価格は自分で決める

約25年ほど前ですが永六輔さんのこの本を購入しました。

当時サラリーマンの私は職人さんに憧れがありましたので本屋に並んでいるのを見つけてすぐに購入しました。とても面白い内容で、永さんがいろんな職人さんの生の声を集めて本にしています。とても面白くすぐ読み終わってしまいます。

いろんな職人さんの言葉の中でも印象に残った言葉を一つ上げます。

「おかげさまで、

自分の仕事に自分で値段をつけて、

それが売れるようになりまして、

こうなると職人もやっと楽になります」

当時、このような職人さんの生の声を集めたこの本は永さんならではの感性で出来上がっています。とても為になり楽しく読ませていただきました。今も時々読み返して、なるほど!と感心することがたくさんあります。

今、時給1500円で作業しています。1セット作るのに3時間、穴なしカーボンリムは6時間、この価格が高いか安いか相場を知らないのでよくわかりません。しかしご注文いただいた方々にはご理解いただいています。自分で作ったホイールを自分で決めた価格で販売しています。本の職人さんのように楽にはなりませんが楽しくホイール作りをしています。

シマノハブが手に入りディスクホイールを作製

ディスクホイール用としてリムを置いていました。昨今の部品不足で肝心のハブが手に入りません。ハブがない、スポークがないと長く続いていましたが徐々にですがネットでも在庫を見かけるようになってきています。こんな事情でしたがディスク用105ハブがやっと手に入りました。

シマノ 105ディスクハブ

シマノハブの新品は最初ゴリ感があることが間々あります。こんなときはいつもほんの少しねじを緩めています。動いたかどうか分からないくらいですが緩めると楽に回りました。シマノハブの良いところは自分で調整できるところです。これが面倒という人がおられるかもしれませんがハブ調整はホイールの醍醐味でもあります。

リムはキンリンのワイドリムXR22RTを使います。このリムはオフセットリムも手に入りますので前後ともオフセットリムを使っています。前後輪ともにリム穴は3mmずれていますので左右スポークテンション差を少なくできます。

シマノホームページより引用
wheelproのソフト使用

シマノハブのサイズはシマノが発表していますのでこのデータを使っています。正確でとても信頼できるデータです。最初このデータを見たときはオフセット値の意味が解りませんでした。オフセット?なんやろ?という感じです。

あとで意味が分かったのですがデータではフランジ幅、オフセット値、フランジ径が記されています。フランジ幅÷2-オフセット値を出せば数値が出ます。

55.7÷2-7.45=35.3(左)、55.7ー35.3=20.4(右)

フランジ径は左44右45です。リムERDとリムオフセット値を入力して出ました数値がスポーク値です。

出ましたスポーク値は左290.7,右289.7ですので切り上げします。

左291mm右290mmとなりました。

上図のWheeproのスポーク長計算ソフトはネットよりすぐに使えます。算出しました数値を入力すれば簡単にスポーク長を得ることが出来ます。とても便利です。念のためDTのソフトも確認されたら良いかと思います。

前後1797g
Laser 左右3クロス組
左Laser右コンペティション 左右クロス組

ホイールは3クロスで組んでいます。

スポークは細いLaserを前輪に、後輪左をLaser、右を少し太くしてコンペティションで組んでいます。Laserはショックアブソーバーの働きをしますので地面からの振動を吸収してくれます。ドライブ側を太いコンペティションで剛性を高めています。

前輪791g
後輪1006g

前輪791g、後輪1006g前後1797gと決して軽くない出来上がりです。確かにレールに出るホイールではないと思います。

昨今の完組ホイールは安価で優秀です。空気抵抗を意識して少スポークホイールが流行りです。少ないスポークで剛性を出していますのでどうしてもスポークは太くなり乗り味は硬いようです。ガチガチのホイールで1日100km走ると疲れます。

見た目はスポーティーではありませんがスポークの多いホイールは疲れにくいホイールとして見直されて良いと思います。安価にロングライドを楽しめるホイールです。

パワータップでホイール作製

ホイールはこれで3セット目になるリピーターの方からご連絡です。

パワータップ、DTリムのRR411を使ってのホイール作製をご依頼いただきました。当初はリム、ハブをお送りいただくことでした。しかし見積もりしますとリムは私がご用意したほうが安価のようで、ハブだけをお送りいただくことになりました。両者がウィンウィンであるべきです。

前輪636g ウィング21使用
スポークテンションは出来るだけ均等になすようにしています
後輪952g ウィング21使用
DTリム RR411オフセットリム使用で左スポークテンションを高くできます
ノバテックハブ 軽量です スポークはウィング21
パワータップG3 左右2クロス組

RR411リムにはオフセットリムがありますので前輪はセンターホール、後輪はオフセットリムで作ります。オフセットリムは後輪の非ドライブ側のスポークテンションアップをはかることが出来ます。11速に伴って増加している左右のスポークテンション差を改善できます。スポークはピラーのウィング21を使います。ウィング21は風洞実験でCX-RAYより2,3ワット良い成績を出しているとのことです。レースに出る方はこの違いには関心があるようです。

オフセットリム・・・左右のテンション差を改善

ウィング21・・・空力アップ

スポークテンションが均一・・・駆動ロスの減少

この3点が主な特徴です。

最近はホイールを組めない自転車屋さんが増えています。完組ホイールが優秀なので手組ホイールの出る幕がなくなってきているのが実情です。しかしながらこのようなパワータップ使用の特注ホイールはやはりビルダーが頼りになります。ホイールは振れだけ取ればいいものではありません。個々のスポークテンションを揃えて作るビルダーは少ないようです。ご連絡いただければ幸いです。

短いスポークには要注意!

穴なしカーボンリムを使って途中まで組み立てておられた方よりカーボンホイール完成の依頼を受けました。

お送りいただきましたリムは46mm高のリムです。ハブは初めてのブランドでした。ARCブランド、中国の通販で購入とのことです。

ARCハブ

ホイールは仮組状態で送られてきました。スポークが通っていますのでどのように組み立てられたのか伺いますとマグネットを使われたとのことです。なかなかのビルダーさんです。

ニップルは14mmのアルミニップル、スポークはピラーの1422で、スポーク長のデータもお送りいただきました。DTの計算ソフトを使われています。

ホイールを組むことができる方なのでハブを計測してスポーク長を出されていました。私も同じソフトで計算していますが入力値が違いました。リムメーカーのデータをそのまま使われていました。お客様の使われた数値は4mm短いERDでした。その結果スポーク長は私の計算と2mm違っていました。

ホイールは仮組状態でお送りいただきましたのでそのまま組めないことはありませんが使われていますのはアルミニップルでした。アルミニップルの場合、短いスポークで長く使われているとニップルの頭が飛ぶ可能性が高いということを申し上げました。

アルミニップルの場合ニップルの頭までスポークが来ないと危険

DTの計算ソフトはスポークの伸びも計算の中に入れてスポーク長を算出していますので組み上げて2mm以上伸びることはありません。つまりスポークがニップルの頭までは来ないことになります。これがアルミニップルの弱点です。

実際の状態を確認しました。1個ニップルを外してスポークの長さを見てみますと短いのがよくわかります。この状態でホイールは組み上げることはできますが安全性は担保できていません。お客様にこのことを連絡しました。

一番いいのはスポークを長いスポークに変えること、次善策としてニップルをブラスに替えて強化する、2つを提案しましたところブラスニップルに交換を選ばれました。短いままアルミニップルで組み上げるよりはるかに強化されますので安全度は高まります。

リム、ハブを直接購入してホイールを作ってこられた経験豊かなホビービルダーさんですが今回はプロに任した方がいいと、私のほうに連絡いただきました。全部ばらして再度組み上げましたので工賃と送料代で少し割高になってしまいましたが、ホイールは完成することが出来ました。

このブログ記事をお客様が読まれると気を悪くされるかもしれませんが、ご自分で組みあげられるより安全性を意識したホイールが出来上がったと思います。

今まで500本以上作ってきました。アルミニップルの弱点を知っているつもりでしたがニップルの頭が飛んだと残念ながら5回連絡いただいています。約1%の率ですがこれは0でないといけないと思っています。安全性を考えればアルミニップルを使うときはスポークが頭まで突き抜けないと危険です。このことを十分知っていただきたいです。

超軽量ナローリム使用クリンチャーホイール作製

ヒルクライム用として軽量ホイールをご希望の方より連絡が入りました。

前後で1300g台のホイールをご希望でした。体重をお伺いしましてご提案しましたスポーク数は前輪24後輪28です。通常の20・24hと比べまして8本、数が増えます。リムをTNIリムAL22を使えばギリギリ1300g台で作れます。台湾製バイテックスハブ、スポークはCX-RAYより空力の良いピラーのウィング21に決定していただきました。

前後1376g

ハブの色は赤色です。赤いハブは存在感があります。スポーク、リムは黒色ですのでコントラストがあり印象深いホイールに仕上がります。

スポークが8本増えるということは約40g増えるのですが重量増のデメリットよりもはるかにメリットの方が勝ります。完組ではスポークが減る一方ですが手組ではスポークが増えます。20・24hで使える体重の方も8本スポークを増やされていいかと思います。手組ならではの自由度です。決めつけしないで多めのスポークで組まれたら良いかと思います。大は小を兼ねます。

 単品重量数量重量合計
AL22 24・28h3902780
バイテックスハブ 24・283101310
前輪スポーク wing21 黒4.824115.2
後輪スポーク wing21 黒4.828134.4
nipple15252
1391.6
出来上がり重量前輪597g
後輪 779g
合計1376g

前輪597g
前輪スポークテンショングラフ
後輪779g
後輪スポークテンショングラフ

出来上がりは1300g台に収まりました。ヒルクライムには頼もしい武器となります。軽さは正義という言葉はこの時にわかります。

ただ、軽量ホイールは登りには大きな力を発揮しますが平地ではやはり空力の援護がありません。乗り方によりますがリム高のあるホイールのほうが軍配は上がると思います。いろんな場面で楽しむのにホイールはやはり何本もいるということかもしれません。

クリスキングハブで超軽量カーボンホイール作製

前回記事にしていますクリスキングを使った32hホイールが完成しました。

前後1509g

32hで1509gです。これは超軽量といってよいホイールです。

35mm高 超軽量です
SquorxPro ブラスニップル

今回のご注文は剛性が高い35mm高のカーボンリムを使用しています。スポークはCX-RAY、ニップルは安全のSquorxProブラスという内容です。

32穴で作っていますのがこのホイール一番の特徴です。

剛性を上げるために太いスポークを使って少ないスポークで作ったホイールと細いスポークでスポークを多く使ったホイールを比較すると同じ重量でも細いスポークのほうが強度は高いです。

細いスポークがショックアブソーバーの働きをして地面からの衝撃は和らぎます。つまり疲れにくいホイールに仕上がります。

このホイールは外周部が超軽量のため漕ぎ出しの軽さにオーナー様は驚かれると思います。

クリスキングのロゴです
こんな箱に入っています

ホイールは見ての通り存在感にあふれています。

前輪699g
前輪スポークテンショングラフ
後輪810g
後輪スポークテンショングラフ

いいホイールを作らせていただきました。リム入荷に長い時間が掛かりましたのでお客様にはすぐに作りますと連絡しましたら急がなくていいです。ゆっくり作ってくださいとお返事いただきました。私も気合が入りました。

作り方はいつもと同じです。できるだけスポークテンションを揃えること、できるだけ振れを最小にしてセンターを出す、これだけです。

リムの精度が高いのかスポークテンションを揃えると縦ブレがほとんど出ません。±0に近い精度で仕上がります。とても優秀なリムでした。

ゆっくり日を開けて作りますと精度の高いホイールに仕上がります。急がないことです。

私も次のホイールは多スポークカーボンホイールにしたいと考えています。空気抵抗を減らすためにスポーク数を少なくするよりスポークが多いほうが、確実に剛性が上がります。

完組メーカーの少スポークホイールは経済性にあると考えます。この経済性とはメーカーの儲けです。部品が少ないほうが儲かります。 手組派はここで逆を行きます。手間とお金が少し余分にかかりますが剛性が高く、疲れにくい素敵なホイールが出来上がります。

チューブラーホイールのご注文です

いつもロードバイクに乗ると200kmほど走るという方よりご連絡いただきました。

ガンガンとクランクを回して頑張るという乗り方ではありません。お知らせいただきました感じではゆっくり景色を見ながらロードバイクを楽しむ乗り方のようです。

ロングライドに耐えて長時間の乗りでも疲れにくいチューブラーホイールをご希望されました。このため今までのブログ記事に紹介してきましたチューブラーでの多スポークホイールを提案しました。

提案しましたホイールは下記の組み合わせです。

リム TNI cx22 前輪28h後輪32h

前後2本で808g とても軽いが剛性もある

ハブ バイテックス 軽量ハブ 

前後307g シマノハブと比べると200g軽い

スポーク 前輪ピラーTB2015 後輪サピム Race

ニップル ピラーブラスDSN シルバー

予定重量は1510g前後になります。リムは400gほどでとても軽量です。外周部が軽く総重量も1500g前後となりますと登りに強いホイールに仕上がります。ロングライドで山道があっても比較的楽に走れるのではないかと思います。

細いスポークを使っていますが数が前後で64本ありますので剛性はしっかり得ることが出来ます。スポークが同じグラム数で剛性が同じでも太いスポークを使ってスポーク数を少なくするよりも細いスポークを沢山使うほうが足に優しいホイールに仕上がります。

中央部が細いスポークは地面からの振動を吸収してくれます。ショックアブソーバーの働きをしますのでガツンとくる突き上げは和らげてくれます。ロングライドにぴったりのホイールに仕上がります。

チューブラーホイールはクリンチャーホイールのようにスポークのテンションダウンをほとんど起こしません。タイヤのビードが影響してスポークのテンションダウンが起こりますが、チューブラータイヤにはビードがありませんのでリムを締め付けません。このためホイールはタイヤインストール後も同じスポークテンションを維持できます。ホイールの性能が大きく変わらないのでとても有利な方式です。

ではデメリットをいいますとタイヤ運用が少し面倒なことです。チューブラーテープを使いますと難しいことはありませんが接着剤で運用の場合は少し時間が掛かります。ロングライドではバンク処理はとても面倒です。

出来上がりホイールです。

前輪655g
スポークテンションを揃えています
後輪869g
スポークテンションを揃えています

前輪655g後輪869g合計1524gでした。

外周部がとても軽いのでとても楽に回せます。疲れにくロングライドにぴったりのホイールに仕上がりました。

今やアルミチューブラーホイールは手組ホイールでしか手に入らないホイールとなっています。タイヤ運用としては伝統的な方式ですが転がり抵抗が少ないメリットの多い方式でもあります。チューブラーホイールはプロ、ハイアマチュア用の高級カーボンホイールだけしか手に入らないのが現状ですがいいところが沢山あるホイールです。タイヤの扱いに慣れればとても使って楽しいホイールです。

今回初めてのチューブラーホイール使ってみたいということでご注文いただきましたがもっと注目されてもいいのではないでしょうか。 乗られたご感想を聞かせていただくのが楽しみです。

36mm高カーボンホイールの感想

先日記事にしましたが36mm高のリムで3G組のホイールを作りました。今使っているカーボンホイールは43mm高のカーボンホイールです。チューブレスで使っています。

この前後セットの後輪だけを36mm高のホイールに替えて試し乗りをしました。

43mmから36mmに交換しました

タイヤはクリンチャータイヤでヴェロフレックスのタイヤです。手持ちのタイヤをはめて乗りました。

36mm高はやはり漕ぎ出しは43mmより軽い感じがします。自宅を出ますとすぐに登りの坂道があります。わりと急な坂ですがいつもより軽い感じがします。リムが軽いとこんなに違うのかと驚きました。

ホイールを作っているのですがホイールのインプレを書くのは難しいです。うまく伝えることが出来ません。ホイールの感想を送っていただくお客様は上手な方が多く感性豊かで敏感です。微妙な違いをうまく表現されています。

乗り始めはなるほど違うと感じるのですがすぐに慣れてしまいます。タイヤでも同じでことが言えます。慣れる前にしっかり感じ取るようにします。

いつも走る淀川河川敷の道に出ますと信号がありませんのでスイスイと気持ちの良い走りです。パワーメーターのワット数は200前後を基準に走るのですが回しやすいです。これも43mmのホイールより軽いからかもしれません。ただスピードに乗ってしまうと43mmのほうが足を休めるというか楽な感じがします。36mmは軽いのですが回し続けるというか、43mm高よりは回さないといけない感じです。とても楽に回せますので普段からクルクル回す乗り方の方には反応が敏感な36mm高のほうが乗りやすい感じでしょう。少し踏み込んで250wに上げるときの反応は36mmのほうがキビキビとした感じで楽しいです。

残念ながら私は力がないので時速40kmでの感想は書けません。おそらくよく走ると思います。

いまは前輪が43mm高なので空力はいいと思います。グランツールなどのレースで前を高いリムで走っている選手を見たことがありますが、前を高くして後ろを少し小さい径のリムで走る利点はこんなことなのかと素人考えですが感じました。

ちょっと踏み込んで300wで走るときも瞬間にスピードが上がるので楽しいです。ずっと300wで走り続ける力がありませんのですぐに200wに戻ってしまいます。

10年以上前ですが初めてジップの303に乗った時の感覚を思い出しました。気持ちがいいです。

溶接跡が良く目立ちます

因みに私のフレームはTNIのアルミフレームです。溶接跡がよく目立ちいかにも安物フレームです。しかし沢山乗り継いできたわけではありませんがコスパは最高です。アルテグラの10速で乗っているのですが気に入っています。もう10年以上乗っています。パワーメーターが一番高いパーツです。低価格の自転車ですが十分楽しんでいます。

いつもお送りいただいているお客様のインプレとは違いうまく説明できていませんが36mm高のリムで作ったホイールは結構オールラウンドで使えると思います。普段オールラウンドのホイールなんて名前だけで使い分けないとダメですよと言っている私ですがこの言葉はひっこめないといけないかもしれません。いいホイールです。

テンションメーター校正器の問い合わせがありました

テンションメーター校正器に関してのブログ記事は何度も書いています。最近のブログ記事からと思いますが問い合わせがありました。購入したいということでしたがお値段的に商談は成立しませんでした。お知らせしました価格もそんなに格安ではありませんのでご自分で作るのが一番ですよと連絡しました。

テンションメーター校正器

私が作りました校正器はホームセンターをぶらぶらしてねじのコーナーでヒントを得ました。ターンバックルを使えば楽にできるとアイデアが浮かびました。試作品では試料のスポークは両側にネジを切っていないと使えません。スポークの両側にねじを切るのも一つのアイデアで我ながらうまく考えたものだと思っています。

部品は通販で購入しましたので送料代が結構高くつきました。これが一番のネックです。この点をうまく考えられたら格安に出来ると思います。

テンションメーターは校正器とセットでないと活躍できません。手組ホイールに興味のある方は是非とも校正器に挑戦していただきたいものです。

ゴキソホイールをお預かりしました感想

お預かりのホイールは24mm高のクリンチャーホイールです。前輪はラジアル組、後輪は左ラジアル右2クロスの1:1変則組です。ハブを持って回転させるとなるほど噂通りよく回るので驚きます。

なかなかゴキソホイールをさわれる機会などありません。このホイールの点検依頼いただいたことに感謝しています。

1:1組 左ラジアル、右2クロス組

乗ったことがありませんので勝手なことは言えないのですがこの組み方を何故こうしたのか知りたいものです。ホームページにも書かれていません。通常は1:1組では左右2クロスですが左ラジアルにするとどう変わるのか知りたいです。縦剛性が高くなるということを聞いたことがありますが実際にはどうなのか教えていただきたいです。

ナローハブはハブセンターオフセット値が小さいので左スポークテンションを高く取れます。つまり左右のスポークテンション差は小さくなります。このホイールもその通りでとても左テンションが右の60%以上のとても高い仕上がりです。しかしリムに対してのスポーク角度、ブレイシングアングルは小さくなります。

あまり角度がないということは、つまりツッパリ棒でぐっと支える状態でないので横剛性は少し弱くなります。つまりコンタドールのようなグイグイとダンシングするタイプの乗り方ではシュータッチする恐れがあります。左テンションは高いけれどナローハブは横剛性が少し下がる恐れがあります。

対策としてナローハブでは左右のフランジ径を大きくしてブレイシングアングルを大きくすることが多いです。おまけにフランジを大きくするとスポークが短くなりますので剛性アップにもつながります。この辺りの良し悪しを工学的に詳しく知りたいものです。

欠点のないホイールはありません。どこかを我慢しているものです。ハブは恐ろしいくらいよく回りますのでウィークポイントはどこなんでしょう。

ちなみにゴキソという名前ですが今までどういう謂れがあるのかわかりませんでした。たまたま最近話題になっている中公新書の「荘園」という本を読んでいたところ作者の伊藤俊一さんが名古屋の御器所小学校を卒業したとこの本に書かれていていました。御器所という地名から10世紀には尾張国衙(こくが  国司の統治下にある土地)の陶器を生産する部署があったようです。お客様もゴキソの由来をよくご存じで、今もその地には御器所神社があり勝守り(かちまもり)をいただきにまいれる方が多いようですと教えていただきました。御器所の名前が本に書かれていて、それを読んでいた時にゴキソホイールの再調整の話をいただきましたので何か不思議な縁を感じます。ハブは10世紀まえから脈々と続く職人集団の心意気が感じられるハブでした。