レボリューションスポークの注意点

ホイール作りする上でハブやリムに目が行きがちですがスポークはとても重要な部品です。重要度から見ますとスポークの方が上と思うときがあります。中でも中央部が1.5㎜のスポークは多スポークホイール作製に大活躍します。

今回はレボリューションスポーク(2.0/1.5/2.0mm)購入の失敗談です。

黒DTのレヴォリューション シルバーサピムD-light どちらもカットできない

知人よりDTスポークが格安に手に入る情報を得ましたので一番よく使うサイズでレヴォリューションを注文しました。サイズ2種類買ったのですが、届いて調べたところレボリューションはカットが出来ないスポークということがわかりました。つまり全く短くする余裕がないスポークでした。サピムのLaserのようにカット出来る部分があると思っていたのですが全くありません。失敗でした。

ホイール作製の場合リムERDを出せばスポーク長が出ますので材料を用意する手順としてはリムからスポークという流れになります。アルミリムの場合ERDの違うときが間々ありますので少し長めのスポークを用意しておいてその時に応じてカットして使っています。スポークにカットできる余裕があればこのような対応ができますがレボリューションにはこれが出来ません。

多スポークホイールとして活躍できるスポークですが入用の時に用意するスポークでした。在庫として今回沢山買ったのですがこのスポークは長く残ると思います。サピムのD-lightも同じようにカットできませんので長く残りました。どちらも良いスポークなのですがなかなか使える場面がないのが残念です。

先ずはリムのERDを出してスポーク長を計算してからスポークを発注するのであれば問題なくこの優秀スポークを使えます。

取り扱いの注意点としてスポークテンションを上げるときに、プライヤーでしっかり押さえて捻じれを防ぐことさえ怠らなければとてもいいホイールが出来上がります。

落車ホイールのリム交換

2年前に45mm高のカーボンホイールの点検依頼をいただきましたお客様のお知り合いからご連絡いただきました。お客様は譲り受けられたホイールを使われています。修理に手組ホイールファンを紹介されたといっておられます。

2年前に点検したことがあるホイールです

落車されてから後輪ホイールが一定間隔で音が鳴るようになったそうです。いつも行かれている自転車屋さんで見ていただいた結果はホイール内部で何か不具合があるとのことです。結局は自転車屋さんでは対応できないということでした。

自転車屋さんに相談されたあと手組ホイールファンにもご連絡いただきましたがカーボンリムの内部に問題がある場合どうしようもないということをご説明しました。音がしないときもあるようでしたが大切な部品にすこしでも問題があるのは気持ちのいいものではありません。お客様には新品を購入するかリムの交換をお勧めいたしました。

最初に相談された自転車屋さんではホイールの買い替えを勧められたそうです。ハブはDTの350ストレートプルハブでしたのでこれを使わないのはもったいない話です。

よく考えられたようで再度ご連絡いただきました。

ホイールは45mm高のリムでした。このブログでは定番ホイールの46mm高リムなら在庫があることをお知らせしましたところリム交換のご依頼をいただきました。

手組ホイールファンでは穴ナシリムがメインですので取り換えは46mm高の穴ナシリムに交換となりました。少しだけリム高が増えましたのでスポークをカットし傷んでいる左スポークは取り換えということで組み上げることにしています。

後輪867g
出来るだけスポークテンションを均一に
取り換えたリム 459g

出来上がりのホイールは新品状態になりました。ハブは使い込まれていますのであたりが出ています。見込み客を失った自転車屋さんには悪いのですが、ハブ、スポークが再利用できた上にホイールは新品になりましたのでお客様にはプラスとなりました。

フリーの爪をハブシェルに収める方法

ハブの整備でお困りのお客様より問い合わせがありました。

ノバテックの後輪ハブF482SBをグリスアップして外したフリーをハブシェルに納めるときです。爪が4つ立っているのでどうしてもハブシェルに入らないとのこと。

グリスの量は難しい 多すぎても爪が立ちにくい 少なくてもダメ
4つの爪が邪魔をしてハブシェルに入らない

フリーをハブシェルに入れるのですが4つある爪が邪魔をしてすんなり入らないということです。一つの爪を押さえても後の3つが立っているので入りません。どうしたらいいのかと考え込んでしまいます。

実は初めてハブフリーを引き抜いたとき同じように悩みました。じっとフリーを眺めていてピンとひらめきました。知恵の輪のゲームみたいなものです。

荷造り用のPP紐を用意する
紐でグイっと縛るとフリーは入る

答えは荷造り用の平らなPP紐を20cmほど切りフリーの爪に巻き付けます。平らな紐がミソです。紐をグイっと引っ張りと4つの爪を締めあげてハブフリーをシェルに押し込めばすんなり入ります。あとは紐を引っ張り出せば終わりです。簡単にフリーは収まります。

お問い合わせのお客様には喜んでいただきました。たぶん皆さん同じようにされていると思うのですが今回のように問い合わせてこられる方もおられるのでお知らせいたしました。

24gの増加で剛性を高める

7月16日に記事にしました改造レーシング3ホイールですがオーナー様よりご連絡いただきました。ホイールの乗り心地は柔らかくていいのですが踏み込んだ反応が柔らかいということをお知らせいただきました。言わばぬるいホイールということで改善できないかとお問い合わせいただきました。

解決策としてスポークを太くすることで剛性が上がることをお知らせし、当初のスポークwing21からDTのコンペティションに変更することを提案しました。

果たして了解を得ましたので21本のスポークをすべて取り換え、5gスポークから6gスポークに変更です。

因みにスポークは海外の自転車フォーラムでは4gスポーク、5gスポークと呼ばれています。日本ではこのような言い方はあまり聞かないのですがどうでしょう?

さて、大雑把な言い方ですがホイールの剛性は使用するリムとスポークとその数量で決まります。今回はスポークを太くしました。しかし使用のカーボンリムメーカーでは剛性が高すぎるスポークを使用するとリムが割れる恐れがありますので太さを制限しています。つまり1.8mmのスポークまでなら使用可ですが2mmスポークは使わないように注意されています。このことを守りながら剛性を上げることにしました。

wing21で作製 853g
コンペティションに変更後 877g

ホイールがぬるい、硬いの違いはいろいろ乗り比べないとわかりません。お客様はハイパワーの持ち主でしかも長い経験がおありなので違いがわかりました。最初にお納めしたときの上写真(853g)と今回の下写真(877g)を比べますと24gの差があります。他の部品は同じものです。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。今回の24gの増加はスポーク4本増えたのとほぼ同じです。スポーク交換でどれだけ変わったのかお客様のご感想が楽しみです。

HUNTのホイールをお預かりしましたが…

何度もご注文いただいていますお客様よりご紹介いただきました方よりHUNTのホイールの点検依頼を受けました。

6,7年前のことですがHUNTというブランドは手組ホイールファンがホイール販売を始めたころ知りました。比較的新しい英国のブランドです。

当時、手組ホイールファンではXR31T・RTの20・24Hホイールを作って販売していました。英国でも同じリムメーカーのリムを使った同じホイールを販売しているのでこのメーカーを知りました。英国の自転車雑誌でも大きく取り上げられたホイールとして販売されていたことを思い出します。

前輪 左ブレーキ側12本 右6本
前輪 左クロス組右ラジアル組  2:1組のホイールです
とても軽量です
左右クロス組 20H

このHUNTのホイールが送られてきました。最新のカーボンスポークが使われたホイールでした。

残念ながらカーボンスポークのデータは全く持っていません。このためスポークテンションが揃っているかどうかはテンションメーターで分かりますが何kgfで張っているかはわかりません。

さらにニップルは3.4mmのレンチで回せるのですがとても硬く固めてありましたのでニップルは全く回りません。。無理に回せば折れるのではないかという心配もあります。結局手組ホイールファンでは扱えませんとホイールはお返しすることにしました。

カーボンスポークについてはデータがありません。サピムやDTSwissのようなデータがあればいいのですが惜しいと思います。軽くて強度があるのですが広く流通していないのも難しい点です。幸いにもいつも購入しているカーボンリムメーカーがカーボンスポークを販売してくれます。しかし価格はとても高価です。手に入らないから値打ちがあるのかもしれませんが今のところこれまでのスチールスポークで十分事足りています。シマノ、カンパが扱っていませんのでもう少し様子を見ようと思っています。

クリスキングハブでホイール作製

6月にONYXハブでホイールのご注文いただきましたお客様より再度ご連絡いただきました。

今回はクリスキングハブを持ち込みされてのご依頼です。

前輪102g  べリングが大きいのでこの重量です
後輪222g 軽量です

前輪24穴後輪24穴でリムはキンリンのXR31T・RT前後ともに24Hで左右2クロスのホイールです。スポークはwing21黒でお作りすることになりました。

写真はお送りいただきましたハブです。とても滑らかな回転はさすがに高級ハブと感じました。ハブは再利用ですので穴位置には出来るだけ注意を払って組み立てます。お客様より前の穴位置には気を使わなくていいと了解いただいています。

前輪はラジアルで組まれていましたハブですので今回2クロスで組んでも穴位置には心配いりません。後輪ハブはドライブ側2クロス非ドライブ側にはラジアル組で組まれていましたので今回の左右クロス組でも大きくハブを傷つけることはありません。再利用のハブには注意が必要です。仮組には前のスポーク通し穴と同じ穴を使って組み立てることが出来ました。

各スポークを均等にテンションアップしていきます。後輪リムはオフセットリムです。3mmセンターからずれていますので左スポークテンションは10%ほど通常リムより高く仕上がります。左右のスポークテンション差が少なくなり駆動ロスが減少しスポーク折れも防げます。

前輪767g
後輪882g

前回は前後共32穴のホイールでしたが今回は前後ともに24穴ホイールです。どちらも同じXR31T/RTリムなので乗られた印象がどのように変わるのか楽しみです。

MTBホイールのご注文

9月に開催される王滝のレース用としてホイールを新調したいとご連絡いただきました。今までにロード用として3セット、今回のMTB用ホイールで4セット目のお客様です。

シマノハブにスタンスのリムを使いました

リムはお客様がご用意されお送りいただきました。ハブ、スポークはこちらで準備しています。リーズナブルに手に入れた部品を持ち寄って良いホイールを作り上げていきます。

Stans MK4リム 378g

リムはスタンスのCrest MK4に決まりました。27.5規格の軽量リムです。1.5㎜のオフセットがありますのでスポークテンションの左右差を軽減することが出来ます。

ハブはアルテグラグレードのシマノハブを使います。スポークはエアロ効果を期待することはないので丸スポークで提案しています。

前輪はピラーのTB2015 2.2/1.5/2.0mm

後輪左 TB2015 2.2/1.5/2.0mm

後輪右 TB2018 2.2/1.8/2.0mm 

後輪右を少し太くして剛性を上げています。お客様と打ち合わせしましたところ左右を1.8㎜にしますと剛性がありすぎて足が残らないかもしれないということで右側だけ太くして剛性を上げすぎないようにしています。

リムは378gと非常に軽量です。外周部の軽いホイールに仕上がりアップダウンの激しい場面にはとても有利なホイールに仕上がります。

ホイール作製の注意点としまして、穴位置に1.5mmオフセットがありますのでリムの向きには注意が必要です。クランクから伝わる力が減じることなく伝えるにはスポークの張り方はとても重要です。スポークテンションを均一に張ることで駆動ロスを少なくできます。ホイールでは一番大切なところと考えています。

前輪713g
出来るだけスポークテンションを均一に
後輪947g
出来るだけスポークテンションを均一に

シマノハブは重いのですが重いということは剛性が高いということでもあります。大きな力がかかるハブの剛性が高いということは回転のロスが少ないということです。決して重さはマイナス要因ではありません。

MTBホイールについてお客様とご相談しながらハブ、リムを決めました。いろいろと勉強できありがたいことです。

キンリンTB25で作ったホイールが5セット

キンリンのTB25で作ったチューブラーホイールが今5セットあります。ハブはどれもシマノハブで作っています。いろんなタイプで作っていますが基本はすべて3クロスです。いろんなスポークの組み合わせで作りました。

沢山作ったTB25ホイール

最初のころは星のスターブライトで作っていました。2mmの太いスポークが32本ありますのでとても剛性が高く硬い印象でした。最初はこんなものだと思って乗っていましたがスポークで乗り味が変わることを知ってDTのコンペティションに組み替えたり、サピムのLaserで作ってみたりと徐々に内容が変わっていきました。何度も組み替えしていますのでこんなに増えてしまった訳です。

作ったホイールがタイヤとスポークで印象が大きく変わることを知りました。いろいろ試した結果落ち着きましたのは、廉価版タイヤではコンチネンタルのGiro、高級版ではヴェロフレックスの高級タイヤです。どちらかといえば乗るよりも作るほうが多いので試したタイヤの種類も少ないですが高いタイヤと安物タイヤははっきり違うことが分かりました。

いいタイヤで走るのは安価にできるチューンアップです

タイヤにお金をかけるのが一番安価なチューンアップといいますがまさにその通りです。しかし一般にはそんなにとっかえひっかえできるものではありません。

何故5セットもあるのかといいますと理由はコスパです。いろいろ作って比較してきましたので自然と増えてしまいました。ホイール作りの勉強には最適です。

TB25で作ったホイールはとても安価にできます。高級タイヤ1本の値段でホイール一つが出来てしまいます。チューブラーにすると外周部が軽いので漕ぎ出しが軽くよく走ります。チューブラーのタイヤ交換は簡単で、おまけにホイールはリーズナブルな価格というのが理由です。

ホイールは多スポークで作っていますのでロングライドに最適です。郊外でパンクしてもテープで貼り替えれば楽に交換できます。

2本で860gは軽量です

またTB25を2本買ってしまいました。クリンチャータイヤ1本分の価格でした。今では人気のないチューブラーですが食わず嫌いの方には是非お勧めしたいTB25ホイールです。

10速ホイールに11速スプロケットを入れてみた

お客様より10速ハブに11速スプロケットを取り付けることが出来ると教えていただいたことを既にブログに記事にしています。

FH-7900にCS-HG700を取り付けました

しかし実際はどうなのかは試していませんでした。果たして取り付けは大丈夫でした。CS-HG700にはスペーサーがついていました。これを使わずギアだけを10速ハブに取り付けるとうまくいきます。教えていただいたとおりの結果です。ロー側は34TなのでディレーラーはGSタイプがいりますので注意が必要です。

既に10速ハブは使えることを記事にしていますがリムブレーキ部品はだんだんと絶滅危惧種になりつつあります。安価なハブに注目が行きますと値上がりしますので光が当たってほしくないのです。手持ちのディスコンハブは大事にしたいと思っています。

36穴ハブ24穴リムでホイール作製

シマノカップアンドコーンハブで前輪20H後輪24Hのカーボンホイールを作るために手に入れたホイールがあります。シマノの下位グレードwh-rs100ホイールを分解しました。

ハブを取り出して組み立てたカーボンホイールがこのホイールです。

TNIカーボンリム シマノ24穴ハブ スポークwing21使用
559gの24穴オフセットリムが余りました

ハブだけ使いましたのでリムが余ってしまいました。後輪用の24穴オフセットリムを使わずに置いてあったのですが36穴ハブを使って組み立てることにしました。使用するハブはティアグラハブFH-RS400 36穴ハブです。

スポーク長はspocalcで計算 2.17クロス組

36穴ハブ、24穴リムを使って組むのは今までにブログ記事にもしていますが今回はSpocalcの計算ソフトで2.17クロスを入力してスポーク長を出しました。変則組ではいろんなやり方があります。日本流では5本どり、6本どりというのですが英語圏の言い方で作ります。

24穴ハブを台湾ハブで作ると軽量にできますが価格も当然高くなります。最初の目的は24穴のカップアンドコーンハブでカーボンホイールを作るということが目的でした。余ったリムが勿体ないので今回のように手持ちの36穴ハブで変則組ホイールを作製しました。

後輪1087g 重い=剛性が高い 決してマイナス要因ではありません
2.17クロス組

実用ホイールとしては元のホイールよりもいいホイールが出来上がりました。古い36穴ハブがあれば24穴リムに使えますのでカーボンホイールも作れます。ダイナモハブも36穴なら安価に手に入りますので24穴カーボンリムを用意すれば面白いホイールが出来上がります。36穴ハブはアイデア次第で楽しめると思っています。