シマノハブデータを使う

ホイール作りにはハブ、リムは必ず実測しています。しかしシマノハブでは実測していません。ハブデータが発表されているからです。正確なので失敗したことはありません。

データはシマノホームページから得ることが出来ます。今回のハブはFH-R7070です。

以前のブログにデータの使い方を記事にしましたが今回はおさらいです。

シマノ ホームページより

一例をあげます。ハブデータにはオフセット値が記されています。

初めて見たときのこのオフセット7.45の意味が解りませんでした。じっくり見ていましてあっ!なるほどとすぐにわかりました。センター値からずれている数字です。

フランジ間の数値÷2でセンターが出ますのでこの数値からオフセット値を足せばいわけです。

フランジ間 55.7÷2=27.85

27.85+7.45=35.3

35.3この値がハブの左センター値です。

55.7-35.3=20.4

フランジ間の値からこのセンター値を引いた数字が右センター値になります。

左35.3  右20.4 

スポーク長の計算ソフトに入力すればスポーク長が得られます。最近の計算ソフトは進化していましてスポークの伸びも考慮した数値が出ます。一つのソフトを信頼するのもいいですが私は2つのソフトを使って比較しています。

出た数値が違うときがあるのですがどちらを選択するかは経験です。

TNIのワイドリムでホイール作製

お客様よりご連絡いただきました。リピーターの方です。TNIのワイドリムが手に入るのでホイール作製依頼です。

長らくTNIのリムが欠品でした。1年くらい待っていましたがトライスポーツでは輸入が始まったようです。いろいろなところから販売され始めています。これは手組ファンには朗報です。

お客様からはハブ、リムをお送りいただきました。

スポーク、ニップルは私が用意します。

ハブはシマノのティアグラ、ソラシリーズで作ります。

ホイールの組み合わせは次の通りです。

リム 前後ともに TNI AL22W 28h 後輪はオフセットリム

ハブ 前輪 シマノ ソラHB-RS300 28h

   後輪 シマノ ティアグラ FH-RS400 28h

スポーク 前輪 サピム Laser 20./1.5/2.0mm 黒

     後輪 右 サピム Laser 20./1.5/2.0mm 黒

        左 DT コンペティション 黒

ニップル ピラー DNSニップル シルバー

ハブはシマノの下位グレードハブです。前後6000円ほどで手に入ります。価格はDuraハブの1/6~1/7の値段です。では性能はどうなのかということです。個人的には同じスピードで走れると思っています。重量的にはDuraハブや台湾の軽量ハブと比べますと重いです。重いは頑丈ということができます。アルテグラハブ、105ハブとはほぼ同じです。ハブの仕上げは大きく違いますので見た目は違います。上位ハブははっきりとそれなりの存在感があります。しかし中身を実質本位で考えますとシマノの下位グレードのハブはとてもよく回ります。

シマノハブの良いところは上位も下位グレードも手抜きしていないことだと思っています。高級ハブと下級ハブではスピードが違うのかといいますと私には同じです。それは違うよという人もおられるかと思いますが私が感じるのは同じです。ただ下位グレードのハブは新品時にはハブの調整が必要のようです。ハブを育てるというか、自分の好みにアタリ調整をされたほうがいいようです。

お客様は玄人好みのプランを立てられています。

リムはコスパの良いワイドリムを選択し前後ともに28穴です。シマノハブは28穴なら販売されています。細いスポークで乗り心地をよくされています。ハブは安価でよく回るハブです。スポークはショックアブソーバーの働きをするLaserスポークと、1.5㎜の細いスポークを沢山使って乗り心地をアップしています。後輪ドライブ側には剛性を高めるために1.8mm径のスポークを使います。スポーク数が28本ありますとお客様の体重では十分剛性を得ることが出来ます。

組み立てを当方にお任せいただきました。

後輪 1015g 外周部が軽いので漕ぎ出しは軽い
スポークテンションはできるだけ均一に
前輪 774g 細いスポークで地面からの振動を吸収
スポークテンションはできるだけ均一に

スポークテンションの均一化を図りテンションのバラつき度を5%以内に収めています。

この5%以内のばらつき度を評価していただいてホイールを組める方からもご注文していただいています。ホイール作りより乗るほうが楽しい方はご連絡いただければ幸いです。

MTBホイールの作製

何度もご注文いただいていますベテランのお客様よりMTB用のホイールをご注文いただきました。

ハブ、リムはお客様よりお送りいただいています。

ハブ、リムはお送りいただきました

ご自分でも自転車、ホイールを組まれる方なのですがやはり餅は餅屋で、いつも遠方の私にご注文いただいています。ホイールはご自分で組まれた自転車で試し乗りをしていただき印象を教えていただいています。とても勉強になります。

お送りいただきました部品は次の通りです。

リム スタンス MK3アルミリム 28h

軽量リムです

ハブ シマノ Deore HB-M8110-B,FH-M8110-B   ブースターハブ 28h

ブースターハブです 大きいのにこの重量は軽量です

ハブデータはシマノホームページから取れます。ハブの実測は本来必要ですが信頼できるデータですのでシマノハブに関しては実測しなくても良いかと思います。

シマノ ホームページより
シマノ ホームページより

送られてきましたハブの回転はとても滑らかです。この滑らかさは素晴らしいとお客様に連絡しますと同じお考えでした。シマノハブはカップアンドコーンなので自分でアタリを調整できます。別の言い方で育てる感じです。グリスの具合やナットの締め具合すべて個人で行えます。そんなに難しくありません。下位グレードのハブになりますと自分の好みにする手間が結構いるのですが今回のハブでは全く必要ありません。最初から大人で来ました。フリーの回転も素敵です。

リムもデータが発表されています。しかしリムには実測が必要です。

リムは実測が必要です ERD605mmですが実際は違います

ホームページでの発表データではERDは605です。リムにもそう記されています。しかし実測では610mmでした。5mm違いますので605でスポークを準備しますとまた買いなおさなければなりません。手間を惜しまなければ無駄な出費はありません。

スポーク、ニップルはこちらで用意します。すべてお任せいただきました。

スポーク コンペティション 2.0/1.8/2.0mm シルバー

ニップル ピラーDNS ブラス シルバー

この部品で組みます。

リムはとても軽量です。スポークはDTコンペティションのクロス組です。

スポークテンションを出来るだけ揃えて振れを最小に仕上げます。

ストレスリリーブを何度も行います。時間をあけて行うほうが逆に効率が良いようです。

試し乗り後に最終テンション調整ができれば一番いいのですがお客様は遠方ですのでそうもいきません。

このため何度もストレス取りを行っています。この手間を惜しむとダメ・ホイールです。何回か行いますとスポークに力を加えてもテンションが変化しなくなります。この状態になるまで行うことがコツといえます。考えてみれば当たり前のことですが多くのビルダーさんは不十分なようです。

前輪 731g
出来るだけスポークは均一に張ります
後輪 883g
ドライブ側は120~130kgfで均一に張ります

出来上がりは前輪731g、後輪883gとても軽量です。合計1614gと軽量です。リム367gと外周部が軽いので漕ぎ出しは軽いです。急な発進が頻発するMTBにはぴったりです。 また感想を教えていただけると思います。楽しみです。

お客様をご紹介いただきました

昨年カーボンホイールをお納めしましたお客様のご友人からこのブログにご連絡いただきました。

トライアスリート仲間からの紹介してもらいましたということです。

そうです、お客様はトライアスロンをなさっています。トライアスロンですので平地がメインですが登りもお好きで平地と登り半々でトレーニングされているようです。

いいホイールを提案してほしいということでしたのでまずは当方の定番ホイールを紹介しました。

36mm高と46mm高、幅はどちらも28mm幅の穴なしリムを使ったディスクホイールです。この2種類は定番的なホイールです。スポーク、ハブの選択で値段は変わってくるのですが一番のお勧めはTNIのREVOハブを使いスポークはピラーのウィング21で組み上げるホイールです。ニップルはブラスです。

以下の組み合わせです。

定番ディスクホイールです

28mm幅46mm高 穴なしはー本リム 24穴

ハブ TNI REVOハブ

スポーク  ピラーウィング21 黒

ニップル DT Squorxpro ブラス 黒

出来上がりは前輪704g、後輪828g 前後1532g 

とても軽量に仕上がりました。

出来るだけ均一にスポークを張っています
できるだけ均一にスポークを張っています

スポークテンションはできるだけ均一に張っています。振れ取りは最小になるように仕上げています。振れ取り台のメーターで見ますとプラスマイナス0.1mm前後のフレで仕上げていますのでほぼ真円に近い仕上がりです。

手組ホイールでは使うスポークの特徴が分かっていますので剛性が足りなければスポークを太くして剛性を上げることが出来ます。

力のある人、体重のある人が乗りますとブレーキがこすれたりします。これはホイールの剛性不足が原因です。こんな時スポークの太さをければホイールの剛性が上がります。

前輪も同じことですが剛性が足りなければまずは後輪右スポークを少し太くします。

左右サピムのCX-RAYなら右ドライブ側スポークをCX-Sprint、DTならエアロコンプに交換です。ほんの数グラムの違いですが間違いなくホイールの剛性は上がります。

まだ足りない場合はCX-RAYすべてを取り換えて左右CX-Sprintかエアロコンプに交換です。まだ足りない場合コンペティションに交換すればよいかと思います。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。ホイール全体から見ますと10g~20gの増加で剛性は大きく変わるわけです。

トライアスリートの客様にはこのことをご説明しています。

手組ホイールの良さはお客様の体重、乗り方にあわせて組み上げていくことが出来ます。完組のブティックブランドホイールは幅広いお客様を相手に作り上げたホイールです。誰も欲しがるホイールですが乗り手にぴったり合っているかはわかりません。ホイールには相性があります。高いホイールがすべていいホイールではありません。高価なホイールが乗り手に合っていなければ単に疲れるホイールといえます。

誰もがレースに出るわけではありません。レースに出ない人にはレース向きのホイールはアンマッチかもしれません。こんなことを考えながら組んでいくのが手組ホイールと思っています。

チューブラーホイール、前輪から音が出る

昨年末にお納めしましたお客様よりお尋ねのご連絡をいただきました。ベテランライダーのお客様ですが初めてチューブラーホイールを試されました。

下記のような内容です。

チューブラーホイールで約2000キロ走りました。乗り心地が良く疲労が少なくて快適に乗れています。
相談ですが
ここ3回位100キロを超えるとフロントホイールから異音が発生します。
変速機の整備不良でチェーンがスプロケットに擦れているような音がします。
実際最初は変速機が原因だと思い色々やったくらいです。
音は走行中に発生します。

止まっている時に前輪を持ち上げて手で
回しても綺麗に回ります。
走行中にペタルを止めても音がします。
前輪を逆に付けると治ります。
音はどんどん大きくなってきています。
素人考えだと前輪のベアリングが原因ではないかと思います。
恐れ入りますが御返答お願い致します。

ベアリングが不良品であったかもわかりません。取り敢えずべリングを交換しますということでお送りいただきました。

バルブホールのテープ処理がされていません  音の原因でした

ホイールが届きましてすぐにスポークテンションを見ました。ほとんど変化していません。1っか所だけ調整しましたがほぼさわらなくても良い状態でした。

ホイールを軽く回ししました。特別以上はありません。ふと、バルブ部分を見ますとタイヤをバルブ穴に通したままでした。

これを見て音が鳴る理由が分かりました。

チューブラータイヤではテープ、セメント2種類インストールの方法があります。どちらの方法でもバルブをネジで固定しないタイヤの場合タイヤインストールが終わるとバルブをしっかり固定する必要があります。

バルブを固定していないとホイールが回っている間にタイヤがほんのわずかですがずれを起こしてしまいます。距離を走ると回転でタイヤに熱を持つのでしょう。接着面が柔らかくなりタイヤがほんのわずかですが動いてしまいます。

こういう状態になりますとわずかですがタイヤがずれます。バルブとアルミバルブ穴がこすれて音がするわけです。走っている間一定の間隔で音がするなら確実に変な音の原因はこれです。

対処方法は?

テープに切り込みを入れます
バルブにテープを通します
クロスして2枚張ると完璧です

バルブを固定することです。方法はテープを使って固定します。絶縁テープを使って写真のようにテープに小さな切込みを入れ、タイヤバルブに通してリムに固定するのです。2枚テープを用意してx印で貼ると効果的です。

テープを貼って固定しました

処理が終わりお客様にはベアリング交換しないでお返ししました。ご連絡いただいたときにすぐに対処方法をお知らせすることが出来ればよかったのですが今回はできませんでした。反省点です。

チューブラータイヤが初めてのお客様はこれで一つマスターされました。誰でも最初は初心者です。ベテランライダーさんでも皆さんスタートは一緒です。ご参考になれば幸いです。

シャッタープレシジョン・ダイナモハブでホイール作製

当ブログを読んでいただきました方よりご連絡いただきました。ダイナモハブを使ってホイールの作製依頼です。後輪も合わせてご注文いただきました。

ご連絡いただきました時に

●シャッタープレシジョンのハブを使ってほしい

●ブルべで使用

●ロングライドの為乗り心地を優先し疲れにくいホイール

このようなご希望でしたが恥ずかしながらシャッタープレシジョンのハブは初めてです。

ドイツのSONブランドなら知っていましたがこのSPブランドは知りませんでした。

シャッタープレシジョン ダイナモハブ 台湾製

お客様にはハブをお送りいただきリム、後輪ハブ、スポークはこちらで提案いたしますということでお見積りいたしました。

ロングライドには多スポークホイールが有利ということを今までのブログに何度も書かせていただいています。お客様はこれらの記事を読まれてご連絡いただいたようです。

プランとして次のように提案いたしました。

リム キンリンXR31T/RT 前後ともに32h

ハブ 前輪シャッタープレシジョン 32h 黒 お客様よりお持ち込み

ハブ 後輪シマノ ティアグラハブ 32h 黒 こちらで用意

スポーク 前輪 サピム Laser

スポーク 後輪左 サピム Laser 後輪右 サピムRace

ニップル ピラー DNS ブラス シルバー

お客様ご購入のSPハブは台湾製のハブで日本輸入元は東京サンエスさんです。ハブを送られてきた時ですが、初めて触るハブです。手回してみると非常に硬く感じました。最初このハブは不良品ではないかと心配しました。通常のハブでは軽く回りますがこのハブは簡単には回りません。不安になるのは当然です。やはりお預かり品ですので責任があります。

東京サンエスさんに問い合わせしました。手回しではこんなに硬いものですか?ということを確認しますと、そんなものですと答えがありました。知らないということは強いものです。なんでも聞いてしまいます。担当の人も何を聞くのかなという感じでしたが答えはとても穏やかで丁寧な応対でした。これで安心しましたので取り掛かることが出来ます。

ハブには方向性があります  イラストはラジアル組です

ハブに付属の説明書にはラジアル組のイラストでした。32hのラジアル組はちょっと見た目も違和感があります。またロングライドにはクロス組が乗り味を柔らかくできます。お客様にはクロス組を提案し、了解得ました。

スポークは中央部が1.5㎜のLaserスポークですのでスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれます。ホイールの組み上げにはねじれが生じやすいスポークなので扱いが難しいスポークです。注意が必要です。

後輪右は1.8㎜のRaceスポークにして剛性を上げています。左はLaserスポークで組み上げます。左右のスポークを変える方法は最近では完組ホイールでもよく見受けます。

SPハブには方向性があります。ハブ中央に矢印がありますので注意が必要です。

後輪リムにも3mmのオフセットがありますのでこれも方向性があります。

前輪1065g ダイナモハブ使用 2クロス組
前輪スポークテンショングラフ
矢印のように方向性があります  左右2クロス組 Laserスポーク使用
後輪1087g  
左Laser 右Race  左右3クロス組
後輪スポークテンショングラフ

前輪後輪ともにスポークテンションの均一化をはかり振れを最小になるようにします。時間が掛かっても手を抜くことなく作り上げることがトラブルの少ないホイールを作るのに必要なことです。早く作るよりゆっくり確実が肝要です。完成しましたホイールにはテンションデータをお付けしてお届しています。

これでブルべでは安心して夜間に走れます。インプレが楽しみです。

テンションメーターTM-1の校正

ブログを読んでいただいているお客様よりご連絡いただきました。

テンションメーターの校正についてのご相談です。校正器を作るかこちらでメーターを校正して使われるかで悩まれました。校正器を作られる場合はどんな部品を集めればよいかなどお知らせしました。結果的には校正のご依頼をいただきました。

まっさらのTM-1です

TM-1をお送りいただきました。まっさらです。メーターをもう一つ持っておられてPWTのメーターをよく使われるようです。PWTは柔らかいので使いやすいといっておられます。しかし柔らかいメーターは個人的には安定した結果を得られないように思います。

現在私もTM-1を使っていますがざっとスポークテンションを知るにはとても便利です。正確さには欠けますが十分実用になります。ただし校正していることが肝心です。

例えば目盛り21は正確には何kgfを示すのかを知ることが大切です。

スポークが秤で何kgfか測りながら記録行きます

私の校正方法は選択したスポークを例えば100kgfで引っ張りその時の示すメーターの目盛りを記録するという方法です。

私のTM-1のチャートです 傷んできました

TM-1に付属するチャートとは大きく違うことが多いです。今までお預かりしましたTM-1はほとんど10~20%違っていました。

昔のことですがある方のブログでホイールのスポークテンションを確か180kgfで仕上げていると書かれていたことを思い出します。この方はおそらくTM-1を使っておられたと思います。メーターが狂っていることを全く疑っておられなかったのでしょう。仮に180kgfでしたらホイールは完成しますがリムはすぐにニップル穴のところが変形すると思います。またハイテンションで仕上げたから剛性が上がるわけではありません。ホイールの剛性とスポークテンションは別物です。

話がそれました。お送りいただきましたメーターはスポーク3本調べてチャートを作りました。簡易式ですがラミネート仕上げにしておきますと作業場に置かれても便利です。

メーターはそれぞれ違います このチャートは参考になりません

実際使うのは100,120,130kgfが分かればよいかと思います。

私の使うデジタルメーターは100kgfで0.33mmを示しますので時々ですが作業前にこの数値かどうかを調べています。いずれメーターのばねは劣化しますので取り換えが必要だと思いますが今のところバックアップのメーターがありますので2台で交代しながら使っています。

メーターの精度は必要ですがそれも程度ものです。個人的には大雑把でもホイールは大丈夫と思います。私がお勧めしたいのはメーターを使ってスポークのテンションを揃えることです。ギターのようにスポークを弾いて音で張りを調整する方法がありますが私はうまくできません。音痴なのでしょう。できないことはないのですがとても面倒です。何ヘルツまで音を合わせる必要はないと感じています。

Duraホイールもスポークテンションは100%揃っていません。バラつき度で言いますと5%のバラつきです。5%のバラつき度はDuraホイールだからこの数値です。結構難しい数値です。

私もホイール作りを始めたころはほとんどバラつき度が20%を超えていました。ホイールはスポークテンションが揃っていなくても引っ張りのバランスが取れていれば振れ取りができます。振れが取れると一応ホイールは完成ですがこれではスポークが折れたりすることが頻繁に起こります。スポークテンションが揃っていれば各スポークにかかる力が偏りませんのでスポークが折れにくくなります。

こんなことから話は戻りますがテンションメーターには正確さが必要なわけです。送られてきたメーターは実用に耐えられるメーターになりました。長く使えると思います。ホイール点検ホイール作りに役立つでしょう。

しかしボツボツ部品を集めてご自分の校正器を作ることはけっして無駄な買い物ではないと思います。

DURAハブを使ってチューブラーホイールのご依頼

お客様の手持ち部品をお送りいただきチューブラーホイールの作製依頼の連絡をいただきました。

ハブはHB7700,FH7700です。とっくにディスコンになっているハブですが銘ハブとして今でも人気がありオークションに出すとすぐに買い手がつくハブです。

Duraハブが届きました
台湾ハブと比べると重いのですが重い分丈夫です

ハブはお客様よりお送りいただきリム、スポークは私が手配するというご注文です。

大事に使われてきたハブなのでグリスアップもご依頼いただきました。

グリスを取り除き新しいグリスを注入します

シマノハブのメンテは難しくありません。ユーザーができるように設計されています。ハブスパナが必要ですがナットを緩めて取り外し疲労したグリスを取り除き新しいグリスを注入します。ただし玉あたり調整には少し慣れが必要です。

411g 軽量リムです

リムはチューブラーリムです。最近では手に入るチューブラーリムは限定されます。リム数は少ない中でもTNIのCX22は軽量で高性能なリムです。今回はこのCX22を使います。

スポークはお任せいただきましたのでピラーTB2015 2.0/1.5/2.0mmを前輪に、後輪は左TB2015、右にTB2018としています。ドライブ側を少し太くして剛性を高めています。細いスポークの数を増やして剛性を上げる方法は疲れにくいホイールを作るときには最適です。今は少スポークホイールが流行りですが逆の考えで作ります。

ピラー社 ホームページより

ニップルはピラーのダブルスクエアニップルを使っています。なかなか国内では手に入れにくいニップルですがとても優秀です。後ろからでも容易に回せますのでとても使いやすいニップルです。

スポークテンションに関してですがシマノ旧バージョンのハブはハブオフセット値が小さいので後輪の左テンションを11速ハブと比べて高く取れます。ギアの枚数が少ないのですがスポークテンションに関してはこちらのほうが優れているわけです。11速にしないで9速、10速で走られる方がまだまだ多いのもわよくかります。ギアが増えるよりホイールの性能を優先されているわけです。

前後 1612g
前輪 699g
スポークテンションを出来るだけそろえています
後輪 913g
スポークテンションを出来るだけそろえています

製作上での注意点は、スポークテンションを出来るだけ揃えて、振れを最小になるように仕上げています。とても地味な作業ですが当ホイールの特徴になっています。スポークテンションが揃っていれば駆動ロスが少なくなります。おまけにスポーク折れなどのトラブルが少ないのです。リム、ハブの持つ力を最大限ひき出すにはこれが一番大切です。

チューブラーホイールは今やカーボンホイールでしか完組では手に入りません。アルミチューブラーでは手組しかないという現状です。アルミチューブラーホイールを選ぶ機会が少ないのですが使ってみると優秀なホイールということが分かります。

今回のようなベテランライダー様からのご注文はありがたいことです。

36mm高リムブレーキ用カーボンホイールのご注文

以前このブログに紹介しましたお客様よりカーボンホイールを注文いただきました。リピートオーダーです。

手持ちナローリムホイール、のむラボ1号をヤフオクに出品して、これを原資に当ホイールを購入されたようです。

のむラボブランドはとても有名です。すぐに買い手が現れました。購入者にとても喜ばれたと伺いました。のむラボさん、さすがです。

高値で売れてお客様は喜び、購入者は憧れのホイールを手に入れ、私はカーボンホイールの注文をいただけました。いや、面白いつながりです。

こんな経緯で新しくカーボンホイールを注文いただいたのですが仕様は次の通りです。

リム 36mm高28mm幅リムブレーキ用

ハブ 前輪ノバテックA291SB,後輪F482SB 20・24h

スポーク ピラー ウィング21

ニップル DT SqourxPro ブラス黒

前輪651g
前輪スポークテンショングラフ
後輪828g

前輪651g後輪828g 合計1479gです。

スポークのテンションを出来るだけ均一に振れを出来るだけ最小にする、これを目標に作製しています。

リムは穴なしリムです。リムテープの運用が要りません。テープを巻く手間は意外と大変です。これがなくなるのは本当に楽だと実感します。テープ代も意外とかさむものでその費用が要らないのは大きな利点です。

また、チューブレスタイヤとは相性の良いリムと思います。普通のポンプで簡単にビードは上がります。特別なポンプはいりません。

チューブレスタイヤと相性がいいリムですがクリンチャーに戻される方も沢山おられます。優秀なクリンチャータイヤが沢山ありますので良質のチューブを使って運用する方法も良いかと思います。つまりチューブレスでもクリンチャーでも、どちらでも楽しめる優秀リムです。

リムは体重がかかると地面に接する部分はわずかですが凹みます。これはどんなホイールもいえることですが剛性が高いリムは変形が少ないです。つまり前に進む力はロスすることなく進むということです。

アルミリムとカーボンリムと比べますとリムの変形はカーボンリムのほうが高剛性なので変形しにくいです。つまりカーボンリムのほうが駆動ロスはすくないというわけです。

お客様は手組ホイールファンの31mm高のアルミリムXR31T/RTホイールと今回のカーボンホイールを乗られることになります。アルミリムホイールで気に入っていただいていました。今回はもっと剛性が高いリムです。両者の違いを聞かせていただくのが楽しみです。

べリングの感触、確かに違う

バイテックスのハブからベアリングを取り出しました。

ベアリングをポンチで取り外しました
バイテックスハブより取り外した台湾製ベアリング

ハブ本体、シェル側のベアリングです。6902規格のベアリングでした。マクロレンズを使って写真で拡大しますと台湾製とわかります。このベアリングを写真のように回してみました。回る感触は鈍感な私もよくわかります。

このベアリングをNTNと比べてみました。ベアリングは安心のNTNです。規格はLLB規格です。この非接触型のベアリングと比べてみました。ベアリングについて詳しくはありませんがこのメーカーにしておけば安心と海外のビルダーさんたちも太鼓判を押しています。

同じ規格ですので大きさは変わりません。

取り出したベアリングのシールは朱色と黒のゴムシールを取り付けてあります。詳しい方に教えていただきたいのですが朱色には6901LU、黒には6902LBと書かれています。接触、非接触の区分けと思いますが左右同じではありません。

このように回して感触を比べてみました

さて用意しましたベアリングはNTNの6902LLBベアリングです。同時に回して感触を比べてみますと明らかにNTNのほうが軽く回ります。私だけの感覚では心配なので家の者にもさわってもらいました。違うとの答えです。

カンパハブより取り出したベアリング、シールを外してある

以前にカンパの前輪ハブから取り出した6001RS2のベアリングがあります。このベアリングはハブシェル内部のシールは取り外してありました。ハブの中には埃が入らないという考えです。

このベアリングも用意したNTNベアリングを回して比べてみました。果たしてNTNの非接触ベアリングのほうが軽く回りました。シールを片側外してあるベアリングよりNTNのほうが軽く回ります。

ホイールを評価する場合いろんな要素が絡みますのでベアリングだけがホイールの評価に大きく影響するとは思えませんが気分的には違うような気がします。

性能の良いベアリングに取り換えたというだけで早く走れる感じがしてしまいます。

しかし自分の中のもう一人の私が、ベアリングで決まるのやったらグランツールではみんなゴキソに替えるのとちがう?といっているので本当はどうなのでしょう。

上段NTNのLLBベアリング、下段左バイテックスハブよりより出したベアリング、中カンパハブより取り出し、右NTNベアリング

上のNTNベアリングですがこれだけあって5000円です。

ベアリング1個約500円です。2個で約1000円、これだけで今よりパフォーマンスが上がると思えば確かにコスパはいいです。おまけにベアリング交換という達成感は大きいです。私の場合、性能を言うよりもベアリング交換したというやり遂げた感、腕が上がった感を得られるのがうれしいです。