ハイグレードかミドルか?②

アメリカのノヴェンバーバイシクルズ(https://novemberbicycles.com)というメーカーがサピムCXRAYとサピムLaserのスポークを使って風洞テストを行っています。

同じハブ、リムを使ってのテストです。

結果はCXRAYがLaserより1ワット勝った結果です。私はこの結果にびっくりしました。

いろんなホイールメーカーが使用スポークはサピムcxrayとアピールしています。

実際このスポークを国内で購入しますとcxrayシルバーは364円、Laserシルバーは111円です。約3倍値段が違います。スポークの強度を調べますと

Laserは引っ張り強度というか強度は1500N/mm2です。

http://www.sapim.be/spokes/butted/laserを参照願います。

cxrayは1600N/mm2ですので少し違います。

http://www.sapim.be/spokes/aero/cx-rayを参照願います。

スポークの形状についてLaserは丸です。このためスポークの捻じれが分かりにくくホイールのテンションアップに少し技術が要ります。cxrayのように扁平でしたらねじれがすぐわかるので作る立場としたらやりやすいのです。

強度に関しては1500と1600で見分ける人はいないと思います。長い時間かかってわかる問題と思います。

CXRAYは確かに優れたスポークで最強のスポークと言われるだけあると思います。

しかし1ワットの記事を読んで少し考えが変わりました。

ホイールを選ぶときにそれぞれ価格との相談で少々高くても少しでもいいものを欲しい人、いや価格や使う人の実力などのバランスですよという人がいます。

実際、風洞テストではその差は少しですがあるのです。この差は時速40km以上で走る人にとっては大きな問題と思います。

私は巡行速度を35km以上で走れませんのであまりスポークにはこだわっていません。

道具は長く使うものだから安いものを買えばすぐ飽きると先輩から言われたのですが、自分の実力が分かっていますのでここまで高くなくてもいいかなと思う時があります。

2.0/1.8/2.0mmのサピムRace、DTコンペティション

2.0/1.5/2.0mmのサピムLaser、DTレボリューション

扁平スポークのサピムCX-RAY

悩むところですがWheelBuildingの著者RogerMussonさんのメインスポークはコンペティションのようです。

ハイグレードかミドルか?

バイシクルクラブの記事でとても印象に残っている記事があります。

時速30kmに壁があるという話です。ブリジストンサイクルの中西さんのご意見です。

40代のサイクリストで体重は60kg前後の人が走るとして

 

25kmで走れる人は79%の人が走れます。

30kmになると走れる人は一気に下がって9%の人しか達成できません。

35kmになるとわずか1%未満の人しか走れないのです。

 

実際私がいつも走っている淀川から木津川沿いのサイクルロードにおいて明らかに35km以上で走っている人はめったにお目にかかりません。30km巡行の人は割りとおられます。

 

いろいろ観察していますとこの30km~33kmくらいの人は結構いい機材、カーボンホイールで走られていますが35km以上のスピードでは走れていません。この人達は機材にこだわる人たちのように思います。ホイールを変えてスピード上げようと思うのですね。でもそんなに早くならない。やはりこのホイールはあかん、てな具合です。

私は写真も好きでカメラ、レンズも沢山持っています。ついついこれで撮ったらうまく取れるのではないかと思って中古ですが買ってしまいます。写真は相変わらず上手くなれません。

写真仲間で写真の上手な人はずっと同じ機材でレンズも3本くらいです。カメラもずっと同じものを使い続けておられるので結構傷んでいますが写真はとてもうまいのです。

最近自転車も写真と同じやなと思っています。上手い人の機材は結構ぼろい。しかししっかり手入れよく使い込んでいます。

回転練習メニュー

メカニックさんから教えてもらったペダリング練習のメニューを紹介します。

1時間のメニューです。結構きつい練習ですが3カ月やれば力つきます。

 

フロントギアをインナーにします。

リアを軽く回せるギアにして先ずは15分間回して体を慣らします。

徐々に回転を上げていきます。

120回転を30分続けます。慣れていないと120回転を続けること、初めは難しいです。お尻がはねてうまく回せません。そんな時は110回でもOKです。お尻がはねずにきれいに回るように回します。最初は30分続かないのにだんだん出来るようになってきます。

私の場合はじめにお尻がポンポン跳ねましてなかなかうまく回すことができませんでした。お尻が跳ねるのをかまわず続けていました。ある日尿が赤いのでびっくりして泌尿科に見てもらい事情を話したら先生から大笑いされました。尿道を痛めたようです。ここまでやる必要はありませんが注意が必要です。

 

徐々にうまく回せるようになってきます。段々と110~120回を30分回せるようになります。

 

30分回し終わると少し落として15分、1時間のメニューです。

 

ゆっくりのスピードで120回すトレーニングは、はたから見ると奇妙に見えます。構わずにひたすら回し続けるのは結構しんどいですが効果はすぐに表れます。30分を1時間にするともっといいですね。

 

メカニックさんからは1週間に3~4回を3カ月続けると走りは変わりますと教えてもらいました。私は3カ月続けきることができませんでしたが確かに回転はよくなりました。

スピードも上がったように思います。ペダリングのロスが少なくなったのでしょう。

お勧めの練習メニューです。

FTPとかLTとかトレーニング用語がありますがなかなか理解できなく練習している人にお勧めです。ひたすらケイデンス120で回せるようにするだけです。

上手な人にはお笑いの話なのですが意外とこの話は知らない人が多いと思います。ホイールを作らせていただいた人にこの話をしますと喜んで頂きました。

クイックは重くても頑丈な方がいい

ショップの人に勧められたクイックを使っていました。平地では安定して使っていましたが少し坂になりグッと踏み込んだときにホイールがブレーキに当たり回らなくなります。ホイールがずれるのです。ホイールが正しく取り付けることができなくなり動かなくなります。

踏み込むとホイールがずれる

バイクから降りてクイックを締めなおすとまた正常にホイールは回り走れるのですが坂になるとまた同じように動かなくなりました。クイックの調子が悪いのです。

グッと締めなおしては乗るということを何度も繰り返しました。

原因はクイックかなと思い自宅に帰りシマノのがっちりしたクイックに取り替えました。

下の頑丈なシマノに取り替えました

 

やはりクイックが原因でした。シマノのがっちり頑丈クイックに取り替えて安定しました。坂を登ってもホイールが安定しています。リムがブレーキパッドに当たることなくきれいに回ります。

あまり重要と考えない部品ですがしっかりしたものが必要です。軽さを追求したクイックよりシマノのがっちりがいいです。

なんやこんな事知らんのかと笑われそうですが意外とこんなものなんです。

ファストフォワードはホイールのローレックス

ファストフォワードはホイールのローレックスです。

ヤフオクを見ていてファストフォワードのホイールが沢山出品されています。

とてもうまく説明されているのですが偽物が沢山出品されています。ビックリします。

 

現行品F4Rは20万円以上しますが3万円前後で販売されています。何故こんなに偽物が多いのか。何今頃こんな話をしてんねんわかっていることや、と叱られそうですね。

 

10年ほど前の話です、英国のプラネットXというwiggleみたいな販売店から20mmカーボンリムを買って超軽量ホイールを作ったことがあります。赤いロゴでplanet-xと書いてありファストフォワードのロゴとよく似ていました。ホイールをつけて走っていますと赤いロゴで目立ちますのでFFのホイールで走っているなとみられたものでした。

このリムはFFが仕入れていましたGigantexから仕入れたリムと言われていました。

当時は超円高の時代でしたのでこのカーボンリムは1万円ほどで手に入りましたので前後セット4万円ほどで作ることができました。

私もFFもどきのホイールを楽しんでいました。性能も結構しっかりして自慢のホイールでした。目立つのはちょっと気持ちのいいものです。

正規のFFは全く手組ホイールです。中華のカーボンリムにサピムスポーク、ハブはDT240です。ウリはビルダーの名前を書いて、シリアルナンバーで管理しているのです。

作りは特別に作られたハブを使うわけでもないし、ただいい職人さんが作った手組カーボンホイールです。しかしマーケティングはとても優秀です。性能以上のマーケティングと思います。私も10年前は欲しかったホイールです。目立ちますからね。

FFホイールは誰でも作れるホイールですね。だから中華の人に狙われて偽物が作られるのだと思います。

 

いまヤフオクを見ていましてFFのホイール(にぜもの)3万円スタートで出品されています。説明文を読んでもうまく書かれていまして中華ホイールですと書かれています。偽物とは書きませんが上手に中華ホイールですと書いています。ヤフオクルールに違反していませんよということです。

しかしホイールにはもろFFの赤いロゴシールが張られています。これはあかんやろと思うのですが偽物とわかっていて買う人があり売る人がいる状況です。入札も沢山入っています。ローレックスやルイヴィトンの偽物と同じですね。

 

買う人はとりあえずカーボンホイールに乗ってみたいと買ってみて性能はいま一つとわかりまたヤフオクで販売する言う状況ですね。だからヤフオクには中華FFがいっぱいですね。

買う人はとりあえず20万円以上のホイールで走っていると見え張れますから買うのでしょうね。走っているうちに物足りなくFFのホイールですとまた売りに出す。こんな状況でどんどんFFのホイールが売りに出るのですね。

勝手な想像ですが時速30kmで走る人にとってはこの中華FFで十分なんでしょうね。これが時速35km以上の人になるとこんなホイールは買わないのでしょうね。もっと目が肥えてホイールを見る目が肥えてこんな中華ホイールには興味がないのでしょうね。

残念なことですが偽でもイイからローレックスが欲しいと買いたい人があり売りたい人がいるからこの商売が成立します。

前輪ホイールを作成

スポークテンションの均一化が重要である一例をお知らせします。

 

仮組が終わり振れ取台に乗せて振れ取台のダイヤルゲージだけを頼りに組み上げました。

テンションメーターのチェックを省いて作り上げました。縦振れ横振れも少なくきれいに回るホイールです。ストレスリリーブも行いきれいに回っています。

 

テンションメーターでチェックしました。グラフがこれです。

グラフを見ると強く引っ張っている点が3カ所ありこれによりバランスが取れています。このためホイールの回転は綺麗に振れなく回っています。普通ならきれいに回るのでこれで完成となります。

 

この状態で長期間使っていますとスポークテンションの緩い部分から振れが起こります。スポークにかかる力が偏ることになり大きく力がかかっている部分に金属疲労を起こしやすくなります。これがスポーク折れ、ニップル飛びを起こすことになります。

 

このときの対処方法はスポークテンションの均一化です。均一にスポークを引っ張っていれば力は均等に分散されます。テンションの偏りを防ぐことがとても重要です。

スポークテンションを測り前後のスポークを緩めたり強めたりしてできるだけ均等にします。100%同一にする必要はありません。振れと均一化の一番ころ合いのいいところを求めることが必要です。

できるだけ均一になるようにして振れを出来るだけ抑えるように再調整したグラフがこれです。

この状態で完成です。回転ロスが少なくトラブルも最小限に防ぐことができるホイールです。

 

グラフツールを紹介します。

パークツールのテンショングラフツール、スポークサービスのツール、どちらも使いやすいのでお勧めです。

https://spokeservice.ca/utilities/spoke-tension

https://www.parktool.com/blog/repair-help/wheel-tension-balance-app-instructions

2クロス3クロスホイールのスポークテンションを考える②

下記のオフセットリムを使ってホイールを作ることも考えました。

 

キンリンXR31RT ERD 580mm 3mmオフセット

 

シマノ FH6700 24h 左右PCD 44/45mm 左CTF38.2mm右18.7mm

 

右2クロス左2クロスでスポーク長を計算します。

結果はこうです。

左 280.1mm 右 278.2mm

 

後輪スポークテンションは下記の式で左右均衡します。

リムのスポークホールが3mmずれるということはハブのセンターが3mmずれると考えます。

左テンション=右テンション*(18.7+3)/(38.2-3)*(280.1/278.2)

=右テンション*(21.7/35.2)*(280.1/278.2)

右テンションを100としますと

100*0.616*1.007=62.0

左は62.0で均衡します。

 

通常のノーマルリムで2/3クロスの場合

 

左を3クロスでスポーク長を出しますと

左 291.6mm 右 278mm

 

後輪スポークテンションは下記の式で左右均衡します。

左テンション=右テンション*(18.7/38.2)*(291.6/278)

右テンションを100としますと

100*0.489*1.049=51.3

左は51.3で均衡します。

 

10.7%違います。あくまで理論上の話です。

 

3mmオフセットのリムを使うと2クロス/3クロスなどのスポークの組み方を工夫しなくても約10%左のテンションを高めることができます。

 

シマノホイール一番下位のホイールでもオフセットリムを使っています。低コストで高いパフォーマンスを得るにはオフセットリムを使うことがベストの方法と考えられます。

他に2:1組などがありますがこの場合ハブは専用ハブが必要です。

いろいろ手組されている方のブログにはヨンロクと書かれています。なるほど左右2クロスで組むより2%左テンションが上がるのですが劇的にホイールのパフォーマンスが向上すると期待してはいけないと思います。

オフセットリムを使えばいい話です。

 

 

2クロス3クロスホイールのスポークテンションを考える

下記のリム、ハブを使って後輪ホイールを作ろうと思います。

 

キンリンXR31T ERD 580mm

 

シマノ FH6700 24h 左右PCD 44/45mm 左CTF38.2mm右18.7mm

 

右2クロス左2クロスでスポーク長を計算します。

結果は

左 280.6mm 右 278mm

 

後輪スポークテンションは下記の式で左右均衡します。

左テンション=右テンション*(18.7/38.2)*(280.6/278)

右テンションを100としますと

100*0.489*1.009

左は49.3で均衡します。

 

左を3クロスでスポーク長を出しますと

左 291.6mm 右 278mm

 

後輪スポークテンションは下記の式で左右均衡します。

左テンション=右テンション*(18.7/38.2)*(291.6/278)

右テンションを100としますと

100*0.489*1.049

左は51.3で均衡します。

 

2%違います。あくまで理論上の話です。この差は大きいのか小さいのか?

大きいといえば大きいし、なんやそれだけという人もあると思います。

私は作りやすい2クロス2クロスでやろうと思っています。

アルミニップルの弱点

今販売されているアルミニップルは7075アルミニウムを使っていますのでとても堅牢です。しかし強度的にはブラスの方が安定感はあります。重量の事を考えますと32hのホイールではブラスは32g、アルミでは10gで22g軽くできます。外周部で22gの減量は大きいとおもいます。

完組ホイールはブラスを使われていることが多いのはトラブルを避けるためと考えます。

いま販売されているアルミニップルは強いがブラスには劣る、ではどうすれば生かせるのかを考えます。

結論から言いますとニップルの頭部が残っていてスポークが短い場合注意が必要です。

アルミニップルの弱点をよく理解してホイール作りをおこなうが大切です。

赤の→ここで壊れる

「アルミニップルの逆戻りはだめ、一発勝負で作ること」と書いているフォーラムを見ましたが私はおかしなこといってるなと思いました。少しくらい逆戻りをしても今のニップルは強くてそんなことは気にする必要ないと思います。テンションの調整時には逆回りもありと思います。

アルミニップルの弱点はスポークが短い時に起こるのです。上、右図のようにスポークがニップル頭部のネジの最後の部分までスポークが回っている状態ではニップルは壊れません。ニップル頭部分までスポークのネジ部分が入っていますとニップルが折れることはありません。

スポーク長の計算するのに注意が必要です。

 

私の場合、

以前に書きましたがERDを測るときの準備する200mmのスポークにニップルを取り付けますがこのニップルのネジを一番深いところまで回してスポークを準備しています。

200mmのスポークにニップルを取り付ける
スポークの頭が見えます
ニップルネジ部分の最後までスポークを通す

 

ERDを計算するときから長めのスポークになるようにしておけばアルミニップルを使っても問題ないスポーク長になります。スポーク長が小数点の場合切り上げします。例えば280.1は281でスポーク長を出します。

計算を間違ってアルミニップルの頭の部分までスポークが来なかった場合ブラスニップルにするかスポークをやり直しする方がいいと思います。今のアルミニップルは堅固な材料を使っていますので壊れにくいです。しかしスポーク自体がニップルの最後のネジ部分まで来ていない場合は経年変化で折れることが予測されます。十分注意が必要です。

私はまだ一度もニップルの頭が飛んだトラブルにあったことはありません。

  • スポークテンションを揃えておけばニップルは緩み難い。
  • ニップルのネジの最後まで回せる長さにする。つまり長めのスポーク長です。

この2つを守ればいいのです。軽量化につながるアルミニップルを使わない手はないと思います。

カラースポークのホイール

カラースポークのストックが沢山あり、いい機会に使おうと思っていました。

シマノハブセット アルテグラのディスコンHB6700,HF6700バルク品が手に入りました。バルクですので少し傷があったりしますが新品です。

スポーク長の計算、スポークカットといつものように行い組み立てました。

スポークテンションはいつものように前輪は100~110kgfで後輪は120kgf前後で仕上げるのですがここで注意が必要です。

カラースポークはテンションメーターの換算表では正確に測れません。スポークの表面にペイント処理がされていますとテンションメーターは正確に読み取れません。15~20%違うといわれています。

ではどうしたらいいのか?

テンションメーターのキャリブレーションが必要です。私はキャリブレーション用の道具を持っていますのでカラースポークを使っての100kgf、120kgfを計測してホイールを作ることにしました。

校正中 100kgf、120kgfを測る

今回のような場合は特殊と思います。カラースポークはあまり販売されていませんしカラースポークのホイールもほとんどない状態です。時々赤色のフルクラムを見受けるくらいです。知っておかれるといいくらいの話ですが、赤のフルクラムを持っておられる方はテンションの基準が分からないし緩んだスポークを戻すにもテンションメーターで正確に測れないということです。新品の時に測っておくことが必要です。

 

別に走れるからそんなにテンション、テンションという必要はないという方が多いと思いますが私は気になります。せっかくのいいホイールが正しくパフォーマンス出せないなら残念です。