サピムCX-RAYは使いやすい

最強のスポークといわれていますサピムのCX-RAYですが値段も最強のようです。

500本入りの袋です

黒のCX-RAYは小売価格ではなんと1本500円以上します。シルバーで1本350円です。驚く価格です。10年以上前の話ですがこのスポークを知った時はびっくりしました。なんと高いスポークでしょう。前輪20本後輪24本でホイールを作りますとスポークだけで15400円以上となります。さぞかし性能のよいホイールができるだろうかと思ったものです。リムよりスポークのほうが高いのです。サピムのホームページでも最初のページに紹介されています。強度も1600 N/mm2です。

このスポークで作ったホイールをアメリカのホイールメーカーが風洞実験しまして空力を調べますとサピムのLaserと比べて1%のワット数の違いがあるということです。1Wの差で価格が3倍のスポークを使うのかということです。

今までお客様にこの話をしますとLaserでいいですということで収まることが多く結果的には安価なLaserで作らせていただくことが多いです。

ここで作るほうからの話をいたします。CX-RAYはとても高いスポークですがホイールを作るにおいてはとても扱いやすいスポークです。高いがいいぞ!ということです。

このスポークでホイールを作りますと失敗が少ないです。扁平スポークなのでスポークホルダーを使うと簡単にねじれ防止ができます。

DTのスポークホルダー
ピラーのニップルレンチで使っています
タキザワさんのHPより VARの工具です
お値段が手ごろな価格と思います

扱いにくいスポークは丸スポークです。特に1.5mm径のスポーク、サピムLaserは扱いが難しいスポークです。理由はねじれ易いのです。ねじれを防ぎながらスポークのテンションを上げる必要が生じます。プライヤーなどでねじれを防ぐことが必要です。これは技術的には高度なテクニックが必要でサピムのホームページでも難しいですよと述べています。いいスポークであることには全く異論はありません。私の好きなスポークです。

これに反してCX-RAYもねじれ防止をしながらテンションを上げるのですがスポークホルダーを使いながらテンションを上げていきます。

プライヤーでねじれ防止をしながらテンションを上げるのとスポークホルダーを使うのとは全く作り上げ方が違います。CX-RAYのほうがはるかに楽です。ホイール作りはこんなに簡単なのかと思わせてくれるスポークです。

価格的にはお高いスポークですがホイール作製においては一番お勧めできるのはCX-RAYではないかと思います。予算が許せるならCX-RAYで作られることをお勧めします。適度なねばりがありますのでスポークを曲げながらリムに通すことなどとても楽に仕上げることができます。長ささえ間違えなければ空力がよく乗り味がマイルドでおまけに軽量のホイールが出来上がります。

値段も性能も作りやすさもまさに最強スポーク!と思います。

Laserスポークはいいぞ!

サピムのLaserスポークをよく使います。

 

良い点を上げますと

軽量、丈夫、安価

難点は

取り扱いが難しい

 

以下サピムのHPからの引用です。

LaserスポークはこのHPの案内でも熟練のビルダーでないと難しいと書いています。つまりねじれを防ぎながらホイールを作れば優秀なホイールを作り上げることができます。

価格はCX-RAYの1/3の価格です。空力はCX-RAYの99%と1%劣っています。

価格よりほんの少しでも良い性能の積み上げをというマージナルゲインの積み重ねを求めていく方にはCX-RAYスポークをお勧めします。しかしながら財布に優しいLaserスポークは魅力ある実力派のスポークです。

このスポークの良さをご存じない方が多いのかLaserスポークはあまり人気がありません。日本では取扱店も少ないのが現状です。また取り扱いがあっても50本の箱単位で購入とかハードルが高くなっています。

またスポークをカットして多様なリムに使うにもこのスポークはカットしてリムにあわす範囲が狭いのも少し難点です。

 

まだまだ最高のスポークとCX-RAYは優位にあります。性能では優位ですが性能の違いの差を知ってしまうとこの価格差は何だろうと考えてしまします。CX-RAYはねじれがわかりやすいので作り手には楽なスポークです。

 

CX-RAYは優秀なスポークですので空力を意識する前輪にはCX-RAYを選択して後輪は他のスポークを使う方法もあります。

以下サピムのHPよりCX-RAYの解説を紹介します。

こうしてみるといいとこだらけのCX-RAYですがLaserスポークもいいぞ!と思います。

サピムスポークD-lightについて

サピムのスポークで気になっていましたのがD-lightです。サピムのホームページで確認できます。https://www.sapim.be/spokes/butted/d-light

Laserは2.0/1.5/2.0mmの太さで軽くて強度がありとても優秀なスポークです。あのCX-RAYの扁平にする前のスポークと言われています。とても優秀ですが唯一難点はねじれ易いことです。扱いが難しいので注意が必要です。

サピムのRaceは2.0/1.8/2.0mmでサピムの標準スポークと呼ばれているスポークです。

DTで言えばコンペティションと同じ太さです。とても扱いやすく優れたスポークで価格もこなれています。

D-lightはこの2種類のスポークのいいところを取っているスポークと言われていますので前々から注目していました。

今回試しに買ってみました。いい評価なら試すのがいちばんです。

印のところから1.65mm

私の今回の予定はリアホイールで右が284mm、左が288mmです。この長さで右をコンペティション、左をD-light とスポークの太さを変えて軽量化と剛性を考えています。

届いたD-light(2.0/1.65/2.0mm)はねじれにくく扱いが楽そうです。しかしながらよくよく観察しますとねじ部分の2.0mmからすぐに1.65mm部分になります。通常のスポークならねじ部分の2.0mm部分は余裕がありますのでスポークの長さ調整が効きます。スポークをカットして使うことができるのでERDの違いに対応できます。

この点がこのスポークの残念なところです。つまりカットができないのです。他のスポークのように余裕分が無いのです。今回は288mmで注文しましたが長さが間違っていたら不良在庫になってしまいます。どうしようもありません。リムのERDが違っていましたらもうそれで終わりです。ワッシャーで少しはカバーできますが先ず使用できないと見たほうが良いと思います。

どうした理由でメーカー側はこのような作りにしているのかわかりませんが惜しいところです。

 

愚痴のような記事になりましたがスポークカッターを使う予定を立てたために失敗をしましたが一般的には入用買いをされますので話は違います。

スポークはとても扱いやすく良いスポークと思います。後輪右コンペティション左D-lightの組み合わせ、または左Laser右D-lightの組み合わせは軽量化と剛性の2つを得ることができると思います。

使ってみたいスポーク

普段使っているスポークはサピムではRace、Laserで、DTではCompetitionです。たまに星のスターブライトを使います。もちろんサピムCX-RAYも使っています。

ホイールを作るときはスポークの太さを考えて作りますがこれは乗る人の乗り方、体重を考えています。もちろん価格も大事なことです。

厳しく分けているわけではありませんが剛性が足りなければ太くするということです。

星のスポークではスターブライトのストレートスポーク2.0mmは自分用のホイールによく使っています。価格も手ごろです。サピムやDTの半分近い値段です。

星のスポークの中で見落としていましたスポークは競輪選手が使うスポークです。#15#16のスターブライト、バテッドスポークです。サピムのLaserによく似ています。

取り寄せてみました。

星スポーク#15#16バテッド36本186g
サピムLaser20.0/1.5/2.0mm 20本96g

全長305mmあります。18/1.6/1.8mmの寸法です。これ一種類です。36本で186gあります。1本5.16gです。サピムLaserは2.0/1.5/2.0mmで1本291mm4.8gです。

 

サピムの発表するような強度データは星では発表されていません。強度はわかりませんが競輪選手が使うスポークですので心配する必要はないと思います。

ネジ部分は太いところが35mmあります

私はスポークカッターを持っていますのでスポークを自在にカットして使うことができます。この星のスポークネジ部分の太いところが35mmほどあります。この部分はカットできると考えまして280mmくらいの長さまではカットして使えることが分かりました。

このスポークを使わない手はないと考えています。

 

当然使うニップルは1.8mm用のニップルになります。

アルミニップルでは普段使っている2.0mm用のニップルよりも少しだけ中央部分の厚みがあることになるので丈夫さが増します。この点はプラスになります。

このスポークで心配なところは頭のところです。直径1.8mmの頭部ではハブのフランジ部分の穴の直径が気になります。この部分が太さ2.0mm以上あればいいのですがうまくいきません。この対応には各スポークのテンションを均一にすれば偏った負荷が集まらないのでトラブルを避けれると考えています。

DURAのハブは穴が小さいので1.8mmのスポークでピッタリ合うのですが台湾系のハブでは穴が大きいのでちょっと心配です。この点は要注意です。

このスポークは価格が安い。Laserの半分です。多スポークホイールを作るときにこのスポークは生きてくると思います。安価なスポークですが競輪選手が使っているので強度は安心のスポークです。使わない手はないと考えています。

スポークの選択

ホイールに関してのブログを読んだり、メーカーの説明文を読んで感じることですがサピムCX-RAY が最高のように書かれています。

サピムのホームページ(https://www.sapim.be/)からの引用ですが

CX-RAYのテクニカル・スペックは

Weight: (64 pcs x 260 mm ) 272 g
Quality: AISI 302
Strength on middle section: 1600 N/mm2

なるほど強度も最高値です。空力もいいです。

 

アメリカのノベンバーサイクルズ(https://novemberbicycles.com/)というホイールビルダーのブログが面白く参考になることが多いのでよく目を通すのですがこのビルダーさんが風洞実験をしました。サピムCX-RAY とLaserの違いをホイールで実験した結果が掲載されていました。

Laserのテクニカル・スペックは以下の通りです。

Diameter: 2.0 – 1.5 – 2.0
Length: 145-310 mm
Weight: 283 g (64pcs x 260 mm)
Strength on middle section: 1500 N/mm2

 

ノベンバーサイクルズの風洞実験の結果は1Wの違いでした。風洞実験ではCX-RAY が1W分優れていたと発表しています。あくまで風洞実験の違いです。

Laserは数グラムCX-RAY より重くて強度的にも少し劣っています。しかし価格は1/3の値段です。この違いは大きいです。

私は長い間CX-RAY が一番と思っていました。実際スペックを見ますと一番です。価格も一番高いといえます。

ではノベンバーサイクルズはそんなに違わないからLaserでいいのではないですかといって販売はしていません。CX-RAY を勧めています。販売ホイールのカタログにはCX-RAY を中心に販売しています。

しかしLaserも悪くないですよ、という姿勢も出しているので信頼できるビルダーだなと感心しています。

 

私もこれを見習って奥様のホイールを注文いただいたときに1Wの違いを説明したことがあります。ご主人はそれでしたらLaserにしておきますと変更されました。

CX-RAY は販売しているほうとしましたら一つのウリになります。実際優れているので嘘ではありません。

ただ何がなんでもCX-RAY ではなく乗り手の実力、乗る場面などに応じてスポークを選択すればいいと思っています。