リムブレーキ用定番カーボンホイールの作製

今まで作製しましたカーボンホイールについて多くのお客様がインプレをお送りいただいています。これらのご連絡は私にとって宝です。インプレは記事にしていますので多くの方がお読みいただいています。ホイール購入の参考にしていただいている方が多く、何日の記事と同じホイールを欲しいというご連絡や、定番となっているホイールを作ってほしいとご連絡いただいています。

今回も定番カーボンホイールのご注文をいただきました。46mm高28mm幅のリムブレーキホイールです。

ハブは台湾製軽量ハブを使いました。前後で310gと軽いノバテックハブです。ブティックブランドのハブではありませんが丈夫さ、回転性能など必要十分な条件をこなしていると思います。軽くてよく回ります。値段もこなれています。この価格差は作られる量の差であると考えています。性能の差ではないというのが私の持論です。圧倒的に作られる量が違います。ネットでもあふれるばかりで品切れなど起こしていません。メーカーはこの量的なことで利益を上がていると考えています。少量生産で高い、大量生産で安いの違いで性能に値段ほどの大きな差はないと考えています。勿論性能差はあるでしょうが値段ほどの差ではないということです。こんなことからお勧めハブとしています。

スポークは最近一番気に入っていますピラー社wing21です。このスポークは根元が2.2mmで太く、中央部は比翼型です。空力ではcxrayよりも優れているという風洞実験結果が出ています。ブランド力には少し劣ると思いますが実力では高い評価と考えます。やはり後から出てくるものは改良されているということなのかもしれません。

しかし長年培ってきたブランドという力はいつもすごいものです。多くのホイールメーカーはcxrayを使っていると書いています。

私はどちらのスポークも使っています立場ですので、こんないいスポークもありますよということで紹介しています。

ニップルは定番化していますDTのSquorxProブラスニップルを使っています。ニップルの中には緩み止めが注入されています。高級ニップルですが最近はこのニップルに注文がよく入ります。ニップルはSquorxProにしてほしいという方が増えています。だんだん知られてきたようです。

カーボンリムはアルミリムのように長いチューブをつないで作るという製法ではありません。つなぎ目がないため均質に作れるのでしょう、縦ブレを取るのがとても楽です。

いつも使うリムは穴なしリムなので仮組までが大変です。時間が掛かるのですが振れ取りは均質なためとても作業がし易いです。

ニップルにはグリスを塗っています。高テンションになったときに回しやすくするためにグリスを使っています。液状のオイルを使えば作業は楽ですが、仕上がり後リム側にオイルが漏れてリムがべとつきます。自分用のホイールならこの方法でもいいのですが販売用のホイールですので出来るだけきれいに仕上げたいものです。注意してグリスが漏れないようにしていますがどうしてもリム面に出てくるのが問題です。しかし上手になったことは事実です。きれいに仕上げるようになりました。

スポークテンションが均一です
右テンションを高くして相対的に左を上げています

できるだけスポークテンションを均一に、出来るだけ振れを最小になるように仕上がることにしています。とても地味な作業ですが皆さんこの作業を評価していただいているようです。

前輪661g
後輪851g

前輪661g、後輪851gです。前後で1512gです。46mm高のカーボンホイールでこの重量は軽いと思います。剛性があり軽量の当ホイールは無名ですがよく走るホイールです。ブティックブランドのホイールと比べますと価格は1/3のお値段ですが性能は負けていません。ご安心ください。

ダイナモハブ使用 銀輪ホイールの作製

ブログ記事をお読みいただきました方より通勤用のピストにダイナモハブを使ったホイールをご注文いただきました。

完成した銀輪ホイールです
シャッタープレシジョン 373g

私は以前お客様より教えていただきました台湾のシャッタープレシジョンハブでクロスバイク用に作りました。このハブはシマノの製品に比べますと高価なハブです。発電容量が高く使い心地はとてもいいです。取り付けたライトはずっとついたままにしています。電池のことを気にしないのがいいです。昼間もついたままで安全度が増します。

352gは軽い

お客様のいつも使われているリムはアラヤのゴールド16、チューブラーホイールです。ピストフレームに銀輪ホイールとシンプル自転車の極みです。とても美しいスタイルと思います。

アラヤのリムはどちらかといえば柔らかいリムと思います。組んでいて気になりましたので念のためアラヤに適正テンションを問い合わせました。

果たして丁寧な回答を得ました。以下の通りです。

ご質問についてですが、
16B GOLDのスポークテンションにつきましては最大値100kgfとなっております。
適正値につきましてはお客様の好みもございますので、
一度販売店様にてご相談ください。

ホイール組等をなされる場合はお客様の安全性にも関わってきますので、
販売店様にて組立なさるようお願い致します。

この回答を得ましたので安心いたしました。いつも前輪ホイールは100~110kgfで仕上げていますが今回は約85kgfで仕上げました。

競輪用のゴールド16リムは結構難しいリムです。比較的柔らかいリムなのでスポークテンションの上げ方にコツがいります。前輪リムなので左右均等です。ゆっくり小刻みにテンションをあげていけばいいと思います。慌てずゆっくりが一番楽に出来上がります。急がば回れです。勿論硬いリムでも同じですが特に柔らかいリムは急いでニップルレンチを回さないことです。

私は神の手を持っていませんのでテンションメーターを多用します。こまめに測っています。慣れればいりませんが表にすると楽です。どのスポークが緩いということがよくわかります。

私の経験では50本くらい組みますとうまくなったなと実感しました。費用対効果を考えますと割にあいません。自分の楽しみとするなら少々の出来不出来は辛抱できますが高い効率の製品を得るとなりますと難しいと実感しています。どのあたりで折り合うかです。

お客様は毎日使うホイールなので少し高価なハブですが気に入ったものを使うということでご注文いただきました。このお気持ちはよくわかります。私もクロスバイクと同じくらいの費用をかけて前輪ホイールを組みました。

997gですが外周部が約350g

今回のホイールはとても趣味性の高いホイールですが実益面でも素晴らしいものだと思います。特に美しいホイールということがとてもいいです。

130mmから135mmハブに変更してホイールを作製

昨今の自転車部品不足が影響しまして作りたいホイールがなかなかできません。今回こうしたことからハブ軸変更でホイール作製依頼を受けました。2度目のリピートオーダーです。

お客様の自転車はクロモリフレームです。クロモリフレームのエンド幅は比較的容易に調整できます。今回はこのクロモリの性格をうまく使ったホイールといえます。

上ハブが通常のハブ したハブは135㎜に改造したハブ

ハブの軸幅が広いとホイールの左右スポークテンション差を少なくできます。通常の130mm幅から135mm幅に変更しますとハブセンターが2.5mm左に寄ります。この2.5mmがスポークテンション値に大きく影響します。

スポークテンション差を少なくしてホイールの駆動効率を上げるには2:1組にする方法があります。この場合ハブは特殊なハブが必要です。手に入る部品で効率よいホイールを得る方法としてエンド幅135mmに変更するのはいいヒントになります。

オフセット値を変更しますと左右のスポークテンション差は大きく改善できます。つまり駆動効率が良くなります。この手法は以前の記事でクロスバイクのホイールについて書いています。参考になるかと思います。

ハブ軸は容易に手に入ります。ネットで買えるというのが昔と違うところです。ハブ軸というキーワードで簡単に購入できます。しかし手に入れるのは楽ですがハブ軸交換は意外と厄介です。慣れの問題と思いますが作業が終わると出来たと達成感は得られます。やってみる価値はありますがメーカーは勧めていません。あくまで自己責任です。

お客様はFTPが300近くあります。当然高剛性のホイールを希望されます。柔なホイールでは持っておられる力が発揮できません。乗り手に合ったホイールを提案できるのも手組ホイールの良いところです。

前輪スポークはコンペティション2.0/1.8/2.0mm、後輪右は当初チャンピオンでしたが私のほうでホイールスミスのDH13という2.3/2.0mmのベント部分が太いシングルバテッドスポークを在庫していましたのでご提案しました。後輪左はコンペティションです。ドライブサイドを太くしています。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。硬いホイールに仕上げたいならスポークを太くすることで解決できます。

前輪728g 外周部は軽い 重いハブは丈夫です
後輪1028g 総量は重いのですがリム外周部が軽いです これが利点です
ハブ軸を5mm広げました 左右3クロス組
CX22チューブラーリム

リムはTNIのCX22チューブラーリムです。アルミのチューブラーリムは絶滅危惧種になりつつあります。

剛性が高く価格も安価で今までよく使われていますマビック、アンブロシオと比べますと約半額です。外周部が軽くて剛性が高く安価、いうことなしです。おまけに体重、乗り手の力量にあわせて剛性調整ができます。手組チューブラーホイールはもっと知られても良いかと思います。 今回のホイールは剛性が高く外周部が軽いホイールです。おまけに135㎜にしてハブのオフセット値少なくしています。後輪左スポークはとてもハイテンションイン仕上げています。

好みのリムを使い、スポークやハブで工夫する手組ホイールの醍醐味が詰まっています。インプレが楽しみです。

32hカーボンホイールの作製

DURAハブを使ったホイールからハブを取り出しカーボンホイールを作るというご依頼を受けました。

丈夫で美しい 台湾ハブより重いがメンテが楽でよく回る
丈夫で美しい形状です

DURAハブは前後とも7700の旧タイプのハブです。旧といいましても性能は逆に現行より優れている面があるのです。まず仕上げが美しいです。ハブの構造は10速用です。現行の11速よりギア1枚少ないのですがオフセット値から見ますと旧タイプはギア1枚分少ない分スポークの左右テンション差は少なくできます。つまり駆動効率は高いというわけです。トレードオフの関係です。11枚のギアがいらない人には10速のほうが効率の良いホイールを使えます。

カーボンリムはアルミリムより剛性が高いです。リムは体重の影響で地面部分が凹みながら回転しています。剛性が高いということは凹みが少なく真円状態に近い形で回転するので駆動ロスが少ないわけです。アルミリムで走っていた人がカーボンホイールに替えて走りが良くなったといわれる由縁です。軽くてアルミより剛性が高いのでカーボンがいいといわれています。

お客様はいつも六甲山に上っておられるクライマーなので空力も大事ですがそれ以上に高剛性をご希望でした。ブレーキシューがリムに触れることなくぐいぐい進んでいくホイールを好まれています。

当初はスポークをLaserでご提案していましたがより剛性を上げるということで前後ともに1.8mm径のコンペティションをご希望されました。32hありますので1.5mmのスポークでも剛性は得られるのですがそれ以上の硬さを選ばれています。

リムメーカーは2mmのスポークは硬すぎてリムを壊す恐れがあるということで1.8mmまでのスポークを推奨しています。今回のホイールはメーカー指定の最大1.8mm径スポークで組み上げています。

リムは穴なしリムで作っています。穴なしのリムはホイールを作るには難易度が高いリムです。しかし剛性面、運用面から見ますとテープがいらないリムは容易にチューブレスホイールとして楽しめます。

リムにはニップル穴がありません チューブレス対応です

出来上がりましたホイールは32本のスポークでガチっと組めています。スポークを握っても緩いという感じがしません。加えてスポークテンションはバラつきなく揃っています。振れの出にくいホイールに仕上がりました。クランクから伝わる力もロス少なく伝わります。

リムが軽くて剛性が高い 多スポークでシルバーが美しい
できるだけスポークテンションを揃える
できるだけスポークテンションを揃える

銀色のハブ、スポークの多スポークカーボンホイールはあまり見かけることがありません。お客様のクロモリフレームによく似あいます。お客様のインプレが楽しみです。

クワハラハブでディスクホイールの作製

何度もオーダーいただいていますお客様よりクワハラハブをお持ちこみでホイールオーダーいただきました。グラベル用としてのご依頼です。リム、スポークは私が提案しました。

クワハラハブ使用 XR22RT 32hディスクリム

実はクワハラハブは初めてです。皆さんいろんな情報を持っておられますので勉強になります。お互いリーズナブルにいいものを作るという気持ちです。

クワハラハブ 前輪用 32h

スポーク長を出してみるとスポークテンション比率が分かります。

左右のテンション差は少ない
クワハラハブ 後輪用 32hディスク

このハブは台湾製か中国製のようです。ハブの寸法を測りスポーク長を出しました。上図のようにスポーク長が出ますと左右のスポークテンション比率が出ます。優秀なテンション比率でハブの形状が良いようです。使っていませんので使用結果はまだわかりませんがテンション比率に関してはとても良好です。

リムはオフセットリムを使います。3mmセンターがずれているオフセットリムはスポークテンションの左右差を少なくできます。ハブとリム両方でスポークテンション差を少なくできています。

スポークは前輪をLaser、後輪にはWING21を使いました。

Laserは1.5mmの細さです。中央部がこの太さですのでショックアブソーバーの働きをしてくれます。後輪は少しLaserより少し太いWING21で剛性を上げています。

ホイールを作り上げていくうえではスポークテンションの均一化を優先しています。

前輪 スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

振れを取るためにテンションのバラつきを許すくらいなら少しの振れは辛抱するべきと考えています。理由はスポークテンションを揃えると狂いが出にくいからです。辛抱といいましても0.1mm~0.15mmの誤差で納めています。

もちろん通常の完組では十分OKのサインが出るくらいの仕上がりです。

前輪790g
後輪948g

ホイール全体のスポーク数は前後ともに32hです。リムはアルミながら剛性があります。チューブレスレディーのリムですのでテープ運用でチューブレスホイールとして使用で来ます。

初めてのハブなので結果を教えていただくのを楽しみにしています。

35mm高チューブラーカーボンホイールの作製

昨年アルミチューブラーホイールをご注文いただきました方より連絡があり軽量カーボンホイールを試したいとリピートオーダーいただきました。ありがたいことです。

軽量ながら剛性のある35mm高のチューブラーリムを提案しましたところ了解を得ました。リムが決まり、ハブはノバテックハブ使います。軽量且つメンテナンス面で部品入手が安定しています。トラブルに対応しやすいハブなのでよく使います。スポークはピラーのWING21を使います。前後ハブともに同じスポークです。

よく後輪ホイールにおいて左右のスポークを変える手法を使います。例えば左CX-RAY右CX-sprintという組み合わせです。この組み合わせでスポークのグラム数を計算してみます。

Sapimのホームページからスポークのグラム数が出ていますので計算しますとこの左右を違えたスポークの総グラム数は(左4.25g+右5.22g)*12=113g

WING21のグラム数は4.7g*24=112.8gでほぼ同じになります。

他の要素も入りますがこの数値から考えましてホイールの剛性に関しては大きく違わないと思っています。つまりスポークを変えるなど難しいことをしなくても剛性は得られます。左右同じというシンプルな組み合わせなら材料の手配もしやすくメンテナンスが楽です。仮にWING21で剛性が足りない場合は右ドライブ側のスポークを少し太くするのも良いかと考えます。まずは後輪左右共にWING21で組みます。

穴なしカーボンチューブラー 

リムはチューブラーリムなので穴ありリムでいいのですがあえて穴なしリムで作りました。理由は剛性です。数値的にデータは持っていませんのではっきり示すことが出来ませんが強度が違うことは確かです。作るには時間が掛かりますが少しでも剛性を高めることを提案しています。

ホイールで剛性を上げるにはスポークを太くすればいいのですがチャンピオンのような2mmの強度があるスポークはリムが割れるので使えないとリムメーカーが注意しています。

ホイールの仕様は次の通りです。

リム 35mm高25mm幅チューブラーカーボンリム 前輪20 後輪24穴

ハブ ノバテックハブ

スポーク ピラーWING21

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

前輪557g

スポークテンションが均一です
後輪751g
スポークテンションが均一です

前輪557g 後輪751g  前後1408g

非常に軽量に仕上がりました。外周部が軽いのでヒルクライムには最適です。

一つ注意点があります。

リムブレーキのカーボンホイールではブレーキパッドはアルミホイールと共用はできません。アルミリムの破片がブレーキパッドに入り込んでカーボンリムを傷つけることがあります。同じフレームでアルミホイールも使うときはこのため舟を別に用意しないといけません。

22mm高24mm幅アルミリム使用ディスクホイールの作製

今回で5セット目のホイールです。シクロ選手よりホイールをご注文いただきました。

リピートオーダーはありがたいです。前回のが良かったので今回もということと理解しています。

体重、乗り方などご希望を相談しながらホイールの仕様を決めていくのですが5セット目となりますとお客様よりご指定されることが多くなります。

今回のホイールではリム、ハブはお客様より持ち込みです。スポークも前回のホイールが良かったのか同じスポークを注文されました。ピラーのTB2018スポークです。

ピラースポークTB2018はトリプルバテッドの略です。Jベント部分が2.2mm、中央部が1.8mm、ねじ部分が2.0mmのスポークです。曲がりのところが太いのがいいです。jベントは折れると心配する人には特におすすめです。

私はスポークが折れたという経験はありません。アルミニップルが飛んだことは5回です。500本以上ホイールを作っていますがスポーク折れは一回もありません。運がいいのかもしれませんが、スポークを均一に張るようにしているのが理由と思います。しかし折れないとはいえませんので少しでもjベント部分が太いことは良いことです。

海外ブランドのスポークではサピム、DTが有名スポークです。ピラースポークは日本国内ではなかなか手に入れにくいスポークですがお勧めスポークです。

プライム ディスクハブ 前輪用
プライム ディスクハブ 後輪用

お持ち込みのハブですがwiggleのプライムハブです。私の手持ちノバテックハブとよく似ていますのでOEMではないかと思いますが定かではありません。

AL22Wは軽量ながら剛性がある
AL22Wは軽量ながら剛性がある

リムはTNIのAL22Wアルミリムです。 軽量且つ剛性があります。 リムセンターは3mmオフセットしていますので左右のスポークテンション差を少なくできます。値段もこなれていますのでお勧めリムです。またすぐに国内在庫がなくなるかもしれません。

スポークは中央部が1.8mmですので24本ながら剛性は確保できているようです。前回お納めしましたホイールと同じスポークで作るようにご依頼受けましたことから推測しています。

出来るだけスポークテンションはハイテンションで仕上げています。理由は次の通りです。

走っている間リムは体重で真円にならず歪ながら回っています。地面につくときの凹みを少なくするにはスポークを強く引っ張って回転の時の歪を少なくすることが大切です。強く引っ張ることでホイール自体の剛性は高くなりませんがハイテンションで張ることで歪を少なくすることはできます。出来るだけ真円で回るようにするためにハイテンションが必要です。剛性を上げるためにハイテンションにすると誤解している人がおられるようですが、剛性を上げるにはスポークを太くすることです。

スポークを引っ張ってテンション値を計測することは大切です
出来るだけスポークテンションを揃えています
出来るだけスポークテンションを揃えています

TB2018スポークをピンと120kgfで引っ張ってテンションメーターで確認するようにしています。スポークに当てて曲がり具合を計測してテンション値を知るのですが使うスポークによってその値は違ってきます。

このため事前に測っておいてこの値になるようにスポークの張りを調整しています。テンションメーターの校正表は目安です。パークツールのTM-1を使っている人は特に注意が必要です。TM-1の校正表はあくまで目安で相対値を知るには良いかと思います。

TM-1はスポークテンションが揃っているかを調べるには扱いやすい器具といえますがこのメーターが示す数値を信じる注意したほうが良いかと思います。

いまお話していることは売り物のホイールについての話です。個人で楽しむホイールは好きなように組めばいいと思います。パフォーマンスを上げるには参考になるかなと思います。

いろんな方がホイール組を解説されています。YouTubeは参考になりますがどの方も見せたくない技があるようです。やはりうまくなるには結局数をこなすしかないようです。組みやすいリムで沢山組むのがいいようです。その意味でも今回のリムはとても組みやすい高剛性のリムだと思います。

今までご注文いただきました方々はご自分でもホイール組ができる方が多いです。試合に出ている人も多いように思います。皆さんライド仲間がおられますので教えていただくことが多いです。いい情報はシェアしたいものです。

前輪766g
後輪897g

お客様はご自分で部品を集めて送ってこられます。組むのは私ですがホイールのPlan-do-check-act PDCAサイクルはうまく回っています。

今回のホイールの結果を教えていただくのが楽しみです。

46mm高のリムブレーキカーボンホイールを作製

3月に中ごろにご注文いただきましたカーボンホイールのリムがやっと届きました。

約40日かかっています。世界的に物の動きが変調していますので仕方ないといえばそうなのですがやはり待つ身としましてはとても長く感じます。

スポーク、ハブは準備していましたので作業を始めますと1日で仮組は終わります。穴なしリムの作業は集中力が必要です。リムの中にニップルを落としてしまいますと取り出すのに大変です。

ちょっと気を抜くとポロっとリムの中に落ちてしまいます。この穴なしリムは仮組までが一番気を使うところです。組んでしまえば通常のホイール組と変わりません。何度も馴染みだしを行い狂いの出にくいホイールに仕上げるだけです。

穴なしリムは使う方には沢山利点があるリムです。

リムテープがいらないことが最大のメリットかもしれません。経済的です。チューブレスタイヤで運用出来るところが良いところです。チューブレスではシーラントをお勧めしていますがシーラントなしでも4,5時間乗れるのでシーラントをいれない人も結構おられるようです。

ではどうするのですかとおたずねしましたらパンクしたときはチューブを使うとのこと。簡単なことです。シーラントを入れると手がべたべたになり、これが嫌なのでチューブを使うことでうまくいきますとのことでした。なるほどと変に納得したものです。

穴がない分リムの剛性は穴アリより高いようです。実際に違いがわかるくらい違うことはないと思いますが剛性が高いことは間違いありません。

ホイールの構成は次のとおりです。

リム 46mm高28mm幅 カーボンリム 穴なし

ハブ ノバテック A291SB,F482SB 20・24h

スポーク ピラーWING21 黒

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

前輪654g
後輪 843g

前輪654g 後輪843g  前後1497g

軽量に仕上がりました。

スポークテンション優先しています
均一に張ったスポークテンションが大切です

ホイールのスポークテンションばらつき度は5%以上(数値が少ないほどいい)を目標としています。高価なホイールが5%前後とされていますのでこれらのホイールを上回るようにしています。ばらつき度を押さえながら振れを最小になるように調整します。

テンションの均一化を無視すれば簡単に振れ取りができます。これはホイール作りができる方ならよくわかると思います。テンションを揃えて振れを少なくするのが一番駆動ロスを少なくする方法といえます。馴染みだしを何回も行います。一度走ってみてから再調整すれば簡単ですがお客様は遠方の方が多いのでそんなわけにはいきません。このため馴染みだしの回数は多いです。

これらの作業は技術といえば技術です。勿論簡単ではありませんがいいホイールを作るには手を抜くわけにはいきません。

長い時間かかりましたがやっとお納めできます。インプレが楽しみです。

超軽量35mm高チューブレス・カーボンホイールのご注文

3月にご注文いただきましたカーボンホイールですがリムがやっと届きました。

もうすぐ5月です。約一か月半お待ちいただきました。

35mm高28mm幅 超軽量リム

35mm高28mm幅のディスクリムは超軽量です。1本350g前後です。ハブ、スポークはいつもの定番カーボンディスクホイールと変わりませんがリムだけ少しお値段の張るリムを使っています。

お作りするカーボンホイールはすべて出所をはっきりさせています。リムは受注生産なのでお値段もその時の為替で変わります。変わらないのは工賃とハブ、スポークの値段です。その都度お見積りしていますのでお客様も私も為替で損得はありません。

オーダーいただきました時にリムを発注しています。このため部品の輸入に関して為替でプラスマイナスが出ないようにお互いに納得してのご注文になりますので安心です。

昨年購入された方よりはこれからの方は円安の影響が少しあります。昨年より価格は約15%円安ですので価格が上がるのは仕方ないです。

しかし原価より3倍、4倍の価格をつけている完組ホイールに比べますと微々たる値上がりと思います。これからのメーカーの価格改定は注意してみておかないといけないとこの頃感じています。お納めするカーボンホイールが3倍4倍のカーボンホイールと比べて性能が同じ比率で劣っているなら話は別です。性能は互角と思っています。ご安心願います。

下の写真は前輪です。

前輪631g
スポークテンションが均一なので駆動ロスが少ない 振れも出にくい
前輪左右2クロス組

次は後輪です。

後輪744g 軽量です
スポークテンションが均一なので駆動ロスが少ない 振れも出にくい
後輪左右2クロス組

今回のホイールは定番ホイールと比べまして前後で約200g軽く仕上がります。お客様は36mm高の定番ホイールと価格を比較して高い方のこちらにお決めになりました。

リム穴なしのホイールはテープ巻きがいりません

どちらもいいホイールですのでどれがいいとはいえませんがあえて申し上げますと乗る場面で決められると良いかと思います。ヒルクライムを優先する方は少しお高くなりますが今回のホイールがお勧めです。

定番ホイールも今回のホイールも皆さんコスパが良くていいホイールと喜んでいただいています。

36mm高ディスクカーボンホイールのご注文とインプレ

今まで何回もご注文いただきましたお客様のライド仲間の方よりご注文いただきました。お一人のお客様から始まって3人目の方です。いわゆる口コミで広がりました。無名のカーボンホイールですがブティックブランドと負けていないと評価いただいています。

このブログは私の作るホイールがもっと広まってほしいということが大きな目的であります。俗ですが沢山売れてほしいということです。しかし手組ホイールには完成品のホイールにはない魅力がありますのでこの良さを知っていただきたいということも大切にしています。今の市場で販売されていないホイールを作り(チューブラーホイール、ロングライドに適した多スポークホイールなど)紹介することです。

今回のお客様は40年の自転車経歴があるベテランライダー様よりご注文いただきインプレも頂戴しました。正直、お客様より自己紹介いただきました時は驚きました。うれしいですね、長いご経験のある方よりオーダーいただけるのはありがたいです。

前輪 691g
左(ブルー色)ブレーキ側 約130kgfで仕上げています
後輪 803g
右(黄色)ドライブ側 約130kgfで仕上げています

ホイールは36mm高28mm幅の定番リムを使ったディスクブレーキ用のホイールです。ハブも特別高価なハブを使っていません。スポークは最近よく使うピラーのwing21を使いました。リムの発注から計算しますと40日ほどかかりました。気長にお待ちいただきましたが期待以上のホイールだったようでうれしいご感想をお聞かせいただきました。

以下ご連絡いただきましたメールです。


遅くなりましたがお造り頂いたホイールのインプレを恐れながらお伝え致します。

大きく感じたポイントは3つありました。
①漕ぎ出しの軽さ
②巡行速度の明からなアップ
③疲労度の明からな軽減

①は当然と言えばそれまでですがロードだけでなくシクロクロスで是非使いたくなりました。
②極端ですが3、4キロは違います。
③4、5時間たった時間帯でも踏めます。これは軽いからまだ踏めるのではなく、それまでの疲労度が全く違うからだと帰宅後分の体調で分かりました。

今までどれだけ重くスポークテンションがバラバラのホイールを使っていたのか思い知りました。いつもの練習コース(東秩父村)なので違いがハッキリ判ります。

ずっと長く走っていたくなるホイールですね。圧倒的な費用対効果である事は間違いありません。

それから私の体重でダンシングしても撓みが少なく、ディスクローターのキャリパーへの接触はありませんでした。

お客様は昔のパスハンの時代から40年自転車に親しまれています。ベテランライダーの目は確かなものです。

今回おほめいただき本当にうれしいです。お納めしましたホイールが予想以上であったと連絡いただきましたことは大いに励みになります。