あるビルダーさんの組まれたホイールを点検する機会を得ました。
前輪ホイールを見ますとラジアル組ですが一般的な組み方ではありません。
ホイール組は外国の本で勉強しましたので呼び方はカタカナ英語の言い方で述べます。
左右のフランジ幅は70mmのハブです。ヘッドインで組まれています。ヘッドイン、ヘッドアウトというのは見た目からです。
スポークの通し方で決まります。スポークをハブの外側から内側に通して組む方法がヘッドアウトです。スポークを内から外側に通して組み上げるのがヘッドインです。
同じハブで作りましてもヘッドインとヘッドアウトでスポークの角度が若干違います。以下壁を支えるツッカイ棒の角度のような話をいたします。
このブレイシングアングルは計算ができますが、簡便にはスポーク長の計算ソフトで角度を知ることができます。下図は計算ソフトを利用してブレイシングアングルを出しています。
今回のハブではヘッドインでは7.2度、ヘッドアウトでは6.3度という結果が出ています。
0.9度の違いがあるのですがホイールの性能にどのくらい影響するのかはわかりません。
角度が多いほうが支えることが支える力が高いと思うのですがどのくらいよくなるのかはわかりません。まあよくなるのでしょう。
ではハブに与える影響はどうでしょう。
ハブを外から締め付けるような作り方になるのでリムのERDが短いと角度がつきますので支える力が強くなるのですがハブのフランジ角度次第ではハブフランジに余計な力が加わることになります。つまりハブを傷つけてしまうのではと心配します。
そんなに大きな影響を与える角度ではないのですがさあどっちがいいのでしょう?
フランジ幅がもっと広いバイテックスハブRAF12なら80mmの幅があるのでブレイシングアングル角度は8.1度になり横剛性は確かに高くなると思います。10mmの違いは大きいです。
TNIのエボリューションハブのようにフランジ幅が70mmのハブならヘッドインとヘッドアウトのブレイシングアングル角度差は0.9度ですので効果はよくわからないです。しかし見た感じは大きく変わります。造りが違うと主張しているように見えます。見た目も大切です。
完組ホイールはヘッドアウトで作る方法が一般的です。ほとんどのホイールメーカーがこの方法なのです。お預かりホイールのようにヘッドインはブレイシングアングルがわずかといえども大きくなるので横剛性を高める効果があると思うのですがどうなんでしょう?作るのに時間が掛かる割には効果がないとホイールメーカーは判断しているのかもしれません。