オフセットリムの向きを間違えた

ハブが9速10速11速とギア数が増えるとハブの構造も変わりました。オフセットの数値が増えるわけです。右スポークが張っている割には左が緩い状態になります。11速では右スポークテンションの半分以下になります。これはハブ幅が変わらない限り仕方のないことです。この構造的弱点を改善する方法にオフセットリムがあります。リムのセンター位置を数ミリずらす構造です。キンリンのリムではオフセットリムの品ぞろえがありますので後輪はほとんどオフセットリムを使います。

 

話が長くなりましたが、このオフセットリムを使用してホイールを作っていました時リムの向きがあるのに逆の向きで作ってしまいました。左スポークのテンションを高めるつもりが超ゆるゆるテンションになってしまうところでした。

リムを重ねてスポークを移動させるだけ

暑さでボーっとしていたのか気づいたのは仮組が終わった時でした。組み直しです。

 

通常は全部ばらすのですが同じリムがあれば簡単にやり直しができます。

同じリムでもう一つ作る予定でしたので同じ穴数のリムを正しい向きで写真のように穴位置を合わせて固定します。

移動させるリムから新しいリムに順番にスポーク、ニップルを移動させていきます。これは簡単です。もうスポークは組んでありますからニップルインサーターを使って移動させるだけです。2,30分で移動は終わります。あとはホイールを組み上げていくだけです。

 

このやり方はリム交換の時に使う方法です。ホイールをばらすと再度組み上げるには時間が掛かりますが移動させるだけなら簡単です。ちょっと気を抜いたらとんでもない遠回りになります。単純な作業ほど気を付けないといけません。

簡易振れ取り台の提案

友人から振れ取り台が欲しいと相談されたのですが新しく買うほどのこともないようでしたのでこんな方法もあるよと勧めたやり方です。

自転車をひっくり返して振れ取り台がわりにする方法もありますが場所を選びます。

私が提案した方法はバイクスタンドを利用する方法です。

フロントには後輪クイックにスペーサーを使う

用意するものは

バイクスタンド

定規(30cm)

タイバンド2本

色テープ

前輪用に不要のボールペンなどで作ったスペーサー(3cm)

写真を見ていただいてわかりますように30cmの定規に色テープを貼ります。

間隔はテープではリムの幅に近い幅で巻いています。テープを指標にします。

あとは定規をバンドで止めて終わりです。

センターを出すには自転車に戻しながらにするかセンターゲージを用意する必要があります。ミノウラのゲージは安価ですが手軽にするには段ボール紙で自作する方法もあると思います。

簡易的に振れ取りをするならこれで十分です。これで友人からはとても喜ばれました。

スポークテンションを揃える

XR31RT 24hリムで後輪ホイールを作っています。

 

後輪スポークは右から左にと以前このブログに書きました。

後輪ホイールは先ず右側のドライブサイドのスポークテンションが揃うようにテンションを上げていきます。左は最初の緩みだけを取った後はさわりません。右側だけ縦ブレを取りながらニップルを回します。8割ぐらいの完成を目指します。

 

縦ブレを取ってからリムを左側に寄せるようにします。今度は左側だけを少しずつニップルを回してリムのセンターを出していきます。右側はさわりません。左側だけを少しずつニップルを回してリムセンターを出していきます。

縦ブレ横ブレが取れきれいに回るホイールに仕上がります。この作業で一度ホイールは完成します。見た目は完成しています。縦ブレ横ブレもできるだけ取ることができました。一度テンションを測ってみます。

矢印の位置のテンションが低い

上のグラフがこの状態です。スポークのテンションは全く揃っていない状態です。しかし各スポークのテンションはばらついていますがホイールの回転はとても滑らかで振れがありません。

10年くらい前では私のホイールはこの状態でした。ホイールの振れを取ることばかり専念していました。残念ながらスポークテンションは振れが取れたらしっかりと揃うと思っていました。

 

ホイールの振れは各スポークのバランスが取れると振れが取れます。つまり上図の状態でも振れが取れたホイールになりますので満足してしまいます。

スポークテンションを揃える

ここで一歩進めて次に状態になるようにすることが肝心です。テンションメーターが活躍する番です。ピンとスポークを弾いて音を聞きながらテンションを揃える方法もありますが一般的にはメーターを使うほうが楽なように思います。

 

各スポークのテンションが揃っていればホイールの前へ進む力が減じることなく進みます。緩いスポークが折れるということも防げます。ホイール作りではスポークテンションを揃えることが大切です。

チューブレスタイヤ空気圧の推移

XR31T・RTのリムを使ったホイールのチューブレスタイヤを取り換えました。

通常の石ケン水でインストールする方法です。

20㎜幅ポリイミドテープ

 

リムテープにはポリイミドテープを使っています。重なる部分が10cmほどの一回巻きで空気を入れました。

テープはアマゾンで購入の20㎜幅のテープです。イーストンのチューブレスキットに使われているテープとあまりにもよく似ています。しかし確かめたことはありません。

イーストンのHPより

 

シーラントなしで空気漏れはどのくらいなのか調べました。3日しか調べていませんがまずまずの成績ですのでお試しください。

一日目 6.72気圧

二日目 6.28気圧

三日目 5.84気圧

と推移しています。十分な結果と思います。

 

チューブレスタイヤはベテランライダーさんも最近始められた方が多いようです。チューブレスタイヤに関しては超ベテランの方々も悪戦苦闘されているようです。しかしチューブレスにするとなかなかクリンチャーには戻れません。

リムの油分をアルコールで拭いています

このタイヤに関してはベテランも素人もありません。皆さん結局は慣れないとダメなようです。いろんな方法を試されています。私もこれがいいようですと連絡取りあっています。

 

山口県のお客様より別の方法を教えていただきました。いろいろ試された結果をいつも教えていただいています。

右 3M 25㎜幅テープ 左ポリイミドテープ

XR31T・RTのリムを使ったホイールには3Mの25mm幅テープの1回巻きがいいと教えていただきました。これも良さそうです。次の機会にはこのテープで試そうと思います。

きれいに仕上げる②

スポークには事前のプレップが欠かせません。事前にプレップ処理をしておきますとニップルは緩みにくくなるのですが後々の振れ取り作業時にはニップルが固着しませんのでとても作業が楽になります。

プレップを塗る

 

ニップルを取り付ける前の事前処理ですがいろいろなプレップを使っています。

リンシードオイル

スポークのねじ部分を浸すだけのリンシードオイルがいちばん楽ですがやはり売り物のホイールを作っているのですからよいといわれているものを使っています。

以前の記事にプレップのことを書いていますのでおさらいのようになりますが FIXというプレップを使っています。

spokeprep

事前にしっかりと油分を取り除くことが必要です。Wheelsmithのプレップを塗るときも同じです。私はFIXの説明書通りにしています。アルコールとペイントうすめ液の2種類を使って2回油分を取るようにしています。ビンに入れたアルコールの中にスポークのねじ部分を漬けてぐるぐる回すだけです。

 

乾いたらプレップを塗るのですが刷毛で行うのが楽です。最初の写真のように段ボールの端切れの上に並べていくと重ならないので具合がいいです。刷毛と段ボールですが長い間ホイール作りをやってきてやりだした工夫です。なんでもないことですが作業効率が良くきれいに仕上がります。

きれいに仕上げる

ホイール作りにおきましてニップル穴にオイルを注すことは欠かせません。しかしながら完組ホイールはニップルホールにオイルを注すことはどうもしていないようです。なぜならふき取らなくてはいけませんので仕上げ段階で手間がかかるのです。

この理由でおそらくニップルホールにオイル注しは行われていないと思います。時間の節約です。

 

ニップルを回してスポークテンションを上げていくときにはニップルを円滑に回すためにはほんの少しのオイル注しを行うことで解決できます。

このひと手間はベテランのビルダーさんなら必ず行っていることです。またどのホイールの教科書本にも記載されています。

しかしオイル注しを行うとどうしてもリムがべたべたしてきます。油が漏れてリムがべとつくのです。あとでしっかりふき取らなくてはいけません。自分用のホイールなら少々油がついてもかまわないことですがやはりできるだけきれいに仕上げたいものです。

 

解決方法として最近ではグリスを使っています。

刷毛でニップルにグリスをひと塗り

ニップルをスポークに通す前にひと手間かけるのです。ニップルインサーターを使ってスポークに通す前にグリスを刷毛でひと塗りしています。ほんの少量グリスを塗ることでニップルの滑りをよくします。グリスですので油分が漏れ出ることを防いでくれます。

 

こうすれば

あとでリムの油分をふき取る手間も半分以下に収まっています。時間が節約できそして出来上がりも良好です。

この方法をやられていない方には是非ともお勧めしたいです。手間もそんなにかかりません。急がば回れです。とてもきれいに仕上がります。

ポリイミドテープは1回巻きでOK

お客様より共有情報です。

 

XR31T・RTのリムを使ったホイールをお買い上げいただいた方よりいい話を聞かせていただきました。

通販で買ったポリイミドテープ 20mm幅

チューブレス用としてのポリイミドテープは一回でOKです、もちろんほかのテープでも1回巻きですと教えていただきました。

 

私はどうも心配性でどのホイールにも2回巻いていました。1回ではどうしても心もとない感じでいました。お客様は1回巻きで十分空気は止まりますよと教えていただきました。バルブ部分だけは10cmほど重ねていますがほかの部分は1回巻きで十分ですとのことでした。

 

本日テープを貼り替えることがあり1回巻きに挑戦しました。果たしてうまくいきました。空気は漏れずにタイヤは正常の状態です。

ポリイミドテープは強度的には十分であるのはわかっていましたがなんとなく心配でした。しかしもうこれからは1回巻きでやろうと思います。経験者からの情報です。

 

いい話はシェアしたいです。

ユーチューブは勉強になる

ホイール作りを勉強してもなかなか上達しません。先ずしっかりと解説された本が少ないのが現状です。特に日本語で書かれた本はないといってもいいと思います。

英語では

The Bicycle Wheel 3rd Edition 

Professional Guide to Wheel Building 7th Edition

体系的にしっかりと解説されたとてもいい本がありますが一般的ではありません。しかし英語の勉強にもなりますのでとてもいい本と思います。

 

そんな意味でもYouTubでの勉強はとても分かりやすく習得が早いと思います。

視覚に訴えることがとても有効であることはいろんなYouTubから証明されています。

参考になる次のYouTubをお勧めします。

ステイホームで少しでも気が休まるようにと考えられたのか、アメリカのDaveさんがホイールビルダーの秘伝の技を惜しみなく披露しています。

YouTubで下記のタイトルで検索できます。リンクはいたしません。

 

November Bicycles Wheel Lacing

 

何気なく見ているとそう作るのかと見終わってしまうのですが、ええええそんなネタを明かしてもエエの?と思うくらいの技を知ることができます。いつもどうするの?と考えている人にはとても良いヒントが隠されています。

作者のDaveさんはできる人はみんなやっていることだという思いなのでしょう。それとも簡単にはできないよという思いなのでしょうか?

見ている人はとても少ないのですが世界中のプロビルダーが参考にしていると思います。

 

24穴リム36穴ハブでホイール作製ご依頼受けました

お客様よりご連絡いただきました。変則ホイールのご依頼です。

36穴ハブで24穴リムを使うというご希望でシマノハブDH-C2100-Nという規格ハブダイナモを送っていただきました。

ハブダイナモ

久しぶりに作る24穴リム36穴ハブ使用のホイールですので10年以上前に勉強していましたホームページからおさらいしました。

 

24 Spokes in a 36 Hole Hubのキーワードで検索できます。DamonRynardさんが書かれた記事です。他にもいろいろ参考になる記事があると思いますが私はいつもこの方の記事を参考にしています。以前の記事にも書きましたが誰でも最初は素人です。

このホイールで注意が必要なのはスポーク長の出し方です。

ハブをシッカリ計測し、発表されている計算ソフトに入力するだけです。クロスを入力するシェルに2.75を入力します。これがポイントです。

 

あとは普通に入力です昔は私も計算式を書いて計算していましたがわかりやすいソフトが発表されているので利用させていただいています。ありがたいです。

 

今回のご希望はアルミニップルを使うことですので少し長めのスポーク長にしています。ニップルのすり割りを突き出るくらいのほうがアルミニップルの弱点をカバーできます。

スポカルクなどのエクセルを使った計算ソフトの足りないところは各スポークの伸び率まで計算の中に組み入れていないのところかなと思います。スポークによって伸び方が違いますので一度24hハブとしてDTの計算ソフトなどでどのくらい短めにしたらいいのか当たってみるのも一案と思います。これは計算ソフトを使ったことがある人ならわかる話です。

 

36-24spokingでは厳密に計算すると位相の関係で若干のスポーク長の長短が出ますが気にすることなく組むことにします。すべて一律のスポーク長で組みました。

もう一つ注意事項があります。

このハブには方向性があります。後輪ハブと同じです。今回はイタリアンで組みました。

➡があります。

方向があるのを忘れますと後輪と揃わない組み方になります。ただこれは気になる方には必要ですが回転には影響ありません。見た目だけの話です。

仕上がりホイールです。何個目の穴を飛ばすかということだけ気をつければ通常のホイールと同じ作業です。スポークテンションの均一化を図りながらの振れ取りです。仕上がりは写真のように出来上がりました。

チューブレスタイヤを再度インストールする

ホイールの点検などでリムから外したチューブレスタイヤを再度インストールします。

テンション点検が終わりホイールに再度セットして空気を入れましたが何の反応もありません。

十分石鹸水で下準備をしたにも関わらずタイヤはパンパンと音を立ててふくらんできません。

最初えっ、どうした!と思ったのです。リムをきれいにしテープはしっかり張れているし、どうしたのかなと驚きました。タイヤレバーで痛めたかなとも考えました。

すぐに原因がわかりました。タイヤのヘリ、ビードの部分にシーラントがこびりついています。これが原因です。

シーラントがこびりついている

タイヤを十分きれいに洗いシーラントなどを取り除き新品状態に戻しました。

これで大丈夫です。

きれいにしたタイヤ

石ケン水をスプレーしてタイヤはめてポンプで空気を入れますと一発で膨らみました。成功です。

シーラントを15cc注射器でいれて様子を見ます。うまくいきました。空気を6気圧分入れて1日置こうと思います。タイヤのふくらみから判断してまず問題ないと思います。

 

面倒くさいと思わずにタイヤをきれいにしないと二度手間になることを実感しました。チューブレスタイヤに関してはベテランライダーも意外と初心者的なことをされていると思います。誰でも最初は素人です。参考になればと思います。