フックレスカーボンホイールの作製

チューブレスカーボンホイールをご依頼いただきました。リピートオーダーのお客様です。

いつも報告しますがt当方の作りをご理解いただいているということですから繰り返してのご注文はありがたいです。

フックレスリムです。

さて、今回は初めてのフックレスカーボンリムです。いままではフックありのリムばかりでしたが恐らくこれからは増えていくと予想されるリムでのご注文です。

タイヤが大きく変わってきました。フックレスタイヤはビードがなくタイヤ面をしっかりリム面に密着させてタイヤをインストールしますので扱いやすくなります。空気圧も下げて乗りますので乗り心地が良くなります。転がり抵抗も良くなると聞いています。

タイヤの選択肢がまだまだ少ないのですがもっと増えてくると思われます。

ENVE リムブレーキ用 フロント20h
ENVE リムブレーキ用 リア 24h

ハブはENVEのリムブレーキ用ハブです。このハブはお持ち込みです。ENVEハブも初めてです。ハブフランジが特殊です。ラジアル組ではスポーク長の計算は楽ですがクロス組になりますと少し難しいです。難しいといいましても通常の計算には変わりありません。ENVEのホームページで出されている数値データには十分再確認が必要です。やはり実測が大切です。

初めてのENVEハブですがお預かりのハブなので失敗はできません。十分注意を払いながら作業を進めました。前輪はラジアル組、後輪は左右2クロス組です。ハブはフランジ幅が広くとられているのでスポークのブレイシングアングルが大きく横剛性がとても高く仕上がります。このハブの特徴です。ベアリングもNTNのLLBベアリングを使用されています。

前輪654g ラジアル組

前輪スポークテンショングラフ
ENVEハブ フロント 20h
後輪 808g 2クロス組
後輪スポークテンショングラフ
後輪 CX-RAY 2クロス組

36mm高のリムでフックレス・ディスクホイールは次のような仕様です。

リム 36mm高28mm幅 前輪20h後輪24h ともにフックレス ニップル穴なし

ハブ ENVE hub リムブレーキ用 

スポーク サピムCX-RAY 黒

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

エンヴィハブにフックレスと今回のホイールには2つも初めてのことを経験させていただきました。

やはり初回ホイールでご信頼いただけたことはありがたいことです。作製に関してはスポークテンションをできるだけ均一に、できるだけ振れを最小にすることを念頭に仕上げました。お客様のインプレが楽しみです。

DURAホイールのプラグ回し

DURAホイールは通常のニップルを使われていません。プラグといわれる形状です。スポークのねじ部分はハブのほうに取り付けます。

当然通常のニップルではありませんので3.2mmや3.45mmのニップル回しは使えません。専用の器具が必要です。

4.4mmと3.75mmが使えます。

シマノ用の工具として販売されています。4.4mm幅がいります。

パークツールのニップル回しですが少しばかり長さがありますのでてこの原理であまり力入れずに使えます。このニップル回しは便利なところもあるのですが何回転も回すときにはこれほど使いにくいニップル回しはありません。不便極まりない代物です。

おまけに2方向の押さえで回しますのでニップルを舐めやすいのも欠点です。

どんなものでも長所欠点はあります。

職人さんは自分用の道具を工夫して持っていると良く聞きます。私も自分なりに工夫した道具を使っています。これです。

改造したニップル回し

DURAホイールでは専用のニップル回しを使ってパークツールのニップル回しと併用で作業を行いました。

写真はパークツールのニップル回しを改造しています。ブルーのニップル回しはそのままでは使えませんのでシマノのプラグにあわせて削ってあります。硬い金属で作られていますので削るのは難儀しますが一つあればいつまでも使えます。やすりを数本潰して作りました。

スポークに添い易いように中央部分は切り取っています。これも一つの改良点です。角度の調整ができますので回しやすくなります。

シマノホイールを使っておられる方には便利な道具で楽に振れ取りができます。おススメです。

DURAホイールの調整依頼②

先日シマノDURAホイールの再調整を承りましたことを記事にしました。

この時のホイールの調整で感じたことをもう一度詳しく考えたいと思います。

ホイールのスポークテンションがとてもハイテンションで調整されていました。後輪の非ドライブ側が92kgfほどのテンションでした。

お預かり時のスポークテンショングラフ

通常スポーク数が1:1組の場合左:右のテンション比率は左50前後:右100の比率です。つまり右の約半分が左になりますのでこのホイールでは右は180~200kgfのスポークテンションでないとセンターが出ないことになります。

ご依頼主はヤフオクでDURAホイールを購入されたのですが購入された時からすでに左テンションは90kgfであったようです。つまり右は異常なハイテンションのホイールでした。私のほうに送られてきたときはスポークもねじれたスポークであったのですがねじれはヤフオクで購入したときからねじれていたと聞いています。

前のオーナーは自分で調整したがうまくいかずヤフオクに売りに出したと考えられます。ヤフオクで落札してそのまま2年間乗っておられたのですが事故なく乗れたのが幸いです。

さて、シマノのマニュアルはネットで検索できます。本当にこのシステムは素晴らしいといつも感心しています。自転車のことはシマノのマニュアルで勉強する、これだと思います。大概のことはこれで事足ります。

あるショップの人が自転車の組み立ての際パソコンを横に置いてマニュアルを見ながら作業しているショップオーナーさんがおられたことを思い出します。

しかし頼りになるマニュアルですが読み違えますと大変なことになると思います。

今回のDuraホイールではおそらくマニュアルの読み違いだと思っています。

マニュアルではホイールの推奨スポークテンションも細かく記載されています。

例えば次のように書かれています。

シマノマニュアルより

左側66~92kgfと書かれています。では右側92kgfと高いほうに調整しますと右側ドライブ側は当然左の倍180kgf以上になります。センターを出すには左の倍以上にテンションを上げることが必要です。

通常、後輪ホイールの調整は右ドライブ側から左非ドライブ側に行うのが手順です。先ず右を140kgfに調整してから左を調整すれば驚くばかりのスポークテンションにはなりません。この手順が一番うまくできる方法です。後輪は右から左です。

ホイールを組める人ならすぐわかっていただけると思います。

DURAホイールの調整依頼

以前手組ホイールをお買い上げいただきました方よりご連絡いただきました。

お預かりのDURAホイール

シマノDURAホイール7850―c24-TLをヤフオクで購入され2年乗られたのですが振れが目立って来たのでご自分で振れ取りされました。残念ながらうまく振れ取りできなかったので再調整のご依頼です。

私も駆け込み寺になれるほどの実力はないのですが一応お受けすることにしました。

当初簡単と思っていたのですが実際当たってみるとどうしたものかと悩むほどとても難しい仕事でした。

ヤフオクで購入された時にスポークテンションを測っておかれたのでその状態に戻されたそうです。テンションメーターを持っていると正確な数値は分からないですが元の状態に戻すことが出来ます。ヤフオクで購入時状態に戻してお送りいただきました。

ホイールの状態を戻してくださったのはよかったのですがもとのヤフオクで購入された時からすでにすごいハイテンションで変更されたホイールでありました。本当に驚きのテンションでした。

テンションが高すぎてグラフにできないほどの数値でした。

いつもホイールをお預かりしますと最初にスポークテンションを調べます。この時のスポークテンションが上図です。テンションが高すぎてグラフにできない数値でした。この時は本当に驚きました。この状態で乗っておられたのに驚きました。事故なく2年間乗れられたことはとても幸運と思います。

作業に取り掛かります。

各スポークのリム側に少量のオイルを注してゆっくり緩めることから始めました。ハイテンションなので硬くて回りません。あまりの硬さなので少し力を入れたらスポーク1本折ってしまいました。いきなりの失敗です。この時は気軽に引き受けたこと後悔しました。

人様の品物なので慌てました。最初は青くなりましたが落ち着いて考えますと部品はまだ手配できそうです。調べますとやはり手配ができます。先ず、折れたスポークの交換部品を手配してお客様に時間が掛かる旨連絡して了解を得ました。

詳細に部品には番号がつけられています。シマノマニュアルより

取り換えスポークが届きましたので作業再開します。

折れたスポークの取り換え作業は簡単そうに見えますがなかなか元に戻せないものです。取り外しは簡単ですが復元は難しいものです。シマノの取り扱いマニュアルをしっかり読み込んでどのように組み立てているかを考えました。

しっかりと読み込むことが必要です。プラグの回し方に注意!! シマノマニュアルより

マニュアルの項目順に進めていきますと躓づくところが必ず出てきます。どうしてうまくいかないのか考えて解決するしかありません。誰も教えてくれません。簡単ですよと言ってくれるだけです。

今回の解決方法は汚れ、ホコリを取り除いて徹底的にきれいにすることでした。新品状態に戻せば意外と簡単に進みます。

何とか無事に乗り越えることが出来ました。

シマノのマニュアルには推奨スポークテンションが書かれています。

スポークテンションの推奨値が書かれています。理解するには注意が必要です。 シマノマニュアルより

今回のホイールでは右ドライブ側は117kgf~143kgf、左66kgf~92kgfと書かれています。

この数値は推奨値ですので間違いないのですが、通常ハブでは左テンションは右の約半分以下になります。仮に左を92kgfにしてセンターを出すなら逆算すると右は180kgf以上になることです。お預かり時のグラフでは左平均92kgfです。どおりでお預かりしたときのテンションが高いはずです。

調整が終わってテンションを測りました。今回のホイールは右ドライブ側を140kgf、左67kgfでほぼセンターが出ています。最初は慌てましたが何とか調整終えることが出来ました。

調整済みのスポークテンショングラフ

今回修理お受けして感じたことです。

●少し前の製品ならまだ修理備品の手配ができることがありますが古い製品をオークションで購入される場合は本当に注意が必要です。

●オークションに出ている品物は何らかの理由があります。説明には書かれていない理由があります。

ホイール、自転車は買った時からメンテが始まります。自分で直せる人、直してくれる人が近くにいる人ならいいですがオークションなどでの購入は実力にあわせないと失敗することがあります。なかなか掘り出し物はないと心得たほうが良いと思います。

●大きい自転車屋さんも技術的にはいい加減な人が多いと聞きます。まずは腕の良い自転車屋さんを見つけて沢山買い物することで仲良くなることです。

ホイールは完成しても1日置く

今カーボンホイールの作製中です。まだ途中なのですがほぼ完成しています。完成しますといつも1日以上日を開けて再調整します。一日置くということはスポークがなじむというか変化します。センターも少しずれが生じます。

ではどのくらいなのか今まで検証してきませんでした。ただなじむという言葉だけです。

一度一日置いてどのくらい変化するのか調べてみました。

ホイールはほぼ完成していまして左非ドライブ側を少し調整、右ドライブ側をもう少しテンション上げようと思っています。

完成したときの状態です。116kgfのテンションです。

グラフがほぼ完成時のグラフです。グラフでは右側だけを計測しています。

次に1日間を開けてスポークテンションを計測しました。

一日置いて測りました。108kgfです。

データを取り、グラフにしてみました。116kgfから108kgfと大きく下がっています。

ホイールはなじみだしの繰り返しとスポークテンションの均一化が必要です。完成したと思っても日を開けて再点検が必要です。

ホイールの出荷前にスポークテンションの再調整を行っていますがやはりこのひと手間が大切のようです。

自分用のホイールなら一番いい方法は一度乗ってみて調子を見てから再調整です。これが最良の方法です。私は売り物のホイールを作っていますので出荷前に再度調整しかできません。しかし良心的と自負しています。

前輪24h後輪28hワイドリムホイールのインプレ

8月にお収めしました24mmワイドリムホイールのインプレをお送りいただきました。今後のホイール選択の参考になると思います。フロント20hリア24hホイールと比べて8本スポークが増えます。40gほど重くなります。この良し悪しは体重次第ですが8本増えることはプラス面のほうが多いと思います。

以下ご連絡いただきましたそのままです。

後輪28h 938g
前輪24h 701g

**様

お世話になります。 **です。

組んでいただいたホイールのインプレが遅くなってしまい、申し訳ありません。

結論から言いますと、大正解でした。

のむラボ1号ホイールからの入れ替えです。

のむラボは全国レベルで人気がありますし、のむラボ1号もとてもいいホイールでした。

装着していきなり、いつもの峠で自己ベストが出たので評判通りと思ったものです。

ですが、昔ながらのナローリム&クリンチャーなので、この度ワイドリム&チューブレス対応のホイールをお願いした次第です。

それともう一台のバイク(こちらがメイン)がワイドリム&チューブレスで、とても良かったので、

セカンドバイクのホイールも同じ仕様にしたかったのもその理由です。

タイヤは、IRC Formula Pro RBCC 25Cにしました。

タイヤ装着も手こずらないでできましたし、フロアポンプですんなりビードが上がりました。

ちなみに、メインバイクのホイールはCLX50でタイヤはスペシャライズド S-Works Turbo RapidAirなのですが、フロアポンプでは全然ビードが上がらず、ブースターポンプを購入しなければなりませんでした。

重量は、ホイール単体ではのむラボ1号のほうが少し軽いですが、チューブが無い分、タイヤ装着時の重量はほとんど同じでした。

最初にお断りしておきますが、このインプレはタイヤの影響が多くを占めていると思います。

「ロードバイクの印象のほとんどはタイヤに起因する」と誰かが言っていましたが、そのとおりだと思います。

走り出した第一ですが、「おおっ!」というほどの走りの滑らかさ、乗り心地の良さでした。

自動車で例えると、軽四と中型車くらいの差がありました。

いままでは、荒れた路面やマンホールを「ゴッゴッ…」と乗り越えていたのが、「コツコツ」に変わり、路面をヌルヌルとなめるような感じで走っていきます。

いままで、マンホールや路上のペイントを避けていたのですが、あまり気にならないレベルになりました。

かと言って、走行抵抗が増えたようには感じません。

空力的には、のむラボ1号はリムハイトが35mmだったせいか、特に差は感じませんでした。

ロードバイクは、乗り味がゴツゴツで、暴れるし、ケツが痛いもの。との固定観念がどこかに飛んでいってしまいました。

「ロードバイクってこんなに快適だったんだ」と感動すら覚え、走るのが楽しくなりました。

また、ご助言通りに少し多めのスポーク数(前輪24H、後輪28H)にしたのも正解でした。

スポークの重量増のデメリットよりも、丈夫でしなやかになるメリットが大きいと思います。

また、不思議なのが同じワイドリム&チューブレスのメインバイクよりも、乗り心地がいいことです。おそらく、リムハイトの高い(50mm)カーボンリムは、縦の剛性が非常に高いのだと思います。

当然、それなりに距離を走っても疲れ方がいままでと全然違います。

最近ではセカンドバイクばかり乗って、メインバイクが寂しがっています。

今年はコロナ禍でレースがほとんど中止になりましたが、来年はこのホイールでヒルクライムレースに出場したいと思っています。

とても良いホイールを作ってくださり、ありがとうございました。

以上

追記

インプレの追加をお送りいただきました。

下りの快適さです。

いつもはびびりながら降りる十三峠の険しい下りでも、安心してブレーキングでき、狙ったラインをトレースできます。

特に、六甲頂上から逆瀬川に下るときに遭遇する魔のデコボコライン(正式な名前は知りません)は、自転車が壊れるのではないかと思うほどの振動なのですが、このホイールになってからはストレスなく通過できるようになりました。

次はどんなホイールをお願いしようかと考え中です。

良いリムが見つかりましたら教えてください。

以上、よろしくお願いします。

今回のリムはキンリンのXR31T/RT 24・28hでした。次にお勧めするならキンリンのXR22T・RT 24・28hですがコスパを考えますと一押しになります。しかし世界中のアルミ不足が影響しましてなかなか手に入らないのが現状です。早く平常に戻って欲しいです。

ディスクホイールの作製

サーリーのクロモリフレームに載せるディスクホイールのご注文をいただきました。お客様はリピートオーダーのお客様です。手組ホイールの良さを知っていただいています。

DT RR411 437g
アレックスディスクホイールを分解します
取り出したシマノディスクハブ FH-RS505 375g
新しいシマノディスクハブ HB-R7070

リムはDTの軽量アルミディスクリムRR411(437g)です。リアハブは135mm規格のシマノハブFH-RS505(375g)を使います。後輪ホイールをお送りいただきこのホイールを分解して転用するというご注文です。いわゆるお持ち込みです。

前輪ハブはこちらで用意します。シマノハブで105シリーズのHB-R7070(164g)を提案しました。今はシマノハブの手配が難しく幸いにも私のほうで手持ちがありました。スポークは定番のコンペティションで組みます。ニップルはブラスです。

お送りいただいた後輪ホイールを調べてみました。

スポークテンションは不揃いで振れも大きい

いつも預かりましたホイールはテンションを調べます。以下のグラフです。まあ予想の通りです。テンションにバラつきがあります。これでは振れも出やすいです。

このホイールのハブを使い新しいホイールに作り替えます。

手組の良さはいろんな組み合わせが出来ることです。手持ちのハブやリムを使っていろんな組み合わせを考えることができます。性能の良いハブを持っておられるとリムは消耗品ですのでアルミリムからカーボンリムに変更も可能です。

お客様はおそらく沢山自転車を乗り継いで来られたのでしょう。余っている部品を沢山お持ちでした。言い換えればいろんな経験知を持っておられます。こちらもアドバイスをいたしますが決められるのはお客様です。果たしてお客様とのやりとりはすんなり進みました。ありがたいことです。

今はアルミ不足が影響してリム、ハブが手に入れにくい状況です。今回のリムも入手に時間が掛かったのですが無事お納めすることが出来ました。

DT RR411 ディスクリム使用 前輪865g
完成後の前輪スポークテンショングラフ バラつきが少ない
DT RR411 ディスクリム使用 後輪1072g
完成後の後輪スポークテンション

重量は前輪865g、後輪1072グラムとホイール自体は結構重いのですがリム重量は約440gです。中心部が重いだけなので漕ぎ出しの軽いホイールに仕上がります。やはり外周部が軽いと回転は軽快です。

ホイールはいつものようにスポークの張りをできるだけ均一にし、振れはできるだけ最小になるように調整しました。お客様のご意見が楽しみです。

スポークを交換しました

マビック36hオープンプロリム、シマノDURAハブ、DTチャンピオン(2.0mm)スポークで組まれたホイールのスポーク交換の依頼を受けました。

MAVIC rim Duraハブ DT チャンピオン 使用 
MAVIC rim Duraハブ DTチャンピオン 使用

2㎜スポークですのでとても剛性の高いホイールです。普段の通勤に使われた愛用のホイールとのことです。以前ブログに紹介しましたホイールですがこの時はテンション調整をさせていただきました。今回はこのホイールのスポークをすべて取り換えます。

前輪はサピムのLaser(2.0/1.5/2.0mm)、後輪にサピムのRace(2.0/1.8/2.0mm)に交換します。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例するといいます。お預かり時点ではチャンピオンの36本ホイールですので100㎏以上ある人がキャンプの道具を運んでも十分乗れるホイールです。

今回はご自分の体重を考えながらスポークを変えることにより軽量されました。

DTチャンピオン 後輪 36本
DTチャンピオン 前輪用 36本
前輪用 サピム Laser 36本
後輪用 サピム Race 36本

取り換える前にスポークの重量を比べてみます。

前輪チャンピオンLaser重量差
277156121
後輪チャンピオンRace重量差
27722849
合計170

170gの軽量化です。

前輪のLaserは中央部が1.5mmの細いスポークですが36本ありますので十分な剛性です。スポークの中央部がショックアブソーバーの働きをしますので地面からの振動を吸収してくれます。

後輪のRaceも中央部が1.8mmで振動を吸収してくれます。これらのスポークを使うことで疲れにくいホイールが出来上がります。ロングライドに最適なホイールです。

一般的に完組では少スポークホイールです。剛性を高めるために太いスポークを使って剛性を高めています。多スポークホイールに仕上げることでスポークの総面積は同じであっても細いスポークを使ったホイールは疲れにくいホイールに仕上がります。もちろん空力では若干劣りますが比べれば少しという程度です。他に良い点が多々あります。

前輪スポークテンション
後輪スポークテンション

さて、上のグラフはスポーク取り換え終わった時のスポークテンショングラフです。できるだけ振れを少なくし出来るだけテンションを均一になるように調整しています。

ずっと通勤に使われていましたホイールですので乗り味が変わったことはよくお分かりと思います。どれだけ変わったか教えていただくのが楽しみです。

エントリーモデルのスポークは太い

1万円台で購入できるシマノホイールのエントリーモデルをお使いの方に提案したいと思います。

シマノWH-R501のリム重量、スポーク重量を調べますと次のように仕様です。

前輪リム重量 538g
前輪スポーク 20本 144g

後輪リム重量531g
後輪スポーク 24本 179g
WH-R501
後輪リム重量 538g24本179g1本7.4g
前輪リム重量 531g20本144g1本7.2g

空気抵抗を減らすとして前輪には扁平スポークを使っているのですがこのスポークがなんと7gスポークです。扁平には間違いないのですが形だけの扁平スポークと考えます。

サピムのスポークをグラムでわかるようにしました。次の表です。データはサピムのホームページから得ています。

品名仕様1本重量g
cx-rayWeight: (64 pcs x 260 mm lg) 272 g4.3
cx-sprintWeight: 334 g (64 x 260 mm)5.2
   
LaserWeight: 283 g (64 x 260 mm)4.4
RaceWeight: 14G (64 pcs x 260 mm lg) 363 g5.7
   
LeaderWeight: 14G 2,0 mm (64 pcs x 260 mm lg) 431 g6.7
サピムホームページより

このシマノホイールはどなたにも使えるように考えられたホイールですから少スポークのホイールではありますがとても頑丈に作られています。つまりスポークを太くして剛性を高めています。本当にスポークの太さには驚きです。

体重の軽い人が乗ればなんとガチガチの硬いホイールだと感じることでしょう。大は小を兼ねるのですがこのようなホイールは長時間乗れば疲れるホイールであることは間違いありません。

仮に細い5gスポークを使って28hの前輪ホイールを作るとスポークの重量は今回のシマノホイールとほぼ同じグラム数になります。剛性は減らず地面からの振動を吸収するホイールが出来上がります。

ホイールの出来上がりではスポークの選択がとても重要です。スポークで乗り味、性能は大きく変わります。

現在シマノエントリーモデルのホイールでご不満の方は、簡単にはホイールの買い替えもありますがスポークを軽量スポークに変えるのも一つの案になるかなと思います。お試しください。

後輪スポークを取り換える②

今お使いのディスクカーボンホイールの走りがもっさりするので改善するのにいい方法はありませんかとご連絡いただきましたことは前回の記事に書きました。

非ドライブ側のCX-RAYをコンペティションに交換

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します、とお伝えしました。剛性を高めるにはスポークの数を増やせばよいのでリム、ハブを交換すれば一番いいのです。しかし費用も掛かることですのでそんなわけにはいきません。

ここで提案しましたのはスポークを太くする提案です。

今使われているスポークはCX-RAYです。最強のスポークと言われていますが剛性に関しては細いスポークですので魔法は使えません。今回の対処は単純にスポークをCX-RAYからDTのコンペティションに変更するだけでした。

ホイールをお返しして、本日結果を教えていただきました。以下のコメントです。

今日ビワイチに使ってきましたが確実に剛性が上がっていてモサッとした感じがとれていました。ただ、やはりあのホイールじたいが重たいのでヨッコラショってなってしまうので重さだけがネックかなと思います。

スポークの重量が約20g増えたのですがやはり結果は良好でした。理論通りです。ねばりがあり軽量の最高スポークでも乗り手の体重、乗り方に応じて選ばないといけません。まさに20g増のマジックです。

また違うお客様のお話です。

約2か月前ですがホイールが固すぎるのでスポークをすべてコンペティションからCX-RAYに交換したお客様がおられます。コンペティションは剛性があって反応はいいのですが長時間乗ると疲れるとのことでした。

別のホイールで前後ともにCX-RAYスポークのホイールもお持ちで、こちらのほうが疲れないとのことでした。こんなことから剛性を下げることをお勧めしました。

コンペティションからCX-RAYに替えられた結果、とても具合が良く楽に乗れるとお返事いただきました。剛性が高すぎるのも疲れるホイールとなります。

このようにホイールに不満のある方はスポークを変えるのが結構安上がりでいい処方箋と思います。

シマノのローエンドホイールはガチガチの高剛性で組まれています。これは万人向けのホイールに仕上げているので仕方ないことです。前輪後輪スポークを体重にあわせてLaser、CX-RAYなどに替えると見違えるホイールに変化することは間違いありません。お試しください。