超軽量カーボンホイールのレビューをいただきました

超軽量ディスクカーボンホイールのご注文いただきました記事を書きましたがレビューをいただきました。生の声をお聞かせいただきました。お客様よりブログ掲載の許可を得ました。とても参考になると思います。

 

お客様とは何度もメールでやりとりを行いました。沢山ご質問をいただきました。こういう疑問があるのかと私もお調べすることで知識を深めることができたと思います。言わばお客様との合作ホイールです。お互いに意見を出し合って組み立てましたホイールです。

以下インプレ内容です。

ようやく、試走出来ましたので感想をご連絡できます。

重量

シマノ6穴のディスクアダプターを着けまして同じ条件で比較したところ、これまでのアルミとほぼ同じ重量です。アダプターを他社の軽いモノにすれば、少しばかり軽くなるかなといったところです。

タイヤはチューブレス25ですので、23のクリンチャーとほぼ同じ重さです。

重量では、重くならないことがターゲットでしたので、成功です。

ハブはバイテックスの方が、重いので合計の回転モーメントは軽くかなったことになります。

 

マウント

チューブレスは初めてで心配でしたが、リムテープ無しで、キツキツなくらいでしたので、普通のポンプでやさしくビードが乗りました。この恩恵は、整備性の面で大きなことだと思います。

25のコンチネンタルグランプリ5000TLをはめて、微かにリム幅がはみ出る感じです、105%にちかいと思います。

 

ハブの品位

ディスクブレーキハブは、メーカーでは違いがありえるので、キャリパー位置調整が必要と思いましたが、これまでのノバテックハブの位置で差し障りなくばっちりでした。

ホイールを入れ替えるごとにキャリパーを動かすわけにはいきません。

 

フロントのスペーサーの、構造がすぐ抜けて、外れてしまうのは正直に嫌です。フロントはよく外しますので余計に。

ただ、12スルーとのコンバージョンを考えるといた仕方ないかなと思います。

リアフリーは齧り防止が施してあり、良いです。

ラチェットもかっちりしています。

 

走行感

タイヤの、空気圧は荷重に、合わせて前4.5後ろ5.5です。

ほどほどの柔らかさと、抵抗の、バランスです。まだ下げられるかもです。

 

走り出しが軽いです。

片足を地面から離しただけで転がりはじめるような、感じのうえ、踏んだ分にきっちり反応して加速度を感じます。

28スポーク、コンペ、カーボンが全て協力していると思います。

今まで、バイク本来の能力を封印してしまっていたのか、悔やまれるくらいです。

 

平坦では、25キロ位はただ足を回しているだけで、意識して漕がずでも維持できる感じですし、少し踏めば、楽に35キロくらい維持できます。

乗った速度は落ちません。きんとん雲に乗った気分です。

 

立ち漕ぎは、以前ですとロスが大きくてやる気にならなかったですが、こちらは漕いだ分加速しますので、立ち漕ぎが楽しいです。やはり、ロスがあるのは体で感じるものですね。

 

ハンドリング

フレームの要素が大きいですが、以前のクリンチャーアルミがふらふらですが、それより少しばかり安定しましたがそれほど変わりません。

初めてなので驚きは横風にかなり煽られることです。油断禁止です。

 

走行音

薄い作りのカーボンだけにかなりします、速度が高いとゴーゴーいいますが、玄人になった気分になります。

 

見た目

ファットチューブの、フレームに合わさって、黒艶でキマッタって感じです。

プロリムの塗装ではない仕上がりが活きています。

 

ご相談できて材料の選択から、スポーク、穴、ハブ色々と、検討でき、組み立ても安心してお任せすることが出来ました。

まさにイメージ通り、希望通りの、大変満足なホイールを得ることができました。

 

以上がお送りいただきましたインプレです。過分なお褒めのお言葉をいただきましたので少しこそばゆい感じがいたします。でもありがたいことです。

今回使用しましたリムはいつも使いますカーボンリムよりはワンランク上のリムを使っています。95㎏までの方という使用制限がありますが通常では問題ありません。軽量化を図るにはとても有効なリムです。少しお高くなりますがグレードの高いホイールを得ることができます。

WH-R501ハブでホイールを組む

シマノのホイールから取り出したハブを使ってのホイール組をご依頼いただきました。ハブはシマノホイールWH-R501から取り出しています。ハブは前輪20h後輪24hのカップアンドコーンでシマノから一般には販売されていません。ホイールから取り出す必要があります。私はリムとスポークを提供します。驚きのアイデアです。一本取られた感があります。

取り出した後輪ハブ 366g
取り出した前輪ハブ 144g

話は少しそれますが、

シマノの低価格ホイールはびっくりの低価格ですがそこはシマノブランドです、他のメーカーではまねができません。よく考えられて作られています。

前回のブログ記事ではマイナス点ばかりを述べましたがよくできたホイールと思います。このホイールは長く楽しめます。分解しても楽しめるホイールはあまりないと思います。

WH-R501 後輪1118g
スポークテンションのばらつきが目立ちます

個人的にはシマノの低下価格ホイールは中級、上級者のトレーニングホイールとして最高ではないかと思います。スポークのテンションを均一になるように調整してスポークテンションのアンバランスから生じる力が逃げにくくなるようにすれば練習用のホイールとして最適です。踏み込んだ力が正しく伝われば重いホイールはよく回ります。重いホイールで練習すれば本番の時の軽いホイールは驚くばかりのパフォーマンスを発揮できるでしょう。シマノの低価格ホイールは設計が良くても作りがすこし雑なので適切なスポークの調整が必要です。これさえやっておけば本当にコスパの良いホイールと思います。

WH-R501前輪861g
スポークテンションのバラつきが目立ちます

違う考え方で、初心者の方には最初に重いホイールをつけて走ると負荷ばかり掛かり自転車とはこんなにしんどいものなのかと思わせてしまいます。初心者こそいいホイールで始めるべきだと思うのです。10万円の自転車でスタートしてもついているホイールは新品ですぐに売りに出すことです。そしてゾンダ、レー3を買って自転車を始めれば自転車の良さがよくわかると思うのです。タイヤ、ホイールは一番大切と考えます。

さて、本題です。

使うリムはキンリンのXR22T/RTです。24mm幅のワイドリムですチューブレスレディーリムですのでテープを貼り、チューブレスタイヤとバルブを用意すればチューブレスホイールとして使用できます。

組みあがり後 後輪989g
右Race左Laser 2クロス組
スポークテンションが均一です
前輪組みあがり730g
Laserスポークをラジアル組で
スポークテンションが均一です

このリムは440g前後の軽量リムです。剛性はしっかり確保でき、外周部を軽量化できる優秀なリムと思います。おまけにチューブレスレディーですのでこれからはこのリムでしょう。

ご依頼主の体重を伺いますと前輪20h後輪24hで対応できます。スポークは前輪をサピムのLaser、後輪左をLaser、後輪右をサピムのRaceにしています。

Laserはねじれ易いので扱いが難しいスポークですが性能は非常に優秀です。最強スポークといわれるCX-RAYスポークの扁平前のスポークがLaserですので強度は十分といえます。

後輪右ドライブ側にはスポークの太さを変えて剛性を高めています。

ホイールの剛性はリムの剛性+スポークの総面積に比例しますので右側のスポークを太くすることは有効な方法と思います。

後輪リムはオフセットリムです。ハブの11速化に対応するためにはとてもよい手法です。リムは3mm中心部より非ドライブ側(左側)に寄っていることで左側のスポークテンションが10%ほど上がります。後輪スポークの左右テンションバランスが良くなり駆動ロスが減じられます。

3mmずれることの効果は非常に大きいです。2:1組などの特殊な組み方をすることなく左テンションを上げることができます。おまけに24スポークの半分、12本がプルスポークとして働きますので有効です。デザイン的にはオーソドックスで地味な組み方ですが十分力を発揮します。

組みあがったスポークのテンション比率は66:100で左スポークは非常に高いテンションで組めています。比率は以前購入のゾンダより良い比率です。駆動ロスが少ない掛かりの良いホイールに仕上がりました。

前輪は862gから730gに、後輪は1118gから989gへ軽量化できています。

前後では1979gから1719gに260gの軽量化です。

ショックアブソーバーの働きをするLaserスポークを使ったホイールはチューブレスホイールとしても使えます。おまけにハブの重量は少しありますがシマノのカップアンドコーンハブです。丈夫さとメンテナンスが楽なのは過去のシマノハブで証明済です。デザインは地味ですが価格、性能を考えますと素晴らしい変身であることははっきり言えます。

前輪46mm高、後輪56mm高カーボンホイールのご注文

アルミリムホイールXR31T・RT、24・28hホイールをお使い頂いていましたお客様よりカーボンホイールのご注文をいただきました。リピートオーダーのお客様です。

前輪46mm高 456g 穴なし
後輪56mm高 489g 穴なし

ご指定いただきましたリム高リム幅は前輪が46mm高20h、後輪は56mm高24hで2:1組です。前輪後輪の高さを変えて乗り心地と空力の配慮をされた組み合わせです。

ハブもよく考えておられます。前輪はミケハブの20hです。台湾ハブよりは少し重いのですがベアリングが6001と大きいので安定感があります。ベアリング取り換えも楽なハブです。何より頑丈なところがいいです。

後輪はBITEXハブのBX301を使います。2:1組専用の24hハブでストレイトプルスポークが必要です。フリーの爪は6個ありアンチバイトガードがついていますのでスプロケットのかみつきを防止できます。価格も値ごろ感のある良いハブです。

 

リム、ハブをご指定されての作製です。言わば黒帯の方よりご注文いただきました。

きれいで存在感あります

カーボンリムは一般的なUD仕上げではありません。カーボンの網目がはっきりわかり存在感は驚くばかりです。白色のシールもご指定です。どこのメーカーなのだろうと目立つことは必至です。

 

ホイール作製に於きましてはスポークのテンション均一化を十分行い振れを最小にします。8:16の後輪はスポークの長さを決めるのにjベントのハブよりも長さの決定には注意が必要です。

どちらのハブもサイズの計測はしっかりと行わないといけないのですがストレイトプルスポークではスポークオフセットの数値がどのくらいあるのかを正しく測らないと正しい数値は出ません。スポークの伸びも計算の中に入れる必要があります。

前輪 702g
前輪スポークテンショングラフ
ミケハブ CXRAY使用

前輪

リム 46mm高28mm幅 460g

スポーク サピムCXRAY

ニップル DT SqourxPro ブラス黒

ハブ ミケ 20h

重量 702g

後輪 889g
後輪 スポークテンショングラフ
8:16組 コンペティション黒

後輪

リム 56mm高30mm幅 490g

スポークDTコンペティション ストレイトプルスポーク黒

ニップル DT SqourxPro ブラス黒

ハブ BITEX BX301 8:16組専用

重量 889g

 

出来上がりましたホイールは前後1591gです。乗り手よし、見た目よし、走りよし、三方よしで最高です。

シマノホイールWH-R501を分解

シマノWH-R501ホイールを調べる機会を得ました。安価で販売されています。正直驚くばかりの価格です。どうしてこんな価格で販売できるのか不思議です。

前輪20h 861g
後輪24h 1118g

前輪861g後輪1118gです。合計1979gです。振れ取り台にのせて回転を見ますと目視では振れは全く見受けられません。ダイヤルゲージでもプラスマイナス0.1~0.2mmを前後するとても優秀な振れ取りです。正直、見た目はよくできています。

次にホイールのスポークテンションを調べました。下記のグラフです。

前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

非常にハイテンションで仕上げています。残念ですが振れ取り重視です。見た目を追いかけて中身は悪いという印象です。まあ値段が値段だけに念入った調整はできないのでしょう。時間優先です。少しでも多く数をこなす必要があるということです。

前輪、なじみだしを行いました
後輪、なじみだしを行いました

ホイールにはプレス式のなじみだしを行われていますがこのホイールに私のなじみだしを行いますと上図のようになります。グラフを参照ください。

スポークテンションは大きく下がります。振れも出ています。こうして見ますといつも値段が値段だけにという枕詞がついてしまいます。

前輪リム 538g
前輪20本144g 1本7g

リムはピンジョイントで重量は538gでした。軽くありません。前輪はエアロスポーク的なスポークで2.0/1.6/2.2/2.0mmと実測ですが扁平スポークです。1本7gありますので2mmのスポークを叩いたスポークのようです。エアロ効果は期待できません。見た目だけです。後輪リムはオフセットリムではありません。通常のセンターホールリムです。これが悪いというわけではありませんがオフセットリムを使えば左スポークテンションは改善できます。オフセットリムでないのが残念です。値段が値段だけにということばかりです。

しかし残念なことばかりのホイールですが一つだけこれはいい!という点がありました。

前輪20hカップアンドコーン144g
後輪24hカップアンドコーン366g

ハブがカップアンドコーンの20・24hです。いま流通しているハブで手に入れやすいカップアンドコーンのハブはシマノしかありません。しかしシマノは20h・24hは販売していません。28h、32h、36hだけです。

カップアンドコーンハブなら自分で調整出来てまめにグリスアップを行えば非常に安定して長い間使えます。

個人的な偏った意見ですがホイールはがっかりしますがハブはいいと思います。このハブを使って手組するなら良いと思います。ただ少し重いのですが中心部の重量ですし何事もトレードオフで重いハブということは丈夫なハブということです。

ロングライドに適した32hホイールのご注文

ブルべ200kmなどロングライドの大会に参加される方よりご依頼いただきました。オーナー様は重量にはこだわらないので安心安全のホイールをご希望でした。

リム、ハブはお持ち込みです。リムはアラヤのAR713、ハブはシマノのティアグラハブです。ともに32穴用です。スポーク、ニップルは私が提案しました。

部品お持ち込み
アラヤ AR713

 

ロングライドになりますと安心安全のホイールが必要です。スポークがトラブルで折れても無事に帰れるホイールです。また疲れにくいホイールということも必要です。

 

ホイールは地面からの振動を伝えます。ダイレクトにハンドルへ振動が伝わりますと長時間乗っている間に手がだるくなりハンドリングにも影響してきます。

 

このようなマイナス要因を避けるにはホイールを選択することで疲れを防ぐことができます。ご意見はいろいろとあると思いますが一般的にはスポークが多いとスポークが地面からの振動を吸収してくれます。おまけにホイールは長持ちします。

スポークテンションを下げて調整するということではありません。スポークテンションはしっかりと100kgfはキープする必要があります。

 

ショックアブソーバーの役割として最適なスポークは中心部の細いスポークです。サピムでは1.5mmのLaser、DTではレボリューションの2点があげられます。2mmのストーレートになりますと剛性が高くなりすぎて少し不向きと思われます。中間の1.8mmスポーク、サピムRaceやDTコンペティションはオールマイティのスポークとしてお勧めです。ねじれにくく扱いやすいスポークです。

今回はLaserを提案いたしました。オーナー様の体重は60㎏台ですので32本のスポークは細くても十分対応できます。

 

お客様に前輪左右はLaser、後輪は左にLaser右にコンペティションと右側のドライブ側に剛性を上げる目的でコンペティションをお勧めいたしました。

提案をご了解いただきまして完成しましたのが写真の通りです。各スポークテンションはできるだけ均一になるようにして振れは最小にしています。完璧に納めることはできませんができるだけ近づくようにしています。ホイール仕上げのコツはこの2点が要です。

他にもいろいろと細かいお作法がありますがこの2つを押さえればいいのです。

 

あるお客様が「ホイール組初心者には希望を与え、ホイール組経験者には絶望を与えるチャート」と言っていただいていますこのグラフを参考にしてください。

 

数をこなす経験が必要ですがホイール作りは楽しいです。性能、出来栄えには差がありますが出来上がればうれしいものです。道具や時間の節約にはご一報いただければ幸いです。

前輪836g
前輪スポークテンショングラフ
前輪 左右Laser 3クロス組
後輪1080g
後輪スポークテンショングラフ
左Laser右コンペティション 3クロス組

出来上がりました。お受け取り後のご連絡にはインプレ送りますとのことでした。

とても楽しみにしています。

チューブラーホイールのインプレお送りいただきました

マビックのオープンプロ・チューブラーリムを使ったホイールの記事を書きました。

オーナー様よりインプレいただきました。ブログ掲載の承諾をいただきましたのでご紹介いたします。

マビック チューブラーホイール
後輪スポークテンショングラフ
マビック チューブラーホイール
前輪スポークテンショングラフ

チューブラーホイールは現時点ではカーボンホイール販売されているだけで完組ではなかなか手に入れることはできません。チューブラーホイールを試すには手組しかありませんがこのチューブラーホイールの良さを知ってしまいますとなかなかクリンチャーに変えることができません。

 

ホイールの宣伝になりますがチューブラーホイールを知っていただくうえでとても参考になります。以下いただきましたインプレです。

 

ある程度、乗ることができたので感想を書きます。

まず、最初に乗った時に「自分に合っている」ということを強く感じました。同じものをもう1セット作ってもらおうかな?と思ったほどです。それは、「力を逃さずに前に進んでくれるホイール」だからです。

特に感じるのが、ギアを大きくした時です。力がそのままスピードになるのがよく分かります。提案してくださったスポークが効いていると思います。乗っていて、すごく楽しいです。

このホイールの良さはそれだけではありません。次に、「長い距離を乗っても疲れが残らない」というのもこのホイールの良さです。疲れが残らないからこそ、毎日乗りたいと思えます。

疲れが残らないホイールになるのは、スポークテンションのバランスが良いからだと思います。スポークテンションが均一で(グラフを見てびっくりしました。機械でもここまで精度が高いホイールを作るのは難しいと思います。)乗り心地が抜群に良いです。

乗り心地において、32Hの手組とチューブラーは最高の組み合わせだと思っています。このような素晴らしいホイールを作ってくださり、ありがとうございました。これから暖かい日が続き、自転車乗りのシーズンです。しばらく乗り続けたら、また感想をお送りします。

最初の打ち合わせの時はスポークはDTのチャンピオン(2.0mm)でした。しかし剛性が強すぎるのでバテッドスポークのコンペティション(2.0/1.8/2.0mm)をお勧めしました。結果的にはこちらのほうが良かったようです。手組ホイールはいろいろな組み合わせができるのでお勧めしました。

チューブラーホイールはリムにタイヤを貼り付けるのですが貼り付ける方法として接着剤とテープを使う方法があります。本格的には接着剤ですがミヤタテープを使うと手軽にできます。私はテープ派です。ロングライドでのパンク修理にはテープでやれば簡単です。10分もあればパンクは直せます。クリンチャーよりも早くできます。チューブラーホイールのハードルは高くないです。

インダストリー9ハブを使ってカーボンホイールを作製

DTのRR411リムを使ったホイールを以前ご依頼いただきましたお客様よりディスクカーボンホイールのご注文をいただきました。

 

お客様は懇意にされているショップにハブを注文されていましたがホイールの作製はショップを超えて私のほうにご注文です。今まで何度も書いていますがリピートオーダーは本当に嬉しい限りです。

 

使用リムは36mm高28mm幅のカーボンリムで私のほうでは定番の穴なしリムです。前後ともに24hです。

I9 Torch 24h  112g
I9 Torch 24h 252g

ハブはインダストリー9のディスクハブです。入荷に3か月かかったそうです。今世界中で自転車部品は欠品が多く皆さん難儀されています。いろんな国のホイールビルダーさんのホームページを見ますとどのショップも部品が欠品していることを書かれています。それだけ自転車に対して見直されているということなのかもしれません。

 

さてこのインダストリー9のハブは新しい自転車が買えてしまうくらいの高価なハブです。見るからに存在感があります。高額のハブをお預かりしましたが少し緊張します。

 

このオーナー様はバイクフレームにあわせてハブの色を決められました。スポークはコンペティション黒で作ります。敢えてCX-RAYを使わないところに自転車に対するこだわりを感じます。

 

一般的には黒一色のホイールがほとんどですのでハブをフレームと同色にされるとオリジナル感が出てとてもいいなと思います。重量も前輪681g後輪816g前後1497gと非常に軽量です。リム重量は400gほどですので外周部はとても軽く36mmのリム高ですので空力も期待できます。平地にも登りにも対応できまさにオールラウンドホイールといえる仕上がりです。

穴なしリム使用36mm高28mm幅 1497g
前輪681g
前輪スポークテンショングラフ
後輪816g
後輪スポークテンショングラフ

完成しました。ブルーのハブが利いています。とても美しいホイールです。

超安価プライムディスクホイールを購入しました②

何故新品ではこんなにスポークテンションが高いのか疑問が解けました。結論から言いますと、スポークテンションは適正値に下がりました。

 

手組ホイールを作る際ストレスリリーブという作業をします。西洋の人たちはストレスリリーブですが日本ではなじみだしといっています。スポークの張り具合の最終調整というわけです。この作業を私の方法でプライムディスクホイールに行いました。ニップルは回していません。

前輪
後輪 左76.0・右150.6kgf
後輪
前輪 左ブレーキ側142.4kgf・右92.3kgf

作業後スポークテンションを測りますと次の通りです。

前輪 左ブレーキ側119.1kgf・右72.8kgf
後輪 左64.6kgf・右ドライブ側120.2kgf

驚きです。スポークテンションが下がり私が通常作る値まで下がっています。スポークの張り具合も揃っています。とても優秀です。

つまりこのホイールのハイテンションはしばらく乗ったら下がることを見越して調整しているようです。勝手な想像ですが、まあ上手に手を抜いているということですね。目いっぱいテンションを上げておけば乗っている間に適正な値になるというのを見越しているのかもしれません。1本でも時間短縮で作るほうが良いのでしょう。

 

よく考えています。超ハイテンションで仕上げておけば乗っている間に適正値になるという作り方です。お見事です。しかしながらうまくテンションが下がらない場合もあるかもしれません。本当はどうでしょうか?

 

実際意識的にこのように作っているのかはわかりませんが手を抜いても大丈夫なところは目いっぱい手を抜いています。しかしテンションはしっかり揃えています。押さえるところは押さえているという感じです。いや難しいです、お買い得ですよ!というべきかどうか、非常に重いのが問題です。1万円のホイールにいろいろ言うのはどうでしょうか?次はこのホイールを分解してみようと思います。

超安価プライムディスクホイールを購入しました

Wiggleのホームページを何気なく見ていて超安価のディスクホイールを見つけました。

買った理由は単純です。1万円で買えるホイールはどんなものかとても興味がわきました。

届いたときの写真です。この値段で勉強できるなら安いものです。

きれいなパッキングです

届きました。非常に丁寧に梱包されています。はるばるイギリスから航空便で届いたのです。おまけに送料無料です。どういうことになっているのかいつも考えてしまします。

 

ホイールが届きますといつものお作法を行います。

前輪 943g
到着時の前輪スポークテンショングラフ
後輪 1199g
到着時の後輪スポークテンショングラフ

重量とスポークテンションを測ります。

前輪942g、後輪1199g前後2141gと正直言って重いです。カタログでわかっていたのですが実際に測ってみて少し驚きました。

 

では前後輪を細かく見ていきます。

 

スポークは2㎜のストレートスポークを使っています。ニップルはもちろんブラスです。

リムはアルミリムでオフセットリムではありません。24hの普通のアルミリムです。

チューブレスで使えます

リムはprimeの白いロゴが入っていますがシールではありません。つまりペイントしていますので簡単に取り除くことはできません。チューブレステープを1回巻きで処理されています。そう、チューブレスレディーです。重いホイールですが驚くことばかりです。

シマノ方式(シマノH.P.より)

スポークの組み方は前輪が逆イタリアン後輪はイタリアンです。通常シマノでは後輪はJIS組みを勧めていますがこのホイールは違います。まあそんなに影響ないということでしょう。私はシマノ方式で前輪は逆イタリアン、後輪はJIS組みで組みます。このことは前から疑問に思っていました。まあそんなに変わらないということかもしれません。

 

スポークテンションは上記のグラフになります。スポークテンションのバラつきは少ないと思います。ただスポークテンションはびっくりの値です。非常にハイテンションでスポークを引っ張っています。今までこんなに高い数値は見たことありません。ここまで必要かよくわかりません。

 

スポークテンションの適正値はこの数値でないといけないという決まりはありません。どのホイールメーカーも違うので決まった数値というのはないのが実情です。ではどういう風に決めるのかとなりますと必要十分な数値にするというあいまいな数値で管理されているようです。

 

このホイールでは前輪左ブレーキ側140kgf、後輪右ドライブ側150kgfです。驚きのハイテンションで仕上げています。これでいいのだ!といった感じで作られていますがこんなに高い数値ではスポークが疲労しないのか心配です。まあ値段が値段ですのであまり考える必要がないのかもしれません。

 

ホイールの剛性アップはスポークテンションを上げることではできません。高いから剛性が上がるわけではありません。スポークテンションの均一化は必要ですがむやみに高くすることがホイールの性能アップにはつながりません。必要十分であればいいのに何故こんなに高いのかよくわかりません。必要十分というあいまいな書き方もわかりにくいのですが数値が決まっていないのでこういう書き方になってしまします。しかしおおよその数値はあります。私はドライブ側を120前後にしています。

 

おそらくこのプライムホイールはタイヤをはめた後のスポークテンションドロップを計算しているのだと思いますが通常10~15%のテンションドロップですのでやはりたかい数値です。

 

1万円のホイールにいろいろと意見をいうのはおかしいかもしれませんが分解してみようと思います。安物買いの**なのかまたレポートしたいと考えております。

DTSwiss DICUT PR1400ホイールの組み換え

DTSwissホイールを組み替えるご相談をいただきました。DICUT PR1400ホイールのハブを使ってカーボンホイールの組み換えです。このホイールの組み換えはこれで2回目です。

穴アリリム36mm高です
前輪670g
前輪スポークテンショングラフ
後輪811g
後輪スポークテンショングラフ
後輪ハブ ドライブ側 1クロス組
後輪ハブ 非ドライブ側 1クロス組
前輪 ラジアル組

ストレイトプルスポークを使ったDT240ハブですが一般に販売されているハブとは違う形状です。前輪は20hラジアル組、後輪は24h1クロス組です。後輪ハブは特殊な構造をしています。

ストレイトプルスポーク使用のハブ
DT aero comp® wide t-head

スポークはDTAero compというあまりなじみのないスポークです。ストレイトプルスポークですが頭部分はT-headという形になっています。つまり頭部分を叩いて平らにしてあるスポークです。ハブ内部におさまりが良いように加工してあります。金床でたたいて平らにすればよい話ですがうまく考えたものです。

 

ハブを計測しスポーク長を出しますとスポークをカットすれば新しいカーボンリムに使えます。リムは36mm高ですのでスポークのカットはどのスポークも10mmほどカットすればうまく再利用できます。リム高が46mm高になりますとスポークが使えないのでCX-RAYを使用などほかの方法を考えなければいけませんが今回はそのまま使えます。

ドライブ側でスポークを引っ掛けています

このホイールの後輪ハブはスポークをハブのドライブ側でスポークの頭をハブフランジに引っ掛けて使う方法を取っています。特殊な構造です。通常はハブにスポークを通すのですがこのハブではスポークの頭をハブフランジに引っ掻けます。通常のハブのようにスポークをハブフランジ穴に通す方法ではないこのハブの方式はは作業効率の良い方法です。しかしリムが穴なしリムの場合これが最大の難所となりました。

 

詳しい説明は割愛しますがとても難しいハブであることには違いありません。穴ありリムの場合にはこのハブを使うと簡単に出来上がります。とてもよく考えられたハブと感心いたしました。

 

仮組みには時間はかかりますがゆっくりと一つ一つスポークを通していけば組みあがります。あとはスポークテンションを上げていきます。カーボンリムの場合精度が高いので均等にニップルを回していけば割と楽に仕上がります。

スポークはDTAero Compという私には初めてでなじみのないスポークです。規格では1.2mmの厚みの扁平スポークということなのでスポークテンションの交換表でテンションの数値がわかるのですが念のためテンション校正器で調べることにしました。120kgfで0.35mmという値ですのでほぼ正確に測れることが分かりました。

 

リムメーカーのスポークテンション推奨値は120~130kgfです。メーカーの勧める値に仕上げます。なじみだしは3回行いました。最終のなじみだし後はほとんどスポークテンションの変化はありません。我ながらよくできたと思っています。お客様のレビューを楽しみにしています。