7年前のホイールデータ

机を整理していますと7年前のホイール組の資料が出てきました。この時はパークツールのスポークテンションアプリを使っていました。スポークテンションを可視化して作るのは手間のようですが精度を上げることができますので気に入っていました。

少し遠回りですがデータを取りながら作い上げるほうが近道です

この時のデータを見ますとテンションばらつき度が大きく今のように5%以内に収めることがほとんど出来ていませんでした。

もっと詳しくデータを見ますとスポークテンションは180kgf~200kgfと異常なハイテンションでした。こんな数値はおかしいと思います。テンションメーターの読み取り数値が違っているのが原因と思います。校正していないTM-1が原因です。

しかし当時はハイテンションがいいホイールと信じていました。TM-1も正確なものと信頼していました。今考えますと恥ずかしいです。もちろん適度なハイテンションで揃うことは必要です。

キャリブレーションしていないテンションメーターで、おまけに可視化といいながらもバラつきの多いホイールしか組めていませんでした。ただ振れ取りだけはしっかりできていました。失礼な言い方になりますが大方のビルダーはこうだと思います。

当時は今のように販売していませんが売り物にするには恥ずかしい出来上がりです。DTがいうようにホイールの持つ隠れた力を発揮するにはスポークテンションを揃えることが必要です。この作業にはやはり何度も経験することが大切ということです。

7年経った今はスポークテンションのバラつきは縦、横ブレともに5%以内に仕上げることが出来ます。何故5%以内かといいますとDuraホイールが5%のようです。このホイールの上を行くのが目標です。

DTのホームページで復習

DTのホームページを見てお正月を過ごしていました。とてもよくできていて勉強になります。ハブサービスの方法も勉強できます。

以前スポークテンションのことを書かれた記事を発見しまして当ブログに紹介しましたがその記事がなくなっていました。その記事がまた復活しているのを発見しました。

それがこの記事です。

DTのホームページより
DTのホームページより

いつもホイールのスポークテンションを揃えることが大切といっていますがDTの記事で簡潔に紹介されていますので読まれたら良いかと思います。

新年のご挨拶

ホイールをお納めしました方々より新年のご挨拶をいただきました。私のほうから出すべきことなのにご連絡いただきました。ありがたいことです。

ある方より面白い情報をいただきましたのでご紹介したいと思います。すでにご存じの方はおられると思いますが、へ~こんなこと出来るの!と驚かれる方もおられるでしょう。

30年前のハブを今も使い続けておられる方のお話です。シマノハブは30年たっても頑丈で手入れさえしっかりしていると使えるという証拠です。

30年前のハブです 130mmで使えるようにされました

ハブ軸を交換して135mmから130mmで使えるようにされました。間違っているかもわかりませんがハブシェル、フリーはそのままのようです。今度おたずねして確認させていただこうと思っています。

ネット情報が発達して部品を手に入れるのは楽になりました。ハブ軸を交換すれば使えると考えられたようです。シマノではこのようにすれば長く使えますよと教えてはくれません。しかし構造を把握していれば想像はつきます。トライしてみる価値はあります。

今まで自転車屋さんが内緒にしていた事柄はどんどんわかってきました。ははん、こうするのかと面白いです。新年から興味深いお知らせいただきました。

新年初仕事

新年の初仕事はTNIのAL300リムを使って作りました。リムはナローリムです。今まで何度もご注文いただいているレース志向のお客様よりご注文いただきました。

前後1542g
431g

AL300は重量430g前後と軽量ですが30㎜の高さがあります。空力も期待できる剛性高いリムです。時代はワイドリムに変わりつつありますが優秀なリムの一つとして残りとてもコスパの良いリムです。

今回のご注文ではハブ、スポークは私のほうで用意しました。

仕様は下記の通りです。

リム AL300 20・24h

ハブ ノバテックA291SB,F482SB   20/24h

スポーク DTコンペティション 黒

ニップル ピラーDNS 黒

前輪658g
前輪ラジアル組
スポークテンションを均一にすることが一番大切です
後輪884g
左右2クロス組
ドライブ側を高くして左側を相対的に高くしています

リムはオフセットリムではありませんので左スポークが緩くなるかと危惧しますが右を130kgfくらいに高めることで解決しています。結果的には左を54kgf近く取れています。ホイール作りではスポークテンションの高低をなくし均一化することが大切です。力が偏ることなく各スポークに伝わるので駆動ロスが軽減されスポーク折れなどのトラブルを避けることが出来ます。

出来上がりは前輪658g、後輪884gでした。合計1542gです。スポークを1.8mmと太くして剛性を高めていますがとても軽量です。一番にはエンジンですがホイールは次に大切です。

500本入りのスポーク、1箱500入りのニップル

最近分かったのですが自転車屋さんもあまりご存じないようです。500入りのスポーク、ニップルはこんな袋、箱に入っています。

サピム、ピラー 一袋500本入り
DT Squorxpro ブラス 黒 500個入り

まあどうでも良いことなのですがスポークも2年前までは沢山買わなくても入用買いで間に合いました。しかしコロナのおかげで部品事情は大きく変わり半年待ちなどは当たり前になったのです。最近少し事情が良くなってきましたがまだまだ在庫状況は回復していません。

おかげさまで私もスポーク、ニップルの購入数を増やしましたので少し安心度は高まりました。

沢山買わないと間に合わない

いつも買っているセラーは今でも3か月待ちで考えてほしいといっています。来年はもう少し回復してほしいものです。

レイノルズホイールのハブを取り換えました

ホイールを何度もリピートオーダーいただいていますお客様よりご連絡いただきました。

レイノルズホイールのハブ交換のご依頼です。

スルーアクスルからクイック仕様に変更したいとのことです。当初キャップを替える予定だったのですが残念なことにキャップが手に入りません。ホイールを購入したお店では代理店が持っていないと返事があったそうです。キャップがいつ手に入るか分からないのでハブ交換することにされました。

レイノルズホイールAR41 前輪
お預かり時の前輪スポークテンション
レイノルズホイールAR41 後輪
お預かり時の後輪スポークテンション

ホイールをお預かりしますとまずスポークのテンションを計測します。長く使われていましたのでテンションばらつきはありますがこれは仕方ないです。

お渡しいただいたハブは初めて見る製品です。ハブスミスというブランドでストレイトプルスポークの台湾ハブです。

ハブスミス 前輪用ハブ 正確に計測することが大切です
DTスポークカルクより

ホイール作りにはハブを正確に測ることが大切です。Jベントのハブも同じですがストレートプルスポーク用のハブは特に上図のようにスポークオフセット値の計測が大切です。この数値を間違えると正確なスポーク長を出すことが出来ません。注意が必要です。計測にはデジタル計測器で測りましたので目盛りの読み違えがありません。道具は大切です。

スポークの準備が出来ましたらハブに通していけば下準備が終わります。このホイールでは綾を取っていましたのでクロス部分は綾を取ることにしました。

ニップルはピラーのダブルスクエアを使っています。このニップルは名前の通りニップル穴からでも回せます。スポークテンションが高くなった時にニップル穴より締めこめば回しやすいので扱いが楽です。お勧めニップルです。

組みあがり後の前輪スポークテンション
出来上がり後の後輪スポークテンション

ハブ交換後のホイール クイック方式に変更しました

いつものようにスポークのテンションの均一化に注意して組み上げました。

今回のホイールは奥様のホイールということです。ご夫婦で自転車を楽しまれています。最近はカップルで乗られている方をよくお見掛けしますが趣味が同じなのはうらやましいです。

36mm高ディスクカーボンホイールを作製

当ブログで一番多く発表させていただいていますカーボンホイールのご注文です。カーボンホイールに興味をいただいたお客様よりブログに連絡いただきました。

体重をお聞かせいただき登りにも平地にもしっかりパフォーマンスを発揮できるホイールということでご提案しました。この時に今までお買い上げいただきました方々がインプレを送っていいただいていますので参考にしてくださいと連絡しました。

お顔あわせての商談ではありません。私が申し上げることではありませんが通常は大丈夫かなと心配です。

果たしてブログの閲覧数がいつもよりとても沢山増えています。やはりお読みいただいたんだなと想像していました。数日たってから見積もり通り注文しますとご連絡いただきました。ありがたいことです。

部品在庫がある場合ご注文いただくと3日ぐらいかかります。組みあがりは1日でできますが以前のブログ記事にも書きましたが日を開けたほうがスポークの張りがなじみます。時間空けて調整したほうが狂いの少ないホイールに仕上がることが経験則から分かっていますので日を開けての調整を了解いただいています。

前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

スポークテンションはできるだけ揃えています。ホイール作りで一番大切なことです。

なじみだしは最低4回行っています。こうしますと安心です。お客様もご納得いただけると思っています。

お客様はチューブレスで乗られる予定です。タイヤの運用がご心配でしたが誰でも最初はビギナーですと申し上げますと安心されたようです。無事タイヤインストールされて乗りこなされている印象を教えていただきたいものです。

尚、厚かましいことですがホイールは1セットでは足りません。1フレーム2ホイールで乗られることをお勧めします。

星スポークを応援したい

タキザワさんの通販サイトで少し足りないDTスポークを購入しようと覗いてみますとタキザワさんではDTスポークを扱わなくなったようです。エアロスポークが欲しかったのですが残念です。すべて星スポークに切り替わっていました。

星のエアロスポークがありましたので試しに購入しました。実はこのスポークは初めてです。ずっと扁平スポークは海外メーカーばかり使っていますので星スポークはどんなものかと興味ありました。星スポークの細かいデータが分かりません。ホームページでも発表されていません。ショップの案内では中央部は2.3mmなのでCX-RAYと同等品かなと思いました。もちろん星のスターブライトや段付きバテッドなどは使ったことがありますがメインで使っていません。こんなわけで星のエアロスポークは初めてです。

星#14エアロスポーク 278mm10本66g

購入しました#14エアロスポーク278mm10本を測ってみます。65gです。1本6.5gです。サピムのエアロスポークはCX-RAY、CX-sprintの2種類ですがグラム数が違います。サピムのほうが4g、5gと軽いので私が選択する扁平スポークでは星のエアロスポークは出番がありません。

スターブライト #14 285mm10本68g

ちなみに星のストレートスポークを計測してみました。#14スターブライトスポーク285mm10本測ってみました。68gでした。

この数字から判断しますが星のエアロスポークは#14スターブライトを扁平にしたスポークのようです。

カーボンリムではリムメーカーが#14のスポークを使うことは禁止しています。剛性が高すぎてリムを壊す恐れがあるのです。カーボンホイールでは#14のスポークは剛性がありすぎて使えません。つまり一番欲しいスポークではないわけです。これがとても残念です。

会社の事情もよく知らないのに軽々に物申すのはいけないことですが、あえて言いますと星スポークには台湾のピラー社のウィング21のようなロードバイク用のホイールに使ってみたいスポークは無いようです。日本国内に安定したマーケットがあるのであえてリスクを張って挑戦しようとしないのではと悪いのですが邪推してしまいます。ホームページでは製品はわかりますがサピム、DT、ピラーのように細かいデータが発表されていません。分からないので余計なものを買ってしまいます。些細なことですがこんな点でも不満が残ります。

話が余計な方向に行きましたが星のエアロスポークを買っての感想です。ピラーWing,サピムCX-RAYのようなスポークを作ってほしいです。そして国産の星スポークを買って応援したいです。技術の日本ではないのでしょうか?

ところで278mmエアロスポーク沢山買ってしまったので使わないといけません。ピカピカしてとても存在感があります。カーボンリムでは使えませんがアルミリムなら使えるので出番はあると思います。しかし今のままでは端役しかありません。主役には重量が重すぎます。

まずは縦ブレ用のダイヤルゲージです

サブで使っているダイヤルゲージ付き振れ取り台を紹介いたします。

振れ取り台にダイヤルゲージを取り付けることを何度か記事にしました。振れ取り台にゲージを取り付けると仕事の精度は格段に上がります。私はもうゲージなしではホイールを作れなくなっています。やはりしっかりと頼れる機械があれば安心できます。

縦ブレさえメーターで確認すれば横ブレは目測で行けます
測定子にもう一工夫必要です 小さな木片をつける予定です
ホームセンターで買った2種類の金具を取り付けるだけです

縦ブレ用を取り付けますと横ブレは目測で十分対応できます。もちろん横用もあればいいのですがまずは縦ブレ用を取り付けることです。

取り付け方法はホームセンターで金具を買ってきて取り付けました。少し前回よりよくなっています。

縦ブレ用のゲージを使えば容易にリムを真円に近づけることが出来ます。リムが真円ならスポークテンションの均一化は楽にできます。ホイールの出来、不出来は縦ブレ取りで決まります。少し工夫すればダイヤルゲージを取り付けるのは難しくありません。

英語圏の自転車フォーラムは楽しい

いろいろ海外の自転車フォーラム、ブログ、情報誌を読むことが多いです。拙い英語力ですが分からない単語は右クリックで解決できますので安心です。ネットは便利なものです。

英語圏のフォーラム

英語圏の自転車フォーラムはやはり世界中の人が読みますので情報が早いです。参考になることが多いです。日本にも同じような質問箱やフォーラムがありますが手組ホイールに関してはちょっと内容が貧弱な気がします。手組する人の数かもしれません。

英語圏のフォーラムはいろんな国の人たち(ベテランビルダーからビギナーまで)が参加しますのでこの辺りが日本の日本語フォーラムと違うところです。

こんな時どうしたらいいと質問しますと世界中から答えが来るのが面白いです。

もちろん日本の自転車フォーラムも同じように質問者がいて回答者がいるというシステムですが情報量から言いますと英語圏のフォーラムは圧倒的に内容が深くて数が多いと思います。

例えば最近チューブレステープで汎用品のブルーテープが使われるようになりましたがこんなことも何年も前から知ることが出来ました。

しかし鵜呑みにもできません。知の巨人、佐藤優さんに言わせるとネットサーフィンは時間の無駄だそうです。私の検索は絞った内容、事柄ですのが無駄な時間の消費には気を付けたいと思います。

最近考えることですが、ホイールのご注文に後輪はヨンロクにしてほしいといわれることがあります。このヨンロクは10年ほど前から始まりました。有名なビルダーさんが提唱されたのですがこの方の影響力は凄いものがあります。私も初めて知った時は驚きました。こんなすごい組み方があると驚いたものです。

しかし手組ホイールを知れば知るほど疑問点も出てくるわけです。実際私も24hでは行いませんが28hでは左3クロス右2クロスで組むことがあります。1%ほど左のテンションが上がりますので低くなるよりましなので行います。最近ではお客様もこのことはよくご存じで1%上がるだけですよといいますとわかっていますとお返事いただきます。

ではなぜヨンロクの話なのかといいますと海外のホイールフォーラム、ブログでは全くヨンロクの話は出てきません。海外の自転車フォーラムを15年以上読んでいますが左3クロス右2クロスの組み方で話題に上ったことは無いようです。日本にはガラパゴス的に独自の自転車文化があるのか、はたまた英語圏の人たちは細かいことにこだわらないのかもしれません。アメリカやEUではDIYが盛んなので自分でホイールを組む人が多いです。しかしフォーラムの議題をいろいろ検索するのですがこの組み方は出てきません。

右ドライブ側を高く130kgfまで上げると相対的に左テンションは上がりますので1%のために右落とし、左落としといろいろ工夫しなくても組みやすい方法で組めばいいことなのでしょう。

インターネットの時代になり自転車屋さんが隠していた技術もすべてわかる時代です。賢く勉強してお客様の上を行く技術が必要になってきています。