重い前輪ハブ

軽量ハブはよく使っています。台湾製のノバテックA291SBです。20穴がメインでよく使います。重量も60gですのでとても軽くベアリングは699規格です。ベアリング取り換えも簡単にできます。高級ハブではありませんが安かろう悪かろうではありません。品質はとてもいいハブです。

ノバテック A291SB 20h 60g

普段は上記のような軽量ハブに目が行きますが少し重いハブもとても良いところがあります。ホイール総重量は増えますがホイール中心部の重さです。回転には影響しません。丈夫さ、回転重視で考えますと120g~150gのハブには良い点がたくさんあります。

ミケ 132g

例えばミケハブを見てみます。ハブの重量は132gです。結構重いのですが、重い=丈夫ということです。ハブシェルが強固と考えることができます。そしてベアリングは6001の大きなベアリングです。サイズが大きいので回転は安定しています。とても使いやすいハブです。

シマノ アルテグラHB-6700 18h

次はシマノハブです。写真は18穴のアルテグラハブです。156gあります。現在は販売されていません。このハブは特殊ですが一般に購入できるハブは32穴、36穴の105,アルテグラ、ティアグラです。穴数が多いハブしかありません。ティアグラハブだけは28穴が販売されています。一番よく使われる20穴は販売されていません。とても残念ですがシマノさんの戦略ですので仕方ありません。

多スポークホイールにはこのシマノハブは一押しです。シマノのカップアンドコーンハブは自分で容易くメンテができるように設計されています。グリスアップの手入れさえまめに行えば本当に長く使えます。

BITEX RAF16 120g
RAF16  6000ベアリング使用

台湾ハブにも重いが丈夫なハブがあります。バイテックスのRAF16です。120gと重いのですがこのハブも丈夫です。重いが丈夫、ベアリングが大きい、利点が沢山あります。ベアリングの交換は楽です。ベアリングは6000と大きく、丈夫なベアリングのため交換はあまり必要ないです。そして交換の時はNTNの非接触型にすれば最強ハブに変身します。

 

どうしても軽いホイールを求めると敬遠しがちな重いハブですが使ってみると別の良さを発見します。重いハブはおススメです。

32h多スポークホイールのインプレをいただきました

以前ブログで紹介しましたお客様よりお納めしましたホイールの印象をお送りいただきました。ブルべなどのロングライドに適したホイールをご希望でした。ホイールの内容は前の記事をご参考願います。

 

以下インプレです。

後輪1080g
後輪スポークテンショングラフ
前輪836g
前輪スポークテンショングラフ

 

少し乗り込んだので感想を。

まずは部品持ち込みですが快く組んでいただきありがとうございます。
予定していたブルベ が開催中止になってしまいましたが、合計500kmくらいは走ったので感想を少し。

ピストバイクで手組みホイールは数セット所有していますが、届いて触った瞬間に良いなって感じました。やはりスポークテンションの均一化のおかげですね、ニギニギするとよくわかります。

 

早速タイヤを組んでみますが思ったより重いです。

たぶんハブの重さでしょうが走ると全然気にならないです、加速の軽さは無いですが、自分の狙っていた25〜30kmくらいのブルベ走りにドンピシャでした。以前使っていた軽量ホイールは速度維持がピーキーでちょっと疲れました。
そして登りが意外にも掛かります。これは驚きました。多スポークが効いているのでしょうか、何か路面を蹴る感じが細かい?グリップ感が高い?感じです。いつもの坂もタイムはほとんど変わらなく登れました。
32h のホイールを検討しているのであればお勧めですよ!そしてフロントクロス組の乗り心地は最高です。

大したインプレッションじゃないですが感じは伝わりましたか?
ホイールすごく調子よいです。また組んでもらいたいので貯金して妄想してますw

 

 

多スポークホイールはクラシックな姿ですので今販売されている完組ホイールにはほとんどありません。大方は手組の注文ホイールになると思います。

 

長い時間自転車に乗っていますと地面からの振動がハンドルに伝わります。この振動が原因で疲れてしまったという経験をお持ちの方は沢山おられると思います。

最近のホイールは少ないスポークでキンキンのハイテンションに仕上げています。スポークが多いとショックアブソーバーの働きをしますが少スポークではそのような機能は少ないようです。

少しでも早く走りたい人には空気抵抗が少ないことが大きな要素となりますがブルべのようなロングライドをしたい方には疲れにくいホイールというほうに優先順位が高くなると思います。

 

多スポークホイールを見直していただきたいものです。通常のレースとは違った楽しみ方で自転車に乗られている方はとても多いと思います。今回のインプレはとても参考になります。

イネオスはリムブレーキ

毎日ジロデイタリアを楽しんでいます。じっくり各チームのバイクを見ていますとほとんどのチームはディスクブレーキを採用しています。メーカーから提供されていますので各チーム、選手は好みを通すわけにはいかないのでしょう。

じっくり見ますとリムブレーキです

解説を聞いていますとイネオスはリムブレーキだそうです。これを聞いてからじっくりバイクを観察していますと果たしてイネオスはリムブレーキでした。

 

レースに於いてディスクブレーキにするとタイヤ交換には時間が掛かります。このためサポートの車には交換用の自転車を積んで走っていますがただこれなら1回だけの交換できても連続してトラブった場合はほかの選手の自転車を借りるなど違う方法で対処しなくてはなりません。このように一般にはディスクブレーキの対応には時間が掛かります。

 

その点リムブレーキではパンクしてもホイールだけを交換すればよく、時間はかかりません。1秒を争う場合これは大きな利点です。予備ホイールも沢山準備できます。サポート陣には大きなメリットがあります。

 

イネオスはこのようなディスクブレーキのデメリットとリムブレーキのデメリットを十分検討してリムブレーキを採用していると考えます。マージナルゲインを積み上げて勝利を獲得するイネオスの考え方は見上げたものです。

 

勝手な想像ですがホイールメーカーがディスクホイールのシステムで使ってくだいといってきてもチームの考え方はリムブレーキのほうが有利ですということで断っているのかもしれません。イネオスは宣伝効果を期待するメーカーの申し出を断っているのでしょう。勝利のためにはリムブレーキのほうにメリットがあると考えているのでしょう。これはあくまでも私見です。

 

私の素人考えですが科学的手法でチーム運営するイネオスには感心することが多いです。もちろんほかのプロチームも同様に行っていると思いますがイネオスは際立っている感があり改めて見直しました。

 

私はただただ経済的な理由でリムブレーキを使っています。時代に追いつけるようにしたいです。

なじみだし4回目

今ご注文のホイールの作製中です。いつも何気なしにホイールを完成して一日置いて再調整していました。精度の高いホイールを仕上げることとして大切な手順です。

 

なじみだしはどのくらい必要かを考えました。海外ではなじみだしのことをストレスリリーブといっています。

 

ホイールを一日置いて仕上げることは昔から言われていることのようです。ビルダーの経験則から出たのでしょう。自転車屋さんはとても閉鎖的で技術というほどのものでないことでもあまり人には言いたがりません。もちろん当たり前のことでしょう。長年いろいろ試行錯誤しながら会得していくものですから言いたくないのはわかります。

 

さて3回目のなじみだし後にとったテンショングラフと4回目にとったテンショングラフを比べてみます。

なじみだし3回後のスポークテンショングラフ
なじみだし4回後のスポークテンショングラフ

ほとんど変わりません。

今までの経験から行うホイールのなじみだしですが3回やればとても効果があるようです。

手の感覚について

ディスクホイールを作製していました。

RR421リムで作製

リムはDTのRR421ディスクリムです。ワイドリムで軽量ながら剛性も期待できる優秀なリムと思います。

フロントホイールを作っている途中でなんとなく1本スポークが違うなと思っていました。

 

スポークはピラーのTB2015というトリプルバテッドスポーク(2.2/1.5/2.0mm)を使っています。スポークカットを行った時点ではいつもの通り計算したスポーク長にカットしてニップルにグリスを塗りながら作業を進めました。

 

仮組が終わった時点ではわからなかったのですがスポークテンションを上げている時にわかりました。やはり1本太さが違うのです。どうもおかしいのでノギスで測りますと太さが1.8mmあります。どうもピラースポークのストックの中に1本紛れ込んだのでしょう。スポークカット前の時は長さがほぼ同じでわかりませんでした。いつ紛れ込んだのかわかりません。

上DTスポーク 下ピラースポーク

点検しますとスポークのマークが違いました。やはり違っています。スポークはDTのコンペティション(2.0/1.8/2.0mm)でした。長年スポークをさわっていますと感覚でわかるようになってきました。

 

ではスポークテンションはどうでしょう。

 

このホイールですがスポークの違いはすぐに分かるのですがスポークテンションはなかなかさわってもわかりません。私には感知しにくいです。

スポークテンションを上げて振れも全くないホイールに仕上げましたがスポークのテンションを調べると全く揃っていませんでした。

強弱、強弱と各スポークがバランスとりながら仕上がります。振れはきれいに取れています。

スポークを握ってテンションの違いはよくわかりませんのでテンションメーターを信頼して作ることにしています。もちろんある程度違いはわかるのですが細かい絶対値となるとスポークを握っただけではわかりません。校正したテンションメーターが頼りです。

ゾンダ後輪を分解

ゾンダ後輪を分解しました。

注意点はハブねじに逆ねじ部分があることです。ゾンダのハブ分解を説明しているYouTubeを参考にすると良いかもしれません。

私はカンパニョーロのホームページを開いてサポートページからハブの解説を読んで勉強しました。図解で説明していますのでわかりやすいです。

ハブは壊れにくい構造です。つまりとても簡素な作りをしています。仕組みさえわかればハブの手入れは難しくありません。カップアンドコーンのハブは基本的にはユーザーが手入れをするように考えられていると思います。

もちろんシールドベアリングを使ったハブも構造はとても簡単にできていますのでベアリングの取り換えもそんなに難しいものではありません。

 

ハブは壊れないように作られています。構造は簡単です。

 

しかし往々にしてハブのねじは固着していることが多いです。ホイールはバイスの上に載せて5mmのレンチには延長補助パイプを使って回すことにしました。

このパイプは建材の部品に適当なパイプがあったので30cmほどの長さに切って使っています。てこの原理でやれば力はいりません。

 

さて、ゾンダですが分解しましてよくわかりました。

491g アルミで剛性を得るには必要な重さ
293g 意外と重い
扁平スポーク使用21本で117g
21個で19g ブラスです

表にしました。

 

  重量(g) 数量 単品重量(g)
リム 491 1 491
ハブ 293 1 293
スポーク 117 21 5.6
ニップル 19 21 0.9

 

ここで注目点をあげてみます。

 

①リムは結構重いです。リムの剛性を考えますとアルミリムの場合500gほどあっても仕方ないことで軽いのに越したことはありませんがある程度の重量は仕方ないと思われます。知り合いにゾンダは軽いので漕ぎ出しが軽いといっていた人がいますがこれはプラシーボ効果ではないでしょうか。

 

②カップアンドコーンのハブを使用しています。重量は重いです。もう少し軽いと思っていましたが意外でした。シマノのハブは350gほどありますが中心部の重量ですので軽さばかりが気になる人にはいい情報と思います。

 

③スポークは約6gの扁平スポークです。まあ普通です。

 

④ニップルはブラスです。私はアルミニップルを使用するのをやめました。お客様が希望されるときは使いますが基本は扱いません。丈夫さを考えますとやはりブラスです。

 

アルミホイールの指標となるゾンダは意外と重かった、こんな印象です。つまりアルミホイールでは剛性を得るにはそれなりの重量が必要です。素材の特性で仕方ありません。

穴なしリム使用

穴なしリム使用し、ニップル穴部分の厚みを取って強度を高めています。これらは剛性に影響していると思います。アルミリムの弱い部分を工夫して補っています。また、このリムはオフセットリムではありません。このため11速で左スポークのスポークテンションを高めるためには2:1組を採用しています。

2:1組で非ドライブ側のスポークテンションを高くすることができるのでフランジ幅は広くとっています。支え棒のように横剛性を高めています。本当によく考えられた設計です。詳しく見ますとさすがカンパニョーロと思います。

 

ホイール作りに参考になることが多くありました。ゾンダのハブは重いのです。ホイールは自動車のばね下と同じと考えで軽いほうが良いのでしょうがアルミの場合は適度な剛性を得るには重量は覚悟をしないといけないようです。

25㎜高カーボンホイールのインプレ送っていただきました

カーボンホイールをご注文いただきましたお客様よりホイールのインプレをお送りいただきました。お客様は昨年アルミホイールをご注文いただいています。的確に印象を述べていただいていますのでカーボンホイールを作られる方には参考になると思います。

以下全文です。

今回製作していただいたホイールのインプレを送らせていただきます。

タイヤ:コンチネンタル グランプリ無印25C
チューブ:軽量ブチルチューブ
空気圧:F:88psi R:90psi
乗り手の体重:65キロ(例年のこの時期より5キロほど重いです……)

タイヤ、チューブ、空気圧は比較対照の46ミリカーボンホイールと同じ条件にしています。

まずメインターゲットの登り区間ですが、リムの軽さとスポークテンションのバランスの良さからシッティング、ダンシング共に軽快です。リムハイトが低いので横剛性が気になるところですが斜度10%付近でダンシングをしてもよれる感じは全くなくシュータッチもありませんでした。

次にアップダウン区間では登りの軽さもさることながら下りがスムーズでスルスル加速していく感じが強いです。また、ブレーキもしっかり効くので不安なく乗ることができます。

リムハイトが低いため平地がどうなのかというところですが、私の脚力では46ミリハイトと違いを感じませんでした。

ちょっと気になる点としては横風の影響でしょうか。山形の庄内地方は5メートル前後の風が吹くことが多く、今日も横風だったのですが比較対照の46ミリハイトよりも風を受けやすい印象でした。リムの軽さによるところがあるかもしれません。

全体的に私のイメージしたホイールになったと思います。平地、山岳関係なくこのホイールで行けそうです。

ひとまず使ってみた印象はこのような感じです。
また暫く乗ったらメールさせていただきます。

このように実際に使われている方のお話はとてもありがたいことで参考になります。写真も一緒にお送りいただき、楽しさが伝わってきます。私の仕事にとってもうれしいことですが、何よりも喜んでいただいていますことが一番励みになります。

46mm高カーボンディスクホイールの作製とインプレいただきました

46mm高のディスクカーボンホイールのご注文をいただきました。

 

リムメーカーに発注しまして1ヶ月以上リムの入荷にかかります。辛抱強くお待ちいただきました。リムは高価ですので沢山在庫することができません。このため入用買いをしています。すぐにお届はできませんがしっかり調整出来たホイールをお届けしています。価格もリーズナブルです。仕様は以下の通りです。

穴なしリム使用 前後1494g
後輪 811g
後輪左右2クロス組 サピムCX-RAY使用
後輪スポークテンショングラフ
前輪683g
前輪左右2クロス組 サピムCX-RAY使用
前輪スポークテンショングラフ

仕様

リム 46mm高カーボンリム 穴なし

ハブ TNI REVOハブ ディスク用

スポーク 前後ともにサピムCX-RAY

ニップル DT Squorxpro ブラス

 

前輪 683g 後輪 811g 前後1494g

非常に軽量ホイールです。

 

通常チューブレスレディーリムの場合パンクやタイヤを変えるときにテープを取り換えなければいけませんがリムテープがいらないのはとてもメリットの大きいものがあります。テープ代金は結構嵩むものでメンテナンスに於いてかなり違います。

検証できていませんがリムに穴があるのとないのとは強度面で違うと思います。ゾンダのアルミリムは穴なしリムです。リムの剛性が高いのはこの穴なしが理由と思うのです。

穴なしリムは作る側にとっては難しいのですが使うお客様にはとても便利なリムです。

 

納品が終わりまして乗られた時の印象をお知らせいただきました。

以下原文です。

 

ホイールの発送案内を送付いただき、ありがとうございます。

昨日、ディスクカーボンホイールが無事到着いたしましたことを報告いたします。

 

本日、作製していただきましたカーボンホイールの試走に行って参りました。

試走ですので距離は30km程ですが、一言で本音の感想を申し上げますと

『思ってた以上に凄くいい感じです』思って以上になんか云うと失礼になると思いましたが、価格以上のものを直ぐに感じました。

 

私のような貧脚のロードバイク乗りでも速度が伸びる、良く回ると感じました。

手組ホイールファンさんのHPを見ているとリピートオーダーをされている情報を

よく見ますが、走ってみてリピートオーダーをされている皆さんの気持ちが良く分かる

ようになりました。

 

手組ホイールファンさんの存在をヤフオクから年初に知りましたが、その1か月半前に

トレックショップでボントレガーの約20万円のカーボンホイールを発注して2カ月間、

入荷を待ちましたが、それよりずっと価値を感じております。

恐らくボントレガーの約20万円のホイールでも、手組ホイールファンさんがこだわって組まれているようなスポークテンションなんかバラバラなんだろうなって思ってしまいます。

 

長文になりましたが、安価でいいカーボンホイールを作成していただき、改めてお礼申し上げます。 本当にありがとうございました。

 

お客様に喜んでいただくことが私のモチベーションになります。ホイールだけに特化していますがいろいろ研究していきたいと思います。ありがとうございました。

25mm高カーボンホイールの作製

昨年22mm高のアルミホイールを受注いただいた上級ライダー様より再度カーボンホイールのオーダーをいただきました。リピートオーダーです、ありがたいことです。

 

今回のカーボンホイールはヒルクライム用として注文いただきました。リムは25mm高25mm幅の超軽量カーボンリムを使用します。チューブレス、クリンチャー兼用の穴なしリムです。リムテープは要りません。

 

前輪は軽量化と空力を意識しましてサピムのCX-RAYスポークをラジアル組で使用します。

後輪は左をサピムのLaserで3クロス組み、右ドライブ側にDTのコンペティションを2クロス組で希望されました。

スポークのオーバーラップ

後輪左3クロス組は24hハブの場合スポークがオーバーラップしますことをお伝えしました。左側を3クロスで組みますと2クロス組より1%テンションが上がります。少しでも左側のスポークテンションを上げることをお客様は決定されています。

 

お客様とはいろいろとリムの提案、スポークの選択や組み方など連絡を取り合って納得しながら作り上げていきます。完全にオーダーメイドの方法です。

 

アルミニップルを使いますと前後で30gほど軽くできるのですが強度や腐食のことを考えてブラスニップルを選ばれています。この選択は私も同じ考えです。やはりブラスのほうが少し重くなりましても安心安全と思います。

 

このリムを発注するときにリムメーカーの担当者より穴なしリムでは25㎜高は難しいからやめておいた方がいいよといわれました。どうしてそんなこと言うのか最初わかりませんでした。

 

果たしてリムが届いて理由がわかりました。25mm高のリムではリムの中にウレタンが残っていることが多いのです。カーボンリムの製造過程を詳しく知っているわけではありませんがカーボンリムを作る工程で使われるウレタンフォームが残っていることがあるので難しいですよとアドバイスしてくれたのです。

 

実際今回のリムには一ヶ所残っていました。穴が開いていないので取り除くことができません。ウレタンが邪魔をしてなかなかニップルを通すことができず振ったりたたいたりで何度も作業が止まりました。

うまく完成するのか冷や汗ものでしたがうまく作り上げることができました。25mm高の穴なしリムにはこんな注意点が必要です。メーカーも25mmの穴なしリムは受付していません。無理を承知で注文しています。メーカー担当者に難しいよといわれても頑張って作りたいと思っています。しかしご自分で作られる場合穴なしリムはもう一サイズ大きいリムで作ったほうが良いようです。

前輪564g
スポークテンションを均一にする
後輪792g
テンションばらつきを5%以内に仕上げる
後輪 ドライブ側 2クロス組
後輪 非ドライブ側 3クロス組
穴なしリム使用

出来上がりましたホイールは前輪564g、後輪792g、合計1356gと非常に軽量のホイールが出来上がりました。インプレいただくのが待ち遠しいです。

Prime black edition カーボンホイールを調べる

お客様よりご依頼がありPrime black edition を調べる機会を得ました。

ご購入の時点では調子が良く、数か月すぎて少しスポークのバラつきがあるのではないか心配になりましたと相談を受けました。

結論を言いますとスポークのテンションはとてもよく整えられています。バラつき偏差は5%以下の仕上がりで、今まで点検しました完組ホイールの中ではとてもよく調整されたホイールでした。お客様はホイールに慣れて購入時点の感動が薄れただけでした。ホイールはしっかりしていました。

このホイールの詳細です。

前輪スポークはDTのエアロスポークです。後輪ドライブ側に同じエアロスポークでも少し1.2mmの厚みがあるエアロコンプを使い左非ドライブには0.9mm厚スポークです。

とてもよく考えられたホイールと思います。

ハブはPrimehubとして販売されていますが形状、サイズからノバテックハブと推察します。このハブはストレイトプルスポークを使うハブです。各寸法を計測しまして計算上の左右スポークテンション比率は37:100です。

少し左スポークテンションが低い数値となります。逆にいいますとスポークの角度を取れますので横剛性は高いといえます。いわば支え棒の考え方です。何事も良いとこばかりではありません。どの点に目が行き、どの点に目をつぶるかです。

点検していて一つ気になることがありました。

前輪 左113kgf右114kgf バラつきもないよくできたホイールです
後輪 左62kgf右164kgf  テンションばらつきはないが、右がとても高い

非常に後輪右ドライブ側スポークテンションが高いことです。スポークのテンションを高くしたから剛性が上がることではありません。ホイールの剛性はリムの剛性+スポークの総面積に比例します。スポークテンションを高くすることで剛性は上がりません。ではなぜこのホイールは右側テンションが高いのでしょうか。

ハブセンターオフセットを計測

理由はハブの構造上ハイテンションに仕上げないといけないようです。左右のテンション比率差が大きいので右側を高く上げないと左スポークがゆるゆるで仕上がってしまします。緩くても乗れないことはないのですが過去の経験上、左は50kgf以上が望ましいと考えられています。正解値はありません。

グラフで示すように右側を大きく上げることにより相対的に左を上げています。強度的にはハブはストレイトプルスポークを使いますので構造上引っ張りには強い形です。このハブだからできるスポークテンションと考えます。しかし常に160kgf近いハイテンションで引っ張っているので経年劣化は通常より早いのではないかと心配します。ただしこのことに関しては残念ですがよくわかりません。

私がいつも買っているカーボンリムメーカーではスポークテンション値は125~135kgfで仕上げてくださいとマニュアルに書かれています。

スポークテンション校正器で調べなおしました

この160kgfの数値ですが私のテンションメーターが間違っているのかと心配になりましたのでテンション校正器で調べました。ホイールに使用されているスポークと同じエアロコンプを持っていますのでスポークを160kgfで引っ張り、メーターで測りますと同じ数値を検出できました。おおむね合っています。

ホイールはタイヤをインストールしますとスポークテンションは10~15%下がります。場合によっては20%下がるホイールもあります。このホイールのハイテンションはおそらくテンションダウンを想定して作っていると思います。タイヤインストール後、左側50kgfアップを得るために右ドライブ側をハイテンションに仕上げているのでしょう。それにしても驚くばかりのハイテンションです。

このホイールに乗ったことはないのですが総じてとてもよくできていると思います。作り方が丁寧です。ただハブの構造上、左テンションを上げるために右側をハイテンションに仕上げないといけない造りです。

このホイールはUCI公認ということでプロチームに提供されているホイールのようですが耐久性に対して知りたいものです。とても高いテンションで作られていますのでどのくらいでプロは交換していくのでしょう。想像ですが意外と交換サイクルは早いのかもしれません。

お客様が心配されたスポークテンションはとてもよく管理されていると思います。ホイールはとてもよくできています。グラフを参考にしてください。

いつも思うのですが海外通販で購入されたホイールは皆さんどうされているのでしょうか?面倒見てくれるショップはそんなに多くはないと思うのですが…

消費者は集められた評価、星の数を頼りに購入されると思います。価格の面で有利なところが多い海外通販ですがこういう機械ものにはメンテナンスが欠かせません。自分でメンテナンスができる人には良い買い物です。周りに面倒見てくれる人がいる人も安心できる良い買い物が出来ると思います。

しかしながら大方の自転車屋さんは面倒を見てくれません。うちでは扱えませんと断られるのが目に見えています。面倒見てくれる場合でもショップで買われた場合と価格が違います。お客様だけにいい目が出る仕組みにはなっていません。

このPrime black edition ホイールは現在価格88000円で販売されています。予備スポークもついています。業者のカタログを見るとビッグブランドの価格と比べてとても安価です。送料無料ですが関税7.8%と地方税がかかることを承知しておかないといけません。

縁あってこのホイールを点検させていただきました。ホイールはよくできていて何もさわることなくお返ししました。お客様もよくできているホイールと聞かれて安心されたようです。

プライベートブランドのホイールを10万近く出すのは勇気のある買い物です。掲載されている☆評価だけを頼りの買い物です。返品もできるシステムで安心できる会社で私もよく利用します。ただ私はよくわかっているものだけにしています。もっと高価なブティックブランドのホイールの場合どうなんかなと思います。買ったが近所の自転車屋は面倒見てくれない、どうしたらいいのでしょう。オークションにでも出しますか?