Elitewheel のスポーク替えと調整

最近Elitewheelというブランドをよく聞きます。お客様より連絡があり、スポーク替えと調整の依頼を受けました。

前輪756g お預かり時点でのホイール
後輪 893g 2:1組 左8本右16本 
ピラーPA1423 20本 127g ホイールに使われていたスポークです
wing21 20本 98g このスポークに取り換えます

お預かりのElitewheeはピラーのPA1423という太いスポークを使っています。このスポークはピラーのホームページを見ますと2.0/2.3/1.5mmの扁平スポークです。260mmで6.5gのとても太いスポークです。この重量は2mm径の丸スポークと同じ重量ですので2㎜径スポークを叩いて扁平にしたスポークといえます。カーボンホイールとしては剛性がありすぎる感じです。リムが割れないかと心配してしまいます。

手組ホイールファンのカーボンホイールではこの太さのスポークは使っていません。リムメーカーが禁止しています。スポークの剛性がありすぎてリムが割れる恐れがあるというのが理由ですがこの辺りことはよくわかりません。メーカーの指示に従っています。太いスポークを使う場合は相談してほしいとメーカーのホームページにかかれています。しかしElitewheelでは現に使われていますので心配ないのかもしれません。

Elitewheelのホームページを見ますとスポークをアップグレードできると書かれていますので価格を抑えるための仕様と思います。このスポークではホイールの乗り味はとても硬いと思います。スポーク替えを希望されたのは当然かもしれません。

いつも事前にスポークテンションを調べるのですがPA1423スポークは珍しいスポークなので在庫に持ってなくスポークデータがありません。今回はスポークを取り換えるということなのでまずは1本スポークを取り出しました。取り出したスポークをテンションメーター校正器でデータを取って一覧できるようにしています。例をあげますとテンションメーターの0.29目盛りが110kgfを示していましたのでこのスポークデータを使って調整します。

テンションメーター校正器を使ってPA1423のデータをとりました

お客様のご希望は前輪スポークをwing21に交換です。ニップルはアルミニップルのダブルスクエアでした。アルミニップルの再利用は避けることにしていますのでDTのSquorxProブラスを使いました。リムは穴アリリムなのでニップルは前からでも後ろからでも回せますので比較的楽に仕上げることが出来ます。ただしかかる時間はそんなに変わりません。

後輪はスポークの再調整だけです。

今回の後輪ハブに驚きました。ホイールは8:16のハブでほとんど左右テンション差がありません。カンパの2:1組ハブで組んだホイールでは2:1組といえど左右のスポークテンション差はそれなりにあります。1:1組よりも左右のテンション比率はいい状態ですがカンパでは左右差はあります。

前輪wing21に交換しました 取り換え後のスポークテンショングラフです
測定値は0.29なので実際のテンションは約110kgfで張っています 左右がほぼ同じです

驚きましたのはこのハブでは左右のテンション差がほとんどないホイールに仕上がっています。11速ハブなら通常は左右差があります。2:1組で組んだカンパ、フルクラムでは左右差があって当たり前なのに、このElitewheelでは左右のテンション差がなくほぼ同じです。ハブの構造を工夫して左右差がなくなるように設計されているようです。

お客様は後輪の剛性を残すというプランですのでスポークは太いままです。前輪はスポークを細くされましたので乗り味は柔らかくなると思います。後輪は硬い乗り味と予想します。

どんなホイールも一長一短です。価格面でメリットがあってもスポークの選択、調整に不満が出ることが多々あるものです。いままで出会った高価なホイールは価格だけのことはあって調整の良さが光っていました。高価なホイールはよく調整されています。高い理由は作製に時間が掛かっているということかも知れません。

今回のお客様はうまくプランを立てられました。スポークを交換し、テンション調整もやり直しを依頼されました。構造がいいハブを使い、スポークテンションを揃え、スポーク剛性を見直しされました。結果は高級ホイールに大変身です。グッドアイデアと思います。

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