ダイナモハブ使用銀輪ホイールの作製

ダイナモハブを使ったホイール作製のご依頼です。ダイナモハブはシマノの36穴ダイナモハブ後輪ハブは持ち込みのシマノハブFH-6500です。前後ともに36穴なので用意出来るリムが限定されます。

最近では32穴までのリムなら手に入りやすいのですが36穴となりますと手に入れにくくのが現状です。たまたまH+SONのAT25アルミリムで36穴リムの手持ちリムがありましたので提案いたしました。

仕様は次の通りです。

H+SON AT25シルバー36h

リム H+SON AT25 シルバー 36H

ハブ 前輪シマノダイナモハブ DH-C2100 

   後輪シマノFH-6500 36H

シマノホームページより

スポーク 前輪 ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm

     後輪 左ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm 右TB2018 2.2/1.8/2.0mm

ニップル ピラー DSN

シルバーリム、ハブ、スポークなので銀輪ホイールです。出来上がりはなかなかの存在感があります。

台湾のH+SONは個性的なリムを作っています。一般の自転車屋さんはあまり取り扱いがないようです。どちらかといえばファッション系の自転車屋さんで扱っている感じがします。リムに入っているロゴなど見ますととても洒落ていて銀輪というクラシックなイメージの中にモダンなセンスがあると思います。とてもいい感じです。

36hという多スポークホイールは長時間乗っても疲れにくく、その上とても丈夫です。細めのバテッドスポークを使えば軽量化できますし、細いスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれますので地面からの衝撃を吸収してくれます。ロングライドにぴったりのホイールに仕上がります。

一般的にはスポークの少ないホイールが主流ですので36hのハブやリムは手に入れにくくなっています。オークションなどで見つけたら買っておくのも良いかと思います。

36hの銀輪ホイールは丈夫で疲れにくいのでロングライドに適します
シマノダイナモハブ使用
クラシックな36hですがとても仕上がりはモダンです

特に輪行用のホイールは32h、36hの多スポークホイールをお勧めします。落車などでスポークが1本折れても少し振れが出る程度で楽々乗り続けることが出来ます。空気抵抗が増えるとかいう意見もありますが乗り味も大事な要素です。既製品のホイールでは味わえない良さが多スポークホイールにはありますので試されることをお勧めいたします。

46mm高リムブレーキ用定番カーボンホイールの作製とインプレ

当ブログにご連絡いただきまして定番ホイールの46mm高カーボンホイールをご注文いただきました。しばらく乗られたあとのご感想もお聞かせいただきました。生の声を聴かせていただきましたのでご参考になると思います。

ホイールのご注文の際まずお尋ねしますのは体重です。体重でスポーク数を考えます。厳密なものではありませんが90kgの方が20・24hのホイールに乗られるのはバランスが悪いと思います。こんな場合スポーク数を増やした提案をいたします。このように体重はとても重要です。

リム高も大切です。平地が多いか丘陵地帯で登り下りの多い場所かということもリムの選択に影響します。基本的には36mm、46mm、56mmの中から選びます。もっとバリエーションがありますが概ねこの3種類です。

既製品ではありませんので前36mm後ろ46mmというような自由度も高いです。せっかくお作りするので乗り方に合ったホイールをご提案しています。

今回はリムブレーキの46mm高ホイールになりました。リムブレーキの場合ブレーキ面を強化したリムも選択できます。強化リムは4000円ほどの追加料金が掛かりますがディスクブレーキに変更しなくても良いくらいブレーキの効きがいいホイールが出来ますのでこのオプションは良い選択と思います。

ホイールは次のように部材でお作りすることになりました。

リム 46mm高28mm幅穴なしカーボンリム

   前輪20H後輪24H

   前輪のみ強化リム

ハブ ノバテックハブ 20・24H

スポーク ピラーwing21 黒

ニップル DT SqorxPro 黒 ブラス

穴なしリムはリムテープがいりません。このテープがいらないリムは使われると楽なのがよくわかります。新しいテープなど余計な費用も要りません。

ホイール作製に於いてスポークテンションはリムメーカーの推奨テンションがあります。

前輪は100~110kgf

後輪右は120~130kgf

この値にあわせてテンションメーターで測りながら仕上げます。タイヤをはめますと10~15%スポークテンションは下がりますのでこの下がりを見越してハイテンションを推奨していると考えます。概ねテンションを合わせて作りました。厳密にする必要はありませんが高すぎるのも低すぎるのもよくありません。

強化リムには方向性があります

完成しました。前輪リムは方向性がありますので注意がいります。ブレーキ面の強化はとても安心感が増し有効です。少し金額は上がりますが安全性が高まりますのでお勧めです。

ホイールの各スポークテンションが揃うように注意して組み上げました。

前輪 630g
後輪839g

以下お客様より了解得ましたので当ホイールのインプレを紹介いたします。

メールの原文通りです。参考になると思います。

写真もお送りいただきました

ホイールの件、すこぶる良好です。個人的な偏見もありますが、自分なりのインプレッションをさせていただきます。

はじめに今までのホイール遍歴ですが、

フルクラムレーシング3→マヴィックキシリウムプロ→デダエレメンティ SL48です。

いずれもクリンチャーでの使用です。

今回組んでもらいましたホイールもクリンチャーで使用し、チューブはブリヂストンエクステンザ、タイヤはコンチネンタルGP5000での運用です。

・タイヤインストール

今まで使用したホイールのなかでは、もっともリム幅が広いホイールでしたが、なにも問題なくタイヤレバー無しでインストールできました。また、ニップル穴無し=リムテープ無しということで、ひと手間減るのとリムテープの偏りなどを気にすること無く作業が出来ました。

・走行感

漕ぎ出しは、思っていたよりも軽い感じ。街中でのストップ&ゴーも重い感じはしませんでした。巡航は振動が少ない感じ。細かなアップダウンでは細かな変速が不要になりました。スピードが乗る感じと言うか、スピードが落ちにくい感じなので、下りから上りに変わっても勢いで行ける印象です。

長い登り坂では、後ろに引きずられるような印象も無く、淡々と回して登る走り方が合っているホイールだと思います。体感する振動が少ないので、後まで体力が残るような感じです。

・総合的に

個人的に思った、このホイールが合っていると言うか、特徴をいちばん活かせる場面は、細かなアップダウン路と緩斜面路だと思います。軽い46mmハイトリムで均一なスポークテンションが要因なのかなと思っています。ノバティックハブは初めて使用しましたが剛性が高いように思いました。良い印象です。

今回、以前から気になっていた「手組ホイール」をご縁があって使用させていただきましたが、コストパフォーマンス抜群だと思います。

あと、ホイールで何か不具合があっても、ホイールを最初から最後の仕上げまで組んだ張本人のビルダー様にお願いしたら、なんとかしてくれるんじゃないかという安心感があり気兼ねなく自転車に乗れるのがいい感じです。

自分なりのファーストインプレッションは以上です。

改めまして、ホイールの件、有難うございました。

以上印象を述べていただきました。

コスパの良いホイールだとおほめいただきました。良かったです。お客様が喜んでいただくことが一番ビルダー冥利に尽きます。尚、ホイールメンテはご安心いただきたいです。海外通販で買われた方はいつも面倒見てくれるところを探されますがこのご心配は無用です。

超軽量カーボンリム使用ディスクホイールの作製

クリスキングのハブをお持ち込みでディスクカーボンホイールの作製依頼です。

カーボンリム、スポークは私のほうで用意します。

ディスクハブでこの重量は軽い
クリスキングホームページより
クリスキングハブ重そうに見えるがとても軽量です
クリスキングホームページより

先にクリスキングのディスクハブをお送りいただきました。ハブは前後ともに28hハブです。赤色ハブは存在感があります。ハブデータはクリスキングのホームページで確認できます。ハブデータは正確でスポーク長はこのデータで間違いありません。

35mm高28mm幅 365gは軽量です

リムは穴なしカーボンリムです。いつも注文するメーカーの上位グレードリムで通常より入荷に時間が倍以上掛かります。リム入荷に約3か月掛かりますがお待ちいただくだけのものはあります。

スポークはCX-RAYを使います。空力がよく軽量ながら丈夫ですがとても高価です。

組み方は前後ともに左右2クロス組です。前輪逆イタリアン、後輪JIS組のシマノ方式で組んでいます。

前輪666g
後輪779g

前輪666g後輪779g合計1445gと非常に軽量です。前後ともに28hありますが1500gを切っています。スポークが多いということはコーナーで安定するということです。

超軽量リムの入荷に時間が掛かりましたがいいホイールが出来上がりました。中心部の赤いハブが効いています。シールのないシンプルな無印ホイールですが存在感がたっぷりです。このホイールは欲しいです。

36H輪行用に銀輪ホイールの作製

輪行用にと銀輪ホイールのご注文をいただきました。

最近はなかなか銀輪のリムは手に入りません。H+SONのリムなら銀輪リムが手に入りますよとお知らせしますとすぐに手配されハブとリムを当方にお送りいただきました。

スポークをこちらで用意してお作りすることになりました。ハブとリムの寸法を調べてからスポーク長が出ますのでスポークをこちらで用意するのが一番間違いありません。スポークと作業代金のご請求となります。

さて、リムとハブが届きました。

SONY DSC

リムは台湾のH+SONのリムでAT25の品番です。モダンな銀輪リムです。

重いハブは丈夫です
シマノハブとほとんど同じ重量です

ハブはQuandoというブランドで初めてです。ネットで調べますと中国か台湾の品物でアメリカではよく使われているようです。結構重いのですが、重い=丈夫ですのであまり気になりません。どちらかといえば好きなほうです。皆さん軽さを求められますが中心部の重量ですので重くても気になりません。

先ず測ることです
23mm幅25mm高リムは480g前後です

リム、ハブを測ります。シマノハブはデータが出ていますが初めてのハブはしっかりと計測しないといけません。スポーク長はしっかりと測らないと正しい数値は出ません。

今回のスポークはピラーのTB2015,TB2018で作りました。どちらもトリプルバテッドスポークでJベントの部分が2.2mmあり丈夫です。ねじ部分はどちらも2mmです。サピム、DTが有名ですがピラーは後発だけにいいところをうまく取り入れている感じがします。

スポークは均一にすることが肝心です
スポークテンションを揃えています

ホイール作りの大切なところはスポークテンションが揃っていることです。振れ取りはテンションが揃っていなくても振れは取れます。スポークのバランスが取れていますと振れがなくなります。これから一歩進めて各スポークのテンションを揃えることで長く乗られても振れが出にくいホイールに仕上がります。

モダンな銀輪ホイールです

出来上がりました。モダンな銀輪ホイールは目立ちます。存在感がありきらきらと輝いています。スポークテンションが揃っていますので駆動ロスは少ないです。ロングライドに適した多スポークホイールは疲れにくいホイールとして使っていただけます。36Hは美しいです。

マビックオープンプロとミケハブでホイール作製とそのインプレ

お客様よりマビックリムをお送りいただきました。リピートオーダーでハブ、スポークは当方で提案します。

マビックオープンプロ 32h

リムは再利用です。この場合癖がついているリムが多いので注意が必要です。どうしても振れ取りとスポークテンションが一致しなく大幅に妥協しないといけない場合もあります。

振れをきっちりとるとテンションが全く揃わないのです。こんな場合はどちらかといえばスポークテンションを優先します。少しくらいの振れは我慢してスポークの張りを揃えるほうが駆動効率はいいと考えています。ただ何事もいい塩梅がありますのである程度の妥協は必要です。幸いにも今回お預かりしましたリムは癖もなくうまく作り上げることが出来ました。

ミケハブ 32hシルバー

ハブはミケハブのシルバーを在庫していましたので提案しました。クラシックなホイールにはぴったりの色です。ミケハブは少し重いハブですが丈夫ということでもあります。良いところはベアリングが大きいのも良いところです。滑らかな回転で安定しています。

ピラーホームページより

スポークは32本と多スポークホイールなのでスポークは細いスポークを使っています。ピラーのTB2015というトリプルバテッドスポーク(2.2/1.5/2.0mm)を使いました。

Jベント部分が2.2mmありますので通常の2mmスポークと比べて強度は高く中央部が1.5mmなので地面からの衝撃を吸収する働きをしてくれます。

スポークテンションを可視化しています
出来るだけスポークテンションが均一になるように調整しています
出来るだけスポークテンションが均一になるように調整しています

いつものようにスポークテンションを出来るだけ均一になるように作っています。ホイール作りでは振れ取りがまず優先されますが肝心なところはスポークテンションの揃っているかということです。見た目だけ良くてもだめということです。

2か月乗られてインプレをお送りいただきました。多スポークホイールの良さを感じていただいたようです。

以下の通りです。

 5月に組んでいただいたホイールを履いて何度かロングライドに行きましたので、遅くなりましたが感想を。 以前購入したワイドリムのホイールと比べると柔らかめな乗り心地かなという印象でした。 巡航維持や路面との接地感はワイドリムの方が有利に感じます。 ですが登り、ダンシング、発進から巡航速度まで上げていくときの反応はかなり軽快です。数字ほどの重さを感じません。 実際には前後で1600g台の重量なので下りでもヒラヒラするような不安定さはほとんど感じませんでした。 山をメインに走るコースだとかなり調子良いです。 長距離を走ってみると、全体的にマイルドな乗り心地でありながら低速域では機敏に反応してくれる印象でした。 今回も良いホイールを組んでいただき誠にありがとうございました。

ビルダーとしてホイールを作らせていただきますがいつもどう感じていただいているか考えます。今回のように教えていただきますと勉強になります。ありがたいことです。

マビックカーボンリム、ハーモニーハブでトラックホイール作製

ブログを通じてご連絡いただきました。リムとハブの持ち込みでのホイール依頼です。

詳しく伺いますとマビックのカーボンリムとハーモニーハブというトラック用のハブを使ってほしいとご依頼いただきました。スポークはCX-RAY、ニップルはSqorxProとご指定いただきました。スポークとニップルはこちらでご用意いたします。持ち込みの場合この方法が一番出来上がりが安心です。スポーク長まで計算されて持ち込みいただいてもいいのですがERDの出し方でスポーク長が違うときがありますのでスポークは当方で用意するほうが問題なくいきます。

マビックカーボンリム 約400g
ハーモニーハブ ウクライナ製

マビックリムは国内価格では1本10万円近くします。ハブのハーモニーハブはウクライナ製のハブです。カーボンシエルで作られています。ともに初めてのリム、ハブですが組み方は一般的ですので問題ありません。穴ありリムなので組み立ては穴なしリムより早くできます。初めての高価なリムなので少し緊張しました。

前輪 ラジアル組
後輪2クロス イタリアンのご指定です

前輪はラジアル組、後輪は左右2クロス組です。後輪ハブが両切りハブなのでJIS組が多いのですがギアは片方しか使わないのでイタリアンで組むということになりました。

ワッシャーを使って組み立てます

リムにはワッシャーが付属しますのでワッシャーを使って組み立てます。カーボンリムではワッシャーを使うことは少ないのですがマビックがワッシャーを指定していますので使って組み立てました。

ホイール取り付け金具込みの重量です
前輪スポークテンショングラフ
ホイール取り付け金具込みの重量です
後輪スポークテンショングラフ

リムの指定テンションは説明書にかかれていませんでしたのでスポークテンションは約110kgfで仕上げました。均一に張れば自然とセンターは出ます。

フレームに取り付けた写真を撮らせていただきました。リムのマビックシールが黄色で差し色となっています。 シンプルな自転車は本当に美しいです。

カーボンチューブラーホイールのインプレお送りいただきました

アルミのチューブラーホイールをご注文いただきましてからカーボンチューブラーホイールもご注文いただきましたお客様よりカーボンホイールのインプレをお送りいただきました。ホイールはリムブレーキ用です。いつもロングライドで楽しまれています。

35mm高カーボンチューブラーホイール

おひとりの方が長い期間乗っていただいていますのでアルミとカーボンの違いもよくわかります。お値段的には倍の違いはあるのですがどちらのホイールにも良さがあり、場面場面で使い分けておられるようです。

以下お送りいただきましたインプレです。とても参考になります。

カーボンチューブラーホイールの感想を送らせていただきます
比較のホイールは以前製作していただいたアルミのチューブラーホイールになります
カーボンチューブラーホイールで1200キロ程走行しました
まずは平坦の巡行速度ですが2キロ程上がっています。まあ20キロが22キロになったくらいですが緩斜面では違いはよくわかりません
10%
を超える斜面ではかなりよく登るようになりなした凄く楽に感じます
長時間走行する自分にとって一番重要な振動吸収性能ですがとても良いです比較の多スポークのアルミチューブラーホイールよりも振動はありません 

こちらのホイールの方がロングライドに向いているのでは思うくらいです
ブレーキ(リム)性能ですが雨の日も走行しました 

アルミリムと違いはありません 

よくききます 
平坦主体のコースで10時間位走ると30分から1時間位早くなるようです
以上本当に感じたままを送らせていただきます
またなにかありましたら宜しくお願い致します

今回もいいお話をいただけてありがたいです。インプレを読ませていただきますとチューブラーホイールはやはり素晴らしいホイールといえます。ホイール沼に入り込むのは仕方ないところです。

今回のリムブレーキ面は強化加工をしています。1本約4000円オプションで追加料金をいただきましたがブレーキの効きは格段に上がっているようです。カーボンのリムブレーキではブレーキに不安があるとよく伺う話ですがオプションを追加されることでディスクに替えなくても良いようです。一つのアイデアとして良いと思います。強化リムの効果を知ってからはカーボンホイールをご注文の際必ずご案内するようにしています。

お客様からはここがいい、この点をよくしたらどうですかとアドバイスをよくいただきます。出来るだけ情報を共有しましてリーズナブルに自転車ライフを楽しんでいただけるようにしたいと考えています。

カーボンホイールをピスト用に組み替えました

お客様よりご連絡がありホイールの組み換えのご注文をいただきました。これで4セット目になります。

お預かりホイールは46mm高のカーボンホイールです。組み替えに使うハブも同梱いただきました。

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ホイールを分解して新しいトラック用のDTハブを使って組み替えます。

組み方もご指定されています。

仕様は次の通りです。

リム 46mm高カーボンリム 前輪20H後輪24H

ハブ DT 370track 20・24H

スポーク ピラーwing21 シルバー

ニップル DT  SquorxPro ブラス シルバー

前輪は2クロスでイタリアン、後輪も2クロスでJIS組みです。

ホイールをばらして再度組み立てる作業を行います。

ハブを取り出すとニップルはリムの中に残っています。穴なしリムの為バルブ穴が1個あるだけなのでひたすら振り続けてニップルを取り出します。沢山ニップルがあると意外と楽に出てくるのですが個数が少なくなると時間が掛かります。ガラガラと振り続けてすべて出し切るまで耐えるだけです。運が良ければ数分で終わりますが出てこないときは5分くらい振り続けても出ないときがあります。気分転換でコーヒータイムにして休憩するとポロっと出てくることが間々あります。面白いものです。

ニップルすべて取り出したリムを使って新しく組み立てします。

SONY DSC
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ハブはDTの370トラック用のハブで作ります。DTのハブには前輪用に20Hハブがあります。トラック用で20Hがあるのは知りませんでした。通常の20/24Hホイールリムが使えるのが今回のポイントになります。お客様の情報力に感心しています。

後輪ハブは両切りの通常のハブです。JIS組みで組み上げます。

wing21 20本 102.5g
CX-RAY 20本 97g

スポークではwing21、CX-RAYのどちらかと迷われました。前輪の総グラム数ではスポーク1本分の違いです。ほんの少しですがwing21のほうが重いのでわずかに剛性も上がります。この差がお好みの乗り味にどう影響するかも今回のスポーク選択の結果に興味あります。

私は鈍感なので分からない分野ですが分かる人はわかるのでスポーク選択は非常に奥が深いです。

今回組み上げの段階で一つ不思議なことが起こりました。

前輪ですが左右のテンション差はスポーク長が同じなので通常に組み上げますとスポークテンションが左右ほぼ揃ったら理論上センターはしっかり出ます。

組み上げて馴染みだしも終わって左右のテンション差も同じに仕上げたのでセンターが出ているか調べました。すると約0.5mmもずれているのです。理由が分からないのでしばらく戸惑いました。

落ち着いて考えてみますとわかりました。ストレスリリーブ(なじみだし)が足りなかったのです。もう一度しっかりと馴染みだしを行いました。

テンションを測りますと左右テンション差が出ていました。もう一度スポークテンションを揃えます。果たしてテンションを測りなおしますと左右一致しています。

ストレスリリーブが足りないとセンターは出ないということがよくわかります。一つ賢くなりました。細かいことですがホイール作りはこのような積み重ねだと思います。

ホイールは完成しました。左右のスポーク長が同じなので100~110kgfで仕上げています。

通常のギアが沢山ある後輪なら左右のテンション差が大きいので緩いほうの左スポークテンションを高めるために右スポークテンションを130kgf前後の高い数値で仕上げます。今回のホイールでは左右が同じなので100~110kgfで十分です。カーボンリムの為、剛性が高く歪は少ないので130kgfまで上げる必要はありません。

テンション値が低過ぎる場合リムが体重で歪み駆動ロスが発生します。しかし高過ぎるとリムを傷めるもとになります。スポークテンション値を決めるのも意外と難しいものです。私の場合リムメーカーの指定値範囲で仕上げるようにしています。直感的な勘でのホイール作りは難しいということでお勧めしません。

カーボンリムの場合150kgfと高い数値で仕上げても耐えるだけのリム強度はありますが割れやすいという欠点もありますので注意が必要です。高過ぎず緩すぎずの頃合いで仕上げることがポイントのようです。

前輪、後輪ともに2クロス組
後輪 931g 
後輪 左右2クロス JIS組
前輪 860g
左右2クロス イタリアン

出来上がりましたホイールは手組感ある美しいホイールです。

OnyxHub,Hed Belgium rimでグラベルホイールの作製

ブログを通じてご連絡いただきました。

HEDのアルミリム、アメリカのONYXハブを使ってホイールの作製依頼です。スポークはサピムのCX-RAYを使います。お客様よりハブとリムはお持ち込みです。スポークはこちらでご用意いたします。

スポークも持ち込みしたい方もおられます。スポーク長の計算をご自分でされて、組むだけを手組ホイールファンでという方も今までおられました。この場合スポークが短い方もおられ、これでは組めないとお断りした方もおられます。持ち込みの場合はリムとハブだけのほうがお互いロスが少ないと思います。

さて、今回お送りいただきましたリムは初めてのリムでした。ハブは取り扱いの経験があります。HEDのホームページからわかりますがグラベル用のワイドリムでリム外径30mm内径25mmと幅広です。700cと650cがありますがお送りいただきましたリムは700cの方です。

ワイドリムなのに軽量です
幅30mmのワイドリム
ジョイント部分です 溶接接続できれいな仕上がりです

ワイドリムなのに重量は意外と軽く460g前後です。リムのジョイント部分は溶接です。とても仕上げがきれいで縦ブレが取りやすいリムで、つまり真円に近づけるのが容易です。値段だけはあると感じました。

アルミリムなのでカーボンリムのように割れに対する心配はいりません。グラベルに適していると思います。剛性や破損に関してアルミリム、カーボンリムどちらも良いところ弱いところがあるのでどちらを優先するかです。どんなものでもプラスマイナスはあります。

前輪ハブ
特許の特殊構造 後輪ハブ

ハブはONYXのVesperハブです。ホームページからの情報ですがとても高価なハブです。フリーを回しますと驚きます。全く音がしません。特殊な構造をしているのが分かります。分解も容易でグリスアップはやりやすいようです。

ハブとリムだけで立派な自転車が買える部品を心配することなくお送りいただいたことはありがたいなと思います。

ご用意するスポークはCX-RAY、ニップルはブラスを使って組み上げました。

製作において縦ブレ取りではリムがほぼ真円になるまでにスポークを調整します。出来るだけ均一に張ることが肝心です。スポークは強弱強弱という形でバランスが取れるときれいに振れ取りができます。つまりスポーク張力が均一にならなくても振れ取りはできます。しかし振れを取り終わるだけでは出来上がりはまだ8合目で、もうひと頑張り必要です。テンションを揃えることで長く使われても駆動ロスが出にくいホイールとなります。

各スポークに伝わる力はどのスポークにも同じだけ力が伝わります。スポークに強弱があれば伝わる力は減じます。すべてのスポークが揃っていれば当然ロスは少なくなります。これがホイールの良さを決める大きなポイントと考えています。

また、日をあけてスポークテンションを調整することも大切です。一番楽な方法は一度乗ってみてスポークの張りを再調整するのが一番いい方法ですが遠方の方にはこれが出来ません。このため時間をあけて何度も馴染みだしを行っています。

カッコイイホイールです
前輪762g
スポークテンションばらつき度5%以内に調整
後輪1012g
スポークテンションばらつき度5%以内に調整

出来上がりました。非常に存在感があります。色の組み合わせが印象的です。とてもカッコイイので使ってみたいホイールです。グラベルホイール、期待できます。

チューブラーホイールのインプレをいただきました

チューブラーホイールのインプレをいただきました。 ご自分でもホイールを組めるベテランライダーさんからのご注文 です。

新規にご注文いただきましたホイールは今まで使われていたホイールと同じ仕様で、使われたいたホイールから取り出したハブを再利用するというご注文です。

つまり今まで乗られていたホイールと同じホイールのご注文だったわけです。お客様はビルダーが作ったホイールならどんな感じに変わるのだろうかと興味津々で新しいホイールが届くのを待っておられました。

シマノハブで組んだマビック チューブラーホイール
マビック リフレックス 32h
シマノ FH-5800 32h
シマノHB-6600 32h

ご自分で作られたホイールをばらして取り出したハブと新しいリムをお送りいただきました。とてもよく整備されているハブです。シマノハブの良いところは新品の時が一番悪い状態で整備次第でどんどんよく回るハブに育っていく点です。重いのですがよく回ります。

スポークは前輪を1.5mmのバテッドスポーク、後輪の左を同じ1.5mmのスポークで、右を1.8mmのスポークで作るというご注文でしたのでスポークメーカーはこちらで提案しました。

使うスポークはDTのレボリューションとコンペティションです。このスポークで提案しました。ホイールの仕様はすでにブログ記事にしていますのでご参照願います。

以下お客様よりいただきましたインプレです。記事にしてよいと了解いただいています。

自慢げになりますがこのように書いていただきました。

早速ですが、感想です。

昨日、4時間位乗車しました。結論は、身体に優しいホイールです。

道路のデコボコや段差を越える時の衝撃が、まろやかになりました。

4時間乗っても、疲れ難いです。乗り始めはタイヤの空気圧が低くなったと

勘違いする程でした。加速のキレが低下した感覚です。

しばらく走るうちに乗り心地が良く感じられました。ペダルを回すのが楽しくて、

ずっと乗っていたい感じです。はっきり言って、クセになります。

ペダルを止めても、スピードの落ち方が少ないように思います。下りのライン取りも、

それ程気を使わずに狙ったラインをトレース出来ます。

自分が組んだホイールとは、全く違います。同じハブほぼ同じリムで、

違うのはスポークと組み手です。素晴らしいホイールを、ありがとうございました。

今やアルミチューブラーホイールは絶滅危惧種ですのでご自分で作るかオーダーしなければ手に入りません。外周部を軽く仕上げるにはチューブラーを選択するのは一押しのアイデアです。

今回このようなインプレをいただきましてビルダーとしてとてもうれしくありがたいと思います。スポークテンションを揃えることに少しは技術の差があったようです。

お客様がご自分で組まれたホイールとは明らかに違うと言っていただきました。とても素敵な勲章をいただいたようなものです。これからも注文してよかったといっていただけるように精進したいと思っています。