超軽量ホイールのご依頼

このブログに連絡が入りました。約40年近い超ベテランの方より練習用のアルミホイールをご依頼いただきました。以下ご依頼要件です。

下記の条件を満たすホイールは作成可能でしょか?

・アルミホイール

・重量は前後で1300g台

・クリンチャーで構わない

 結構大雑把で申し訳ないのですが。 ハブ、スポークはとりあえずおまかせで構いません。

お客様はヒルクライムの本番ではカーボンチューブラーホイール、普段の練習ではゾンダやシマノホイールを使っておられます。

キンリン XR200リムはナローリムです。軽量ながら剛性が高い

さて、1300g台となりますと使用リムは限られてきます。キンリンのXR200なら390g前後ですので試算して提案しました。

一案単品重量数量重量合計
XR200 20/243902780
ノバテックハブ3101310
前輪スポーク CX-RAY4.52090
後輪左スポーク Laser51260
後輪右コンペティション61272
nipple 14444
1356g

当初は前輪をCX-RAY、後輪左Laser、右コンペティションというスポーク選択でした。

ご連絡を重ねてご質問、ご希望を伺って前後ともにCX-RAYで組むことになりました。

決定案単品重量数量重量合計
XR200 20/243902780
ノバテックハブ3101310
前輪スポーク CX-RAY4.52090
後輪左スポーク CX-RAY4.51254
後輪右スポーク CX-RAY4.51254
nipple 14444
1332g

今使っておられる練習ホイールがすべてCX-RAYで組まれていて、シュータッチがしないということですので剛性は足るということで決定しました。ホイールの剛性はスポークが大きな要因です。

CX-RAYは粘りがありLaserとの差はほとんどないというものの歴然と差はありますので選択としては間違いありません。ただ価格的なことでは大きく違います。この辺りの折り合いをつけるのはお客様の判断です。

果たしてCX-RAYに決められましたが長く使われることを考えますとよい選択と思います。

前輪586g リムテープ込み  左右CX-RAY使用
前輪スポークテンショングラフ 
後輪760gリムテープ込み 左右CX-RAY使用
後輪スポークテンショングラフ

スポークテンションデータと一緒にお送りしました。13mmのナローリムはお客様には昔を思い出すリムとして懐かしがられました。

軽量ながら剛性があるリムですのでワイドリムが主流になっている今もよく使われるリムです。しばらく使ってみてご感想いただけます。楽しみです。

多スポークホイールのおすすめ

このブログで頻繫に取り上げます多スポークホイールの紹介です。

見た目は重そうなホイールです。

先ず重量を試算してみます。積算しますとだいたいの重量がわかります。

 品名単品重量g数量重量合計g
XR31T/RT 28/32h4902980
ノバテックハブA291SB 28h F482SB32h3101310
前輪スポーク Laser528140
後輪左スポーク Laser51680
後輪右コンペティション61696
nipple16060
1666g

前輪 28h 729g
後輪 32h 940g

見た目は重そうなホイールですが実際の重量も前後で1669gと軽量です。

シマノアルテグラホイールWH6800では前輪705後輪944g前後1649gです。ほぼ同等の重量です。

以下、詳しく述べます。

リムは24mm幅31mm高のアルミリムです。後輪は3mmオフセットのリムです。リムセンターが3mmずれることにより11速による左スポークテンションの低下を補正しています。

ハブは台湾のノバテック製を使います。前後で約300gと非常に軽いハブでベアリング交換も容易です。

リムは台湾のキンリン社リムです。前述のように31mm高ですので空力もあります。約490gと決して軽いリムではありませんがリム剛性が高いので踏み込んだ力が逃げにくい優秀なリムです。

スポークはサピムのLaserを前輪と後輪左に使用しています。後輪右側のドライブサイドにはDTのコンペティションを剛性強化のために使います。

組み方ですが前輪は左右2クロス組、後輪は左右3クロス組で組んでいます。オーソドックスな組み方です。

後輪をオフセットリムで組んでいますので11速に伴う左スポークのテンション低下を補っています。ニップル穴が真ん中のリムより10%ほど上がります。これはとても大きいメリットです。

タイヤ選択はリムが24mm幅のワイドリムですので23mmから25,28mmと使えます。タイヤの幅の105%のリム幅が一番空力での効率が良いとされる105%ルールから考えますと23mm幅のタイヤが意外とよい選択なのかもしれません。

また、チューブレスレディーリムですのでチューブレステープを巻きましてバルブ、シーラントを用意すればシューブレスホイールとして使用できます。

ほぼ同じ重量のアルテグラホイールと比較してスポーク数が大きく違います。前後16h・20hではスポークは太いスポークを使います。スポークの太さで剛性を高めています。

方やこの多スポークホイールではスポークを細くして本数を増やしています。

スポーク面積で比較しますとよくわかります。少スポークのホイールのスポーク面積と多スポークホイールのスポーク面積の比較です。

完組ホイールでは下図のように少ないスポークで剛性を維持しています。手組多スポークホイルではスポークを細くして完組ホイールと同じスポーク面積になるようにしています。この点が大きな違いです。

  スポーク数スポーク数スポーク数スポーク数
スポーク面積16202832
1.5mm1.7728.3235.449.5656.64
1.8mm2.5440.6450.871.1281.28
2.0mm3.1450.2462.887.92100.48

この多スポークホイールのおすすめポイントはロングライドに最適な点です。地面からの振動はホイール、ハンドルと伝わります。長時間のライドにはこの振動で疲れるのです。軽量スポークのLaserやCX-RAYで作った多スポークホイールの良さはスポークが地面からの振動をショックアブソーバーの働きで和らげることができます。細いスポークが振動をやわらげるのでロングライド向きホイールということになります。

もちろん剛性のあるリムを使っていますので踏み込んだ力は逃げにくいホイールです。スポークが多いので見た目はモダンホイールではありませんがクラシックな姿からクロモリフレームにはとても相性が良いと思います。

見た目はおとなしいホイールです。残念ながら3G組のように一目見てわかるカッコよさ

ありません。しかし実質本位のコスパが高いホイールです。用途の多いオールラウンドホイールとして使っていただけます。わかる人ならわかるホイールです。

XR31T/RT 24・28hホイールの作製

このブログにご連絡いただきました方よりご注文いただきました。

最初はキンリンのXR31T/RT 20・24hをご希望でしたが残念ながらリムの在庫がなく24・28hを手配できることを申し上げました。

スポーク数が前後で8本増えますので40gほどの重量が増えます。重量が増えることのデメリットよりもメリットの方をお話いたしました。

スポークが増えることによりホイールの安定感は増します。コーナーでよれることなく回れます。ダンシングでもシュータッチはしなくなります。若干空気抵抗が増えるかもしれませんが微々たる増加と考えます。スポークが増えて丈夫になりますので振れは出にくくなります。つまり回転が安定します。40g増えることによりホイールは強化されます。いわばトレードオフの関係です。

最初は重量が増えることに躊躇われたのですがけっしてこれがマイナスではないことをご理解いただきましてご購入いただきました。

前輪24穴後輪28穴ホイールの重量は1600g少し超えたところで完成しています。

前輪スポークはCX-RAY、後輪左にLaser、右コンペティションという組合せです。

スポークの良いところを引き出していると思います。

CX-RAYを前輪に使います。空力とスポークのサスペンション機能を引き出す目的です。後輪の右側にコンペティション、6gスポークを使って剛性を高め、左に5gスポークLaserで軽量化とスポークテンションアップを図っています。

組み方は前輪をラジアル、後輪左は3クロス組、後輪右は2クロス組としています。

いつも使っていますwheelproのスポーク長計算ソフトでは左右のテンション比率が表示されますので理論上の違いがよくわかります。

ノーマルリム 左右2クロス組 テンション比率は43:100%です。左が低いです。

通常リムでは左右2クロスで組む場合43:100のテンション比率です

3mmオフセットリム 左右2クロス組 56:100%の比率です

リムはオフセットリムですのでオフセットリムで13%のアップです。

3mmオフセットリム 左3クロス右2クロス 58:100の比率です

後輪の3クロスで通常の左右2クロス組と比べて2%テンション比率は上がります。

が今回の組み方では58:100と計算上では非常に高い比率に仕上がります。あくまで計算上の数値です。

左を細いスポークで組んでいますのでさらにテンションを上げることができます。実測では左86kgf右123kgfと左右の比率は約70:100の比率です。

ゾンダ、レー3のように2:1組によりスポークテンション比率の差異を改善することなく1:1組で十分な比率を得ることになります。

これはスポークの役割から見ても有益なことです。つまり2:1組の場合仮にゾンダで見てみますとゾンダ後輪は21本です。2:1組ですので左が7本右14本です。左はラジアル組なので駆動には直接働きはありません。右の14本が駆動に影響します。

車輪のスポークはプル、プッシュの役割がありますが14本のスポークでプルが7本です。

2:1組のゾンダでは7本がプルスポークです。

では今回の28穴ホイールの場合はどうでしょう。1:1組ですので左14本右14本で構成しています。プルスポークは14本、プッシュスポークも14本です。この14本のスポークがすべて同じ力で張られていませんので左側の7本が右側に比べて緩く張られていますので7本の約60%としまして4本分の力をプッシュスポークとして働いていると考えます。

合計11本のスポークがプッシュスポークの働きをします。

プルスポークの違いだけでホイールの性能を論じるのは大雑把すぎるとご批判あると思いますが論理的には誤っていないと思っています。

後輪 リムテープを巻きまして938g
左スポークテンションはとても高く出来上がっています。
前輪24h リムテープ巻きまして701g
前輪スポークテンションは110kgfで仕上がています。

当ホイールの一番足りないところはお客様には申し訳ないのですがとても地味なところです。この点はどうしようもありません。3G組のホイールなら遠くから見てもわかりますがこのホイールにはそんなプラスアルファの要素がありません。実質本位です。

あなたのカンパには負けないよ!という天邪鬼的な方にはもってこいのホイールです。私から申し上げますのは厚かましいですが今までの実績から判断しましていいホイールには間違いありません。コスパは最高です。

お客様からの印象が楽しみです。

ディスクカーボンチューブラーホイールの作製

2年前、アルミのチューブラーホイールとクリンチャーホイールを2セットお買い上げいただきましたお客様より連絡ありました。カーボンホイールを2セット作ってくださいと剛毅なご注文です。売上は確かにうれしいのですが、信頼していただいたことがなお一層ありがたいです。

ご依頼はシクロクロスのレース用にチューブラータイプのカーボンホイールのご注文です。

ホイールのことはよくご存じで使用目的がはっきりされています。ご注文の内容は的確で私のほうも提案しやすかったです。

チューブラーリム 35mm高25mm幅 365g
穴なしリムです

ご提案しましたリムは35mm高25mm幅のチューブラーカーボンリムです。重量は365gと非常に軽量です。ハブはTNIのレヴォハブ24・24hです。

TNI REVO ディスクハブ使用

一般にカーボンホイールではよく使われるスポークはサピムのCX-RAYです。しかしながら今回はDTコンペティション2.0/1.8/2.0mmを提案しました。

理由は剛性です。シクロクロスのレースでは瞬発力が大切と聞いています。私はレースに出ませんのでこのような情報はお客様より教えていただいた生の情報です。ストップアンドゴーの激しいシクロレースでは剛性がとても重要です。

CX-RAYは万能スポークと考えがちですがホイールの剛性はスポークの総面積に比例するという原則から考えますと剛性を出すならコンペティションとなります。ブランドには信頼がついてまわりますがスチールはスチールです。

CX-RAYなどの5gスポークではなく、6gスポークのコンペティションで組み上げることになりました。

1グラムの差ですがホイールの剛性はガラッと変わります。注意点はリムメーカーでは剛性のある2㎜のスポークを使うのは禁止ということです。カーボンが割れる恐れがあるのです。果たしてメーカーが勧めるギリギリの1.8mmスポークで作ることを提案しました。

尚、スポークが太くなりますとホイールはとても組みにくくなり、組み上げの難しさはぐっと増しますので注意が必要です。

カーボンリムはチューブラータイプです。幸いにもニップル穴のないタイプが手に入りますのでいつものように穴なしリムで作ります。このタイプのリムは扱いが難しいですが穴ありリムより強度があります。

わずかの差の積み上げが結果的に大きな差につながります。いわゆるマージナルゲインの積み重ねです。ニップルは腐食に強く強度の高いブラスニップルを使います。

前輪ホイール
均一にスポークは張られています
シルバースポークは手組ホイールの象徴
スポークテンションが均一です

ホイール作製の注意点として駆動効率のロスが発生しないように各スポークテンションをできるだけ均一になるように調整します。ホイールは作り方で出来不出来が決まりますのでとても重要なポイントです。

高性能の手組ホイール ブランドホイールに負けません

前後セットで1500gを切るホイール、2セットの完成です。レースに使われたご感想が楽しみです。

チューブラーホイールの作製

ブログより連絡入りました。チューブラーホイールのご依頼です。完組チューブラーホイールは今やカーボンホイールしか手に入らない状況です。アルミリムの場合手組ホイールしか選択肢はありません。

前輪 819g
後輪 1037g

多スポークホイールでロングライドにご使用したいとご連絡いただきました。時々競輪場でも練習をされるとか。この時は時速40kmの巡行で走ると伺いました。

これは凄いと思います。なかなかこのスピードでの巡行はできません。私も気合入りますが作製には特別なことはありません。通常のホイール作りと変わりません。

ティアグラハブ 前輪用
ティアグラハブ 後輪用

ハブは当初DURAハブ、アルテグラハブをご希望でしたが今はなかなか手に入りません。ティアグラハブがご用意できましたでこのハブに決定いたしました。ハブのグレードの違いはありますが性能には差はないと考えています。見た目の仕上がりの違いは大きくありますが回転性能に関しては遜色ないという考えです。

シマノハブは購入時点が極端な言い方ですが一番状態の悪い時と思います。使い込むとあたりがでてもっと回転が良くなります。ハブのあたり調整も好みに調整できます。

今回新品状態では少しゴリ感がありましたのでほんの少しですがナットを緩めて調整しました。

スポークはDTコンペティション黒を使用しています。使いやすいコンペティションです。ニップルはブラスで作ります。

25mm高 433g

チューブラーリムはキンリンのTB25を使っています。430g~440gのナローリムですが剛性が高いうえに25mmのリムハイトもありますので空力も期待できます。価格はリーズナブルで非常に使いやすいリムです。手に入れ易いおススメのリムです。派手なホイールではありませんが実利優先の方には是非ともトライしていただきたいホイールです。

トレーニング用にツーリング用に用途が広く、安価でよく回り、スポークが折れても無事に帰れる安全安心のホイールです。

また、32本スポークが多いと空気抵抗は少し増えますがほかのプラス面が多いので優秀なホイールには変わりありません。競輪では36hですので空気抵抗はそんなに問題ではないと思います。

前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

ホイールを組む際ハブが11速ではスポークの左右テンション差は大きくなります。この対処方法は右テンションを高くすることで相対的に左スポークテンションを上げる方法が一般的です。今回もこの方法を使うことにして右を高めに張ることにより左スポークテンションも一緒に高くするようにしました。左右のスポークはできるだけ均一になるようにスポークを調整しています。

自転車は1フレーム2ホイールといいますので是非とも使っていただきたいホイールです。

46mm高でディスクカーボンホイール作製

ブログよりご連絡がはいりました。46mm高のディスクカーボンホイール作製のご注文です。

メールだけのやり取りで商談を進めるのですがお客様には勇気がいることだと思います。しかし私のほうもありがたいことですが心配なこともあります。言わばお互い様です。

これらの心配事を超えてお客さまが喜んでいただいたご連絡を頂戴すると格別なものがあります。お顔あわせてご商談できればもっといいのですが、離れていましてもとても達成感を感じます。

最近のカーボンホイールのご注文はディスクホイールが多いです。やはり時代かもしれません。ツールドフランスではイネオスはリムブレーキでしたがほとんどのチームがディスクホイールでした。

しかし新しく自転車をオーダーされる方なら自転車業界はディスクホイールに移っていますのでディスクブレーキの自転車となるのは当然のことです。

ご依頼主は硬めのカーボンフレームに載せるといっておられます。スポーク決めるときにCX-RAYは乗り味が柔らかくなるので硬いフレームとは相性がいいと多くの方から評価いただいていることを申し上げました。果たしてスポークはCX-RAYということになり話はトントンと進みました。

前輪708g CX-RAY使用
前輪スポークテンションは均一です。
後輪 823g CX-RAY使用
スポークをいかに均一に張るかが一番大切です。

カーボンホイールのご注文はすべて穴なしリムのご注文です。穴なしリムは穴アリと比べて剛性の上では穴なしリムのほうが若干高いようです。おまけにテープがいらないのでとても扱いやすいホイールになります。作るほうは厄介ですが使う方にはメリットが多いです。

ニップルはDTのSquorxProブラスを使っています。このニップルは通常ニップルの2倍以上の値段がしますが強度面では価格以上の良さを感じます。ニップルにはグリスを塗りながらスポークを通しています。グリスを塗るのは回転しやすくするためです。ニップルとリム面の摩擦を減らして回転しやすくしています。面倒な作業ですがスポークテンションを上げていく際滑らかにニップルが回りますので作業がし易いです。オイルを注せば簡単ですがべとつきますので綺麗に仕上がりません。個人用ならオイルを注すのが簡単です。

ニップルに磁石ネジを取り付ける方法が楽です

ニップルを通すのに穴なしリムでは専用の磁石ねじを使って磁石で引っ張り出す方法が楽です。いずれにしましても仮組までが大変です。しかしこれを乗り越えればもう普通のホイールと同じです。スポークテンションを揃えて均一に、振れを最小になるように調整するだけです。 ホイールの重量は非常に軽量です。穴なしリムですので通常の穴ありリムより剛性が高く空力の良いリムです。

ノンブランドのホイールですが高価なブランドホイールに負けないパフォーマンスを発揮してくれます。お金を出せばいいホイールが手に入る。これはある程度は当たっていますがホイールは簡単に値段で決まるものではありません。

ホイール調整後のご感想

36hのホイール調整後ホイールをお返ししてから乗られた感想をお送りいただきました。

お預かり時点の後輪スポークテンション
調整後の後輪です。各スポークを均一になるように仕上げています。

以下ご連絡いただきましたメールそのままです。

36Hのホイールに乗ってみました。

1~2kmくらい巡航が速くなったような進むような…こちらはプラセボの所為かもしれません。

硬い輪っかに乗ってるような気もしますが、こちらもプラセボかもしれません。

乗り心地は若干硬いのかもですが、よく分からないレベルです。

違うと思ったのはアンダーパスを登る時に通常アウター×19Tで登りますが

アウター×17Tで同じくらいに登れたことです。

今までもたわみとか感じたことは無かったのですが駆動効率が上がっているのかもしれません。

完組に近くなったような気がします。

今は思い込みがあると思うので、明日も乗ってみます。

2回目のご感想です。

36Hのホイールですが、駆動効率向上しているようです。

通勤で家からサイクリングロードまで出て幹線道路までの平均速度が25.5とか25.8キロでした。

これまでは追い風に助けられないと出なかったので、微風に助けられたとはいえ

少なくとも1キロくらいは平均速度が上がっていると思います。

乗り心地と回り方にも慣れてきました。これが回転体という感じでしょうか。

ご感想から判断しました。確かにスポークテンションの調整で駆動効率は上がったようです。スポークの張り具合でホイールは確かに変わります。やはりテンションの均一化を図ることが重要です。

「手組ホイールの限界」というキーワードでネット検索しますといろんな方々がブログで発表されています。ビルダーさんのブログは勉強になります。結論的には手組ホイールを良くする方法はスポークテンションを揃えることが一番の近道のようです。

アルミニップルの破断

3年前にお買い上げいただきましたお客様よりご連絡がありました。XR31T/RT20・24hのホイールをお買い上げいただきました方よりニップル破断の連絡をいただきました。

お写真とともに状況をお知らせいただきました。

お怪我がなくて本当によかったです。

ホイール自体はとても具合が良く気に入っていただいています。実はお客様のホイールは2回目です。こんなことがあるのです。前回は後輪でした。今回は前輪です。

ビルダーとしまして恥ずかしいことです。アルミニップルの欠点を十分知っていたつもりでしたが正しく対処できていませんでした。

右のニップル以上に突き抜けたほうが良いと思います。

スポークがニップルを突き抜けるほどの長さでないとアルミニップルでは強度を保てません。

突き抜けるとやはり下手なビルダーと思われると考えていました。このためスポーク長をニップルのすり割りギリギリのところで長さを決めていました。やはりこれがだめでした。アルミニップルは突き抜けないと強度を維持することはできません。

ニップル破断はこれで5回目です。500本ほどホイールを作っていますので約1%です。ニップル破断を考えますとやはりもうこれでアルミニップルを使うことをはやめました。

使う場合は十分アルミニップルの欠点を十分ご説明して使うことにしています。スポーク長も長めにしてニップルから突き抜けるようにすることを説明しています。しかしほとんどの方はアルミの弱点を説明しますとブラスにされます。ブランドメーカーもニップルはトラブル防止のためブラスにしていますと説明しますとブラスにされます。

DTSquorxPro ブラス

お送りいただきましたホイールのニップルはすべてDTSquorxProブラスに交換しました。スポーク長も計算しなおしまして1mm長くしました。30gほど重量は増えるのですが安心感はぐっと増しました。 スポークのテンションを表したグラフをそえてお返しいたしました。

前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

ご連絡をいただきました。今お持ちのレー3よりもよく走ると気に入っていただいています。お怪我がなくて本当に良かったです。

バルブ3個目でうまくいく

7月になって立て続けにチューブレスレディーホイールのパンクが続きました。テープが破れるリム打ちパンクでした。

①テープを貼り替え

②タイヤをきれいにする

③シーラントを入れる

チューブレスレディーホイールは少なくても3つの作業をこなさないといけません。どの作業も大切です。一つでも手を抜くとうまくいきません。

今回2本パンク修理を行いました。どのホイールも3項目に注意してやり替えました。2本ともうまくビードが上がり修理は終わったのですが1本はうまくいきました。しかしもう1本は1日経つと空気が漏れて2気圧になってしまいます。

また一からやり直しです。タイヤを外して、シーラントを抜いて、テープを貼り替えます。

3つの手順を守って作業します。バルブも変えました。ビードが上がり空気を入れて一日置いて見ました。

空気圧を測りますとまた2気圧に減っています。

きれいにテープを貼っていますので考えられるところはタイヤのシーラント滓が原因と考えました。もう一度きれいにタイヤをほとんど新品状態になるまできれいにしました。

また空気を入れて一日様子を見ました。

やはり2気圧に減っています。

バルブ3個目で成功しました

もうバルブしかないと考えました。新しいバルブを入れてやり直しました。果たして今度はうまくいったようです。空気圧は6気圧入れて5.2気圧に減っています。これなら妥当なところです。

3回目でやっとうまくいきました。新しいバルブでもうまくいかないときがあります。

そんなときはバルブを疑うことも必要です。

チューブレスホイールは本当に大変です。私は性能のほうを優先しますのでチューブレスタイヤを使っていますがクリンチャーに戻られる方が多いのはよくわかります。うまくいかないときはバルブです。

ホイール調整のご依頼

通勤やロングライドに愛用されている手組ホイールの状態を知りたいというご連絡が入りました。

私はいつもスポークテンションが揃っていることが大切とこのブログに書いています。このテンションの一致にとても興味を示された方からのご依頼です。

今乗っておられるホイールを調整しますとどのように変わるのかを知ることは私にとっても勉強になりますのでテンション調整をお受けすることにしました。

前輪 915g
前輪DURA HB-7900 36h 左右3クロス組
後輪 1036g FH-7900 36h
Duraハブは丈夫で美しいですね。左右3クロス組です。

お預かりしましたホイールはマビック36穴オープンプロに36穴Duraハブ、スポークはDTチャンピオンにブラスニップルという構成です。

いつもホイールをお預かりしますとスポークテンションを点検いたします。グラフにしました。

以下ホイールを点検しました。

前輪

お預かりの時状態

センターはしっかりと出ています。驚くばかりです。
センターがよく出ています。

きれいに組まれています。目視では縦、横の振れはありません。センターも驚くばかりドンピシャです。

スポークテンション

スポークテンションが約60kgfです。とても緩い仕上がりです。スポークテンションは強弱、強弱でバランスが取れています。

スポークテンションは約58kgfと緩い仕上がりです。緩いテンションはスポーク折れの原因になりますのでもう少し高いほうが良いと思います。

一般には前輪は100~110kgf、後輪右110~120kgfが良いとされています。

各スポークを計測しました。バラつきがとても多い仕上がりです。各スポークが強弱、強弱とバランスが取れているので振れが出ていないのです。お預かり時のスポークテンションをグラフにしています。

各スポークにばらつきが多いホイールは長い期間使用すればスポーク折れの原因になります。今まで折れなかったのはスポークが太くて36本あるので各スポークへの負担が分散されて負荷が少なかったと思います。

リムテープを少しめくってスポークの長さを見ましたが適正でした。

作業

各スポークテンションを約100kgfにあげてしっかりと揃えています。

各スポークのテンション調整を行いスポークのテンションを揃えできるだけ均一になるようにします。振れは最小に、テンションは最大限均一に、このような作業を行います。

最後にスポークの緩み止めのためロックタイト220を各ニップルに一滴注いでいます。固着しないタイプですので簡単に緩めることができます。

後輪

お預かり時の状態

下写真と比べたらセンターが少しずれているのがわかります。
左非ドライブ側に約0.5mmずれています。しかし問題なく乗れるのは確かです。

きれいに組まれています。振れもありません。センターが少しずれています。

スポークテンション

強弱、強弱と続いています。これでバランスが取れています。一ヶ所ゆるゆるでグラフにならない箇所があります。

スポークテンショングラフで見ることにしました。各スポークのテンションを測りますとよくわかりますがバラつきが非常に大きいです。後輪も強弱、強弱の連続です。強弱、強弱とバランスが取れていますので振れが出ていません。この理由で見た目ではきれいにできています。ホイールは見た目ではわかりません。

ホイールが回り、力が各スポークに加わりますとばらつきスポークが原因で駆動効率は下がります。加わる力が一定でも受ける側のスポークにばらつきがあるので均一に力が伝わりません。しかしこれらの違いがわかるのは高速時で低速ではあまり分からないと思います。

スポークが36本あるのは非常に強力で欠点が目立ちにくいです。グラフでもわかりますが1ヶ所ゆるゆるのスポークがあるのに乗れています。多スポークホイールの良いところが出ています。

作業

後輪です。各スポークを均一になるように仕上げています。

●スポークのバラつきが大きいので先ずこれを是正します。

ドライブ側と非ドライブ側とは少しずらしています。下写真と少し違います。
ほんの少し非ドライブ側に寄せています。

●センターがずれていますので先ずセンターを出してからほんの少し非ドライブ側(左側)に寄せるように調整します。0.2mmくらいが良いかと思います。タイヤをインストールしますとリムは右に寄りますので事前に少しだけ寄せておいてスポークの調整をします。

●各スポークテンションのバラつき偏差は5%以内に収めます。

●最後にロックタイト220を各ニップルに少し注いで固定します。スポーク、ニップルを痛めることはありません。固着しないので緩めることも容易です。

まとめ

お預かり時と修正後は見た目は同じです。振れもほとんどありません。

後でホイールはご自分で作られたのですかと伺いますと自転車屋さんにオーダーされたそうです。振れ取りができれば完成と思われている方が多いのは事実です。あと一歩足りないのが残念です。

各スポークを見直し、スポークテンションを均一になるように調整しました。

恐らく乗り味はスポークテンションを上げましたので少し硬くなった用に感じられると思います。これはホイール剛性が上がったということではありません。スポークテンションと剛性とは別の問題です。ホイールの剛性はスポークの総面積に比例しますのでテンションを上げたから剛性が高まるということではありません。

乗り味が変わったのか、あまり変化はないのかインプレを教えていただけると思いますので楽しみです。