ベアリングに使う特殊な道具

ハブのベアリングを交換することがあります。競技に出るような実力ではないのでベアリング交換を頻繫にはしません。しかし技術力は磨いておこうという気持ちがありますので一般ライダーさんよりはベアリングに触ることが多いです。

 

ホイールのベアリングの交換で必要なのは少しの勇気です。ホイールを壊してしまうのではないかと心配してしまうのですがすぐに壊れるものではありません。ご安心ください。

ゆっくりやればそんなに難しくはありません。

 

ベアリング交換では先ず引き抜きの道具が必要です。ベアリングに引き抜き金具を取り付けて引き抜く、もしくはたたき出す方法が一般的です。

私はスライドハンマーを使っています。いろいろ他の方法も試してみましたが私にはこの方法が一番楽でした。私は自動車工具の店で購入しました。通販でビックリするような値段の高いものが出ていますので注意が必要です。相場感のないものには手を出さないようにしています。

アタッチメントだけでもポンチでたたき出せばOK!
スライドハンマーとアタッチメント

他の方法にはスライドハンマーに取り付けるアタッチメントと同じ方式の固定金具で後ろからたたき出すという方法です。スライドハンマーの代わりにポンチでたたき出す方法です。ポンチの代わりにアンカーボルトを使う方法もあります。

アンカーボルトでたたき出す

 

では次にベアリングを圧入していく方法です。

 

これもいろんな道具があります。自動車の道具屋さんで購入しました道具がこれです。安価な値段でしたので試してみました。

ベアリングを叩いて圧入します

ベアリングを叩いて圧入していく方法です。慣れれば簡単に使えますがセンターを正確に出して圧入するには技術がいるなと思います。

長ネジを使った簡易ベアリング圧入治具

長ネジを使ってベアリングを押し込んでいく方法もあります。これが一般的かもしれません。

 

DTのベアリングサービスセットも使っていますが同じようにセンターをしっかり出しながらたたいてベアリングを圧入します。センター出しの補助金具を一緒に使います。すこし慣れと勇気が必要ですが楽に圧入できます。YouTubeを見てやれば楽にできる?と思います。

DTのベアリングサービスセット

まあお金で解決や!という気持ちでやればすんなりいくようです。弁償しないといけないとか壊してしまったら次がないとか心配してしまうとうまくいきません。しゃんとした姿勢で正しく道具を使えばうまくいきます。

 

以前DTの工場を紹介するYouTubeを見ていましたらハブにベアリングを圧入している場面を見つけました。注意して見直すと面白い圧入の道具を使っています。

あっこんな道具でやっている!とみつけてうれしくなりました。いろいろ道具を検索しますと多分この道具を使っているのだなと考えました。年間どれだけ使うのかといろいろ悩みましたがこれなら簡単に芯を出しながら圧入できます。

プレス機で圧入できます

難点が一つあります。組んであるホイールには使えません。ハブ単体なら容易にベアリングを圧入できます。通常ホイールのベアリング交換するときホイールはそのままの状態です。ホイールを分解してからハブをとりだすことなどしません。ホイールの姿のままでは使えないのです。この点が不満です。ホイールベアリング交換には半人前の道具ですが道具好きにはたまらない道具です。あまり使わないけれど使いやすい道具です。年間何回使うのか?といろいろ考えてしまいますがすごい存在感のある道具です。

振れ取り台の改良

普段サブで使っている振れ取り台をもう少し使いやすくしようと思い改良いたしました。

縦ブレ取りのメーターを取り付け
L金具で簡単に取り付け出来ました
取り外した振れ取り金具

縦ブレチェックのためにメーターを取り付けました。取り付けは簡単です。ホームセンターで取り付け金具を打っているコーナーがあります。ねじなどを打っているそばです。ここでL金具を買ってきました。金具の穴は4mmなのでステンレス製の4Mねじを用意して取り付けました。メーターは自動車工具屋さんで手に入る安価なメーターですが十分役に立ちます。測定子は通販で購入しています。

縦横メーターを取り付け

横ブレはは以前から取り付けていましたのですがやはり縦ブレがいちばん大切です。

横ブレ縦ブレはメーターで数値管理したほうが振れ取りしやすいです。作業効率が格段に向上します。おまけに正確です。

パークツールの純正では高価な振れ取り台になりますが今回の改良で十分使えるものに変身しました。メーターで見るのはとても楽です。

自作品と市販品

福島のパックスサイクルさんのホームページを見ていますと面白い工具が販売されていますのを見つけました。

とても便利なことは私も同じようなツールを使っていますのでお勧めいたします。

パックスさんのホームページより

私のツールは自作品です。もう長年使っていますのでニップルシャッフラー(ニップルを入れてシャカシャカ振りますのでシャッフラーと呼んでいます)も油がしみ込んでいい色になってきています。

このシャッフラーは一合升で作った手づくり品です。

次にニップルインサーターは精密ドライバーに適当なやすりを取り付けています。長さもちょうどよくカーボンリムなどのリム高の高いリムにもうまく対応できて重宝しています。

 

パックスさんのツールには驚きました。私が使っているものと同じようなものが売り出されています。

 

別のニップル入れに自転車のアサヒさんからも販売されています。

アサヒさんのホームページより

このツールはユーチューブでホイール作りを実演されている大阪寝屋川の「サイクルショップはたの」さんのユーチューブで使い方を知ることができます。

 

自作もよし、買われてもよしです。便利で作業効率がはかどります。

作業台の改良

ホームセンターで手に入る万能作業台に少し手を加えました。大活躍しています。

折りたたんだ作業台

450x900のベニヤ板、これもホームセンターで購入しましたが、500円ほどで安価です。このベニヤ板の裏に適当な板を取り付けて作業台より滑り落ちないようにしています。

板を取り付けています
450x900mmで十分です

ベニヤ板のこのサイズならリムを乗せても滑り落ちないし能率よく作業ができます。

特にリムのERDを測るときは便利です。

けっして広い作業場所を持っているわけでありませんのでとても便利です。その都度折りたたんで直しておく手間は必要ですが便利な道具です。おススメします。

ヘキサニップルの電動ドライバー用ビット

ヘキサニップルを電動ドライバーで使うにはホームセンターで販売されている5.5mmのビットは太すぎて通常のリムには使えません。

このビットは太くて使えない

ヘキサニップルをリム穴から回して締めていくのに便利なY型ニップルレンチSW-15を使っています。単体のSW-18も使っていましたが手回しではとても不便でした。

SW-18を分解してビットの部分だけを取ればいいのではと思いつき根元から切り取ることにしました。少してこずりましたが鋸で根元をカットしてビットの部分を取り出しました。やすりで飛び出ている部分をきれいに削り取り電動ドライバーに取り付けやすくしました。

電動ドライバー用にビットを手作りしました。Y型ニップルレンチSW-15と併用することによりリム穴からヘキサニップルを締め付ける作業効率は一段と改善できました。

一般的にはいらない道具ですがあれば非常に便利です。

反応は鈍いほうが使いやすい②

テンションメーターの校正をご依頼頂きました。

この中国製のテンションメーター付属の交換表が正しいのかずっと疑問をお持ちのようでした。本ブログよりご連絡いただきました。

メーターを50kgfから130kgfまで10kgf単位で測り、新たにスポーク3種類の交換表を作りました。

お預かりしました時はとても扱いにくいなと思いました。どんな機械も扱いには慣れが必要ですがとても時間が掛かりました。

 

このメーターは使うのに少し慣れがいるようです。理由は反応しすぎるのです。ばねが柔らかいので微妙な変化にも反応してしまいます。使っているうちになれるとは思うのですが反応が良すぎます。メーカーにはそれぞれ意図がありますので私がどうのこうのいうことはないとは思いますが私の素直な印象です。

ばねを強いものに交換して交換表を新しく自分用に作り直すのも一法と思います。

パークツールTM-1と比較しました

パークツールのTM-1は正確ではありませんが使いやすさという点で見るとよくできていると感じます。

 

メーターなしでもご自分が楽しむためのホイールでしたら十分作れます。特別必要なものではありません。

また購入された場合でもテンションメーターは新しく購入されたホイールのテンションを事前に調べておくとかスポークテンションの均一化のためだけなら校正など必要ありません。

しかし性能の良いホイールを作るための道具として使うならいずれのメーターも正確な数値を知るためにメーターの校正しなおしは必要と思います。

反応は鈍いほうが使いやすい

十年以上使っていますパークツールの振れ取り台ですが取り付けているメーターの反応が良すぎるのか、ばねが緩くなってきているのか,後者と思いますが針が揺れすぎてとても見にくく使い辛く取り換えることにいたしました。

右パークツール 左工具屋さんの安価なもの

測定子も取り換えました。メーター自体はもちろん日本製ではありませんがしっかりと役割を果たしてくれます。

測定子もよく回る

針は細かく揺れません。針が鈍感なので非常に読み取りやすいです。細かく敏感に反応するのは信頼感あってよいのですが時にはそれが邪魔になるものです。そろりと動いてくれるのは楽でいいです。

固まったリンシードオイル

写真を見ていただいておわかりのように左のオイルはシャーベットのように固まっています。右は新しいオイルです。

左固まったオイル 右新しいオイル

以前にもこのリンシードオイルのことはブログに紹介しました。しばらく使わなかったリンシードオイルが写真のように見事に固まっているのでわかりやすい例としてあげてみました

リンシードオイルは時間が経つと固まります。この性質を利用してニップルの緩み止めに使われています。

 

リンシードオイルは安価です。私は東急ハンズで買ったのですがアマニボイル油のキーワードで調べるとこの製造元のHPが出ます。高価なスポークプレップを使わなくても十分役目を果たします。

スポークプレップ

スポークのねじ部分をオイルに浸すか、ニップルを通して仮組が終わった後にネジ部分に百均で買った注射スポイトでリンシードオイルを一滴ずつ注しています。

 

スポークテンション上げる前にニップルとリムが触れる部分にも一滴注せばニップルの回転がよくなります。

 

ホイールが組みあがりますとリムはオイルが漏れてきますがふき取ればいいだけです。

完組メーカーは後でオイルをふき取る手間を省いてオイルは使わないようですが個人では良いということはやればいいと思います。

リンシードオイルが固まるには少し時間がかかりますが1週間ほど経ってみますとオイルは固まっています。ニップルに緩み止めの役目を果たします。

コーワのスポークカッター

コーワのスポークカッターはホイール作りに興味を持ち始めたころですが結構早く購入を決めました。高価な買い物でした。しかし高いカーボンホイールを買うことよりもこのスポークカッターを購入したことで楽しみが何倍も増えました。ホイール作りをやめてもすぐに買い手は出ると思いますのでいい買い物と思っています。

ビギナーの時はスポーク長の計算間違い、リムのERDの出し方間違いなどで何度もスポークの発注を間違えました。

 

スポーク長の計算ではDTの計算ソフトを使っていました。昔のDTのソフトでは実際の長さだけの表示だけでした。今は使用スポークの伸びを自動計算してくれますが昔の計算ソフトでは伸びは自分で考えこの長さなら2mm引いておこうとか考えて出していました。

今のDTの計算ソフトでは伸びも考慮した数値が出ますが昔は結構間違いました。

今はwheelproのソフトとDTの計算ソフト2つを使って計算しています。2:1組の場合だけはDTやwheelproでは計算できないのでエクセルを使って計算しています。

Excelでの計算ワークシート

コーワのスポークカッターのおかげで私の計算間違いで発注しましたスポークは一掃されました。スポークのストックはありますが間違いで発注したスポークは残っていません。

万能作業台

アメリカのビルダーさんのホームページを見ていてこの作業台をメインの作業場の横に置いてある写真を見ました。

私も前からホームセンターにおいてあるのを知っていました。便利そうだから買おうと思っていたのですが悩んでいました。でもやっと買うことにしました。

ためらっていた理由はただでさえ狭い環境ですのでこれ以上ものが増えることはやめておこうと思っていたのです。しかし買ってみて良かったです。折りたためるので使わないときは立てかけておけばいいのです。

スポークのプレップを塗るときはいつもメインの作業台を片付けていましたがそれもしなくて作業が進みます。ハブのサイズを計測するときもこの作業台で行っています。

今まではメインの作業台に常備おいている振れ取り台を片付けながらしていた作業を行っていましたが横に置いてあるこの万能台を使うことで楽になりました。これが1980円です。もっと早く買えばよかったです。