DTリムRR411ホイールをチューブレスで使う

超ベテランの方の注文ホイールはお納めできました。初めてチューブレスで乗られるということを伺っていましたのでホイールの1本はリムテープを巻いてもう一本は巻かずにご自分で練習のために巻いていただくという形でお納めいたしました。

結果からいいますと大変てこずられ、何度もやり直しをされたようです。問い合わせもありました。新しいテープをお送りし、私なりのアドバイスをいたしました。

 

このRR411リムの表面処理は艶消し処理で作られているのでリム面がざらつきリムテープの貼り具合が弱く空気が漏れました。どうして空気が漏れるのか原因を調べていただきました。

対処方法としてはリムをしっかりきれいにすることです。アルコールなどでリムについている油分、ホコリをしっかり取り除くことが肝心です。場合によってはリムを石ケンで洗い油分をとりしっかり乾かす方法もいいやり方です。

RR411リムは幅が22㎜内寸が18㎜です。リムテープを22mmのテープを使うことでリム内凹みに沿ってリム内両端ギリギリまでテープを貼れるようにしていただきました。

きっちり貼れていません
丁寧にゆっくりシワなく貼る

急いで巻くのではなくゆっくりゆっくり押さえながらテープがリム面にしっかり張り付くように巻いていただきました。ゆっくりテープをのばしながら指圧をするような感覚です。

何度もやり直しをされたのですがテープ貼りはうまく成功しました。

 

RR411リムのリム面は梨地でざらついています。このリム面が影響してリムテープの貼り方を難しくしています。何度も繰り返してリムテープを替えていただきましたが最終的にはうまくいきました。

 

努力の甲斐あってこのホイールの乗り味は本当によく、チューブラーのホイールを乗った時の驚き以上のホイールと大満足のご連絡をいただきました。チューブレスは初めてだったのですがもっと早く試したらよかったと話されています。

 

超ベテランのライダーが初めてチューブレスを体験されました。そしてその良さを感じていただいたようです。ちょっとインストールが難しいチューブレスタイヤですが使ってみる価値はあります。面倒そうでためらっておられる方にお勧めです。

振れ取り台にダイヤルゲージを取り付け②

X-toolsの振れ取り台はなかなかコスパの良い製品と書きました。この丈夫さ、使いやすさで約1万円はお買い得と思います。

使い勝手をよくするためにはダイヤルゲージを取り付けて使えることが必要です。これにはマグネットベースを使っていました。このマグネットベースを振れ取り台の足の部分を使って取り付けていましたがもっと楽に使える方法がないかを考えていました。

ステンレス平板でマグネットベースを使います

ダイヤルゲージはマグネットベースに取り付けていますので机が鉄であれば簡単でいいなと思っていました。このため30cmx40cmx0.5mmのステンレス平板を使うことにしました。価格も1000円ほどです。このぐらいのスチールの板があれば簡単にマグネットベースを設置できます。実際に置いてみました。とても使いやすいと思います。簡単でお勧めです。

作業の終わった後

ホイール作製作業の終わったところです。

振れ取り台に小さなテープがたくさん貼られています。これはねじれマーカーとして使いました。

些細なことを紹介いたしますがホイールを作り始めたころは知らないことばかりで何度もやり直しをしました。ちょっとした工夫で作業が正確になり時間が短縮されます。知っている人、実行している人には当たり前でも結構初めて知ったという人も多いと思います。

ホイールのスポークはサピムのLaserです。太さは2.0/1.5/2.0mmと中央部は1.5mmの細くて軽い優秀なスポークです。CX-RAY の扁平になる前のスポークといわれています。

この丸スポークはとても優秀ですが取り扱いが難しいスポークといわれています。サピムのホームページでも取り扱いに注意が必要と書かれています。それほど扱いにくいスポークですが性能は優秀です。これを使わない手はありません。CX-RAY の1/3の価格です。お財布に余裕のある方はもちろんCX-RAY を使えばいいのです。

何が難しいのか、それはねじれです。ニップルを回すと1.5mmの細さ故スポークはねじれやすいのです。スポークにとってねじれは大敵です。スポーク折れなどのトラブルのもとになります。

このねじれを防ぎながらホイールを組み上げるのにちょっとコツが必要です。

以前紹介しました凄腕メカニックさんと話をしたときにDTレボルーション、サピムLaserの細いスポークを使ってホイール組む時のコツとしてテープを使って旗を立てる組み方をするという話を聞きました。私も同じやり方をやっています。話していてやはりみんな同じようにやるんやと思ったのです。

このブログで紹介したことがあるのですがスポークのねじれを防ぐ方法としてテープの切れ端を使う方法をお知らせしました。

スポークに小さなテープを貼っておきますとスポークのねじれを容易に知ることができます。ちょっとした手間ですがニップルを回す前に各スポークにテープの切れ端を貼っておけばいいのです。ねじれが容易にわかります。このテープとプライヤーなどのスポークを挟み込んでねじれを防ぐ道具を使ってニップルを回します。二重のねじれ防止策です。トラブルの少ないホイールに仕上がることは間違いありません。

ホイール作りの参考書②

ホイールを作りの参考書を紹介します。作者のJobst Brandtさんは自転車好きの科学者のようです。

ホイール作りの名著ですが少し内容が固いかもしれません。しかしとても参考になります。

アマゾンで買おうと思っていましたがネットでPDF版がアップされていましたのでこれを読んでいます。

 

個々にためになる内容が書かれていますが76ページのTIED-AND-SOLDERED SPOKESは面白いです。コンピュータでデータを計測して出した結論は結線には利点がないということでした。しかしこの結線をウリにしているビルダーさんがいるのも事実です。

競輪選手のホイールには結線を施しているホイールが多いと聞きます。爆発的なパワーを出す人には微妙な違いが判るのかもしれません。

近所の自転車屋さんの凄腕オーナーメカニックさんはおまじないですと言っています。

私にはわからないところです。私の実力は35km巡行がギリギリですので効果が分からないのですがTIED-AND-SOLDERINGをやるときもあります。なんとなく格好いいですから。

 

この参考書はパラパラと興味ある所だけ拾って読めばいいかなと思います。私はPDF版を読みました。参考になるところが多々あります。

リムの交換

キンリンXR31RT28hリムを同じリムに交換することにしました。

ホイール作りのビギナーだったころ、作業手順はホイールをすべてばらして再度組み立てたのですがいい方法を思いつき以来この方法でやっています。

誰でもこうするよと言う方もおられると思いますが私は最初思いつきませんでした。

このようにしています。新しいリムをホイールにぴったり合わせます。穴の位置も揃えます。

こうしておけば順番にホイールからニップルを外してスポークを移していきます。穴の位置は同じところにありますので移動は容易です。

ニップルを外すには一個ずつニップルを外すのですがリムの変形を避けるために均等に少しずつ回して全体を均等に作業することが大切です。一巡目を2回転ずつ逆回り、2巡目も2回転ずつ逆回り、3巡目めも2回転ずつ逆回りという風にすべてのニップルが均等に緩めてから一個ずつニップルを移していくことが必要です。リムが変形しないように注意することです。

順番に根気よくスポークを移せばそんなに難しくなく新リムに移せます。あとは新しくホイールを組むのと同じ手順でニップルを回していくだけです。

ホイール作りの参考書

私のおすすめはhttps://www.wheelpro.co.uk/wheelbuilding/book.phpです。

英語ですがとても分かりやすく書いてあります。

世界中のホイールビルダーが褒めている本です。eBookです。9ポンド、約12ドルの値段です。7改訂版が今発売されています。5改訂版でしたらネットで拾えるようです。正規で購入されるとアップグレードができます。私は6改訂版から今の7改訂に至っています。

 

最新版のいいところはストレイトハブについて詳しく説明しています。

この頃は海外通販でストレイトプルのハブが容易に手に入ります。簡単に手に入るのですが使い方が分かりにくいのです。

どういう方法がいいのか迷っていた時に知りえることができとても参考になりました。

https://www.wheelpro.co.uk/spokecalc/

ホームページだけでもストレイトプルハブのスポーク寸法が出せるのですがeBookを読んだほうがよく分かりました。

DTでもスポーク長計算ソフトがネットで使えます。

https://spokes-calculator.dtswiss.com/en/calculator

このソフトもよく使うソフトです。

ストレイトプルのハブもこれで計算できます。しかしこのソフトでもハブオフセットを入力することが必要です。ハブオフセットとは何かを知っていないとだめです。図で説明していますのでなるほどとわかるのですがやはり詳しく知るにはwheelproの解説本を読んだほうがよくわかると思います。

日本のビルダーさんはメシのタネということでネタを明かさないのですが海外のビルダーさんはオープンなのか丁寧に教えてくれます。

注射器スポイトの活用

100円ショップで売っている注射器型スポイトが結構活躍しています。

ニップルにオイルを注すのにこれを使っています。本来化粧品の小分け用に使われているスポイトです。百均でも化粧品の売り場に置いています。

今まではオイルを注ぎ足すことで使っていましたがチューブレスタイヤでも使っています。

チューブレスタイヤを取り換えるとか、うまくビードが上がらなくやり直しの時にこの注射型スポイトが活躍します。

 

シーラントを入れるときにこの注射型スポイトを使っています。何度も繰り返して入れないといけませんが10回ほどの手間ですので手間というほどのものではありません。シーラントが横に漏れることなく入れることができます。シーラント用の専用ポンプも売っていますが価格的にもこのスポイトはお手軽です。

さてチューブレスタイヤを外すときに手がべとべとになって困るということを聞いていますがタイヤ片方のビードが外せばタイヤの下にシーラントがたまっているのが見えます。この見えているシーラントをスポイトでくみ取ってしまいます。何度もスポイトで吸い取らないといけませんがこれもそんなに手間なことではありません。きれいに吸い取ってしまえばあとの作業は簡単です。リムのテープを張り替えるときのそんなに手がべとべとになることはありません。

 

また同じ作業になりますがシーラントを入れるにはこの注射型スポイトで入れることになります。

出発点を揃える

ホイールの仮組が終わってからさあこれからニップルを締めていく作業が始まります。

いろんなブログなどではニップル回しの回転をかぞえて順番に締めていくとかいろいろな人のやり方が紹介されています。

仮組のゆるゆるのスポークを締めていくのにスタートを揃える必要があります。

一般的なのはスポークのねじの最期の部分をスタート位置にする方法です。

仮組の状態から各ニップルを回していくのですがどのニップルもスポークのねじ山最後のところで止めてこの位置がスタート地点にするのです。

ねじ山がかくれるところまで
ねじ山が隠れたところがスタート

私はもう少し簡便方法で行っています。普段電動ドライバーを使っていますのでビットの先がとがっていますからあるところまで回すとスポークの先とドライバーの頭が当たり空回りします。この空回り状態をスタートにしています。

ニップルによっては電動ドライバーを使えないニップルもあります。この場合はねじ山の最期の位置がスタートです。

このサピムのニップルドライバーもある位置にきましたらドライバーの先端とスポークの頭が当たりドライバーが空回りします。空回りしたところが始まりの位置です。

ゆっくりやればできるなんて抽象的な説明をされているユーチューブや均等に回せばいいという説明が意外と多いのです。

 

ここから始めるという位置を決めれば簡単です。

スタートする位置はいろんなビルダーさんがおられてそれぞれやり方が違うのですが一般的にはねじ山の最期までニップルを回してここから始めるというのが多いです。

 

ここから始めるという感覚が分かれば上達は早いと思います。あとは均等に締めこんでいくだけです。

ニップルインサーター

ブログを始めた最初のころは使っている道具のことを書いていました。

ニップルレンチやテンションメータ―などホイール作りに使う道具のことを書いていました。同じような内容になるかもしれませんがまた書いてみたいと思います。

 

ニップルインサーターですが手作りでこのようなものを使っていました。スポークを使いやすいように曲げて作ったもの、精密ドライバーをニップル回しに使えるように作ったものです。

その時々に応じて便利に使えるようにといろんな情報をえて試してきましたが一番使いやすいと思いますのがこれです。

ダイヤモンドヤスリの先をほんの少しぽきんと折った、このヤスリです。

私にはこれが一番使いやすいインサーターです。

ニップルを入れる箱、ニップルシャッフラーと呼んでいるのですが一合升を改造した手作りの箱にニップルを入れ、やすりインサーターでニップルを突き刺しながらスポークに差し込んでいきます。とても作業が早く簡単に仮組が終わります。

古いメンテナンスの解説本を読んでいてやすりを使う方法を紹介している本を再発見しました。

だいぶん昔に買った本ですが見落としていました。やすりを使う説明文が載っているのです。同じことを考える人がたくさんいるのだなと思いました。

 

このように本で紹介していますが、意外と見落としてしまうtipsがこれです。

綿棒を使う、つまようじ、古いスポーク、精密ドライバーの先にスポークで作ったビットをつける、いろいろ試してきました。ホームセンターで買ったこのやすり、もう5,6年使っています。とても便利でホイール作りには欠かせません。

振れ取りしました

鉄下駄ホイールの紹介で写真を撮りました。

ついでに久しぶりなので振れ取りをしようと振れ取り台にセットしました。

一か所振れが出ていました。

1/8回転ほど回して振れ取りは完了です。

振れ取りがほとんど要らないのは

  • ホイール完成の時にストレスリリーブ(なじみだし)をしっかり行っている
  • スポークテンションをできるだけ均一になるようにテンション調整を行う

この2点をしっかり守って行っているからです。

 

 

このホイールは5年ほど前に作ったホイールです。

チューブラーホイールです。リムはTB25 32h、チューブラーリムは4000円前後で販売されています。スポークは星のスターブライト#14ニップルも星のアルミニップルです。重いのですが安価でよく回るお気に入りのホイールです。

 

振れ取りは2回目です。スポークのテンションをドライブサイド測ると110kgfです。タイヤをインストールしましたので110kgfです。インストール前は120kgfでした。タイヤをはめると10~15%テンションが下がります。これは仕方のないことです。テンションダウンを防ぐのにタイヤを伸ばしてはめる方法もありますが私は行っていません。

 

1回目の振れ取りで初期ブレを取っているのですがこの時も数か所しか調整していません。

今回は2回目です。一か所さわっただけでフレもなくよく回っています。

 

スポークテンションは偏差をなくすことがとても重要です。ホイール作りにおいて縦横の振れが取れても完成ではありません。

各スポークのテンションが揃っていなくても振れ取りができます。スポークが交差するホイールの場合左右2本ずつ合計4本のグループで構成しますので各スポークがほぼ同じテンションでなくてもグループ単位でそろっていれば振れのないホイールが出来上がります。これがホイールのトラブルのもとになります。

振れが取れてから今一歩、各スポークのテンションをできるだけ均一になるようにテンションをそろえてあげれば狂いが出ないホイールに仕上がります。私は偏差を5%以内になるようにしています。おかげでスポークは一度も折れたことはありません。