ホイールは完成しても1日置く

今カーボンホイールの作製中です。まだ途中なのですがほぼ完成しています。完成しますといつも1日以上日を開けて再調整します。一日置くということはスポークがなじむというか変化します。センターも少しずれが生じます。

ではどのくらいなのか今まで検証してきませんでした。ただなじむという言葉だけです。

一度一日置いてどのくらい変化するのか調べてみました。

ホイールはほぼ完成していまして左非ドライブ側を少し調整、右ドライブ側をもう少しテンション上げようと思っています。

完成したときの状態です。116kgfのテンションです。

グラフがほぼ完成時のグラフです。グラフでは右側だけを計測しています。

次に1日間を開けてスポークテンションを計測しました。

一日置いて測りました。108kgfです。

データを取り、グラフにしてみました。116kgfから108kgfと大きく下がっています。

ホイールはなじみだしの繰り返しとスポークテンションの均一化が必要です。完成したと思っても日を開けて再点検が必要です。

ホイールの出荷前にスポークテンションの再調整を行っていますがやはりこのひと手間が大切のようです。

自分用のホイールなら一番いい方法は一度乗ってみて調子を見てから再調整です。これが最良の方法です。私は売り物のホイールを作っていますので出荷前に再度調整しかできません。しかし良心的と自負しています。

チューブレステープを貼る

チューブレス専用リムでない限りリムテープは必ず要ります。多くの方は何度か失敗されていると思います。簡単そうに見えてリムテープ貼りは難しいです。

テープを貼ったけれどきっちり押さえつけることができなく浮いてくることがあります。テープが浮きますと空気は漏れますのでチューブレスタイヤのインストールは失敗します。

リム面の仕上がりでも貼りやすさが違います。今までやりにくかったのはDTのリムです。DTリムは梨地でざらついている仕上がりです。このリム面にテープを貼るのはとても難しいのです。

先日お客様よりいいアイデアを教えていただきました。一度テープをはってから押さえつけるのにクリンチャータイヤを一度はめてクリンチャーのチューブで押さえつけるという方法です。リム面に圧力をかけられるなかなかのアイデアです。行きつけの自転車屋さんに教えていただいた方法のようです。私もこれならうまくいくと思いました。

チューブラータイヤでリム面を押さえつけると楽になじみます。

数日たってからふと思いついたのです。クリンチャーのチューブでテープを押さえつけなくてもチューブラータイヤでいいのではないかと考えました。そう、チューブラータイヤの空気圧で押さえつけます。このほうが手軽です。

DTリムのホイールがありますのでチューブラータイヤに4気圧ほど入れて押さえつけてみました。果たしてうまくいきました。ピタッと貼りついています。

最初にこの2行を書けば終わりなのですがご辛抱ください。リムテープはチューブラータイヤで押さえつけるとうまくいく。この話を先のクリンチャーのやり方を教えていただいた方に連絡しますとそれはアリですね、と返事をいただきました。

意外とチューブレスタイヤに関しては超ベテランのライダーさんもビギナーさんもスタートは同じのようで手こずっておられる方が多いようです。参考にしてください。

テープ貼りのアイデア

昨日お客様よりご連絡いただきました。いろんなアイデア、情報のやり取りをしています。超ベテランのライダーさんです。もちろんご自分でバイクを組み、ホイール組をされる方です。経験豊富な方のご注文で驚きましたがホイールのオーダーいただきました。2セットもご注文いただいています。

お納めしましたホイールはDTのRR411リムで作りましたホイールとキンリンのXR31T/RTを作らせていただきました。他にもたくさん保管する場所がない(ご本人からのお話です)くらい沢山お持ちのようです。

マヴィックのクリンチャーホイールにチューブレスタイヤを試しにインストールされた時の写真です。

今回、写真とは別にいいアイデアを教えていただきました。

いつも行かれているショップの店長さんがレベルの高いメカニックさんのようです。

チューブレスホイールのテープ貼りの方法ですが一度テープを貼り終えてからクリンチャータイヤで空気を入れて一日置いておくと良いとのことです。この方法でテープをなじませるのです。

なるほどと思いました。

クリンチャーチューブでテープを一度押さえ込んでから再度チューブレスタイヤをインストールするというやり方はナイスアイデアです。時間はかかりますがうまくテープを押さえつけることができます。

テープ貼りは自転車乗りの必須科目です。テープ貼りがうまくいかない方にお勧めです。特にDTのアルミリムは梨地仕上げですのでざらつき感があります。なかなかうまくいかないことが多いのですがこの方法ならしっかりと張れるような感じです。

私は試したことがないのですがうまくいきましたら教えてください。

自慢話になりますが…

ホイールをお納めしたお客様よりお電話いただきました。スポーク組み換えのご依頼です。

お客様はこのブログをお読み頂いているようです。

皆さん褒められていますね、あかんという人いないですね。」という話になりました。

そうなんです、皆さん気に入っていただいています。」とお答えしました。

お客様はボントレガーのカーボンホイールもお持ちですが比較すると私のお納めしたほうが良く走るというお答えです。

スポークのテンションが揃っていることが大切です。おそらくこれが原因と思います。揃っていないと力が逃げる、踏み込んだ力はどのスポークにも同じ力が加わりますがスポークテンションが揃っていなければ加わる力にロスが生じます。

このようなお話でご納得いただきました。

カーボンホイール 
前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

特別な材料を使っているわけではありません。体重に応じてスポーク数を調整してテンションをできるだけ均一に仕上げる。これだけです。

文章で書けば一行です。スポークテンションを揃えば良いホイールが出来ます。

なじみだし4回目

今ご注文のホイールの作製中です。いつも何気なしにホイールを完成して一日置いて再調整していました。精度の高いホイールを仕上げることとして大切な手順です。

 

なじみだしはどのくらい必要かを考えました。海外ではなじみだしのことをストレスリリーブといっています。

 

ホイールを一日置いて仕上げることは昔から言われていることのようです。ビルダーの経験則から出たのでしょう。自転車屋さんはとても閉鎖的で技術というほどのものでないことでもあまり人には言いたがりません。もちろん当たり前のことでしょう。長年いろいろ試行錯誤しながら会得していくものですから言いたくないのはわかります。

 

さて3回目のなじみだし後にとったテンショングラフと4回目にとったテンショングラフを比べてみます。

なじみだし3回後のスポークテンショングラフ

なじみだし4回後のスポークテンショングラフ

ほとんど変わりません。

今までの経験から行うホイールのなじみだしですが3回やればとても効果があるようです。

前輪ハブのベアリングを取り換えました

シマノハブはカップアンドコーンですので雨の影響を受けやすいので割とまめにグリスアップを行っています。シールドベアリングの場合はすべて取り換えです。

頻繁ではありませんが取り換えるとホイールは新品状態に戻せますのでベアリング取り換えを行っています。シールドベアリングは1個300円ほどで手に入ります。前輪なら2個取り換えで新しいホイールになります。

スライドハンマーを使うのが手軽です

初めてベアリングを取り換えたときは勇気がいりました。失敗したらどうしようと思ったものでした。失敗は杞憂に終わりました。とても簡単です。

特殊な道具なしでもできますがスライドハンマーがあればとても楽にできます。私は自動車工具を置いている店で購入しました。先につけるアタッチメントは前輪には8mm用があればいいです。めったに使う道具ではありませんが道具好きの方は揃えておかれても良いかなと思います。ただし価格が本当にまちまちでよく調べる必要があります。

アンカーボルトでたたき出す方法もあります

スライドハンマーを使わない場合はポンチでたたき出す、もしくはアンカーボルトでたたき出す方法があります。8mm、16mmのアンカーボルトがあればベアリング取り出しはできます。

 

ベアリングの圧入には長ネジを使った道具が販売されていますが私はホームセンターで購入した6M120mmのねじをバイスに挟んでナットで圧入しています。

安価な汎用品で十分つかえます

必要な道具は

ベンチバイス

取り出した古いベアリング

6M120mm長ねじ、長ナット

ベアリングとほぼ同サイズのワッシャー

メガネレンチ

それに新しいベアリングを2個

これらを用意します。

 

先ずスライドハンマーでベアリングを引き抜きます。カンカンと2回ほどハンマーを振りますと簡単にベアリングは取れます。

6M120mmのねじをバイスに挟んで

写真のようにバイスの6M120mmの長ネジをセットして新しいボアリングを入れて後ろから取り出した古いベアリングとワッシャーで押し込むわけです。メガネレンチでナットを回してベアリングを圧入していきます。レンチを回して行けばすんなり入っていきます。

古いベアリングで後ろから押し込む

ベアリングの後ろはワッシャーを数枚かさねています

今まではたたいて入れていたのですがセンターを出して入れるのにコツがいりました。この方法ならゆっくりとベアリングの入り具合を観察できますので楽な感じがします。

叩いて圧入する方法は慣れればとても簡単

さて、慣れた人ならどんな方法でも簡単ですがゆっくり見ながら進めるということならこの方法が良いかもしれません。ハブの構造は非常にシンプルで特に前輪は何の心配もいりません。10分ほどで終わります。

シールドベアリングの良いところは取り換えたら新品になるということです。

ニップルにグリスを塗る

ニップルを保管する小瓶にはオイルを入れてニップルのオイル漬けで保管しています。

オイル漬けで保管している

使用するときは事前に必要な数を出して紙の上に出しておいて余分なオイルを取り除いて使うようにしています。ニップルはオイルでコーティングされています。ニップル面とリム面の摩擦を少なくできますので回転させやすく手間がかかりません。

刷毛でニップルにグリスを塗っています

違う方法も行っています。穴なしカーボンリムではニップルとリム面の摩擦なく回転させるにはニップルにグリスを塗るのが良い方法です。スポーク穴部分にオイルを注せばよいのですが売り物のホイールですのでできるだけきれいに仕上げたいものです。そのためにニップルにグリスを塗りながら使用するのが良い方法です。

 

自分用のホイールなら簡単にオイルをひと注しすればいいのですが販売用のホイールにはできません。オイルがリム面に漏れ出します。ごく少量でもリム面にはオイルが出てきます。きれいにホイールは仕上がりません。このため一個ずつニップルにはグリスを塗りながら、つまりニップルをスポークに通す前にほんの少しグリスを刷毛で塗っています。この方法が一番良いと思います。ひと手間でニップル回転は回しやすくなりますのでホイール作製の精度が上がります。

 

テープ選びにてこずる②

先日DTリムのテープの記事を書きましたところベテランライダーの先輩方よりこれがいいですよと連絡いただきました。ホイールお納めいたしました方々です。仲良くさせていただいています。

 

皆さんいろいろ経験され試された結果です。大いに参考になります。

BBBのホームページより リムテープ4m長

ブログ見ました。DTのリムに合うテープは、BBBの黄色いのは、剥がれにくいです。自分は、最近 ポリミドテープを二重にして プラスチックのヘラで ナメすように貼り その上から クリンチャー用リムテープで押さえる(重くなるけど安心)で、成功しています。クリンチャー用リムテープは、何度か使えます

 

別のお客様からご連絡いただきました。

 

DT-SWISではリムテープ幅を「リムの内幅 +2mm」で推奨しています。

アールの部分まで出ないということに意味があるのかもしれませんね。

 

このように教えていただきました。皆さんいろいろ試されてご自分にあった方法を見つけておられます。

 

私のテープ巻きでは2重に巻くときは1回目、2回目と分けてその都度切って巻くようにしています。どうしても連続で2回巻くと一回目の巻き方が不十分な巻き方になるので一回ごとに切ってみようと思いやってみると案外きれいに巻くことができました。なんでもないことなのですがちょっと工夫するとやりやすくなります。

 

ある方からは、チューブレスで乗ると乗り心地がいいのはよくわかるのですが乗っている途中でパンクすると手がベタベタになるのが困ります、パンクは後輪が多いので簡単にパンク修理ができるクリンチャーにして前輪をチューブレスにしています、と教えていただきました。

それもアリやな!と感心しました。。

皆さんいろんな経験からオッと思うような工夫をされていることがよくわかります。これいいよ!とシェアできればいいと思います。

ホイールの手軽なアップグレード

今回はお客様よりわかりやすく箇条書きで教えていただいた注意点を参考にしまして記事にしています。ご存知の方はなんや~という記事ですがどなたもビギナーの時があります。

ホイールにはリムの剛性、ハブ、スポーク、タイヤと4つの要素を組み合わせて作りこみますがあとで修正が利くところはベアリング、スポーク、ニップル、タイヤです。

スポークも取り換えることはできますが最終の手段です。ニップルもいったん決めるとあまりさわりません。こうなるとベアリング、タイヤとスポークテンションが大きく寄与すると思います。この3つの中ではベアリングは簡単な人には簡単、難しい人にはむずかしいです。こうしてみていきますとタイヤとスポークは後で修正しやすいです。

先ずスポークテンションの均一化はお金のかからないアップグレードです。ただ、むずかしいのが難点です。

費用のかからない調整がもう一つあります。

クロスバイクのホイールにもバランス調整をしています。ロードバイクに負けません

ホイールバランスです。完組ホイールではこのバランス調整したリム使っているのをホイールの有利点として謳っているホイールが多々あります。ホイールのウリとして宣伝していますがこれはどんなホイールでも後からできることです。特別なものではありません。

ホイールの回転が止まるとほとんどのホイールはバルブ側が下に止まります。このバルブが時計の3時、9時の位置でもバルブが止まるように重りを取り付けて調整するのです。

ゴルフショップで購入したパター用の鉛板

1円玉 1枚1gです

9時の位置でも止まるように枚数を調整する

必要なグラム数を鉛板に交換

ホイールにはバルブの重量が回転に影響しています。またアルミリムの場合ジョイント側にスリーブを使って接続しているリムがあります。中級リムではほとんどがスリーブジョイントです。このスリーブジョイントのアルミリムではバルブホールの反対側に重さの偏りがあります。

アルミリムではスリーブとタイヤバルブの重量が回転に影響します。溶接ジョイントではバルブ側が回転に影響します。このようにリムの重量バランスが回転に影響与えています。

ホイール回転を円滑にできるホイールバランス調整は簡単にできます。そして効果は大です。

用意するのは1円玉とゴルフショップで鉛板を購入した鉛板です。タイヤが常に止まる位置の反対側に1円玉を1枚、2枚と増やしてバルブが3時の位置でも止まるグラム数になったら一円玉の枚数分が〇グラムですのでアルミ板を〇グラム分切り取ってリムに貼り付けます。これだけです。わずかな費用で済みます。

ホイールの回転調整に数グラムの鉛板を張るだけで明らかに回転は変わります。ホイール回転の音が変わります。

 

通常の自動車のホイールには必ず施されているバランス調整です。自転車も行うべきと思います。

シマノ方式で作ります

ディスクホイールをご注文いただきました。

お見積りの段階でスポークの組み方はシマノ方式で作りますと連絡しますとシマノ方式とは何ですか?とお問い合わせいただきました。

シマノ方式の組み方はシマノのホームページで解説されています。

DM-RAHB002-02-JPN.pdf (shimano.com)

以下の図はシマノHPよりお借りしました図です。

前輪は逆イタリアン、後輪はJIS組です。シマノ方式でといういい方が広く認知されているかどうかはわかりませんがシマノハブを購入しますと説明書がついています。こういうう風に作ってくださいと説明書に図が掲載されています。しかし台湾ハブなどの場合説明書がついていないことが多いので注意が必要です。

違う組み方のホイールを見受けることもありますので厳格にこれでないと壊れますよというわけでもありません。但しラジアル組はハブにかかる負担が大きいのでトラブルの元になります。私は冠たるシマノさんのお勧めに従っています。