シマノハブ、TNIカーボンリムでホイール作製

TNIのカーボンリムRoad35を使ってホイールを作製しました。ハブはすでにブログ記事にしていますがシマノホイールよりハブを取り出して使っています。何故こういうことをするかと言いますとカップアンドコーンのハブを使いたいからです。

シマノホイールより取り出したカップアンドコーンハブ 20・24穴

シマノのハブはカップアンドコーンです。玉あたりの調整が必要ですが非常に丈夫です。シマノハブはユーザーが育てるハブです。定期的にグリスアップを行えば非常に信頼できるハブとして長く使えます。ハイグレードのハブ、下位グレードのハブと種類がありますがどのグレードも頼りになります。見た目にはグレードの差異はありますがどれも回転性能は優秀です。

残念なことにシマノハブでは前輪20穴後輪24穴のハブは販売されていません。用意するカーボンリムは前輪20穴、後輪24穴です。ここでうまいアイデアがありました。既成のホイールからハブを取り出して転用します。シマノホイールの下位グレードには20・24hのホイールが販売されています。価格もリーズナブルです。これを使うことにしました。

前後セット 1649g

仕様は次の通りです。

リム TNI カーボンリム Road35 20・24H

ハブ シマノ 20・24h

スポーク 前輪後輪ともにピラーwing21 シルバー

ニップル ピラーDSNブラス シルバー

スポークはWing21シルバーにしました。市販のカーボンホイールは黒色ばかりです。オリジナル感を出すためにシルバーのスポークにしています。

Wing21はエアロタイプのスポークです。空力面ではサピムのCX-RAYより優れているという風洞実験の結果があるようです。CX-RAYより少し重いのでCX-RAYやDTのエアロライトで組んだホイールより剛性は上がります。つまり20・24の組み合わせで少しホイールの剛性が弱いと感じる方にはちょうど良い硬さになると思います。

前輪703g
前輪 ラジアル組
後輪946g
後輪 左右2クロス組

ホイールはリムテープを貼り、バルブを用意すればチューブレスホイールとして使えます。シルバースポークのカーボンホイールはあまり見たことがありません。ありきたりのホイールにご不満な方、カップアンドコーンのハブがいいと考えておられる方にお勧めです。ハブが重いので総重量は少し増えますが前後で1649gは軽量ホイールには違いありません。外周部が軽量なので漕ぎ出しは軽いホイールです。

シマノエントリーモデルWH-R500ホイール前輪を分解

カップアンドコーンのハブで容易に手に入るのはシマノの製品です。しかしユーザーが容易に手に入るハブの穴数は限定していまして28、32、36穴のハブがほとんどです。ディスコンになっている古い製品には18、24、28、32、36とバリエーションがありました。しかし残念ながら現状ではこのようなハブは販売されていません。

ここで奇策を取ることにしました。完成品のホイールからハブを調達するわけです。シマノのエントリーモデルは価格的には驚くばかりです。こんな価格が成り立つのかといつも思います。

前輪20H後輪24Hのカーボンホイールを計画しているのですが軽量の台湾製ハブを使用すれば簡単ですがベアリングの調整が必要ながらカップアンドコーンのハブで作ったホイールが欲しいというユーザーさんも沢山おれらます。

新品のシマノホイールから目的のハブを取り出して使うことにしました。一粒で2度おいしい使い方です。ハブとリムは2回使えますが取り出したスポークは2mmスポークなのでほとんど活躍する場面がありません。このため2mmスポークがたまる一方です。

シマノ エントリーモデル WH-R500 前輪862g

今回新しく取り寄せたホイールはシマノのWH-R500です。重量は862gです。決して軽くはありませんが乗る人の用途に合えば素晴らしいホイールです。今回は新品状態ですぐに分解となりました。

新品の状態でスポークテンションを調べてみました。結構優秀です。しかしこの状態からスポークをいつも行う馴染みだしを行いますと次のようになりました。15%くらいテンションは下がりました。

馴染みだし後のスポークテンション

スポークテンションは大きく緩み、ばらつきも大きくなっています。こうなった理由はホイールメーカーの馴染みだしにはプレス方式を取っているからです。リムを固定してハブを押して馴染みだしする方法です。作るのにスピードを要求するホイールメーカーでは仕方ないことでしょう。

馴染みだしの足りないホイールはホイールをフレームに取り付けてしばらく乗るとこのようになるということです。おまけにタイヤをインストールしますとまた10~15%テンションが下がります。これがエントリーモデルはだめだといわれる原因かもしれません。本当はとてもよく走るホイールです。高価なアルミホイールに決して負けるホイールではありません。ただし調整が必要です。

いっそのことラベルを外すのも良いかと思います。安物ホイールを使っているという心理的な影響があるかもしれません。ホイールはとてもプラセボ効果が出る部品です。安物を使っているという負い目が走りに出るかもしれません。冗談ですが…

ホイールは見た目が大切です。購入の際、先ず振れがないかを皆さん調べます。このポイントは大切ですがもう一歩踏み込んできっちりストレスリリーブ(なじみだし)が行われたホイールかということが大切です。勿論価格的にはメーカーとしては手間をかけることはできないわけです。メーカーは見た目を大切にしています。おまけによく走るホイールになってしまいますと高級品が売れなくなります。わかっていてもやらないのが現状かもしれません。

①前輪20後輪24Hのカップアンドコーンハブにはシマノのエントリーモデルがある。性能は優秀です。シマノハブはユーザーが育てる必要があります。これがポイントです。

カップアンドコーン 20穴 145g このハブを使ってカーボンホイールを作ります

②ホイールを作る力があれば取り出したアルミリムは重量がありますので剛性の高いホイールを作ることが出来ます。軽いだけが走るホイールではありません。剛性が大切です。

21mm幅23.5mm高 534g 20穴

③調整をしっかりすれば本当はとてもよく走るシマノエントリーモデルです。スポークを替えればなお一層よくなります。

このようにシマノのエントリーモデル称されるホイールは2度楽しめるホイールです。ディスコンになる前にまた買おうと思っています。部品不足に悩むことはなくなります。

銀輪ホイールのインプレ

昨年の12月にご注文いただきましたシルバーホイールのインプレをいただきました。とても気に入っていただいたようで、写真も一緒にお送りいただきました。

ホイール注文のご連絡いただくきっかけは昨年の6月のブログ記事にあります。シルバーホイールを作製したことを書きました。これを読まれてご連絡いただきました。

お客様はクロモリフレームにシルバー軽量頑丈のキシリウムエリートで走っておられましたがスポークのトラブルから新しいホイールに替えることを考えておられました。

別注のクロモリフレームにあったホイールということで、シルバーホイールのハブとリムをお持ち込みいただきました。スポークはこちら提案しました。ホイールは12月2日の記事にしています。

ホイールのお届後しっかり乗り続けていただきご感想をいただきました。手組ホイールの良さ、欠点を知っていただくうえでとても参考になるインプレをいただきました。

リム AL300 ハブ シマノアルテグラ

以下原文です。

その後、年末年始の休みや週末の度に50から150kのサイクリングを重ね、気づいたら800k超えとなりました。使用感が定まりましたので感謝代わりに感想お伝えさせていただきます。

まず、この厳寒期にこれだけの距離走れたというのも、100k5時間位の行程ならイージーにこなせる属性を自分の自転車が所有したということだと思います。メインのコースが桑名大垣間の揖斐川河川道路往復です。90k程度です。気が向くと大垣から関ヶ原に向かい員弁抜けて桑名というコースで120k。前者はほぼ平坦ですが路面状況が砂利道から敷きたてアスファルト舗装まで様々です。後者は関ヶ原以降員弁まで若干のアップアンダーです。途中雪にふられることもありました。

 前のキシリウムエリート2012では、路面によって跳ね返りが強く衝撃による減速余儀なくされるケースが途中であり、また砂利道は降りて押すという状態でしたが、手組ホイールファンのホイールはそれらの悪路もクリア。一言でいうと接地効率がよく衝撃緩和に優れています。スピードについては不思議な感覚でなんとなく巡航時速25キロという具合でオートマの車に最初に乗った時と感覚が似ています。ただ回した分だけのキシエリと違うので当初は戸惑いました。なお平均時速は2kほど落ちましたが、痛みや疲労感と充分以上トレードオフです。坂は、アップは苦戦。重くなったという偽薬効果かもしれません。ただ下りの安定感と爽快さはそれだけでも価値があるものでした。ヒルクライムホイールならぬダウンヒルホイールの称号つけれます。総じて自身のサイクリングスタイルに全適合という具合です。

見た目そう変わらない手組み<ar713リム アルテグラハブ、ホシスポーク>からのハブ流用で今回作成いただきました。スポークと組みの技術で別物になるということ体感理解出来ました。商売として成立しないでしょうが、完成車のチューンナップでもっとも効果わかりやすい施策ではないでしょうか。

最後に、見た目。物珍しいのでしょうか何度かどこのメーカーと道行のサイクリストに聞かれるケースありました。HPお知らせしておき、費用感伝えると一様に驚かれました。トーケン買おうと思ったけどこちらの方が全然いいとお褒めいただきました。

多スポークホイールは疲れにくいということがよくわかります。スポークが多い分空気抵抗は増えるのですが乗り味は柔らかく疲れにくいということです。予算にあわせてベストのパフォーマンスを得ることが出来る手組ホイールはもっと見直されても良いかと思います。どんなホイールも長所もあれば欠点もあります。乗り手のご希望にあわせて最良のところを見出すには手組ホイールは向いていると思います。

参考になるインプレをお送りいただきまして感謝しています。

26mm高24mm幅シルバーホイールの作製

シルバーホイールのご注文をいただきました。ハブは10速シマノハブの持ち込みです。

シマノ10速ハブ HB6700 FH6700

リムとスポークをこちらで手配しています。

XR26RT シルバーリム 463g
なかなか手に入れにくリムですがうまく手配できました

リムはキンリンのクリンチャーリムです。台湾のキンリンワイドリムは22mm高、31mm高が国内では多く流通しています。しかし26mm高のシルバーリムは国内商社経由では手に入らないと思います。今回のホイールに使うリムはなかなか手に入らなかったのですがうまく手配できました。他のメーカーのシルバーリムは流通していますが非常に高価です。カーボンリムと変わらない価格なので驚きます。商社としましたらリスクを張って輸入しているので高い値段になるのは仕方ないと思います。趣味の世界は奥が深いので価格だけで決めるものでもありません。いずれにしましてもシルバーのリムは非常に手配しにくいことは確かです。

今回のリムは32穴リムですがホイールとしまして王道の穴数です。スポークをうまく選択すればロングライドに適した疲れにくいホイールに仕上がります。

スポークはピラーのトリプルバテッドスポークで作ります。Jベントの部分が2.2mmありますので通常の2mmスポークより強化されているところがいいです。安心感が増します。

前輪を中央部1.5mmで作り、後輪左は1.5mm、右は1.8mmと左右のスポークを変えています。剛性を上げるのが理由です。

ピラーのダブルスクエアニップル(DSN)

ニップルはダブルスクエアです。後ろからテンションアップができますのでとても扱いやすいニップルです。手に入れにくいのが難点です。

モダンなシルバーホイールです なかなか手に入れにくいリムです
前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

組みあがりましたホイールはとても存在感があります。クロモリフレームとあわせますとよく似合います。後輪はオフセットリムですので通常のスポークテンションより10%以上後輪左テンションが高いです。おまけに10速ハブなので一層左右テンション差は少なくできます。リム自体はチューブレスレディーなのでバルブとシーラントを使えばチューブレスホイールとして使用できます。見た目はクラシックですがモダンホイールの高性能ホイールとして使っていただけます。リム高は26mmありますので空力の援護も得られます。用途の広いホイールとして楽しんでいただけるホイールです。

ホイールのバランスとり

ホイールのバランスを取っておられる方は多いと思います。

いろんな情報があふれているいまこのバランス取りもよく知られてきました。

ゴルフパターのバランスとりに使う鉛板をリムに張り付ける方法はよく知られています

方法としましてはゴルフパッドに貼り付ける鉛板がよく使われます。1gの一円玉を使ってバランスを取りその時の一円玉の枚数を数えてグラムを出して鉛板を貼り付けます。これが一番よく使われる方法のようです。

百均で購入したハンダをぐるぐる巻きつけています

最近新手を見つけました。百均で求めたハンダをホイールのスポークに巻き付ける方法です。事前に1gの長さを知っておかないといけませんが写真のようにぐるぐる巻きつけるだけです。とても簡単で見た目もきれいです。取り外しも楽です。いいアイデアと思いますがいかがでしょうか?

32穴ホイールの組み替え依頼

このブログをお読みいただいた方よりご連絡いただきました。

現在使用中ホイールリムが減ってしまい交換を考えています。 今後チューブレス化を考えています おすすめのキンリンリムXR31T/RTに交換とスポークは 星ウィングスターがいいと思っています 見積りをお願いします。

使っておられるホイールはシマノハブを使った手組ホイールでした。このハブを使ってホイールを組み替えるご注文をいただきました。

キンリンのXR31T・RTはいまなかなか手に入りません。当初在庫がなかったのですがいつも買っているセラーに確認をしましたらあるということでした。少し時間が掛かったのですが手に入れることが出来ました。今はモノを持っているのが強いです。見つけたら買いかもしれません。部品はいつでも手配が出来る時代は終わった感じがします。

約一ヶ月お待ちいただきました。リムが揃い、ご連絡しましたらホイールをお送りいただきました。

これだけ丁寧に梱包していただくとありがたいです

梱包がしっかりしています。このホイールのハブを取り出して新しくホイールをお作りいたします。

ホイールの構成は次の通りです。

リム キンリンXR31T・RT 前後ともに32H

31mm高24mm幅 後輪は3mmオフセット

ハブ 前輪シマノHB9000 後輪FH6800 前後ともにお持ち込み

スポーク 前輪 ピラーTB2015

               後輪 左ピラーTB2015 右TB2018

ニップル ピラーDSN ブラス

スポークは星ではなくピラーのスポークを提案しました。スポークの中央部が1.5mmの細いスポークを使います。バテッドスポークの特徴を生かしてホイールを作りました。細いスポークは地面からの衝撃を吸収してくれます。長い距離を走るとよくわかるのですが振動が少なくなるということは疲れにくいということにつながります。輪行などのロングライドに適したホイールです。

リムは約500g、31mm高24mm幅です。剛性があり高さの割には軽量です。空力が良いリムなので平地での走行では足を休めることが出来ます。

ニップルはブラスを選択しています。アルミニップルも強度がありますがやはり安心度はブラスが高いです。

スポークテンション均一化に注意を払い、振れを最小に組み上げます。NHKのチャリダーという番組で有名ビルダーさんがホイールを作っている場面がありました。この時ビルダーさんはスポークを弾いて音で均一になるように調整していました。音を聞き分けながらスポークを調整する方法は昔から行われていますがとてもいい方法と思います。ただ○○kgfで仕上がるということはできません。音の音色で仕上げますが慣れた人にはいい方法なのでしょう。

私もテンションメーターと音の聞き分けを併用しています。ギターのピックではじいています。きれいな音が出るのでわかりやすいです。このためテンションメーターの横にはピックを置いています。

ピックが活躍しています

音で判断には欠点もあります。音のほうが調整のスピードは速いと思いますが違いがわかりすぎてなかなか終わりがありません。いつまでも続けてしまいます。適当なところで切り上げることも必要です。割り切りることでホイールの仕上がりは格段にスピードアップできます。

スポークテンションばらつき度5%以下
スポークテンションばらつき度5%以下

テンションはグラフにしてお客様に報告しています。このグラフにはスポークテンションばらつき度を表示しています。このばらつき度は5%以下になるようにしています。理由はシマノDuraホイールが今まで調べた結果5%くらいの仕上がりでした。このため手組ホイールファンではDuraホイールを上回る仕上がりになるようにしています。大体いつも3%前後で仕上げています。難易度が高い数字ですが精度の高いホイールには必要です。

前輪811g 多スポークホイールはロングライドに適する
後輪1037g 軽いホイールだけが走るホイールではありません

リムはチューブレスレディーのリムなのでバルブとシーラントを用意すればチューブレスホイールとして使用できます。用途が広いホイールです。お客様のインプレが楽しみです。

シマノハブのオーバーホール

ホイールの組み換え前にハブのオーバーホールの依頼も受けました。ハブはシマノハブです。

きれいにしましたシマノハブ HB-9000 FH-6800

新品の時から一度も手入れされていないようです。

シマノハブはカップアンドコーンですのでベアリングの調整は自由度が高いです。シールドベアリングのように固定されていません。好みに調整できます。しかしこの好みにできるというところが意外と整備のハードルを高くしているのかもしれません。

シールドベアリングならベアリングを取り換えるだけでとても作業自体は簡単です。道具さえあればベアリングを取り出して圧入するだけです。

シマノハブの場合ベアリングにたどり着くのにいろいろ作法?があるように思います。この解決にはシマノのホームページを見ることが近道です。メンテナンス情報がしっかり開示されていますので安心です。

シマノ ホームページより HB-9000のメンテナンス情報
シマノ ホームページより FH-6800のメンテナンス情報

お預かりのハブはHB-9000,FH-6800で、作業を始めるとすぐに問題に突き当たります。最近のハブ構造は昔の単純な構造ではありません。開け方が分かりにくいです。作業の基本は同じことですがハブの修理ばかりやっているのではないので初めてのこともあります。こんな時に間違ったことにならないようにシマノのホームページを見て製品のメンテナンス情報を確認しています。図を見ますとハブ構造がよくわかります。とても的確で安心して作業を進めることが出来ます。

下手な職人ほど余計なことをすると時計修理の超ベテランの方から伺ったことがあります。直せないなら余計な手を加えないで欲しいといっておられました。

シマノのホームページで確認するのは素人くさい方法ですが近道で作業がはかどります。おススメです。

ピストホイールの作製

36hのピストホイールの依頼です。ハブとリムはお客様からの持ち込みです。

アラヤリム CTL-385 413g
サンシン トラックハブ 後輪用306g
サンシン トラックハブ 前輪用260g

クリンチャーのシルバーリムを希望されていましたが当方では36hシルバーのクリンチャーリムはなかなか手配できません。チューブラーリムなら競輪で使われるリムがありますので比較的容易に手に入ることを提案しました。しかしクリンチャーで作るということでしたので、ご自分で手配されハブとリムをお送りいただきました。なかなかの調達力です。メルカリやオークションで探せばあるものです。

ハブはサンシンの36Hトラックハブ、リムはアラヤのCTL385です。アラヤのリムはとうにディスコンとなっていますがうまく新品のデッドストック品を見つけてこられました。視点を変えるとまた違う景色が見えますがホイール部品もこの理屈が通ります。違うマーケットにはあるということが分かった次第です。

ハブはリユースですのでスポークをハブ穴に通すには前の使った通りに組む必要があります。スポークを通す方向が同じということです。違う組み方で穴位置を変えるとまた新しい傷が出来、フランジを傷める原因となります。このため前輪はイタリアン、後輪はJIS組みで作ります。

スポークはピラーのTB2015、ブラスニップル12mmシルバーを使いました。バテッドスポークにはホイールの軽量化を図ると共にスポークの弾性が体重によるリムの変形を少なくする利点があります。少し値段が上がりますがストレートスポークを使うより利点が多いスポークです。

ニップルは丈夫なブラスニップルを使います。アルミ軽さよりもブラスの丈夫さを提案しました。

クリンチャーのシルバー36Hはなかなか手に入れにくい
前輪883g
スポークテンションを約100kgfで仕上げています
後輪934g
スポークのテンションを約100kgfで仕上げています

スポークのテンションはいつも記事に書いています通り出来るだけ均一になるようにしています。素材がすべて均一なものであればテンションを揃えることは容易ですがなかなか思う通りには行きません。上手に加減しながら振れを最小にしてスポークのテンションを揃えるようにしています。これには経験が必要です。何度も馴染みだしを行い出来上がりました。

ゾンダホイールを分解して分かったこと

自転車さんにいって新しいホイールは何がいいかと尋ねますとゾンダかレーシング3を勧められます。これを買っておけば間違いありませんと教えてくれるホイールです。

誰もが勧めるゾンダの後輪を分解する機会を得ました。以前のブログでも記事にしたことがありますが調べるポイントが違っていまして気が付かなかったことがあります。

右ドライブ側 14本84g 1本6g
左非ドライブ側 7本36g 1本約5g

ゾンダのスポークは太さが右と左が違います。右は14本84gで1本約6gです。左は7本36gで1本約5gです。右ドライブ側を太くして剛性アップをはかっています。ホイールを作るうえでの手法としてはよく使われる方法です。

この組み合わせを参考にすると左をサピムLaser、右をサピムRaceという組み合わせで作れば同じような感じになります。DTなら左をレボリューション、右をコンペティションになります。

スポークの太さを変える組み合わせはホイール好きの人には徐々に知られるようになってきました。名ホイールを参考にして作るのはとてもいい方法と思います。

G3ホイールの作製

以前ゾンダ後輪をカーボンホイールにリメイクしましたことを書きました。このブログ記事を読まれた方よりご連絡いただきました。

お客様はジャンクのゾンダ後輪ホイールを手に入れられたようです。使い道のないゾンダホイールの再生となりました。

別注G3リム 穴ナシリム使用 ゾンダハブを再利用しました
後輪754g フリーは後で取り付けます
ドライブ側140kgfになっていますが実際は130kgfです

ゾンダの後輪リムは30mm高です。カーボンリムは36mm高なのでスポークをカットすればゾンダリムからカーボンリムに移植できます。リムはG3用として別注の穴なしリムをオーダーしました。

分解したゾンダのドライブ側スポークは1mm厚の扁平スポークでした。非ドライブ側のスポークは0.95mmのスポークで左右の太さを変えています。右側の剛性を上げて作っています。

ホイールを作るうえでテンションメーターは欠かせませんが今使っているメーターのテンション換算表では1mm厚のスポークがないのでスポークテンション校正器を使って1mm厚の扁平スポークを実際に130kgfで引っ張りテンションメーターを使って測ることにしました。

メーターは0.3mmの値になればいいわけです。

スポークテンションを上げてホイールの右側のテンションを予定の値になるように仕上げてフレを取り、センターを出せば完成です。

時間をあけてストレスリリーブを何回も行い、狂いが出ると微調整の繰り返しを行うことで完成します。文章で書くと数行ですが難易度の高い作業となります。

お客様はロードバイクの上級者です。ハブはきれいにオーバーホールされていました。部品のフリーはご自身で管理されておられます。これを取り付ければ完成です。前輪は前の記事にしています、ストレイトプルスポークのプライムハブを使って20穴の穴ナシリムで作ったホイールで1セットとなります。

前輪634g 20Hプライムハブ ストレイトプルスポーク使用
できるだけスポークテンションを揃えています

前輪20H後輪21Hのホイールが完成しました。使えなかった部品が生き返り新しいホイールとなりました。これは高級ホイールです。