チューブラータイヤの張り替え③

リムをきれいにしました。ミヤタのテープが固着していましたのでヒートガンを使って大体は取り除いたのですが手がだるくなりましたのでストーブの近くで作業することにしました。悪戦苦闘の2時間です。ピカピカになるまでテープを取り除きました。

ピカピカのリム面

これからは振れ取りとスポークテンションを調整することにしました。

 

緩いスポークテンションですがこの状態で使っておられました。

最初はこの状態からです。まずスポークのテンションが均一になるように調整します。スポークは4本でグループになっていますので強弱強弱でバランスが取れています。緩いスポークだけテンションを上げてテンションが均一になるようにします。手間がかかりますがテンションメーターで測りながら作業を進めばいいです。

一度緩い状態でスポークテンションを均一にしてここから少しずつテンションを均等に上げていけばいいのです。同じ間隔で少しずつテンションを上げていきます。

テンションメーターは頻繁に使います。ゆっくり少しずつテンションを上げていけばいいのです。この手順が技術といえば技術になるのですが数をこなせばわかります。

ゆっくり均等に、これしかないと思います。

預かってからのスポークテンションは倍になりました。約100kgfのテンションで納めています。

手を抜かずにこまめに正確なテンションメーターで測りながら作り上げるのがコツです。

スポークをさわれば感覚でわかるという人がホイールのフォーラムで書いている人がいるのですが私にはわかりません。100kgfのスポークテンションをさわっただけでわかる人はすごいと思います。

チューブラータイヤの張り替え②

ミヤタのテープを取り除きました。2時間くらい掛かって取り除いたのですがこんなことになる前にホールを放置しないでタイヤを取り換えていたら楽にメンテナンスができます。

 

さてホイールの振れを見てみました。そんなに振れはありません。使えないほどではありません。

テンションを測ってみました。グラフで見ますとこの状態でした。

はっきり言って驚いています。

バラバラで緩いテンション

スポーク長が短い

 

点検しまして次のことが気になりました。

  • 平均54kgfで張っていて非常にスポークテンションは緩い。
  • アルミニップルを使っているにもかかわらずスポーク長が短い。ニップルの頭が飛ぶ恐れがあります。
  • テンションの均一化が図れていない。こんなにバラバラではトラブルの元です。

 

残念にもこのホイールはプロの方に作ってもらったホイールです。同じビルダーのホイールに触るのは2回目です。ハブにシールを貼っているのでよくわかります。

 

完組ホイールは性能が均質化されています。総じて値段に応じて性能が分かれていますのでわかりやすい。当たり外れがすくないのが完組です。

 

手組ホイールの場合作り手の技量で性能が左右されます。安価なホイールでも作り手の腕次第で抜群の性能であったり、結構お金を出していてもなんやというホイールもあります。

外れやと言われないように精進したいと思います。

チューブラータイヤの張り替え

ホイールのタイヤ交換を依頼されました。

リムはキンリンのTB25です。ハブはシマノハブです。重いのですが中心部の重さなので回転には影響ありません。メンテナンスが楽です。グリスアップも手軽にできるのでとてもいいです。

このホイールは長く乗らずに置いてあったようです。タイヤはミヤタのチューブラーテープで張り付けてあります。

 

タイヤをナイフで切ってバリバリとはがしました。やはり心配していたことが起こっています。リム一面にテープが残っていました。リム一周べったりミヤタテープが貼りついています。これではテープを取り除くのは大変です。

 

1年に最低でも1回はタイヤ交換を行っていればテープがべたっと残ることはないのですがこのリムではテープの残りっぷりはすごいです。リム面1周べたっと残っています。この場合は本当に困ります。簡単にはいきません。

 

ミヤタのテープは取り扱いが容易で私は愛用しています。しかしこんなになるまでにほっておくと大変です。固まってしまっています。

 

取り除くのには本当に時間が掛かります。私がお勧めするのはやはり最低1年に1回はタイヤ交換です。この場合ミヤタのテープも簡単に取り除くことができます。

ヒートガン

残念なことにべたっと残ってしまったらヒートガンを使うことです。ヒートガンがなければヘアドライヤーを使うことです。テープを温めれば楽に取り除くことができます。

手作り校正器の活躍

手作り校正器をいつも横に置いています。テンションメーターTM-1はいつも校正しながら使っています。使うスポークに応じてスポークを変えて測っています。100kgf、120kgfが大切なポイントです。

もう一つ校正器があります。こちらの秤は正式な校正機関に調べていただいた秤で測っています。この機械はドイツから購入しました。この機械はすこし場所を取りますので足元に置いて使っています。

100kgfで張ったスポークを2つ用意してデジタルのメーターで測ると同じ数値が出ますので手作りのほうも使えると判断しました。

万能作業台に設置して使いますと動かないので使いやすいです。使わないときは立てかけて置くことができますの便利です。

スポークの太さを考える

ホイールの剛性はリムの剛性とスポークの太さが大きく影響しています。もちろんハブも考えられますがはっきりわかるのはリムとスポークといえます。

スポークの引っ張り剛性はスポークの断面積に比例します。

坂のコーナーでリムがブレーキシューに当たるなどはホイールの剛性が足りないと考えられます。こんな時はスポークを太くすればよいということです。

このような表を作っています。ホイール作りを計画するときに結構役に立ちます。

ホイールを作るときには先ず体重を考えます。次に乗り方も参考にします。ぐいぐいとコンタドールのようにダンシングを多用する人にはやはり剛性を高めた作りを提案しています。

ホイール作りを始めたころは勘違いをしていましてサピムのCX-RAYで作ればとても優れたホイールが出来ると思っていました。CX-RAYのシルバーは1本350円くらいします。このスポークを使えば最強のホイールが出来ると思っていました。高ければよいと思っていたわけです。

10年以上前からサピムCX-RAYを使用していますので最強のホイールですという風なことをうたっているショップもありましたし今も同じように打ち出しているショップが沢山あります。私も同じくCX-RAY使用していますといって販売しています。CX-RAYはとても優れていることには間違いありません。

サピムのホームページで発表されていますが強度的にはサピムCX-RAYはスポークの中では最強の一つです。これは間違いありません。

いろんな海外での自転車フォーラムでも著名なビルダーはCX-RAYを勧めています。しかしホイールの剛性という観点から見ますとちょっと話が変わります。

太いスポークにすれば剛性が上がるということから星のスターブライトで作るとサピムのCX-RAYで作ったホイールよりスポーク代金は約1/5の価格で剛性の高いホイールが出来上がります。

しかし星SBでは重量が増えてしまいます。重いホイールになってしまいます。

一般的には軽いホイールがいいといわれていますが重いホイールほうがよくなることもあります。

このことはこのブログでも書きましたが(後輪ホイールの改良)Aクラスのシクロ選手の後輪ホイールを作り変えてスポークをCX-RAYから太いチャンピオンに組み替えさせていただきました。結果はとても走りがよくなったと連絡いただきました。

あくまで乗り手の力に合わせての話ですが軽いCX-RAYホイールから重いスポークに替えています。これで剛性が高まり、推進力が高まったわけです。重くなった代わりによく走るようになったのです。

軽くて剛性の高いホイールは沢山あります。しかし軽い分お値段もしっかりしています。

手組ホイールでは剛性が足りなければスポークを太くする。値段の高いスポークでなくてもよいと思います。

スポーク面積表を参考にして使用するスポークの太さを考えています。これでとてもうまくいっています。

サピムのホームページで勉強

TM-1を校正しました方からホイール作りについての質問をいただきました。 以下質問内容です。

スポークの剛性とテンションとは相関はない。これの意図、または根拠は何でしょうか?

 

スポークの寿命が延びる作り方が必要、これの意図、または根拠は何でしょうか?

 

スポークの寿命とは経年使用によるスポーク伸びのことでしょうか?あるいは、例えば強いダンシングをした時に動的にテンションが変化する中で、降伏点に達する確率が上がるということでしょうか?

 

1.5mm スポークの降伏点は 100kgf 程度らしいですが、これについてどう思いますか?

 

Jベンド部分の破断とニップルの破断とスポーク降伏点はどれがボトルネックになると思いますか?

 

テンションのばらつきが少ないことを目標とする理由とその程度を改めて教えてください。

 

材料(ハブ、スポーク、リム)の精度が高ければ振れ取りが完了した時点でテンションのばらつきは発生しないはずです。(数学的な意味で)テンションのばらつきは、材料の精度が低いことにより発生すると考えていますか?

 

振れ取りの精度が低いことにより発生すると考えていますか?あるいは、両方ですか?

 

テンションのばらつきを抑えるために、逆に振れを発生させることを許容することはありますか?

 

ばらつき10%のホイールと、5%のホイールはどう違いますか?

 

スポークの剛性とテンションとは相関はないという考えの根拠と矛盾はないですか?

 

このような質問をいただきました。すべて答えるとホイール作りの小論文ができそうです。

以前サピムのホームページを読んだとき参考になったので私から次のサピムのホームページに的確な答えがありますと返事いたしました。

次のURLをしっかり読んでいただきますと答えが出ていますと返事いたしました。

Sapim’s advice on building and maintaining good wheels

https://www.sapim.be/sites/default/files/checklist.pdf

 

ホイール作りをとてもコンパクトにわかりやすくまとめてあります。

 

返事をいただきました。

 

今まで参考にしていた、やってみた系の雑な記事が全く参考にならないことを理解しました。

それこそが迷いや混乱の原因ですね。反省します。

サピム愛用者としても、ご紹介いただいたサピムの公式ドキュメントが一番信頼できると思います。

英語が得意ではないということもあり、英語のドキュメントは避けてきましたが、

ホイール作りの参考書、ホイール作りの参考書② なども参考にしたいと思います。

この1週間で、参考にならないテンションメーターと、参考にならない情報をもとにホイールを組んでいたことに気づき、ショックかつ目からウロコ状態ですが、また0から勉強したいと思います。

 

ホイール作りの参考書

ホイール作りの参考書②

これらは今までにホイールtipsで当ブログに書いたことです。

日本語のホイール作りの教科書的なものはありませんので英語ですがこれらの参考書は有益です。

超ベテランの方より再度インプレいただきました

毎年最低でも年間1万km以上は走っておられる超ベテランの方よりラインでホイールインプレ送っていただきました。

以下のグラフは納品しましたDT RR411 32hのスポークテンショングラフです。

フロント32hリア32h

以下インプレです。

 

二種類のホイールを作ってるもらいましたが、両方とも無風 平地だと ホイールが勝手に転がって行く感じがします。なぜか?分かりました。剛性あるリムに、テンションが均一の組み方なのでだと思います

 

私の乗っているホイールはいろいろと種類は沢山ありますがすべて自作品でしてほかのホイールとなかなか比較はできません。私もいろんなメーカーのホイールを乗ってきましたが最近は自作品ばかりです。最近は他流試合をしていないので本当の立ち位置がよくわからないのが現実です。比較のため潤沢に高級なホイールを揃えることはやはり経済的にもなかなか成り立ちません。こんな時私の実情がこういうことなのでお買い上げいただいた方々のインプレがとてもありがたいです。

各地のベテランライダーさんがインプレをメールしていただきますので私のホイール作りに反映することができます。

また、ホイール作りにはメーカーのホームページも参考になります。

ホイールメーカーであるDTのホームページにスポークテンションの重要性を書かれています。

とても勉強になります。

https://www.blog.dtswiss.com/spoke-tension/

DTスイスのホームページはただ自社製品の宣伝だけでなく結構為になる事柄が載っています。

このページはスポークのテンショングラフを使ってスポークテンションの均一化が大事と述べています。

 

本日ベテランライダーさんより連絡いただき改めてスポークテンションを揃えることが大事かを再確認できました。

サピム ニップルワッシャーを使う

ホイール造りを勉強するようになりまして最初のころはニップルにワッシャーを使うことなど考えてもいませんでした。しかし色々勉強するうちにとてもホイール造りに有益な利点があることが分かりました。

サピムのホームページを調べますとワッシャーの項目があります。

https://www.sapim.be/tools/washers

ホイール作りに見落としがちですがワッシャーはとても有益な効果を発揮しています。

 

1 リムを強化する

2 ニップルを保護する

24個で4g

ほんの数グラムですが使わない手はないと思います。価格も安価です。ホイールを仕上げるのに目に見える効果がわからない品物ですが特にアルミニップルを使うときに有効です。

スポークを張っていくときにワッシャーを使うと円滑にニップルを傷つけることなくを回すことができます。もちろんオイルやグリースは必要です。

アルミニップルとリムが接するところでワッシャーがない場合リム穴の縁がアルミニップルを傷つけ腐食の影響を受けやすくなります。

ワッシャーを使うことによりアルミニップルを保護することができます。これによりニップルは傷つくことなく役目を果たすことができます。

ニップルワッシャーを使用することでガルバニック腐食を予防することができます。

 

以上のような利点があることが分かりましたのでサピムのニップルワッシャーを使うことにしました。サピムの輸入代理店トライスポーツでは欠品になっていますので海外から購入しました。

このワッシャー椀型になっていましてニップルを包み込むようになっています。このためニップルが傷つくことなく力を加えていけます。カーボンホイールには欠かせない部品です。カーボンリムメーカーのLightbicycleの担当者はいらないといいましたが少しでもトラブルを防ぐためにニップルワッシャーは使ったほうがいいと思います。

TNIリムカタログの内径寸法

TNIのリムカタログからリムを発注する際にカタログのリム内径を参考にしてスポークを同時に発注しますとスポークの寸法間違いを起こします。知り合いがERDと勘違いをしてこの数値からスポーク長を計算してスポークを結果的に2度発注しました。

TNIのカタログから引用させていただきました。TNIリムの内径寸法はERDではありません。あくまで内径寸法でありましてEffective Rim Diameterではありません。使用するニップルによってERDは変わります。

ERD寸法と間違ってスポーク長を計算すれば間違いを起こします。

 

ホイールを作るときにリムとスポークは同時に揃えておきたいものです。通常はリムの実寸を当たってERDを出してからの発注になります。TNIのカタログからリム寸法が出ているのでこの数字をERDとして発注すると間違います。

ERDは上図に示していますように内寸法ではありません。

1mmの違い

ホイールを作るのにとても大切なことはいろんな部品を正確に測ることではないでしょうか?

 

実は私のコーワのスポークカッターは1mmの誤差があります。たまたま1mm誤差があったということが分かりました。ゲージがついていますので1mm足してカットしていますので別に困りません。

スポークをセットしてねじを転造

スポークカッターにはゲージがついています。必要なスポーク長にゲージを合わせてカットします。カットしてからねじ部分を転造します。工程は2工程です。スポークをカットしてねじ部分を作るのですが簡単です。あっという間にホイールに必要なスポークは準備できます。このスポークカッターを購入したときは使い方の要領が悪くうまくねじを作ることができませんでしたがすぐに慣れます。

 

ホイールを何本か作って、あるときニップルホイールを覗いたときにスポークのねじ部分が予定した位置に収まっていないのに気づきました。どうしてもこんなに短いのか最初理由がわかりませんでした。

 

リムのERD,スポーク長など間違いないかもう一度確認しました。計算ではちょっと長めのスポーク長になっているにも拘わらず短いのです。どうしてそうなのか確かめるためもう一度ばらしてみました。

 

スポークの長さを確認しますと実際のスポーク長より1mm短いのです。ここで初めて分かりました。カットしたスポークは1mm短かったのです。

 

これで理由がはっきりしました。ゲージをセットすると1mm短くカットされるということです。このことが分かって以来スポークのカットには1mmプラスしてカットしています。

 

カットの一回目は間違いないかの確認をしてOKでしたら続けて残りの分をカットしています。この作業以来作業前には長さが間違いないか確認するように癖がつきました。