RR411リム、DURAハブで組むアルミホイール

同じお客様よりこれで6セット目のホイールをご注文いただきました。今までの出来上がりを気に入っていただいています。今回はDuraハブの新品を手に入れられたので新しくホイールを組むというご注文です。

Duraハブ 366g

DURA9000シリーズのハブですがディスコンとなっていますのでなかなか新品が手に入りません。今や貴重品です。うまく手に入れられて、このハブを使ってほしいとお送りいただきました。

リムは最近組み替えを終えたホイールのお預かりリムです。次のホイールを決めるまで預かって下さいということで保管していました。

今まで5セットも組ませていただきましたのでお客様はご自分のスタイルを分かっておられます。前輪には細いスポークのサピムLaser(2.0/1.5/2.0mm)で組み、後輪はサピムRace(2.0/1.8/2.0mm)を使っています。

前輪を細いスポークで乗り味を柔らかくして後輪は少しスポークを太くして剛性を上げています。ロングライドに適したホイールです。

スポークの太さを変えることで乗り味や剛性を調整しています。手組ホイールならではの方法です。自由にリム、ハブ、スポークを組み合わせることで乗り手の好みに合わせることが出来ます。

自転車は使う部品をいろいろ変えてグレードアップできます。中でもホイールは一番影響力があります。自転車には早さが必要ですが乗り心地も大切です。ホイールはリム、ハブ、スポーク、ニップルの4つの部品の組み合わせでいろいろな組み合わせが出来上がります。ホイールは一番面白くて奥が深いと思っています。

ご使用のホイールを今まで何回も組み替えしましたのでお客様はスポークを前輪はLaser、後輪にはRaceを指定されました。ご自分の乗り方と相性がいいのは前輪Laser後輪Raceという組み合わせです。スポークの組み方は前後ともに王道の左右3クロス組です。

DT RR411リム
SquorxProニップル ニップルワッシャー

リムはDTのアルミリムRR411を使います。21㎜高、21.5mm幅、重量435gです。オフセットリムも作られています。後輪にはオフセットリムを使います。これで左右のスポークテンション差を少なくできます。このリムを購入しますとアルミのSquorxProニップルとニップルワッシャーが付属します。しかし今回はブラスSquorxProを用意して組みます。

DTはニップルワッシャーを使うように指定しています。ワッシャーはリム穴部分の強化に適しています。ワッシャーを使うのは理にかなっていますがいつも使うわけではありません。必ず要るとは言えないのがニップルワッシャーです。使っていない完組ホイールも多いです。このワッシャーには研究の余地があると考えています。

ご注文いただく前のホイールは2mm径のDTチャンピオンで組まれたホイールに長く乗っておられました。2mm径のスポークは剛性がありすぎだったようです。長年チャンピオンで組まれたホイールに乗っておられたので細いスポークに組み替えたときの印象はガラッと違っていました。お好みに合ったのだと思います。これ以来、ホイールの注文はこちらにいただくようになりました。

ホイールは使われているスポークで性能や乗り味が変わります。高級ホイールにはサピムのCX-RAYがよく使われています。CX-RAYは優秀なスポークですが CX-RAYを使っているからいいホイールであるということはありません。体重にあわせたスポーク数、スポークの太さの選択が大切と考えています。

前輪739g
振れは最小に スポークテンションを最大限揃える
後輪949g
振れは最小に スポークテンションを最大限揃える

完成しましたホイールは前輪739g後輪949g前後1688gと軽量です。しっかりスポークテンションを揃えました。振れは最小に、スポークテンションは最大限一致させます。ロングライドに適し、踏み込んだらしっかり反応するホイールが出来上がりました。お客様からのインプレが楽しみです。

マビックリムでチューブラーホイールの作製

今回もお持ち込みでホイールの作製依頼です。ハブとリムをお送りいただきました。

マビック リフレックス 387g

ハブはシマノハブを使います。前輪はアルテグラのHB-5800、後輪はFH-6600と旧タイプのディスコンハブです。無理やり新旧に分けていますがハブ性能はとても優秀です。シマノハブの良いところは定期的なメンテをすれば20年でも30年でも使えるところがいいです。

今回のハブは再利用ですが丁寧にメンテされていますので回転がとても滑らかです。上手に育てたハブといった感じです。メンテを欠かさなければいつまでも良好な性能を維持できるところがシマノハブの優れたところと思います。部品供給も長くあるのでこの点でも良いところと思います。

HB-5800 32H 140g
FH-6600 32H 373g

ハブの重量を測ってみました。前後で約500gと重いのですがホイール中心部の重さなので回転には影響しません。重いは丈夫ということがいえます。よく「軽さは正義」という人がいますが軽さだけが良い製品の基準ではないことがよくわります。

リムはマビックのリフレックスです。現行ではマビックオープンプロ・チューブラーとなっています。新品のリムをお送りいただきましたので長く保管されていたのでしょう。

今はチューブラーリムの選択肢は少ないのが現状です。アルミリムではクリンチャーホイールばかりなのでチューブラーホイールが手に入りません。手組するしかないのですがチューブラーの良さをもっと知っていただきたいものです。

リム重量はとても軽量です。リムにタイヤを貼り付けるのでクリンチャーホイールのようにビードが影響してのスポークテンションダウンはありません。ホイールの性能はそのまま反映します。これもチューブラーホイールの良いところです。

チューブラータイヤの選択肢も少なくなっていますがプロ選手はチューブラーホイールを使う人が多いです。それだけチューブラーホイールには安心感があるということだと思います。クリンチャーホイール全盛ですがきらっと光る長所の多いのがチューブラーホイールです。

前輪にはスポークは1.5mm径のDTレボリューションスポークを使っています。今回のように32本使う多スポークホイールには細いスポークを使えばスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれますので乗り心地が優しくなります。疲れにくいホイールが出来ます。

後輪は右ドライブ側にDTコンペティション左にレボリューションの組み合わせです。右ドライブ側を太くして剛性を上げています。ホイールの剛性はスポークの総面積に比例しますので左右スポークの太さを変えてスポークの総面積を増やしています。

ニップルはSquorxProブラスを使っています。アルミニップルは強化されて丈夫ですがブラスと同じ強度ではありません。より安全なほうを選ぶということでブラスを使っています。

軽量で強度の高いレボリューションは利点の多いスポークです。このスポークを使うにあたりあまり知られていない注意点があります。

中央部が1.5㎜と細いので取り扱いが難しく、ねじれ易いスポークです。テンションを上げるにつれてスポークがねじれますので、このねじれを防ぎながらテンションを上げることが大切です。もう一点このスポークにはカットできる余裕がありません。スポーク長計算で失敗してもカットすればよいということはできません。しっかりと計算してスポーク長を出さないといけません。

タイヤを貼り付けるチューブラーホイールはテンションダウンがない
前輪722g 
前輪スポークテンショングラフ
前輪 レボリューション 左右3クロス組
後輪985g 外周部は軽量です
後輪スポークテンショングラフ
後輪左レボリューション右コンペティション 左右3クロス組

ホイール重量は前後で1707gですがホイールの外周部は非常に軽量です。スポークは細いスポークを使っていますので地面からの衝撃を吸収してくれます。つまり疲れにくいホイールです。今ではなかなか手に入らないチューブラーホイールですが部品を組み合わせて作り上げる手組ホイールなら大丈夫です。乗り心地の良い、乗って楽しいホイールが完成しました。

TNIワイドリム使用アルミホイールの作製

カーボンホイールをご注文いただきましたお客様より気兼ねなしに使えるロングライド用のアルミホイールをご注文いただきました。リピートオーダーはうれしいです。お納めしたホイールの良さを認めていただきましたからまたご注文いただけるということですのでビルダー冥利に尽きます。

今回のプランはお客様からのご指定です。とても詳しく研究されています。リム、ハブはお送りいただきました。スポークとニップルをこちらでご用意することになりました。

AL22W 22mm高24mm幅 452g
AL31W 31mm高24mm幅 500g
ティアグラハブ 前後517g

リムはTNIのワイドリムを使います。ハブはシマノティアグラハブ(黒)です。ハブは事前に調整されてとても軽快に回ります。前後ともに28hという組み合わせです。

前輪リム AL22W 28h 

  ハブ シマノHB-RS400 28h黒

  スポーク TB2015 2.0/1.5/2.0mm  2クロス組

  ニップル ブラス シルバー

後輪リム AL31W オフセットリム 28h

  ハブ シマノFH-RS400 28H黒

  スポーク 左TB2015 2.0/1.5/2.0mm シルバー  3クロス組

  スポーク 右TB2018 2.0/1.8/2.0mm シルバー  2クロス組

  ニップル ブラス シルバー

当初この組み合わせで承りましたがTB2018の指定寸法のスポーク在庫がなく、揃えるのに時間が掛かることをお知らせしますと快く代替品をお受けいただきました。

TB2015 2.2/1.5/2.0mm
WING 21

提案スポークはwing21で、重量はTB2015,TB2018の中間の重量です。わずかの重量差ですが剛性は高まります。ホイールが硬すぎる場合は細いスポークに替える。剛性が足りなければ太いスポークに替える。このようにスポークを変えることで大きな投資をしなくても性能の改善はできます。入門用として最初についてくる鉄下駄といわれているホイールも見違えるほどよくなります。お勧めいたします。

さて、リムの高さは前後で変えておられます。前輪は22mm高、後輪は31mm高です。前輪を低くすることで約50g軽量化を図れます。後輪は剛性を高めて駆動力を上げるという組み合わせは面白い方法です。いろんな組み合わせが出来る手組ホイールならではの方法ではないかと思います。

このリムはチューブレスレディーです。テープを巻いてバルブを用意すればチューブレスホイールとして使用できます。

TNIのこのリムは優秀です。剛性が高く価格的にもこなれています。後輪には穴が3mmオフセットしたものを使います。これで後輪左右のスポークテンション差を少なくできます。通常より約10%改善できます。加えて 一般にヨンロク組といわれている組み方をご指定されました。 左右の組み方を変えることで2%ほど高めることが出来ます。

スポークテンションに関してはご指定がないので当方の組み方で行っています。

前輪は約110kgf後輪ドライブ側約125kgfで仕上げています。テンションを揃えることを一番に優先して作り上げています。こうすることで振れの出にくいホイールに仕上がります。ホイールを組むことが出来るベテランライダーさんからの注文があるのもこれが理由です。振れ取りとテンション一致を同時に行うことは自慢げになりますが結構難しい作業です。

前輪スポークテンショングラフ 揃っています
後輪スポークテンショングラフ  揃っています

スポークテンションが揃っていることの利点はまず狂いが少ないことがあげられます。長く乗られても振れはホンのわずかです。勿論馴染みだしは何度も行うことが必要です。完組ホイールの馴染みだしはプレス方式です。この方法だけでは後から振れが出やすいです。プレスだけでなくスポークを握ることを丁寧に何度も行うことで狂いの出にくいホイールが出来上がります。ホイール作りの基本です。

今回のようにご自分でもホイール組ができる方のご注文は私も勉強になります。お客様には送料代が掛かりますがお好みのホイールが出来上がります。ご一緒にスポークの選択を行い組み方の相談を行います。お互いに知恵を出しあってホイールを作り上げていきます。また、スポーク計算の失敗で余分なスポークを購入する必要もありません。私のほうは工賃をいただいて勉強ができます。お互いウィンウィンです。

前輪771g
後輪1038g

出来上がりのホイールは前輪771g後輪1038gでした。前後高低差のあるリムで作り上げましたホイールはロングライド用として使用される予定です。軽いホイールだけが走るホイールではありません。インプレが楽しみです。

36mm高ディスクカーボン定番ホイールの作製

5月初めに当ブログにあるお客様よりオールラウンドホイール用としてディスクホイールを提案してほしいと連絡がありました。いつものようにお勧めの46mm高と36mm高のホイールをご案内いたしましたところその時お返事はいただきませんでした。まあこういうものは縁のものですのでよくあることです。

どういう経過なのかわかりませんが5月末に再度ご連絡いただきました。約1月考えられたようで最終的に36mm高のディスクホイールをご注文いただくことになりました。ありがたいことです。

昨今の部品事情の悪化や円安など自転車部品調達に関しての状況はそんなによくありません。注文してもなかなか入ってこないのが実情です。しかし今回不思議な縁でしてご注文いただきました3日前に予備で発注していましたカーボンリムが入荷していました。すぐに取り掛かることが出来ます。約一週間で納品ができます。

定番ホイールですので今まで何度も内容を書かせていただいています。おさらいしますと次のような部品の組み合わせです。

前輪700g
後輪809g
穴なしリムは利点が多い

リム 28mm幅36mm高カーボンリム 

   フックタイプ 前後ともに24h 穴なし ディスク用

ハブ TNI REVOハブ 前後ともに24h

スポーク ピラーwing21 黒 

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

穴なしカーボンリムはチューブレスホイールとして最適です。穴があるとテープを巻いて運用しなくてはいけません。このリムはバルブ穴が1つだけです。手組ホイールファンの定番ホイールは穴なしリムを使います。

実際の運用ではテープを巻くリム、巻かないリムの違いは使ってみれば非常によくわかります。穴なしはとても便利で経済的です。テープ運用ですとパンクの時にはテープをはがして、またテープを巻かないといけません。このことは何度も書いていますのでまたか!になりますがユーザーに向き合ったリムといえます。

リムが円安で少し高くなりましたのでホイールの価格は若干円安の影響を受けています。しかしブランドホイールの価格と比べますと格安で価格は1/3の値段です。無名のホイールですが性能は安物ではありません。

カーボンリムは剛性が高いので真円に仕上げていくのはアルミリムよりも高精度に仕上ります。そしてスポークテンションを均等にして仕上げることが肝要です。

リムメーカーの指定ではスポークテンションは120~130kgfがいいということなのでこの案内に従って仕上げています。勿論校正したテンションメーターを使っています。タイヤインストール後のテンションダウンを考慮して強すぎず弱すぎずというところです。ハイテンションはリムを真円に保つのにはいいのですが引っ張りすぎるのもいけません。本来衝撃を和らげるショックアブソーバーの働きもするスポークがリムの割れるもとになるのです。何事も過ぎたるは猶及ばざるが如しです。

スポークはピラーのwing21です。知名度はサピムのCX-RAYと比べて低いと思います。

しかし実力はなかなかのものを持っています。Jベントの部分が2.2mmと太いのがいいです。弱いといわれている部分を強化されています。中央部の比翼型の部分が空力をよくしています。風洞実験でも好成績ということです。詳しくはピラーのホームページでわかります。

ニップルはDTのSquorxProです。ニップル内部に滑り止めを注入してあります。ニップルは普段注目されませんがとても大切です。カーボンリムの場合アルミニップルではガルバニック腐食も考えられますので丈夫さを考慮してブラスのほうを選んでいます。とても高価なニップルですが使う価値はあります。

穴なしリムの作業は仮組までが大変です。時間が掛かりますので集中力が必要です。注意してニップルを取り出さなくてはなりません。ポロっとリム内に落さないようにするのが大変です。

スポークテンションを均等に張ることが大切です
振れ取りとスポークテンションの均一化は別のものです

仮組が終わると通常のホイールと作業は同じで振れ取りを行います。注意点はスポークテンションが均一でなくても振れ取りはできることです。スポークが強弱強弱とバランスが取れていますとテンションが均一でなくても振れ取りが出来ます。

ホイール作りの上手下手はこれで分かります。下手な人が作るときれいに振れ取りされていても一か月もすれば振れが出てきます。スポークテンションにバラつきがあるとこのようになります。ホイールはスポークテンションを均等に張って仕上げることが肝心です。勿論当ホイールのスポークテンションのバラつき度は非常に低いです。

仮組は一日でおわります。しかし仮組が終了してからが腕の見せ所です。組みあがってから何度もスポークテンションの調整を行います。お客様には早くお届けしたいのですが辛抱していただいています。時間をあけて出来上がったホイールを休ませながら調整するのがコツです。ストレスリリーブというのですがしっかりと何度も馴染みだしを行っています。こうすることで長く使われても真円を保っていることが出来ます。特別な手法ではありません。丁寧に組み上げているだけです。ご安心願います。

キンリンXR31T/RT32hリムに組み替え

今まで何度もご注文いただきましたお客様より手持ちホイールの組み替えをご依頼いただきました。

ホイールはDTリムRR411を使用したホイールです。RR411リムのホイールを他にも持っておられるお客様は1セットをキンリンのワイドリムに組み換えを希望されました。

RR411からキンリンのワイドリムXR31T/RTに変更です。リム重量は重くなりますが空力アップです。分解しましたRR411リムはしばらくお預かりしましてシマノ105ハブで再度組み上げる予定です。今はハブが手に入らないので少し先になります。部品不足はまだまだ続きそうです。

お預かりしたRR411

さて、ハブはDuraハブを使われていましたのでそのまま移行します。新しくリムとスポークを交換します。シマノハブは丈夫で長持ちです。高価なハブですがいろいろ組み替えを楽しめます。

組み換え後の前輪 829g スポークはLaser
均等にスポークを張っていいるので振れが出にくい
組み換え後の後輪 1008g スポークはRace
左を高いテンションで作れます(ブルー)オフセットリム使用

新しいホイールの内容は次の通りです。

リム XR31T/RT 前後とも32h 後輪は3mmオフセットリム

ハブ Duraハブ HB7900 FH7900 32h

スポーク 前輪 サピムLaser 2.0/1.5/2.0mm

     後輪 サピムRace 2.0/1.8/2.0mm

ニップル SquorxPro シルバー ブラス

31mm高24mm幅のキンリンXR31T/RTは約500gのリムです。軽くはありませんが剛性が高く空力が高いリムです。軽さを取るか剛性かとなりますと、どちらも大切ですが、あえて言いますと剛性です。こちらの方が重要と思っています。

スポークはお客様からのご指定で前輪はLaser、後輪はRaceと太さを変えています。細いスポークを沢山使ったホイールは疲れにくいホイールです。今までから何度も記事にして提案しています。多スポークホイールはスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれますのでロングライドに適しています。

DTのRR411リムも後輪はオフセットリムでした。今回のリムも後輪は3mmセンターがずれたオフセットリムを使っています。

ハブのギア数が増えましたので物理的な理由で左右のスポークテンション差が大きくなりました。後輪右スポークがカンカンに張っているのに左はゆるゆるの状態となります。この大きなテンション差を少なくする方法にオフセットリムを使います。

今までの記事に何度も書いていますので参考にしていただきたいのですがギアが増えたためにハブのセンターオフセット値が増えます。ハブの形状は変えることが出来ません。リム側のセンターをずらすことでハブオフセット値を是正するという方法です。

簡単に一言でいえば10%ほどスポークテンション差を改善できます。この値は大きいです。駆動効率が大きく上がります。掛かりが良くなるということです。

ワイドリムで剛性が高く、チューブレスで走れて、ロングライド向きのホイール、最後にリーズナブル、いいとこだらけのホイールです。お勧めです。

リムブレーキ用定番カーボンホイールの作製

今まで作製しましたカーボンホイールについて多くのお客様がインプレをお送りいただいています。これらのご連絡は私にとって宝です。インプレは記事にしていますので多くの方がお読みいただいています。ホイール購入の参考にしていただいている方が多く、何日の記事と同じホイールを欲しいというご連絡や、定番となっているホイールを作ってほしいとご連絡いただいています。

今回も定番カーボンホイールのご注文をいただきました。46mm高28mm幅のリムブレーキホイールです。

ハブは台湾製軽量ハブを使いました。前後で310gと軽いノバテックハブです。ブティックブランドのハブではありませんが丈夫さ、回転性能など必要十分な条件をこなしていると思います。軽くてよく回ります。値段もこなれています。この価格差は作られる量の差であると考えています。性能の差ではないというのが私の持論です。圧倒的に作られる量が違います。ネットでもあふれるばかりで品切れなど起こしていません。メーカーはこの量的なことで利益を上がていると考えています。少量生産で高い、大量生産で安いの違いで性能に値段ほどの大きな差はないと考えています。勿論性能差はあるでしょうが値段ほどの差ではないということです。こんなことからお勧めハブとしています。

スポークは最近一番気に入っていますピラー社wing21です。このスポークは根元が2.2mmで太く、中央部は比翼型です。空力ではcxrayよりも優れているという風洞実験結果が出ています。ブランド力には少し劣ると思いますが実力では高い評価と考えます。やはり後から出てくるものは改良されているということなのかもしれません。

しかし長年培ってきたブランドという力はいつもすごいものです。多くのホイールメーカーはcxrayを使っていると書いています。

私はどちらのスポークも使っています立場ですので、こんないいスポークもありますよということで紹介しています。

ニップルは定番化していますDTのSquorxProブラスニップルを使っています。ニップルの中には緩み止めが注入されています。高級ニップルですが最近はこのニップルに注文がよく入ります。ニップルはSquorxProにしてほしいという方が増えています。だんだん知られてきたようです。

カーボンリムはアルミリムのように長いチューブをつないで作るという製法ではありません。つなぎ目がないため均質に作れるのでしょう、縦ブレを取るのがとても楽です。

いつも使うリムは穴なしリムなので仮組までが大変です。時間が掛かるのですが振れ取りは均質なためとても作業がし易いです。

ニップルにはグリスを塗っています。高テンションになったときに回しやすくするためにグリスを使っています。液状のオイルを使えば作業は楽ですが、仕上がり後リム側にオイルが漏れてリムがべとつきます。自分用のホイールならこの方法でもいいのですが販売用のホイールですので出来るだけきれいに仕上げたいものです。注意してグリスが漏れないようにしていますがどうしてもリム面に出てくるのが問題です。しかし上手になったことは事実です。きれいに仕上げるようになりました。

スポークテンションが均一です
右テンションを高くして相対的に左を上げています

できるだけスポークテンションを均一に、出来るだけ振れを最小になるように仕上がることにしています。とても地味な作業ですが皆さんこの作業を評価していただいているようです。

前輪661g
後輪851g

前輪661g、後輪851gです。前後で1512gです。46mm高のカーボンホイールでこの重量は軽いと思います。剛性があり軽量の当ホイールは無名ですがよく走るホイールです。ブティックブランドのホイールと比べますと価格は1/3のお値段ですが性能は負けていません。ご安心ください。

ダイナモハブ使用 銀輪ホイールの作製

ブログ記事をお読みいただきました方より通勤用のピストにダイナモハブを使ったホイールをご注文いただきました。

完成した銀輪ホイールです
シャッタープレシジョン 373g

私は以前お客様より教えていただきました台湾のシャッタープレシジョンハブでクロスバイク用に作りました。このハブはシマノの製品に比べますと高価なハブです。発電容量が高く使い心地はとてもいいです。取り付けたライトはずっとついたままにしています。電池のことを気にしないのがいいです。昼間もついたままで安全度が増します。

352gは軽い

お客様のいつも使われているリムはアラヤのゴールド16、チューブラーホイールです。ピストフレームに銀輪ホイールとシンプル自転車の極みです。とても美しいスタイルと思います。

アラヤのリムはどちらかといえば柔らかいリムと思います。組んでいて気になりましたので念のためアラヤに適正テンションを問い合わせました。

果たして丁寧な回答を得ました。以下の通りです。

ご質問についてですが、
16B GOLDのスポークテンションにつきましては最大値100kgfとなっております。
適正値につきましてはお客様の好みもございますので、
一度販売店様にてご相談ください。

ホイール組等をなされる場合はお客様の安全性にも関わってきますので、
販売店様にて組立なさるようお願い致します。

この回答を得ましたので安心いたしました。いつも前輪ホイールは100~110kgfで仕上げていますが今回は約85kgfで仕上げました。

競輪用のゴールド16リムは結構難しいリムです。比較的柔らかいリムなのでスポークテンションの上げ方にコツがいります。前輪リムなので左右均等です。ゆっくり小刻みにテンションをあげていけばいいと思います。慌てずゆっくりが一番楽に出来上がります。急がば回れです。勿論硬いリムでも同じですが特に柔らかいリムは急いでニップルレンチを回さないことです。

私は神の手を持っていませんのでテンションメーターを多用します。こまめに測っています。慣れればいりませんが表にすると楽です。どのスポークが緩いということがよくわかります。

私の経験では50本くらい組みますとうまくなったなと実感しました。費用対効果を考えますと割にあいません。自分の楽しみとするなら少々の出来不出来は辛抱できますが高い効率の製品を得るとなりますと難しいと実感しています。どのあたりで折り合うかです。

お客様は毎日使うホイールなので少し高価なハブですが気に入ったものを使うということでご注文いただきました。このお気持ちはよくわかります。私もクロスバイクと同じくらいの費用をかけて前輪ホイールを組みました。

997gですが外周部が約350g

今回のホイールはとても趣味性の高いホイールですが実益面でも素晴らしいものだと思います。特に美しいホイールということがとてもいいです。

130mmから135mmハブに変更してホイールを作製

昨今の自転車部品不足が影響しまして作りたいホイールがなかなかできません。今回こうしたことからハブ軸変更でホイール作製依頼を受けました。2度目のリピートオーダーです。

お客様の自転車はクロモリフレームです。クロモリフレームのエンド幅は比較的容易に調整できます。今回はこのクロモリの性格をうまく使ったホイールといえます。

上ハブが通常のハブ したハブは135㎜に改造したハブ

ハブの軸幅が広いとホイールの左右スポークテンション差を少なくできます。通常の130mm幅から135mm幅に変更しますとハブセンターが2.5mm左に寄ります。この2.5mmがスポークテンション値に大きく影響します。

スポークテンション差を少なくしてホイールの駆動効率を上げるには2:1組にする方法があります。この場合ハブは特殊なハブが必要です。手に入る部品で効率よいホイールを得る方法としてエンド幅135mmに変更するのはいいヒントになります。

オフセット値を変更しますと左右のスポークテンション差は大きく改善できます。つまり駆動効率が良くなります。この手法は以前の記事でクロスバイクのホイールについて書いています。参考になるかと思います。

ハブ軸は容易に手に入ります。ネットで買えるというのが昔と違うところです。ハブ軸というキーワードで簡単に購入できます。しかし手に入れるのは楽ですがハブ軸交換は意外と厄介です。慣れの問題と思いますが作業が終わると出来たと達成感は得られます。やってみる価値はありますがメーカーは勧めていません。あくまで自己責任です。

お客様はFTPが300近くあります。当然高剛性のホイールを希望されます。柔なホイールでは持っておられる力が発揮できません。乗り手に合ったホイールを提案できるのも手組ホイールの良いところです。

前輪スポークはコンペティション2.0/1.8/2.0mm、後輪右は当初チャンピオンでしたが私のほうでホイールスミスのDH13という2.3/2.0mmのベント部分が太いシングルバテッドスポークを在庫していましたのでご提案しました。後輪左はコンペティションです。ドライブサイドを太くしています。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。硬いホイールに仕上げたいならスポークを太くすることで解決できます。

前輪728g 外周部は軽い 重いハブは丈夫です
後輪1028g 総量は重いのですがリム外周部が軽いです これが利点です
ハブ軸を5mm広げました 左右3クロス組
CX22チューブラーリム

リムはTNIのCX22チューブラーリムです。アルミのチューブラーリムは絶滅危惧種になりつつあります。

剛性が高く価格も安価で今までよく使われていますマビック、アンブロシオと比べますと約半額です。外周部が軽くて剛性が高く安価、いうことなしです。おまけに体重、乗り手の力量にあわせて剛性調整ができます。手組チューブラーホイールはもっと知られても良いかと思います。 今回のホイールは剛性が高く外周部が軽いホイールです。おまけに135㎜にしてハブのオフセット値少なくしています。後輪左スポークはとてもハイテンションイン仕上げています。

好みのリムを使い、スポークやハブで工夫する手組ホイールの醍醐味が詰まっています。インプレが楽しみです。

32hカーボンホイールの作製

DURAハブを使ったホイールからハブを取り出しカーボンホイールを作るというご依頼を受けました。

丈夫で美しい 台湾ハブより重いがメンテが楽でよく回る
丈夫で美しい形状です

DURAハブは前後とも7700の旧タイプのハブです。旧といいましても性能は逆に現行より優れている面があるのです。まず仕上げが美しいです。ハブの構造は10速用です。現行の11速よりギア1枚少ないのですがオフセット値から見ますと旧タイプはギア1枚分少ない分スポークの左右テンション差は少なくできます。つまり駆動効率は高いというわけです。トレードオフの関係です。11枚のギアがいらない人には10速のほうが効率の良いホイールを使えます。

カーボンリムはアルミリムより剛性が高いです。リムは体重の影響で地面部分が凹みながら回転しています。剛性が高いということは凹みが少なく真円状態に近い形で回転するので駆動ロスが少ないわけです。アルミリムで走っていた人がカーボンホイールに替えて走りが良くなったといわれる由縁です。軽くてアルミより剛性が高いのでカーボンがいいといわれています。

お客様はいつも六甲山に上っておられるクライマーなので空力も大事ですがそれ以上に高剛性をご希望でした。ブレーキシューがリムに触れることなくぐいぐい進んでいくホイールを好まれています。

当初はスポークをLaserでご提案していましたがより剛性を上げるということで前後ともに1.8mm径のコンペティションをご希望されました。32hありますので1.5mmのスポークでも剛性は得られるのですがそれ以上の硬さを選ばれています。

リムメーカーは2mmのスポークは硬すぎてリムを壊す恐れがあるということで1.8mmまでのスポークを推奨しています。今回のホイールはメーカー指定の最大1.8mm径スポークで組み上げています。

リムは穴なしリムで作っています。穴なしのリムはホイールを作るには難易度が高いリムです。しかし剛性面、運用面から見ますとテープがいらないリムは容易にチューブレスホイールとして楽しめます。

リムにはニップル穴がありません チューブレス対応です

出来上がりましたホイールは32本のスポークでガチっと組めています。スポークを握っても緩いという感じがしません。加えてスポークテンションはバラつきなく揃っています。振れの出にくいホイールに仕上がりました。クランクから伝わる力もロス少なく伝わります。

リムが軽くて剛性が高い 多スポークでシルバーが美しい
できるだけスポークテンションを揃える
できるだけスポークテンションを揃える

銀色のハブ、スポークの多スポークカーボンホイールはあまり見かけることがありません。お客様のクロモリフレームによく似あいます。お客様のインプレが楽しみです。

クワハラハブでディスクホイールの作製

何度もオーダーいただいていますお客様よりクワハラハブをお持ちこみでホイールオーダーいただきました。グラベル用としてのご依頼です。リム、スポークは私が提案しました。

クワハラハブ使用 XR22RT 32hディスクリム

実はクワハラハブは初めてです。皆さんいろんな情報を持っておられますので勉強になります。お互いリーズナブルにいいものを作るという気持ちです。

クワハラハブ 前輪用 32h

スポーク長を出してみるとスポークテンション比率が分かります。

左右のテンション差は少ない
クワハラハブ 後輪用 32hディスク

このハブは台湾製か中国製のようです。ハブの寸法を測りスポーク長を出しました。上図のようにスポーク長が出ますと左右のスポークテンション比率が出ます。優秀なテンション比率でハブの形状が良いようです。使っていませんので使用結果はまだわかりませんがテンション比率に関してはとても良好です。

リムはオフセットリムを使います。3mmセンターがずれているオフセットリムはスポークテンションの左右差を少なくできます。ハブとリム両方でスポークテンション差を少なくできています。

スポークは前輪をLaser、後輪にはWING21を使いました。

Laserは1.5mmの細さです。中央部がこの太さですのでショックアブソーバーの働きをしてくれます。後輪は少しLaserより少し太いWING21で剛性を上げています。

ホイールを作り上げていくうえではスポークテンションの均一化を優先しています。

前輪 スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

振れを取るためにテンションのバラつきを許すくらいなら少しの振れは辛抱するべきと考えています。理由はスポークテンションを揃えると狂いが出にくいからです。辛抱といいましても0.1mm~0.15mmの誤差で納めています。

もちろん通常の完組では十分OKのサインが出るくらいの仕上がりです。

前輪790g
後輪948g

ホイール全体のスポーク数は前後ともに32hです。リムはアルミながら剛性があります。チューブレスレディーのリムですのでテープ運用でチューブレスホイールとして使用で来ます。

初めてのハブなので結果を教えていただくのを楽しみにしています。