんだ」と感動すら覚え、走るのが楽しくなりました。

また、ご助言通りに少し多めのスポーク数(前輪24H、後輪28H)にしたのも正解でした。

スポークの重量増のデメリットよりも、丈夫でしなやかになるメリットが大きいと思います。

また、不思議なのが同じワイドリム&チューブレスのメインバイクよりも、乗り心地がいいことです。おそらく、リムハイトの高い(50mm)カーボンリムは、縦の剛性が非常に高いのだと思います。

当然、それなりに距離を走っても疲れ方がいままでと全然違います。

最近ではセカンドバイクばかり乗って、メインバイクが寂しがっています。

今年はコロナ禍でレースがほとんど中止になりましたが、来年はこのホイールでヒルクライムレースに出場したいと思っています。

とても良いホイールを作ってくださり、ありがとうございました。

以上

追記

インプレの追加をお送りいただきました。

下りの快適さです。

いつもはびびりながら降りる十三峠の険しい下りでも、安心してブレーキングでき、狙ったラインをトレースできます。

特に、六甲頂上から逆瀬川に下るときに遭遇する魔のデコボコライン(正式な名前は知りません)は、自転車が壊れるのではないかと思うほどの振動なのですが、このホイールになってからはストレスなく通過できるようになりました。

次はどんなホイールをお願いしようかと考え中です。

良いリムが見つかりましたら教えてください。

以上、よろしくお願いします。

今回のリムはキンリンのXR31T/RT 24・28hでした。次にお勧めするならキンリンのXR22T・RT 24・28hですがコスパを考えますと一押しになります。しかし世界中のアルミ不足が影響しましてなかなか手に入らないのが現状です。早く平常に戻って欲しいです。

ディスクホイールの作製

サーリーのクロモリフレームに載せるディスクホイールのご注文をいただきました。お客様はリピートオーダーのお客様です。手組ホイールの良さを知っていただいています。

DT RR411 437g
アレックスディスクホイールを分解します
取り出したシマノディスクハブ FH-RS505 375g
新しいシマノディスクハブ HB-R7070

リムはDTの軽量アルミディスクリムRR411(437g)です。リアハブは135mm規格のシマノハブFH-RS505(375g)を使います。後輪ホイールをお送りいただきこのホイールを分解して転用するというご注文です。いわゆるお持ち込みです。

前輪ハブはこちらで用意します。シマノハブで105シリーズのHB-R7070(164g)を提案しました。今はシマノハブの手配が難しく幸いにも私のほうで手持ちがありました。スポークは定番のコンペティションで組みます。ニップルはブラスです。

お送りいただいた後輪ホイールを調べてみました。

スポークテンションは不揃いで振れも大きい

いつも預かりましたホイールはテンションを調べます。以下のグラフです。まあ予想の通りです。テンションにバラつきがあります。これでは振れも出やすいです。

このホイールのハブを使い新しいホイールに作り替えます。

手組の良さはいろんな組み合わせが出来ることです。手持ちのハブやリムを使っていろんな組み合わせを考えることができます。性能の良いハブを持っておられるとリムは消耗品ですのでアルミリムからカーボンリムに変更も可能です。

お客様はおそらく沢山自転車を乗り継いで来られたのでしょう。余っている部品を沢山お持ちでした。言い換えればいろんな経験知を持っておられます。こちらもアドバイスをいたしますが決められるのはお客様です。果たしてお客様とのやりとりはすんなり進みました。ありがたいことです。

今はアルミ不足が影響してリム、ハブが手に入れにくい状況です。今回のリムも入手に時間が掛かったのですが無事お納めすることが出来ました。

DT RR411 ディスクリム使用 前輪865g
完成後の前輪スポークテンショングラフ バラつきが少ない
DT RR411 ディスクリム使用 後輪1072g
完成後の後輪スポークテンション

重量は前輪865g、後輪1072グラムとホイール自体は結構重いのですがリム重量は約440gです。中心部が重いだけなので漕ぎ出しの軽いホイールに仕上がります。やはり外周部が軽いと回転は軽快です。

ホイールはいつものようにスポークの張りをできるだけ均一にし、振れはできるだけ最小になるように調整しました。お客様のご意見が楽しみです。

スポークを交換しました

マビック36hオープンプロリム、シマノDURAハブ、DTチャンピオン(2.0mm)スポークで組まれたホイールのスポーク交換の依頼を受けました。

MAVIC rim Duraハブ DT チャンピオン 使用 
MAVIC rim Duraハブ DTチャンピオン 使用

2㎜スポークですのでとても剛性の高いホイールです。普段の通勤に使われた愛用のホイールとのことです。以前ブログに紹介しましたホイールですがこの時はテンション調整をさせていただきました。今回はこのホイールのスポークをすべて取り換えます。

前輪はサピムのLaser(2.0/1.5/2.0mm)、後輪にサピムのRace(2.0/1.8/2.0mm)に交換します。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例するといいます。お預かり時点ではチャンピオンの36本ホイールですので100㎏以上ある人がキャンプの道具を運んでも十分乗れるホイールです。

今回はご自分の体重を考えながらスポークを変えることにより軽量されました。

DTチャンピオン 後輪 36本
DTチャンピオン 前輪用 36本
前輪用 サピム Laser 36本
後輪用 サピム Race 36本

取り換える前にスポークの重量を比べてみます。

前輪チャンピオンLaser重量差
277156121
後輪チャンピオンRace重量差
27722849
合計170

170gの軽量化です。

前輪のLaserは中央部が1.5mmの細いスポークですが36本ありますので十分な剛性です。スポークの中央部がショックアブソーバーの働きをしますので地面からの振動を吸収してくれます。

後輪のRaceも中央部が1.8mmで振動を吸収してくれます。これらのスポークを使うことで疲れにくいホイールが出来上がります。ロングライドに最適なホイールです。

一般的に完組では少スポークホイールです。剛性を高めるために太いスポークを使って剛性を高めています。多スポークホイールに仕上げることでスポークの総面積は同じであっても細いスポークを使ったホイールは疲れにくいホイールに仕上がります。もちろん空力では若干劣りますが比べれば少しという程度です。他に良い点が多々あります。

前輪スポークテンション
後輪スポークテンション

さて、上のグラフはスポーク取り換え終わった時のスポークテンショングラフです。できるだけ振れを少なくし出来るだけテンションを均一になるように調整しています。

ずっと通勤に使われていましたホイールですので乗り味が変わったことはよくお分かりと思います。どれだけ変わったか教えていただくのが楽しみです。

エントリーモデルのスポークは太い

1万円台で購入できるシマノホイールのエントリーモデルをお使いの方に提案したいと思います。

シマノWH-R501のリム重量、スポーク重量を調べますと次のように仕様です。

前輪リム重量 538g
前輪スポーク 20本 144g

後輪リム重量531g
後輪スポーク 24本 179g
WH-R501
後輪リム重量 538g24本179g1本7.4g
前輪リム重量 531g20本144g1本7.2g

空気抵抗を減らすとして前輪には扁平スポークを使っているのですがこのスポークがなんと7gスポークです。扁平には間違いないのですが形だけの扁平スポークと考えます。

サピムのスポークをグラムでわかるようにしました。次の表です。データはサピムのホームページから得ています。

品名仕様1本重量g
cx-rayWeight: (64 pcs x 260 mm lg) 272 g4.3
cx-sprintWeight: 334 g (64 x 260 mm)5.2
   
LaserWeight: 283 g (64 x 260 mm)4.4
RaceWeight: 14G (64 pcs x 260 mm lg) 363 g5.7
   
LeaderWeight: 14G 2,0 mm (64 pcs x 260 mm lg) 431 g6.7
サピムホームページより

このシマノホイールはどなたにも使えるように考えられたホイールですから少スポークのホイールではありますがとても頑丈に作られています。つまりスポークを太くして剛性を高めています。本当にスポークの太さには驚きです。

体重の軽い人が乗ればなんとガチガチの硬いホイールだと感じることでしょう。大は小を兼ねるのですがこのようなホイールは長時間乗れば疲れるホイールであることは間違いありません。

仮に細い5gスポークを使って28hの前輪ホイールを作るとスポークの重量は今回のシマノホイールとほぼ同じグラム数になります。剛性は減らず地面からの振動を吸収するホイールが出来上がります。

ホイールの出来上がりではスポークの選択がとても重要です。スポークで乗り味、性能は大きく変わります。

現在シマノエントリーモデルのホイールでご不満の方は、簡単にはホイールの買い替えもありますがスポークを軽量スポークに変えるのも一つの案になるかなと思います。お試しください。

後輪スポークを取り換える②

今お使いのディスクカーボンホイールの走りがもっさりするので改善するのにいい方法はありませんかとご連絡いただきましたことは前回の記事に書きました。

非ドライブ側のCX-RAYをコンペティションに交換

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します、とお伝えしました。剛性を高めるにはスポークの数を増やせばよいのでリム、ハブを交換すれば一番いいのです。しかし費用も掛かることですのでそんなわけにはいきません。

ここで提案しましたのはスポークを太くする提案です。

今使われているスポークはCX-RAYです。最強のスポークと言われていますが剛性に関しては細いスポークですので魔法は使えません。今回の対処は単純にスポークをCX-RAYからDTのコンペティションに変更するだけでした。

ホイールをお返しして、本日結果を教えていただきました。以下のコメントです。

今日ビワイチに使ってきましたが確実に剛性が上がっていてモサッとした感じがとれていました。ただ、やはりあのホイールじたいが重たいのでヨッコラショってなってしまうので重さだけがネックかなと思います。

スポークの重量が約20g増えたのですがやはり結果は良好でした。理論通りです。ねばりがあり軽量の最高スポークでも乗り手の体重、乗り方に応じて選ばないといけません。まさに20g増のマジックです。

また違うお客様のお話です。

約2か月前ですがホイールが固すぎるのでスポークをすべてコンペティションからCX-RAYに交換したお客様がおられます。コンペティションは剛性があって反応はいいのですが長時間乗ると疲れるとのことでした。

別のホイールで前後ともにCX-RAYスポークのホイールもお持ちで、こちらのほうが疲れないとのことでした。こんなことから剛性を下げることをお勧めしました。

コンペティションからCX-RAYに替えられた結果、とても具合が良く楽に乗れるとお返事いただきました。剛性が高すぎるのも疲れるホイールとなります。

このようにホイールに不満のある方はスポークを変えるのが結構安上がりでいい処方箋と思います。

シマノのローエンドホイールはガチガチの高剛性で組まれています。これは万人向けのホイールに仕上げているので仕方ないことです。前輪後輪スポークを体重にあわせてLaser、CX-RAYなどに替えると見違えるホイールに変化することは間違いありません。お試しください。

Bang for the buck

自転車フォーラムを読んでいましたらこの熟語が出てきました。アメリカ俗語で支払いに見合う価値とあります。面白い表現と思いメモしていました。いつか使えると思っていました。

後輪 823g
前輪708g

本日、このブログ記事に発表いたしましたお客様より次に紹介しますホイールの印象をお送りいただきました。本当にうれしくて何度も読み返しました。

もちろん私が組んだホイールの宣伝になるということもあるのですが、良かったと言っていただきますととても励みになります。

インプレにはタイヤのことが書かれています。使用するタイヤで大きく走る印象が変わります。実際に使われているからこそわかることです。ホイールはロードバイクで一番大切な部品の一つです。ご参考になるかと思います。

手組ホイールファン様

先日ホイールを納品していただきました**です

早いもので購入から2カ月が経ちました。

購入したホイールは現在メインとして使用しています。

まず全体の感想ですが、非常に満足しております。

今後は他のリムハイトのホイールもお願いしたいと思っています。

今回は46mmのディスクブレーキモデルでしたが重量も1500gを下回り、登りでも軽快に登れますし、平地での巡行も非常に安定しています。

このホイールで初めてチューブレスタイヤを使用しました。まずIRCのFormula pro RBCC 28cを試しましたがタイヤとホイールの相性は抜群です。簡単にビードが上がりますしシーラント無しでもエア漏れもほとんどなく1週間で1bar空気圧が下がる程度でした。

外観もホイールと28cのタイヤはベストマッチだと言えます。乗り心地はチューブレスということもありますが、非常に滑らかでタイヤとホイールが振動を吸収していることを感じます。平地主体のコースやロングライドではこれがベストの組み合わせかなと思います。

ただ峠などの長い登りが続くコースでは28cのタイヤはさすがにもっさり感は否めません。そこでIRC Formula pro S-light25cを履いてみました。

するとこれがまた印象がガラッと変わります。RBCC28cが315gなのに対してS-Light25cは220gと軽量なので当然かもしれませんが、登りが圧倒的に軽快になりました。登りのダンシング時にはホイールがしっかりと力を受け止めて適度なしなりが推進力を生んでくれている感覚があります。

自分はあまりブランドにはこだわらないので、この価格でこの性能なら2~3倍のお金を払ってブランド品のホイールを買う理由は無いな。。。と感じています。

このように私自身非常に満足していますので、友人にも自信をもってこのホイールを勧めています。近々友人から問い合わせがあるかもしれませんが、その時はご対応いただけると幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。

****

お納めしましたホイールはBang for the buckのようです。良かった。

後輪スポークを取り換える

このブログの記事に何度か使わせていただいている方のカーボンホイール点検依頼を受けました。私の作ったホイールではありませんが一見さんではありませんのでお受けしました。ちなみにこの方は京都の方です。

DT350ストレイトプルハブ使用 非ドライブ側CX-RAY ドライブ側CX-sprint
お預かり時タイヤついた状態でのスポークテンショングラフ  タイヤのビードが影響してスポークテンションは大きく下がっていますが約100kgをキープしています。悪くないです。

ホイールは手組ディスクホイールです。後輪がどうももっさりするとのことです。このもっさりという言葉ですが、国語辞典では見てくれがぱっとしなく動作が鈍い様子と書かれていますが見た目は洒落たロゴが入ったホイールです。

乗り手はFTP300近いパワーライダーさんですのでおそらく剛性が足りないのではないですか?ということをお伝えしました。

ホイールの剛性が足りない場合はスポークを増やすのですが、スポーク数を増やせないなら、つまりリム、ハブを交換できない条件では太いスポークに変えるしかありません。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。ということはスポークを変えればいいのですがいきなり2mmの太いスポークに交換もできません。理由はカーボンリムの場合太いスポークはカーボンが割れる恐れがあるからです。

いつも使っているリムメーカーでは一番太くて1.8mmまでと注意を促しています。おそらく今回のリムも同じと思いますので太さは1.8mm迄のスポークに交換することにしました。

ホイールを調べますと左非ドライブ側にはCX-RAY、右ドライブ側にはCX-sprintと扁平スポークを使い分けています。粋な使い方です。

サピムのホームページでCX-sprintを調べますと

Some professionals use the CX-Sprint on the drive side and the CX-Ray on the non drive side. This shall bring a more equal stiffness on right and left side in one wheel.

ホームページのデータによりますとCX-sprintの重量は260mmで5.2gです。DTのコンペティションは4.9gの丸スポークですので扁平スポークのほうが軽いように見えますがコンペティションのほうが軽いのです。260mmでCX-RAYは4.3gです。

最終的には左スポークCX-RAYを取り換えてDTのコンペティションに替えることにしました。右ドライブ側はそのままCX-sprintで残しています。

取り換え前のCX-RAYスポーク 12本で54g
取り換えスポーク コンペティション12本で75g

総重量はCX-RAY12本で54g、コンペティションで75gでした。約20gの増加です。わずか約20gの重量差ですが理論的には剛性は上がっています。

タイヤ外してテンション調整前の状態 左側にばらつきアリ
左側のスポークをできるだけ均等に調整しました

再度乗られた印象を聞かせていただくのが楽しみです。

ピラースポークが届きました

この7月末の話です。

いつも買っている自転車部品セラーとメールでのやり取りですが、サピム・チャイナではCX-RAYは一本もないとのことでした。できるだけいろんなディストリビューターから買っておく方がいいよとアドバイスくれました。

9月になっても自転車部品業界はあまり回復していない模様です。

まあ私のように細々とホイールを作っている分には大きな影響がないのですがやはりいまだにアルミリムは手に入らない状況です。早く前のようにもどって欲しいです。

さて、いろんなところから分散して買ったほうがいいとアドバイスをもらった時にピラーのウィングスポークがいいよと勧めてくれました。以下ピラーのホームページより引用しています。

ピラースポークではトリプルバテッドのスポークはよく使うのですがウイングスポークは初めてです。飛行機の羽のような構造ですので空気抵抗に関してはCX-RAYよりも風洞実験で良い結果が出ています。

ブランド力はサピムが上かと思いますがピラーは実利優先の私には合っているスポークと思います。

2か月経ってやっとピラースポーク10kg届きました。当分安心です。 スチールはスチールですのでこれからどんどん使っていきたいです。 もちろんサピム、DTと使いますがピラーもメインで使っていこうと思います。

約10kg届きました

アメリカにBoydというホイールメーカーがありますがボイドさんのブログを読むと販売するホイールのスポークはピラースポークにすべて切り替えたと書いています。

ブランドにとらわれることなくいいものはいいという姿勢は大事と思います。。

前後1355g、超軽量ディスクカーボンホイールの作製

3月末のことです。

今までに36mm高、46mm高のディスクカーボンホイールを2セットご注文いただきましたお客様よりもっと軽いディスクホイールが出来ないかとお問い合わせがありました。

リムメーカーに35mm高28mm幅ディスク用リムで360gというリムがあることをお知らせしました。

すぐにご注文いただきましたのですがリム発注後いくら待っても送られてきません。

毎月メールで問い合わせしましたが今作っているところですという返事です。相手は中国の会社ですので日本のメーカーさんとは考え方が違うようです。

落語での蕎麦屋の出前は「今、出ました。」ですが、このメーカーは「今、作っています。」ばかりです。仕方なしにお客様に事情をお伝えし、辛抱していただきました。

待つこと5か月、8月末にやっと出荷案内が来ました。それでもまだ航空便で10日ほどかかります。

やっとのことで届きましたリムがこのリムです。

リム重量351gは軽いです。
穴なしリム 内部センターチャンネルに穴がありません。

実測値は351gです。驚きの軽さです。もっと軽いリムはあると思うのですが強度も大切です。同種類を45mm高で発注したことがありますので強度的には安心していました。

仕様は

リム 28mm幅35mm高 軽量カーボン 穴なしリム

ハブ TNI REVOハブ

スポーク サピムCX-RAY

ニップル DT SquorxPro ブラス 黒

という構成です。

いつも買っているリムと比べますと一段格上のリムです。前後で代金が約2万円アップとなります。ブラスニップルを使っていますが100g~120gほど同規格と比べて軽くなります。

簡単には100g2万円アップです。これを安いと考えるか高いと考えるかはユーザー次第です。

前輪 617g サピムCX-RAY使用
前輪スポークテンショングラフ
後輪 738g 穴なしリム サピムCX-RAY使用
後輪スポークテンショングラフ

前輪 617g 後輪 738g 前後で1355gです。

私は1300g台のホイールが10万円前後の価格なのでカーボンホイールの中では高価ではないと思うのですが如何でしょうか?

いずれにしましても3セットお納めしていますのでそれぞれの印象を教えていただけると思います。とても楽しみです。

ヘッドインとヘッドアウト②

お預かりホイールを続けて研究させて頂きます。

先ずスポークの状態を見ます。グラフにするとわかりやすいのでいつも先ずグラフです。

スポークテンションは緩くてバラつき偏差値が高いです

状態がよくわかります。前輪は後輪と違い駆動には影響ありませんので緩いのかもしれません。

表をじっと見ますと先ず思いつくのは前輪のスポークテンションがとても緩く、ばらつきも大きいです。タイヤなしで約70kgf前後のテンションです。ホイールはクリンチャーホイールアルミですのでタイヤインストールしますとタイヤビードが影響してスポークテンションは10~20%下がります。ばらつきが大きいスポークテンションでしたら一部のスポークが50kgを割る可能性があります。緩いと問題です。

スポークテンションのバラつきと緩さが一番ホイールにとってスポークが折れたりニップルが飛んだりする原因になります。

現にお客様からの話では、特別に粗い乗り方をしたわけでもないのに2回ニップルが飛んだということを伺っています。ニップルはアルミなので破断することはブラスより多いのは事実ですが緩いスポークも原因の一つではないでしょうか?

ホイールのスポークはサピムのCX-RAYです。地面からの振動を吸収してくれるスポークですので乗り味は柔らかいです。柔らかい乗り味を狙って作っているのでしょうが何故ここまで緩いスポークテンションで仕上げるのかがわかりません。

73kgfは使えるテンションですが、私は緩いと思います。一般には100kgf前後で仕上げるといわれています。しかし正解はありませんのでこれが正解ですといわれると正解であるところがホイールです。

どの教科書を見ても(外国の本ばかりで日本語の教科書はありません)この数値が最適ですと書かれていません。しかしシマノからは発表されています。

先日、お客様よりご存知ですか?とシマノがホイールの適正テンションを表にして発表していると教えていただきました。これがその表です。シマノのディーラーマニュアルの16ページに掲載されています。

これはネットにアップされていますのでいろんな情報がよくわかり勉強になります。私はこの表を見落としていました。

シマノディーラーマニュアルより

シマノが発表している数値から考えますとお預かりホイールはギリギリOKですが通常は緩いと思います。

私には緩いと思いますが表を教えていただいたお客様はご自分でもホイールを組まれますので別の方法で調整されています。

先ず一番高い数値で組んでいろいろ乗ってみてゆっくり好みの数値にテンションを下げて調整する方法です。

私は大体このテンションと決めてしまいますがあとで微調整する方法もいいですね。ホイール組が出来る上級者ならではの方法です。

スポークテンションを均等に約100kgfで仕上げています

ホイールは上図のようにテンションを調整してお返ししました。どのように変わったかがわかるように引き取り時と調整後のグラフを添えています。