シマノ方式で作ります

ディスクホイールをご注文いただきました。

お見積りの段階でスポークの組み方はシマノ方式で作りますと連絡しますとシマノ方式とは何ですか?とお問い合わせいただきました。

シマノ方式の組み方はシマノのホームページで解説されています。

DM-RAHB002-02-JPN.pdf (shimano.com)

以下の図はシマノHPよりお借りしました図です。

前輪は逆イタリアン、後輪はJIS組です。シマノ方式でといういい方が広く認知されているかどうかはわかりませんがシマノハブを購入しますと説明書がついています。こういうう風に作ってくださいと説明書に図が掲載されています。しかし台湾ハブなどの場合説明書がついていないことが多いので注意が必要です。

違う組み方のホイールを見受けることもありますので厳格にこれでないと壊れますよというわけでもありません。但しラジアル組はハブにかかる負担が大きいのでトラブルの元になります。私は冠たるシマノさんのお勧めに従っています。

リムの実測は必ず要ります

リムが届きホイール作りを始める前に必ず行うことは部材の実測です。今までに何度も失敗を繰り返してきましたのでこれは教訓として間違いありません。

 

今回も危うく失敗するところでしたが実測しましたので間違いを起こさずに済みました。

リムはAR56の穴なしリムです。スポーク穴がないので実測しにくいのですが一度リムにニップルを通して実際の数値を測ることにしています。

 

果たして実測値は予定の数値とは2mm違っていました。ライトバイシクルの発表数値はリムの内寸で正確ですが使用するニップルによってERDの数値は違ってきます。使用するリムを使って実際のニップルを充てて測ることです。

ハブも同じことが言えます。メーカーの発表数値を丸々信用することはやめた方がいいと思います。ただしシマノはデータとして残せます。往々にして発表数値と違うことがあるのです。ハブも実際の数値は発表数値と違っていました。

 

スポークが長い場合は短くカットできますが短いときスポークは2重の買い物になりますので結局は高いホイールになってしまいます。私の場合はいろいろと転用する機会が多いのでそんなにロスとはなりませんが普通は痛っとかんじるものです。

少しの手間です。実測は必ず必要です。

DTスポークホルダーについて

CX-RAYなど扁平スポークスポークを使うときにはスポークのねじれを防ぐためにスポークホルダーを使います。ずっとプライヤーをスポークホルダーとして使っていました。プライヤーは楽ですがDTのスポークホルダーはもっといいと思います。

2種類あるのですが先ずは赤色でいいと思います。

赤と黒があります

赤はスポークの厚みが0.8~1.0mm、黒が1.0~1.3mmです。たいていの方はサピムのCX-RAYかピラーの1420,1422と思いますので赤色で対応できます。

右手でニップル回し、左でスポークホルダーをもって(逆もありです)写真のように回します。

ピラーのニップルレンチでも使えます

パークツールのニップル回しでは距離が開くので使えなくはありませんがスポークホルダーがニップルレンチの根元まで来る方がスポークのねじれを強く抑えることができると思います。

パークツールのレンチとは使いにくい

実はこんなに使いやすいと思っていませんでした。あれば便利な道具としてお勧めです。

立ってホイールを組む(続き)

万能作業台に小さな万力を取り付けて挟み口には小さなアレンキーを取り付けています。

この小さな鉄棒にハブを差し込んでホイールを組み立てているのですが思いのほか作業がはかどります。

仮組はじめ

ニップルにグリスを塗りながらでも仮組が30分ほどで組上がります。慣れている加減もありますが今まで以上にスピードが上がりました。そして間違いが少なくなりました。上部から俯瞰しているからでしょうか?

仮組終了

写真は仮組が終わった状態ですがこの状態で電動ドリルでニップルを締めていきます。

ドリルで一定の深さまでニップルを締める

ビットが空回りするまでニップルを回します。ドリル回しを一周回れば仮組は終わりです。ホイールを振れ取り台にセットします。一連の作業が30分ほどで終わりミスがありません。

新しいスポークを調べる

最近新しいブランドのスポークを使っています。このスポークはいつも買っているセラーが勧めてくれました。

ピラーHPより

ピラーのTB2015です。Jベントスポークで根元2.2mm中央部1.5mmねじ部分2.0mmのスポークです。

スポークの詳細はピラーのホームページを参考にしていただければと思います。

中央部の細いスポークはねじれ易いので扱いが難しいですが中央部がショックアブソーバーの役割をしますので地面からの衝撃を吸収してくれます。乗り味が柔らかくなります。

スポークの多いホイールには最適のスポークです。

105kgfで引っ張っています

さてホイールを作って完成したのですが私のテンションメーターでは105kgfの力でスポークを引っ張っていることになります。初めてのスポークなので確認することにしました。

104.9kgfですが105kgfとします

テンションメーターの換算表では105kgfと出ていますので再確認ということで校正器でも確認いたしました。

テンションメーターでは0.38mmの歪み

校正器にTB2015スポークをセットして105kgfに引っ張りましたらテンションメーターでは105kgfを表す0.38mmの数値が出ています。

ほぼ合っていると確認しました。

自作ホイールを自分で楽しむにはここまで行う必要ないと思いますがやはりできるだけ良いホイールを作るということではいい方法と思います。

正確な数値を知ることはとても大切です。トラブルが少なくて力が逃げないホイールを作るにはスポークテンションの正確な絶対値を知ることが良いホイールへの近道でとても重要なことと思います。新しいスポークも校正器で調べています。

スポークのストレス取りに使う棒

ホイール作り於いてスポークのストレスリリーブにこのような棒を使っています。使い方はスポークの間に入れてひねるだけです。簡単な作業で済みます。

ボディーブラシの柄を使っています

海外のビルダーさんも同じように小さい棒を使っている人を見つけました。この人はハンマーの柄を使っているようですがなかなか使いこんだ色をしています。ここまで使いこむのは相当なものです。

立ってホイールを組む

朝のNHKの番組で作家の櫻木梨乃さんが出演されていました。

ご自分の仕事部屋も紹介されています。小説は立って書いているとか、そうです、立つと仕事がはかどるのですね。

立ちながら仮組を行っています

私のホイール作りは立って作業しています。これは記事にするほどのことなのかと迷いました。

ホイールを作るのにはどうってことがない話ですが立って仕事をすると守備範囲が広くなりとても作業がスムーズにはかどります。いま企業では立ちながら会議を行う会社もあるようです。短時間で間違いが少ないということでお知らせしたほうがいいと思っていました。これも一つのtipsです。

振れ取りも立って作業しています

 

DTswissのYouTubeを見ていますとビルダーたちは立って仕事をしています。別にどういう姿勢で組み立ててもいいのですが立って仕事をすると作業はとてもはかどります。

 

別に急いで作業を進めることではないのですがとても集中してできるので間違いが少ないように思います。立って作業すると確かに作業効率は良いですね。

 

ずっと仮組までは座って膝にリムを乗せて作業していました。

 

今は立ながら作業をしているので動ける範囲が広いです。このためニップルにグリスを塗ったりする作業がとても素早くできます。スポークを床に落として作業中断ということもありません。スポークでリムを引っ掻いたりして傷をつけてしまうことも何度かあったのですが立って作業をするとこんな失敗もしなくなりました。

後輪はセンターをずらす

以前クリンチャー・チューブレス後輪ホイールは右に寄る記事を書きました。

センターが右に寄ることを知ってからはホイールの仕上げにはセンターを事前にずらせてお渡ししています。もちろん理由も書き添えています。

6.64mm
6.21mm

6.64-6.21=0.43  約0.2mmのずれ

クリンチャーホイールはタイヤインストール後にはスポークテンションが10~15%スポークテンションが下がります。リムのビードが影響しています。これはどんなに高級なホイールでも同じです。スポークテンションは下がります。この数値はタイヤ、リムの剛性によって違いますので正確な値はわかません。

 

しかし右にずれることは間違いありませんので私は0.2~0.3mmほど後輪を最初から左に寄せています。こうしておけば最終調整はブレーキ側で調整すればいいわけです。

ここまでこだわる必要がないと思われる方がおられるでしょうがわかっていることならば事前に対処しておけばいいという考えです。

 

センターゲージにはデジタルメーターを取り付けていますので正確に測れます。振れ取り台にもメーターを取り付けていますので数値管理は容易です。

シールはがしの情報をシェア

リムに貼られているシールを外したい時があります。

私もシールはがしはこのブログで以前記事にしたことがあります。皮手袋をして片手にはヒートガンをつかってこすり取るという原始的な方法でした。

皮手袋でこすり取る

もっと洗練された方法をホイールのご注文いただきました方より教えていただきました。ブログの記事にしていいですかとおたずねしましたらOKいただきました。プロの方より教えていただいた方法です。

ポリエシャン

 

これをつかえば比較的簡単揮発性の低いものです。
1000円以下で買えます。

剥がして残ったのりを拭き取る感じです。

ウエスがいいかな紙系はお勧めできません。

ラッカーシンナーを使うと残ったノリが溶けてしまい、とるというより、のばすみたいな感じになります。

ポリシヤエンは揮発性はシンナーに比べて低く、おもに革製品の汚れ落としや接着剤剥離に使用しています。
匂いはシンナーやトルエンより弱い?と思います。

私は、仕事上嗅ぎ慣れているのであくまで主観ですがもしかしたら、マニキュアの除光液でもいけるかも?100匀で買って試すのもいいかも?

 

いい話はシェアしたいと思います。

後輪ハブの分解

カーボンホイール後輪の回転にゴリ感がありハブを分解することにしました。このホイールは私個人用のホイールですので気兼ねなく作業を進めました。うまくいかなければハブを取り換えればいい話です。

外したフリー 爪4つ リング ゴムキャップ
中にベアリングが2個入っています

2本のアーレンキーを使って両サイドのキャップを外します。フリーも簡単に外すことができます。フリーには4つ爪がついています。これはリングで止めていますのでこれも外します。油分、汚れをきれいにふき取ります。

フリーを外したところ
汚れています

フリーを外した写真を見ていただきますとよくわかりますがグリスが茶色くなっています。きれいにふき取りました。

スライドハンマーは便利です

次にシャフトをゴムハンマーでたたいて抜き取ります。ハブ本体に圧入されているベアリングはスライドハンマーで抜き取ります。

 

フリーのベアリングはポンチとスライドハンマーを使いました。すべて分解しました。

すべて分解してきれいにしました

順番を忘れないように並べています。

 

ハブの分解にはやはり専用の道具が要ります。道具は高価ではありませんので興味のある方は揃えられたら良いかと思います。

アンカーボルト、水道用の部品も使っています

アンビルの上に置く小さな台は水道用の部品を使っています。こうした小物はホームセンターでぶらぶらしていて見つけることが多いです。普段から代用品を考えていてこれなら使えるなとアイデアが浮かぶことがあります。

 

さて、ハブの構造は簡単ですのでゴムハンマーでたたけばベアリングは外せます。つぎはベアリングのインストールです。

 

私は補助金具を使ってベアリングを叩きながらインストールしています。ねじの力を使って圧入する道具もありますがたたいて入れていくのも楽です。最初たたくときの方向が難しいですがゆっくり水平にたたけばいいことです。うまく真っ直ぐ入らないとわかるとすぐに中止してやり直しです。初動がいちばん大切です。

音が結構しますので昼でないとダメですね。アンビルの下には布切れを敷きホイールにはバスタオルのようなものをかけて音をできるだけ抑えるようにしています。ご近所、家庭内で仲良くする知恵ですね。

ゴリ感が取れたホイール

1時間くらいかかりました。久しぶりにハブベアリングのインストールを行いました。やはりちょっとした道具は必要です。これらの作業は難しいことではありません。ハブの構造は簡単ですのでその気になればできます。その気とは勇気ですね。壊しても大丈夫と思ってやれば意外と簡単です。ホイールを作るよりずっと簡単です。